サンプル準備編 - 構造生物学研究センター

タンパク質結晶交換システムマニュアル(サンプル準備編)
Ver.1 2006/10/3
PF 平木雅彦
はじめに
このマニュアルは、PF 構造生物ビームライン BL-5A、AR-NW12A に設置されているタンパク質結
晶交換システムに関するものです。タンパク質結晶交換システムはスタンフォード放射光研究所
(SSRL)Macromolecular Crystallography Group の協力の元、開発を行っております。カセット、ツー
ルなどは SSRL と共通のものを使用しています。
本システム及びツール等を使用する場合は、事前に不要な結晶などを用いて十分練習することをお
勧めします。
本マニュアルは、2006 年 10 月 3 日現在の状況を元に作成されています。特にユーザーインターフ
ェイスは、使いやすいように更新していく予定ですので、その都度、マニュアルも更新されることになりま
す。
キット内容
(c) Teflon Ring
(d) Transfer Handle
(e) Magnet Tool
(b) Dewar Canister
(f) Guide Tool
(a) Sample Cassette
(h) Styrofoam Packaging
(g) Styrofoam Spacer
カセットキットの内容
(a) Sample Cassette
ピンを格納するためのカセット
(b) Dewar Canister
運搬用のデュワー、ドライシッパーにカセットを入れるときに用いる
(c) Teflon Ring
(b)の下側に入れて使用
(d) Transfer Handle
液体窒素内でのカセットのハンドリングに使用
(e) Magnet Tool
サンプルピンをカセットに出し入れする場合に使用
(f) Guide Tool
サンプルピンをカセットに出し入れする場合に使用
(g) Styrofoam Spacer
(b)の中にカセットを1つだけ入れた場合のスペーサ
(h) Styrofoam Packaging キット収納用の容器ですが液体窒素容器としても使用
クライオピンの準備
現 在 は 、 Hampton Research 社 の CrystalCap Copper Magnetic-18mm ( カ タ ロ グ No.
HR4-745)または、互換品を用いることにしています。カセットキットには互換品が96個挿入されていま
す。ループは、Hampton Research 社の Mounted Cryoloop を使うことが多いと思いますが、一番ル
ープに近いライン(図の赤矢印)で折ってください。
ファルマ・アクセス社の MicroMount やプロテインウエーブ社の LithoLoops を用いる場合は、
Hampton Research 社の Mounted Cryoloop を用いた場合と同じ高さになるように調節してください。
CrystalCap Copper Magnetic-18mm(互換品)
MicroMount
カセットの準備
カセットにハンドル(Transfer Handle)を取り付け、
液体窒素が入った発泡スチロールに入れます。キットの
発泡スチロールの箱は、中の発泡スチロールを外せば、
そのまま液体窒素容器として使用できるようになっていま
す。しかし、容器が大きすぎて液体窒素が大量に必要な
ため、試薬等の梱包に使うような小さ目の容器をおすす
めします(右写真)。
Mounted Cryoloop
LithoLoops
結晶のピックアップ
クライオピンをマグネットツールの磁石の弱い方につ
け、ドロップから結晶をすくいます。右写真のように顕微鏡
の近くにカセットを置いておくことになります。
カセットの穴の位置にガイドツールを置いておきます。
液体窒素は、カセット全体が完全に浸かるところまで入れ
ておく必要があります。また、時間が経つにつれて、霜が
つくので必要なとき以外はふたをしめておいたほうが良い
でしょう。
キットの発泡スチロールの容器は、ハンドルが外にで
るように、角のところに穴が開いています。ご自分で容器
を用意されるときは、参考にしていただければと思います。
マグネットツール
両端にクライオピンを付けることができるように磁石
がついています。茶色のリングが付いている側が弱い側
で反対が強い側になっています。カセットにクライオピンを
入れるときには弱い側を使い、逆にカセットからクライオピ
ンを抜くときには強い側を使います。
強
ガイドツール
ガイドツールには、ちょうどカセットの穴に
合うように、3箇所にピンが付いています。タ
ーゲットの穴(右図赤丸)の周りの3箇所に、
図のように合わせてセットします。
弱
クライオピンの挿入
結晶をすくったら、マグネットツールをガイドツールの
穴沿って入れます。クライオピンはそのままカセットの空
いている穴に入ります。ガイドツールがちゃんとクライオピ
ンが入っていない場所にあることを事前によく確認してお
いてください。
私たちのところでは、マグネットツールを穴に入れた
後、手を離すことで、クライオピンをカセットに入れていま
す。ぜひ、いろいろな方法で試してみて、実際にデータを
取って最良の方法を見つけていただければと思います。
データファイルの準備
ユーザー用 GUI では、カセットのどのポートにどういうサンプルが入っているかを見ながら実験が進
められるよう、あらかじめ作成したデータファイルを表示するようになっています。データファイルのテンプ
レートは、構造生物学研究センターWEB ページ(http://pfweis.kek.jp/)からダウンロードすることがで
きます(「システム開発」→「結晶交換ロボット」→「サンプルの準備」)。
このファイルは SSRL と共通になっています。ただし PF では、現在 Excel ファイル形式(.xls)を用い
ることができません。お手数ですが、CSV ファイル形式でご用意ください。
1行目は項目のタイトル行になっていますので、変更しないよう注意してください。2行目以降、ポー
ト(Port)に対応したデータを記入してください。結晶交換システムは、3列目の「Protein」の行を見て、
ループの有無を判断するようになっていますので、クライオピンを入れたポートには、何かを記入してお
いてください。
新しいツールについて
液体窒素容器
断熱材で作られています。液体窒素を溜めて
おく場所が小さいので、使用量が少なくて済みま
す。また、ガイドツールやマグネットツールを立て
ておくための穴もあいています。各ビームライン
に1つ用意する予定です。
マグネットツール
長さが従来のものより長くなっており、途中に
溝が切ってある他は、従来のものと同じです。こ
の溝は次の新しいガイドツールと組み合わせて
使用するときに使います。
ガイドツール
従来のものは、上からクライオピンを入れる
ようになっていましたが、横からでも入れることが
可能です。図の赤線のところまで液体窒素を満た
しておくことで、バイアルに入ったクライオピンから
カセットに移す、また、その逆の作業ができるよう
になります。その際、マグネットツールの溝の下
側を使うことで、サンプルがぶつかるのを防止し
ています。
リンク集
構造生物学研究センター
http://pfweis.kek.jp/
弊センターのウェブページです。ビームライ
ンも含めた最新情報はこちらでご覧ください。
SSRL automated sample mounting system
http://smb.slac.stanford.edu/public/facilities/hardware/SAM/
我々の結晶交換システムの元になった
SSRL の SAM システムのページです。ツール
は非常に詳しく説明されています。
Crystal Positioning Systems
http://www.crystalpositioningsystems.com/
本マニュアルで紹介したツール類はここか
ら購入することができます。一部 WEB ページに
載っていないものがあるようです。少々対応が
遅いので、ご注意ください。