事 ね 項 ら 指 導 参 考 内 容 台湾輸出に対応したりんご中・晩生種の病害虫防除体系の組み立て方と事例紹介 台湾向けのりんごでは、モモシンクイガの完全防除と、日本とは異なる残留農薬への対 い 応が求められている。そこで、台湾輸出に配慮した農薬で組み立てた病害虫防除体系を実 施したところ、問題となる病害虫もなく、台湾の残留基準値を満たすことができたので参 考に供する。 1 台湾輸出に対応した防除体系の組み立て方 (1)青森県りんご病害虫防除暦採用農薬の中から、台湾で残留基準値の設定をする必要 がない農薬、台湾の残留基準値が日本より緩いもの、台湾と日本の残留基準値が同じ ものを優先的に取り入れる。 (2)台湾の残留基準値が日本よりも厳しいものは、使用時期を早める、あるいは使用回 数を少なくする。 (3)台湾で残留基準値の設定されていないものは使用しない。 2 台湾輸出に対応した防除体系における病害虫の発生状況 これまでの試験事例では、病害・虫害ともに問題となるものはない。 3 台湾輸出に対応した防除体系における残留農薬の検出状況 これまでの試験事例で、試験に供した農薬では、中・晩生種ともに台湾の残留基準値 を上回る値は検出されていない。 平成24年 青森県りんご病害虫防除暦採用農薬の台湾における残留基準値の設定状況 薬 剤 名 薬 剤 名 薬 剤 名 設定が必要ない ダントツ水溶剤 スミチオン水和剤40 ポリオキシンAL水和剤 サイハロン水和剤 デミリン水和剤 炭酸カルシウム水和剤 テルスター水和剤 ノーモルト乳剤 BT水和剤 イカズチWDG ロムダンフロアブル マシン油乳剤 オマイト水和剤 アタブロンSC コロマイト乳剤 ウララDF 日本より緩い ダニゲッターフロアブル バリアード顆粒水和剤 ベフラン液剤25 モスピラン水溶剤 オンリーワンフロアブル 日本より厳しい バイスロイドEW アンビルフロアブル ブローダ水和剤 ロディー水和剤 ダイパワー水和剤 スコアMZ水和剤 サンマイト水和剤 オーソサイド水和剤80 スペックス水和剤 マイトコーネフロアブル ダイアジノン水和剤34 ジマンダイセン水和剤 スタークル顆粒水溶剤 プラウ水和剤 未設定 アルバリン顆粒水溶剤 アントラコール顆粒水和剤 インダーフロアブル ユニックスZ水和剤 アスパイア水和剤 日本と同じ チウラム水和剤 ストライド顆粒水和剤 有機銅水和剤 アリエッティC水和剤 サイアノックス水和剤 オキシラン水和剤 フリントフロアブル25 スプラサイド水和剤 トップジンM水和剤 ストロビードライフロアブル フェニックス顆粒水和剤 ベンレート水和剤 ナリアWDG バロックフロアブル ダーズバンDF ユニックス顆粒水和剤47 ダニサラバフロアブル ミクロデナポン水和剤85 エルサン水和剤40 スターマイトフロアブル (注)チウラム水和剤、有機銅水和剤、炭酸カルシウム水和剤、BT水和剤、 マシン油乳剤:防除暦参照 期待される効果 台湾の残留基準値を満たすりんごの病害虫防除事例を紹介することにより、台湾向けの 輸出推進に寄与できる。 1 本資料は平成24年3月1日現在の農薬登録に基づいて作成した。 利 用 上 の 注 意 事 項 2 農薬を使用する場合は、必ず最新の「農薬登録情報提供システム」(http://www.acis. famic.go.jp/index_kensaku.htm)を確認すること。 3 台湾に輸出する場合は、台湾行政院衛生署のHP(http://www.doh.gov.tw/cht2006/ index_populace.aspx)から食品安全>公告事項とクリックし、最新の発布修正「残留農 薬安全容許量標準」の蘋果(りんご)、梨果類、其他の値を確認すること。 4 早生種には対応してない。また、落果防止剤のストッポ-ル液剤や摘葉剤のジョンカ ラープロは使用しない。 問 い 合 わ せ 先 りんご研究所 病 虫 部(0172-52-2331)・ 対 象 地 域 県下全域 (電話番号) 県南果樹部(0178-62-4111) 発表文献等 平成22年度、平成23年度 試験研究成績概要集(りんご)(りんご研究所) 【根拠となった主要な試験結果】 表1 台湾輸出に対応したりんご病害虫防除事例(平成22、23年 散布時期 黒 平成22年(月日) 石 平成23年(月日) 青森りんご研・青森りんご研県南果樹) 五 平成22年(月日) 戸 平成23年(月日) 展葉1週 トップジンM水和剤 1,000倍 ベフラン(4/29) 間後頃 ユニックス顆粒水和剤1,000倍 トモノールS スプレーオイル ダーズバンDF ダーズバンDF(4/30) ベフラン(4/30) トモノールS ダーズバンDF ベフラン(4/29) トモノールS ダーズバンDF デミリン 開花直前 アンビル(5/10) ロムダン アンビル(5/ 9) ロムダン アンビル(5/15) ロムダン オンリーワン(5/16) ロムダン 落花直後 ブローダ(5/21) ロムダン スコアMZ(5/20) ブローダ(5/25) ロムダン ロムダン スコアMZ(5/25) ロムダン 落花15日 クレフノン(6/ 4) 後頃 スペックス ダイアジノン クレフノン(6/ 3) クレフノン(6/ 9) スペックス スペックス ダイアジノン ダイアジノン クレフノン(6/ 8) スコアMZ ダイアジノン アカリタッチ乳剤 2,000倍 6月中旬 アプロン(6/18) ジマンダイセン モスピラン アカリタッチ乳剤 2,000倍 クレフノン(6/17) ジマンダイセン モスピラン アカリタッチ乳剤 2,000倍 クレフノン(6/22) ジマンダイセン モスピラン アカリタッチ乳剤 2,000倍 クレフノン(6/23) ジマンダイセン モスピラン アカリタッチ乳剤 2,000倍 7月初め チオノック(7/ 1) ユニックスZ(7/ 1) チオノック(7/ 7) ユニックスZ(7/ 5) サイハロン サイハロン サイハロン サイハロン アカリタッチ乳剤 2,000倍 マイトコーネ アカリタッチ乳剤 2,000倍 アカリタッチ乳剤 2,000倍 7月半ば アリエッティC(7/15) アントラコール アリエッティC アントラコール モスピラン モスピラン(7/15) モスピラン(7/22) モスピラン(7/19) アカリタッチ乳剤 2,000倍 アカリタッチ乳剤 2,000倍 サンマイト マイトコーネ アカリタッチ乳剤 2,000倍 7 月 末 ナリア(8/ 2) ダーズバンDF コロマイト フリント(8/ 1) ダーズバンDF ダニゲッター ナリア(8/ 4) フリント(8/ 2) ダーズバンDF ダーズバンDF オサダンフロアブル2,000倍 アカリタッチ乳剤 2,000倍 8月半ば アリエッティC(8/17) ダイパワー(8/16) ダイパワー(8/18) ダイパワー(8/16) アグロスリン イカズチ アグロスリン ロディー アカリタッチ乳剤 2,000倍 8 月 末 フリント(8/30) ナリア(8/30) コロマイト 9月15日 オーソサイド(9/15) 頃 ファイブスター トップジンM水和剤1,500倍 オーソサイド(9/15) トップジンM水和剤1,500倍 ファイブスター (9/14) フリント(9/ 1) ナリア(8/30) アカリタッチ乳剤 2,000倍 ダントツ コロマイト ファイブスター ファイブスター アカリタッチ乳剤 2,000倍 (9/15) (注)1 りんご研究所のわい性台樹成木を供試し、「展葉1週間後頃」は展着剤を添加しないで、それ 以外の時期は展着剤を添加してスピードスプレーヤで薬剤散布 2 剤型、希釈倍数及び散布量は防除暦参照。ただし、防除暦の対応と異なる場合はこれらを記載 3 アカリタッチ乳剤:台湾で基準値の設定が不要な殺ダニ剤。本剤使用時は展着剤を添加しない 表2 病害の葉での発生状況(平成22、23年 平成22年 青森りんご研・青森りんご研県南果樹) 発病葉率(%) 平成23年 発病葉率(%) 圃場 斑点落葉病 黒石 五戸 黒 星 病 うどんこ病 褐 斑 病 0.1* 11.6 2.9* 0 0* - 斑点落葉病 0.1 0.4 黒 星 病 うどんこ病 褐 斑 病 0.3 3.4 0.1 0 0.1 - 0 0 (注)「ふじ」3樹、1樹当たり20新梢の発病葉を、褐斑病以外の病害は8月上~下旬に、褐斑病は10月 中旬に調査。*: 「王林」で調査、-:調査なし 表3 害虫の葉での発生状況(平成22、23年 黒石 青森りんご研・青森りんご研県南果樹) 被害新梢率(%) 平成22年 五戸 平成23年 被害新梢率(%) 平成22年 平成23年 月旬 ハ マ キ キンモン ギンモンハ アブラ ハ マ キ キンモン ギンモンハ アブラ ハ マ キ キンモン ギンモンハ アブラ ハ マ キ キンモン ギンモンハ アブラ ムシ類 ホソガ モグリガ ムシ類 ムシ類 ホソガ モグリガ ムシ類 ムシ類 ホソガ モグリガ ムシ類 ムシ類 ホソガ モグリガ ムシ類 6下・7上 7下・8上 8下・9上 0 0 0 0 0 0.6 0.2 0 0.2 22.0 0.5 - 0 - 0 0 2.0 2.0 3.0 0 0 19.5 - - 0 0 0 13.3 5.0 5.0 16.7 25.0 11.7 1.7 6.7 - 0 0 0 35.0 26.7 56.7 38.3 63.3 28.3 0 - - (注)1 黒石は「ふじ」500新梢、五戸は「ふじ」3樹、1樹当たり20新梢のハマキムシ類では巻葉、 キンモンホソガでは食組織型潜孔、ギンモンハモグリガでは斑状潜孔の被害新梢数を調査。 アブラムシ類では寄生新梢数を調査 2 -:調査なし 表4 ハダニ類の葉での発生状況(平成22、23年 黒石 寄生葉率(%) 平成22年 ピーク時 (月日) 青森りんご研・青森りんご研県南果樹) 五戸 平成23年 寄生葉率(%) 平成22年 平成23年 リンゴハダニ ナミハダニ リンゴハダニ ナミハダニ リンゴハダニ ナミハダニ リンゴハダニ ナミハダニ 11.5 (7/21) 5.5 (7/ 7) 0 40.0 (7/29) 20.0 (7/21) 33.3 (9/14) 15.0 (8/15) 45.0 (7/19) (注)1 黒石は「ふじ」200新梢、五戸は「ふじ」3樹、1樹当たり20新梢の中位葉各1枚を6月上旬 ~9月中旬に、約2週間間隔で調査 2 ハダニ類の要防除水準は寄生葉率50% 表5 病害虫の果実での発生状況(平成22、23年 平成22年 青森りんご研・青森りんご研県南果樹) 被害果率(%) 平成23年 被害果率(%) 圃場 黒星 炭疽 黒点 すす すす ハ マ キ シンクイ 病 病 病 斑病 点病 ムシ類 ムシ類 黒石 五戸 0 0 0 0 0 7.6 0 0.8 0 1.0 0 0 ハダニ 黒星 炭疽 黒点 すす すす ハ マ キ シンクイ ハダニ 類 病 病 病 斑病 点病 ムシ類 ムシ類 類 0.2* 0 0 0.2# 0 0 0 0 0 0 0 4.2 0 0.3 0 0 0 0 0.7# 0 (注)黒石:病害は「ふじ」3樹、1樹当たり100果の発病果を10月中旬に調査。 虫害は「ふじ」300~500果の被害果または寄生果を10月中~下旬に調査 五戸:11月中旬に「ふじ」5樹の全収穫果約600果の被害果(発病果、加害果、寄生果)を調査 *:ナシヒメシンクイ、#:ナミハダニ 表6 「ふじ」果実の残留農薬検査結果(平成22年 台湾の 農薬名 黒 青森県りんご果樹課) 石 五 戸 検出 (商品名) 基準値 10月5日収穫 11月5日収穫 10月5日収穫 11月6日収穫 限界 アセタミプリド (モスピラン) イミノクタジン (ベフラン、ダイパワー) カルベンタジウム (トップジンM) キャプタン (オーソサイド、ダイパワー、 アリエッティC) クロルピリホス (ダーズバン) ジチオカーバメート (チオノック、ジマンダイセン、 ブローダ、スコアMZ) シハロトリン (サイハロン) シプロジニル (ユニックス) シペルメトリン (アグロスリン) ダイアジノン (ダイアジノン) テブフェノジド (ロムダン) トリフロキシストロビン(フリント) ピラクロストロビン (ナリア) ピリダベン (サンマイト) フェナリモル (スペックス) ヘキサコナゾール (アンビル) ボスカリド (ナリア) ホセチル (アリエッティC) ミクロブタニル (ブローダ) ミルベメクチン (コロマイト) 1.0 0.5 3.0 25.0 0.02 - 不検出 0.12 0.02 - 不検出 不検出 0.02 不検出 - 0.13 0.02 不検出 - 不検出 0.01 0.02 0.01 0.01 1.0 2.5 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 0.01 0.02 0.4 1.0 2.0 1.0 0.5 0.7 1.0 0.5 0.5 1.0 2.0 10.0 0.5 0.2 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 0.03 不検出 - 不検出 不検出 0.03 5.6 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 - 不検出 不検出 0.02 6.9 不検出 不検出 不検出 - 不検出 不検出 不検出 0.06 不検出 不検出 不検出 不検出 0.03 1.6 不検出 - 不検出 - 不検出 不検出 不検出 0.03 不検出 不検出 不検出 不検出 0.03 1.3 不検出 - 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.5 0.01 0.01 ( 注 ) 分 析 は ( 社 ) 青 森 県 薬 剤 師 会 衛 生 検 査 セ ン タ ー が 実 施 。 単 位 : ppm、 - : 不 使 用 表7 「ふじ」果実の残留農薬検査結果(平成23年 台湾の 農薬名 黒 青森県りんご果樹課) 石 五 戸 検出 (商品名) 基準値 10月4日収穫 11月7日収穫 10月4日収穫 11月7日収穫 限界 アセタミプリド (モスピラン) イミノクタジン (ベフラン、ダイパワー) カルベンタジウム (トップジンM) キャプタン (ダイパワー) クロチアニジン (ダントツ) クロルピリホス (ダーズバン) ジチオカーバメート (ジマンダイセン、アントラコール、 スコアMZ、スペックス、ユニックスZ) シハロトリン (サイハロン) ジフェノコナゾール (スコアMZ) ジフルベンズロン (デミリン) シペルメトリン (イカズチ、アグロスリン) シプロジニル (ユニックスZ) スピロメシフェン (ダニゲッター) ダイアジノン (ダイアジノン) テブコナゾ-ル (オンリーワン) テブフェノジド (ロムダン) トリフロキシストロビン(フリント) ビフェナゼート (マイトコーネ) ピラクロストロビン (ナリア) フェナリモル (スペックス) フェンプロパトリン (ロディー) ヘキサコナゾール (アンビル) ボスカリド (ナリア) ミルベメクチン (コロマイト) (注)表6に同じ 1.0 0.5 3.0 25.0 1.0 1.0 2.5 0.4 0.5 0.01 2.0 1.0 2.0 1.0 1.0 0.5 0.7 0.75 1.0 0.5 0.5 1.0 2.0 0.2 0.04 0.02 0.14 不検出 - 不検出 不検出 0.03 不検出 0.05 不検出 - 不検出 不検出 0.02 不検出 0.06 不検出 不検出 不検出 不検出 0.02 不検出 0.05 不検出 不検出 不検出 不検出 0.01 0.02 0.01 0.01 0.01 0.01 0.02 不検出 不検出 - 0.02 0.01 0.02 不検出 - 不検出 0.01 不検出 0.03 不検出 - 不検出 0.08 不検出 不検出 不検出 - 0.03 不検出 0.01 不検出 - 不検出 0.01 不検出 0.02 不検出 - 不検出 0.06 不検出 不検出 不検出 不検出 - 不検出 - 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 0.02 - 0.04 - 0.05 不検出 不検出 不検出 不検出 - 不検出 - 不検出 不検出 不検出 不検出 不検出 0.02 - 0.06 - 0.04 不検出 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01
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