成熟した消費財市場における プレミアムカテゴリー創造の事例

Japan Marketing Academy
マーケティング・エクセレンスを求めて
成熟した消費財市場における
プレミアムカテゴリー創造の事例
シリーズ
●
第85回
〔花王 Asience〕
大沢 枝里子
●慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 博士課程
Asience 外観
出所:『日経ビジネス』2003 年 11 月 24 日号
マーケティングジャーナル Vol.30 No.2(2010)
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成熟した消費財市場におけるプレミアムカテゴリー創造の事例
①
名は日本リーバ株式会社。2005 年 6 月に社名
はじめに
変更されている)であった。もともと強力な
ブランドである Lux を保有していたユニリー
成長が鈍くなった消費財市場において企業
バは,2001 年に Dove ブランドのシャンプー
が新製品を投入する際のマーケティング・エ
とリンスを発売し,企業全体でのシェアをさ
クセレンスの一事例として,本論文では,イ
らに伸ばした(図表− 3 参照)。こうした状況
ンタビュー と公表記事を元に花王株式会社
を受けて,花王社内でシャンプー・リンスの
(以下,花王)のヘアケアブランドである
新製品開発のためのプロジェクトが発足した。
1)
Asience の成功要因を分析して行く。
③
花王における製品開発の歴史
②
Asience 開発の背景
Asience の開発に話を移す前に,花王の製
今を遡ること約 10 年前の 2001 年上半期,
品開発の歴史の要点に触れておきたい。
花王は国内のシャンプー・リンス市場におい
花王の歴史は,1887 年に創業された洋小間
て,企業シェアの低下に直面していた( 図
物を扱う長瀬商店に始まる。長瀬商店が創業
表− 2 参照)
。それまで長年企業シェアトップ
された 3 年後の 1890 年に高級化粧である花王
であった花王のシェアを奪っていたのは,急
石鹸が製品化され,これを機に製造業に力点
激な成長をしていたユニリーバ・ジャパン株
を置くようになり,1900 年に化粧水「二八水」
,
式会社(以下,ユニリーバ。2001 年当時の社
1928 年には業務用食用油脂「エコナ」,そし
■図表―― 2
シャンプーの企業別シェア
*クラシエホームプロダクツは 2006 年以降に調査対象外となっている
出所:『日経産業新聞』
「シェア攻防」1996 年∼ 2008 年に基づき筆者作成
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粳
■図表―― 3
2001 年シャンプーブランド別シェア
*制度品,訪問販売,業務用を除くブランド別シェアである
出所:富士経済研究所(2003)
『化粧品マーケティング要覧 2003』
て 1932 年に国内で初めてとされるシャンプー
性剤であるモノアルキルフォスフェイトを使
「花王シャンプー」を発売する。この花王シ
用した製品であった。1981 年発売の基礎化粧
ャンプーの発売によって,日本の消費者の間
品「ソフィーナ」ではセラミド類似物質であ
に「シャンプー」という言葉が根付いていっ
るスフィンゴリピッド E が配合され,1983 年
た。
の入浴剤「バブ」では炭酸ガスを錠剤の中に
戦後に入ると,粉末シャンプーである「花
閉じ込めるという技術が使用された。1987 年
王フェザーシャンプー」,日本初の家庭用合
の衣料用洗剤「アタック」の開発では,アル
成洗剤である「花王粉せんたく」,台所用洗
カリ性セルロース分解酵素を配合した。この
剤 「 ワ ン ダ フ ル K 」, 歯 磨 き 粉 「 ハ ロ ー 」,
酵素の開発によって,従来品と比較して使用
1960 年には現在の液体シャンプーの先駆けと
量は 1/4 と小型化されたコンパクト洗剤とい
なる「花王フェザーデラックス」を上市した。
う新たな製品カテゴリーが誕生した。1994 年
しかし,家庭用品メーカーとしての企業シェ
には,フローリング床用の掃除用品「クイッ
アでは,競合であるライオン株式会社に勝て
クルワイパー」が発売された。水流により繊
ない状況が続いた。花王の躍進は,1970 年代
維同士を絡ませて作るスパンレース不織布と,
に始まっていく。
補強材として格子状のポリピロピレン製ネッ
1979 年に発売した生理用ナプキン「ロリエ」
トを組み合わせた総合不織布が開発され,こ
では,当時世界で初めて吸水性高分子という
の製品に使用された。1999 年発売の「健康エ
技術を使用した。その後,1980 年に発売され
コナクッキングオイル」では,体内の脂肪の
た洗顔料「ビオレ」は,アルカリ性の洗顔料
吸収を抑制し,その燃焼を促進するジアシル
が主流だった中で,肌に刺激の少ない界面活
グリセロールを配合した。2003 年に発売され
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た「ヘルシア緑茶」では,緑茶に含まれる成
模は縮小傾向にあった。また,シャンプー・
分であるカテキンが体脂肪を減少させるとい
リンス市場は上位数社による寡占状態となっ
う研究結果がいかされた。1970 年代以降に発
ていた。
売されたそれぞれの製品に見るように,花王
ここで,視点をシャンプー・リンス市場か
は高い技術力を元にした製品開発を得意とす
ら髪についてのトレンドに移す。2001 年当時
る企業へと成長していったのである。
のトレンドの一つに,カラーリングがある。
1990 年代に芸能人やスポーツ選手を真似て髪
を明るく染める若者が増えたことをきっかけ
④
2001 年度にシャンプー・リンス事業
が置かれていた状況
に,2001 年から 3 年連続でヘアケア製品の中
で染毛剤がシャンプーの出荷高を抜いた( 図
表− 5 参照)2)。しかし,明るい髪があまりに
まず,日本国内のシャンプー・リンスの市
も一般的になり過ぎたために黒髪に戻す人々
場規模を確認したい。2001 年時点で国内のシ
も増え,染毛剤は 2002 年をピークとして出荷
ャンプー・リンス(トリートメントも含む)
額は減少傾向に転じていく。
は,約 1,825 億円の出荷高を持つ(図表− 4 参
次に,花王社内においてシャンプー・リン
照)。シャンプー市場は,1932 年に花王が現
ス事業が置かれていた状況に触れる。2001 年
在のシャンプーの先駆けとなる花王シャンプ
度の花王の事業別売上(連結)では,シャン
ーを発売して以来 2001 年時点で約 70 年が経
プー・リンス事業が含まれる家庭用製品事業
過し,成長の鈍い市場となっていた。その上,
(パーソナルケア,ハウスホールド,サニタ
安価な詰め替え製品の台頭も影響し,市場規
リー他の 3 セグメントが含まれる)が全体の
■図表―― 4
シャンプー・リンス・トリートメント国内出荷高
出所:『日経産業新聞』
「シェア攻防」1996 年∼ 2008 年に基づき筆者作成
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■図表―― 5
染毛料出荷金額の推移
出所:日本ヘアカラー工業会ウェブサイト
3)
売上高の約 72%を占めており(図表− 6 参照)
,
遅れていた。2001 年度時点の花王の海外売上
花王にとっての主力事業であることが分かる。
高比率は約 25%であり 4),競合他社と比較し
また,前述のように,花王が国内のシャン
て低い数字であった。そのため,新製品開発
プー市場における先駆者であることから,花
にあたっては,「海外での売上を強化できる
王社内でのシャンプー・リンス事業への思い
新製品を」という期待も強く存在した。
入れは強く,その事業でのシェア低下への危
2001 年当時,花王が持っていたシャンプ
機感は深刻なものであった。また,花王の海
ー・リンスブランドの主なものとして,1970
外進出は他の日本の家庭用品企業と比べると
年に発売されたファミリーユース向けの地肌
ケアブランドであるメリットと,1976 年に発
■図表―― 6
売された毛髪ケアブランドであるエッセンシ
2001 年度花王事業別売上高(連結)
ャルがある。メリットの最大の特色は,抗
菌・殺菌作用を持つミクロジンクピリチオン
成分を配合し,ふけ・かゆみを防ぐことであ
った。メリットは,男性と 10 代・ 40 代女性
を主に受け入れられていた。また,エッセン
シャルでは,髪の外層部分であるキューティ
クルをケアすることを競合製品に先駆けて提
唱した。エッセンシャルは,発売当初は若い
女性向けのブランドであったが,ブランドの
出所:花王有価証券報告書
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エイジングに伴い対象年齢も上昇しており,
⑤
花王が分析した成熟市場における
新規参入の余地
主に 40 代女性に支持されていた。
メリットとエッセンシャルは安定した売上
を上げていたが,その一方で,成功には至ら
なかったブランドも持っていた。花王は,
2001 年時点に,国内のシャンプー・リンス
1990 年代以降に 7 つのシャンプー・リンスブ
市場の出荷高が減少していたことは前述の通
ランドを廃止した。この 7 つのブランド以外
りである。しかし,花王は家計の支出を分析
に,1996 年に 20 ∼ 30 代の若い女性をターゲ
し,縮小傾向の市場に参入の余地を見出した 6)。
ットとして,クレンジングの機能をうたった
家計の支出を必需的支出(生活をしていく上
Lavenus が発売されているが,高い売上を上
で必要不可欠な支出)と選択的支出(必需的
げるブランドには育っていなかった。
支出以外の,消費者の収入や価値観等で支出
Lavenus が成功しなかった理由を,花王の調
の大きくことなる支出)に分けて捉え,選択
査部長(所属は 2006 年時点のもの)である宮
的支出は伸びていると判断したのである。こ
脇賢治氏はこう述べている 。「メリット,エ
れに前掲の万人型/個人型ブランドの区分け
ッセンシャルといったいわゆる万人型(大規
を当てはめると,選択的支出としての意味合
模に消費者のニーズを聞き,そのニーズにあ
いの強い,個人型ブランドならば成功の見込
った商品を作り,大量に生産し,マス宣伝を
があると仮定したのだ。万人型ブランドの購
打って販売をしていくやり方だと宮脇氏は説
入理由が「品質がいいから」,「値段が手頃だ
明する)のシャンプーは強かったのですが,
から」,「使い慣れているから」であるのに対
個人型(ニーズが大きく括れない,機能だけ
して,個人型ブランドは「自分のものだ」
5)
を追求しない商品だと宮脇氏は説明する)の
「自分に合っている」という購入理由であっ
商品が当社にはなかった。そこへ,Lux,ヴ
たという。消費者に新製品を「自分のものだ」
ィダルサスーンといったブランドが参入して
「自分に合っている」と捉えてもらうことが
きて,自分達のシェアが落ちていく。そこで
出来たならば,成熟市場でも成功の可能性が
96 年に,Lavenus というブランドを発売しま
あると見たのである。では,この個人型ブラ
した。これは,個人型のブランドとしてつく
ンドを購買していたのはどういった消費者だ
って,一時期はうまくいきました。しかし,
ったのか。それは,競合である Lux やヴィダ
育成の仕方がイマイチよくわからない。個人
ルサスーンなどを購買していた 20 ∼ 30 代女
型の商品としてつくったはずなんですが,い
性であり,花王は,この層に焦点を絞った新
つしか万人型商品のマーケティングをやって
製品開発を展開していくのである。このター
しまいました。」
ゲット設定について別な観点からも説明を加
えよう。花王のビューティーケア事業ユニッ
トの坂田美穂子氏(所属は 2009 年 5 月時点の
もの)によると,花王のシャンプー・リンス
に関する部署では「自社が保持する全てのシ
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ャンプー・リンスブランドそれぞれの力を総
う。プロジェクトメンバーたちは,花王が先
合することによって企業シェアの最大化を図
駆けとしての自負を持つシャンプー・リンス
る」という意識が強く根づいているという。
市場における企業シェアの改善を掲げ,ユニ
つまり,新製品開発では,既存ブランド(メ
リーバの Lux,Dove,Mod’s Hair,P&G ジ
リットとエッセンシャル)ではカバーしきれ
ャパン株式会社(以下,P&G)の PANTENE,
ていなかった 20 ∼ 30 代女性に的を絞り,既
ヴィダルサスーン,株式会社資生堂(以下,
存ブランドとのカニバリゼーションを避けな
資生堂)の MA CHERIE,株式会社カネボウ
がら,既存ブランドと新製品の売上を足し合
化粧品(以下,カネボウ化粧品。2001 年当時
わせることによって企業シェアの改善という
の社名はカネボウ株式会社。2004 年 5 月にカ
課題に向きあっていったのだと考えられる。
ネボウ株式会社より分離・独立,株式会社カ
ネボウ化粧品が設立されている)の SALA と
いったブランドを主な競合と位置付け 7),新
⑥
Asience の誕生:
訴求ポイントと適用された技術
製品開発に着手した。
プロジェクトメンバーたちは,それまで花
王が上市して成功に至らなかった製品は,訴
Asience という新製品の誕生について述べ
求ポイントにおいて他社との差別化ができて
る前に,新製品開発プロジェクトメンバーが
いなかったと分析し,製品の訴求ポイントの
分析したそれまでの花王のシャンプー・リン
設定に時間を掛けた。深澤氏は,「市場に出
スブランドに欠けていた点についてさらに説
ているシャンプーの 80%はダメージケアを狙
明を加える。花王で新製品開発プロジェクト
ったものだが,訴え方やターゲットがそれぞ
の中心となったヘアケア事業部のブランドマ
れ異なっている」と述べる。そのため,単に
ネージャ(所属は 2003 年時点のもの)の深澤
ダメージケアを訴求するのではなく,2001 年
勝義氏らは,それまでの自社の製品開発は機
時点での韓国・中国映画の流行や,髪を明る
能的価値を前面に出したものであり,情緒的
く染める人が多くなったことを受けて徐々に
価値を兼ね備えていないと捉えていた。情緒
始まっていた消費者の黒髪への回帰,欧米で
的価値とは,ブランドが独自の世界観を持ち,
の東洋人の活躍等を背景に,アジア最大の家
それを消費者の感性に訴えかけることによっ
庭用品メーカーである花王が女性にとってど
て生まれる価値だと考えた深澤氏は,「なぜ
んな憧れを訴えれば消費者に納得してもらえ
今までの花王のブランドは、20 ∼ 30 代の女
るかを議論した結果,最終的に,約 200 案の
性たちに愛されなかったのだろう?」と繰り
中から「アジアン・ビューティ」という訴求
返し問い,新製品では優れた機能的価値を保
ポイントが採用された。これはまた,花王の
有することを前提としつつ,情緒的価値の観
海外での売上強化につなげるために開発当初
点から,現代女性の共感を得られ,彼女たち
から新製品のアジア展開を考え,日本のみで
から愛着を持たれるような「憧れの女性像」
受け入れられる訴求ポイントではなく,アジ
を具現化することが重要だと考えていたとい
ア全体で通用するであろうものを採用したい
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という意気込みの現れでもあった。
も跡がつかないほどの洗い上がり」を実現す
新製品開発に際して繰り返し行なった消費
るような製品を開発したいと考えていた。メ
者調査においても,「アジアン・ビューティ」
ンバーから相談を受けたヘアケア研究所の研
という訴求ポイントを提示すると,調査対象
究員は,「東洋を想起させ,かつ,髪によい
者から「今まで聞いたことがなく,新鮮」と
成分を配合した製品を作りたい」と,花王の
の好反応を得たという。
各研究所に相談を持ちかけたという。その結
アジアン・ビューティという訴求ポイント
果,社内の生物化学研究所が持つ,ヘルシア
は,この後,新製品の様々な特徴を支える基
緑茶(2003 年に発売されることになる)の開
軸となっていく。訴求ポイントが設定される
発過程で得たデータの中から,朝鮮ニンジン
と,プロジェクトメンバー達は社内の研究所
や大豆プロテインなどが配合される成分の候
に技術のシーズを求めた。彼らは,中華圏の
補となった。これらの植物成分が持つアジア
女性たちが日常生活の中で実践する東洋美容
的なイメージに着目したためと,朝鮮ニンジ
にヒントを得て,これを製品に反映させたい
ンは髪の水分保持に,大豆プロテインはタン
と考えたという。東洋人の黒髪は,欧米人の
パク質を補う効果があると判明したためだ。
髪とは異なる。花王が行った研究によると,
また,ヘアケア製品や洗剤の原料を開発する
東洋人の髪の太さの平均は約 76 ミクロン,欧
素材開発研究所にも技術協力を求め,ヘアケ
米人の髪の太さの平均は約 52 ミクロンであり,
ア研究所と素材研究所とが共同で衣料用柔軟
東洋人の髪は西洋人の髪の約 1.5 倍の太さが
剤に使用された活性剤をトリートメントに応
あり,また,形状も大きく異なることが分か
用する研究を始めた。この活性剤には静電気
。
った(図表− 7 参照)
を防止し,物質を柔らかくする働きがあり,
プロジェクトメンバー達は,東洋人の髪本
これをトリートメントに導入することで「結
来のハリやしなやかさを引き出し,「結って
っても跡がつかないほどの洗い上がり」が実
■図表―― 7
東洋人と欧米人の髪の違い
出所:花王 Web サイト
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現できると考えたためである。
⑧
Asience の誕生:価格
最終的に新製品に配合された成分は,大豆
や真珠由来のプロテイン,コメや朝鮮人参の
エキスであり,これらは「東洋美容エッセン
Asience のドラッグストアなどでの店頭価
ス配合」と銘打たれた。また,花王独自の技
格は,220 ml のシャンプーとコンディショナ
術として,「洗いながら髪に栄養を浸透させ
ーがそれぞれ 350 ∼ 400 円,550ml が約 800
る技術」が適用されたが,新製品では「東洋
円程度であった 8)。これは,競合であった
美容エッセンス配合」という表現に力点が置
Lux と比較して約 1.2 倍高い価格であった。
かれたコミュニケーションがなされていく。
深澤氏によると,この価格設定には主に二つ
の背景があるという。一つには,消費者調査
⑦
Asience の誕生:
名称とパッケージ,香り
での「今までの日本のシャンプーには安っぽ
いイメージがある」という答えに注目し,高
価格=高品質という知覚を生み出すことを狙
ったこと,そしてもう一つは,強力な競合か
新製品の名称は,Asience と定められた。
らシェアを奪える新製品を上市するための投
これは,Asia と Essence,Science の複合語
資費用を回収するには,製品を高価格とする
である。Asience のボトルは,東洋的な色使
必要があったことである。
いを反映した金色に赤の文字というパッケー
ジであった。中央のモチーフはアジアンビュ
⑨
Asience の誕生:
コミュニケーション戦略
ーティの内面の力強さを示し,縦書きの英語
ロゴは東洋らしさと現代感を融合させ,アジ
アンビューティの凛とした佇まいを表現した
という。容器も,蓮の花が咲くように,茎が
Asience の発売にあたって,花王はそれま
細くすっとたち,上方向で広がるイメージで
でのコミュニケーションとは異なる戦略を採
作られた。さらに,Asience は,花王の月の
用した。それは,消費者を,1)新製品を早
マークをパッケージから外した初めての家庭
期に受け入れる可能性の高い情報キーパーソ
用品における製品でもある。これは,ターゲ
ン,2)フォロワー,3)サブターゲットと
ットとする 20 ∼ 30 代女性に対して Asience
セグメント化し,それぞれのターゲットに対
が高級なイメージを一貫して訴求するための
して異なるコミュニケーション手段を取った
試みである。また,パッケージでも「東洋美
ことである。情報キーパーソンには TV,雑
容エッセンス配合」が明示されている。
誌,PR,サンプル,ラジオ,web,イベント
Asience の香りには,花果実の香りが採用さ
を通じて常に「彼女たちだけに向けられた」
れた。
先行情報を与え,口コミの発信源となっても
らうことを意図した。Asience が発信するコ
ミュニケーションは,このターゲットが受け
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入れられるものにする,という共通認識も社
を行った他,2004 年秋に,発売一周年を記念
内にて出来上がっていた。また,フォロワー
して横浜みなとみらいのホテルに Asience の
に対しては,TV,サンプル,イベント,ラ
CM を映す Max Illusion Night を行った。そ
ジオ,web,情報キーパーソンからの口コミ
の後もバレエに協賛するなど,2 年に一度は
を通してコミュニケーションが図られること
イベントを企画することを試みている。
を狙った。サブターゲットには,TV,店頭
でのコミュニケーションに加え,(サブター
濳
Asience の誕生:
チャネル戦略における系列販売会社の存在
ゲット自身の)娘からの口コミを通して情報
が伝わることを狙った。サブターゲットに対
しては,直接的なコミュニケーションは行わ
ないにしても,店頭で製品成分が天然である
花王のマーケティングに特徴的な点の一つ
ことを伝え,安心感や信頼感を持ってもらう
として,販売会社としての花王カスタマーマ
ことが意図された。
ーケティング株式会社(以下,花王カスタマ
すべてのターゲットを対象とした TVCM
ーマーケティング)の存在がある。花王カス
は,「世界が嫉妬する髪へ」というキャッチ
タマーマーケティングは,花王製品のみを取
フレーズのもと,中国人女優チャン・ツィイ
り扱う販売会社である。Asience 発売時の
ーを起用し,ランウェイを歩くチャンの黒髪
2003 年当時は花王の家庭品を専門に扱う販売
に西洋人モデルが羨望のまなざしを向けると
会社であったが,2007 年に花王化粧品販売株
いう構成であった。
式会社と合併して現在の社名に変更されてい
Asience は 2003 年 10 月に発売されたが,
る。一般消費財メーカーにおいて,こうした
これに先立ち,販売促進のイベントも行われ
販売会社までの垂直統合を行っている企業は
た。2003 年 9 月と 10 月に東京の銀座と六本
少ない。花王カスタマーマーケティングの堀
木で,プロモーションビデオを放映しながら
康人氏は,トータルサプライチェーンを築く
Asience がターゲットとした 20 ∼ 30 代女性
ことで,コミュニケーションをすべて社内で
に数百万個の試供品を手渡しするイベントで
行うことが出来るのがグループとしての花王
あった。そのイベントでは,髪質をその場で
の強みだと述べる。
診断できる機械も設置し,髪を診断,分析し,
花王は,花王カスタマーマーケティングを
対処法を説明した。この試供品の提供は花王
通じて,小売店との関係を強化し,小売店か
のヘアケア部門では過去最大規模であった。
ら製品へのフィードバックも得ている。花王
また,2003 年 8 月 26 日より Club Asience
カスタマーマーケティングが小売店への提案
という会員サイトを設け,ブランドについて
力を高めるために開発した小売店支援のツー
の情報やイベント,プレゼントについての情
ルは 4 つある。1)POS 情報の蓄積のための
報などを提供した。大きなイベントとしては,
Ez-fact,2)棚割作成支援のための Cockpit
2004 年春に,高い美的感覚で知られるホテル
XP,3)商圏分析のための AIS,4)店頭状況
CLASKA において製品体験ができるイベント
を社内外で共有するための CEX である。花
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王カスタマーマーケティングの宝田祐嗣氏は,
場において,約 7%のトップシェアを取るほ
これらのツールの強みをこう説明する。「こ
どの成功を収めた 9)。社長の尾崎元規氏は,
れらのツールを使用して,小売店となぜここ
Asience が成功した理由をこう述べる 10)。「強
の位置にその商品があるのか,そのカテゴリ
いブランドをつくるためには,機能とともに,
ーや機能を説明し,小売店のバイヤーに納得
「使ってどんな気持ちになるか」という感覚
してもらうような質の高い棚割り等の提案を
やイメージ,つまり「情緒性」が重要です。
行っている。他社でもこうしたツールはある
世の中では,機能が重視される時代と,情緒
とは思うが,花王グループの強みは,全社で
性が重視される時代が繰り返しています。今
ネットワーク化されていて,ある地域の情報
は情緒性が重視される時代です。もちろん情
にすぐに全国どこからでもアクセスできるこ
緒性は,しっかりとした機能があって初めて
とだ」。また,堀氏は,同社のもう一つの大
成り立つものです。しかも,機能と情緒性の
きな強みとして店頭実現機能を挙げる。店頭
バランスがどの程度だと最適かということは,
実現機能とは,小売店頭での効果的な商品陳
調査データを見ても分からない。長年の積み
列を指す。その際に,花王カスタマーマーケ
重ねで得た自分の感覚で判断するしかないん
ティングの子会社である花王マーチャンダイ
です。シャンプー,リンス,トリートメント
ジングサービス株式会社が店頭実現機能を担
の「Asience」は,傷んだ髪をケアするため
い,全国で約 900 名のマーチャンダイザーの
に,10 年かかって蓄積した東洋美容エッセン
動員が出来,5 日で約 6000 店舗における展開
スの技術を盛り込んでいます。しかし,この
が可能だとする。競合他社では,こうした小
技術を訴えただけではヒットしなかったでし
売店での商品陳列を卸やサードパーティに依
ょう。技術や機能に加えて,女性が Asience
頼することが多く,花王カスタマーマーケテ
を使って,どういう気持ちになるのかを考え
ィングには迅速に店頭での商品陳列が出来る
た。ここが大切なのです。」
という強みがある。
2003 年の Asience の発売時もこうして培っ
澂
Asience 開発過程での衝突
てきた強みが生かされ,広告の重点的な投入
に合わせて,全国の小売店において製品が消
費者の目を引く位置に陳列された。
Asience の上市は成功したものの,そこに
至るまでには社内で衝突も生じたようだ。例
潭
花王社長による Asience の成功理由
分析
を挙げると,それまでの花王の製品は高い技
術力を前面に出していたことから,Asience
が洗いながら髪に栄養分を届ける技術を前面
に打ち出す代わりに「東洋美容エッセンス配
Asience は,2003 年 10 月の発売から 1 年間
合」を強調したことについて,「単なるイメ
で,約 100 億円の売り上げを達成し,シェア
ージに過ぎないのではないか」という批判も
3%を達成すれば成功と言われるシャンプー市
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成熟した消費財市場におけるプレミアムカテゴリー創造の事例
あったという。また,Lux の約 1.2 倍という
「1.2 倍高い価格」という二点を特徴とする,
高価格設定では,今までの花王が得意として
東洋人の髪質に合わせたプレミアムカテゴリ
きた売り方で売れないのではないかと疑問を
ーを形成した。Asience の成功が影響し,こ
投げかけられたこともある。こうした声に対
のカテゴリーにも競合ブランドが出現した。
して深澤氏が繰り返し伝えたのは,「今まで
競合ブランドの一つとして,2006 年 3 月に資
のやり方を大きく変えないと,上手くいかな
生堂によって新シャンプー・リンスブランド
かったシャンプー・リンスブランドと同じ結
として TSUBAKI が販売された。「日本の女
果になってしまう」という危機感であったと
性は美しい」というキャッチコピーと,日本
いう。深澤氏は,この危機感を社内で共有出
において昔から美髪成分として知られる椿オ
来たことが,Asience の成功につながったと
イルが配合されていることを特徴としたシャ
振り返った。
ンプー・リンスブランドであり,発売初年に
約 7%のシェアを取るヒット商品となった(図
表− 8 参照)
。
潼
プレミアムカテゴリーにおける
競合の出現
また,2006 年 9 月には,日本で長く使用さ
れている美髪成分(黒米,ヒオウギ,クルミ,
ツバキなど)を配合したシャンプー・リンス
Asience は,「東洋人の髪質を研究し,東洋
ブランドとして,クラシエホームプロダクツ
古来の美髪成分を使用した製品」という新し
株式会社がいち髪を発売し,発売初年に約
い訴求と,強力な競合であった Lux よりも
。
2%のシェアを取った(図表− 8 参照)
■図表―― 8
2006 年シャンプーブランド別シェア
*制度品,訪問販売,業務用を除くブランド別シェアである
出所:富士経済研究所(2007)『化粧品マーケティング要覧 2007』
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マーケティングジャーナル Vol.30 No.2(2010)
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★ マーケティング・エクセレンスを求めて
粳
こうした競争を受けて,シャンプー市場に
各国での Asience のマーケティング戦略も興
おける花王の企業シェアは 2005 年の 24.2 %か
味深いのだが,本論では国内市場における成
ら 2006 年には 24.0 %となった(図表− 2 参照)。
功要因の分析に主眼を置くため,海外展開の
花王は競合の参入に対応して 2006 年以降に美
詳細には触れずにおく。
髪メイクホイップ(2008 年 4 月生産終了),
美髪オイルスプレー,美髪オイルなどのアウ
澎
Asience のマーケティング・エクセ
レンス分析
トバス製品(風呂場の外で使うヘアケア製品)
へのブランド拡張を図る。また,2007 年にそ
れまでブランドの高級・高品質なイメージを
損ないかねないとして避けてきた詰替パック
ここまでは花王内部における Asience の開
の販売を開始し,2009 年に花王は従来の
発に焦点を当てて論を進めてきた。本論のま
Asience を改良したことに加えて,新タイプ
とめとして,Asience の導入期における成功
の製品を発売した。新タイプの製品は,従来
要因について花王の戦略を整理すると共に外
製品よりも軽い質感とみずみずしい指通りを
部環境や消費者行動も含めて分析したい。
ネイチャー・スムースで
Asience は,それまでのシャンプー・リン
ある。花王は今までバリアント(同ブランド
ス市場になかった「東洋人の髪質に合わせた
で異なる種類の製品を出すこと)の発売を避
プレミアムカテゴリー」を作った。後に見る
けてきたが,TSUBAKI の登場に加えて,消
ように,この属性が消費者に受け入れられた
費者の「選択できるのが当たり前」という意
ことが Asience の成功につながる。まず,新
識の変化に合わせ,ネイチャースムースタイ
カテゴリーを作ることにつながった花王のマ
プの発売を決定したのである。
ーケティング・エクセレンスを 5 点挙げたい。
うたった Asience
1.
潘
Asience の海外展開
王が自ら先導してきたという自負のある
シャンプー・リンス市場での企業シェア
低下を受けて発足した新製品開発プロジ
「花王の海外での売上を強化できる新製品
ェクトでは,
「企業シェアの改善」という
を」という期待も受けて開発された Asience
目標が明確にあった。そのため,花王の
は,2005 年 11 月には台湾と香港,2006 年に
シェアをおびやかすほどの急成長をして
はシンガポール,2008 年には上海とタイにて
いた企業(ユニリーバ)と,その企業が
発売が開始されている。花王によると,台湾,
持つ強力なブランド(Lux)が主な競合企
香港,シンガポールでは,Asience はシェア
業/競合ブランドとして設定され,そこ
で上位に食い込み健闘しているということで
からシェアを奪うために花王は何をすれ
ある。2001 年度に約 25%だった花王の海外売
ばいいかという思考が生まれ易くなった。
上高比率は,2005 年度に約 31%,2006 年度に
約 29%,2008 年度に約 30%となっている 11)。
● JAPAN MARKETING JOURNAL 118
マーケティングジャーナル Vol.30 No.2(2010)
新製品開発における目標が明確だった。花
2.
今までの花王のシャンプー・リンスが成
功しなかった要因を分析した。それに基
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成熟した消費財市場におけるプレミアムカテゴリー創造の事例
3.
づき,競合ブランドに対して国内最大の
黒い髪の人たちが増えたり,あるいは自
家庭用品メーカーである花王が説得力を
らも黒髪に戻したりなどして消費者の内
持って出せる新製品のコンセプトを熟考
部で黒髪への評価が高まっていたことが
した。
推測できる。Asience が一貫して訴求し
価格の高さに見合う技術が採用された。
た「アジアン・ビューティー:東洋人の
花王が Asience に使用した栄養分を洗い
黒髪を研究した製品」という特徴は,黒
ながら髪に浸透させる技術は,消費者を
髪を評価する消費者のニーズと一致する
満足させる水準であった。また,この技
がゆえに他の競合製品の特徴よりも容易
術がシャンプーに応用されたのは,開発
に受け入れられたと推測できる。
者たちが社内他部署と積極的に密なコミ
4.
5.
2.
花王が狙った高価格=高品質という印象
ュニケーションを取ったがゆえだという
付けについても考察したい。消費者が価
点もエクセレンスだと捉えられる。
格の高さによって製品の品質も高いと推
東洋人の髪質を研究し,東洋人の髪質に
測するのは,消費者の製品判断力が低い
合わせた「アジアン・ビューティ」とい
場合である。一般的に,シャンプー・リ
う訴求ポイントを,新製品の様々な特徴
ンスという財についての消費者の製品判
に織り込んだ。例えば名称,黒髪を美し
断力は高い。しかし,Asience の購買に
く見せるための成分,香り,パッケージ,
おいては,一般的なシャンプー・リンス
CM など,新製品のどこをとっても「ア
についての情報処理と異なり,消費者の
ジアン・ビューティ」が消費者に伝わる
製品判断力が低くなり,高価格=高品質
ような工夫がなされた。
という知覚が持たれたと分析する。
花王カスタマー・マーケティングの存在
Asience のケースで消費者の製品判断力
によって,市場導入時に小売店舗におい
が低くなった理由を説明する。それは,
て CM と連動した陳列が全国でなされた。
Asience が行った「東洋人の髪質を研究
し,東洋人の髪質に合わせた,黒髪を美
次に,消費者が Asience の特徴をどのよう
しく見せる製品」という訴求が,消費者
に情報処理したのかを 2 点に分けて説明したい。
にとってそれまでになかった新しい観点
1.
Asience が持った特徴の中で,「東洋人の
での訴求であり,「黒髪を美しく見せる
髪質を研究し,東洋人の髪質に合わせた
製品」がどのようなものであるのかにつ
製品」という特徴が消費者によって注目
いて,消費者の判断力が十分に育成され
された理由は何だろうか。目を向けたい
ていない状態だったため,高価格=高品
のは,Asience が発売された当時に始ま
質という品質バロメーター機能が働いた
っていた黒髪回帰という環境要因である。
のだと推測する。
Asience の発売時期に黒髪回帰が始まっ
ていたことにより,Asience がターゲッ
成長が鈍くなった消費財市場においても,
トとした 20 ∼ 30 代女性消費者の周囲に
Asience の開発では,競合を明らかにし,失
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★ マーケティング・エクセレンスを求めて
粳
敗を振り返り,企業内部の資源を生かした結
果,花王が開発当初から狙った消費者に「自
分に合っている」と評価される新しいカテゴ
リーが作られ,市場が進化することにつなが
った。成熟市場においても果敢に売れる商品
を作っていった Asience 開発者たちの姿勢に
敬意を表したい。
注
1)Asience の開発については,花王株式会社ファブリ
ック&ホームケア事業ユニット ファブリックケ
ア事業グループの深澤勝義氏(2009 年 12 月時点の
ご所属),同社ビューティーケア事業ユニットの坂
田美穂子氏(2009 年 5 月時点のご所属)から情報
をご提供いただいた。また,花王カスタマーマー
ケティング株式会社については,同社経営企画部
門の堀康人氏,同社流通開発部の宝田祐嗣氏(両
氏ともに 2009 年 11 月時点のご所属)から情報を
ご提供いただいた。各氏の温かいご協力に厚く御
礼を申し上げる。
2)『日本経済新聞』2009 年 10 月 4 日号 p.9 に基づく。
3)花王有価証券報告書に基づく。
4)花王有価証券報告書に基づく。数値は各地域ごとの
セグメント間消去前の売上高(連結)を使用した。
5)石井(2006)p.41 に基づく。
6)石井(2006)p.41 に基づく。
7)花王社内資料(本稿非掲載)に基づく。
8)『日経ビジネス』2003 年 11 月 24 日号 p.24 に基づく。
9)『日経ビジネス』2004 年 12 月 13 日号 p.38 に基づく。
10)日経 BP ネット特別インタビュー 2005 年 8 月 3 日
に基づく。
11)花王有価証券報告書に基づく。数値は各地域ごとの
セグメント間消去前の売上高(連結)を使用した。
イヤモンド』1999 年 11 月 6 日号 ダイヤモンド
社,p.48
杉田善弘,上田隆穂,守口剛(2005)『プライシン
グ・サイエンス』同文舘出版
日経ビジネス(2003)「花王 7 年ぶりの新シャンプー
に「月のマーク」なし 高級感打ち出し,外資追
撃」
『日経ビジネス』 2003 年 11 月 24 日号,p.24
日経ビジネス(2004)「花王 “商談”に走る研究員」
『日経ビジネス』 2004 年 12 月 13 日号,pp.38-40
日経ビジネス(2007)「巻き返しの研究 花王「消費
者目線で「常識」返上」『日経ビジネス』 2007
年 1 月 8 日号,pp.65-69
日経ビジネス(2009)「花王 商機は逆風下にあり」
『日経ビジネス』 2009 年 1 月 5 日号,pp.50-54
日経 BP ネット特別インタビュー「花王(2) 強いブラ
ンドは情緒性が作る」2005 年 8 月 3 日<
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/person/inte
rview/050803_kao2/>
『日経産業新聞』「点検 シェア攻防 シャンプー・リ
ンス」1994 年∼ 2008 年
『日経流通新聞』1988 年 7 月 5 日,p.5
『日経流通新聞』2003 年 9 月 17 日,p.14
日本ヘアカラー工業会ウェブサイト
< http://www.jhcia.org/jhcia/data/index.html >
富士経済研究所(2003)『化粧品マーケティング要覧
2003』富士経済研究所
富士経済研究所(2007)『化粧品マーケティング要覧
2007』富士経済研究所
プレジデント(2007)
「高級シャンプー戦争!女の「美
欲」を支配するのはどこか?」『プレジデント』
2007 年 10 月 29 日号 プレジデント社,pp.124-129
山田泰造(1994)『ドキュメント花王の製販同盟 : 驚異
の流通浸透力の実体』ダイヤモンド社
山田泰造(2001)『花王流通コラボレーション戦略 : 高収
益をあげ続けるビジネスモデル』ダイヤモンド社
参考文献
石井淳蔵(2006)「個人愛着型ブランド「アジエンス」
にみるもう 1 つの花王スタイル」『マーケティン
グ・ジャーナル』 Vol.25,No.4,pp.39-43
稲川義則(2006)「アジエンスを支える容器包装設計」
『包装技術』 平成 18 年 1 月号,pp.57-60
花王ウェブサイト< http://www.kao.com/jp/>
斎藤正治(2001)『花王 強さの原点は販売会社にあり』
プレジデント社
週刊ダイヤモンド(1999)「シャンプー上位ブランド
の顔ぶれ不動 「継続」が長寿の秘訣」『週刊ダ
● JAPAN MARKETING JOURNAL 118
マーケティングジャーナル Vol.30 No.2(2010)
大沢 枝里子(おおさわ えりこ)
1998 年筑波大学卒業後,教育サービス企業に勤務。
2005 年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程
修了後,人事コンサルティング企業に勤務。現在,
慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士課程に在学
中。専攻はマーケティング論,消費者行動論。
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http://www.j-mac.or.jp