BX-U装置における非中性プラズマの生成・入射・閉じ込め特性 30aA34P

30aA34P
BX-U装置における非中性プラズマの生成・入射・閉じ込め特性
Properties of non-neutral plasmas on the BX-U machine
田中希未子,森田康平,野呂紘司,山本佳明,日野慎太郎,比村治彦,三瓶明希夫,政宗貞男
京都工繊大・工芸科学研究科・電子システム工学専攻
Kimiko TANAKA , Kohei MORITA, Koji NORO, Yoshiaki YAMAMOTO, Shintaro HINO, Haruhiko HIMURA et al.
Department of Electronics, Kyoto Institute of Technology
変形マルンバーク型実験装置 BX-U [1] において,2 流体プラズマ生成実験を行うための斜入射電子
銃および水素プラズマ源の開発を行い,現在,それらの動特性を調べている.そして,これらを用いた
2 流体実験の準備を進めている.
BX-Uにおける電子プラズマの生成はLaB6をカソードとする電子銃で行っており,カソードから排出
されるドレイン電流量によって電子プラズマ密度をコントロールできる.BX-Uにおいては水素プラズ
マ源が装置対称軸上に置かれているので,この電子銃は対称軸から離れた位置に設置されている.この
ため,射出された電子ビームはソレノイド磁場を横切り,対称軸まで偏向する必要がある.このビーム
偏向を引き起こすための方法として,我々はE×Bドリフトを用いており,装置内部に設置した平行平板
電極で磁場に垂直な外部電場を作っている.図 1 は,電子ビームが偏向される様子を装置端部に設置さ
れたエネルギー分析機能付き蛍光板 [2] の発光で観察した様子である.典型的な磁場強度(300 G)にお
いて平行平板電極に~ 1.4 kVの電位差を与えた時,計算では単一電子が対称軸方向に~ 30 mmシフトす
るが,実験における電子ビームは~ 20 mmのシフトとなっている.
ポテンシャル井戸中へと入射し,閉じ込められた電子プラズマのダイナミクスは,ポテンシャルバリ
アを開けるタイミングを変化させることで調べている.ポテンシャル井戸への入射から約 0.6 ms後に
ポテンシャルバリアを開けた時の画像データでは発光がブロードに分布しており,電子プラズマが平衡
に達していないが,ポテンシャル井戸への入射から約 1.3 ms後では,図 2 のように,対称軸付近に発
光が収斂し,電子プラズマが平衡状態に達していることがわかる.この平衡状態から約 4 ms後にポテ
ンシャルバリアを開けると,発光は再びブロードな分布となり,プラズマの拡散が生じている.この拡
散時間は,バックグラウンド中性粒子(P0 ~ 10-8 Torr)と電子との衝突時間τe nと概ね一致している.
[1] H. Himura et al., Non-Neutral Plasma Physics IV, vol, 666 (2002) p. 641. [2] K. Morita et al.,
accepted for publications in Plasma and Fusion Research (2007).
図 1 電子ビームの偏向の様子を蛍光板の発光で観察
した写真.左は E = 0 V/m のときであり,電子ビーム
は装置対称軸から∼20 mm の地点にある.
右は E = 45
kV/m のときであり,ビームは対称軸付近まで偏向さ
れている.
図 2 トラップへの入射から 1.3 ms 後にポテンシャル
バリアを開けたときの蛍光板の発光の様子.対称軸付
近に電子プラズマが収斂しており,平衡状態に近づい
ていることがわかる.