配布資料

“Q: Skills for Success”を用いた授業実践と連携的英語教育
宮城県石巻高等学校 教諭
Ⅰ
はじめに
武田 誠
<外国語科の目標>
外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成
を図り,情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養う。
<高等学校学習指導要領>
「文法力や語彙力を高めて試験に取り組む」→「英語を用いたコミュニケーション能力を養う」
<覚える>
<覚えたことを使って考える・表現する>
Ⅱ
石巻高校の取り組み
2011 年 「先進的英語教育充実支援事業」の指定
2012 年 CAN-DO リストの作成
2013 年 英語科全教諭が「英語による授業」を実践
2015 年 3学年において,“Q: Skills for Success”をメインテキストに採用
2016 年 全学年において,オックスフォード大学出版局のテキストを使用
Ⅲ
“Q: Skills for Success”を使用した経緯
1.「コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ」と「コミュニケーション英語Ⅲ」の教科書
↓
↓
① 日本語のない紙面
① 新出語句の増加
② 4技能のバランス
② 4技能のバランス
③ 生徒の興味・関心
④ 生徒のコミュニカティブな活動
<直面した問題点>
①
外国語科の目標に合っているか?
②
生徒の思考力・判断力・表現力を育成しているか?
③
生徒は授業を楽しんでいるか?
2.
“Q: Skills for Success”を採用してからの変化
①
日本語に頼らない授業実践 → 英語だけで理解し共感し表現できることで、
生徒は「不安」から「喜び」
「楽しさ」
「自信」を実感
②
トピックの面白さ →
③
Input よりも Output がメイン → 外国語科の目標と一致
教科書で扱う内容と実生活・自分の考えとのリンク
④ Critical thinking の育成 → 様々な視点から物事を考えたり、意見を主張したり、
違った考えを認め合う態度の育成
⑤
スキルベース型の展開 → やるべきことが明確で、生徒は“CAN-DO”を確認
⑥
Online Practice → 手軽に課題に取り組める環境
CBT への対応
教師側の負担減
3.
“Q: Skills for Success”を使用した効果
<問題点>
<改善点>
①
外国語科の目標に合っているか?
コミュニカティブな活動が中心の授業実践
②
思考力・判断力・表現力を育成しているか?
Critical thinking 力の育成
様々なスキルに応じた表現力の育成
③ 生徒は授業を楽しんでいるか?
興味関心の高い題材を扱うことによる発見の連続
英語を英語のまま理解し、表現できる喜びと自信
Ⅳ
連携的英語教育とは
1.校種間での目標
<小学校> 英語に慣れ親しむ。 → 英語学習に対する動機付け
<中学校> 身近な話題について簡単な情報交換ができる。 → コミュニケーションの楽しさ
<高等学校> 幅広い話題について、発表・討論・交渉など言語活動を豊富に体験する。
→ コミュニケーションの大切さ
1.英語に対するモチベーションの維持 → 好きこそものの上手なれ
2.4技能のバランス →
生徒が将来使う英語=英語を使ったコミュニケーション
3.英語教育の強み → 英語は「学問」?「道具」?
2.教科間・科目間での連携的教育
Ⅴ
おわりに
英語教育=英語を通じて人を育てること
CAN-DO リストの形での学習到達目標
stage
6
5
4
3
2
1
time
3年
後期
3年
前期
2年
後期
2年
前期
1年
後期
1年
前期
SPEAKING
Production
□その場で提示された社会
的な話題について、賛成・
反対の理由を挙げて、いく
つかの利点と不利な点を示
しながら、プレゼンテーシ
ョンができる。
□その場で提示された社会
的な話題について、自身の
意見と理由を掲げながらプ
レゼンテーションができ
る。
□比較的身近な話題につい
て、自身の意見と理由を掲
げながら予め準備したプレ
ゼンテーションができる。
□自分の毎日の生活に直接
関連のある話題について、
予め準備した基本的なプレ
ゼンテーションができる。
□人物や生活、日課や好き
嫌いについて、簡単な語句
や文を並べながらプレゼン
テーションができる。
Interaction
□リラックスして会話がで
きるような雰囲気作りに努
めながら、流暢かつ自然に
対話ができる。
□社会問題や抽象的な文化
的話題について、自分の考
えを相手に説明したり、情
報を交換したりできる。
□身近な話題の会話に準備
なしでも加わることができ
る。
□自分の関心のある分野に
ついて自分の考えを相手に
説明したり、情報を交換し
たりできる。
□馴染みのある話題に対す
る質問に、英語で答えるこ
とができる。
□自分の関心や馴染みのあ
る様々な話題について、事
柄を順序立てて相手に説明
することができる。
□馴染みのある話題につい
て、相手と簡単なやり取り
をすることができる。
□相手からの援助を受けて
会話や短い社交的なやり取
りを進めることができる。
READING
宮城県石巻高等学校
LISTENING
WRITING
□長いテキストから必要な
情報を、すばやく的確に収
集することができる。
□筆者の視点から述べられ
た時事問題に関する記事や
レポートを理解することが
できる。
□書き手の意図を推測しな
がら文を読み、自分の考え
と比較することによって、
英文の内容をより深く理解
することができる。
□社会的な内容についての
スピーチや講義を聞いて、
必要な情報を的確に得るこ
とができる。
□馴染みのない内容につ
いて話された英語を聞い
て、未知の単語は意味を
推測しながら、要点を理
解することができる。
□議論を整然と展開して、
自分の考えを15文以上で
書くことができる。また、
重要な点を強調したり、関
連する補足事項の詳細を適
切に交えながら書くことが
できる。
□与えられた話題につい
て、理由や例を挙げながら
複数の段落を論理的に構成
し、自分の考えを15文以
上で書くことができる。
□明確に主張が示されたテ
キストの要点を把握でき
る。
□身近な話題についての新
聞記事から、重要点を取り
出すことができる。
□馴染みのない内容につい
て書かれた英文を読み、未
知の単語は意味を推測しな
がら、内容を概ね理解する
ことができる。
□社会的な内容についての
スピーチや講義を聞いて、
概要を把握することができ
る。
□馴染みのない内容につ
いて、主に既習の表現を
用いて話された英語を聞
いて、要点を理解するこ
とができる。
□ある視点に賛成や反対の
理由を挙げ、いくつかの利
点と不利な点を示しなが
ら、自分の考えを10文以
上で書くことができる。
□与えられた話題につい
て、理由や例を挙げながら
複数の段落を論理的に構成
し、自分の考えを10文以
上で書くことができる。
□手紙、パンフレット、短
い公文書のような日常の資
料の中から重要な情報を探
し出し、理解できる。
□段落ごとのつながりを意 □話題の方向性が明確に示 □馴染みのある内容につ □日常的な事柄について、 □教科書の内容についての
識しながら教科書の英文を されていれば、長い話や議 いて話された英語を聞い 構成を考えながら、自分の 自分の考えを、理由や例を
読み、内容のほとんどを正 論の流れが理解できる。
て、未知の単語は意味を 考えを交えて100語程度 挙げて書くことができる。
□与えられた話題につい
しく理解することができ
推測しながら、内容を理 で書くことができる。
て、理由や例を挙げながら、
る。
解することができる。
自分の考えを100語程度
で書くことができる。
□教科書の英文を読み、未 □短い物語や、日常生活で □自分にとって馴染みの □日常的な事柄について、 □教科書の内容について、
知の単語があっても意味を 出会う身近な話題につい ある内容について、主に 順序立てて分かりやすく、 既習の表現を用いて要約す
推測しながら、内容の概要 て、自然な速さで明瞭に話 既習の表現を用いて話さ 80語程度で書くことがで ることができる。
□与えられた話題につい
を理解することができる。 されたものであれば、理解 れた英語を聞いて、内容 きる。
て、理由や例を挙げながら、
できる。
を理解することができ
自分の考えを80語程度で
る。
書くことができる。
□日常生活の中でよく使わ □はっきり、ゆっくり発音 □クラス全体に向かって □興味のある事柄につい □教科書の内容について、
れる語句で書かれた簡単な された発話において、ごく 話された教師の指示を理 て、簡単な接続詞を使いな 簡単に要約することができ
テキストを理解することが 身近な話題についての短い 解することができる。
がら50語程度で書くこと る。
できる。
話の要点を理解できる。
□教科書の内容を英語で ができる。
□授業で習ったことや授業
聞き、理解することがで
の感想を、既習の表現を使
きる。
いながら50語程度で書く
ことができる。
□既習の語句が含まれた短 □はっきり、ゆっくり発音 □挨拶や、自分に向かっ □自分のことや身の回りの □教科書の内容に関する質
い英文を理解することがで された発話において、個人 て話された教師の指示を ことについて、5文程度の 問に対して、英語で解答す
きる。特に、視覚的な補助 や家族等のごく基本的な事 理解することができる。 易しい英語で書くことがで ることができる。
があれば、さらに容易に概 柄に関連した句や表現が理
きる。
□授業で習ったことや感想
要の把握ができる。
解できる。
を、5文程度の易しい英語
で書くことができる。
□手紙、パンフレット、新
聞の短い記事のような簡潔
なテキストの中から特定の
情報を取り出すことができ
る。
□決まった場面で用いられ □短い手紙やEメール等を
る表現を使って、やりとり 読み、概要を把握すること
することができる。
ができる。
□表情や身振り手振りを適
宜用いて、相手に分かりや
すく伝えることができる。
□人物や場所について、単 □簡単な挨拶ができる。
□表示や看板に書かれた簡
純な語句を並べて述べるこ □ゆっくりとした繰り返 単な英語を読み、理解する
とができる。
し、言い換え、修正に頼り ことができる。
ながらコミュニケーション
できる。