日本ビリヤード界のプロリーグについて 商学部 4年 61072 鎌田祐生紀 (最終レポート 2001/01/25) 日本ビリヤード界のプロリーグについて 商学部 4年 61072 鎌田祐生紀 (最終レポート 2001/01/25) 1. はじめに-このテーマを選んだ理由と序論 私はビリヤードが好きだ。プレーヤーとしても、観客としても、である。競技と して興味をもちはじめいろいろな事がわかるにつれて、日本に置けるビリヤードプ ロリーグ界は不透明で体制が整っていない、まだ成長段階の物だということがわか ってきた(もちろん、他のスポーツのプロ界も同じように成長段階を経て発展して きた物だと思うが)。しかし、今、日本ビリヤード界はまさに変革を迎えようとし ている。1999 年、古い考えに凝り固まった伝統あるプロリーグ、JPBA(Japan Pro Billiards Association)から永田修治と井上淳介というトッププロが飛び出し、 JBC(Japan Billiards Council)という新しいプロリーグを作ったのだ。彼らは悪い 意味で日本的な体質の JPBA に不満を持ち(後述) 、日本にもアメリカの様な、プ ロが賞金で食っていけるプロリーグを作ろうという夢を持ちそのような行動に出 た(参考資料 1)。 JBC 設立から 2 年目。まだ 2 年しかたっていないのに、JBC には 100 人を越え るメンバーが居て、JPBA の母体である NBA を脅かし(後述) 、今年度は日本史上 初とも言える大きなイベントを企画する程になった(後述) 。 日本のスポーツ界もようやくスポーツ先進国である欧米を学び変革を遂げよう としている中で、今まさに革命が起こっているプロビリヤード界。こんなおもしろ いテーマは無いではないか。これがこのテーマを選んだ理由である。 しかしここで冷静に考えてみる。日本においてビリヤードとはどちらかというと マイナーなスポーツである。競技人口も他の野球などのスポーツに比べると遙かに 少ない。これだけマイナーなスポーツなのにも関わらず 2 つもリーグがあって良い のか。その意味は、2 つもリーグがあることによって、お金や労働力、人気の拡散 などの無駄は発生していないのか、という事だ。 今後日本プロビリヤード界はどうなっていくのか。どうなるべきなのか。また、 私個人の提案としてどうなって欲しいのか。2 つのリーグの関係と現状、プロとア マチュアの関係、今後この 2 つのリーグはどうなってゆくのか、どうなるとお互い 最も良くなるのか、などを中心に、今後のプロビリヤード界を論じてみようと思う。 2. それぞれのリーグの比較 JPBA JBC 1 歴史 協賛企業 会費 登録メンバー数 年間試合数 主なビッグタイトルの 優勝賞金 通常の試合の優 勝賞金 賞金の出所 1951 年発足(NBA) なし 年間 18 万円 約 230 人 ※(参考資料 2) 12∼3 回 ※(参考資料 4) 約 280 万円 ※ 1999 年設立 (株)コスモ、等 年間 2 万 4 千円 約 100 人 ※(参考資料 3) 10 回 ※(参考資料 5) 約 500 万 ※ 約 30 万 約 100 万 ※ ※ メンバーの会費、CS カードの会 スポンサーの資金 費、NBA 加盟店の年会費 メンバーの海外進出 NBA を通してのみ認められる 自由 の自由 ※データは 2000 年の物であり、今年変わる可能性はある 2-1 JPBA の歴史と簡単な組織図 JPBA には親企業のような、母体である NBA という組織がある。その前身は、大 正 15 年に発足した日本撞球協会を経て、昭和 26 年に設立された日本ビリヤード 協会である。昭和 44 年にはアジアで初めて東京で「世界スリークッション選手権 大会」を開催した。この後、国内のポケットビリヤード・ブームによって、NBA の 役割はさらに重要となり、併せて法人化への運動が始まる。その後、昭和 62 年に は「世界スリークッション・ワールドグランプリ」を東京で開催するなど内外へ のアピールを高め、ついに平成2年 10 月、文部省より社団法人の認可が日本ビリ ヤード協会に下された。同時に、三笠宮寛仁親王殿下を総裁に戴き、現在では国 内のポケット、キャロム、スヌーカーの各ビリヤード団体が全て加盟し、文字ど おり日本のビリヤード・スポーツの最高機関として活動を行なっている。 (参考資 料 6) 2 ※ JAPA=Japan Amateur Pocket billiards Association ※ それぞれの団体が全国に支部を持つ 2-2 NBA・JPBA 組織の概要 JPBA は日本では先に述べたように伝統あるリーグであり、国内の強豪選手を多数 抱えるリーグである。現在日本で強豪選手と言われるプレーヤーのほとんどがこの 組織に所属している。しかし JPBA が独立の組織なのではなく、あくまでも NBA の一部分でしか無い。NBA の持っているプロリーグが JPBA だ、という位置づけ なのである。 NBA は何かを生産しているわけでもなく、スポンサーも持たない。収入源は全て 「会費」である。会費とは、 ① JPBA に所属しているメンバー(プロ)の会費 ② CS カードの会費(後述) ③ NBA 加盟店の会費(後述) である。CS カードとは、NBA が主催するアマチュアの公式戦(JAPA)に参加す るために必要なカードである。また、NBA 加盟店とは、NBA に加盟し年会費 1 万 円を払っている球屋の事である。NBA 加盟店であることのメリットは、NBA が主 催する公式戦のスケジュールがあらかじめ送られてきたり、その試合にその球屋か らエントリーする場合、エントリーフィーが安くなる、等である。NBA ができた 当初は、NBA 加盟店にならないと球屋は経営ができなかったそうだ。 「ビリヤード を世に広める」という名目で NBA 加盟店はどんどん増えていった。現在、球屋が NBA 加盟店である必要は全くないが、昔の名残で、ほとんどの球屋が NBA 加盟店 である。 これらの会費によって組織を運営し、また会費から NBA が主催する公式戦の賞金 をまかなっている。 2-3 NBA の考えるプロ-アマの関係 ビリヤードを世に広めるために、アマチュアの試合も積極的に主催する。しかしア マチュアとは賞金で稼ぐべきではない。なぜならアマチュアで賞金を稼いで生計が 立てられるほどになってしまうと、誰もプロにならず、技術レベルがあがらないか らだ。よってアマチュアの試合の賞金上限は 30 万円とする。一方プロとは、アマ チュアより高いレベルの技術を持ち、その技術で稼ぐ人である。 2-4 NBA・JPBA の拘束規約 ・ NBA の主催する試合には、アマチュアの場合、CS カードを持っていなくては 3 ならない ・ NBA の主催するプロの試合には JPBA に所属しているメンバーしか出られな い ・ アマチュアがプロの試合に出ることは許されない ・ プロになるにはプロテストに合格しなくてはならない ・ JPBA に所属する選手が海外の試合に出る場合、NBA の許可が必要である。 またその際の交通費は支給されない ・ 2-5 メンバーが JBC の主催する試合に出た場合、メンバー資格は剥奪される JBC 組織の歴史と概要 ============JBC 設立趣意書 引用================ 我々は真にビリヤードを愛好するものとして、ここに日本ビリヤード機構 (The JAPAN BILLIARD COUNCIL、略称 JBC)を設立する。 本機構は、日本のビリヤードの発展に貢献することを第一義とし、もって本機構を構成 する会員の生活の向上及び会員相互の親睦を図ることを目的とする。 ビリヤードは、14 世紀の中世ヨーロッパで誕生し、むしろゴルフなどよりは古い歴史 を持つ格式あるスポーツである。しかしながら、現在我が国ではその地位は必ずしも高 いとはいえない。英国ではスヌーカーがほぼ国技並の扱いを受け、スポーツとして確立 している。 プロトーナメントでは大手企業の協賛などにより賞金総額が数千万円に上り、トップク ラスでは年収1億円を超す選手が出てきている。アメリカでも参加型スポーツとしてバ スケットに次いで第2位の地位を占めており、ゴルフ、ボーリングより盛んである。ま た、韓国では 4 万ケ所のビリヤード場があり、スポーツ、レジャーとして定着している。 振り返って我が国では一時のブームが一過性のものに終わり、ビリヤード場も 3000 ケ 所に減少している。 プロ競技に至っては1試合の優勝賞金が最高でも 200 万円にも満 たない金額で、あり得ない話であろうが全試合に優勝しても年間約 800 万円の賞金を 手にする事が出来るにすぎない。このような状況下にあり、現在賞金だけで生活をして いる真の意味でのツアープロは皆無といってよい。更に、賞金そのものも殆どが参加選 手のエントリーフィーから成り立っているという現状には言葉がない。 このような現状の責任は、過去 10 年にわたって何ら活性化に向けた施策を講じなかっ 4 た現連盟の執行部にある。会員から年会費として 18 万円(総額 3,400 万円)も徴収し、 全日本プロ選手権では広告協賛と称して 5 万円ないしは 10 万円をそれぞれエントリー 費の他に拠出させ、執行部としては何ら外部からの資金の導入の努力を行わず選手にだ け過度の負担を強いてきたわけである。このようなあり方ではビリヤードスポーツの将 来はないといっても過言ではない。我々はかかる現状を憂い、今こそ行動を起こす時期 だと考える。 本機構はプレーヤーとビリヤード事業者で構成され、相互理解と協力の下にビリヤード の育成と普及をはかり、その利益を相互に享受することを目指すものである。 年間 賞金総額がプロゴルフの1試合にも満たないような現状を打開するには、硬直した組織 を変革するよりも新たに新団体を設立し、自由な発想でスタートするべきだと判断した 次第である。 平成 11 年 4 月 志を一にするプロフェッショナルの賛同を切に希望する。 日本ビリヤード機構 設立委員会 ============JBC 設立趣意書 引用ここまで============ 先にも述べたように、JBC が設立されたのは 1999 年。永田修治と井上淳介という JPBA に所属していたトッププロが JPBA とは違う、 新しい組織として設立した。 JPBA の様に母体を持たず、独立した組織である。JPBA と決定的に違うのは、スポンサーを 持つという事である。メンバーの会費とスポンサーからの資金によって、運営資金・主 催する大会の賞金をまかなっている。 2-6 JBC の考えるプロ-アマの関係 プロとは賞金で生計を立てる人である。アマチュアはそんなに賞金を稼ぐべきで はない。なぜならアマチュアでも稼げてしまうと、プロになるアマチュアが減り、 プロリーグの発展につながらないからだ。よってアマチュアが試合に出た場合の 賞金最高額は 30 万円とする。 2-7 JBC の(非)拘束規約 ・ JBC の主催する試合にはプロ・アマ問わず誰でも出られる。JPBA に所属する プロでも出ることができる ・ メンバーが海外の試合に出るのは自由である 3. JBC の考える JPBA の欠点 5 ● 賞金が安い (2.の表を参照) ● 会費の使い道が不透明 ● 組織が硬直、メンバーの自由度が低い JBC の基本コンセプトとして、プロは賞金で生計を立てるべき、という事項がある。 そのためには JPBA の賞金はあまりにも低い。2.の表にあるように、最も賞金が高い試 合でも 280 万円だ。たとえばプロゴルフの賞金などと比べるとどんなに低いかがわか る。これは JPBA がスポンサーを持たず、賞金を全て諸々の会費や試合のエントリー フィーでまかなっているためである。しかもその会費の使い道が不透明なのだ。CS カ ードを持っているメンバーが 1 万人、登録メンバーが 230 人、CS カードは年会費 2000 円なので 2000 万円、230 人×18 万円=4140 万円、合計 6140 万は最低でも収入があ るはずである。その使い道が公開されていない。この金額の内、賞金になるのはわずか な金額である。これにおかしいと感じたのが関西のメンバー達である。井上淳介もその 一人であった。井上らは、多額の会費が NBA、JPBA 幹部の懐に消えているとにらみ、 幹部に帳簿の公開を迫ったが帳簿は公開されなかった。今でも帳簿は公開されていない。 また、メンバーの自由度が低い。海外の試合に出るために NBA の許可が必要というの はおかしい。そして許可がおりても、交通費も出ないのである。日本の選手を海外にア ピールするためにも、交通費や宿泊費ぐらい出ても良さそうな物である。さらに、JPBA に所属するメンバーが JBC の試合に出た場合、 その資格は剥奪される。 JBC 側は JPBA のメンバーが JBC の試合に出るのはいっこうにかまわないとしている。ここに JPBA が JBC をかたくなに拒む姿勢が現れている。また、JPBA の主催する試合には JPBA のメンバーしか出られないなど、組織が排他的である。 4. 欠点を克服した JBC の特徴 ● 賞金が高い ● 会費の使い道を公開 ● メンバーの自由度が高い “プロとは賞金で生計を立てるべき”というコンセプトのもと、多数のビリヤード 関連企業のスポンサーを持つ。そのスポンサーの資金とメンバーからの会費で公式戦 の賞金をまかなっているために、JPBA よりは遙かに賞金が高い。まだ組織が若いだ けに、スポンサーの数もそこまで多くなく、提供される資金も少ないだろうが、今後 どんどん資金が豊富になってゆく可能性は十分に秘めている。これは未確定情報なの だが、今年末に海外からも有名選手を招き、優勝賞金 3000 万円の試合が開催される そうである。この試合は北九州で行われ、市ぐるみで試合を応援するらしい。また、 JPBA を反面教師に、メンバーの会費・試合のエントリーフィー・スポンサーの資金 6 など、収入の全ての使い道を公開している。この帳簿はスポンサーにも提出される。 また、メンバーの自由度が高い。JBC の主催する試合には、プロ・アマ問わず誰でも 出場する事ができ、参加資格は特にない。もちろん JPBA に所属するプロでも出場す ることができる。JBC のメンバーが海外の試合に出るのも自由である。現在は交通費 は出ないが、今後ランキング上位数十名に限るが、地方での試合や海外のビッグタイ トルに出場する場合は交通費が支給される予定である。 5. リーグを統一すべきか 結論 : すべきではない(できない) 理由 1. JPBA 側が強固な態度で JBC を拒絶 ex. JPBA のメンバーは JBC の主催する試合に出ると資格剥奪 JPBA の試合にはメンバーしか出られない 理由 2. JPBA は統合すると帳簿を公開しなくてはならない 理由 3. プロリーグが一つになるとその分賞金も減り、賞金で生計を立てられる プロが減る 理由 3 に関して。もしプロリーグが統一されてしまったとしたら、現在両方のリーグ に分散しているトッププレーヤーがひとつのリーグに所属することになる。そうすると、 底辺に位置するプレーヤーは別として、中間層のプレーヤー、つまりトッププロにもし かしたら勝てるかもしれなくて、年間数回は入賞できる実力のあるプロが、トップが増 えることによって入賞して賞金を稼げる確率が減るのである。それよりはリーグが 2 つ あって、トッププレーヤーが分散していたほうが資金はプロ達に正しく分配されるので はないか。 6. 理想のプロリーグへのシナリオ プロリーグの統一が無理だとなると、どうすればよいか。私は、両リーグとも無くな ることは無いと思う。JPBA に昔から所属していて、JPBA に恩義を感じていたり愛着 があったりするトッププレーヤーが全員 JBC に移籍するとは考えにくい。また、トッ ププロが 1 つのリーグに固まってしまうと、いつもそのトッププロばかりが優勝してし まい資金が潤沢にプロに回らなくなってしまうので 2 つリーグがあるというのは良い ことだと思う。しかし、JPBA は JBC を見習い、スポンサーを持ち、帳簿を公開しな いことにはやっていけないと思う。そうなるためには、JBC 側が勢力を拡大し、NBA に無言の圧力をかけるほどにならないと NBA の強固な姿勢は崩せないであろう。JBC と JPBA が共存できるようになったら、野球で言うセリーグとパリーグの様に交流試 合を行えばプロリーグは今より尚いっそう活性化するのではないかと思う。 7 以下のプランにより JBC は人気向上を図る ↓ JPBA の弱体化 ↓ JPBA の強硬な態度を崩す ↓ JPBA 側に相互の交流ができるよう働きかける ↓ JPBA は JBC を受け入れ、交流試合なども行う ↓ プロリーグの活性化 以下に JBC が勢力を拡大するための企画を述べる。 6-1 海外から有名選手を招き人気の向上を図る 現在、一般の観客に人気のあるのは JPBA の方である。なぜなら、日本国内の 強豪選手のほとんどが所属しており、また海外から有名選手を招き試合を行っ たりしているからだ。つまり、試合に華があるのだ。その点現在の JBC は地味 である。せめて海外から有名選手を招き、高額賞金の試合を開催すれば人気の 向上が望めるのではないか。なお、先にも述べたように、このような試合が今 年度末に開催される予定である。 (永田修二のプライベートな場での発言より) 6-2 5・9(ゴーキュー、ゴック)選手権の開催 5・9 とは? 5・9 とは、ナインボールの変形の様なゲームである。ゴーキュー、ゴック、 ジャパン、大阪、等と呼ばれる。簡単にルールを説明する。ナインボールはと にかく 9 番を入れた人が勝ちで 1 対 1 のゲームであるのに対し、5・9 はその名 の通り 5 番と 9 番を入れた人に得点が入る。よって多人数でのプレイ(2∼8 人 ぐらいまで)が可能である。5 番→1 点、9 番→2 点という得点で、さらに入れ た穴がサイドであった場合は得点が倍になる。また、セーフティー(取りにく い配置、難しい球など穴に入れることをねらわないで、次の相手がプレイしに くい配置に撞く事)禁止であるというルールから、ナインボールなら狙わない ような球もとにかく入れることを狙い、また 5 番と 9 番をファールしないで入 れればどんどん自分に得点が入るので、チャンスがあれば 5 番と 9 番をキャノ 8 ン・コンビ・キスショットなど難しいショットで狙う。またナインボールと決 定的に違うところは、最後にテーブルに残った球が 9 番のみになり、その 9 番 をポケットした時に、手玉をヘッド側(ブレイクをする側)の 2 ポイント以内 に戻さなくてはいけないというルールがある。つまり、ただ 9 番を入れれば良 いのではなくて入れた後の手玉の動きも計算しなくてはならない。これを 2 出 し(ツーだし)と言う。この様なルールから必然的にプレイもダイナミックな 物になる。 このゲームは日本独自の物である。ある大阪の球屋がお客さんを待たせるより は多人数でプレイしてもらった方が店も儲かるという事で考え出したゲームと いう説がある。アマチュアの世界でもプロの世界でも、ナインボールと同じぐ らい普及しているゲームである。しかし公式戦は無い。 5・9 選手権の提案 ナインボールのプレイは堅い。 なぜなら 9 番を入れるのが目的であるために、 難しい配置になってしまったら、その球を入れることを狙わずに相手がその球 を入れられないようにするセーフティーをしてしまうからだ。それはそれで考 え方のプロセスなどはおもしろいのだが、ものすごく難しい球を入れるプロの テクニックを見られないのも事実である。一般人はプロだけで 5・9 をやってい る場面を見る機会などほとんどないし、5・9 のプレイの方が華やかであるので、 かなりの観客動員数を見込めるのではないかと思う。 今まで 5・9 の公式戦が無かったのは、 ルールの制定が難しいためだと思われる。 たとえばセーフティー禁止というルールがあっても、結果的にセーフティーの 様な配置になった場合、それが故意であるかどうか審判が判断するのは非常に 難しい。しかしプロリーグの順位とは無関係に、お祭り的に 5・9 選手権を開催 するのは可能ではないか。 開催方法詳細 「グループトーナメント方式」で行う(グループトーナメント方式とは私の造 語である)。ナインボールの試合はトーナメント方式であるが、5・9 の場合最低 でも 3 人でのプレイになるため、3 人のグループを作らなければならない。そし てそのグループで 20 マス(9 番を入れて 2 出しした段階で 1 マスとカウントす る)行い、最も得点の高かった人達でまたグループを作る(図 1 参照) 。そのよ うにしてベスト 5 を決定し、最後にその 5 人で 50 マスプレイし、得点に応じて 賞金が出る。 9 図1 7. グループトーナメント方式 Q&A 最終発表をした際のコメントカードの内容は本論にできるだけ取り入れた。しかし、 本論とは関係が無いと思われる質問、意見もあったので、そのコメントを取り上げ、 現状と私の意見を述べたいと思う。 Q1 JBC より JPBA の方が人数が多いのはなぜ? A1 JBC はまだ設立から 2 年しかたっていません。メンバーが少ないのは当然であ り、また 2 年しかたっていないのにこのメンバー数は多いと言っても良いのではない でしょうか。 Q2 JPBA に所属しているメリットは全くないように感じますが? A2 現段階では、日本のトップレベルの選手はほとんど JPBA に所属しているのが 現状です。自分を鍛えるためにも、強豪選手と対戦できる JPBA に所属するのはメリ ットと言えるのではないでしょうか。また、JBC はまだ発展途上であるため、経営が 破綻するなどの危険性もはらんでいます。安定性を重視して JPBA に所属している人 も居ます。また、JPBA は伝統あるリーグでそのブランド力は絶大です。昔から JPBA に所属している選手で JPBA の顔とも言える選手達は JBC に移るつもりは全くない ようです。 Q3 JPBA と JBC のレベルはどっちが高い? A3 現段階では JPBA の方がレベルは高いです。 Q4 プロ選手はどのように生活しているのでしょうか 10 A4 大抵の選手は賞金だけでは生活できません。球屋を経営したり、球屋でアルバイ トをしたり、レッスンプロとしてレッスン料を取ったりしているようです。 Q5 試合は TV 中継されているのでしょうか? A5 されています。民放での中継は見たことがありませんが、ケーブルテレビなど、 指向性の強いチャンネルでビリヤードの放送をやっています。 Q6 JPBA が帳簿を公開できない理由は? A6 これは正しい事実という証拠はありませんが、幹部が懐に入れているのではない かという噂です。やましいことが無ければ帳簿を公開しても良いような物なのに、公 開しろと迫られても公開できないのは、やはり公ではない所に資金が消えていくから ではないでしょうか。 Q7 賞金王と底辺の差は? A7 JPBA の場合、昨年ランキングトップだった奥村の賞金総額は推定 400 万円程 度だそうです。JBC の場合、1999 年度にランキングトップだった望月は 654 万円の 賞金を得ています。 (参考資料 7)両リーグとも底辺を見れば、全く賞金を得られなか ったプロというのはたくさん居ます。JBC の方は今後賞金総額が上がっていく可能性 が十分にあるでしょう。 8. 終わりに-このレポートを書くに当たっての調査方法について 最初に述べた様に、日本においてビリヤードというスポーツはまだまだマイナー であり、発展段階である。そしてその組織も曖昧で、公開されている資料も少なけれ ば、ビリヤード界について論じている本などほとんどない。ましてや、今年度以降の 動きなどはどこにも発表される物ではない。よって、このレポートを作成するにあた ってインターネットの資料も参照したが、ほとんどが JPBA もしくは JBC に所属す るプロ達の発言、彼らへのインタビュー、また、プロと交流の深い一流のアマチュア プレーヤーの発言、彼らへのインタビューが中心になった。要するに、フィールドワ ーク的に調査しこのレポートを作成したという事だ。そのため、参考資料が少ないの はお許し願いたい。そして、ほとんどの人が名前を出さないで欲しいとの事であった。 唯一名前を出せるのは一番お世話になった方、新堂高志プロ(JBC 所属)であり、深 い感謝の念を示すとともにここに名前を示したいと思う。 11 参考資料 1. 日本ビリヤード機構 設立趣意書 http://www.jbc-pool.com/about.html 2. JPBA ランキング(男子、女子) http://www.nba.or.jp/jpba/ranking/ 3. JBC メンバー表 http://www.jbc-pool.com/member-pro.html 4. JPBA トーナメントスケジュール http://www.nba.or.jp/jpba/jpba_schedule.html 5. JBC トーナメントスケジュール http://www.jbc-pool.com/tour-top.html 6. NBA http://www.nba.or.jp/nba/frame15962.html 7. JBC 獲得賞金ランキング http://www.jbc-pool.com/tour99-rankm.html 12
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