【参考】魅力づくりに取り組む全国事例(PDF形式/646KB)

<参考> 魅力づくりに取り組む全国事例
【参考】魅力づくりに取り組む全国事例
(取組テーマ)
(取組内容)
(取組旅館・ホテル事例)
① 地元や国産の食材にこだわった料理や地酒を提供する。泉質
によっては温泉を使用した料理を出す(生産地へのこだわ
り)。
・ 地元産の大豆と温泉を使った「湯の香豆腐」を提供している
【あえの風(石川・和倉)】。
1.食事時間における体験・過ごし方
1−1.その旅館や地域に宿泊しなければ食べられ
ない食事を楽しむ
・ 大分県内各地の食材を使った料理・郷土料理を、食材名と産
地を明示して提供している【ホテルサンバリー(大分・別
府)】。
宿泊者がホテル・旅館で過ごす項目毎に、様々な取り組みを行っている全国の事例を紹介します。
1.食事時間における体験・過ごし方
1-1. その旅館や地域に宿泊しなければ食べられない食事を楽しむ
② 有機栽培や契約栽培の食材を使う、手作りとする、化学調味
料ではなく削り節や塩にこだわるなど、安全で食材本来の味
を楽しめる料理を提供する。生産者の紹介や生産方法・生産
現場についてなど、詳しい情報をホームページ等で紹介する
ことで、安心感を与える(本物、安全性へのこだわり)。
・「人と環境に優しい宿づくり」の理念の下、土壌から野菜づ
くりにこだわり、素材自体が持つ味と調理法の工夫(天然調
味料を使用等)により、メイン級の料理として野菜を提供。
旅館で使われる野菜の約5割(夏季には約8割)を自家農場
で賄う。併せて、自家栽培のブドウを使用したワインも提供
している(ISO14001取得済み)【ほほえみの宿滝の湯(山
形・天童)】。
③ 料理や酒へのこだわりを、料理長やソムリエなど、料理の作
り手等が語ることでPRする。
・ 有馬温泉全体として、一つの食材をテーマに旅館と飲食店の
料理人がそれぞれに腕をふるう「有馬美食倶楽部」を発足さ
せた。第一弾(2008年秋・冬)として、松葉カニの水揚げ
量日本一の浜坂漁港と提携し、「松葉カニを味わう宿泊プラ
ン」と日帰り客向けのメニューを販売した【兵庫・有馬】。
1-2. 記憶に残る食事時間を過ごす
1-3. 旅先ならではの非日常的な朝食を楽しむ
1-4. くつろいだ雰囲気や設えで食事を楽しむ
1-5. “ 自由に ”食事を楽しむ
・ 由布院料理研究会は、由布院全体の料理のレベルアップを目
的として、地域の食材や農家、料理人同士のつながりを大切
にしながら、定期的な研究会や話題店への視察、イベント時
の料理でのおもてなし等を行っている【大分・由布院】。
2.客室での過ごし方
④ 地元特産の工芸品から旅館の趣向に合うものを取り入れた
り、経営者や料理長の好み・こだわりを感じられる品を使う
など、器にもこだわる。
2-1. その旅館ならではのこだわりや地域の魅力を感じる
2-2. 旅先ならではの非日常的な体験を楽しむ
⑤ 季節限定、数量限定などで希少性を打ち出したり、対象者を
明確にする(例:季節ごとの地元の定番料理、健康志向者や
高齢者向け料理、誕生日や結婚記念日対応 等)。
2-3. 部屋でゆっくりとくつろぐ
2-4. 客層ごとの事情や要望に応えてもらえる
1−2.記憶に残る食事時間を過ごす
② 眺望の良さや自然の中、歴史的な建物内、調理場が見えるカ
ウンターなど、食事の場所を工夫する。
3.温泉・大浴場での過ごし方
・ 毎朝、お客様も参加できる餅つきを行い、つきたてのお餅を
雑煮、納豆、ずんだ餅等にしている(自家栽培のもち米を使
用し、餅米は温泉で蒸す)【いきかえりの宿瀧波(山形・赤
湯)】。
⑤ 地元の食材を西洋料理の調理法で調理した一品として出す、
和朝食の食後にコーヒーや紅茶を複数の銘柄から選択できる
といった、和風旅館にあって一部、本格的な洋のサービスも
受けられるという意外性を提供する。
④ 目の前で調理し、できたての料理を提供する(例:揚げたて
の天ぷら、引き上げ湯葉、朝食の卵料理 等)。
3-3. 健康増進や美容のための温泉を楽しむ
3-4. リラックスして入浴を楽しむ
4.客室以外の館内での過ごし方
⑥ 記念日旅行等の場合などは、特別メニューや特別の演出を行
う(例:バースディ・ケーキ 等)。
4-1. 旅館の歴史文化や経営者の想いに触れる
⑦ 伝統芸能の上演や楽器の生演奏を行う。
4-2. その地域の歴史文化を感じながら過ごす
4-3. その旅館や地域ならではの商品を購入する
1−3.旅先ならではの非日常的な朝食を楽しむ
①「朝から炭火で干物や湯豆腐」「目覚めのシャンパンやビー
ル」など、非日常的な朝食時間を演出する。
5.館外 ( 温泉街や周辺地域 ) での過ごし方
② 干物や海苔を炙るなど、ゆっくりと時間をかけて食べる料理
を提供する。
③ 好みによって、干物や味噌の種類を選べるようにする。
5-1. 温泉街や周辺地域に出かけて楽しむ
5-2. 旅館と地域の魅力を組み合せて楽しむ(共通のテーマでつなぐ)
6.宿泊全体にわたる配慮事項−お客様の個々の事情や要望に応える
6-1. 特別な配慮が必要なお客様への対応
6-2. 記念日旅行などを目的とするお客様への対応
6-3. お客様の価値観、ライフスタイルへの対応
④ 身体に優しいメニューとするために、味付けの濃いおかずを
減らしたり、ドレッシングなどは低カロリーのものを提供す
る。
⑤ 御飯や漬け物、お茶、海苔など、地元の食材で、シンプルな
料理にこだわって提供する(例:特別米や炊き方、水 等)。
・ 地元の主婦による手料理を品数豊富に揃えた朝食バイキング
を提供している【湯宿だいいち(北海道・養老牛)】。
・ 朝食を2種類用意しており、通常メニューに1,575円の追
加で「氷見の漁師風の朝ごはん かぶす朝食」が選択できる
(「かぶす」とは地元の方言で「漁の分け前」のこと)【永芳
閣(富山・氷見)】。
・ 食事処の入り口に「お魚バー」を設けて地魚を並べ、お客様
に選んでいただく。調理方法も相談して決められる【佳泉郷
井づつや(兵庫・山陰湯村)】。
⑥ 朝食を、地元の地域性を打ち出す機会と捉え、「地元の日常
の朝ごはん」をテーマにメニューを作る(例:漁師の朝食)。
⑦ 朝食場所を工夫したり、宿泊客の希望に応じて臨機応変に変
更する(例:気候の良い季節には屋外にて、子供連れは部屋
食で 等)。
⑧ 早朝の港や畑へ案内して魚や野菜などの収穫を体験して朝食
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・ レストラン「みちのく祭りや」では、青森三大夏祭りの山車
やお囃子、津軽三味線、青森民謡を鑑賞しながら食事ができ
る。お客様は、跳人の体験やよさこい総踊りへ参加できる
【古牧温泉青森屋(青森・三沢)】。
⑧ 食材の生産現場(田畑等)や製造現場(酒蔵等)へ案内し、 ・ 朝11時から、野菜の収穫や栗拾い等を体験できる「一條菜
園ツアー」を行っている(無料)【時音の宿 湯主一條(宮
解説する。
城・鎌先)】。
4-4.「学ぶ」「体験する」など、アクティブな時間を過ごす
4-5. リラックスして“ 自由に ”過ごす
・ 緑に囲まれた自然の中、湯川の川沿いに造られた川床にて食
事を提供している【原瀧(福島・東山)】。
③ 食材を焼くなど、お客様自ら料理に手を加える場面をつくる。 ・ 大根を地元の契約農家で栽培し、栗駒高原で飼育されたカテ
キン豚とともに、「大根のしゃぶしゃぶ」として提供してい
る【ゆづくしの宿一の坊(宮城・作並)】。
3-1. その温泉地ならではの泉質や入浴法、温泉文化を楽しむ
3-2. 様々な浴場・泉質を楽しむ
① 食事処では、入口から席につくまでの途中、食材や酒の瓶、 ・「八甲田星空ディナー」として、八甲田山麓の星空の下で、
専属のシェフが夕食を提供する(10名まで)【奥入瀬渓流ホ
調理する様子が見えるオープンキッチンにするなど、料理へ
テル(青森・焼山)】。
の期待感を高める。
・ ホテル周辺の奥入瀬渓流を散策した後、「渓流ブランチ」と
して渓流沿いで朝食を提供している(月、水、金曜日実施、
参加人員20名、5月下旬∼11月上旬)【奥入瀬渓流ホテル
(青森・焼山)】。
・ 八戸市内のホテル宿泊客を対象として、朝市と銭湯を乗合タ
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(取組テーマ)
(取組内容)
の食材としたり、散策と組み合わせるなど、朝の時間帯を活
用する。
(取組旅館・ホテル事例)
(取組テーマ)
クシーでめぐって「朝風呂・朝めし」を体験できるツアーを
開発した(平成20年度観光産業のイノベーション促進事業
(観光庁事業))【八戸あさぐる(青森・八戸)】。
(取組内容)
(取組旅館・ホテル事例)
② 子供連れやグループ客の宿泊について、受け入れ日や宿泊フ
ロアを限定するなどして、静かで落ち着いた環境を提供する。
③ 防音対策を重点的に施した部屋やフロアを準備する。
1−4.くつろいだ雰囲気や設えで食事を楽しむ
① 大勢が集まる食事処等では、個室席やパーテーションの利用、 ・ ランチ・コースのデザート(ブッフェ)を、お客様の希望が
あればソファ席へ移動して楽しむこともできる【パークハイ
テーブル配置(間隔)、シートアサインなどの工夫により、
アット東京】。
子供連れ、グループ、二人連れなどそれぞれのお客様が気兼
ねや不快感を感じることなく食事時間を楽しめるように配慮
する。
② 長時間の正座が難しいお客様へは、イス席や掘りごたつの席
を準備する。
・ 客室の窓から、周囲の豊かな自然とそこに生きる野鳥の様子
を眺めることができる【湯宿だいいち(北海道・養老牛)】。
⑤ タバコなどの匂いは消臭するとともに、室内を快適に保つた
めに空気清浄機や加湿器などを設置したり、貸し出す。
・ 客室内にエスプレッソマシンを設置し、いつでも入れ立ての
コーヒーを楽しめるようにしている【SPA RESORT
EXES(スパリゾートエグゼス)(沖縄・恩納村)】。
③ 子供連れの席のテーブルクロスは、汚れを気にせず食事がで
きる材質とする。
⑥ 細かい温度調節ができるように、季節によって扇風機や団扇、
・ ヒーリングミュージック系のCDとCDプレーヤーを設置する
膝掛け毛布などを要望に応じて準備する。
とともに、図書室から図書の貸し出しを行っている【十勝川
温泉第一ホテル(北海道・十勝川)】。
⑦ リラックスできる照明や読書に適した手元灯を準備する。
④ 二人客や夫婦水入らず、グループの場合などは、要望次第で、
給仕のスタッフの出入りの頻度や料理の説明の仕方などを、
柔軟に対応する(スタッフの出入りを減らす、説明を簡略化
する 等)。
⑧ 紅茶やハーブティーのティーパック、コーヒーメーカー等を
準備して自由に楽しめるようにする。)図書室の本やCD、
DVDを借りたり、私物を持ち込んで、自室で楽しめるよう
にする。
⑤ 食事処では料理以外の不快なにおいは消臭する(例:トイレ
の芳香剤の香り)。また、嫌煙者も快適に食事を楽しめるよ
うに、分煙を徹底する。
⑩ マッサージチェアや座り心地の良いイス等を、窓際に設置す
る。
① バイキングにしたり、メイン料理などをいくつかの選択肢か
ら選べるようにする。
② 選択制とするにあたっては、食材や調理法について、お品書
き等で詳細に説明する(例:食材の産地、生産者、カロリー
等)。
・ 大浴場の入り口に枕のサンプルを展示し、5種類(羽・そ
ば・羽&そば・パイプ・低反発)から選ぶことができる【中
の坊瑞苑(兵庫・有馬)】。
⑪ ベッドの大きさやマットの堅さ、布団やリネン、枕、寝間着
などにこだわり、熟睡できる環境を調える。
⑥ 食後にゆっくりとくつろげるように、デザートは、雰囲気の
良いラウンジなどへ場所を変えてから提供する。また、食後
にコーヒーをゆっくりと楽しめるように、客室にコーヒー豆
とコーヒーサーバーを設置する。
1−5.“自由に”食事を楽しむ
④ 眺望の良い客室を準備し、その眺めの良さ・ビューポイント
について客室係が案内したり、マップ等を準備する。
参
考
資
料
●
魅
力
づ
く
り
に
取
り
組
む
全
国
事
例
⑫ お客様から要望があった際には全部署のスタッフが対応する
という体制にすることで、各客室専属の係は置かず、客室へ
も立ち入らないことにする。
・「メインチョイス」プラン(メイン料理の選択制)に取り組
む。たくさんの量を食べられないお客様にとって、「量を減
らして質を高めること」で満足度を高めることができる。ま
た、選択事項は、食事の量とメイン料理の種類のみなので、
説明するのも手配もわかりやすい【湖山亭うぶや(山梨・河
口湖)】。
2−4.客層ごとの事情や要望に応えてもらえる
① 安全・安心な宿泊施設として、高齢者や身体の不自由なお客
様のために、段差の解消や車イスが利用できるスペースの確
保等のハード整備とともに、従業員による介助等ソフト面の
能力向上を図る。
・ 1981年からペット同伴の宿泊を受け入れる。ペット専用露
天風呂やペットと入れる家族風呂、ペットの食事のほか、
ペット(犬)同士の交流会「ワンワンコンパ」を行ったり、
犬と飼い主のためにロビーを開放している。犬種別・猫の宿
泊料金がある【きぬ川国際ホテル(栃木・鬼怒川)】。
② 高齢者は、布団よりもベッドの方が好まれる(都合が良い)
・ 露天風呂付き、純和風、和洋室、バリアフリー対応、特別室
傾向があるので、和洋室等で対応する。
の15タイプの客室から選択することができる。室内の設備
や間取り等の詳細をホームページに載せている【ホテル玉之
③ 高齢者や身体の不自由なお客様が含まれる3世代旅行の際、
湯(長野・松本あさま)】。
できるだけ家族が一緒の部屋で過ごせるように、広めのバリ
アフリー客室を準備する。
③ 少しずつでも多くの種類から選択して楽しめるように、サラ
ダバーや地酒の利き酒セットという形で提供する。
④ 食事の量をお客様自身が調整できるように、食事全体の量を
少な目とし、足りない場合には、おかわりが自由な煮物やお
にぎりなどを提供する旨を予め伝える。
④ 禁煙ルームを準備したり、「禁煙・喫煙」ごとにフロアや宿
泊日を分けることで対応する。
⑤ 3世代旅行の場合などは、各人の好みや食べられる食事の量
を調整できるように、料理を大皿盛りとするなど給仕の仕方
を工夫する。
⑤ ペット同伴で宿泊できる客室を準備する。
⑥ 酒が飲めない人向けに、ソフトドリンクやサイドメニューを、 ・ 地元のレストランでの夕食を取り入れた宿泊プランを企画し
ている【松島一の坊(宮城・松島海岸)】。
お酒にこだわる人向けには、地酒の品揃えや酒器、つまみ等
を充実させる。
⑦ 連泊の際の夕食を、館外の飲食施設や、自館とは趣が異なる
料理・雰囲気を持つ他館や地元の飲食施設でも食事ができる
ように連携する。
⑥ 様々なタイプの客室を体験したいという要望に応えるため
に、広さや設備(ベッド、露天風呂付き 等)、内装のデザイ
ンなどにバリエーションを持たせて、お客様が選択できるよ
うに案内する(例:純和風、大正ロマン、アジアンリゾート、
アート作品の展示 等)。
3.温泉・大浴場での過ごし方
3−1.その温泉地ならではの泉質や入浴法、温泉
文化を楽しむ
⑧ 食事場所を、宿泊客の希望に応じて臨機応変に変更する
(例:気候の良い季節には屋外にて、子供連れは部屋食で
等)。
⑨ 朝寝坊をして客室でゆっくりとブランチを楽しみたい場合
は、料理をお重に詰めて、温かい飲み物とともに提供できる
ようにする。食後のコーヒーも室内で楽しめるように、コー
ヒー豆とコーヒーサーバーを設置する。
① 温泉の効能や効果的な入浴法などについて、スタッフが解説
したりイラスト等を脱衣所に掲出するなどして、わかりやす
く伝える(例:一般的な注意事項、浴後洗い流すべき泉質か
どうか 等)。
・ 新しい湯治のスタイルとして、アートやスポーツ(サイクリ
ング、ゴルフ)、美容、文化(茶会)といった様々なジャン
ルの魅力と、温泉旅館での滞在を組み合わせた「心と体のリ
セット計画 湯治プロジェクト」に取り組んでいる【旅館大
沼(宮城・東鳴子)】。
② 温泉地の歴史や来訪した文人墨客などについて、館内での資
料展示やホームページ、またスタッフによる解説によって解
説する(例:著名人のユニークなエピソード 等)。
・湯治を目的とする伝統の入浴法「時間湯」を、日帰り温泉施
設「大滝乃湯」や一部の共同浴場で体験できる【群馬・草津】。
⑩ 早朝出発のお客様へは、冷めてもおいしいお弁当を準備する。
③ 古くから伝わる入浴法や飲泉、短期間の湯治などについて、
自館だけでなく館外の共同浴場や地元の温泉施設、地域資源
も活用するなどして、滞在中に様々な形で温泉を楽しめるよ
うにご案内する。
2.客室での過ごし方
2−1.その旅館ならではのこだわりや地域の魅力
を感じる
① 家具や内装、調度品、備品などに、地元の木工や伝統工芸
(漆器・焼き物・織物等)を取り入れ、地域性を感じられる
ようにする(例:テーブル、衝立、茶器、ルームキー 等)。
・ 阿寒の風土、アイヌ文化を感じることができる内装デザイン
を取り入れている【あかん遊久の里鶴雅 レラ館(北海道・
阿寒湖畔)】。
② 地元出身の建築家やデザイナーを起用して、地域性を打ち出
す。
・ 室内の家具や備品に、天童木工や米沢織、定評のある地元の
カーペット・メーカーの製品等を採用している【ほほえみの
宿 滝の湯(山形・天童)】。
③ 木工や伝統工芸に関心のあるお客様を、地元の職人・工芸作
家の工房などへ案内する。
2−2.旅先ならではの非日常的な体験を楽しむ
① 家族で遊べるボードゲームやトランプなどを貸し出す(例:
郷土かるた 等)。
② 本物のイ草の畳の上で、布団を敷いて寝られるようにする。
③ 冬には、コタツと湯たんぽを準備する。
・「江戸趣味プラン」として、宴会でたいこもちや落語、投扇
興等を楽しむコースが、「江戸体験プラン」として江戸組紐
やお座敷踊り等を体験できるコースを設けている【助六の宿
貞千代(東京・浅草)】。
④ 菖蒲湯など、季節ならではの入浴法を提供する。
3−2.様々な浴場・泉質を楽しむ
① 自館に複数の浴場・泉質がある場合は、男女で時間帯を変え
て入浴できるようにする。
② 自館と趣の異なる浴場、異なる泉質を持つ旅館などと連携し、 ・ 複数の旅館の浴場や共同浴場(外湯)をめぐることができる
温泉地は多く、地元材で作った入湯手形や湯かごを誂えるな
互いに湯めぐりができるようにする。
どしている。また、共同浴場の利用にあたっては、住民との
トラブルを避けるためマナー向上を呼びかけている温泉地も
ある。
・「古き良き時代の草津の再現」というコンセプトを掲げる
14軒の老舗旅館が「和風村」というグループを作り、参画
旅館への宿泊客を対象に内湯めぐりを行っている【群馬・草
津】。
④ お稽古事の体験を斡旋する(例:お茶、お花、着付け、香道
等)。
⑤ お座敷遊びを斡旋する(例:投扇興、唄・踊り 等)。
2−3.部屋でゆっくりとくつろぐ
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① アーリーチェックイン・レイトチェックアウトを行う。
・ 各浴場に付けられた名前にも工夫が凝らされ、個性的なもの
も多い。その由来を伝えることもお客様には旅の一つの楽し
みとなる。
・「大人のための空間」を打ち出し、12歳以下のお子様の宿
泊はお断りしている【中の坊瑞苑(兵庫・有馬)】。
③ 地元の特産品で作られた浴槽で、地域性を感じられるように
する。
・ 輪島塗の浴槽(漆芸檜風呂)を設置している【うるしの宿や
しき旅館(石川・輪島)】。
④ 古い歴史のある浴槽を大切に使う。
・ 泉源や浴槽、浴場に古い歴史のある旅館は多い。文人墨客や
歴史上の人物が入浴したという歴史や、源泉の蒸気に当たる
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(取組テーマ)
(取組内容)
(取組旅館・ホテル事例)
(取組テーマ)
(取組内容)
3−3.健康増進や美容のために温泉を楽しむ
① 温泉医による診断や温泉入浴指導員からアドバイスを受ける
機会を提供する。
② 温泉の泉質を利用した当地ならではの化粧品やエステ等を開
発する。
・ 効果的な温泉入浴法をアドバイスできるスタッフを育成して
いる温泉地は多い(温泉入浴指導員、日本温泉保養士協会の
バルネオセラピスト(温泉保養士)、赤倉温泉から始まった
温泉ソムリエ 等)。
4−5.リラックスして“自由に”過ごす
④ 入浴後の飲み物を、大浴場近くのくつろげるスペースに準備
する。
① 露天風呂は、できるだけ眺望の良さを確保する。
・ 空中露天風呂から、瀬戸大橋と夕日を楽しむことができる
【鷲羽山吹上温泉鷲羽ハイランドホテル(岡山・鷲羽山)】。
5.館外(温泉街や周辺地域)での過ごし方
5−1.温泉街や周辺地域に出かけて楽しむ
③ 貸切風呂は、手術後など、他人の目が気になる事情のあるお
客様には優先的な手配や入浴衣の貸し出しなどを行う。
・ 館内に「雨情ギャラリー」があり、毎週土曜日に大女将が雨
情との思い出話をする「おばあちゃんが語る野口雨情」を宿
泊客を対象に開催している【雨情の宿新つた(福島・いわき
湯本)】。
・ 館内に設けた展示室や廊下に、昔の温泉地の様子や旅館を訪
れた著名人の写真を掲示したり、古くから伝わる美術品・骨
董品等を展示している【富士屋ホテル(神奈川・宮ノ下)、
西村屋本館(兵庫・城崎)、兵衛向陽閣(兵庫・有馬)等、
多くの老舗旅館】。
4−2.その地域の歴史文化を感じながら過ごす
・ ホテルの歴史や施設に詳しいスタッフによる館内ツアーが、
夕方の時間帯に行われている(無料)。案内コースは施設の
利用状況によって柔軟に設定されており、概ね庭から客室、
宴会場、厨房、大浴場等をめぐる【富士屋ホテル(神奈川・
宮ノ下)】。
④ 地域単位で連携し、湯めぐりや域内ツアーなどの共同商品や
キャンペーンを行う。
・ 温泉街に巡回バス「お散歩号」を走らせ、車内で旅館の女将
や商店の主人等が地元の案内を行っている【石川・山中】。
・ 朝、社長自らがラウンジでコーヒーを入れ、お客様の似顔絵
を描きながら対話をして、お客様の満足度やニーズの把握に
努めている【木屋旅館(鳥取・三朝)】。
・ かんざんじ温泉での宿泊客を対象に、浜名湖の季節と人を感
じるバスツアー「遠州道中膝栗毛」を実施している。所要時
間は約3時間、内容は季節に合わせて約2週間単位で更新さ
れる。案内役は、旅館のスタッフや市民ガイドが務める【静
岡・かんざんじ】。
⑤ 館外へ出かけたくなるようなデザイン浴衣と帯を貸し出す。 ・ 和風館と新和風館への宿泊客(女性)を対象に、1300種類
以上の「おしゃれ浴衣」(登録商標)から選ぶことができる
女将やスタッフが浴衣を選ぶ際にアドバイスをしたり、着崩
うえ(レンタルサービス)、専門スタッフがお手伝いをして、
れしないよう着付けの手伝いをする。
お客様自身のカメラで記念撮影ができる【伴久ホテル(栃
木・湯西川)】。
⑥ 公共交通機関を利用するお客様に対して、チェックイン前や
アウト後の手荷物を、駅や旅館との間を配送し、手ぶらで散
策を楽しめるようにする。
・ 夜20:15から女将が紙芝居を朗読、その後お客様が参加す
るカラオケなどの演芸大会、スタッフによる太鼓や踊りの
ショーを披露。終了後にはロビーでお茶とお菓子が用意され
ている【四万やまぐち館(群馬・四万)】。
・ 夜20時からお客様が参加できる餅つきがあり、それをきな
こ餅としていただきながら、女将や地域のボランティアによ
る民話の語りを聞くことができる【豆腐懐石猿ケ京ホテル
(群馬・猿ヶ京)】。
4−3.その旅館や地域ならではの商品を購入する
① 夕食や朝食で出した料理(スープや漬け物、佃煮等)や地
酒・ビール、菓子、器等を、売店で販売する。
5−2.旅館と地域の魅力を組み合わせて楽しむ
(共通のテーマでつなぐ)
③ 地元の食材や工芸品に関心を持ったお客様へ、通信販売を紹
介したり、生産現場の農家や工房へ案内する。
4−4.「学ぶ」「体験する」など、アクティブな
時間を過ごす
① ロビーや宴会場で、ミニコンサートやミニ講演会を開く。
・ 花のシーズン中は毎夜、花の専門ガイドによる花の講座を開
いている【花れぶん(北海道・礼文香深)】。
② ラウンジやレストランで、日本酒やワイン、紅茶、チーズ等、 ・ 16時からふれあい広場にて大画面スクリーンでの映画の上
映、20:45からは和洋様々なジャンルの「車坐コンサート」
自館の料理のこだわりについて料理長が語る会(実習付き)
がほぼ毎日、行われている【ホテル玉之湯(長野・松本あさ
等を開く。
ま)】。
・「源氏物語」や香りをテーマとする旅館として、
「『源氏物語』
を聞く会」や「聞香教室」、押し花づくりなどの催し物のい
ずれかを、ほぼ毎日実施している【源氏香(愛知・南知多山
海)】。
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⑦ 歩きたくなる街並みづくり・景観づくりに取り組む。
・ 社長自らが生産したもち米を原料として、珍しい「もち米純
米酒(生酒)」を開発、販売している【いきかえりの宿 瀧
波(山形・赤湯)】。
② 地元の米・野菜・果物等の販売やそれらを食材として使った
商品を開発・販売する(例:地域内で共同開発、パッケー
ジ・デザインもセンスの良いものに)。
・ 土湯温泉観光協会では、通常公開されていない源泉を見学し、
温泉玉子作りなどを体験できるツアー「土湯源泉探訪」を実
施している【福島・土湯】。
・ 箱根全山の宿泊施設や飲食店、美術館が期間限定スイーツを
提供する「HAKONE SWEETS Collection」を開催してい
る【神奈川・箱根】。
① 温泉街や周辺地域を紹介するパンフレットや雑誌、写真集、 ・ 北海道にゆかりの作家の作品を集めたギャラリー「森の夢」、
オーディオルームや1,000冊を超える幅広いジャンルの図
郷土誌、DVD等は、最新のものを設置する。
書室を設置している【あかん遊久の里鶴雅(北海道・阿寒湖
畔)】。
② 地元出身の画家などのギャラリーを設ける。
③ 夕食後のロビーや宴会場で、地元に伝わる民話の紙芝居や祭
り囃子のショー等を上演する。
・ サービス部門のスタッフ全員が、松山観光文化コンシェル
ジェ検定初級を取得している【宝荘ホテル(愛媛・道後)】
・ 流しのはっちゃん・ぶんちゃんとボランティアガイドと一緒
に夜の路地裏を歩きながら、住民用の共同浴場やネオン街を
楽しむことができる【「竹瓦温泉 夜の路地裏散歩」(大分・
別府)】。
・ 毎日夕方17時から、館内に展示された横山大観等の絵画や
工芸品、能舞台等の棟梁の技などを見学するツアーを実施
(所要約60分、参加無料)【水明館(岐阜・下呂)】。
③ 女将や社長、支配人などが、ラウンジやロビーで直接お客様
と言葉を交わして自館への満足度を確認したり、新たなニー
ズの把握などを行う。
参
考
資
料
●
魅
力
づ
く
り
に
取
り
組
む
全
国
事
例
③ 旅館の外を案内する。特に、夕食後から就寝までの時間帯に、 ・ 夏休み期間の夜20時半から、提灯を持ってミニハイキング
に出かける。バスで約10分入った山で暗闇の世界を体験す
夜の魅力を詳しく案内できるガイドを同行させ、ネオン街や
る【四万やまぐち館(群馬・四万)】。
自然の暗闇、蛍や星空などを体験してもらう。暗闇体験には
提灯や懐中電灯などの小道具を用意することで安全性に配慮
・ 道後温泉の商店街は夜10時まで開いており、ボランティア
するとともに、ワクワク感を高める演出とする。
ガイドによるツアーの実施、坊っちゃん広場での旅館組合主
催のイベント開催(郷土芸能、太鼓ショー等:期間限定)、
街並み・歩道の整備等、夜の楽しさの演出のために地域が一
体となって取り組んでいる【愛媛・道後】。
4.客室以外の館内(パブリックスペース)での過ごし方
② 自館内の美術品や庭園、建物等をめぐる館内ツアーを、ス
タッフの案内で実施する。
① 温泉街や周辺地域を紹介するパンフレットや雑誌、写真集、 ・ 地元の白馬安曇野の地図や時刻表、地元ならではの情報を収
録した「トラの巻」を制作し(年4回発行)、希望者へ無料
郷土誌、DVD等は、最新のものを設置する。
で発送している【ホテル五龍館(長野・白馬八方)】。
② 従業員が、自館のことはもちろん、地域の魅力についても解
説できるように知識の習得とコミュニケーション能力の向上
に取り組む(例:温泉、自然環境、民俗学、まちなかのB級
グルメ、2次会や連泊時の夕食を楽しめる飲食店 等)
④ 温泉が初めての乳幼児を連れたお客様には、貸切風呂で気兼
ねなく楽しんでいただいたり、赤ちゃんの温泉への入浴方法
についてアドバイスを行う。
① 自館を紹介する書物・雑誌や旅館に縁の芸術家の作品、旅館
に伝わる宝を展示したり、経営者の好み・センスが感じられ
る書籍・CD・DVDを揃えた図書室・談話室等を設ける。
・ 自由にゆったりと過ごすことができるライブラリーでは、
コーヒー・紅茶のサービスがある【オリエンタルヒルズ沖縄
(恩納村)】。
③ おやつや夜食として、軽い茶菓子や果物をラウンジにて、セ
ルフサービスなどで提供する。
② 女性などが入浴後、大浴場から客室へ、あまり多くの人とす
れ違わずに戻れるルートを案内する。
4−1.旅館の歴史文化や経営者の想いに触れる
① 庭にイスなどを置き、屋外で昼寝などリラックスして過ごせ
るようにする(例:ハンモック、デッキチェア、東屋 等)。
② コーヒーや茶菓子を、湯上がり処や庭、眺望の良いパブリッ
クスペースなど、ラウンジ以外の場所でも楽しめるように、
座り心地の良いイスやソファセットを準備する。
③ エステの施術に定評のあるブランドと提携する。
3−4.リラックスして入浴を楽しむ
(取組旅館・ホテル事例)
・「泡盛利き酒体験」:泡盛ルポライターの富永麻子氏が泡盛
を紹介。ゲーム形式で数種類の利き酒にも挑戦できる。「お
きなわ三線教室」:沖縄民謡「安里屋ユンタ」を時間内でワ
ンフレーズ弾けるようレッスンする【ジ・アッタテラスクラ
ブタワーズ(沖縄・恩納村)】。
蒸し風呂など入浴方法によっても、個性と味わいが出る
【(積善館の元禄の湯(群馬・四万)、木屋旅館の楽泉の湯
(鳥取・三朝)、松田屋ホテルの維新の湯(山口・湯田) 等】。
・ 道路の拡幅や店舗外壁の色調の統一、造り等の基準を定めた
街並み整備事業を実施している。ソフト面では「一店舗二業
種」化を進め、本業の店舗内にギャラリーを併設するなど、
山中の歴史、文化、工芸をモチーフにした商品を扱う、絵付
けや工芸体験の実施等、お客様が気軽に立ち寄れる店作りを
行っている。昨年からは鶴仙渓に川床を設置している【石
川・山中】。
・「江戸情緒を楽しむ宿」として、宴会で芸や遊びを楽しめる
①“健康”をテーマに「ヘルシー料理と温泉浴・森林浴」、“料
ほか、「貞千代の外で楽しむコース」として「屋形船コース」
理”をテーマに「旅館の料理と調理人、食材と農家」、
“家族”
や「江戸めぐりコース」を設けて、館外へも案内をしている
をテーマに「父と息子の夏休み:カブトムシ採りと貸切風呂」
【助六の宿 貞千代(東京・浅草)】。
といった、旅館と地域の魅力を組み合わせた宿泊プランを作
る。
・「にいがた食の陣」として、新潟市内の農業・漁業や商店街、
宿泊施設、交通機関等、幅広い団体が参画して、新潟の豊か
な食材を活かしたメニューの提供や現場で食を体験するミニ
ツアーなどを実施している【事務局:新潟市旅館協同組合、
新潟市補助事業】。
② 季節ごとに、旅館での催しと地域の魅力をリンクさせた宿泊
プランを企画し、タイムリーな情報としてホームページで発
信する(例:新緑、紅葉、祭事の際の郷土料理・冠婚葬祭時
の料理、芸術の秋とアート展 等)。
③ 夜の観劇・レイトショーやナイター、花火、夜祭り、忘年会
などの地域の行事・イベントや宴会等と組み合わせた宿泊プ
・「十勝川モール温泉+ばんえいナイトレース観戦プラン」は、
十勝川温泉の旅館8軒が企画する宿泊プラン。プレミアムラ
ウンジでの観戦やバックヤードツアー、協賛競争優勝馬との
記念撮影等の特典がある。参画旅館は、温泉街と帯広競馬場
間の送迎や月替わりの特製幕の内弁当の創作等について協力
する【北海道・十勝川】。
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(取組テーマ)
(取組内容)
(取組旅館・ホテル事例)
ランをつくる(例:レイトチェックイン、夕食の代わりに軽
い夜食の提供、劇場や球場等からのタクシー券付き 等)。
・ 約3,500匹の鯉のぼりが上げられる「杖立温泉鯉のぼり祭
り」が開催される期間のうち5月の大型連休期間中に昼食バ
イキングを行っている【杖立観光ホテルひぜんや(熊本・杖
立)】。
6.宿泊全体にわたる配慮事項 −お客様の個々の事情や要望に応える
6−1.特別の配慮が必要なお客様への対応
① 高齢者・身体の不自由なお客様
・ 段差の解消や車イスの通行が可能なスペースの確保、照明の
明るさや床面の滑りにくさなど、移動面で安全なハード整備
に取り組む。
・ バリアフリー仕様ではあっても、手すりやスロープ等は温か
みのある材質や色とし、旅館の雰囲気を損なわないように配
慮する。
・ ハードをすべてバリアフリーに改善できない場合でも、ス
タッフの適切な介助により対応する、誘導や手話等のスキル、
車イスの方と目線を合わせて話しかけるといったおもてなし
の対応方について習得する。
② 小さな子供連れ
・ 赤ちゃんや小さな子供連れが、気兼ねなくリラックスして滞
在できるように、理解のある気持ちで受け入れ、客室の防音
やオムツ専用ゴミ箱等、ハードや設備の面でも対応する。
・ 高齢で身体が不自由なお客様の場合、予約の段階で失礼のな
い範囲でお伺いし、該当する場合は障害者用トイレの近くの
部屋を用意している。また、仲居もそのような接客に慣れて
いる者をつけるようにしている。入浴も介護が必要であれば
対応している【慶雲館(山梨・西山)】。
・ 和風の温泉旅館の情緒を大切にしながら、移動面や温泉入浴
についてバリアフリー化に取り組んでいる。また、ホーム
ページ上で、館内の場面ごとのバリアフリー対応状況につい
て情報を載せている【ホテル玉之湯(長野・松本あさま)】。
・ 子供連れの家族向けに多彩なサービスを提供(「キッズシー
サー」)。子供向けのアクティビティ、スイーツラウンジ、
「キッズレセプションカウンター」の設置、ベビーカーのレ
ンタル、万が一の際の病院の紹介など【ロイヤルガーデンリ
ゾートオキナワ(沖縄・石川市)】。
・ 和洋中の離乳食メニューを選ぶことができる(各924円、
中華のみ夕食のみ。和洋は朝食・夕食)【沖縄かりゆしビー
チリゾート・オーシャンスパ(恩納村)】。
6−2.記念日旅行などを目的とするお客様への対応
① 記念日旅行かどうか、どのような要望があるかを的確に把握 ・ バレンタインデーや母・父の日といった季節ごとの社会的な
イベントとともに、個人の人生における長寿や還暦、懐妊、
できるように、宿泊目的などについての情報収集を心がける。
結婚記念日、誕生日、昇進といった節目を捉えて“記念日”
特に、サプライズのプレゼントがある場合などは、部署を横
をテーマとした多彩な宿泊プランを企画している【源氏香
断して情報共有するなど慎重に対応する。
(愛知・南知多山海)】。
② 記念日旅行の場合、到着時にお客様の名前とともに祝福の言 ・ 旅館から最寄りの鉄道駅等までの送迎を、高級車で行う【料
亭旅館つつじ亭(群馬・草津)、陶泉 御所坊(兵庫・有馬)
葉をかけるなど、祝福と歓迎の気持ちを表現する。ただし、
等】
何らかの事情がある場合もあるので、事前の情報収集を入念
に行う。
③ 館内の気に入った場所で記念撮影に応じられるよう、スタッ
フが写真撮影の技術を高めたり、より高品質な写真が撮影で
きるようライト等の設備を準備する。地元に写真店がある場
合は、プロによる記念写真の撮影を斡旋する。
④ 夕食時や食後のラウンジなどで、花束やシャンパン、ワイン、
ケーキ等で祝福する。
⑤ 最寄りの駅などから旅館まで、特別仕様の車で送迎を行う。
6−3.お客様の価値観、ライフスタイルへの対応
① 環境や健康への意識が高いお客様
・ 泊の場合に、シーツやタオルの交換を最低限とする。それら
を洗う洗剤も自然由来のものを使用する。
・ オーガニック素材にこだわったリネンとアメニティを設置し
た「オーガニックルーム」がある【ほほえみの宿 滝の湯
(山形・天童)】。
・ 大浴場や洗面所の石鹸やシャンプー類を、界面活性剤等を使
わない、身体に優しいものとする。
・「ECO(エコ)割引」を実施。タオル・バスタオル・浴
衣・歯ブラシ・箸等が不要な場合、1人千円を割引く(ただ
し1泊2食で宿泊の場合)【潮彩きらら祥吉(兵庫・赤穂)】
・ トイレの芳香剤が過度に香らないように配慮する。
・ 禁煙ルームを準備したり、「禁煙者・喫煙者」別に宿泊日や
フロアを分ける。
② 趣味や志向へのこだわりがあるお客様
・ 建築デザインに関心のあるお客様に対しては、客室の広さや
設備(露天風呂付き等)、内装のデザイン等のバリエーショ
ンの中から選択できる旨を積極的に案内することで、再来訪
を促す(例:純和風、大正ロマン、アジアンリゾート、アー
ト作品の展示 等)。
・ 旅館の歴史や建物にまつわる謂われやエピソードをPRする
ことで、歴史や建築に関心のある人を惹きつける。
・「安心安全なホテル宣言」を行い、シャンプー・リンス・石
鹸等は有害成分を含まないものとし、タオル類は人体に無害
な洗剤で洗濯している【城山観光ホテル(鹿児島市内)】。
・「楽しみながら健康と環境にやさしく」をテーマとする特別
室「LOHASpa」を設けている。夕食は、東北海道の食材を
使った手作り料理を提供、ベットや枕、アメニティにもこだ
わっている(例:イオンスチーマー等)【川湯観光ホテル
(北海道・川湯)】。
・「保養とアートの宿」というコンセプトの下、館内に現代
アート作品を展示し、催事など芸術家との交流も活発である。
従業員へアート作品を通じて経営哲学を伝えるなど人材育成
にもアートを活用している【大黒屋(栃木・板室)】。
・ 経営者の目利きで収集したアート作品を全館に展示したり、
芸術家との交流の場を設けることで、その分野に関心を持つ ・ 主に忙しい女性向けに、昼12時までルームサービスで可能
人を惹き付ける。
な朝食、温泉とエステ、創作和食という内容で、リラックス
と自分へのご褒美を体験できる「女性の一人旅プラン」を提
③ 出張ビジネスマンや一人旅のお客様
供している【ホテル五龍館(長野・白馬八方)】。
・ ビジネスマンにとってニーズの高い設備や備品類の有無な
ど、詳細な情報の提供を行う(例:インターネット環境、デ
スクの大きさ、電気スタンドの有無 等)。
・ 一人旅の場合、客室の広さや料理の内容によっては、それら
を持てあましたり、一人で居心地が悪く感じることがないよ
うに、事前の情報提供等、配慮を行う。
出典:JTB協定旅館ホテル連盟「旅館経営研究委員会 報告書」 2008 年度 より抜粋して作成
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