原価計算論Ⅱ

原価計算論Ⅱ
西村 重富
科目番号
1056
配当学期
通年
単位
2
クラス
000
研究室
17号館04-36号室
学習概要
製品がいくらで作られたかを計算するのが原価計算である。経営における一定の給付(製品:社会へ提供する財や
サービス)にかかわらせて把握された財貨または用役の消費の発生を貨幣数値にあらわすため認識し、測定し、分
類し、統合し、分析し、報告する手続きをいう。原価計算は、その目的を異にするにしたがって計算される原価
の範囲、内容、計算方法等を異にする。
歴史的に見れば、技師(エンジニア)が複式簿記と関係なく製品の原価を計算していたが、しだいに複式簿記(帳
簿記録と会計士へ)と統合されて原価会計へとなっていった。その計算対象や目的の変遷を原価計算の発展との関
連から考察してみれば、原価計算は経営管理に必要な資料の提供を行ってきた歴史であった。
会計は、外部取引を対象とした財務会計と内部取引を対象とした管理会計とに区分される。原価計算は、財務会
計にも管理会計にも密接な関係を持つものである。しかし、厳密な意味において原価計算は財務会計とはまった
く別であるし、管理会計ともまた区別される。
到達目標
原価計算基準を中心に学習することになる。ここで製品が製造される過程を捉えて、その計算構造を理解するよ
う努力することである。また代表的な計算例は、練習問題等を通して自分で実際に計算してみることである。充
分に計算練習した人にとっては、その成果の検証として簿記検定試験(2級~1級)の受験・取得も考えられる。
使用テキスト
著者
宮本寛爾
書籍名
原価計算の基礎
発行所
税務経理協会
書籍名
「現代原価計算」
『原価計算』
『経営原価計算論』
『管理会計』
発行所
中央経済社
国元書房
中央経済社
森山書店
参考書
著者
小林哲夫
岡本 清
桜井通晴
古田隆紀
参考書は、原価計算の理論を広く学ぶ手助けとなる、今日の代表的な論者の著書である。
リポート課題
書式:横書 ワープロ:不可
次の(1)と(2)のうちのどちらか1題を選択して下さい。
テキスト巻末の付録にある「原価計算基準」の第一章―「原価計算の目的」には次の内容
が列挙されています。
① 財務諸表作成目的 = 真実な原価の集計
② 価格計算目的 = 価格計算に必要な原価資料
③ 原価管理目的 = 標準原価
-1
④ 予算編成(統制)目的 = 予定原価
⑤ 経営基本計画目的 = 随時的(特殊原価調査)
これらの各目的とその原価概念の内容を簡単に説明して下さい。なお、これらの原価計算
目的に適合する原価概念の、その適合する理由をひとこと付け加えて下さい。また、テキ
ストにあるように、これらに対する現在の批判についてもふれて下さい。
伝統的な実際原価の計算手続は個別原価計算を例とすると次のようなものです。
① 費目別計算〔材料費・労務費・経費〕
② 部門別計算〔製造間接費→製造部門・補助部門(補助部門から製造部門への振替)→製
-2
造(品)〕
③ 製品別計算
これらを最も簡単な具体的金額で例を示して説明して下さい。
リポート作成について
一般的注意
① 原価計算は、ただ書物(テキストや参考書)を読むだけでは深く理解することはできな
い。自ら計算し確認する作業を繰り返すことによって、はじめて充分な理解が可能であ
1. る。
① 原価計算は、ただ書物(テキストや参考書)を読むだけでは深く理解することはできな
い。自ら計算し確認する作業を繰り返すことによって、はじめて充分な理解が可能であ
1. る。
② 原価計算は、いろいろな目的を達成するために、いろいろな原価概念が使われそれに
応じた計算方法をとるのである。それらの目的とその計算の基本的構造を理解しようとす
る姿勢が大事である。
課題(1)について
原価計算は、各種の利用目的を考慮して実行される。さまざまな目的に利用される原価情
報のうち、特に重要なものを、原価計算基準はその冒頭に5つ列挙しているのである。こ
れら各々の最初の一文章を写した後、これを簡単に説明すること。その各々の目的のどの
2. 1つを取っても、それを達成するためには、複数の原価概念が必要である。しかし、リ
ポート作成にあたっては、特にその中で最も重要となる原価概念を明確に示すようお願い
したい。その原価概念を必要とする理由については、歴史的な流れの中で捉えるのもよい
し、会計主体から捉えるのもよいし、また別の観点からでもよく、いろいろ考えられるの
で各自の論法に期待することとする。
課題(2)について
金額は2~3桁までの簡単な数値とすること。最も簡単な個別原価計算を想定してもらえば
よろしい。原価計算表の形式でもよいし、元帳の勘定の流れ図でもよろしい。勘定科目と
金額だけで説明がないのはいけない。費目別、部門別、製品別の各々について、具体例に
3. よって計算構造を説明しつつ金額を入れて計算してください。金額はどの段階まで入れる
かは、費目別と製品別については月初、月末の各有高と受入れ・払出とでよい。部門別に
ついては、製造間接費から製造部門、同補助部門、補助部門の製造部門への再振替、製品
への配賦へと一連の流れを説明すること。必ず相互配賦法か階梯式配賦法かを入れて説明
して下さい。
4. その他の注意
参照、引用した文献は、必ず出典を明らかにしてください。
単位修得試験要項
持込:不可 筆記用具:自由
<LI>1.我が国の「原価計算基準」の1にある5つの原価計算目的のうち「財務諸表作成目的」と「原価管理目
的」との2つから1つを選び、その内容をその目的達成のための「原価概念」とともに述べなさい。その後、そ
の選んだ1つの目的の今日における限界または補う新しい技法をあわせて説明してください。
<LI>2.材料費計算において、各種の原価配分方法のうち、代表的なものを適当に2つ挙げ(先入先出法、移動平
均法、後入先出法、総平均法の中から選ぶこと。戻り、戻し、値引のうち1つ以上を含めること)、材料元帳に
よってその内容を説明し長所・短所を述べなさい。(簡単な金額・数値を入れて説明すること。)
<LⅠ>3.実際原価計算において、材料費計算での予定価格の用いられる理由について説明し、簡単な金額・数
量の例を挙げて消費額と差異とを示して下さい。
<LI>4.直接工の賃金の、支払高と消費高とについて説明しなさい。また、予定平均賃率の式を示して、説明し
なさい。
<LI>5.実際原価計算における製造間接費の予定配賦での差異分析を、簡単な金額・数値を入れて説明しなさ
い。また基準操業度と予算の設定について、ふれて下さい。
<LI>6.生産中心点別機械費計算月報(製造間接費の実際配賦計算の一つ)の実例をあげて、簡単に説明して下
さい。
<LI>7. 活動基準原価計算(activity-based costing : A B C ) について簡単に説明して下さい。
<LI>8. 実際個別原価計算において、製造間接費が部門費に配分されて、最終的に製品へ配賦されるまでの部
門別計算の手続を簡単に説明して下さい。
全体の流れと、相互配賦方法を入れて説明すること。
<LI>9.単純総合原価計算における期末仕掛品の評価を説明して下さい。
(月初にも月末にも仕掛品がある場合とし、仕損も減損も認められないものを対象とする。平均法と先入先出法
のみでよい。)
<LI>10.等級別総合原価計算の計算方法を簡単に説明して下さい。また連産品との違いを簡単に説明して下さ
い。
<LI>11.なぜ標準原価計算が行われるのか、その目的を簡単に説明し、その実例として直接材料費の原価差異
分析を(簡単な金額・数値を挙げて)計算例示して下さい。
<LI>12.直接原価ベースによる損益計算書(営業利益まで)のひな形を簡単な金額・数値を入れて例示しなさ
い。この売上高、売上原価、営業利益の関係を説明し、直接原価計算がどのような目的に合致しているか説明し
なさい。これに固定費調整をおこなって、全部原価ベースによる営業利益を示して下さい。
<LI>12.直接原価ベースによる損益計算書(営業利益まで)のひな形を簡単な金額・数値を入れて例示しなさ
い。この売上高、売上原価、営業利益の関係を説明し、直接原価計算がどのような目的に合致しているか説明し
なさい。これに固定費調整をおこなって、全部原価ベースによる営業利益を示して下さい。
<LI>13.損益分岐点売上高、損益分岐点販売数量、希望利益達成売上高の各の計算式とその図解(グラフ)及
び簡単な説明をして下さい。
<LI>14.原価予測の方法について、①費目別精査法②高低点法③最小自乗法の各3つについて簡単に説明して
下さい。
<LⅠ>15.設備投資での意思決定で時間価値概念を用いる場合があるが、①その内容を簡明に述べ ②正味現
在価値法及び ③内部利益率法を簡単な具体的数値の例を示して、説明して下さい。
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