北海道聖書研究学院 Studies in Daniel ダニエル書研究 ジョン・R・ハイムズ著 By JOHN R.HIMES ダニエル書研究 クラスの紹介 初めに 「ダニエル書研究」にようこそ!このクラスでは、ダニエル書の 預言の詳しく研究することが、目的です。そして、キリストの再臨をより深く 理解し、待ち望みましょう。ぜひ、最初のクラスよりがんばって、御言葉の知 識と知恵を通して成長しましょう。 I 教師について ジョン ハイムズ A 名前 John R. Himes B 自己紹介――1951年、アメリカのオクラホマ州生まれ。母が4才 の私をキリストに導いてくれた。1970年、説教者として召され た。 1972 年、宣教師としての召された。1976年8月、テネシー ・テンプル大学の聖書学部を卒業。テンプル・バプテスト神学セミ ナリーに、次いでマラナタ・バプテスト聖書大学院に行き、 2005 年 5月に聖書研究修士号を得て卒業。 1981 年5月6日、来日。 1983 年 3月31日、東京日本語学校を卒業。現在、旭川市の勝利バプテス ト教会の牧師。 C 家族 パティー 1 妻 Patty は1955年、ミシガン州生まれ。1978年、ミドウエ スターン・バプテスト大学を卒業。現在、ジョン・ハイムズの 愛妻、お手伝い、私のベスト・フレンド。 ポール 2 長男 Paul は1980年、アメリカのテネシー州生まれ、日本で 育った。カルバリ・バプテスト・セミナリーで、 M. Div. (神学 修士号)で2008年卒業し、現在は新約聖書ギリシャ語言語学 の博士号の論文を書いている。 D 住所――北海道旭川市豊岡7条4丁目5の1,501号,〒078−8237 E ℡――(0166)35−3789;携帯―― 080-3239-3853 II クラスについて A クラスの目標――ダニエル書を正しく解釈すること B テーマ箇所――ダニエル12:3 C 教科書――講師のノート -1- III A B C クラスの条件 試験――期末試験があります。 暗記聖句 1 1:8,2:47,3:25,4:37,6:26,9:3, 9:25∼26,10:19,12:2∼3 2 期末試験に、こういう質問が出ます。「あなたは暗記聖句の 全部を暗記しましたか。」 読本( 期末試験までに)――預言についての本 、200ページ読んで 、 「読書リポート」を詳く書いてください。 1 200ページになるように、2冊の短い本を読んでもいいです。 2 期末試験までに、教師に渡すようにお願いします。遅ければ、 点数が下がることがあります。 がんばってください!! -2- がいらん ダニエル書の概覧 I ダニエル書はどういう書物であろうか。 A ダニエル書の目標 1 ダニエル書はダニエルの伝記でもないし、当時のイスラエルの 歴史でもない。 2 その目標は、永遠の神は世界・人間の歴史・自然界のすべてを 支配されていることを教えることである。 B ダニエル書のテーマ 、「異邦人の各時代」 C ダニエル書は大預言書の一つである 。 (残りはイザヤ書、エレミヤ書、 エゼキエル書である 。)その357節の中の162節(45%)は、 58の預言を述べる。 II ダニエル書の著者 A 著者はイスラエル人の預言者のダニエルであった。 1 10年代(たぶん12∼15才ぐらい)のときに、捕虜として バビロン帝国の都バビロン市へ運ばれた。 2 ダニエルはとても正しい人であり、神を喜ばした 。(エゼキエル 14:14 )そのために、天の御使いに、 「 神に愛されている人 」 と呼ばれていた 。(9::23、10:11と19) 3 聖書の人物のなかで、罪人であるのにその罪は一つも書かれてい ない人は、ヨセフとダニエルの二人だけである。 B この書のある預言はもうすでに詳しく成就されている。たとえば、 イエス・キリストの降誕の年代はダニエルにちょうど預言された。で あるから、真の神を信じない人々は激しくダニエルの著者や年代を 攻撃する。 1 例えば、3世紀のポルファイリというシリヤ人の未信者は、 ダニエル書は偽物であると言った。 2 また 、現代の自由主義の神学者たちもダニエルの著者を否定する 。 C しかし、ダニエルの著者を証明する証拠が十分ある。 1 バビロン帝国の時代に書かれたエゼキエル書に、ダニエルの名前 が3回出る 。(エゼキエル14:14と20、28:3) 2 イスラエルの1世紀の歴史家のジョセファスはダニエルの著者を 認めた。 -3- 3 D E III A B キリストご自身もダニエルの著者を認められた 。(マタイ24: 15) ダニエルの預言を認めると、その書が神に霊感されていることも認め なければならない。 ダニエル書の大部分はヘブル語(ヘブライ語)で書かれたが、ある 部分だけはアラム語で書かれた。 ダニエル書の年代 ダニエル書の出来事は紀元前605年(捕虜としてバビロンへ)より 536年(ペルシアのクロス王の3年目)までである。 ダニエル自身はたぶん530年ごろまで生きていたので、ダニエル書 はダニエルの死ぬ前の10年間の間に書かれたと思われている。 -4- ダニエル書のアウトライン I 四人の賢い青年――これはユダヤ人のバビロン捕虜時代に行われた。つま り紀元前605∼602年ごろであった。彼らの問題は、真の神の信者はどう やって神の正しい宗教に反対する社会に暮らすことができるか、ということで あった。 A 外国に住む。(1:1∼7) 1 この箇所の背景――この四人の青年は、自分の国が神の御心に よって戦争で負けたので、捕虜として外国へ運ばれた。その社会 はすべてにおいて外国のであった――言語・宗教・習慣(1∼3 節) 2 青年たちはイスラエルのエリートな者で、立派であった。 (4節) クリスチャンも神のためにすべてでベストを尽くしてがんばるべ きではないか。(伝道9:10、コロサイ3:23) 3 外国に住んでいるのだけではない。その外国人は青年たちのすべ てを変えようとしている――名前・信仰など。(5∼7節) B 外国に住んでも信じた。(1:8∼13) 1 アメリカで 、「何のためにも立たない者は、何でも信じる 。」と 言われている。しかし、ダニエルは強い立場を取った 。(8節) 2 神は、強い立場を取ったダニエルのために立ち上がられた。神は すべてを支配されることを覚えて、結果を神に任せよう 。(9∼ 10節;マタイ10:33、詩篇75:6、箴言3:35) 3 ダニエルは試してくれるように願った 。(11∼13節)日本と いう国もキリストに栄光を捧げない。このような国に住むあなた の信仰は、どのぐらい強いであろうか。仏教や人文主義に反対す る立場を取るまで強く立てるか。それはもちろんダニエルのよう に礼儀正しくしよう!(12∼13節) C 外国で勝利を得た。(1:14∼21) 1 神はダニエルたちに食物の律法に従う方法を示された 。(14∼ 16節) 2 それから、神は彼らの勉強も助けられた 。(17∼21節)青年 たちは神の助けによってバビロン帝国のエリートになったのであ る。神の御言葉に従う者は必ず神に助けられる 。(ヨシュア1: 8、詩篇1:1∼3) -5- 3 II 未信者の中に住みながら神と御言葉に従う決心をしてください。 ネブカデネザルの夢(2:1∼23) A 王の命令(1∼13節) 1 王は夢を見た。これだけは珍しくないが、彼のは変わっていた夢 なので、王の心が騒いでいた。 2 王はもっとも偉い助言者たちを呼んだ 。(2∼4節) a 呪法師と呪文師とは、宗教家として魔法・呪いなどをやって いた。 b 呪術者とは、現代の科学者にもっとも近いのであった。しか し、当時に科学と迷信・星占いと天文学の間の違いはほとん どなかった。 c カルデヤ人は当時の学者であった。彼らは言語・農業・建築 に、魔法や天文学を研究していた。この時、カルデヤ人は王 への代表者であった。 3 王は夢の内容を忘れていたから、世界中の学問や宗教ができない ものが必要であった。それは奇跡である 。(5∼11節)私たち も神と神の力に頼って、この世の哲学に騙されないように気をつ けよう。(コロサイ2:8) 4 王に逆らってはとても危険である!この知者たちはそうして、 自分のプライドを通して大問題を起こした 。(12∼13節) B ダニエルの挑戦。(14∼23節) 1 ダニエルたちの命は危険であった。(14∼16節)ダニエルの 心の叫びはたぶん 、「助けて、待って 」でも、ダニエルは神の 答えを信じて、大胆に王にそう言った 。これこそ信仰である。 (ヘ ブル11:1と6) 2 ダニエルは神の答えを待っていた。(17∼18節)謙遜であっ たダニエルは、信仰を持っていたが、祈り続けていた。でも、 自分の祈りだけが足りなくて、 祈祷の戦士の必要があることを 認めた。 3 ダニエルは教えた。(19∼23節)ダニエルは自分の信仰の 秘密を述べた。 a 神は完全な知恵や力を持つ方で、頼りになる方である。 b 神は人間の歴史を支配し、それを変えることができる方であ る。 -6- c 神は真理を啓示される。私たちは御言葉に信頼ができる。 d 神は祈りに答えられる。祈りの答えは未来の信仰の土台にな ることができる。 III A B 未来の謎を解けたダニエル(2:24∼49) ダニエルは神のことを語った。(24∼30節) 1 神に夢の意味を教えられたダニエルは王のところまで連れてもら った 。 (24∼26節 )24節に、ダニエルの哀れみから学ぼう 。 魔法や魔術を行う知者たちは死刑に値する者であったに違いな かったが、ダニエルは彼らが滅ぼされないように願った。 2 ダニエルは神に栄光を捧げた 。(27∼28節、1コリント10 :31) 3 啓示は神からくる 。(27∼28節、2ぺテロ1:20∼21) ある人はこう言う。「すべての真理は神の真理 。」しかし、神の 啓示の真理しか、誤り・間違いのないものはない。人間の科学・ 医学・心理学などは多く間違っている。 夢を解けたダニエル 。(31∼45節) 1 夢の像はその時からの歴史の四大帝国のことを意味していた。 a 純金の帝国はバビロン帝国であった。(紀元前629∼ 539年ごろ) b 銀の帝国はペルシア帝国であった 。(紀元前539∼330 年;バビロン市は330年に倒れた。)(ダニエル5:28) c 青銅の帝国はマセドニア帝国であった 。(紀元前330∼ 167年;マセドニア市は330年に倒れた 。)(ダニエル 8:21) d 鉄の帝国はローマ帝国であった 。(紀元前31∼紀元324 年)像は鉄の足が二本であったと同様に、ローマ帝国は二つ の帝国に分けた。 ①東方は395年にビゼンタイン帝国になった。それは 1453年にトルコ人がコンスタンチノプル市を倒したと きまで生き残った。 ②西の帝国は476年に倒れたが、その前にも、ドイツから のビシゴス族はローマ市を一回略奪することがあった。 (410年) ③像の鉄の足は東と西の両帝国を示す。両方はいくつかの -7- C D 小さくて弱い国々に分けられた。それは混じり合っている 鉄と粘土の意味である。(43節) 2 像の足を打つ石(34∼35、44∼45節)はイエス・キリス トの王国である 。(1ぺテロ2:4∼8、など)それは、千年 王国時代に、世界を支配する「山」となる。 尊敬すべきダニエル(46∼49節) 1 ネブカデネザル王はダニエルを尊敬するようになって、神をほめ 讃えた。私たちもイエスについて歩んだら、そうなるであろう。 (マタイ5:16) 2 人を高くしたり低くしたりする方は、神であると覚えよう。 (詩篇75:4∼7)神はダニエルを高い位に上げられた。 神は、私たち人間をも、人間の歴史をも、すべてを支配されているか ら、いつも神に信頼しよう。 IV 意味のない偶像崇拝(3:1∼30)――ネブカデネザルの許した偶像 崇拝は無意味であった。彼はもう真の神について知っていたのに、自分のプラ イドのせいで偶像の製作を許してしまった。それは傲慢であった。しかし、聖 書の中に、ダニエルの偶像崇拝に反対する立場はとても立派であるから、彼の 経験から学ぼう。 A 王の命令(1∼7節) 1 これはとても大きい像であった。1キュビト(腕尺)は大体53 ∼55センチであったので、像の高さはほとんど20メートルで あった。 2 ネブカデネザルは帝国の指導者の皆が、彼の偶像を拝んでほし かったのである 。(2∼6節)それは傲慢であった。 a 崇拝を要求することは傲慢であった。 b それに、拝まない人の罰を死刑にしたとは、なおさら悪かっ た。 3 もちろん、ほとんど皆は拝んだ 。(7節) B 信者の勇気(8∼18節) 1 信者たちの敵は王に一部始終話した 。(8∼12節)正しく行う 人は必ず敵をつくる。(2テモテ3:12) 2 王は怒った。やはり、王に逆らう人は覚悟しないといけない。 (13∼15節) 3 信者の立場は――「私たちはこのことについてあなたにお答えす -8- C D E る必要はありません 。」つまり、彼らは前もって偶像崇拝の問題 を心のなかで解決してあった 。(16∼18節)これは使徒たち に似ている 。(使徒5:29) 死刑にされる信者(19∼25節) 1 信者たちはすぐ死刑にされたが、兵士だけが死んだ。(19∼ 23節) 2 イエスは忠実な3人といっしょにおられた 。(24∼25節)し かし、迫害されるときに、助けがこなくても喜ぶべきである。 (マタイ5:10∼12) 王の告白(26∼30節) 1 神は栄光を受けられた 。(26∼27節)御子キリストを中心に すると、いつもそうなる。 2 王は皆の前で神の偉大さを告白した 。(26∼27節)これは彼 の救いの助けになったであろう。 3 神は3人の若者を高い位に上げられた 。(30節)私たちも正し い生活をし、人間を恐れないなら(箴言29:25、マタイ10 :28)、神に助けられる。 この奇跡でがっかりしたのは、神の敵だけであった。 V 狂った王の歴史(4章)――この章はユニークである。人がだんだん狂う ことが述べてあるから、精神病の一つの原因を知ることができる。現代なら、 ネブカデネザルの精神病は壮大偏執病と呼ばれ、悪くなったら、精神異状にな ったのである。でも実は、彼は罪のために、神に裁かれた。 A ネブカデネザルの夢(1∼18節) 1 神をほめ讃えるために自分のことを述べた 。(1∼3節) 2 知者たちは失敗した 。(4∼6節)夢を理解していたらしいが、 王に解ける勇気がなかった。 3 王はダニエルに夢を述べた 。(7∼17節)美しい木・聖い 見張りの者・獣のようになった心の変わった夢であった。 4 ダニエルの評判は、神の霊に満たされた人であった 。(18節) B ダニエルのアドバイス(19∼27節) 1 ダニエルは本当の謙遜と哀れみをもって助言した 。(19節、ガ ラテヤ6:1)しかし、彼ははっきりと王をせめた 。(箴言9: 8、27:5、28:23) 2 ダニエルの解釈 -9- C D a 高い木は王のことであった 。(20∼22節) b 見張りの者は神からであった 。(23節前半) c 王は獣のようになる。(23節後半) d 癒しは主に従うことであった 。(24∼27節) 位から落ちるネブカデネザル(28∼33節) 1 王はプライドを悔い改めなかった 。(28∼30節、箴言16: 18) 2 神はネブカデネザルを裁かれた。王は動物のようになり、草を 食べるようになった 。(31∼33節)たぶんこの間にダニエル はバビロンを支配したであろう。 ネブカデネザルの決心。(34∼37節) 1 王はやっと神を信じる決心をして、神を祝福したりほめたたいた り、神に栄光を捧げたりした。(34∼35節) 2 その瞬間、王は精神病から回復した 。(34∼35節)それは彼 の救いのときであったであろう。救いを通して多くの問題が解決 される。(2コリント5:17) 3 では、精神病はどういうふうに扱うべきか。 a イエスの救いに導こうとしよう。(ヨハネ14:6) b 信者なら、主に従うように導こう。 c 謙遜をもって哀れみで愛しよう。 d 神の癒されない精神病はない。人を助けるチャンスを待って いるか。 VI ベルシャツァル王のパーティー(5章)――ネブカデネザルはバビロン 帝国を創設した。その後は、短い間だけに、エビル・メロダク(エレミヤ52 :31)とネルガル・シャール・ウサルは王になった。その後、ナボニダスと いう人は反乱を通して王になったが、アラビアへ旅行に行った間にこのベルシ ャツァルを管理の王にした。それは大間違いであった。なぜなら、ベルシャツ ァルは歴史上のもっとも大きいパーティーをした。パーティーはすべて終わる が、このパーティーの終わり方はすごかったのである。 A ベルシャツァルのパーティー(1∼4節) 1 この宴会は1000人ぐらいの為で、紀元前539年10月29 日に行われた。 2 とても罪深い宴会であった。エルサレムの神殿の聖なる器を 使って神を冒涜するのであった。 - 10 - 3 B C D 罪が楽しくないと思っては勘違いである 。(ヘブル11:25) しかし、神はいつも罪を裁かれる 。(イザヤ47:8∼11、 箴言21:17) ベルシャツァルの恐怖(5∼12節) 1 壁に書かれた。神はこのパーティーをご覧になっておられた。 2 王にいくつかのことがなった。 a 良心に責められた。 b 恐怖になった。 c 助けを求めたが、知者たちも力がなかった。未信者は御言葉 の解釈ができない。(1コリント2:14) 3 王は神を無視していた。(10∼12節)ダニエルのことを 知っていた妻はパーティーにいなかった。彼女は信者であったか もしれない。 ベルシャツァルの間違い(13∼23節) 1 ベルシャツァルはとうとう神の人を呼んだ 。(13∼16節) 大事な御言葉をいつも最後にしてあったから。 2 ダニエルは王に歴史を教えた。(17∼21節) 3 ダニエルは王に彼の罪を教えたが、叱責したり解釈したりしな かった。なぜなら、裁きはもうすでにきたのである。 ベルシャツァルの裁き(24∼31節) 1 壁の御言葉はヘブル語であったであろう。知者たちは読めたが、 解釈ができなかった。酔っぱらっていたかもしれない。 2 25節の言葉の意味は 、「数えた、数えた、重さを量った、分け た。」 3 バビロンは二つ以上に分けられて、破壊されれベきであった。 (26∼28節) 4 王は約束を守ったが、価値のないものであった。その夜、ダリヨ ス王は川の底でバビロンの壁の下から攻撃し、ベルシャツァルを 殺した。(箴言13:15) VII ダニエルと獅子の穴(6章)――これは非常に興味深い話である。興 奮する話で、ダニエルのすばらしい性格を見せる。ダニエルは真理と正義と宗 教の自由のために、静かに強い立場を取った。 A ダニエルの敵(1∼9節) 1 ベルシャツァルを破ってから、ダリヨスは新しい政府の制度をつ - 11 - B C くった。各州の上に知事がいて、いくつかの州の上に太守がいた。 2 ダニエルは高い位についた。彼は太守の上の三人の大臣の一人で あった。(2∼3節)他の支配者はうらやましくなった。 3 すばらしいことは、ダニエルの敵は彼の信仰しか攻めるところを 見つけなかった 。(4∼5節;2テモテ3:13) 4 ダニエルの敵は、ダリヨスのプライドを利用て彼を騙し、新しい 法律を定めてもらった。(6∼9節) ダニエルの勇気ある個人デボーション(10∼17節) 1 ひどい死刑でもダニエルの信仰を弱らせなかったのである。 (10節;箴言4:26∼27、マタイ10:38∼39、16 :24∼25) 2 ダニエルの敵は罠を仕掛けた。(11∼13節) 3 それから、出来事は早く進んだ 。(11∼13節) a 王は変わらない法律を変えろうとした。しかし、メディヤの 法律の変更は禁じられていた。 b ダニエルの王に法律について講演したことは間違いで あった。 c 王は法律の通りに行ったが、ダニエルを励んだ 。(マタイ5 :16) d ダニエルは王の印で獅子の穴の中に封印された。 ダニエルの圧倒的な勝利(18∼28節) 1 これで王のダニエルに対する愛と尊敬が明らかになった 。(18 ∼20節、箴言22:11) a 王は眠れなかった。 b 王は喜べなかったので、音楽もほしくなかった。王はいつも 自分の音楽家を持っていた 。(たとえば、ダビデはサウロの 音楽家であった。 c 王は朝早く起きて、ダニエルを調べに行った。 2 ダニエルの返事を考えよう。彼はいつも王を尊敬していた。 (21∼22節) 3 王は新しい命令と法律を言い出した。(23∼27節) a ダニエルを獅子の穴から出してもらった。 b 獅子はお腹が空いていた。王はダニエルの敵を穴の中へ投げ た。 c 王はすべての民が真の神を恐れるように命じた。 - 12 - 4 神はダニエルを祝福された 。(28節)ダニエルの強い立場の 真似をしよう。 VIII ダニエルの夢(7章)――この夢はダニエルにとって遠い未来を預 言した。旧約聖書では、この章は最もヨハネの黙示録に近いのであろう。ダニ エルの夢は黙示録と同様なことをたくさん預言した。 A ダニエルの恐い夢(1∼14節) 1 四頭の怖い獣 。(1∼7節)これらのことは地中海の回りに行わ れる。 a 獅子は変化させた。 b 熊は食べ尽くした。 c ひょうは征服した。 d 四つ目の獣は破壊した。 2 一つの小さな角(8節) 3 力強い「年を経た方」(9∼10節) 4 小さな角の傲慢と破壊(11節) 5 四頭の獣の二つ目の機会(12節) 6 人の子の来臨(13∼14節) B ダニエルの夢の解き明かし(15∼27節) 1 17節によると、獣たちは王である。 a 獅子はネブカデネザルであった。バビロンの軍隊の印は獅子 であった。また、バビロン市の廃墟には、羽を持つ獅子の跡 が見つかった。勉強したように、この王は本当に変わった。 b 熊は多分ゼルクシーズ(Xerxes)のことを示している であろう。彼のメド・ペルシア軍はとても大きくて、たくさ ん破壊した。そしてメド・ペルシアの三本の肋骨に当たる レデヤとバビロンとエジプトは後で反乱を起こした。 c マケドニア帝国のアレクサンダール大王は、ひょうのように 征服が早かったのである。彼の死後に、帝国は四つの国に 分けられた――スレース、マケドニア、シリヤ、エジプト d 最後の恐ろしい王はローマであった。 2 復活するローマ帝国は、「角」(国の指導者)が大勢入る。三つ の強い国は 、「小さな角」に征服される。その小さな角とは、裁 きにふさわしい反キリストのことである。(箴言16:18、 1コリント10:12) - 13 - C a 反キリストは聖徒たちと戦う 。(19∼21節) b 彼は世界を支配する。(23∼24節) c 彼は3年間半だけ支配する 。(25∼26節) 3 「年を経た方」とは、裁き主でおられる父なる神のことである。 (22節) 4 「いと高き方」でおられるキリストは、彼の聖徒たちに世界を 与えるために再臨をなさる 。(18、22、27節;マタイ24 :30∼31) ダニエルが困った。 1 この夢はダニエルにとって感情的に難しかったのである。なぜな ら、誰とでも分け合うことができなかった。クリスチャンの指導 は寂しい。 2 しかし、神は未来をすべて計画しておられる。私たちはこの預言 で困る必要はない。神に信頼することだけで良い。 IX 雄羊と雄やぎの幻( 8章 )――これはダニエルの近い未来と「 最後の日」 と言われる時代についての預言である。ダニエルや当時の誰も子の預言を解釈 することができなかったが、私たちは歴史的な成就を通して大部分の解釈がで きるし、残りの部分も大体解釈することができる。 A ダニエルはまた夢を見る。(1∼14節) 1 彼は二本の角を持つ雄羊を見た 。(1∼4節) a 角は同じ長さではなかった。 b しつこい雄羊であった。 c 自分の意志で偉くなったが、高ぶりは罪である。(マタイ 23:12) 2 雄やぎは激しく雄羊を攻めて殺した。(5∼7節) 3 大きな角は折れて、4本になった 。(8節) 4 4本の角な中から一本の小さな角が高ぶって、聖所を汚した。 (9 ∼12節) 5 これらのことは2300日間、つまり6年間かかる。(13∼ 14節) B ガブリエルの解き明かし(15∼25節) 1 神は御使いのガブリエルが幻の意味を教えるように命じた。 (15∼16節)神は未来のすべてをご存じである。 a この幻は終わりの時のことを教えている。(19節) - 14 - b C D 雄羊はゼルクシーズのメド・ペルシア帝国のことである。 (20節)二本の角は連盟の二人の王であるが、ゼルクシー ズの方が強かった。 c アレクサンダール大王はメド・ペルシア帝国を破壊した。 (21節)彼の死後、帝国は四つに分けられた 。(22節) d アンチオクス・エピファネス四世は紀元前175∼164年 にシリヤを支配した。イスラエルを迫害し、神殿の祭壇の上 に豚のいけにえをした 。(24∼25節)これがために マッカビー反乱がおこった。 2 アンチオクス・エピファネスは同様に支配する反キリストの象徴 である。 ダニエルはまた困った。 ( 27節)悟れないストレスで病気になった。 神は未来をすべて計画しておられる 。御使い達はそれを理解している 。 神に信頼しよう。 X ダニエルの祈りの深さ(9章)――彼は聖書の学者であった。獅子の穴に 投げられたのは祈りのためであった。それに、彼はよく聖書を勉強していた。 例えば、エレミヤ書は書かれたばかりであったのに、ダニエルがその霊感を認 めていた。聖霊が聖書を認めさせる。 ( ヨハネ14:16∼17 、15:26 、 16:13)ダニエルにとって 、エレミヤ書で読んだ箇所がショックを与えた。 A ダニエルが祈った時(1∼3節) 1 戦後すぐであったから、ダニエルにとって難しいときであった。 (1節) 2 ダニエルはエレミヤ書25:11∼13勉強していた。それによ ると、エルサレムは70年間に神に裁かれる。ダニエルはもうす でに70年間ぐらいバビロンにいた。それはネブカデネザルの 最初の年から(紀元前605年ごろ )、536年のクロスの勝利 までであった。(エズラ3:1∼2) 3 イスラエルの帰国の時が来たと気がついたダニエルは、国のため にすばらしい執り成しの祈りをした。 Bダニエルが祈った理由(4∼15節) 1 罪の容赦は神のご性格から出る 。(4∼9節) a ダニエルは神をすばらしく描いた 。(4節) b 神の性格をイスラエルの罪に比べた。(5∼6節) c イスラエルの恥を神の哀れみに比べた 。(7∼9節) - 15 - 2 C 罪の容赦の必要とイスラエルの罪 。(10∼15節) a 神に逆らった。(10節) b モーセの律法をやぶって、正義によって裁かれた 。(11∼ 12節) c 悔い改めなかった。(13節) 3 神の祝福される悔い改めはちょうどダニエルの態度であった。つ まり 、人間の罪は正しい神から裁かれるのにふさわしいのであり 、 その裁きは人間のせいである。(14∼15節) ダニエルの祈ったこと。(16∼19節) 1 エルサレムとユダヤ人のための哀れみを祈った 。(16節)なぜ か。神の栄光と御名のためであった。 2 また 、「主ご自身のために」神殿の再建を祈った。(17節) 3 ダニエルは祈りを要約して、祈りの答えられる理由は人間の中に はなく、神の義と哀れみから出る、と言った 。(18∼19節) 4 ダニエルやパウロのように、自分の民を愛しよう 。(ローマ9: 1∼5) XI ダニエルとガブリエル(9:20∼23)――ダニエルは偉い。この四 節はクリスチャン生活を知恵深く教える。しかし、ダニエルを尊敬しながら彼 に栄光を捧げてはいけない。 A ダニエルがほしかったこと(20∼21節) 1 ダニエルの祈りに四つの部分があった。 a お話し――つまり、心の重荷をそのまま神に語った。何を 祈ればいいかわからないときにも、聖霊に助けられる。 (ローマ8:26) b 祈り――神に物事を願った 。(マタイ7:7∼8) c 罪を言い表すこと――神の容赦をいただいた 。(1ヨハネ1 :9) d 「願いの祈り 」( supplication)――心の叫び声 。(ローマ10 :13) 2 ガブリエルはダニエルの祈りの途中で来た。神は私たちの祈りの 前にもうご存じである 。(イザヤ65:24)そして、私たちが まだ罪人であったときにイエスを遣わされた 。(ローマ5:8) B カブルエルの話し(22∼23節) 1 カブルエルは神のお知らせを伝える御使いである。メシヤ(キリ - 16 - 2 3 4 スト)についての大事なメッセージがあったときに、ガブリエル は伝えた―― a ダニエルに(この箇所と8:16) b ザカリヤに(ルカ1:19) c マリヤに(ルカ1:26∼27) ダニエルの天国での評判を考えよう。「神に愛されている人。」 (23節)私たちの天国の評判は何であろうか。ダニエルは正し く生きるための模範である。 a アブラハム(ヤコブ2:23)とモーセ(出エジプト33: 11)は神の友であった。 b ダビデは「主…ご自分にかなう人」であった 。(1サムエル 13:14) c 十二使徒はイエスの友であった。 ( ヨハネ15:14∼15) d ヨハネはイエスの愛する弟子であった 。 ( ヨハネ13:23) ダニエルはなぜ「神に愛されている人」と呼ばれていたのか。 a 彼は心から正しく歩みたがっていた。(エゼキエル14: 14と20) b 心から知恵がほしかったのである 。(エゼキエル28:2∼ 3) c 心から神ご自身について歩みたがっていたのである。である から、多く祈る習慣があった。 自分はどのような者として天国で知られているであろうか。もし かしてガブリエルが自分にあうとすれば、何と呼んでくれるであ ろうか。天国に着くと、名前は何となるであろうか 。(黙示2: 17) XII 神の下さった答え(9:24∼27)――この箇所は驚くべき預言で ある。でも 、神は完全に未来を知っておられることはびっくりするはずがない。 しかし、聖書の預言は文字通りに成就されると私たちは知りながら、このよう なすばらしい預言を勉強するときに、驚くべきであると思うしかない。では、 ダニエルの学んだ預言を研究しよう。 A ダニエルの「七十週 」、及び490年間(24節) 1 原語はヘブル語の一般の「週」という単語ではなくて、 shavu'im (女性形)であって、「七つ」(複数)という意味である。 従って、学者は皆この意味は年々の数で、7に70を掛ける、つ - 17 - B C まり490年間という事に賛成する。 2 この預言は異邦人に関係がなく、ダニエルの国民と聖なる都市 エルサレムについてである。従って、教会時代を象徴するという 解釈は間違っている。 最初の69週(483年間)(25∼26節) 1 七つの週は49年間である。それはアルテ・ゼルクシーズ王の エルサレムを再建しようという命令が出た紀元前444年に 始まった。最後は396年にエルサレムの再建ができたときで あった。 2 62週、つまり434年間はちょうどイエスの十字架上の死のと きまでである。ただし、これはユダヤ人の記録で30日間の月と いうことである 。(創世記7:11∼24、8:3∼4)エルサ レムは紀元70年に破壊されたので、最後の週の間に二つの事件 があった。 a メシヤ(「 油注がれた者 」)は十字架上で「断たれ 」、つまり 殺された。「彼に何も残らない 。」とは、メシヤはユダヤ人 に拒まれるという意味である。 b 「やがて来たるべき君主」とは、反キリストのことである。 彼の民であるローマ人は「町と聖所を破壊する 。」町はエル サレムで、聖所は神殿の中にあった。ローマ帝国のテトス 将軍は70年に両方を破壊した。 c 「終わりまで戦いが続いて」とは、平和の条約を結ぶまで、 イスラエルと反キリストの間に戦争があるという意味であ る。 ダニエルの70目の週――7年間(27節) 1 聖書の箇所を別の箇所(特にマタイ24章)に比べることによっ て、これは7年間の艱難時代であるということがわかる。 a 反キリストはイスラエルと平和の条約を結ぶが、3年半で 条約を破る。 b その時 、「荒らす忌むべき者」である反キリストは新しい 神殿を汚す。 2 旧約聖書に預言されなかった教会時代は、69週目と70週目の 間である。これは24節の幻と預言の確証のことである。黙示録 の最後に(22:18∼19)預言が確証されたので、70年か ら空中再臨まで成就する預言がない。 - 18 - XIII 勝利者の幻を見よう(10:1∼19)――このおもしろい話しは 預言の間にくる。これはたぶん人間と御使いのもっとも興味深い出会いであろ う。 A ダニエルの怖い幻(1∼9節) 1 ダニエルは帝国の大臣であったから、部下もいっしょであった。 (7節) a 部下はいっしょに断食しなかったから、たぶんユダヤ人では なかったであろう。 b 偉い大臣になっても、ダニエルは祈ったり断食したりした。 どんなに偉くなっても人は謙遜すべきである。 2 ダニエルが会ったこの方は、他ならぬキリストご自身であった。 (黙示1:9∼20に比べてください 。)これはキリストの降誕 の前の神現であった。 B ガブリエルの説明(10∼15節) 1 弱くなって怖がるダニエルでも 、「神に愛されている人」と呼ば れた 。神は私たちをありのまま愛しておられる。 ( ローマ5:8、 詩篇103:11∼14) 2 ダニエルの祈りはなぜ答えられたか。(12節) a 神の御言葉を理解しようとした。 b 「へりくだろうと決めた。」(ヤコブ4:6∼10) c 断食もした 。(3と13節) 3 ガブリエルの来る理由はもう一度ダニエルに神のイスラエルのた めのご計画を伝えることであった 。(14節) ④ しかし、神の御心を行うために、サタンと戦わなければならな かった。御使いたちは決して霊的な戦争のことを忘れない。我々 も忘れてはいけない。(エペソ6:10∼13) C ダニエルの深い苦しみ(15∼19節) 1 ダニエルはなぜ苦しんでいたのか 。(15∼17節) a きっとまだ1∼2節の自分の民についての預言を考えていた であろう。 b 私たちもダニエルやパウロのように自分の民を愛しよう。 (ローマ9:1∼3) 2 御使いはダニエルを強めてくれた 。きっと現代にもそれと同様に 、 御使いは困る信者を強めてくれるに違いない。キリストも御使い - 19 - 3 に強められたことを覚えよう。(マタイ4:11) 神は私たちをすばらしく愛しておられる。これらの事実を覚えて がんばろう。 a 神は未来をすべてご存じである。 b イエスはダニエルに現われたと同様に、私たちの心にも来ら れた。 c 御使いたちは力を与えるために近いのである。 XIV 変わった王たち(10:20∼11:35)――この箇所にアンチオ クス三世と、反キリストのタイプ(象徴)になるアンチオクス四世と、反キリ スト自身の活躍は預言されている。アンチオクス三世と四世のことを勉強しよ う。 A アンチオクスのチャンス(10:20∼11:4) 1 ダニエルは大王クロス二世の大臣であった 。(1節) 2 他の3人の王は―― a カンビシーズ二世(紀元前527∼522年) b 権利の主張者スメルディーズ(紀元前522年) c ダリヨス一世と言われたヒスタスピス(紀元前522∼ 485年) 3 2節の預言はゼルクシーズのギリシャ対ペルシアの戦争であっ た 。(紀元前480∼479年)サモパイリーとサラミス湾とい う有名な戦いはその戦争のであった。 4 ゼルクシーズの死後に、アンチオクス三世は四つの新しい王国の 一つを受け継いだ。 B アンチオクスの計画(11:5∼12) 1 プトレマイ一世はエジプトで上がったが、彼の将軍の一人であっ たセルークス一世(ニカトール)はバビロンの独立した王国で 311年より支配していた 。(5節) 2 プトレマイ二世の娘のベルニースは、252年にアンチオクス 二世と結婚したが、彼の離婚した妻ラオダイスと彼女の息子に 殺された 。(6節) 3 ベルニースの兄弟のプトレマイ三世は北方の地方を攻撃し、略奪 した 。(7∼8節) 4 復讐のために、セルークス二世はエジプトを攻撃したが、240 年ごろにプトロマイ三世に敗られた。(9節) - 20 - 5 C D セルークス三世とアンチオクス三世は、アンチオクスがエジプト のガザ地方の国境を攻撃したときに戦った 。(10節) 6 プトレマイ四世は217年に、ラフィアというところでアンチオ クス三世の軍隊を敗ったが 、追いかけなかった。 ( 11∼12節) アンチオクスの新たな戦争。 1 アンチオクス三世は202年に新しい戦争を始めた。(13∼ 17節) a マケドニアのピリポ五世や他の国王もアンチオクスと 戦った。 b ユダヤ人も戦ったが、倒れた。プトレマイ王のスコパス将軍 はパレスチナを取り、エルサレム市を略奪した。 c スコパス将軍は198年にパネアス市でアンチオクスに負け て、シドンの砦で降参した。 2 ローマ軍はマグネシアで190年にアンチオクス三世を敗った。 彼は3年後の探検で死んだ 。(18∼19節) 3 セルークス四世はイスラエルの神殿の物を盗もうとしたが、後で 暗殺された 。(20節;聖書に含まれていない第2マッカビー書 3章にも述べられている。) アンチオクス四世も戦争を起こした 。(11:32∼34) 1 ユダヤ人はマッカビー族の指導で戦った。(23∼35節) 2 ユダ・マッカビー将軍は大した勝利を得た 。(2マッカビー書3 ∼4章) XV 反キリストの計画される帝国(11:36∼45)――反キリストは預 言されている。強そうな王であるが、そうでもない。その理由を勉強しよう。 A 反キリストの弱い神(11:36∼39) 1 この箇所は誰のことを示しているか。 a 一つの解釈は、これがアンチオクス四世エピファネス (「 現われた者」という意味)であった。しかし、そうなら 詳しい解釈ができない。 b 他の解釈はこれがローマ・カトリック教の法王のことであ る。しかしこれの詳しい解釈もできない。ただ、37節にあ るように、法王も、「女たちの慕うものも…心にかけない。」 2 もっともいい解釈はこれが反キリストであるというのである。 a 「すべての神よりも自分を高め… 。」(37節、2テサロニ - 21 - B C XVI ケ2:1∼12) b 「彼は、先祖の神々を心にかけず…、先祖たちの知らなかっ た神をあがめる 。」先祖の知らなかった神とは、反キリスト 自身のことである。 c 「彼はとりでの神をあがめ… 。」(38節 )「とりで」とは、 「自然の力」という意味もできる。反キリストは結局自分を その神と呼ぶ。(2テサロニケ2:3∼4) d 「国土を分け与える。」(38節)これは反キリストの戦い 方である。 反キリストの戦争(11:40∼43) 1 これもアンチオクス四世エピファネスではない。なぜなら、 「終わりの時に」とあるから。(40節) 2 「南の王 」(40節)とは誰のことであろうか。たぶん何回も イスラエルと戦ったことのあるエジプトであろう 。(42節) 3 「北の王」はきっと当時に「ロッシュ」と呼ばれていたロシアの ことであろう。北の王は連合軍でイスラエルを攻撃する 。(40 節;エゼキエル38∼39章、特に38:1∼9ご覧ください。) 4 しかし、反キリストはこれらの軍隊を敗る 。(40節後半∼42 節) 5 それから 、反キリストはイスラエルや敗られた国々の宝物を盗む 。 (43節) 反キリストの終わり(11:44∼45) 1 反キリストはその時にキリストの再臨のことを聞いて、自分の 軍隊の準備を命じる。(44節) 2 反キリストの軍隊は、ハルマゲドン(「 メギドの谷 」という意味 ) で集まる 。(45節;黙示16:16)それはエルサレムから 北方に80キロぐらい離れている。 a ハルマゲドンはイスラエルの歴史のいろいろな有名な戦いの 場所である 。(士師記5:19、2列王記23:29など) b しかし、反キリストは全力のキリストに勝てるわけはない。 (2テサロニケ2:8) 3 キリストは再臨なさって、歴史上の一番悪い人である反キリスト を裁き、全世界を支配される。すばらしい時代になる! ダニエルの預言の終わり(12章)――いつか人間の支配する時代が - 22 - 終わり、キリストの地上の王国が始まる。この箇所にダニエルはその時代を預 言する。 A 御使いミカエルの「苦難の時」(12:1、5∼7、11∼12) 1 この箇所に、7年間の艱難時代の後半に当たる「大いなる艱難 時代」が預言されている。 a ユダヤ人は救われる。「あなたの民…はすべて救われる。」 (1節;黙示20:12と15、21:27) b 時代は歴史上の最も恐ろしい時になる。 c ミカエルはその時代にユダヤ人を守る。 2 他の二人の御使いも二つのことを語った。(5∼8節) a 大いなる艱難は3年半かかる。それは30日間の月なら、 1260日間の長さは3年半である。 b その最後に、イスラエルは国として破壊されてしまう。 3 この箇所に 、「荒らす忌むべきもの」の事件のときもちょうど 預言されている 。(11∼12節) a 「荒らす忌むべきもの」の事件の後は1290日間ある。 (3年7ヵ月) b では、この1290日間とは、ちょうどキリストの栄光の 再臨を示しているであろうか。そして、1335日間(12 節)とは、千年王国時代の始まりを示しているであろうか。 聖書の学者たちは賛成しない。 B 人間の復活(12:2∼3、13節) 1 信者の復活もあれば、未信者の復活もある 。(2節――ヨハネ5 :28∼29、使徒24:15) a 最初は「義人の復活」である 。(ルカ14:14、ヨハネ 11:23∼26、ローマ6:5、1コリント15:35∼ 57、黙示20:4∼6) b 第二復活は悪人の復活である 。(使徒24:15)それは 千年王国の後である。(黙示20:5) 2 三節は救霊獲得の祝福を語るすばらしい節である。神は必ず忠実 に伝道をする信者に報いる。 3 ダニエルも復活の日に報いを受ける 。(13節)それで旧約聖書 時代の聖徒たちも第二復活に含まれていることがわかる。 C キリストの哀れみのとき(12:4、8∼10節) 1 第二来臨(栄光の再臨)の直前に哀れみのときがある。そのとき - 23 - D のユダヤ人は御言葉の研究を通して預言を理解し 、知識を受ける 。 (4節) 2 教会時代は哀れみと救いの時代である。大勢の人は救われたり 失われたりする 。(8∼10節) 3 しかし、教会時代の間に御言葉はユダヤ人にとって封じられてい る。 これでダニエル書の研究が終わる。キリストの勝利で終わることを 覚えよう。 - 24 - 「ダニエル書研究」 PRINTED IN JAPAN 2006年 ジ 著者 ョ ン ハ John R. イ ム ズ Himes 発行者 北海道聖書研究学院 Hokkaido Bible Research Institute HBRI 旭川市旭神1条5丁目5の15、〒078−8371 勝利バプテスト教会内 ℡ (0166)66−2008 JAPAN - 25 -
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