1.経済動向指標 2012年11月度 商業動向報告書

2012年11月度 商業動向報告書
1.経済動向指標
【国内景気指標】
全体概況
内閣府「月例経済報告」平成24年10月
景気は、世界景気の減速等を背景として、このところ弱い動きとなっている。先行きについては、当面は弱い動きが続くと見込ま
れる。その後は、復興需要が引き続き発現するなかで、海外経済の状況が改善するにつれ、再び回復へ向かうことが期待され
るが、欧州や中国等、対外経済環境を下回る不確実性は高い。
10月商業販売額
経済産業省「商業販売統計」10月
10月の商業販売額(季節調整済)は前年同月比1.7%の減少、小売業は1.2%の減少で3ヶ月ぶりの減少となった。10月は、エコ
カー補助金の終了による自動車販売への影響が9月より大きく出たため、自動車小売業の前年割れ幅は3.5%減と9月より拡大
した。また、不振の続いているテレビやその他家電製品の落ち込み幅も9月より拡大した。衣類も、10月中旬まで気温が高く、秋
冬物の売り上げが振るわなかったため、4カ月ぶりに減少した。
10月全国消費者物価指数
総務省統計局「消費者物価指数」10月
10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、前年同月横ばいの99.8だった。エネルギー価格の上昇に牽引され、下
落率は前月から0.1ポイント縮小。5ヶ月続いたマイナスが一服した。ガソリンが4.2%、灯油も4.9%上昇するなど石油製品の値
上がり幅が拡大した。一方で、生鮮食品以外の食料が0.2%下落したほか、10月にNHKの放送受信料が値下げされたこともあ
り、全体としての物価水準は変動しなかった。
【商業関連指標】
10月SC売上高
前年比2.1%減で2ヶ月連続の前年割れ
日本SC協会「SC販売統計調査報告」平成24年10月
10月既存SC月間売上高の前年同月比は-2.1%で、前月より1.0ポイント後退し、先月に引き続き前年を上回ることができなかっ
た。土日が1日ずつ少ないことや、月上旬の気温が高めであったことも影響し、主に秋冬商材の動きが鈍かった。月後半は気温
が低下して重衣料は伸びたものの、前半の低迷を取り戻すまでには至らなかった。加えて客単価が減少しているといった報告
も目立つ。好材料としては、一部のSCでは催事が好評であったと報告も見られた。
10月百貨店売上高
前年比2.4%減で6ヶ月連続前年割れ
日本百貨店協会「全国百貨店売上高概況」平成24年10月
10月の前年同月比は-2.4%で6ヶ月連続のマイナスであるが、休日が2日減少したことを勘案すれば、ほぼ前年並みに推移した
と分析できる。10月は中旬まで全国的に気温の高い日が続いた影響で、重衣料を中心とした主力の衣料品が低調に推移した
ほか、前述の休日減などの影響から入店客数も伸び悩んだ。月の後半からは気温低下に伴い秋冬物衣料が盛り返したほか、
前月同様、改装による新ブランド効果が背景にある化粧品のほか、高級時計や宝飾品等の高額商材も引き続き堅調であった
が、10月の商況全体を押し上げるまでには至らなかった。
10月チェーンストア売上高
前年比4.0%減で8ヶ月連続前年割れ
日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」平成24年10月
10月の販売総額前年同月比(店舗調整後)は-4.0%で、8ヶ月連続で前年を下回った。中旬まで気温が高かったことから飲料、ア
イスクリーム、防虫剤、タオルなどが好調であったが、気温が下がるとともに鍋物関連、秋・冬物商品にも徐々に動きが見えてき
たが全体をカバーできなかった。
10月外食産業売上高
前年比2.1%減で3ヶ月ぶりの前年割れ
日本フードサービス協会「外食産業概況」平成24年10月
10月は売上高前年比-2.1%で3ヶ月ぶりに前年を下回った。土日が前年より2日少なかったことに加え、景況感の悪化等も影響
した。全体の客数は前年と変わらないものの、客単価は98.0%に下がった。ファミリー層が顧客の中心であるファーストフード洋
風、ファミリーレストラン洋風などの業態では、休日数減少の影響は大きく、売上は前年を下回った。加えて、特に西日本では尖
閣諸島問題の影響で中国からの観光客が減少したことも、一部店舗の売上に響いた。また、全体の景況感が悪化したことで、
キャンペーン等の販促活動も思ったほどの効果が上がっていない。
10月コンビニエンスストア売上高
前年比2.1%減で5ヶ月連続前年割れ
日本フランチャイズチェーン協会「コンビニ統計月報」平成24年10月
10月は売上高前年比-2.1%と5ヶ月連続のマイナスとなった。全国的に晴れた日も多かったが中、中食などの日配食品が好調
に推移したが、タバコ購入者の減少等もあり前年を下回った。
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2.マーケティング情報
【消費動向】
消費生活の意識調査、「価格・機能や品質」重視鮮明に
流通ニュース(11月12日)より抜粋
消費者庁は11月12日、「消費生活に関する意識調査」の結果報告書を公開した。「商品やサービスを選ぶ際に意識する項目に
ついて」の調査では、「価格について意識する」「機能や品質について意識する」とする答えがそれぞれ9割を超えた。一方、「事
業者の経営方針や理念、社会貢献活動」については、「意識しない」が59.5%と過半を占めた。
働く女性減少で試される都心SCの集客力
繊研新聞(11月2日)より抜粋
総務省統計局調査によると、12年の女性の月平均の就業者数(15~64歳)は、前年に比べ4万人増えたが、ピークの06年に比
べると33万人減少した。これまで都心のファッションビルを支えてきた働く女性はこれからも減っていくため、都心では施設間競
争が激しくなることが予想され、来館頻度を高める取り組みが欠かせなくなってくる。一方で郊外では全世代対象のライフスタイ
ル型MDの構成が迫られそうだ。
3.商業施設関連情報
【開発関連】
流山おおたかの森、述べ1,9万㎡を増床
商業施設新聞(11月6日)より抜粋
東神開発は、千葉県流山市にある「流山おおたかの森ショッピングセンター」を増床する。隣接に延床面積約19,000㎡の「流山
おおたかの森コート」を新設、2014年2月ごろの完成を予定している。施設規模は6階建て述べ18,847㎡。テナントなどの詳細は
未定。また、同社は流山おおたかの森西口の土地区画整理事業B52街区で、3階建て延べ約2,000㎡の「(仮称)52FOREST」
の建設を13年3月の完成を目途に進めており、内部はクリニックモール、教育施設、調剤薬局などが入居する見通し。
野村不動産、GEMSをシリーズ化
商業施設新聞(11月13日)より抜粋
野村不動産は、JR山手線沿線をターゲットに、飲食ビル「GEMS」をシリーズ展開する。年間2棟ずつ新設する計画で、事業が軌
道に乗れば開発ペースを年間4棟に上げる考えだ。立地条件は山手線駅から3~5分の会社員が多くいる場所で、広さ80~100
坪程度の敷地。将来的にはさらに広いエリアでの展開も視野に入れる。
職業体験型親子カフェパーク、イオンモール幕張新都心に
商業施設新聞(11月13日)より抜粋
イオンモール幕張新都心において、エンターテイメントゾーンの核店舗として、親子で楽しめるロールプレイ・テーマパーク「kandu
Kafe」(㈱カンドゥージャパン)日本第1号店の出店を正式決定した。 「Kandu Kafe」は、ロールプレイングのベニュー(パビリオン)
とレストランを融合させた親子で楽しめる小規模テーマパーク。主な特徴として、職業体験ができる親子カフェパークで、子供が
様々な職業をロールプレイングで体験することで、働くことの楽しさ、難しさ、達成感、挨拶の大切さなどを体感できる。
立川に15年春、「ららぽーと」
繊研新聞(11月15日)より抜粋
立飛ホールディングスと三井不動産は共同で東京・立川に「ららぽーと」を想定した広域型の商業施設を建設することで合意した。
立飛HD所有地の一部92,500㎡(敷地面積)を使って、店舗面積59,000㎡の大型商業施設として15年春の開業を目指す。三井
不動産はデベロップメントマネジャーとして開発業務を推進する。駐車場は3,200台を計画。
計画地の近くには、米軍立川基地跡地の一部に家具・インテリアのIKEAも出店を計画しており、東京・多摩地区での大型商業施
設の競争環境は一気に高まることが予想される。
新駅ビル「ピオレ姫路」、13年GWに120店
繊研新聞(11月15日)より抜粋
JR西日本など3社は、JR姫路駅関連プロジェクトの集大成となる新駅ビルの名称と施設概要を発表した。新駅ビルの名称は「ピ
オレ姫路」。地下1階から地上6階で店舗面積は約13,000㎡。婦人服、飲食、サービスなど約120店で構成する。開業は13年
ゴールデンウィークを見込んでいる。既存商業施設のプリエ、プリエごちそう館、プリエおみやげ館の名称をピオレに統一し、一
体的に運営する。総店舗面積は約23,000㎡。総店舗面積は約210店になる。
ボーノ相模大野、来年3月開業
繊研新聞(11月19日)より抜粋
野村不動産と相模大野駅西側地区市街地再開発組合は、神奈川・相模原市の小田急線相模大野駅前に建設中の大複合施設
「ボーノ相模大野」を来年3/15に開業する。北棟と高層マンションを配置した南棟の商業施設には隣接する町田市を含むエリア
初出店の53店を含む約180店が出店する。北棟と南棟の商業エリアはともに延床面積約68,000㎡で北棟のショッピングセン
ター(企画運営/野村不動産)とノースモール(企画運営/同再開発組合)を南棟のサウスモールにそれぞれ約90店が入る。
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3.商業施設関連情報
【営業関連】
シンクス/開業6ヵ月間で売上予算比20%増
繊研新聞(11月2日)より抜粋
東急百貨店の商業施設「シンクス」は、開業6ヵ月間で売上高が予算比20%増となり、入店客数が累計で1,000万人を上回った。
入店客は平日で4万人、休日で7万人で、開業当初に比べて落ち着いたが、依然として高い水準を維持。年間目標の1,400万人
は年内に突破する見通しだ。主力顧客対象に据えた働く女性を中心に、東急百貨店ではこれまであまり取り込めなかった客層
の需要を獲得したのに加え、想定を大幅に上回る全国からの旅行客らが来店した。
ラゾーナ川崎/改装以降売上20%増に
繊研新聞(11月8日)より抜粋
ラゾーナ川崎プラザは10/19の改装から11/4までの売上が前年同期比20%増で推移している。改装区画だけでは2倍に伸びて
いる。10/21までの3日間の改装区画の売上は前年同期の3倍となり、全体の集客に貢献した。改装後の年商は750億円(核店
舗を除く)を見込む。来年2月には「アメリカンイーグルアウトフィッターズ・エアリー」が660㎡で出店する。
キャナルシティ博多イーストビル/初年度売上高58億円
繊研新聞(11月9日)より抜粋
福岡地所は、昨年9月に開業したキャナルシティ博多イーストビル単体の開業1年間の売上高が58億円になったと発表した。
イーストビルは、近隣のJR博多シティや天神地区商業施設との差別化のために内外有力SPAの基盤店を揃えた。ファミリー向
けにフルラインを扱うH&Mやザラ、ユニクロなどの大型店が揃ったことでファミリー客や男性の来店が増加しており、キャナルシ
ティ博多全体の集客数は、イーストビル開業後の1年間で前年に比べ約500万人増加した。
来年1月のバーゲン、2日から一斉にスタート
繊研新聞(11月21日)より抜粋
来年1月のバーゲンセールの日程が明らかになってきた。早々と中旬以降の実施を決めた三越伊勢丹とルミネを除き、2日から
一斉にスタートする。6月末から7月初旬、7月中旬と開始時期が分散した今夏のような事態はなさそうだ。夏のセールを後ろにず
らしたところも多くは冬のセールを2日から始める。ルミネは早々に17日からの実施を決めた。
テラスモール湘南/売上高、計画27%上回る
日経MJ(11月26日)より抜粋
住友商事が昨年11月に開いたショッピングセンター「テラスモール湘南」の開業1年目の売上高は509億円と計画を27%上回っ
た。来館者数も2,370万人と計画より18.5%多い。湘南エリアの名店を集めたフードコートなどが人気、平日もシニア層など近隣
からの客足が好調だった。商圏と見込んでいた半径10㎞と小田原など鉄道沿線からの来館者は全体の7割を占めた。残りの3
割は東京や横浜など比較的離れた地域からの来館者だった。
スカイツリー/開業半年
日経MJ(11月26日)より抜粋
東京スカイツリーの開業から半年が過ぎた。東京ソラマチを含む開業6か月間の来場者数は約2,792万人と年間目標の6割を超
えるなど好調を維持。来場者数の増加を受けて、周辺のホテルや旅行各社などでは、宿泊単価や年末旅行の予約が前年を上
回って推移するなどレジャー消費を牽引している。
【店舗関連】
トリニティアーツ/来春から新業態「アンデミュウ」
繊研新聞(11月9日)より抜粋
トリニティアーツは、20~30代前半の女性に向けた新業態「アンデミュウ」の出店を13年春夏から始める。日本に進出している著
名グローバルブランドを主な競合に設定し、モードファッションを値頃な価格で打ち出す。出店は駅ビル、ファッションビルを中心
に約10店から始め、順次増やす。価格は多くが1万円以下で、最も売れると見る価格帯は4,000~6,000円。コアターゲットを20代
後半のOLとしつつも、バラエティ感のある品揃えで幅広い客層の取り込みを狙う。標準店舗面積は約100㎡。幅広い客層の取り
込みで客数を伸ばし、1店舗当たり年商1億2,000万円を目指す。
SCで出店加速、ニューファミリー新業態
繊研新聞(11月16日)より抜粋
今年、SC内に30~40代カップル・ファミリーをターゲットにしたニューショップが急速に増えている。特に注目されるのが、セレクト
ショップやレディスSPA(製造小売業)が開発した新業態。SC内の郊外ファミリー向け業態が多種多様にある中で、新業態に共
通するのが「おしゃれを経験した30代カップル・ファミリーが、今の生活水準で選ぶリーズナブルでおしゃれなモノ・コト提案」とな
る。特に同世代が持つおしゃれ目線に合わせて、雑貨でのライフスタイル提案を重視している
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3.商業施設関連情報
【販促関連】
パルコ、SNSで販促
日経MJ(11月9日)より抜粋
パルコは、クリスマス商戦に向けSNSを使った販売促進策を展開する。フェイスブックの利用者にクーポンを提供するほか、
自分が欲しい商品などを登録する交流サイト「サマリー」と連動したプレゼントキャンペーンを展開する。9日にサマリーにパル
コの公式ページを開く。サマリー活用のほか、21日からはフェイスブックのチェックインクーポン機能を使ったクーポンサービス
も始める。
一緒に“街コン”福袋
繊研新聞(11月27日)より抜粋
プランタン銀座と阪急メンズ東京は来年の初売りで、両店で来年2月に独自開催する街コンイベントの参加券を同封した福袋
を売り出す。プランタン銀座側は女性、阪急側は男性向けに、当日来ていけるコーディネートアイテムを福袋に詰め、それぞれ
限定60個を税込2万1千円で販売する。2月6日の開催当日は、各店にあるカフェを会場に互いの顧客を引き合わせる。
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