2013 年度自己評価 ≪本年度の重点目標

ひばりが丘明星幼稚園
2013 年度自己評価
(はじめに)
本年度は、昨年度より開設された幼稚園保育室が本格的に始動し、園児数は総勢 100 名以上、中でも
年少組、幼稚園保育室に通う 1,2 歳児など年齢の低い子の割合が多く、より一層、一人ひとりを見つめ
寄り添う保育が大切だと感じる。昨今のマスコミ報道からも、子どもが置かれている状況は、虐待、い
じめ、自殺など「いのち」を軽視した事件が頻発している。今こそ、神様から与えられた「いのち」に
ついてその尊さを知り、感謝し、「あなたはあなたのままで愛されている」神様の愛の中で自らを愛し、
隣人を愛し、共に成長していくことのできる集団でありたい。これらのことから、今年度は、今一度キ
リスト教保育という建学の精神に立ち返ることとした。
本園の保育目標
『光の子ども―光の持つ明るさ、やさしさ、強さ、豊かさをもつ子ども―』
キリスト教が示す神の愛と、神から与えられた命の尊さを知り、感謝し、共に生きる喜びを味わい、
愛と自由と希望に生きる主体的で豊かな人間性を養う。
≪本年度の重点目標≫
「
あふれる愛
(1)
(2)
(3)
∼ちいさきものとともに∼
」
子どもたちが安らかに穏やかに呼吸できる幼稚園
子どもたちの生き生きとした目の輝きのある幼稚園
笑顔で子どもと目線を合わせ喜んで生活する保育者
≪目標達成の具体的手だてと反省・評価≫
(1)
子どもたちが安らかに穏やかに呼吸できる幼稚園
① 園児一人ひとりが喜んで幼稚園に通い、楽しい時を過ごしているかに着目する。
〈解説〉園児は一人ひとり違った個性を持ち、また成長にも個人差がある。一人ひとりがどのよう
な思いで幼稚園での時を過ごしているのかを常に着目していたい。保育者が、保育室の年
齢の低い子どもを含めた全園児の育ちを見つめ共に過ごすことで、成長の発達段階を理解
し、また十分に連携を取り合うことによって子ども理解が偏らないように注意したい。
〈反省・評価〉
・保育者全員が園児全員を把握するために、より丁寧にミーティングの時を持った。
・特に支援が必要な園児に対しては、時に応じて担当を決め、安全に過ごせる空間を確保
した。また担当を場所・時間によって臨機応変に交代するなどで、教師間で共通の理解
を持てるようにした。
・毎週行っている礼拝では、いつも傍で守ってくださる方(神様)がいると感じられる聖
書のお話をし、キリスト教の神の愛を伝え、心の安心に繋げた。
・保護者のアンケ−トでは、以下の結果であった。
◎お子さんは喜んで幼稚園に通っていますか。
A 89.1%
B 10%
C 0.9%
◎明るい雰囲気で親しみが持て、楽しい雰囲気で保育がなされていると思いますか。
A 94%
B 6%
以上のことから、この一年を通して、園児は喜んで幼稚園に通い、保護者は、幼稚園は楽し
い時を過ごせる雰囲気だと感じていると思われる。
② より多くの友だちとの出会いの場となるように工夫する。
<解説>多くの違った個性の友だちと出会うことにより、多くの刺激を受け自らの成長の糧になる
ばかりでなく、相手を思いやる気持ちが持てるようになる。同年齢だけはなく、異年齢と
の出会いを様々な活動の中で提供していきたい。
<反省・評価>
好きな場所で、好きな友だちと遊ぶ時、全園児で共に過ごす時、同年齢のクラスで過ご
す時、異年齢のグル−プで過ごす時など、年間を通して一人の園児がたくさんの園児と
出会うことができる場を工夫してきた。園外保育では年長児はできるだけ年少児と手を
つなぎ現地まで歩くようにした。また、数回の遠足では、少人数の縦割りのグル−プを
作って行動した。ほぼ1ヶ月間継続して製作活動に取り組み、できた物を売り買いして
楽しむお店屋さんごっこの活動では、全園児が自分の選んだ店のグル−プで助け合って
活動することができた。クリスマスの降誕劇では、場面ごとのグル−プに分かれ劇作り
に取り組んだ。それらの経験の中で自分と相手の違いを理解し、互いに折り合いをつけ
ながら遊ぶ姿や、思いやりを持って接する姿などが多く見られた。
また、園児同士にとどまらず、年2回、小学生以上の兄弟や父親も参加しやすいように
土曜日を利用して『親子レクレ−ション』を企画し、家族同士の交流の場も設けた。こ
れは、どちらも30組以上の家族の参加となり、幼稚園の活動へ参加することが少ない
父親の幼稚園理解にも繋がった。保護者が安心して送り出せる場所として幼稚園を理解
することで、結果子どもの安心できる居場所となった。
③ 安全に配慮し、また自ら危険を回避できるように促し、安心して過ごせる場とする。
〈解説〉保育者は、子ども一人ひとりの遊びを把握し、連携を取りながら各場所での子どもの動向
を見ていく必要がある。そこで、保育者が一方的に危険な環境を排除することは容易では
あるが、それがなぜ危険なのか、なぜ排除するのか、経験を通して子どもたち自ら考え、
皆で話し合って、安全な環境を子どもと共に作っていきたいと考える。
そのために、様々な場面を体験し、予想される危険・ニュ−スなどでの自然災害を話し合
うなど、自らの力で安全を守る大切さを気づかせたい。
<反省・評価>
・年長組は例年通り、防災センタ−を見学した。そこで学んだことを全園児に発表し、全
園児が防災の意識を高めることができた。
・災害に応じて、どう行動するべきかを子どもたちと話し合い、避難訓練を実施した。そ
の際に、保育者も訓練結果を通して見えてきた課題について考え合った。
・保育室の年齢の低い子どもたち・支援の必要な子どもたちと共に同じ空間で遊び、過ご
すことによって、自分の力で危険を回避することが難しい者たちもいるということに気
づくことができた。
「年少組と一緒の時は、補助なし自転車を乗り回すのは危険」など、
自分のことだけでなく全体で気を配り合い危険を回避しようとする意識を育てることが
できた。
(1)の評価・・・・・・A・・・・・・・
(2) 子どもたちの生き生きとした目の輝きのある幼稚園
① 幼児自ら考え、工夫し、探求する場、達成する場となるような環境を設定する。
<解説>自我意識が芽生えている幼児は、自分なりの思いを持っている。従って幼稚園の生活も、
指示されることや、教えられることよりも、自ら考えたことを実行し、共に工夫しなが
ら活動することを重視したい。日々の子どもたちの遊びに目を留め、一人や数人の遊び
が、全体の遊びとなるように援助したい。また、様々な活動を通して、みんなで考え合
って取り組むことを経験し、その達成感を共に感じることができるように促し、時には、
保育者が軌道修正しながら進めていきたい。
<反省・評価>
自分の思いを自由に実現できる時間と空間をゆったり取ることで、それぞれに自らの意
志で友だちを見つけ、自分の選んだ場所で遊び、のびのび過ごす姿を多く見ることがで
きた。運動会では、玉入れ、リレ−などを自由に誰もが取り組めるように環境を作り、
繰り返し遊ぶ中で必要なル−ルを理解していき、その後に種目に取り入れることで仲間
と共に力をあわせ競争する楽しさを味わうことができた。
縦割りの活動で進めたお店屋さんごっこの品物作りでは、何を作ってどのようなお店
にしたいかを保育者が提供するのではなく、考え合ったり話し合ったりする時間を多く
持った。特に経験を重ねている年中児や年長児は、一人ひとりの思いもあり、どのよう
な品物をどのように作るか、どんな材料が必要かなど、考え合う姿が多く見られた。
また、一年間のまとめとして2月に行った発表会では、自分たちで表現してみたい劇
を相談しながら自らが選び、その表現方法を工夫し、どのクラスもそれぞれに成長に相
応しい発表ができた。
②
保育者は、幼児一人ひとりが、自己肯定感を持ち主体的に過ごしているかに着目する。
<解説> 園全体・クラス全体のように子どもを集団としてとらえるのではなく、日々の活動の中
の一人ひとりを丁寧に見ることが大切である。またそれを共通理解し合える保育者集団
でありたい。
<反省・評価>
・ミ−ティングで、一人ひとりの心の育ちに目を向けて小さな出来事も報告し合い、幼
児理解を深めることができた。
・自由に遊ぶ時間を多くもつことで、それぞれ個性を持つ子どもたちが、時にはぶつか
り合う経験をしながら深く接しあい、関係を築き、育ちあう集団となるよう援助した。
トラブルが起こった時には、子ども同士のぶつかり合いは成長の上で必要な経験であ
ると保護者にも伝え理解してもらえるよう努めた。それぞれが深く遊び込む経験の中
で、互いの違いを知り、認め、また自分を知り、皆が必要な存在だと感じるようにな
った。
・保育者自身もそれぞれ自分の個性を大切にし、認め尊重し合い、それぞれの年代から
の視点で幼児への関わりを持ち互いに報告し合う時を持った。
・自然に多く触れ、生き物の飼育・野菜の栽培などの活動を行い、いのちの不思議さ・
尊さを感じ、自らのいのちについても考えるきっかけとなった。
・保護者アンケ−トでは
◎個々のお子様に必要な援助がなされていると思いますか
A 74.5%
B 24.5%
C 1%
との回答があり、保護者から見た個々の対応に着目すると今ひとつ評価されていな
いと感じる。バス通園の子どもの保護者とは、気軽にコミュニケ−ションを取るこ
とは難しいなど保護者とのコミュニケ−ションに、ばらつきが出てしまうためでは
ないかと考える。この反省から、来年度は、以前から用いていた連絡帳を、日々の
さりげない様子も伝えるのにもっと活用していきたいと考える。
保護者に伝わっていたか、否かは、今後の課題とするとして、幼児一人ひとりにつ
いては目標を達成していたと考える。よって以下の評価とした。
(2)の評価
・・・・・・A・・・・・・
(3)笑顔で子どもと目線を合わせて喜んで生活する保育者
①保育者自身が神様のあふれる愛に包まれていることに気づき、感謝し、喜びを持って生きる。
<解説>私たちが保育の場にいることは、既に偶然の出来事ではなく、神の導きにより、役目を
持って遣わされたのだと考える。子どもたちと共に過ごすことを許され、ここにいる私た
ちの傍には、子どもたち同様神様がいる。そのことに感謝し、喜んで生活したい。
<反省・評価>
毎日子どもと月ごとの「聖書のことば」を暗唱するが、その聖句について詳しく調べて
学ぶ聖書研究の時間を月1度のペ−スで持った。調べる担当は、順番制にし、聞くだけの
学びではなく主体的に学ぶことができるようにした。考えや感想を述べ合い、牧師の助言
をいただくことで、聖句がただの唱え言葉としてではなく信仰的な深い理解のもと子ども
たちと共に考えいくものになった。
その聖書研究の中で、時には、保育者自身の悩みに寄り添い、互いの欠けている部分を
さらけ出し、だからこそ補い助け合う仲間(保育者集団)、そして神様がいてくださるの
だというところに立ち返り、日々を過ごす活力を得ることができた。
保育者の祈る姿・信仰を通して子どもたちも神様と出会うと考える。まず私たち保育者
が感謝と喜びを持って生き生きと日々を過ごすことに重点を置いた。
②子ども一人ひとりの個性を大切にし、愛おしむ思いを持って過ごす。
<解説>子どもは、一人ひとり大きな宝物を持って生まれ、どの子も尊い存在である。保育者は
子どもを先導してここまで成長させるというのではなく、子どもに学び、子どもに教わり、
共に成長していく思いで子ども一人ひとりを見つめたい。その個性のままのびのびと成長
していく子どもの姿は、愛しさにあふれ保育者の大きな喜びとなる。
<反省・評価>
幼稚園保育室の小さいヨチヨチ歩きの子どもたちとの出会いは、無条件に子どもの愛
おしさを感じるものとなった。その子どもたちの成長は、目に見えるかのように早く、
また、そこには自ら成長しようとする力が大きく存在し、保育者が教え込んで成長させ
るものではないとの学びがあった。まず保育者が笑顔で生き生きと関わることが子ども
たちを笑顔にするという簡単なようで忘れがちな原点にも気づくことができた。
③ 保育者同士、互いに認め尊重しあい、何でも言い合える関係を築く。
<解説>幼稚園保育室の開設により、新任教師も含め、職員数がこれまでより2倍近くに増
えた。職員同士が良い関係を築き、自由で暖かい雰囲気の中で、初めて当幼稚園の職
員となった者も、自然に当園の建学の精神を受けとめて子ども向き合うものでありた
い。また日々の会話の中で、大切なものは何かが見えてきたり、迷いへのヒントが得
られることもある。何気ない子どもの様子・会話を拾い、話題にし、喜び合える、風
通しの良い仲間を目指したい。
<反省・評価>
新任研修の時間を持ったり、全職員が一同に介する機会を作るなど、コミュニケ−シ
ョンを取りやすいようその機会を設定したが、十分ではなく、今後も互いの保育観を
共有するためにも、更に多くの話し合いの場を持つ必要を感じる。保育者同士風通し
の良い関係を築くことを目標とし全職員がその意識を持って取り組んでいきたい。
(3)の評価・・・・・・B・・・・・・
≪次年度の重点目標≫
「
あふれる愛
∼これからもともに∼
」
(1)
子どもたちが安心して過ごし、生き生きと輝いている幼稚園
(2)
保護者、地域と手を携えて子どもとともに育ち合う幼稚園
〈解説〉
今年度の目標が建学の精神に立ち返ったことにより、保育の質の向上、保育者としての資質向上の意
味を深く考えることができた。更に今後は、個々の考えを全体の考えとして確立したい。保育の質の高
さとは何かを考え追求し、幼稚園として、子どもの育ちに何が大切なのかを、保護者や地域にむけて提
言する責任があると強く感じている。
次年度は、子ども・子育て支援新制度の動きも進むと予想されるので、より一層地域に根ざした幼稚
園としての役割を探求しながらも、建学の精神から揺るがずに、キリストの愛に包まれて喜びを持って
生き、保育の質の向上に努めたい。