J. Plasma Fusion Res. Vol.86, No.12 (2010)6 81‐684 小特集 周辺プラズマからプラズマ対向壁材料までのシミュレーションコード・モデルの最前線 2.周辺プラズマシミュレーション 星 野 一 生1),藤 間 光 徳2) 1) 日本原子力研究開発機構,2)慶應義塾大学大学院理工学研究科 (原稿受付:2 0 1 0年8月2 6日) コアプラズマと固体壁とをつなぐ周辺領域では,プラズマ,中性粒子,不純物の間の相互作用が非常に強い. そのため,それぞれの輸送モデルを結合したダイバータコードが,周辺プラズマの解析や,ダイバータ設計のた めの熱負荷の予測評価などに用いられている.本章では,統合ダイバータコード SONIC を例にとり,周辺プラズ マシミュレーションで用いるモデル・仮定について解説する.また,海外のダイバータコードとして,ITER のダ イバータ設計にも用いられている SOLPS についても簡単に紹介する. Keywords: SOL/Divertor plasma simulation, boundary plasma simulation, plasma fluid model, neutral Monte-Carlo model, SONIC code, SOLPS code 2. 1 はじめに 2. 2 SONIC コード 磁場閉じ込め核融合装置において,周辺プラズマ領域と SONIC は,プラズマ流体コード SOLDOR,中性粒子 MC は,コアプラズマを取り囲むスクレイプオフ層(SOL)と コード NEUT2D,不純物 MC コード IMPMC からなる統 ダイバータ領域を併せて指す.周辺プラズマには,コアプ 合ダイバータコードであり,JT-60U の実験解析 [6, 8‐10] ラズマから高エネルギープラズマが流入する一方,固体壁 やJT‐60SAのヘリウム排気特性評価 [11],原型炉等のダイ (ダイバータ)と接し相互作用を起こす.そのため,周辺プ バータ設計[12]等に利用されている.不純物輸送モデルに ラズマのシミュレーションでは,プラズマ輸送,中性粒子 ついては第3章で詳しく解説するため,ここではプラズマ 輸送,原子・分子過程,さらには,壁との相互作用により および中性粒子モデルについてそれぞれ解説する. 発生する不純物の輸送等をモデル化し,それらを相互矛盾 2. 2. 1 プラズマモデル のないよう総合的に取り扱う必要がある. 解析領域と基礎方程式 プラズマ輸送については,主に計算コストの観点から流 プラズマ流体コード SOLDOR は,トカマクを対象とし, 体モデルが用いられることが多い.2次元プラズマ流体 軸対称を仮定している.磁力線方向の運動をポロイダル面 コードとしては,B2 [1],UEDGE[2],SOLDOR[3]等がよ に投影し,磁気面に沿った方向とそれに垂直な径方向の2 く知られている.一方,中性粒子輸送については,複雑な 次元で解析を行う.解析は,図1に示すような,MHD 平衡 原子・分子過程や,ダイバータ幾何形状を考慮する必要が 計算によって与えられる実際の磁場配位に基づき作成した あるため,モンテカルロ(MC)法により Boltzmann 方程式 解析メッシュ上で行う.濃く色付けされた部分が,SOLDOR を直接解く運動論的な取り扱いが用いられることが多い. が対象とする解析領域である.この解析メッシュ上で,粒 そのような中性粒子 MC コードには,EIRENE[4],DE- 子,運動量,イオンエネルギー,電子エネルギーの4つの GAS [5],NEUT2D [3]等がある.周辺プラズマ領域にお 保存式を解くことで,イオン粒子数密度 $!,磁力線平行方 ける不純物輸送モデルについては,簡易放射冷却モデルに 向のイオン流速 %!!!,イオン温度 "#,電子温度 ""の2次元 よる取り扱い,プラズマと同様な流体的取り扱い,MC 分布を求める.ただし,添え字 a はイオン粒子種(重水素, コードによる粒子的な取り扱いがある.これらプラズマ, 三重水素,不純物,etc)を表し,イオン温度については全 中性粒子,不純物の輸送モデルを相互に結合したダイバー てのイオン種で共通("!""#)と仮定している.基礎方程 タコードは,実験で観測されたダイバータプラズマ特性の 式である4つの保存式は,Braginskii の流体方程式[13]を 解析や,ダイバータ設計等に用いられている. 基に導出されている.運動量の保存式については,準中性 2. 2節では,統合ダイバータコード SONIC[6]を例とし ,$"は電子密度,#!は!種イオンの電荷 条件($"""% #!$!& て,モデルや仮定,数値解法について解説する.2. 3節で 数),電流ゼロ,拡散近似(%# "% ! $,%# および !!#$#$& は,ITER のダイバータ設計にも用いられている SOLPS !# は磁力線垂直方向の流速および拡散係数)等を用いて, 磁力線平行方向のイオン運動量のみ解いている.基礎方程 [7]コードについて簡単に紹介する. 式系の具体的な表式は文献[3]を参照していただきたい. 2. SOL / Divertor Plasma Simulation HOSHINO Kazuo and TOMA Mitsunori corresponding author’s e-mail: [email protected] 681 !2010 The Japan Society of Plasma Science and Nuclear Fusion Research Journal of Plasma and Fusion Research Vol.86, No.12 December 2010 数は Braginskii の表式[1 3]により与える.ただし,平均自 由行程が磁力線平行方向のプラズマの勾配長と同程度に なってくると,この仮定は正しくなく,運動論的効果を考 慮した補正が必要になる.この補正は Flux Limiter と呼ば ( れ,例 え ば 電 子 エ ネ ル ギ ー フ ラ ッ ク ス (* #!κ*$""$* (κe:電子熱伝導係数)は次式によって制限される. (*# ( (* ( - +(*" (* & ""% (4) +ただし,(* (*1*:電子熱速度)は,自由な流れに #$*1*'$* よるエネルギーフラックスである.パラメータ $には粒子 シミュレーションの結果から 0.2 程度を与えることが多い. 一方,近年の粒子シミュレーション研究により,衝突周波 数や不純物放射等に対する $の依存性が明らかになりつつ あり[14],今後そのような依存性を取り入れていく必要が ある. 磁力線垂直方向の輸送については,異常輸送を仮定し, 粒子および熱に対する輸送係数を入力データとして与え る.これまで,この磁力線垂直方向の輸送係数は空間一様 で与えていた.しかし,最近の周辺プラズマシミュレー ション研究では,赤道面において実験で計測された密度・ 図1 JT-60U の MHD 平衡から作成した SONIC の数値解析メッ シュ. 温度の径方向分布が再現できるように,輸送係数に空間分 布を持たせたり,ピンチ項を加えたりすることが多くなっ ている.ただし,いずれに場合も,明確な物理モデルに基 境界条件 づくものでないことは,常に留意しておく必要がある. ソース項の評価 図1に示した SOLDOR の解析領域において,コアプラ ズマ側,SOL 端,プライベート領域端,ダイバータ板で境 中性粒子からプラズマへの寄与は,NEUT2D により評 界条件を与える.コアプラズマ側の境界は,コア周辺にお 価されたソース項(粒子数,運動量,イオンおよび電子エ ける不純物の挙動等を考慮するために,セパラトリクスの ネルギー)を各保存式に加えることで考慮している.不純 少し内側に設定し,粒子フラックス #,.およびエネルギー 物による寄与も同様であり,特に線放射による電子エネル フラックス #,.を与える. ギー損失の評価が重要である.SONIC では,IMPMC によ SOL 側については,壁までは解かず SOL 幅程度(外側赤 る電子エネルギー損失の評価の他に,簡易放射冷却モデル 道面で 3−5 cm)の場所に境界を置く.密度・温度に関し による評価を選択することができる.このモデルでは,各 ては径方向の減衰長を与え,速度に関しては)""'#!を仮定 メッシュにおける不純物密度 '& を背景イオン密度 ',に対 している.プライベート領域側の境界についても同様である. する割合 %で与え('2#% ',),この不純物密度を用いて電 ダイバータ側については,シース内まで流体モデルで扱 子のエネルギー損失 +/')#!'*'&"2% $*&を評価する.放射 うことは困難であるため,シース入り口で境界条件を与え パラメータ "2は,リサイクリング効果を考慮したものであ る.流速については以下のボーム条件を用いる. り,コロナモデルに比べて大きくなっている[15].この簡 )""'#!0#!% $,"$*& " &' 易放射冷却モデルを用いることで IMPMC を用いる場合に (1) 比べて計算時間が大幅に短縮されるため,ダイバータ設計 など,幅広いパラメータサーベイを短時間で行いたい場合 エネルギーフラックスについては, に適している. # ('#% $,'')""'""&')" '')""' , ' " # (2) (*#% *$ *' *) * " " (3) 数値解法 空間的には,任意のダイバータ形状を扱うために,有限 体積法で離散化している.ダイバータ近傍では物理量が急 により与える.ここで,!0はイオン音速,% *はイ ,および % 激に変化するため,図1に示すように SOL に比べてダイ ! %,% オンおよび電子のシース熱伝達係数で % *#$であ ,## バータ周辺では詳細なメッシュを作成している.時間に関 る[13].電子の速度 )""*は,電流ゼロの条件から導くこと しては,完全陰解法スキームで離散化を行っている.非定 ができる. 常問題も扱えるように非線形方程式は,Newton-Raphson 輸送係数 法による反復法を用いて解いている. 磁力線方向の輸送については,クーロン衝突に起因する 2次元問題であるが,計算時間短縮のため,近似因子化 古典的な輸送に従うとし,拡散,粘性,熱伝導等の輸送係 法によりポロイダル方向および径方向の1次元問題に還元 682 Special Topic Article 2. SOL/Divertor Plasma Simulation K. Hoshino and M. Toma する.得られた連立方程式はブロック3重対角行列になる いる.これにより,幾何形状効果を含め排気特性を正確に ので TDMA 法(Tri-Diagonal Matrix Algorithm)によって 評価することができる.また,SOLDOR へ渡すソース項 解く.流体方程式を解く際に数値不安定性をもたらす移流 を,中性粒子の発生源(内側ダイバータ,外側ダイバータ, 項の差分化にはついては,Chacravarthy による陰的 TVD SOL 側およびプライベート領域側の壁,体積再結合,ガス 法[16]を用いている. パ フ)ご と に 発 生 量 で 規 格 化 し て い る.こ れ に よ り, 2. 2. 2 中性粒子モデル SOLDOR のイタレーションにおいてプラズマ分布が少し 中性粒子 MC コード NEUT2D は,中性粒子(D,D2)の 変化しても,その変化を考慮してソース項の絶対値を求め 軌道を追跡し,中性粒子密度およびプラズマ(SOLDOR) ることができるため,系内の粒子数バランス(系内のイオ へ与える粒子生成項,運動量損失項,エネルギー損失項を ンと中性粒子の総粒子数.定常状態では, コア境界から 求める. 流入するイオン粒子束+ガスパフ=排気 が成り立つ)の 精度を高く保っている. 中性粒子は,プラズマイオンが壁に衝突し,そこで中性 化されることで発生する.イオンの入射エネルギーから求 MC モデルを用いる場合,MC ノイズ(乱数を用いたサン められる反射係数,エネルギー反射係数に応じて,原子 プリングのばらつきによるノイズ)と計算時間が問題とな (D)もしくは分子(D2)を発生させる.また,壁からの発生 る.NEUT2D では,pilling 法 [6]を用いることで前者の MC 以外にも,ガスパフおよびプラズマ体積中における再結合 ノイズを低減させている.定常分布を求める場合に,短い 過程によっても中性粒子が供給される. 時間(SOLDOR の時間ステップ幅 10−6 s 程度)の間には中 中性粒子は,表1に示すような原子・分子過程を考慮し 性粒子分布はあまり変化しないと仮定し,過去の MC 計算 ながら,壁と衝突するか荷電交換・弾性衝突が起こるまで の結果も用いることで,等価的にテスト粒子数を増やしノ 直線運動を続ける.壁に衝突した場合は,イオンの場合と イズを低減させている.この際,過去15回程度の結果を3 同様に反射係数を考慮して,新たな速度・方向で軌道追跡 つ程度のグループに分けて管理することで,必要なメモリ を続ける.電離・荷電交換・弾性衝突のいずれかが起こる 量を節約している.また,後者については,MPI(Message までの距離 !は,乱数 %(!!%!")を用いて次式により Passing Interface)を用いて大型並列計算機に最適化する 与える. ことで,計算時間を大幅に短縮している.これにより,他 の MC モデルを用いているダイバータコードでは準定常解 ! " #$ "!& '% ! $ $ $ * (*# を 得 る の に 数 日〜1ヶ 月 か か る と こ ろ を,SOLDOR- (5) NEUT2D では数時間で準定常解を得ることができる. ここで,$は軌道に沿った距離,$*(*# $ $は電子衝突電離,荷 2. 2. 3 シミュレーション例 電交換,弾性衝突を考慮した実効的な平均自由行程であ SONIC を用いたシミュレーション例として,JT-60U の る.衝突点で実際に起こった反応は,反応率に応じてモン X 点 MARFE の解析結果を図2に示す [6].計算条件は, テカルロ的に選択する. "%'"2 MW,#%'"2×1021 s−1,粒子および熱の磁力線垂直 方向の輸送係数は 0.3 m2/s および 1.0 m2/s である.不純物 粒子軌道に沿って,式 (5)の積分を行う必要があるが, NEUT2D では path-length estimator 法(PLE 法)を用いて については,IMPMC ではなく簡易放射冷却モデルを用い いる.PLE 法では,軌道上の計算セル #を粒子が通過する ており,不純物密度は背景イオン密度の 1% と仮定してい 距離 $ #およびそのセルにおける実効的な平均自由行程 # $*(*# '%が満たされたとき衝 $ "!& #" # $*(*# $を用いて,! $ る.図 (a)および(b)は,それぞれ電子密度,電子温度の2 突が起こったと考える.衝突による運動量・エネルギー変 り,ダイバータから X 点のセパラトリクスにかけて電子温 化はセルごとに記録され,プラズマの運動量およびエネル 度は 0.5−1 eV になり,X 点の密度は 4×1020 m−3 に達して ギーソース項として SOLDOR に与えられる. いる.図 C は,実験の分光計測から得られた密度および温度 次元分布である.強いガスパフ(#)+$$"8×1021 s−1)によ # NEUT2D は,図1に示す装置内全域を解析領域として 分布である [17].シミュレーションと同様に,X 点近傍 (ch33)で電子密度は 4×1020 m−3,電子温度は 0.5 eV 前後 表1 NEUT2D が考慮する原子分子過程(I-e:電子衝突電離, CX:荷電交換,EL:弾性衝突,DS:解離,RC:再結合) . Atom Molecule Ion I-e CX EL I-e DS DS EL DS DS DS RC であり,SONIC によるシミュレーション結果は,この実験 データをよく再現できている. D+ e+D→e+ +e D+ + D → D + D+ D+ + D → D+ + D e + D2 → e + D+ 2 +e e + D2 → e + D + D e + D2 → e + D+ + D + e D++ D2 → D+ + D2 + e + D+ 2 →e+D +D + e + D2 → e + D+ + D+ + e e + D+ 2 →D+D e + D+ → D 2. 3 SOLPS コード SOLPS [7]は,プラズマ流体コード B2 と中性粒子モンテ カルロコード EIRENE からなり,多くのトカマク実験のダ イバータ解析[7],ITER のダイバータ設計[18]にも利用さ れているダイバータコードである.以前は B2-EIRENE と 呼ばれていたが,可視化ツールやメッシュ生成ツールを含 めパッケージ化され,SOLPS と名称が変更された.国内で も,JT-60U の解析 [19, 20]や DEMO-CREST のダイバータ 熱負荷の評価[21]等に幅広く使われている. 683 Journal of Plasma and Fusion Research Vol.86, No.12 December 2010 ツールである.しかし,現在の周辺プラズマの理解および ダイバータコードでは,すべての実験データを再現できる までには至っていない(例えば, [26, 27]).また,Flux Limiter や磁力線垂直方向の輸送係数など不確かなフリー パラメータも多い.実験解析では,測定結果に基づきこれ らのフリーパラメータを与えてやればよいが,将来装置等 の予測シミュレーションでは経験的にフリーパラメータを 与えるしかない.第6章で解説するようなダイバータコー ドと不純物輸送コードや2体衝突モデルとの結合は,主に 不純物輸送の観点からではあるが,このようなフリーパラ メータを減らし,信頼性の高い予測シミュレーションを行 う上で非常に重要である. 参考文献 図2 [1]B.J. Braams, "A Multi-Fluid Code for the Simulation of the Edge Plasma in Tokamaks", NET Report, EUR-FU/XII80/87/68 (1987). [2]T.D. Rognlien et al., J. Nucl. Mater. 196-198, 347 (1992). [3]K. Shimizu et al., J. Nucl. Mater. 313-316, 1277 (2003). [4]D. Reiter, J. Nucl. Mater. 196-198, 80 (1992). [5]D. Heifetz et al., J. Comput. Phys. 46, 309 (1982). [6]H. Kawashima et al., Plasma. Fusion. Res. 1, 031 (2006). [7]R. Schneider et al., Contrib. Plasma Phys. 46, 3 (2006). [8]H. Kawashima et al., Plasma Phys. Control. Fusion 49, S 77 (2007). [9]H. Kawashima J. Nucl. Mater. 363-365, 786 (2007). [1 0]K. Hoshino et al., J. Plasma Fusion Res. SERIES, 9, 592 (2010). [1 1]K. Shimizu et al., Nucl. Fusion 49, 065028 (2009). [1 2]H. Kawashima et al., Nucl. Fusion 49, 065007 (2009). [1 3]S. Braginskii, Rev. Plasma Phys. 1, 205, Consultants Bureau, NewYork, 1965. [1 4]A. Froese et al., Plasma Fusion Res. 5, S1017 (2010). [1 5]D.E. Post, J. Nucl. Mater. 220-222, 143 (1995). [1 6]S.R. Chacravarthy and S. Osher, AIAA paper 85-0363 (1985). [1 7]T. Nakano, Proc. 4th Fusion Energy Association Meeting of AESJ and JSPF, 1A032 (2002). [1 8]A.S. Kukushkin et al., Nucl. Fusion 49, 075008 (2009). [1 9]A. Hatayama et al., in Proc. of the 19th IAEA Fusion Energy Conference, Lyon, France, October 2002. [2 0]K. Hoshino et al., J. Nucl. Mater. 363-365, 539 (2007). [2 1]M. Ishida et al., Contrib. Plasma Phys. 50, 362 (2010). [2 2]D.P. Coster et al., in Proc. of the 19th IAEA Fusion Energy Conference, Lyon, France, October 2002. [2 3]X. Bonnin et al., J. Nucl. Mater. 390-391, 264 (2009). [2 4]A.S. Kukushkin et al., Plasma Phys. Control. Fusion 44, 931 (2002). [2 5]V. Rozhansky et al., Nucl. Fusion 41, 387 (2001). [2 6]A.V. Chankin et al., Nucl. Fusion 49, 015004 (2009). [2 7]M. Wischmeier et al., J. Nucl. Mater. 390-391, 250 (2009). SONIC による JT-60U の数値解析結果[6] . (a) 電子密度, (b) 電子温度のダイバータ近傍の2次元分布. (c) は JT-60U 実験において,2次元分布図に示している視線の分光測定 から得られた電子密度・電子温度を各チャンネルで表して いる. SOLPS は,基本バージョンである SOLPS4.0 [22]からモ デルの改良によりいくつかのバージョンに派生している [23].まず,SOLPS4.0 は,数値スキームや境界条件等に若 干の違いはあるが,おおむね SOLDOR-NEUT2D と同様の モデルに基づいている.これに対し,ITER のダイバータ 設計では,EIRENE に対して中性粒子間衝突や光子輸送等 の効果を取り入れた SOLPS4.2 [24]が使われている.一方, ドリフトや電流の効果を取り入れた B2.5 [25]を用いている SOLPS5.0 [7]は,実験解析等に用いられることが多い.現 在,改良版 EIRENE と B2.5 を結合した SOLPS5.1 [23]の整 備が進められており,このバージョンが ITER を含め今後 の主バージョンとなっていくと考えられる.文献[7]には, 基礎方程式をはじめ,SOLPSコードを用いた多くの解析例 がまとめられているので,是非参考にしていただきたい. おわりに ダイバータコードは,プラズマ・中性粒子・不純物を含 む複雑なプラズマ特性を解析・予測する上で非常に有用な 684
© Copyright 2024 Paperzz