PFI方式への移行で高まるゴミ処理プラントでのP2M活用 [PDF 49KB]

説明事例集本文 02.3.18 5:45 PM ページ 16
PFI方式への移行で高まる
ゴミ処理プラントでのP2M活用
いま、ゴミ焼却施設の公設民営化を計画する自治体が急速に増加している。
企業とすれば、長期に渡ってリスクを抱えることになり、
経営全体を見渡した視点からのプロジェクトの立ち上げが求められる。
法規制が新たなプロジェクトを創設
国策として掲げられた資源循環型社会の形成と地球温暖化防止の観点から、廃棄物処理事業が大きな転
換点にさしかかっている。
日本国内においては、ゴミは衛生上の観点から焼却処理を大原則として今日に至っている。家庭から排
出される一般廃棄物は行政サービスの一環として行われているが、ダイオキシン問題を機にゴミ焼却施設
の環境が厳しく規制されることとなった。この結果、運営する自治体においては施設の整備や新規建設の
必要性が高まっている。
一方、これらの施設を建設する企業においては、環境規制をクリアすべく技術開発競争が始まり、さら
には資源循環型社会作りの考えに沿ったマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、ケミカルリサイク
ルなどが可能となる廃棄物処理技術が開発されるに至った。
また、企業の生産活動から発生する廃棄物や製品そのものにも、容器包装リサイクル法、家電リサイク
ル法、自動車リサイクル法等の各種リサイクル法の網が掛けられ、生産者責任において処理を義務づけら
れることとなった。
行財政改革は民間ビジネスを変える
昨今の不況による税収不足から、ゴミ処理行政に投入する資金が不足する事態に陥ってきた。資金の効
率運用と民間活力の利用の視点から、ゴミ焼却施設の公設民営化を計画する自治体が急速に増加する事態
となった。
従来の契約形態は性能発注に基づく一括請負契約で、自治体側の用意する発注仕様書に則り、設計・製
作・建設・試運転引渡しまでであったが、公設民営化に移行するに当たり、施設の操業から維持保守管理
もが請負企業のスコープへと変化してきた。企業の立場からは、従来は建設に関わる費用のみのリスクか
ら、施設稼働の約15年間もリスクを抱えることとなり、経営の観点からも応札の可否を迫られる事とな
った。
このため、いままではモノ作りと客先要求に見合った技術力で対応が可能であったが、経営的判断が要
求されるビジネスへと変化している。特に受注から施設運営までと長期に渡るプロジェクトとなることか
ら、企業経営に多大な影響を及ぼすビジネスへと変貌している。
16
● プロジェクト&プログラムマネジメント説明事例集
説明事例集本文 02.3.18 5:45 PM ページ 17
P2M 説明事例集
プログラムマネジメントの必要性
外部環境の変化は新たな技術を生み出すのとともに、企業経営においても変化を要求される。技術開発
プロジェクトは短期決戦へ、またゴミ処理施設建設プロジェクトは徐々に PFI(Private Finance
Initiative)方式に移行している。プロジェクトは長期化し、企業経営を根幹から揺さぶるような事業形
態に移行しているのだ。
行政側は事業全体のコスト削減と運営に絡むリスクをミニマムとする方式へ転換し、企業側はこの様な
変化に対して個々のプロジェクトの効率化と収益性の向上、リスクミニマムの経営手法が大きな課題とな
ってきた。複数のプロジェクトを管理して融合を図るとともに、個々のプロジェクトの取捨選択も重要な
経営判断となる。
ここにプログラムマネジメントの考え方が経営戦略上有効であり、導入されるに至っているのである。
図表 環境行政における企業経営と技術開発の位置づけ
環境規制強化
企 業
行政(自治体)
PFI(Private Finance Initiative)
事業
民 活
リスク分析
ゴミ処理施設の
更新プロジェクト
技術開発プロジェクト
プログラムマネジメントの実践
プロジェクト&プログラムマネジメント説明事例集 ●
17