小 児 耳V◎L22,N◎ 、2,2001 ㊥oo回 回窃⑪腱目昌圃咀励四寵臼 教育講演 頸 部 リンパ 節 エ コ ー に よ る 川 崎 病 の 診 断 田 Ultrasonographic 代 Evaluation 紀 陸(山 口労災病院小児科) of Cervical Norimichi Lymph Tashiro, Nodes in Kawasaki Disease MD Department of Pediatrics, Yamaguchi Rosai Hospital Cervical lymphadenopathy in Kawasaki disease is the least constant diagnostic criterion, as it is present in only approximately 50 to 75% of KD patients. In contrast, each of the other five criteria is found in almost 90% of patients with KD. Nevertheless, we have sometimes experienced patients who have only fever and cervical lymphadenopathy at the initial examination. It is important to give a precise diagnosis of KD at an early stage. For this reason, we examined cervical lymphadenopathy by ultrasonography in order to differentiate between KD and other diseases, such as suppurative lymphadenitis and infectious mononucleosis (IM). Transverse ultrasonograms demonstrated multiple hypoechoic enlarged nodes in one palpable mass, which looked like a cluster of grapes. We also found that ultrasonograms of cervical lymph nodes in KD showed a similar pattern of IM and differed from those with suppurative lymphadenitis. Suppurative lymphadenitis appeared as a well-defined mass with a thick wall. Key Words: 1.川 Ultrasonography, Cervical fectious mononucleosis lymphadenopathy, disease, Suppurative lymphadenitis, 川 崎 病 に お け る頸 部 リソ パ 節 腫 脹 は,他 と して 乳 幼 児 が 罹 患 す る 原 因 不 要 症 状 の 出 現 率 が90%以 も 出 現 率 が 低 く,お よ そ50∼75%で 診 断 方 法 は な く,6主 か し,頸 部 リソ パ 節 腫 脹 は,し 以上 を あ る4)。 し ば しば 発 病 初 期 認 め た 場 合 診 断 で き る。 川 崎 病 の 主 要 症 状 は, に 目立 つ 所 見 で あ る5)。 実 際,特 1)5日 発 熱 と頸 部 リソ パ 節 腫 脹 の み を 認 め,化 以 上 続 く発 熱,2)四 不 定 型 発 疹,4)両 唇 ・口 腔 所 見,そ 肢 末 端 の 変 化,3) 側 眼 球 結 膜 の 充 血,5)口 して6)急 の主 上 な の に 対 し て,最 明 の 全 身 性 血 管 炎 で あ る1)。川 崎 病 に 特 異 的 な 要 症 状 の うち5つ In- 要 が あ る。 崎 病 の 頸 部 りンパ 節 腫 脹 一 川 崎 病 は,主 Kawasaki に 年 長 児 で, 膿性 頸 部 リソ パ 節 炎 と して 抗 生 物 質 の み で 治 療 さ れ, 性 期 に お け る非 化 か な り後 で 川 崎 病 と診 断 さ れ た 例 が 耳 鼻 科 領 域 膿 性 頸 部 リ ソ パ 節 腫 脹 で あ る。 川 崎 病 は 無 治 療 で 報 告 さ れ て い る6)。 川 崎 病 の 頸 部 リソ パ 節 腫 の 場 合,20∼25%に 脹 に 何 か 特 徴 的 所 見 が あ れ ば,早 冠 動 脈 病 変 を 合 併 し,心 期診 断 に用 い 筋 梗 塞 や 突 然 死 を 来 す こ とが あ る2)。 発 症 早 期 られ る可 能 性 が あ る。 決 して 化 膿 す る こ とが な に,ア い こ とは よ く知 られ て い る が,臨 ス ピ リソ 経 口 投 与 と ガ ン マ グ ロ ブ リン 大 量 静 脈 内投 与 を 行 え ば,冠 動脈 病 変合併 の リス ク を 軽 減 で き る3)。 早 期 に 川 崎 病 と診 断 す る 必 一21一 床の場 では そ れ を 証 明 す る こ とは 困 難 で あ る 。 従 来 か ら,川 騎 富 作 博 士 は 「川 崎 病 の リソ パ 節 腫 脹 は,1個 小 児 耳VoL22,No.2,2001 ABC 図1川 崎 病 の頸 部 リン パ 節 腫 脹 の超 音 波 像 (A)4歳 女 児(4病 日),(B)1歳6カ 月(4病 日),(C)5歳 男 児(5病 日) 触診 上,1個 の リソ パ節 と思 われ た が,超 音 波 で は,複 数 の腫 大 し た リンパ 節 が 塊 に な って い る の が わ か る。 葡 萄 の 房 状 にみ える 。 の リ ンパ 節 が 大 き くな る の で は な くて,い 2)化 くつ か の 腫 大 した リソ パ 節 の 塊 に よ っ て 形 成 さ れ て 膿 性 リソパ 節 炎(図2) 全 例 入 院 時 に 検 査 を 行 った 。 抗 生 物 質 の 静 脈 い る 」 と い わ れ て い た。 リン パ 節 生 検 の 際,数 内投 与 と一 部 の 例 で は 切 開 ・排 膿 を 行 い 治 療 し 個 の リソ パ 節 が 一 塊 に な っ て い る の を 肉 眼 で み た 。 理 学 的 に は,川 られ た との こ とだ っ た7)。 し か し,画 像 的 に 評 区 別 は 不 可 能 で あ っ た が,超 価 は さ れ て い な か った 。 リソ パ 節 が 大 き く腫 大 して お り,川 崎 病 と は 全 崎 病 の 頸 部 リソ パ 節 腫 大 と 音 波 で は,1個 の く異 な っ て い た 。 大 き く腫 大 した リソ パ 節 の 周 2.頸 部 リンパ 節腫 脹 の超 音 波 像 囲 に 小 さ な リン パ 節 を認 め る もの もあ っ た(図 2B)。 リソ パ 節 腫 脹 を 含 む,頸 部 の腫 瘤 の 画 像 診 断 に お い て は,超 サ イ ドで リア ル タ イ ム に 画 像 が 得 られ,侵 な い の で,繰 3)伝 音波 が第一選 択 であ る。ベ ッ ド 頸 部 で 触 れ た 最 大 の リン パ節 の超 音 波 像 で あ 襲が る。 理 学 的 に は,熱 り返 し の 検 査 が 可 能 で あ る。 し か も,頸 部 の超 音 波 検 査 で は,乳 染 性 単 核 症(図3) 感 や 発 赤,圧 痛 は明 らかで な く,川 崎 病 や 化 膿 性 リソ パ 節 炎 と は 異 な っ て 幼 児 で も原 則 的 に 鎮 静 は 不 要 で,保 護 者 に 抱 い て も ら っ た ま ま い た 。 触 診 上 は1個 で 検 査 で き る。 た だ し,鮮 明 な 画 像 を 得 るた め は,川 に は,7.5MHz以 い る像 が 得 られ た 。 川 崎 病 に 比 べ る と個 々 の リ 上 の 高 周波 数 の プ ロ ーベ が 音波で 崎 病 の よ うに 数 個 の リン パ 節 が 集 族 して ン パ 節 の 境 界 が 不 鮮 明 だ っ た。 必 要 で あ る。 川 崎 病 の 頸 部 リン パ 節 腫 脹 の 超 音 波 像 と,病 初 期 に,最 と思 わ れ た が,超 3.頸 も鑑 別 が 重 要 な 化 膿 性 リン パ 節 炎, 部 りンパ 節 エ コーの 川 崎 病 早 期診 断 に対 す る有 用性 の検 討 そ し て伝 染 性 単 核 症 の 超 音 波 像 を 示 す 。 1)川 1995年7月 崎 病(図1) 川 崎 病 と確 定 診 断 した 例 の 頸 部 リソ パ 節 の 超 音 波 像 で あ る。 入 院 時,治 波 で は,数 学 小 児 科 に 発 熱,頸 ま で に,山 部 リソ パ 節 腫 脹 を 主 訴 に 入 感,発 赤 院 時(超 と思 わ れ た リン パ 節 が,超 音 そ の 後 川 崎 病 と診 断 で きた 児 は,12例(54,5%) 痛,熱 口大 院 し た 川 崎 病 患 児 は22例 だ っ た 。 そ の う ち 入 療 開 始 前 に超 音 波 検 査 を行 っ た 。 全 例 触 診 上 は,圧 が あ り触 診 上1個 か ら1999年3月 音 波 検 査 時)に 診 断 基 準 を 満 た さ ず, だ った。 個 の 腫 大 し た リン パ 節 の 塊 に よ って 入院時 に川崎 病の 診断基 準 を満た さ なか った 形 成 され て い る こ とが わ か っ た 。 一 見 葡 萄 の 房 12例 を 表 に 示 す(表1)。 状 で あ る。 一22一 全 例,入 院時 治療 開 小 児 耳VoL22,No.2,2001 ABC 図2頸 部 化膿 性 リンパ 節 炎 の 超 音 波 像 (A)7歳 女 児,(B)1歳 男児,(C)4歳 女児 超音 波 では,単 一 の リン パ 節 が腫 大 して い るの が わ か る。Bで は,周 囲 に小 さな リンパ 節 があ る の が わ か る。 AB 図3伝 染 性 単 核 症 の 頸 部 リソ パ 節 腫脹 の超 音 波 像 (A)4歳 女 児,(B)2歳 男児 頸 部 で 触 診 上 最 大 の リン パ節 の超 音 波 像 。 い くつ か の 腫 大 した リン パ 節 が 集籏 して い る。 川崎 病 と同様 だ が,個 々の リン パ 節 の 境 界 が や や不 鮮 明 で あ る。 始 前 に,頸 部 リソパ 節 の 超 音 波 検 査 を 実 施 し た 。 い ず れ の 症 例 も 入 院 後1∼3日 準 を 満 た し,川 (4L7%)は,入 後 に診 断 基 崎 病 と診 断 し た 。12例 中5例 院 時,発 熱 と頸 部 リン パ 節 腫 脹 しか 認 め な か っ た 。 こ れ らの 症 例 は,頸 ン パ 節 の 超 音 波 検 査 を しな け れ ば,理 血 液 検 査(白 血 球 増 多,CRP上 部リ 学 所 見, 昇)か と診 断 し,早 期 に 治 療 を 開 始 で き た 。 4.ま と め 川 崎 病 の 頸 部 リン パ 節 の 超 音 波 像 は,多 の リン パ 節 の 腫 大 で あ り,一 見 葡 萄 の 房 状 に み え る 。 化 膿 性 リソ パ 節 炎 は,通 らは, 核 症 の 超 音 波 像 は,川 川 崎 病 と化 膿 性 リン パ 節 炎 との 超 音 波 所 見 は, ンパ節 の 集族 であ る。 院 時 に 既 に 川 崎 病 を 強 く疑 っ た 。 超 音 波 検 査 を す る こ とで,早 常 単 一 の リン パ 節 の 腫 大 で あ り,鑑 別 が 可 能 で あ る。 伝 染 性 単 化 膿 性 リソ パ 節 炎 と全 く鑑 別 不 可 能 で あ っ た 。 全 く異 な るた め,入 房性 期 に川崎 病 一23一 崎 病 と同 様 で,複 数の リ 発 熱 と頸 部 リ ン パ 節 腫 脹 を呈 す る 患 者 に は, 積 極 的 に超 音 波 検 査 を す る べ き で あ り,頸 部 リ 小 児 耳VoL22,No.2,2001 表1超 音波検査時 に診断基準を満たさなかった川崎病患 児 *病 日は ,発 熱 し た 日を1病 日 とした 。 **発 熱 の 持続 期 間 は ,全 例5日 未 満 の た め,診 断 基準 は満 た して い な い 。 ソバ節 の超音 波検 査 は,川 崎病 の早期 診断 に大 3) Newburger JW.: Treatment of Kawasaki disease. Lancet 347: 1128, 1996. 4) Morens D, Melish ME.: Kawasaki disease. In: Feigin RD and Cherry JD editors. Text book of Pediatric Infectious disease. 4th ed. Philadelphia: WB. Saunders; 1998. p995-1014. 5) April MM, Burns JC, Newburger JW et al.: Kawasaki disease and cervical adenopathy. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 115: 512-514, 1989. 6) Stomas JK, Corydon K, Donaldson J, et al.: Lymphadenitis as the dominant manifestation of Kawasaki disease. Pediatrics 23: 525-528, 1994. 変 有用 であ る。 参 考 文 献 1) Kawasaki T, Kosaka G, Ogawa S, et al.: A New infantile acute febrile mucocutaneous lymph node syndrome (MLNS) prevaiking in Japan. Pediatrics 54: 271-276, 1974. 2) Kato H, Ichinose E, Yoshioka F, et al.: Fate of coronary aneurysms in Kawasaki disease: serial coronary angiography and long-term follow up study. Am J Cardiol 49: 1755-1766, 1982. - 7)川 24 - 崎 富 作:川 崎 病.内 科41:1048-1055,1978.
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