『エンターテインメントビジネス』2007秋号

E+
SYSTEM REPORT
スタッフの見えないストレスを軽減!
シネコンの効率的な運営をサポートする
音声応答サービス「シネマフォン」
朝日テレフォン放送㈱
シネコン業界No.1のシェアを誇る
音声応答サービス
図表1. 映画を観る時って?
ニーズ
居住地の近くに最新の映画館が開設され、
事前にチケットを購入すれば席が確保でき、
快適な環境が整ったシアターで映画を楽し
≪これから行きたい≫
≪この映画を観たい≫
≪こんど観たい≫
? 何をやっているのかな
? 上映は何時からかな
? いつから封切りかな
? どんな割引があるのかな
? 上映時間はどれくらいかな
? 次の封切り予定の映画は
? 場所が判らない…
? 混み具合はどうだろう…
? 前売り券の販売日は
むことはができるなど、シネコンが全国に普
及することで映画人口の底上げに貢献した
メディア
ことは論を待たないだろう。
≪新聞≫
≪情報誌≫
≪インターネット/携帯サイト≫
の向上を目指し、ホームページの充実やパ
○
利用層を選ばない
○
情報が豊富
○
探しやすく、見やすい
×
情報量が少ない
×
購入動機、
コストが必要
×
端末・Web環境が必要
ソコン、携帯電話などからチケット予約や座
×
当日の情報のみ
×
情報の即時性に欠ける
×
利用層を限定する
こうしたなか映画館側も利用客の利便性
席指定を行なえるオンラインサービスを提供
するなど顧客満足を高めるための環境整備
には余念がない。
結 果
やっぱり、電話かけて聞こう!
一方で、
「上映時間やアクセスなどに関
する電話でのお問合せは世代に関係なく非
常に多い」
(朝日テレフォン放送
[問い合わせ電話の内容]
その他 5%
営業企画
尾崎隆司氏)のが現実だという(図表1)
。
高齢者層はもとよりパソコンや携帯電話
の扱いに慣れた若い世代であっても上映時
催し物など
20%
定型的な問い合わせが多い
残席・時間・
場所など
75%
間やアクセスなどの情報であれば電話で訊
いたほうが早いと判断することも無理もない
だろう。これらの問合せはやはりピーク時に
集中することとなり、少人数で効率的な運
図表 2. 「シネマフォン」システム概要図
営を行なうシネコンにとって対応に追われる
ことは大きな負担となっていた。
お客様
そこでこうした問題を一挙に解決するシ
上映時刻は?
定型的な問合せ
ステムとして誕生したのが朝日テレフォン放
情報提供機能
&
電話転送機能
自動応答
●
音声案内
● FAX案内
フォン」である。
TOHOシネマズ㈱総務部 情報システム
忘れ物をした
対人応答
のですが
細かな問合せ
送㈱が提供する音声応答サービス「シネマ
室長 小坂光司郎氏は、
「当社では2004 年2
月にオープンしたTOHOシネマズ高槻(07
内線転送
年6月閉館)からシネマフォンを採用してい
ます。当時は来場者数の約3分の1にも上る
担当者
店舗等の問合せ
場内のカフェに
つないで欲しい
050
no.18
ハイ!○○○シネマ
映画情報
テレホンガイドです。
問合せがあり、自動音声応答システムの導
入は危急の課題でした。シネマフォンはそ
外線転送
れまで主流であった海外の製品に比べて非
常にローコストで導入でき、しかもプロのア
各店舗等
ナウンサーの方が音声の吹き込みを行なう
図表3. 「TOHOシネマズららぽーと横浜」などで導入されている新サービス
上映データの入力
共
FAX自動生成
有
音声自動案内
データベース連携
●
●
●
ため、聞き取りやすくお客さまからも好評で
した」と採用の経緯について語る。
チケット発券システム
webサイト
劇場内のインフォメーション など
どの情報も更新しなくてはならない。
朝日テレフォン放送では、
「TOHOシネマ
従来はシステムだけ購入し、各種案内の
ズららぽーと横浜」を皮切りにこれらの上映
録音は各劇場のスタッフが行なうというのが
データの更新を一括で行なう、データベー
主流であったが、朝日テレフォン放送は、公
ス連携サービスを開始している。同社がこ
共機関のテープ案内などナレーションの吹き
れまで実施していた自動音声サービスと合
込みを本業とする企業であることから、自社
わせてデータ更新を行なう形だ(図表3)
。
内にスタジオやアナウンサーを有しているた
め、きめ細やかなサービスが提供できるとい
うわけだ。
シネマフォンの特徴は、上映スケジュー
ルやアクセスなどの情報が階層的に組み込
データベース連携を実現した「TOHOシネマズらら
ぽーと横浜」
。カウンターのディスプレイなどと上映
データを共有
現在、TOHOシネマズでは同劇場をはじ
め
「流山おおたかの森」
「サンストリート浜北」
「川崎」
「浜松」の5劇場において導入され
ており、他の劇場においてもサービスを開始
していくという。
まれていて「はい」
「いいえ」という答えに
TOHOシネマズららぽーと横浜で同業務
反応し、必要な情報へアクセスできるため
を担当する小峰正之マネージャーは、
「これ
テープを最後まで聞く必要はない。そして
までは個別に入力作業が必要で、しかも毎
デスクトップ型パソコン1台で対応できる
コンパクトなシステム
このようにシネマフォンは、シネコン運営
秀逸なのは、上映スケジュールを訊く際に、
週のことですからスタッフの負担も大きく、
において不可欠なシステムとなっているとい
たとえば「ハリーポッター」と言うと上映予
入力ミスにも十分な注意が必要でした。朝
え、今回の上映スケジュールの一元管理は、
定の作品のなかからもっとも近いもの抽出し
日テレフォン放送さんに業務を委託できたこ
今後、デジタル化の進展によりあらゆる機
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」の上
とで、労力の大幅な軽減ができたことに加
能やサービスが一元管理されていくとみら
映時間を回答すること。もちろんこれらの情
え、たとえ入力ミスが発生したとしても一か
れているシネコンにおいて先駆的な取組み
報をFAXで取り出すことやその他の質問事
所を修正することですべてに反映できます
といえるだろう。
項を訊くために劇場スタッフへの内線へ転
ので管理面においても効率よくなりました」
送することも可能だ(図表 2)
。
と、新サービスは現場のスタッフからの評価
らのチケット予約サービスや多言語対応(す
も高いようだ。
でに「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」で英
現在、シネマフォンは「当社の全劇場に
朝日テレフォン放送では、シネマフォンか
導入を進めている」
(小坂氏)というように
また、同劇場の藤田貴徳支配人は「シネ
語版を導入)などサービスの拡充を目指し
TOHOシネマズの劇場をはじめ、数多くの
マフォンの導入により、電話のお問合せに対
ており、今後ともシネコンのさらなる効率的
シネコンで導入が進められる注目のシステム
応するスタッフの労力が大幅に軽減された
な運営の実現に向けてサポート体制を強化
となっている。
ことは効率的な劇場運営を行なううえで大き
していく考えである。
チケット発券システム・webサイト
などとの上映データの共有も可能
なサポートとなっています。さらに今回、上
映スケジュールの更新を一元管理すること
が可能になったことで、日々のルーティンワ
ークに追われることなく、お客さまへの丁寧
シネコンでは通常、上映作品の番組編成
な対応やサービスの向上に向けて注力でき
を週に1度更新しているが、その際には劇場
る環境を構築することができたことは現場を
内の案内ディスプレイやホームページ上の
あずかる立場として非常に心強く思ってい
上映スケジュール、チケット発券システムな
ます」と語る。
会社概要
●企業名/朝日テレフォン放送株式会社
●所在地/大阪市中央区久太郎町1-6-11
西野金陵ビル西館 9 階
● tel / 06-6262-4545
● fax / 06-6262-1022
●URL / http://www.asahi-tel.co.jp/
●設立/ 1973年 4月
●代表者/中川一彦
●事業内容/音声録音・音声応答サービスの提供
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