WHO ファクトシート

WHO ファクトシート
死亡原因トップ10
The top 10 causes of death
ファクトシート No.310
2014 年 5 月
世界の死亡原因トップ10、2000 年と 2012 年
虚血性心疾患、脳卒中、下気道感染症、慢性閉塞性肺疾患は、過去 10 年の間、主要
死亡原因上位であり続けている。
HIV による死亡は、2000年の170万人(3.2%)から2012年の150万人
(2.7%)へとわずかに減少している。下痢性疾患は、死亡原因トップ 5 からは外れた
が依然トップ 10 に入っており、2012年には150万人が死亡している。
慢性疾患による死亡は、世界で増加している。肺がん(気管及び気管支がんを含む)
による死亡は、2000年の120万人(2.2%)から、2012年には160万人
(2.9%)に増加している。同様に糖尿病による死亡は、2000年の100万人(2.0%)
から、2012年には150万人(2.7%)に増加している。
所得グループ別の死亡原因トップ 10(2012 年)
主要な死亡原因
問)毎年、どのくらいの人が亡くなっていますか?
2012 年には、全世界で推計 5600 万人が亡くなっています。
問)感染症と非感染性疾患では死亡する人はどちらが多いですか?
世界の全死亡のうち非感染性疾患原因である割合は、2000 年では 60%でしたが、2012
年には 68%に増加しています。4大 NCD(非感染性疾患)とは、心血管病変、がん、
糖尿病、慢性肺疾患です。感染症、妊産婦、新生児期及び栄養状態等による死亡は合
わせて世界中の死亡の 23%を占め、傷害による死亡は 9%となっています。
問)心疾患は、世界中の死亡原因ナンバーワンですか?
はい。心疾患による死亡は、2012 年の全死亡の 10 分の 3 に当たる 1750 万人となっ
ています。このうち、740 万人が虚血性心疾患で、670 万人が脳卒中により死亡して
います。
問)NCD による死亡のほとんどは高所得国で発生しているのですか?
数字でみれば、2012 年の全世界 NCD による死亡者 3800 万人のうち 2800 万(約4分
の3)は、低・中所得国で発生しています。
NCD による死亡の割合で見ると高所得国で最も高く全体の 87%が NCD による死亡
となっています。、高位中所得国(81%)がそれに続いています。低所得国(37%)、
低位中所得国(57%)では、その割合は低くなっています。
問)WHO ではよく喫煙が死亡原因のトップだと言っています。たばこ製品の使用は
死亡原因にどのように影響しているのですか?
喫煙は、心疾患や慢性閉塞性肺疾患、肺がんなど、世界で死をもたらしている疾病を
引き起こす主要原因となっています。全体的にみれば、喫煙は世界全体の成人死亡の
10 人に 1 人に関係しています。喫煙は、多くの場合死亡原因となった疾病を引き起
こす隠れた要因となっています。
問)死亡原因について、高所得国と低所得国の間の主な違いは何でしょうか?
高所得国では、死亡者 10 人中 7 人は 70 歳以上です。人々は主として、心疾患、が
ん、認知症、慢性閉塞性肺疾患や糖尿病といった慢性疾患により死亡しています。感
染による死亡原因は、下気道感染症が主要な死亡原因となっているのみです。15 歳
未満の子どもの死亡は 100 中 1 人でしかありません。
低所得国では、死亡者 10 人中 4 人近くが 15 歳未満の子どもの死亡で、70 歳以上で
の死亡は死亡者 10 人中わずか 2 人となっています。人々は主として感染症で死亡し
ています。これらの国々における下気道感染症、HIV エイズ、下痢性疾患、マラリア
及び結核による死亡を合計すると、その全死亡のほぼ3分の1を占めます。早産によ
る出生児の合併症、新生児仮死や出生時損傷は、多くの乳幼児の生命を奪い、主要死
亡原因となっています。
問)この10年で状況はどう変化しましたか?
虚血性心疾患、脳卒中、下気道感染症、慢性閉塞性肺疾患は、この10年間を通じ、
依然として主要死亡原因の上位にとどまっています。
2012 年、非感染性疾患(NCD)は世界全死亡の 68%(3800 万人)を引き起こして
おり、2000 年の 60%(3100 万人)から増加しています。心疾患だけでも 2000 年よ
り 2012 年では 260 万人近く死亡者が増加しています。
HIV 関連の死亡は、2000 年の 170 万人(3.2%)から 2012 年 150 万人(2.7%)へと、
わずかに減少しています。下痢性疾患については、トップ 5 からは外れましたが、2012
年で 150 万人の死亡を引き起こしており依然としてトップ 10 に入っています。
結核は、2012 年にはトップ 10 からは外れましたが、90 万人以上の死亡を引き起こし
ておりトップ 15 には入っています。
妊産婦死亡は、2000 年の 42 万 7000 人から 2013 年には 28 万 9000 人へと減少しま
したが、依然として高く、毎日約 800 人の女性が妊娠及び出産の合併症で死亡して
います。
傷害では毎年 500 万人が亡くなっています。2012 年の時点で、道路交通傷害によっ
て毎日 3500 人が死亡(2000 年より 600 人以上増加)しており主要死亡原因トップ
10 に入りました。
問)毎年幼い子どもたちは何人ぐらい死亡し、その理由はなんですか??
2012 年には、660 万人の子どもたちが 5 歳の誕生日を迎える前に死亡しています。そ
の死亡のほとんどすべて(99%)が、低・中所得国で起こったものです。5 歳未満の
子どもの主要死因は、早産児、肺炎、出生時仮死、出生時損傷及び下痢性疾患でした。
サハラ以南アフリカ地域では、マラリアが 5 歳未満の子どもの死亡の 15%を占め、
依然として主要死因となっています。
2012 年、5 歳未満の子どもの死亡の約 44%が生後 28 日以内(新生児期)に起こって
います。新生時期における全死亡の 35%が早産による死亡でした。
世界における死亡原因:概要
2012 年に世界中で亡くなった人の中から、女性、男性、子供を含む個人 1000 人の多
様な国際的集団を想像してみましょう。
これら 1000 人の内:
133 人は低所得国、356 人は低位中所得国、302 人は高位中所得国、209 人は高所得国
に住んでいます。
143 人は 15 歳未満の子ども、407 人は 15 歳から 69 歳までの成人、450 人は 70 歳以上
の高齢者です。
彼らの死因トップ 10 は何でしょう?
この 1000 人の内、半分以上(514 人)が、次の 10 大疾患によって死亡しています。
なぜ我々は、人々の死亡原因を知るべきなのか?
毎年何人の人が死に、なぜ死んだのかを調べることは、病気やけがが人々にどのような影響
を与えるかを測定することと同様に、、国の保健システムの有効性を評価する上で最も重要
な方法のひとつです。
死因統計は、保健当局が公衆衛生活動の焦点を決定するのに役立ちます。例えばある国で、
心臓病や糖尿病による死亡が 2、3 年の間に急に上昇した場合、その国では、これらの病気を
予防するライフスタイルを奨励する積極的なプログラムの実施効果が高いことがわかりま
す。。同様に、もしある国で多くの子どもたちがマラリアで死亡して一方で、ごく一部の保
健予算しか効果的な治療に充てられていないことが分かった場合には、この分野での支出を
増やす必要性があることがわかります。
高所得国は、人口の死亡原因に関する情報収集システムを持っています。多くの低·中所得国
は、そのようなシステムを持っておらず、特定の原因による死亡数は不完全なデータから推
定しなければなりません。より精度の高い死亡原因データを作成することは、これらの国で
健康を増進し予防可能な死亡を減少させるために重要です。
ⓒ World Health Organization
この文章は、日本 WHO 協会が WHO のメディアセンターより発信されているファクトシ
ートについての日本語版の翻訳権を WHO 事務局長より付与され、WHO 健康開発総合研究
センター(WHO 神戸センター)の協力のもと作成したものです。日本語版に対する責任
は全て日本 WHO 協会が負います。
ファクトシートは、最新事情に合わせて頻繁に見直しが行われますので、更新日時の確
認を含め WHO ホームページでの原文をご確認ください。
The top 10 causes of death
ファクトシート原文は
こちら