(30) 様々な音楽ジャンルにおけるリズムパターンのグルーヴ可視化 慶應義塾大学大学院理工学研究科 芳賀直樹, 中山雅紀, 藤代一成 研究背景 音楽の3要素 ①リズム フレームワーク ②メロディ ・ 心地よいノリが重要 ③ハーモニー 打ち込みMIDIを用いた可視化テスト Drumsの演奏データ( MIDI )を入力 (メトロノーム……?) 可視化結果から効果的フィードバックが得られるかを確認 MIDI (1) : 全ての音符が等間隔, 強弱表現なし ・ 音程や音色の良否が重要 ⇒ 定量的評価が困難 評価実験 提案システム 「SeeGroove」 MIDI (2) : タイミングをタメ気味に演奏, 強弱表現あり ⇒ 定量的評価が容易 音楽ジャンルの選択 (チューナー, 周波数解析ツール) グルーヴ : リズムの心地よさ・ノリや 一体感を包括する概念 17の候補のなかから これらのデータ各々を「テクノ」と「ヒップホップ」という 2つの異なったグルーヴを基準として評価 ・ グルーヴが生じるタイミングのずれ具合や強弱のつけ方は 視聴をしつつ, リズムの タメ具合や強弱に関する ユーザの好みを設定 音楽ジャンルによって大きく異なる ・ その差異は地道な音楽経験を通じて耳で学習するのが通常 Superellipsoid Transition グルーヴの可視化 Locus Tracing アマチュアドラマーによるユーザテスト ユーザの演奏能力 向上が効率化 関連研究 グルーヴを扱った研究の分類学 ・ ACM, IEEE, ICMC, ICMPC, RMA, NIME, および 情報処理学会にて, 2000年以降2014年までに 発表されたグルーヴに関連する研究を35件調査 また, ジャンルに適するグルーヴと なっていない場合は, 然るべきリズムから どのようにずれているのかも把握可能 注目する音楽ジャンルを ひとつ選択 ・ 『 メトロノーム = 正しいリズム 』 ではない場合も多く存在 リズムの良否を視覚的に 把握することが可能 同じデータでも, 基準ジャンルにより どの程度グルーヴを表現できているか 解釈が異なることが明確 指定したジャンルのグルーヴを入力データが どの程度表現できているか定量化 ① タイミング ② 強弱 ③ ゴーストノート バスドラム, スネアドラム, ハイハットシンバルに 関して, 設定したジャンルのリズムパターン (プロドラマーの演奏データ)との「ずれ」を算出 ・16分間隔(120Tick)を 1タイムステップと設定 一般被験者によるリスニングテスト グルーヴ学習が実際に効率化されるかを確認 被験者と馴染みのない音楽ジャンルを無作為に 2つ(Blues, Funk)選択し, Bluesに関しては音源のみから Funkに関しては音源とSuperellipsoid Transitionによる 可視化結果を用いてフィードバックを与え, 演奏を改善 SeeGrooveを用いて改善されたグルーヴが 実際に心地よいものになっているかを確認 Black Contemporary, Samba, Swing Feel に関して 改善前後のドラム音源を用意し, ドラムのみの場合と 他の楽器と合わせた場合それぞれ聴き比べを行い 被験者が心地よいと感じた方を選択 ・着目するMIDIパラメータは3つ Velocity: 打鍵の強さ Tick: 発音時間 NoteNumber: 楽器の種類 2つの可視化モードと2つのビューを用いて可視化 今後の課題 より多面的な性能評価 : ドラマーの個人差や選定するジャンルの考慮, LocusTracingの効果測定 ・ いずれの研究もユーザの音楽知識が必要 もしくは対象とする音楽ジャンルが限定的 ・ 結果の直感的な読みとりが困難 よって 以上か ユーザの音楽経験を問わず, 様々な音楽について 直感的にグルーヴを把握できる可視化 = 新規性十分 マルチトラックデータへの適用 : ベースをはじめとする他の楽器との共起関係を模索する必要性 音声信号データ用のプリプロセッサ開発 : WAVやMP3など主流ファイル形式への対応
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