プログラムテーマ ソーシャルワークと社会開発 2012:行動とインパクト 社会政策やソーシャルワークを代表する主だった国際機関は 2010 年に、「ソーシャルワ ークと社会開発」という共通テーマの下、香港で一堂に会しました。それ以前の数十年間、 IASSW・ICSW・IFSW はそれぞれ別個の大会を開催しており、香港大会はこれらの機関 が再会した重要な出来事です。この大会はまた、より強力な共通アジェンダにおける協力 テーマを推し進めるのに最高の機会でした。 2012 年 大 会 で は 、 2010 年 大 会 や そ れ 以 降 に 向 け て 作 成 さ れ た ア ジ ェ ン ダ (www.globalsocialagenda.org)の取組を前進させたいと考えています。このような前進へ の取組は、実践・研究・社会政策・ソーシャルワーク教育の方法や、世界的取組・協力に 関するより幅広い議論など、アジェンダの展開や達成に必要と考えられる行動や実践を通 じて行われます。 本大会はまた、エビデンスに基づく実践・政策目的・社会開発ゴールの間により密接な つながりが持てるよう、ソーシャルワークや社会福祉部門が日常的に直面する課題を検討 する機会でもあります。 さらに私達は、アジェンダの展開や達成に向けた行動が人々の状況にどのようなインパ クトを与え、ソーシャルワークや社会開発分野での行動がいかにして持続可能な物的環境 や社会開発に貢献できるか、を明らかにしたいと考えております。 今後に向けて特に際立たせたいのは、以下 3 つの分野です。 1. 人権と社会的平等 2. 環境変化と持続可能な社会開発 3. 世界的な社会変化とソーシャルアクション 1.人権と社会的平等 ソーシャルワーク専門職の使命や社会政策の展開は、基本理念に根ざしています。ソー シャルワーカー・ソーシャルワーク教育者・政策実務者及び開発者に受け入れられている これらの基本理念は、ソーシャルワーク独自の目的や視点の土台となるものです。 人権は、ソーシャルワークや包摂的な社会政策の規範的基盤となっています。本大会で は、ソーシャルワーク及び社会開発における規範的基盤と政治的基盤の間に見られる葛藤 を検討し、したがって以下の問題を取り上げたいと思います。 ソーシャルワークや社会政策は、いかにして人権の尊重・保護・実践に貢献できる でしょうか? プログラムの対話コーナー:皆様の意見を共有してください! 1 ストックホルム大会に先立ち、プログラムテーマのページで皆様のコメントを共有して ください。ご意見を出してくださることで、ストックホルムで検討される課題に関する国 際的な対話に参加されることになります。皆様の投稿を歓迎し、大切にします! 注意:投稿は、ソーシャルワークの基本理念及び倫理を尊重するもののみ受け付けます。 優先テーマの例: 1.1 アクティブで尊厳に満ちたエイジング すべての人々にとって、生涯を通じて生きがいを感じることは大切です。 サービスやケアの需要が高まる中、不安や苦痛を最小限に抑え、社会生活が維持できる ようにデザインされた社会的支援が必要です。高齢者が「死ぬまでいきいきと生きる」権 利を遂行でき、毎日が可能な限りアクティブで理解・対処でき、そして意義深いものであ ることが重要です。そのためには、専門職の行動や社会政策立案で、倫理的価値や人権が 重視されなければなりません。 高齢者ケアの体系化や財源確保に関しては、多くの国々が共通の課題に直面しています。 (Council of European Union/Conclusions on Healthy and Dignified Ageing) 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.2 障がい-そして包摂への取組 世界人口の少なくとも 10%、つまり 6.5 億以上は、障がいのある人です。障がい者は、 社会の周辺に取り残されたり差別の対象となるリスクに直面しています。2008 年は、障害 者権利条約が発効した重要な年です。この条約では、障がいのある人々が他者と平等な参 加権、権利、機会を有することが明記されています。しかし、人々の考えを変えたり障が いに対する認知向上を行う道のりは、まだまだ長いものです。(障害者権利条約:CRPD) 貧困と障がいの間には重要な関連性があります。貧困は、障がいの原因でも結果でもあ るのです。障がい者の大多数は発展途上国に住んでおり、社会的・経済的な不利益と同時 に人権無視という現実にも直面しています。WHO の支援とともに実施された地域ベースの リハビリテーションの取組は、医療・教育へのアクセス及びインクルージョンの機会を作 ることで重要な効果をあげています。 (WHO | Community-based rehabilitation) 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.3 危険にさらされる子ども達の視点 この 20 年余りにわたり、子どもの権利に関する多数の出版物や解説が出されました。も 2 ちろん基本資料となるのは子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)で す。SOS Children’s villages と ISS によって国連内部で新たに出された児童の代替的養護 に関する指針(Guidelines for the Alternative Care of Children at Risk)は、危険にさら される児童のマネジメントに関する現時点での知識を体系的にまとめたガイドラインです。 この他にも、 「行動とインパクトのエビデンスに基づく」実践が、国際的な報告書で蓄積 されています(例:Better Care Network の報告書)。またユニセフが開発したツールキッ ト(Child Protection System Mapping and Assessment Toolkit)のように、全国ベースで 児童の状況についてマッピングやアセスメントを行うツールも出てきています。 本大会では児童に焦点を当てた様々なテーマに関する投稿を歓迎します。例えば危険に さらされる子ども達や児童福祉の展開などについて、幅広いご意見をお待ちしております。 特にエビデンスに基づく実践の投稿をお待ちしております。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.4 若者と脆弱性‐現在の課題 若者の脆弱性は、時代や状況的な枠組みによって異なる説明がなされます。現在世界で 見られる課題は何なのでしょうか? 再発したテーマの例: 若者と失業 若者と移住 若者と犯罪性 若者と薬物誤用 若者と人身売買 若者と HIV/AIDS 若者を対象とした社会政策またはソーシャルワーク実践における、現在の地方または地 域の課題をお知らせくださる世界中からの投稿を歓迎します。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.5 スピリチュアルな権利及び宗教的信仰の尊重 人生を描写する方法としてよく用いられるのは、以下 4 つの側面が同時に起こるという ものです。 ●身体的 ●精神的 ●社会的 3 ●スピリチュアル これらの側面は、どれかが他より重要である、といったように序列があるという人もい れば、そのような序列はないという人もいます。しかしそのような事に関わらず、人生を 包括的に理解するには、上記 4 側面すべてが関わってきます。 スピリチュアルな領域は、宗教的信仰の基盤となるものです。 言うまでもなく、人権は人生から切り離せるものではなく、つまり、スピリチュアルな 側面も含め、上記の各側面に対して人権が関係してくるともいえます。この点は、世界人 権宣言でも確認されています。 このテーマを本大会に組み込んだ目的は、社会がこの側面において時代と共に多様化し てきた中で、スピリチュアルな権利及び宗教的信仰の尊重を「どのように、いつ」行うか を熟考する場所と機会を設けることにあります。この影響はどのようなものでしょうか? そしてこれは現代の社会政策、ソーシャルワーク、ソーシャルワーカーにどのような課題 をもたらしているでしょうか? 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.6 女性に対する暴力 女性に対する暴力(VAW)や少女に対する暴力は、人権の根本的な侵害です。VAW は複 雑で多面的な世界問題で、法律面・社会面・健康面での要素が含まれます。VAW は、 「身体 的・性的・精神的・経済的虐待を含んでおり、年齢・人種・文化・貧富・地理的環境に関 わらず起こるものです。それは自宅で、路上で、学校で、職場で、農場で、難民キャンプ で、そして紛争や危機の最中にも起こります。VAW は様々な形をとって現われ、最も多く 見られるのは DV や性的暴力ですが、他にも女性に害を与える行動や、妊娠中の虐待、い わゆる「名誉殺人」や、その他の形での女性殺害などが挙げられます。」 (www.unwomen.org) VAW の社会・経済的影響は深刻ですが、何よりも被害者となった女性やその子供の大き な苦しみや代償が大きな問題です。 国連事務総長のキャンペーン「UNiTE to End Violence against Women(女性に対する 暴力根絶のために団結しよう) 」は、世界中で女性や少女への暴力を予防したり根絶したり することを目指した取組です。 (UNiTE To End Violence Against Women) 国連女性機関(ジェンダー平等と女性のエンパワメントのための国連機関)は、女性に 対する暴力を優先事項として取り組んでおり、女性差別撤廃条約(CEDAW)及び国連安全 保障理事会決議第 1325 号(2000) 、1820 号(2008) 、1960 号(2010)の実践を目指して います。 VAW 根絶のためには、パートナーシップ、政治的意思、説明責任が必要です。 平和な環境、そして紛争の中での VAW について、特に暴力の予防や被害者の保護・ケア に重点を置いた投稿を歓迎します。 4 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.7 LGBT(レズビアン・ゲイ・両性愛者・トランスジェンダー)の権利遂行 LGBT の人々へのスティグマや差別は、世界のあらゆる国々で起こっています。LGBT の人々は、どこに住んでいるかによって、最高の時を迎えている人もいれば最悪の時を迎 えている人もいると言われています。多くの国では同姓婚が禁止されており、最悪の場合、 死刑となります。他方、同性間での活動が合法で、差別が禁止されている国も多くありま すが、LGBT の人々へのスティグマや差別が過去の産物となるには、まだ長い道のりが残 されています。LGBT の人々に対する差別犯罪の例は、世界中で広く見られます。 異性愛主義とは、異性への性的指向が当たり前のものと見なされ、それが人間関係の絶 対的な形態であると理解してしまうことです。その他のライフスタイルは目に見えなくな ります。 ソーシャルワークの倫理原則に関する国際声明(www.ifsw.org/p38000398.html)では、 性的指向などの特性に基づいたネガティブな差別に対して、ソーシャルワーカーが立ち向 かう義務があると述べられています。にも関わらず、ソーシャルワーク実践でもまだ異性 愛主義が支配しており、この状況は、LGBT の人々の権利保護が強くなされている国でも 見られます。 差別的でない専門的実践・研究の展開や、LGBT の権利・平等に向けて立ち向かう実践 についての投稿を歓迎します。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 1.8 健康や社会的平等への権利 可能な限り最高水準の健康を享受する権利を、誰もが持っています。医療へのアクセス だけが人間の健康水準を決定するものではありません。 社会的・経済的に貧しい状況は、生涯を通じて健康に影響を与えます。貧困や社会的排 除は、健康や早死に大きな影響を及ぼします(「健康の社会的決定要因:確固たる事実(第 2 版) 」WHO Europe、2003) 。 (www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0005/98438/e81384.pdf) 社会正義及び社会的平等は、子どもが成長し自らの可能性を存分に発揮でき充実した人 生を送れるか、あるいは人生が破滅させられるかを決定づける影響力を持っています。 ( 「現 代の格差縮小:健康の社会的決定要因に関する行動を通じた健康面での平等」健康の社会 的決定要因委員会最終報告、WHO、2008) (www.searo.who.int/LinkFiles/SDH_SDH_FinalReport.pdf) 健康の視点から見た社会正義の取組に光を当てる投稿をお待ちしております。ソーシャ 5 ルワークや社会開発が、医療や健康への権利とどのように影響しあうかについての投稿も 歓迎します。本テーマでは、ジェンダーの視点が非常に重要です。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 2.環境変化と持続可能な社会開発 地球温暖化や、温室ガス排出による自然災害の増加に伴い、自然環境への代替的アプロ ー チ が 極 め て 重 要 に な っ て い ま す 。 こ の サ ブ テ ー マ の 主 な 焦 点 は 、「 Person in Environment」の概念を重視し、それを実践する取組を見出すことです。本大会では以下 の問題に取り組みます。 気候変動は、ソーシャルワークや社会開発にどのような影響をおよぼすでしょう か? 経済発展・環境開発・社会的保護という 3 つの柱を統合するために、どのような行 動が必要でしょうか? プログラムの対話コーナー:皆様の意見を共有してください! ストックホルム大会に先立ち、プログラムテーマのページで皆様のコメントを共有して ください。ご意見を出してくださることで、ストックホルムで検討される課題に関する国 際的な対話に参加されることになります。皆様の投稿を歓迎し、大切にします! 注意:投稿は、ソーシャルワークの基本理念及び倫理を尊重するもののみ受け付けます。 優先テーマの例: 2.1 災害マネジメント:ソーシャルワーク及び社会開発の展望 これはソーシャルワークで比較的新しい活動分野です。International Strategy for Disaster Reduction (ISDR)をご覧下さい。 ソーシャルワーク専門職の間では近年、防災や緊急時の災害マネジメントに関わること への関心が非常に高まっています。 心理社会的支援の必要性は、国連人道問題調整事務所(OCHA)も強調しています。 (www.irinnews.org/Report.aspx?ReportID=90972rLink) この種の支援は、ソーシャルワーク専門職にとてもふさわしいものであり、養成コース を実施している機関もあります。 (CSWE - Disaster Management) 自然災害で人々を包括的に見る必要性は、危機管理・ネットワーク構築・心理社会的解 決を考案する基盤をなしており、ソーシャルワーク専門職にふさわしいものであります。 6 このソーシャルワーク方法論の新たな展開は、2010 年の香港大会でも明らかであり、こ のテーマについて驚くほど多くの投稿が見られました。ストックホルムでも、災害マネジ メントに関する経験の事例が出されることが期待されます。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 2.2 環境変化及びその社会的影響に関する先住的理解 先住民は、環境やその資源への依存や密接な関係性により、気候変動の直接的な影響に 直面しやすい状況にあります。気候変動に関する社会での議論では、気候変動に立ち向か うにあたり先住民がどのような役割を担えるか、について検討されることはほとんどあり ません。UNPFII(United Nations Permanent Forum on Indigenous Issues) 先住民の世界観は、包括的なものです。自然のあらゆる生き物が「聖なるもの」で、未 来の世代のために守られるものと考えられています。 絶え間なく変化する自然環境と共生するにあたり、私達は先住民の経験から何を学べる でしょうか? 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 2.3 経済・環境・社会的視点の統合 UNCSD2012(持続可能な開発に関する国連会議)によると、経済発展・環境開発・社会 的保護は持続可能な開発の 3 つの基本的な「柱」となっています。リオでのサミット(Rio +20)では、1992 年にリオデジャネイロで開かれアジェンダ 21 を設けた第 1 回国連気候サ ミットの 20 周年を祝います。UNCSD は、私達のストックホルム大会と近い時期に開かれ ます。 (www.uncsd2012.org) 本大会では、社会的保護やミレニアム開発目標(www.un.org/millenniumgoals)の活動 や影響を重視します。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 2.4 清潔な水に向けたソーシャルアクション 国連総会は 2010 年 7 月 28 日、清潔な飲料水や衛生が、幸せな生活やその他の人権にと って必須の人権であることを宣言しました。 (General Assembly declares access to clean water and sanitation is a human right) 清潔な水への権利の尊重・保護・遂行のために、ソーシャルワークや社会政策が担う役 割は何でしょうか? 7 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 2.5 社会的経済と持続可能な社会開発:地域の知恵、世界的な課題 社会的経済は、人々のニーズや民主的価値観に基づいて、草の根的起業・非営利セクタ ーとして出現しました。社会的経済は、コミュニティの社会的・経済的・環境的な状況改 善に向けた取組で、成長・雇用創出・福祉に影響をおよぼしています。 社会的経済は、市場経済の民間企業と公的セクターの間の緩衝材的な存在です。また公 的・民間・非営利部門間の新たなパートナーシップの形態を前進させるものでもあります。 組織的な多様性は、私達の長期的な生存にとって生物多様性と同じくらい重要でしょう。 このテーマの中では、環境変化の中で人々や地元組織をエンパワーする活動の紹介投稿を 歓迎します。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 2.6 持続可能な社会開発:研究・教育・実践 1995 年に社会開発が国連のコペンハーゲンサミットで始まり、そのフォローアップとし て 2002 年にヨハネスバーグで持続可能な開発が開かれました。 持続可能性のコンセプトにおいて、資源保護・経済発展・社会正義が最も重要な側面で す。経済発展・環境開発・社会的保護という 3 つの柱の統合は、喫緊の課題と思われます が、私達は研究において、どのような立場にいるでしょうか?ソーシャルワークのカリキ ュラムで、どのような実践が教えられているでしょうか?またソーシャルワーク実践の事 例も必要とされています。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.世界的な社会変化とソーシャルアクション 世界的な社会変化は、世界的なソーシャルアクションを必要としています。最貧国の生 活水準を上げることにより、人口増加を抑えることができます。世界では 10 億の人々が、 自活できず貧困状態に陥っています。世界的な金融危機により、社会的保護の床に関する イニシアチブが開始されました。 世界的な移住の増加は、ソーシャルワークや社会政策活動にとって重要な課題です。移 住には、地方から都市部へ、というものもあれば、世界の南部から北部の国々への移住も あります。推計では、安定した住居なしに移住する人々は 2 億にのぼると言われています。 都市化により、世界人口のうち 50%以上が都市部に住むようになりました。 本大会では以下の問題を取り上げます。 8 ソーシャルワークや社会政策活動は、どのようにして地域内や地域間の格差縮小に貢 献できるでしょうか? ソーシャルワークや社会政策活動は、どのようにして移民の権利遂行や国家間の関係 (国境を超えた移住の結果として)の橋渡しに貢献できるでしょうか? プログラムの対話コーナー:皆様の意見を共有してください! ストックホルム大会に先立ち、プログラムテーマのページで皆様のコメントを共有して ください。ご意見を出してくださることで、ストックホルムで検討される課題に関する国 際的な対話に参加されることになります。皆様の投稿を歓迎し、大切にします! 注意:投稿は、ソーシャルワークの基本理念及び倫理を尊重するもののみ受け付けます。 優先テーマの例: 3.1 貧困との闘い及び社会的保護の展開 あらゆる形の貧困の撲滅は、ソーシャルワーク及び社会開発の究極の目標です。 今も続く不況や多発的な危機の最中、国際社会はミレニアム開発目標(例:2015 年まで に世界の絶対的貧困率を半減させる)に向けた進展を速めるよう協力することが求められ ています。国内や国家間の格差が拡大する中、社会正義や人権の価値観に基づき、普遍的 プログラムに向けた国の強いコミットメントを伴う社会的保護政策が必要とされています。 (UNRISD.org) (また Gapminder.org や社会的保護の床 (www.ilo.org/gimi/gess/ShowTheme.do?tid=1321)も参照) 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.2 政治的・軍事紛争におけるソーシャルワーク 世界の様々な場所で、市民が政治的・軍事的紛争に巻き込まれる事が増えています。女 性・児童・高齢者が戦争で暴力の的にされます。レイプ、児童徴兵、生き残る手立ての破 壊が頻繁にみられ、家屋やインフラも被害を受けます。 弱い立場にいる人々が、戦争や暴力の影響を最も受けやすいのです。多くの場合、市民 社会は危険にさらされ、人々はやむなく逃げることになります。戦争が終わったり紛争が 解決したとしても、衝撃的な影響は長期にわたって残ります。戦争や紛争におけるソーシ ャルワークには、戦争や紛争の最中における実際的な生き残りや保護での対応とともに、 戦争の被害を受けた国々に住む人々のトラウマや心理社会的問題への対応も含まれます。 ソーシャルワーカーは、難民キャンプ・学校・病院・公的機関・市民社会等、自らの活 9 動が必要とされる様々な場で、児童や大人達に目を向けます。社会サービスセンター等を 通じて、戦争で弱い立場にいる人々へ生活必需品を分配し、またその運営を行います。 児童と武力紛争に関する資料は、児童と武力紛争に関する国連事務総長特別代表のホー ムページ(http://www.un.org/children/conflict/english/index.html)をご覧ください。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.3 移住:課題と可能性 グローバル化や非植民地化などの影響により、現代の移住パターンは多様な道のりをた どり、複雑で課題に満ちています。推計では、世界に 2.14 億の移民がいると言われていま す。難民・亡命希望者・不法移民・国内で行き場のなくなった人々が、現在議論の焦点と なっています。移民による母国への送金は、4,140 億米ドルにのぼると推計され、発展途上 国に送られているとみられる金額は、公式な開発支援の 3 倍の規模であるとみられます。 (http://www.iom.int/jahia/Jahia/about-migration/facts-and-figures/lang/en) 世界的な社会変化は、特に先進国である国民国家への移民流入増加をもたらし、これに より、国境での規則や管理が強化されてきました。 世界人権宣言(http://www.un.org/en/documents/udhr/index.shtml)により、難民はど の国でも迫害から保護される権利を主張することができます。 その他の亡命希望者は、 「無人地帯」または違法入植地に付託されます。国内で行き場の なくなった人は、保護を求めるために国境を越えている訳ではなく、母国の中に残ってい ます。この人たちは、難民と似た理由で移住したり逃げたりすることもありますが、自然 災害や戦争で家を失ったケースもあります。 UNHCR の推計によると、難民の数は世界中で 1,500 万人、そして国内で行き場を失っ た人々の数は約 2,700 万人にのぼるとされています。(http://www.unhcr.org) 移住の二次的影響は、受入国やコミュニティの市民社会における人種差別や外国人嫌悪 の高まりです。不法移民の増加により、社会・経済・健康面での保障のない低賃金労働者 という新たな階層を作り出すリスクが発生します。 現代における移住の動向を明らかにする事例研究やその他の報告の投稿を歓迎します。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.4 家族の変化 ポストモダンにおける家族様式の議論では、個別化とケアに焦点が当てられています。 グローバル化を通じて閉鎖的な家族制度は解体され、多様な共同生活の選択肢が出現して います。世界レベルでみると、多国籍家族は国境を超えたネットワークを通じて関係性を 保っています。従来の家父長制度が、慣行化された個別化やジェンダーの議論のあおりを 10 うけているほか、児童や高齢者のケアが制度的な責任になっています。 香港のワークショップでは、家族に関する様々なテーマに多くの関心が寄せられました。 私達は必然的にこのバトンを受け取り、変容し続ける世界の中で変化する家族様式を証言 する沢山の投稿を期待しています。 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.5 国境を超えたソーシャルアクションにおける国際 NGO ここでは、国際 NGO(INGO)の高まる国際的役割を浮き彫りにしたいと思います。こ の運動は、社会開発分野の中での活動で「ボトム・アップ」形式の枠組みとして認識され ており、従来の「トップ・ダウン」アプローチと対照的な運動です。INGO は地元組織と のネットワークを活用して、革新的かつより効率的に、開発プロジェクトへ共に取り組ん でいます。 世界で有名な INGO の事例は多数あります。 (例:. The Salvation Army International, International Red Cross and Red Crescent Movement, Save the Children International, UNICEF, Plan International, Childwatch, SoS-Childrensvillages) 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.6 ソーシャルメディアとそれによる社会開発への影響 ソーシャルメディアは、誰もが参加できるスケーラブルな情報発信技術を用いた社会的 交流メディアのことです。ソーシャルメディアは、ウェブ・ベースの技術を使い、コミュ ニケーションをインタラクティブな対話に変えていきます。 (Wikipedia,2011 年 1 月 24 日 アクセス) 人々、特に若者達の間では、様々なソーシャルメディアを通じて、友人を作ったり自分 のプロフィールを発信したり、お互いのプロフィールを交換し合ったりすることが増えて います。若者の間では、Facebook での友人数やブログのフォロアー数などが、ステータス につながったりしています。 ソーシャルメディアはまた、特に若者の間で、悪用やハラスメントの道具にもなってい ます。若者の私生活・暴力・レイプなどの動画を YouTube で公開することで、個人やその 発展に壊滅的な影響を及ぼすことになります。ソーシャルメディアはパワフルなのです。 ソーシャルメディアは、巨大で魅力的な情報提供基盤として、社会科学者の関心も高ま っています。 ソーシャルワークや社会政策でも、ソーシャルメディアに目を向ける時が来ました。 Twitter、Facebook、ブログ、その他のソーシャルメディアは、ソーシャルワークに役立 つことが出来ます。 11 www.communitycare.co.uk/Articles/2011/01/19/116099/time-for-social-work-to-embracesocial-media.htm 私達はソーシャルワークのバーチャルな未来を覗くことが出来るでしょうか? www.communitycare.co.uk/static-pages/articles/into-the-virtual-future/ 私達が利用者を「Facebook」した場合、ソーシャルワーク倫理へどのような意味をもた らすでしょうか? http://melindaklewis.com/2010/01/25/social-work-ethics-and-social-media/ ソーシャルメディアは、現在や未来で社会開発にどのような影響をもたらすでしょう か? 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 3.7 創造的な実践に向けた組織変革 倫理的かつ人道的にソーシャルワークを行えるのは、組織手順やマネジメントスタイル が指導・制約を行っているからです。優れたソーシャルワーク機関の特性はどのようなも のでしょうか?厳しい経営環境の中で、ソーシャルワーカーはどのように「生き残り」、そ して活躍できるでしょうか?多職種の職場でさらに必要とされるスキルは何でしょうか? 現在は、サービス業で効果と効率性の「エビデンス」が求められています。国民・資金 提供者・政治家達は、支援の継続を正当化する「エビデンス」を求めています。これはソ ーシャルワークにとって大きな課題です。何をもって「エビデンス」と見なすのでしょう か?エビデンスを集めたり少ない資源を管理するために、管理主義や公的部門のマネジメ ント技術が、世界中でソーシャルワークの実践に応用されています。しかし一方で、ソー シャルワーカーの間で「燃え尽き」が大きな問題となっているという証拠があるだけでな く、ソーシャルワークの価値と原則を尊重する管理方法を採用している機関が、利用者に より良いサービスを提供し、より優秀で満足感を持って働くスタッフを引きつけ維持して いるという証拠もあります。ソーシャルワークが効果的であることを、私達はどのように して証明できるでしょうか?エビデンスに基づく実践は、ソーシャルワークで可能なので しょうか?マネジメントとソーシャルワークの価値に、共通性はあるのでしょうか? 新たなコメント作成はこちら コメントを見る 12
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