Title Author(s) 室内温湿度変動に基づいたアトピー性皮膚炎患者宅の温 熱性能評価方法に関する研究 青木, 哲 Citation Issue Date URL 2009 http://repo.lib.nitech.ac.jp/handle/123456789/595 Rights Type Textversion Thesis or Dissertation author ・名古屋工業大学学術機関リポジトリは、名古屋工業大学内で生産された学術情報を 電子的に収集・保存・発信するシステムです。 ・論文の著作権は、著者または出版社が保持しています。著作権法で定める権利制限 規定を超える利用については、著作権者に許諾を得てください。 ・Textversion に「Author」と記載された論文は、著者原稿となります。 実際の出版社版とは、レイアウト、字句校正レベルの異同がある場合もあります。 ・Nagoya Institute of Technology Repository Sytem is built to collect, archive and offer electronically the academic information produced by Nagoya Institute of Technology. ・The copyright and related rights of the article are held by authors or publishers. The copyright owners' consents must be required to use it over the curtailment of copyrights. ・Textversion "Author " means the article is author's version. Author version may have some difference in layouts and wordings form publisher version. 博 士 論 文 室内温湿度変動に基づいたアトピー性皮膚炎患者宅の 温熱性能評価方法に関する研究 2009年 青 木 哲 目 第1章 次 緒言 1 1.1研究背景と目的 3 1.2 既往研究 5 1.3 本論文の構成 9 参考文献 第2章 12 室内塵性ダニ類の生息分布と室内温湿度環境との関連 17 2.1 はじめに 19 2.2 調査方法 19 2.3 ダニの測定結果 22 2.4 ダニ類の分布に及ぼす階層の影響 23 2.5 階層と温湿度変動 26 2.6 ダニ検出法についての考察 28 2.7 階層とダニ相に関する考察 29 2.8 階層と温湿度変動,ダニ分布に関する検討 30 2.9 小結 31 参考文献 第3章 33 室内温湿度変動に基づいた温熱性能評価方法に関する 予備的検討 35 3.1 はじめに 37 3.2 調査対象と調査方法 37 3.3 温湿度の測定結果 40 3.4 温湿度変動と温熱性能に関する考察 48 3.5 小結 53 参考文献 55 1 第4章 夏季の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅における 室内温湿度変動に基づいた温熱性能一環境の比較 57 4.1 はじめに 59 4.2 室内温熱環境の把握法について 59 4.3.調査対象と調査方法 59 4.4 一般住宅の測定結果と考察 62 4.5 アトピー性皮膚炎患者宅の測定結果と考察 70 4. 6 冷房期の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の温湿度の比較 72 4.7 小結 75 76 参考文献 第5章 冬季の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅における 室内温湿度変動に基づいた温熱性能・環境の比較 79 5.1 はじめに 81 5.2 調査対象と調査・解析法 81 5.3 一般住宅の測定結果と考察 5.4 アトピー性皮膚炎患者宅の測定結果と考察 5.5 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の比較 5.6 総合考察 102 5.7 小結 103 83 結論 6.l縁括 6.2 99 105 参考文献 第6章 97 今後の課題と展望 発表論文 謝辞 -ill: 第1章 -1- 緒言 1.1研究背景と目的 1.1.1アレルギー性疾患の実態 近年、アトピー性皮膚炎や気管支幡息などのアレルギー疾患の増加が社会的に問題 となっている。厚生労働省の平成15年度保健福祉動向調査の概況1)によれば、何ら かのアレルギー疾患を持っている人は、大都市部39.4%、郡部31.1%、総数35.9% で、およそ国民の3人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っていることになる。ま た、文部科学省は2004年度学校保健統計調査2)の中で、晴息の子供の割合が小学校 で3.3%、中学校で2.7%、高校で1.7%と、それぞれ史上最高を更新したことを明ら かにした。アレルギー疾患に関する調査研究委員会は2004年から2005年にかけ、全 国の公立′ト中・高・中等教育学校36,830校の児童・生徒12,773,554人を対象とし た調査を実施し、有病率は噛息5.7%、アトピー性皮膚炎5.5%、アレルギー性鼻炎 9.2%であった3)0 アトピー性皮膚炎の有病率については医師が実際に診察を実施した調査報告、特に 成人に関しては少なく、佐伯ら4)は2003年に東京大学職員のうち2,123名に対して 皮膚科健診を実施し、成人の有病率は全体で6.9%であったことを明らかにしている。 アトピー性皮膚炎について世界的な規模で行われた疫学調査として、 (International Study of Asthma and Allergies in Childhood)によるものがあり5)、 日本を含めた56カ国の6-7歳、13-14歳の児童を対象としている。それによれば、 日本、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドで9.7-18.4% と高く、東欧や南アジア地域では0.8-9.8%と低い傾向がみられる。 1.1.2 アトピー性皮膚炎と室内環境 日本皮膚科学会では、アトピー性皮膚炎の定義・概念について、次のように定義し ている6)。 「アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す、痛棒のある湿疹を種病変 とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ」。アトピー素因とは「①家族歴、 既往歴(気管支噂息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、 あるいは複数の疾患)、または②IgE抗体注1)を産生しやすい素因」である。 アトピー性皮膚炎の発症悪化には、これらの素因に加えてダニなどのアレルゲン(ア レルギーの原因物質)や各種寄与因子が関係しており、建築物衛生の観点からの対策 も重要である7)。特に近年では、アルミサッシの使用、鉄筋コンクリート造の建物の 増加により住宅の気密性が向上し、室内で発生した水蒸気が滞留しやすく、結露発生 を助長している8)。また、室内湿度の上昇と主要アレルゲン産生者であるチリダニ類 の増加との相互関連が指摘されている9)。そのため、疾患の予防対策には室内湿度の 低下によるダニ対策が推奨されている10)0 -3- ISAAC 一方、アトピエ性皮膚炎では、皮膚のバリアおよび保水機能の主成分であるセラミ ドの含有量が低く11)12)、多くの場合で皮膚が乾燥し、特徴的なドライスキンとなって いる。そのため、治療面からは皮膚の保湿(スキンケア)が重視されており13)、こ の観点からは室内湿度の低下を防ぐことが疾患対策上重要であると考えることができ る。 このような相対する対策法が生じる背景として、以下の点が挙げられる。 主要アレルゲン産生者のダニ類の生息分布は、室内温湿度環境と生態学的な特徴と の相互関連によるものであり、生活空間における生息実態はまだ十分に把握されて いないこと。 アトピー性皮膚炎患者宅の温熱環境の実態把握が十分でないこと。 人間の健康やダニ類の生息に影響を及ぼす室内温湿度環境には、住宅構造・温熱性 能に加えて住まい手による影響が大きく、その把握に関する評価・比較法がないこ と。 また、アトピー性皮膚炎の治療に関してもまだ課題が残されている。 ・発症には、複数の因子が関係しており、悪化要因の抽出が困難な場合が多い。 ・ダニアレルゲンに関して量一影響・反応関係が確立されていないこと。 すなわち、ア.トピー性皮膚炎の疾患予防対策には、医学、生物学などの学問領域に とらわれず、建築学からの検討も重要である。 1.1.3 研究目的 本研究では、室内温熱環境とアトピー性皮膚炎の悪化要因との関連に着目し、まず 健常者の居住する一般住宅における主要アレルゲン産生者のダニ類の生息状況と室内 温湿度との関連についてダニ類の生物学的特徴を交えて検討する。次に、アレルギー 疾患や脳卒中などの室内環境に関係する疾患の疫学調査や医師による患者の生活指導 も視野に、室内温湿度変動に基づいた住宅の温熱性能評価法の開発を試みる。その結 果を踏まえ、住宅の基本的な温熱性能に住まい方などを加味した建築生態学的立場か ら、室内温熱環境を帰納法的に評価・比較する手法の検討を行う。さらに、提案した 手法を用いて一般住宅とアトピー性皮膚炎宅の温熱性能・環境の比較を行い、アトピー 性皮膚炎の病態生理学的特徴も踏まえて悪化要因についても検討することを目的とす る。 -4- 1.2 既往研究 1.2.1室内環境とダニ相の調査研究 室内塵からは多種類のダニが検出されているが、チリダニ類のコナヒョウヒダ (以下Derf)とヤケヒョウヒダニDermatophagoides ニDermatoPhagoidesfarinae pteronyssinus (以下DerP )は世界的に生息分布し、検出頻度が高く検出数も多いの で室内塵ダニ相の優占種である。また最も普遍的で、重要なアレルゲン生産者であ る14)。両種の湿度要求性、分布および季節消長などの特徴を表1-1に示す。一般的に ββγ/は湿度要求性が低く15)16)、東欧、北米の内陸部や韓国などの比較的乾燥した地域 で優占し、 ββγ♪は湿度要求性が高く、西欧、ハワイ、沖縄、北陸地方などの比較的 湿潤な地域で優占している17)-23)。また両種の主要アレルゲンに交差抗原性がみられ、 臨床医学的に大きな相違がないと推定されているが24)、生息分布の相違が種特異的な IgE抗体産生、すなわちアレルギー感作に影響している可能性も報告されている25)。 一方、表日本の各地ではββγ/とββγ♪の検出数がほぼ等しく、その優占度が家庭に よって大きく異なるので、ダニ類の生息分布に対して居住環境や生活関連要因の影響 が大きいと推定されている23)26)27)。すなわちダニ類の湿度要求性や分布の相違を考慮 すると、 ββγ/は比較的乾燥した家庭で、 ββγ♪は比較的湿潤な家庭で優占していると 推測されるが、まだ十分に検証されていない。 この原因は、調査対象が私的な室内環境で、部屋数、居住者数、生活活動、室内管 理状況などが多様であり、それらが複合的に室内気候およびダニ類の生態に影響して いること、さらに住まい方を加味した室内温湿度環境の統一した比較法が確立してい ないことなどによると推察される。 表1-1コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの湿度要求性、 分布および季節消長などの比較23) コナヒョウヒダニ ヤケヒョウヒダニ Dermatopha Derm goides farinae atoph agoides 臨界平衡湿度 65%RH 増殖開始時湿度 47-50%RH 55-60%RH 優占家庭の湿度 51. 63. ピーク時の湿度 60-70%RH 80-90%RH 発育好適湿度 60-70%RH 75-80%RH 発育休止若虫 出現する 一般的でない 地理的分布 北アメリカ、韓国 西ヨーロッパ,沖縄 内陸地方、山岳部 海岸地方、平野部 気候的分布 比較的乾燥した地方 比較的湿潤な地方 個体数季節変動 夏季と冬季の差は大 夏季と冬季の差は/ト 比較的規則的 不規則、環境の影響大 冬季に苦虫率が増加 季節的変動は小さい 構造集合の変動 73%RH 5%RH -5- 5%RH pteronyssinus 1.2.2 室内環境に関する調査研究 1.2.2.1室内環境の実態 近年の地球環境問題を背景とした省エネルギーの要請、住環境の質的向上や快適性 への要求、新建材や冷暖房の普及および地価の高騰による住宅形態の変化などの影響 により室内温熱環境は大きく変化し、その調査研究も進んでいる。その内容は①地域 特性の把握、エネルギー消費の削減や温熱的快適性の向上、結露対策、住宅構造や住 ②居住者の健康や疾病の予防対策を主目 まい方との関連などを主目的としたものと、 的としたものとに大きく分けられる。 まず、 ①に関連する既往研究を挙げる。冬季の研究報告は、北海道、東北、関東甲 信越地方の住戸と対象としたものが多い。絵内・荒谷ら28'-30)は北海道の戸建および 集合住宅の主暖房室と副暖房室の温熱環境と居住者の寒さに応じた暖房行為、生活活 動、熱消費量との関連を分析し、吉野らは一連の研究により東北地方の主に冬季の居 住性能、熱環境、居住者意識、地域特性などを明らかにしている31)-35'。加藤ら36'は 長野県の戸建住宅の熱損失係数と冬季の温熱環境、居住者意識を検討している。福島・ 入江37)は札幌市の集合住宅における結露と断熱・換気仕様、温熱環境との関連を報 告している。佐藤・郡38)は栃木県における住宅の冬季の熱環境と住まい方を報告し ている。また温暖な近畿地方では松原・津島ら39)40)41)による京都市近辺地域における 冬季の戸建住宅、集合住宅の居間の暖房様式と熱環境、住まい方に関する詳細な研究 がある。 夏季に関しては、ルームエアコンの全国普及率の高まりに伴い、冷房時の室内温熱 環境に与える影響に関して研究が進みつつあるが、冬季の暖房時との比較や、エネル ギー消費の実態把握を中心としたものが多い。滞地ら42)は東京およびその近郊住宅 における居住者の暖冷房行為の生起と室内気候との関係を検討し、水谷・赤林ら43) は新潟市の中高層住宅における夏季・冬季の暖房使用状況や室内温湿度の日変化につ いて明らかにし、赤林ら44)は新潟県の戸建住宅の夏季および冬季の温熱環境とエネ ルギー消費について検討を行っている。鈴木ら45)は札幌、京都、那覇の公営集合住 宅における冷暖房の使用状況と室温、住まい方の地域差を報告している。加藤ら46) は長野市とその周辺の戸建住宅における冬季と夏季の室温変動幅や夜間の温湿度の外 気と室内との関係、居住者意識の差ついて報告し、垂水ら47)は北陸3県の戸建住宅 の断熱仕様と冷暖房の実態、エネルギー消費、居住者の温冷感との関連を分析して いる。滞島ら48)は京都市近辺地域の住居における住まい方の季節差を検討している。 暑熱地域では福島ら49)や渡通ら50)による福岡市における夏季の温熱環境と住まい方、 冷房エネルギー消費量に関する研究がある。坊垣ら51) 52)は全国8地域における夏季・ 冬季の室内気温、冷暖房時間、エネルギー消費、住まい方などを統一した調査法を用 -6- いて比較し、地域特性を明らかにしている。これら報告は、調査期間が冬季・夏季そ れぞれ1週間程度と短いものが多い。 1年間に渡る調査研究としては、宮野ら53)は山梨県の伝統的民家における温湿度 と屋外環境・気候との関連を考察し、坂口ら54)は新潟市の高気密・高断熱住宅にお ける冷暖房時の室内温湿度の日変化とエネルギー消費量との関係を詳細に検討してい る。また西村ら55)は北陸地方の次世代省エネルギー基準適合住宅における通年の温 湿度変動と冷暖房のエネルギー消費量について報告している。 これら報告の多くは、省エネルギー対策や快適環境に資することを主な目的として いるため、室温の解析に重点が置かれており、湿度環境に関して分析を行っている研 究は吉野ら7)、水谷・赤林ら43)、坂口ら54)、西村ら55)などしかなく、極めて少ない。 すなわち室内気候の実態とその変動要因、特に住まい方を含めた、住宅の温熱性能と 温湿度環境との関連にはさらに検討の余地があると考えられる。 1.2.2.2 室内環境と疾病 次に②の居住者の健康や疾病の予防対策に関する既往研究を挙げる。従来の室内環 境と関わる疾病と言えば、冬季の部屋間の大きな温度差によって血圧が変化し、脳梗 塞や心筋梗塞を引き起こす、いわゆるヒートショックであった。快適性の向上や省エ ネルギーの促進を目的として、近年の住宅の気密・断熱性能の向上が図られ、それは 同時に健康な暮らしを確立するためでもあったが、また新たな健康害が発生してし まった。 その一つとして、住宅の高気密化に伴う室内空気汚染問題が挙げられる。 1990年代 後半から、建材等から揮発する化学物質の室内濃度上昇によるシックハウス症候群が 大きく問題視された56)。その後、 2003年に建築基準法は改正され、換気設備の設置 義務付けやホルムアルデヒド含有建材の使用制限などにより、 VOCsの室内濃度は顕著 に低下している57)0 住宅の高気密高断熱化は室内空気質の変化に加え、温度環境さらに湿度環境も大き く変化した。吉野らは、高気密高断熱住宅の熱環境特性と入居後の居住者の健康およ び乾燥感とに関する研究を行っている58)59)。さらに脱水症は居室内での発症例が圧倒 的に多く、居室内に脱水症を誘発する誘因が存在すると推察されている60)。一方、心 筋梗塞や脳血管障害では脱水症が先行することが多く、脱水に伴う血流量の低下およ び血液粘度や血小板の凝集能の上昇などが発症に関係していると推定されている61)。 また、近年の冷房設備設置率の高まりは、熱中症の予防対策としても期待されてい る62)oその反面、冷房設備の普及に伴い冷房病が問題化している63)。その発症要因と して室内外の温度差が指摘されている。さらに最近では冷房による室内湿度の低下と -7- コンタクトレンズ装用者の眼の不快感との関連が検討されている64)。 特に、発症および経過に室内環境の影響が大きいと指摘されているアレルギー疾患 は、なお多くの課題が残されており、 1-1-1項で示したように、アレルギー疾患は未 だ増加が顕著である。その一因として、住宅の気密・断熱化や冷暖房の普及に伴い室 内環境が高温多湿化し、チリダニやカビなどのアレルゲン産生者が増加し、アレルギー 疾患が増加してきたと推論されている65)。このような考え(生活住環境湿潤化説と仮 称)は広く支持されており66)、予防対策として換気による室内湿度の低下が推奨され ている。 これに対して川口ら67)は乳児の4ケ月検診時のアトピー性皮膚炎の有病率が冬・ 夏に比して春・秋に有意に高いと報告している。すなわち生後間もなくから冷房ある いは暖房した室内で過ごした乳児では、アトピー性皮膚炎の有病率が高くなる可能性 が推察される。さらに成人アトピー性皮膚炎が低湿度環境で悪化すると報告されてい る68)o須藤23)69)はチリダニ類の生息分布および室内温湿度の測定結果から、居住空 間における湿度はむしろ低下していると推定した。さらに須藤・水谷69)は近年の都 市域におけるヒートアイランド現象の進展、夏季の冷房に伴う除湿、冬季の暖房に伴 う室温の上昇により室内湿度は低下しており、湿度の低下がアトピー性皮膚炎の悪化 要因になっている可能性が高いと推論して、生活住環境乾燥化説を提唱した。この説 に従えば予防対策は室内環境の過度の湿度低下を避けることになる。このような矛盾 した説が提唱された背景として、これまでの調査研究では温熱性能・環境の評価・比 較が十分でなかったことが指摘できる。また、住宅の温熱環境の実態や性能の把握は これら疾患の疫学や予防対策上の、緊急の重要課題であるとも言える。 1.2.3 住宅の温熱性能・環境の評価法 室内気候形成に関わる住宅の温熱性能は熱容量、断熱性能、気密性能、調湿性能、 通風・換気性能および日射調節性能であり71)、室内気候はこれら性能に加えて室外気 候および冷暖房などの住まい方によって大きく影響されている。気密性能は相当隙間 面積72)、断熱性能は室温変動率や熱損失係数73)、換気性能74)は二酸化炭素ガスなど の減衰率から、それぞれ定量的に検出、測定されている。しかし実際に生活活動が行 われている居住空間では、これら物理的、定量的な測定が困難であり、温度変動のみ で評価をしていることが多い。 居住空間では、伝統的な民家や冷暖房設備のない住宅の場合には室内外の気温日変 動の位相のずれや振幅差が75)、また暖房器具の普及に伴い上下の温度差による不快感 が問題となり、上下温度差係数が気密・断熱性能の指標として広く用いられるように なった76)77)。近年では、佐藤・郡ら78)の自然室温の許容域を用いた室の熱環境の評価法、 -8- 深揮・須永79)の環境共生住宅における環境調整行為に注目した温熱環境の評価法な どが提案されている。しかし、温熱環境の調査法や温熱性能の評価、比較に関して統 一的な方法、基準はまだ存在していない51)。 1.3 本論文の構成 以下に各章の概要をまとめ、本論文の全体の構成を明らかにする(図卜1)。 第1章「緒言」では、本論の研究背景と目的および研究意義を、アトピー性皮膚炎 などのアレルギー疾患の実態および室内の温熱環境に関する先行研究と関連づけなが ら述べた。 第2章「室内塵性ダニ類の生息分布と室内温湿度環境との関連」では、アトピー性 皮膚炎の主要アレルゲン産生者である室内塵性ダニ類と居住環境との関連について検 討した。すなわち、生活パターンが比較的類似していると推察された単身赴任者用社 宅および独身者用寮2棟の高層集合住宅(健常者居住)を対象として、階層別の室内 塵性ダニ類の分布について述べた。さらに室内温湿度変動との関連について考察し、 ダニ類の生息分布と湿度要求性との関連について考察した。 第3章「室内温湿度変動に基づいた居住環境の温熱性能評価方法に関する予備的検 討」では、室内気候の実態把握および温湿度変動から住宅の温熱性能・環境の簡便な 評価法を開発することを目的に、名古屋市内の健常者宅5戸における室内外の温湿度 の1年間に亙る測定結果を分析した。年間変動に加えて、夏季(8月)、冬季(1月) の温度変動と同時に湿度変動の調査解析を行い、居住空間の温熱性能や環境特性を総 合的に把握する評価法を提案した。その上で、各種疾患の疫学調査や予防対策との関 連を示しながら検討を行った。 第4章「夏季の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅における室内温湿度変動に基づ いた温熱性能・環境の比較」では、近年のルームエアコンの普及に伴う夏季の室内温 湿度環境の変化に着目し、冷房による室内温熱環境に及ぼす影響を温湿度変動を中心 に解析した。まず名古屋・岐阜に立地する一般住宅17戸を検討し、各住宅の冷房使 用頻度や強度の判定方法について検討した。さらに6戸のアトピー性皮膚炎患者を解 析し、一般住宅との比較を行うとともに、温湿度環境と病態生理学的特徴との関連か ら、アトピー性皮膚炎の悪化要因について推論を行った。 -9- 第5章「冬季の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅における室内温湿度変動に基づ いた温熱性能・環境の比較」では、第4章と同様の住宅において冬季の温湿度の実測 値を検討し、それらデータの解析により一般住宅の基本的な温熱性能・環境および住 まい方の把握を試みた。さらに5戸のアトピー性皮膚炎患者を解析し、一般住宅と比 較を行うことで、アトピー性皮膚炎対策における問題点について述べた。 第6章「結論」では、第1章から第5章までの検討から導き出された結論をまとめ、 さらに今後のアトピー性皮膚炎の予防対策などについて課題と問題点を示した。 -10- 第1章 緒 言 ・研究の背景、目的 ・既往研究 第2章 室内塵性ダニ類の生息分布と室内温湿度 環境との関係 ・ダニ類の測定結果と考察 般 住 宅 ・階層とダニ相に関する結果と考察 i ・室内温湿度変動とダニ相との検討 常 者 宅 iコ巧 第3章 室内温湿度変動に基づいた温熱性能評価 方法に関する予備的検討 ・室内温湿度の測定結果と考察 に お け る 檎 討 ・温湿度変動と温熱性能に関する考察 I l l l l l l I J l l l I 第4章 夏季の一般住宅とアト ピー性皮膚炎患者宅における室 内温湿度変動に基づいた温熱性 能・環境の比較 第5章 冬季の一般住宅とアト ピー性皮膚炎患者宅における室 内温湿度変動に基づいた温熱性 能・環境の比較 ・一般住宅の測定結果と考察 ・一般住宅の測定結果と考察 ・アトピー患者宅の測定結果と考察 ・アトピー患者宅の測定結果と考察 ・一般住宅とアトピー患者宅の温湿度 環境の比較と考察 ・一般住宅とアトピー患者宅の温湿度 環境の比較と考察 ・冷房効果の検討 ・温熱性能の評価法の検討 宅一 に般 お住 け宅 ると 検ア 討ト ピ l 性 皮 膚 炎 患 者 l l l l l l I I I 第6章 結 論 ・総括 ・今後の課題と展望 図1-1本論文の構成 -ll- 注 (Immunoglobulin 1) IgEとは、免疫グロブリンE E)の略。花粉症や気管支喋息などの即時 IgE 型アレルギー反応を起こす免疫グロブリンとして1967年石坂公成により発見された。 高値はアトピー性皮膚炎の約80%でみられる。 参考文献 1)厚生労働省大臣官房統計情報部:平成15年保健福祉動向調査の概況,アレルギー様症状, http://www. 2003 jp/toukei/saikin/hw/hftyosa/hftyosaO3/, go. mhlw. http://www. 2)文部科学省生涯学習政策局調査企画課:平成16年度学校保健統計調査速報, mext. htm, jp/b_menu/toukei/001/h16. go. 2004年 http://www.next. 3)文部科学省:アレルギー疾患に関する調査研究報告書, houdou/19/04/07041301/002. 5) No.5, Williams 特集アレルギー疾患の疫学,アレルギー・免疫, prevalence 138, Rovertson of in a11ergies 2007 pp.596-600, H, Stewart C, symptoms jp/b_menu/ 2007 pdf, 4)佐伯秀久:成人アトピー性皮膚炎 Vol.14, go. of in Allergy of et eczema atopic J. childhood, A, and :Worldwide al. the international study Immunology, Clinical in variations of the and asthma Vol.103, pp.125- 1999 6)日本皮膚科学会学術委員会「アトピー性皮膚炎ワーキンググループ」編:アトピー性皮膚 炎の定義・診断基準,日皮会誌, Vol.104, 1994 pp.176-177, 建築物の環境衛生管理(上巻),ビル管理教育セ 7)ビルの環境衛生管理編集委員会編:改訂 1996 ンター, vol.101, 8)池田哲朗:気密化と結露,建築雑誌, 1986.9 pp.86-88, Vol.7, 9)高岡正敏:ダニの増加と住環境の変化について,アレルギー・免疫, pp. 2000 459-467, vol.ll, 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E., BAGGIO, D., responses to pp.402-407 CHAPMAN, among SHIDA, and and NASPITZ and allergens Y. immunological pteronyssinus Allergy dust 1996 pp.1-8, M.D., C.K., IgG children with FERMAMDEZ-CALDAS, IgE and asthma antibody in Btazil, Annals house Allergy, 1993 26)高岡正敏,石井明,椛沢靖弘,大内忠行,消費曝息患者の室内塵中のダニ相について,衛 生動物, 28, pp.237-244, 1977 27)森谷清樹,室内に生息するダニ類Ⅰ-Ⅲ,日本家屋害虫学会(編),家屋害虫2,井上書店, 東京, pp.283-301, 1988 28)絵内正道,荒谷登:居住室の温熱環境の実態 その1寒さに応じた住まい方と室温変動 パターンについて,日本建築学会論文報告集, No.264, その2 29)絵内正道,荒谷登:居住室の温熱環境の実態 について,日本建築学会論文報告集, No.265, その3 について,日本建築学会論文報告集, No.266, 寒さに応じた住まい方と設定室温 1978.3 pp.105-113, 30)絵内正道,荒谷登:居住室の温熱環境の実態 1978.2 pp.9卜97, 寒さに応じた住まい方と熱消費量 pp.97-103, 1978.4 31)長谷川房雄,吉野博,赤林伸一:東北地方都市部の木造住宅における冬期の温熱環境に関 する調査研究,日本建築学会論文報告集, No.326, pp.91-101, 1983.4 32)長谷川房雄,吉野博,東北地方の各種住宅における冬期の室温に関する調査研究,日本建 築学会論文報告集, No.371, pp.18-26, 1987.1 33)吉野博,長谷川房雄,沢田紘次,石川善美,赤林伸一,菊田道宣:熱環境からみた冬期 の居住性能に関する地域特性の分析,日本建築学会論文報告集, -13- No.345, pp.92-103, 71, 1984. 11 ■ 34)吉野博,長友宗重,石川善美:東北地方のコンクリート造集合住宅における冬期の温湿度 No.399, 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53)宮野則彦,浅見雅子,宮野秋彦,寝室及び便所の温湿度変化から見た居住環境の考察,日 生気誌27, 1990 pp.57-70, 54)坂口淳,赤林伸一,山口- :新潟市に建設された住宅における室内温熱環境とエネルギー 消費量に関する実測調査,日本建築学会計画系論文集, 543, 2001.5 pp.33-39, 55)西村仁,池田真樹,藤村知春,垂水弘夫:北陸の次世代省エネルギー基準全電化住宅を対 象とした温熱環境と暖冷房用エネルギー消費に関する実態調査,日本建築学会環境系論文 集, 582, 2004.8 pp.37-44, 56) (社)日本建築学会編:シックハウス事典,技報堂出版, 2001.9 57)大津元毅,林基哉:新築住宅における室内空気質の経年変化,日本建築学会生物・化学汚 染による健康障害の建築的対応特別研究委員会シンポジウム, 58)吉野博,長谷川兼- 2008.3 pp.9-14, :高断熱高気密住宅における熱環境特性と居住者の健康に関する調査, No.507, 日本建築学会計画系論文集, pp. 13-19, 1998.5 59)長谷川兼-,吉野博:高断熱高気密住宅における居住者の乾燥感に関する冬期調査,日本 建築学会計画系論文集, No.509, 1998.7 pp.91-96, 60)須藤千春,水谷章夫,湿度環境と疾患,特にアトピー性皮膚炎一生活住環境乾燥化説一 湿気研究の新たなる進展,第31回熱シンポジウム,日本建築学会環境工学委員会・熱環 境小委員会, 2001 pp.107-112, vol.81, 61)鶴屋和彦,平方秀樹:脳血管障害と脱水症,治療, 62)Kilbourne 247(24), E. pp. M. et 333213336, al : Risk factors for No.7, heatstroke a pp.1928-1936, case-control study, 1999 JAMA, 1982JAMA 63)三浦豊彦:暑さ寒さと人間,中央公論社, 1977 64)堤仁美,田辺新一,秋元孝之,鈴木孝佳:夏季における低湿度環境とコンタクトレンズ装 用が在室者に与える影響に関する研究,日本建築学会環境系論文報告集, 23, No.564, pp. 17- 2003.2 65)奥平博一:家のダニとアレルギー,アレルギーと住環境, pp.6-7,ビル管理教育センター, 1995.3 66)上田宏:アトピー性皮膚炎は増えているか?,皮膚科診療プラクティス 皮膚炎(古江増孝編), 6.アトピー性 1999 pp.10-16,文光堂, 67)川口博史,竹内瑞恵,田中良知,高橋生世,石井則久,中嶋弘:乳幼児検診におけるアトピー 性皮膚炎,アレルギー, 48, 1999 pp.686-690, 68)小島昌幸,斉藤輝幸,アトピー性皮膚炎患者宅の住環境に関する研究一低湿度環境下での 皮膚水分率の低下に関する実験-,日本建築学会東海支部研究報告集, -15- No.37, pp.613- 616, 1999 69)須藤千春:チリダニ類の生態および室内気候からみた室内環境の乾燥化とアトピー性疾患, 環境技術, 28, 167-173, 1999 特にアトピー性皮膚炎一生活住環境乾燥化説 70)須藤千春,水谷章夫:湿度環境と疾患 pp.107-112, -,日本建築学会環境工学委員会熱環境小委員会第31回熱シンポジウム, 2001.10 71)梅干野晃:室内気候と快適性,住まいと環境学,放送大学教育振興会, No.325, 72)村上周三,吉野博,住宅の気密性能に関する研究:日本建築学会論文報告集, pp. 104-115, 1990 pp.130-143, 1983.3 1981 73)宮野秋彦:建物の断熱と防湿,建築技術選書25,学芸出版社, (木村建一編),丸善, 74)吉野博:住宅の暖房と換気,建築環境学Ⅰ (渡辺要編),湿度,換気,室内気候, pp.131-347,丸善, 1973 77)長谷川房雄,吉野博,赤林伸一:東北地方都市部の木造独立住宅における冬期の温熱環境 に関する研究,日本建築学会論文報告集, No.326, pp.91-101, 1983.4 78)佐藤豊,郡公子,石野久禰:自然室温による日本各地の戸建住宅の熱性能評価に関する研究, 日本建築学会環境系論文集, No.573, pp.4卜46, 2003. ll 79)深津たまき,須永修通:居住者の環境調整行動を考慮した温熱性能評価方法,日本建築学 会環境系論文集, No.617, 1992 1984 75)藤井正一:住居環境学入門,彰国社, 76)堀江悟郎:建築計画原論Ⅲ pp.155-199, pp.81-86, 2007.7 -16- 第2章 室内塵性ダニ類の生息分布と 室内温湿度環境との関連 -17- 2.1 はじめに 第1章で述べたように、近年における住宅の断熱化、気密化、高層化などに伴い、 室内の湿潤度が高まり、室内塵生息性チリダニ類が増加し、気管支曝息やアトピー性 皮膚炎が増加してきたと推察されている。したがって「居住環境」、 「室内気候」およ び「ダニ類の生息分布」の3者間における相互関連を解明することは、疾患対策に繋 がると考えられる。 ダニ類の生息分布に対しては、居住環境や生活関連要因の影響が大きいと推定され ており1)2)3)、ダニ類の湿度要求性や分布の相違を考慮すると、コナヒョウヒダニ(以 下Derf)は比較的乾燥した家庭で、ヤケヒョウヒダニ(以下Der♪)は比較的湿潤な 家庭で優占していると推測されるが、まだ十分に検証されていない。 本章では立地、環境条件は異なるが、建物内の構造のみならず居住者の生活活動も あまり相違しないと考えられる単身赴任者用社宅および独身者用寮の2棟の高層集合 住宅を対象として、階層の塵性ダニ類の分布および室内温湿度変動-の影響について 検討した。 2.2 調査方法 2.2.1調査対象住宅および測定方法 名古屋市の市街部にある単身赴任者用社宅(A棟、 RC造7階建、建築後11年、居 住者数約80人)と豊田市の郊外にある独身者用寮(B棟、sRC造11階建、建築後27年、 居住者数約1,300人)の2棟を調査対象とした(表2-1、図2-1)。 が密集し、 3、 4階の比較的高い建物もあったが、 2階建の木造住宅のみであった。 A棟の周辺は家屋 1、 B棟周辺は人家が比較的疎らで、 A棟では各居室が6畳の和室と約1畳の板聞からなり、 洗面器が設けられ、窓枠はアルミサッシであった。B棟は6畳の和室3室(原則3人居住) と流し台および水洗便所を含む共有スペースから構成され、窓枠は鉄製であった。両 横とも各室に空調機が設置され、食堂、浴室、洗濯重などは別にあり、室内の生活活 動は低いと推定された。 A棟では1階から7階の全階層から各1室を、 B棟では1, 2, 3, 5, 9, 10, 11階 から各1室を選んだ。居住者が所定の電気掃除機(吸引仕事率200W)を用いて、床面 から室内塵を採取した。 1996年6月から10月まで2週間に1回の割合で掃除機の集塵袋を回収し,室内塵 試料から2.2.2に示す方法によりダニ類を分離,同定し、階層別に検討した。 またA棟においては、全居住者が帰省した1996年12月30日から1997年1月4日 まで、各階の1室に小型温湿度ロガー(タバイエスペック社製、 -19- RS-10)を北側の直 表2-1調査建物概要 立地 全速____ 旦盈_ RC SRC 7 ll アルミ製 スチール製 1986 1970 80 1 300 名古屋市 市街部 周辺環境 構造 階数 窓枠 竣エ 居住者数 皇田市 郊外部 「 く:⊃ tLl トー :iiニ ト t=】 =L -】o(o 」,6.a.--二 野」 A棟 z!L-I-: 36〕C-ユ B棟 図2-1調査対象住宅の基本平面プラン 射日光の当たらない板の間に設置し、 10分間隔で測定した。 2階の部屋(201号室) のみは西妻に位置し外壁に面していたが、他の部屋は東西の両側に部屋があった。 2.2.2 ダニ検出法 ダニ検出の簡易化を図るため、飽和庶糖液遠心浮遊法4)に,真書屋ら5)が開発した ナイロンメッシュ漉過法の変法を併用して、以下の手順で分離、封入、透徹し,同定 した。 -20- (1)電気掃除機で採取した室内塵を上部36メッシュ、下部200メッシュの重ね合わせ たふるいに入れる。これを良く震塗(左右側面を手でよくたたくこと)し、200メッ シュ上の細塵30mgを検出試料とする。 (2)秤量した細塵を小試験管(容量;15ml)に入れ、 10倍希釈中性洗剤を数滴滴下し、 混和した。これに飽和庶糖液を最初は約半量入れ、震塗し、さらに残りの庶糖液 を加えて(全量で約13ml)、震塗した。 (3)2,000rpmで5分間遠心し、沈漆を除く全量を駒込ピペットを用いて、ブフナ-ロー トで吸引しながら直径2.5cmに切った円形のナイロン製の200メッシュ上に展開 した。 (4)小試験管の壁面に沿って飽和庶糖液を再度注入し、ダニ分離を計3回行った。通常、 初回の分離液を第1のメッシュに、 て展開し、 2, 3回目の分離液を第2のメッシュにあわせ 1試料に2枚のメッシュを用いた。ただし塵が多い場合には初回の分 離液を分割し、 2 (計3)枚のメッシュに展開した。 (5)メッシュをスライドグラスに乗せ、実体顕微鏡下で大きな爽雑物を除去し、塊と なった塵試料を均一に分布するように伸ばした後、乳酸を数滴滴下し、カバーグ ラスをかけ、 56℃で2、 3日静置して透徹を行い、生物顕微鏡下で観察した。 チリダニ類については種別、発育段階(卵、幼虫、若虫、成虫(オス・メス))別 に記録し、その他のダニ類の分離は科の段階に止めた。なお卵の種別の同定は不可能 であったが、形態からほとんど全てがチリダニ類の卵であると推定された。 -21- 2.3 ダニの測定結果 A棟からは6,646個体が A棟およびB棟から検出されたダニ相を表2-2に示した。 検出され、 Derf70%、 DerP 13%で総検出数に占めるチリダニ類の割合は830/oであっ た。チリダニ類以外ではイエササラダニ(Hablochthoniussimblex) (cheyletidae) 2%、ホコリダニ類(Twsonemidae) ニクダニ類(Glycybhagidae) (Tydeidae) 0. 0. 1. 90/o、コナダニ類(Acaridae) 1%、オソイダニ類(Cunaxidae) 01%、ハリクチダニ類(RaPhlinathidae) 110/o、ツメダニ類 0. 0・ 3%、 10/o、コハリダニ類 、カザリヒワダニ類(Cosmochthonius reticulatus)、ハダニ類(Tetranychidae) 、ヒメハダニ類(Tenuipalpidae)などが検出され、 B棟の総検出数は これら非チリダニ類(non-Pyroglybhidae)割合は約17%であったo 2,773個体でA棟と比較するとββγ/の組成率が約66%とやや低く、反対にホコリダニ 類が約6%で、非チリダニ類が22%とやや高かった。しかし両横ともにチリダニ類が 約80%、イエササラダニが約10を占め、 ββγ/数はββγ♪数の約5倍であり、全体的に ダニ相は類似しているとみなされた。卵も多く検出された。 表2-2各棟から検出されたダニ数とその割合 A棟B棟 検出数%検出数% コナダニ亜目 チリダニ類 コナヒョウヒダニ ヤケヒ∃ウヒダニ コナダニ類 二クダニ類 ケダニ亜目 ツメダニ類 ホコリダニ類 オソイダニ類 コハリダニ類 ハリクチダニ類 ハダニ類 ヒメハダニ類 トゲダニ亜目 ササラダ二亜目 イエササラダ二 力ザリヒワダニ その他 不明 総検出数 卵数 553983.3217578.4 551483.0217078.3 464970.0183766.2 86513.033312.0 180.350.2 70.100.0 2了ー4.12739.8 1312.0843.0 1241.9ー696.1 100.170.3 10.020.ー 10.000.0 40.1100.4 00.010.0 150.230.1 72210.931011.2 71910.829710.7 30.0110.4 00.020.1 991.5120.4 66462773 620163 -22- 2.4 ダニ類の分布に及ぼす階層の影響 A棟の階層別ダニ相およびダニ類の検出数と階層との相関係数を表2-3に示した。 両棟ともに最上階の直下の階、すなわちA棟では6階、 層でダニ類の減少する傾向がみられた。 B棟では10階を除いて、高階 A棟の1階では総数1,683個体が検出され、 最上階の7階ではその約1/3の556個体に減少し、階層と総ダニ数の間に危険率5% 未満で負の有意な相関がみられた(r=-o.76)。またββγ♪ (r=-0.81)およびイエササ ラダニ(rニー0.81)でも階層と負の有意な相関がみられたが、 ββγ/(rニーo.58)、ツメ ダニ類(r=-o.68)、ホコリダニ類(r=-o.69)、卵数(r=-0.64)の相関は有意でなかった。 しかしツメダニ類、ホコリダニ類、卵数でも高階層(4階以上)では低階層(1階-3 階)よりも少ない傾向がみられ、 ββγ/では階層との関連が明瞭でなかった。 B棟の階層別ダニ相およびダニ類の検出数と階層との相関係数を表2-4に示した。 棟でも高階層でダニ数の減少傾向がみられ、 B 11階の総ダニ数は1階の約1/3に減少 ββγ♪ した。いずれのダニ類でも検出数と階層とに有意な相関は認められなかったが、 (r=-0.64)、ツメダニ類(r=-o.59)、ホコリダニ類(r=-o.58)、イエササラダニ(r=0.51)では相関係数が比較的大きく、1階と2階以上の際が顕著であった。また卵数も 高階層で1,2階の低階層よりも、 10階を除いて、少ない傾向がみられた。これに対し てββγ/は中間層および最上階でやや減少し、階層の高低と検出数に一定の傾向が認 められなかった(r=-0.04)。 表2-3 階層別のダニ相(A棟) 各階検出数 2 コナダニ亜目 チリダニ類 コナヒョウヒダニ ヤケヒョウヒダニ コナダニ類 ニクダニ類 ケダニ亜目 ツメダニ類 ホコリダニ類 オソイダニ類 コハリダニ類 ハリクチダニ類 ハダニ類 トゲダニ亜目 ササラダニ亜目 イエササラダニ カザリヒワダニ 不明 総検出数 歴数 r,相関係数 __」.塵_ 1202 7 66 1195 7 66 907 288 0 7 6 35 1 31 0 0 147 19 漂 漂 旦匿 7階 総計 876 531 5539 826 684 142 628 692 876 531 5514 550 620 473 58 4649 18 18 0 43 78 0 0 19 72 780 96 0 0 0 0 0 0 14 8 -0.69 -0.58 -0.81 865 23 9 10 82 16 9 4 2 1 132 1 24 2 2 2 1 1 1 1 10 0 0 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 1 3 0 1 0 0 0 0 4 2 310 310 -0.70 -0.68 -0.69 12 1 0 0 0 102 52 71 57 17 722 -0.82 1 13 101 52 69 57 719 -().81 0 1 0 2 17 0 14 27 12 1 10 1028 14 714 21 799 955 556 6647 64 58 98 72 620 1 0 22 1683 5 9 0 13 72 0 1 0 * 7 27 10 7 59 r -0.69 21 16 4 146 坤<0.05 漂 15 * I 3 99 -0.76 -0.64 * 表2-4 階層別のダニ相(B棟) 各階検出数 2 コナダニ亜目 508 _____⊥塵_ チリダニ類 ヨナヒョウヒダニ ヤケヒョウヒダニ コナダニ類 ニクダニ類 ケダニ亜目 ツメダニ類 ホコリダニ類 オソイダニ類 コハリダニ類 ハリクチダニ類 ハダニ類 ヒメハダニ類 トゲダニ亜目 ササラダニ亜目 イエササラダニ カザリヒワダニ その他 不明 総検出数 卵数 2 76 507 394 113 1 0 181 2 76 40 125 5 2 16 60 0 97 97 9 3 66 2 65 2 38 27 77 ui] 5 2 u 階 4 98 4 98 73 3 71 3 32 39 4 総計 1 57 1 56 1 34 46 52 0 0 30 22 -0.16 -0.16 -0.04 -0.64 -0.59 -0.59 0 20 0 0 13 7 7 3 6 3 1 6 1 7 0 0 19 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 8 0 0 0 0 0 0 0 186 180 5 8 2 1 0 0 0 5 5 0 0 10 1 0 0 0 0 0 2 0 2 0 1 40 37 0 1 0 0 0 2 879 38 0 0 7 1 2 1 2 0 0 21 12 15 ll 6 3 273 8 3 169 1 0 0 3 28 4 00 22 2 0 97 35 115 12 0 12 ll 1 0 0 0 9 5 1 0 57 55 2 0 5 r 2175 21了0 1837 333 5 0 84 -0.58 7 2 3 310 295 11 2 0 1 12 85 43 69 8 2773 163 -0.38 10.32 r,相関係数 A、 B棟の各階から検出されたDerf, Derbおよび非チリダニ類の検査細塵30mgあ たりのダニ数(平均ダニ密度)とそれら百分率を図2-2、 2-3に示した。両棟ともに 高階層ではββγ/率が高まり、非チリダニ類やββγ♪率は低下する傾向がみられた。す なわちA棟では1-3階のββγ/率は50%前後で5階以上から70%になった。非チリ ダニ類率はDerf率とほぼ反比例的に変化し、高階層で低下した。 20%であったが、階層が高まると約10%に低下した。 で、 Der♪率も1階で約 B棟でも1階のββγ/率は約50% 2階以上から70%以上になり、非チリダニ率はββγ/率と反比例的に変動し、 ♪率は全体的に低いが、高階層でやや低下した。 ββγ 2 1階の非チリダニ数が比較的多く、 階以上で顕著に減少したことが注目された。 さらに階層別にDerf, 2-4、 DerP個体群の発育段階別割合(集団構造)を検討した(図 2-5)。両横ともββγ/では幼虫率が約20%、若虫率約40%、メス成虫率約15%、 オス成虫率約20%で、未成熟虫(幼虫、若虫)が約600/oと成虫よりも高かった。 では反対に未成熟虫が約40%、成虫約60%で、成虫の割合が高かった。 Derf Derfの集団構 造は階層にかかわらずほぼ一定で、顕著な変化を認めなかった。しかしββγ♪ではA 棟の高階層で未成熟虫率の低下傾向が見られ、 高く, 2-10階では約30%に低下したが、 B棟でも1階で未成熟虫率が約50%と 11階では約40%になった。 -24- -Derf-Derp hO -その他-一一-D8rf +Derp -その他) 5th 6th 35 ∈ ⊂) 亡■「 iZ) 30 El 也 25 臆互 I 20 臥 官 許 1 st 2nd 3rd 4th 7th 階層 図2-2各階層の平均ダニ密度とその割合(A棟) I- D8rf -Der p 【::::::コその他----●-Derf +Der p +その他 50 45 40 hd ≡ 35 ⊂) ぐ〉 E_ :.:. 軸25 :匝 I1 20 'ql 冨15 10 5 0 2 ∩d 3 rd 4th 5th 階層 図2-3各階層の平均ダニ密度とその割合(B棟) 25 6th 7th Der f (コナヒョウヒダニ) Der (ヤケヒョウヒダニ) p ぎ35 亡) 壷30 世25 【盟 I1 20 廿、 宮15 計 1 st 2n d 3 rd 4th 5th 6th 7th 1 2nd st 3rd 階層 4th 5th 6th 7th 芦皆層 図2-4ダニ密度と個体群の発育段階別割合(A棟) Per f (コナヒョウヒダニ) Der p d 3rd (ヤケヒョウヒダニ) 45 40 ぎ35 白30 倒25 儲 1- :O b 官15 呈; 10 5 0 4th 5th 6th 7tJ1 1 st 2 n 階層 4th 5th 6th 7th 階層 図2-5ダニ密度と個体群の発育段階別割合(B棟) 2.5 階層と温湿度変動 A棟において1996年12月30日から1997年1月4日まで全居住者が帰省した無人 の部屋で、 表2-5に 1階から7階までの温湿度変動を測定し、絶対湿度を算出したo 平均値および階層との相関を,図2-6に日変動を示した。本調査期間中、名古屋地方 で12月30日から1月1日まではやや温暖な日が続き、 1月1日午後から雨が降り、 日以後に強い風が吹いた.平均温度は2階の西妻に位置した部屋で11.2℃、換気小窓 あるいはカーテンが開いていたと推定される5階の部屋で13.4℃、最上階の部屋で 13.8℃とやや低かったが、他の階では14.5℃-15.4℃であったo -26- また階層と平均温 2 表2-5 A棟の階層別室内温湿度測定結果(1996/12/30-1997/1/4) 室温(oC) 平均±標準偏差変動係数 階層部屋番号 1ー09 相対湿度(%) 平均±標準偏差変動係数 絶対湿度(g/kg') 平均±標準偏差変動係数 14.5±0.372.6 ll.2±0.665.9 51.1±ー.753.4 6.3±0.345.4 72.2±1.051.5 7.3±0.314.2 15.3±0.674.4 40.9±2.596.3 5.4±0.509.3 4404 15.4±0.644.2 38.2±2.105.5 5.0±0.408.0 5505 13.4±1.249.3 4ー.5±7.3917.8 4.9=ヒ1.0822.0 6607 14.9±0.418.4 7703 13.8±0.695.0 0.18 41.9±4.6211.0 44.6±5.8613.1 5.4±0.6812.6 5.3±0.8415.8 2201 3305 r -0.52 変動係数(標準偏差/平均×100);r,相関係数 -0.66 18 17 16 15 ( 14 O 0 頑13 収12 11 10 9 8 80 70 60 垂50 芸40 衣 # 30 20 10 td 」亡 vTh 也 項 衣 匡 0:00 12/30 12:00 0:00 12/31 図2-6 12:00 0:00 12:00 1/1 0:00 1/2 12:00 0:00 1/3 A棟の階層別室内温湿度の変化 -27- 12:00 0:00 1/4 度との相関は低かった(r=0.18)。温度の日変動は、大きく変動した5階の部屋を除 1 いて比較的類似していた。すなわち他の部屋では2階の部屋で温度が低いものの、 日までの日変動は1.5℃以内で、 2日の降雨の影響も小さかったが、 2日以後の強風に よって階層にかかわらず温度がほぼ並行的に低下した。 平均相対湿度は温度の低かった2階で72%と最も高く、次いで1階の約51%、 以上では38-45%と低くなった。高階層では湿度変動も大きくなり、 3階 5階以上では 変動係数が10%以上になった。また湿度と階層とに有意ではないが、比較的高い負の 相関が見られた(r=-0.52)。 3、 1、2階では湿度の日変動に対する降雨、風の影響は小さく、 4階でも降雨の影響はみられなかったが、風によって湿度が顕著に低下した。 以上では外気の影響がさらに強く、降雨によって室内湿度が高まり、風によって大き く低下した。この傾向は絶対湿度で顕著に示され、 であったが、 1、 2階の絶対湿度は6g/kg'以上 3階以上では4.9-5.4g/kg'に低下した。また階層との相関も有意で はないが、比較的高いことが示された(r=-0.66)。以上から高階層では低階層よりも 降雨や風などの外気の影響が大きく、湿度もやや低いとみなされた。 2.6 ダニ検出法についての考察 アレルギー性疾患と室内塵性ダニ類との関連が指摘されて以来6)7)、室内塵からの ダニ検出法が種々検討されてきた4)8)-10)。その多くは有機溶媒や飽和食塩水、飽和庶 糖液などを用いてダニ類を分離し、嬢紙上に展開し、実体顕微鏡下で1個体ずつダニ を拾い出し、顕微鏡標本を作成して同定、計数している。これらの方法の最大の欠点 はダニの拾い出しに習熟、忍耐、時間を要し、定量性に欠けることである。このため、 室内塵性ダニ類の個体群生態学的研究は著しく遅れている。これに対して最近、真書 屋ら5)はダニの拾い出しを行わない、ナイロンメッシュ漉過法を開発した。そこで本 研究では飽和煮糖液遠心浮遊法で分離したダニをナイロンメッシュ上に展開し(メッ シュ展開法)、次のような利点のあることを確認した。 本法では室内塵試料からのダニの拾い出しを要しないため、処理時間を大幅に短縮 することができた。すなわち従来法では、 0.1gの細塵を直径9cmの渡紙2-3枚に展 開し、ダニを1個体ずつ拾い出していたので、 1日に2、3個の試料の処理が限度であっ たが4)、本法では検査細塵両を30mgにし、直径2.5cmのメッシュに2-3枚に展開し、 生物顕微鏡下で直接同定するようにしたので、1日に20試料以上の処理も可能になり、 作業効率は少なくとも10倍は高まった。またこれまで拾い出しの困難であったダニ の卵および幼虫も比較的多数検出されたことから、定量性にも優れていると考えられ た。 -28- 5階 2.7 階層とダニ相に関する考察 室内塵性ダニ類の分布は家屋構造や部屋数、家族数、居住者の生活活動、床材など の多くの要因によって大きく影響されるので11)12)、ダニ類の生息分布を比較する際に は住環境要因や室内の生活活動があまり相違しない住居を選定することが望ましと考 えられる。そこで本研究では、立地、環境条件は異なるが、棟内の構造、生活活動な どがあまり相違しないと考えられる単身赴任者用社宅および独身者用寮を調査対象と して、階層の影響について検討した。なおダニ個体数は掃除頻度や寝具の管理状況な どによっても大きく影響されるので、居住環境要因とダニ類の分布との関連を検討す る際には、ダニの種類や個体数に加えて、集団構造の検討も重要であると考えられる 13)14)15) (〕 本調査で得られたダニ相を1983ニ相と比較すると16)、 れる。すなわち198343.9% 1984年に調査した高層住宅(1階- 10階)のダ DerP組成率(全ダニ数に占める割合)の顕著な低下が注目さ 1984年の調査ではDerf, DerPの組成率がそれぞれ38.5%、 (個体数では4,329と4,937)でほぼ等しかったが、本調査では2棟の合計で それぞれ69%、 13% (個体数では6,648と1,198)であった。 DerP組成率の低下は 木造住宅でも見られており17)、両種ダニの温湿度要求性などの相違からみて、室内湿 度の低下が示唆されるが、その実体と原因は別途に検討したい。 高層集合住宅で階層が高まるとββγ♪や非チリダニ類が減少し、 ββγ/はあまり影響 されないことがすでに11)12)15)16)18)19)20)などによって報告されている。しかしながら、 これらの報告は階層の影響についての系統的な研究ではなく、その原因は必ずしも明 確ではなかった。 本研究によりββγ♪およびツメダニ類、ホコリダニ類、イエササラダニなどの非チ リダニ類は高階層で減少し、 ββγ/は階層にあまり影響されないことが示された。また 高階層では低階層よりも湿度がやや低く、湿度変動の大きいことが示された。これら の結果から、階層が高くなると室内湿度が低下し、湿度要求性の高いダニ類の発育や 増殖に適さなくなる可能性が推察された。 DerfとDer♪の階層による生息分布の相違は両種の生態学的特性の相違によると推 察される。すなわち両種は形態、食性、生息場所などが類似しているが、生活史、湿 度要求性や地理的分布はかなり相違する。一般的にββγ/の湿度要求性はββγ♪より・も 低い21)22)I)。またDerfでは個体群密度の増大などにより生息環境が悪化すると、乾燥 や低温に耐性の長期発育休止若虫が出現するので、比較的乾燥した環境に適応してい る。一方、 ββγ♪では発育休止若虫の出現は一般的ではなく、比較的湿潤な環境に適 応していると推察されている1)。このような湿度要求性、地理的分布、生活史上の相 -29- 違および本調査で得られた結果などからみて、低階層の室内は比較的湿潤で、高階層 の室内は比較的乾燥していると推察された。 また屋内性ダニ類の生息分布と居住環境要因との重回帰分析やクラスター分析の結 果から、 DelP、ツメダニ類、コナダニ類、ニクダニ類などの湿度要求性は比較的高く、 Dell,イエササラダニ、ホコリダニ類などの湿度要求性は比較的低いと推察されてい る22)23)。本研究では、 ββγ♪、ツメダニ類のみならずイエササラダニ、ホコリダニ類も 高階層で減少する傾向がみられ、 階層と分布との関連からみて、 ββγ/では階層の影響が顕著でなかった。このような ββγ/はイエササラダニやホコリダニ類よりも湿度要求 性が低く、屋内性ダニ類の中では感想に最も耐性があると推察された。 集団構造を解析した結果、両横ともにDerfでは未成熟虫の割合が高く(約60%)、 Der♪では反対に成虫の割合が高い(約60%)ことが示された。成ら23'はDer♪、 Der /の個体群増殖期に未成熟虫の割合が高くなることを報告しており、これは一般的な 現象であり、未成熟虫の割合は増殖の適否や難易を示していると考えられる。すなわ ち両横の室内環境はDer♪よりもDerfの増殖に適していると推察された。またDer DerPで fでは階層の検出数や集団構造に対する顕著な影響が認められなかったが、 は高階層で検出数が減少し、未成熟虫率もやや低下した。高階層では湿度が低下し、 ββγ♪の増殖に適さなくなると推察された。 2.8 階層と温湿度変動,ダニ分布に関する検討 上記したダニの分布と階層とに関する推察を検証するため、階層と温湿度変動との 関連を検討した。温度と階層に高い関連は認められなかったが、 2階の部屋では他の 部屋と比較して温度が低く、湿度が高かった。この部屋は西妻に位置し、外壁に面し ていたので、温度が低く、相対湿度が高くなったと推察された。平均湿度は1、 よりも3階以上でやや低い傾向がみられ、高階層では降雨や風の影響も大きいことが 示された。 一般的に地表面からの高度が増すと空気中の湿度は低下する。特に周辺環境の被覆 度が低下するので自然風の風速、浮力が増大し、風速の垂直分布がみられる24)。本調 査でも高階層では降雨や風の影響が大きく、風速の垂直分布によると考えられた。す なわち高階層では風速の垂直分布の影響を受けて、風力換気が高まるので、低階層よ りも湿度が低下し、 Derbなどの湿度要求性の高いダニの生息分布に適さなくなるが、 ββγ/は湿度要求性が低く、乾燥に比較的耐性であるので、階層にあまり影響されず、 広く生息分布していると推定された。 このような階層と外気との関連は建物の気密性、地域、季節などによって強弱があ -30- 2階 るとしても、一般的な現象であると推察される。すなわち高階層では風力換気が高ま るので、ノルウェーやスウェーデンでは3階以上の集合住宅の気密性グレードを1、 2 階建の集合住宅よりも高くすることが建築基準で定められている。またアメリカでも 換気量の推定に階層(1-3階)に伴う風力、風圧および周辺環境の被覆度の相違が 考慮されている25)。本調査も以下に示したように、建物の気密性や周辺環境がダニ分 布や室内気候に影響している可能性を示唆した。 (図2-2、 A棟とB棟のダニ類の分布を比較すると、 以上との相違が顕著で、 2-3)、 A棟では1-3階と4階 B棟では1階と2階以上の相違が顕著であった。特にB棟1 階では非チリダニ類が比較的多かったが、 2階以上では著しく減少した。この相違は、 B棟が郊外の田園的環境に位置し、周辺に高い建物が存在せず、建築年数が古く、窓 枠が気密性のあまり高くない鉄製であったので、 2階以上で外気の影響を強く受けた が、A棟は市街部に位置し、周辺に3、4階建ての建物も多く、建築年数が比較的新しく、 窓枠が気密性の高いアルミサッシであったので、 3階までは外気の影響が弱かったこ とによると推察された。すなわち高層集合住宅の室内気候は、ダニ類の分布からみて、 階層と同時に、建物の気密性や周辺環境によっても大きく影響されていると推定され る。 A、 B両横ともに最上階ではダニ数が顕著に減少した。その原因は屋上からの照り返 しの影響により、温度が上昇し、床面近傍の相対湿度が低下したことによると推察さ れた。またA棟では6階、 B棟では10階の最上階の直下の階のダニ数や卵数が多いこ とが共通してみられた。この原因が建物の構造的特性によるものなのか、あるいは居 住者の生活活動によるものかは現在不明である。 本研究で示されたような室内外の環境とダニ類(特にββγ/、 ββγ♪)の生息分布と の関連は広くみられ、生息分布の相違を生物指標として室内環境の微気象、特に湿潤・ 乾燥を推測することが可能であると考えられる。また生息状況の相違が種特異的な IgE抗体産生に影響している可能性も推察されるので26)、生息状況の相違はアレルギー 性疾患対策においても考慮されるべきであると考える。 2.9 小結 本章では名古屋市の市街部および豊田市の郊外部に位置する2棟の高層集合住宅に おいて、階層の室内塵性ダニ類の生息分布および室内温湿度変動に及ぼす影響を検討 した。 その結果、高層階ではヤケヒョウヒダニおよびイエササラダニ、ツメダニ類、ホコ リダニ類などの減少傾向が見られ、コナヒョウヒダニの分布は階層にあまり影響され -31- ないことが示された。この原因として、高層階では室内湿度が低下し、湿度要求性の 高いヤケヒョウヒダニや非チリダニ類の生息分布に適さなくなると推察された。 また、温湿度測定結果より、高層住宅の高層階では風速の垂直分布の影響を受けて 風力換気が強まり室内湿度が低下し、ヤケヒョウヒダニのような湿度要求性の高いダ ニ類の生息分布に適さなくなるが、コナヒョウヒダニは湿度要求性が低く、高層階で も生息分布していると推察された。また両棟のダニ類の分布を比較して、階層と同時 に建物の気密性や周辺環境も室内気候に影響していると推定された。 なお、1983- 1984年の調査では湿度要求性の低いコナヒョウヒダニと高いヤケヒョ ウヒダニの比が約1 : 1であったが、本調査では約5: ウヒダニの減少がみられ、室内湿度の低下が推察された。 -32- 1で、湿度要求性の高いヤケヒョ 参考文献 1)須藤千春,コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの生息状況に影響する要因の比較,ペス トロジー学会誌, ll, 1996 pp.卜8, 2)高岡正敏,石井明,椛沢靖弘,大内忠行:小児噂息患者の室内塵中のダニ相について,衛 生動物, Vol.28, 1977 pp.237-244, 3)森谷晴樹:室内に生息するダニ類Ⅰ-Ⅲ,日本家屋害虫学会(編),家屋害虫2,井上書店, 東京, 1988 pp.283-301, 4)彰城郁子,伊藤秀子,須藤千春:飽和食塩水浮遊法の改良による室内塵中のダニ検出につ vol.42, いて,衛生動物, 1991 pp.43-46, 5)真書屋清,小松雄幸:ナイロンメッシュ漉過法による室内塵ダニ類の定量的検出,衛生動 物(補), 6) vol.47, VIIRHORST, A.W∴ R., The 1996 pp.49, house SPIEKSMA, F.Th.M., dust (Dermatophagoides produces:Identity mite house-dust the with VAREKAMP, H., LEUPEN, M.J. and pteronyssinus) the Vol.30, ∫.Allergy, allergen, LYKLEMAN, and it allergens pp.325-329, 1967 7) MIYAMOTO, T., floor OSHIMA, common causative S., ISHIZAKI, T. 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M,D., : with IgG and asthma 1993 -34- FERMAMDEZ-CALDAS, IgE in 1992 pp.155-199, antibody Brazil, E., responses Annals BAGGIO, to Allergy, D., house dust Vol.71, 第3章 室内温湿度変動に基づいた 温熱性能評価方法に関する予備的検討 ー35- 3.1 はじめに 近年の地球環境問題を背景とした省エネルギーの要請、住環境の質的向上や快適性 -の要求、新建材や冷暖房の普及および地価の高騰による住宅形態の変化などの影響 により室内温熱環境は大きく変化し、その調査研究は第1章で述べたように広く行わ れている。しかし、それらの多くは温度の解析が中心であり、湿度に関する研究は少 なく、すなわち住宅の温熱環境の実態や性能の把握は、アトピー性皮膚炎などの室内 環境と関わる疾患の疫学や予防対策上の重要課題であるとも言える。 現在、温度変動による住宅の熱的性能の推定には上下温度差係数1)2)、つまり室内 外の温度差と室温の上下差の関係が断熱・気密性能および快適性の複合指標として広 く用いられているが、湿度変動と温熱性能との関連はまだ十分に検討されていない。 室内気候には室外気候の影響が大きく、また室内の温湿度変動と住宅の温熱性能と は密接に関連していると推定されるので、外気温湿度を基準として室内温湿度変動や 室内外の差などを検討することで、住宅の温熱性能の定性的な評価、比較が可能であ ると考えられる。 本章では、室内気候の実態の把握および温湿度変動による住宅の温熱性能の簡便な 評価法を開発し、室内環境が関係する疾患の疫学調査などにも資することを目的とし て、名古屋市内の立地や構造、暮らし方などの異なる5住戸において室内外の温湿度 を約1年間にわたって測定し、年間の変動に加えて冷房期(8月)と暖房期(1月) の室内外の温湿度変動と各住宅の温熱性能との関連を予備的に検討した。またその結 果に基づき、室内環境と関わる疾患などとの関連を含めて、湿度変動解析の意義につ いて若干の考察を行った。 3.2 調査対象と調査方法 3.2.1調査住宅の概要 調査対象とした5住戸(A-E)の概要を表3-1に、居間を中心とした平面図を図 3-1に示した。 A宅は守山区のコナラ、アカマツなどの繁茂した風致地区に位置し、 築後67年の在来型木造住宅である。居住者は70歳代の老夫婦2人で、冷暖房設備を 設置していなかった。 B宅は守山区の畑も散在する新興住宅地に位置し、築後45年の 一般的な在来型木造住宅である。居住者は70歳代の老夫婦2人で、寝室にはエアコ ンが設置されていたが、居間では電気コタツや扇風機を使用していた。 C宅は中川区 の市街地に位置し、築後22年の軽量鉄骨造住宅である。居住者は70歳代の老夫婦、 40歳代の若夫婦とその子供3人の7人で、居間および若夫婦の部屋では冷暖房の使用 頻度が高かった。 D宅は守山区の丘陵地の南端に建設された築後17年の7階建ての -37- 表3-1調査建物概要 A宅 B宅 c宅 E宅 D宅 住宅概要 所在 立地条件 周辺環境 構造 守山区 新興住宅地 畑散在 在来型木造住宅 窓枠 床面積(m2) 室数 居住者数 ペットの有無 建築年 部屋概要 主要室 床材 壁材 天井材 冷房方法 暖房方法 アルミ製 中川区 市衝地 民家密集 軽量鉄骨造 2階建住宅 アルミ製 守山区 新興住宅地 水田散在 RC造 7階建集合住宅 アルミ製 守山区 新興住宅地 畑散在 高気密型木造 2階建住宅 プラスチック製 106 132 72 177 6 6 4 6 2 7 3 4 ネコ1匹 j旺 ノヽヽヽ イヌ1匹 ネコ2匹 1952 1975 1979 1996 居間 居間 木版 石膏ボード 石膏ボード 居間 居間 木,タタミ 木質ボード 木質ボード タタミ 土壁 木質ボード 扇風機 カーペット コンクリート コンクリート エアコン エアコン エアコン コタツ エアコン エアコン エアコン \ れ泌】二=ふ叫弓 qr; 」ー. 蛋 円 I....I....-....● 態. 岳▲、..-.辛 こ) .手 き a M 喜 守 2< 蔓滋.xR__ 近 ii∼ L________」 rニー - 1!250 ---I--=こし∫ 叩、叩耶叩 ■ ----- House B ===::;:;;;;;;;;;;;;i House Recoi・der 芸Thermo A T3 -ー√ 至 i) 国 ・′ 官【 +二二 蔓 雲量 卜ミ 土〉 I..7書1.臨 :.転=⊇ 亘 監感 ___」_ I__ノ >-く、ー /..\j ▲ i .._.. ._r-.I. 一- 日ouse E 1 House 9150 D ⊂:≡ -ー------I---1一 日ouse C 図3-1調査建物の平面図 138- ... て360つ - -1 RC造集合住宅の2階に位置し、居住者は40歳代の夫婦と子供1人の3人で、冷暖房 の頻度が高かった。 E宅はB宅と同一敷地内に位置し、築後1年の高気密・高断熱型 木造住宅で、日常生活のエネルギー源としてすべて電力を使用するオール電化で、中 央換気方式により全室が冷暖房されていた。これらの住宅はすべて南向きで、隣接家 屋との間隔も大きく、日射や通風に特段の問題はないと推定された。 3.2.2 温湿度の測定および解析法 各住宅の居間、寝室などの2、 3カ所および屋外1カ所に温湿度センサー付き小型 データロガー(タバイエスペック社製、 RS-10)を設置し、 1997年6月から約1年間, 30分間隔で測定、記録した。屋外では風雨や日射の当たらない場所で、室内では床上 1 - 1.5mの高さで測定したが、本章では各住宅の温熱性能の特徴を把握することを目 的に、使用頻度の高い部屋(A宅では寝室兼書斎、他の住宅では居間)の測定値のみ 検討した。 B宅とE宅は同一敷地内に位置したので、 B宅で外気温湿度の測定を行い、 D宅では外気温湿度データに欠測があったので、直線距離で約1.5 測定値を代用した。 A、 km離れたB宅の B宅の室外温湿度と名古屋地方気象台の測定値とに高い相関を 認めた(r=0.97)0 温度と相対湿度から絶対湿度(g/kg')を算出し、それらの月平均値を求めて室内 気候の年変動を検討した。さらに冷房頻度の高い8月と暖房頻度の高い1月について 日平均の温湿度、最高最低温湿度差(変動幅)、室内外の温湿度差などを求め、外気 温湿度を基準として住宅の温熱性能との関連を検討した。なお冷暖房の使用状況など については調査期間が長く、継続的にデータの得られない住宅もあったので割愛した。 統計解析では有意水準をpく0.05とし、室内外の関連を相関および単回帰分析法によ り検討し、住宅間の比較には一元配置分散分析による多重比較法を適用した。また有 意な相関がみられない場合にも単回帰式(y=ax+b)を求め、全体的な変動傾向の指標 とした。 -39- 3.3 温湿度「の測定結果 3.3.1室内気候の年変動 3.3.1.1室温の変動 各住宅の使用頻度の高い部屋における気温、相対湿度、絶対湿度の月平均値を算 22.7、 20.3、 出し、年変動を図3-2に示した。年平均室温はA-E宅の順に17.6、 25.3、 22.6℃で年較差(最高の8月と最低の1月の平均値の差)はそれぞれ19.9、 20.2、 12.8、 10.7、 8.9℃であった。 8月の平均室温は28-30℃で冷房を行っていな いA宅と全室冷房のE宅間および冷房を行っていたC宅とD宅間の室温に有意差は認 められず、冷房使用の有無と月平均室温との関連の低いことが示された(表3-2)。し かし1月には暖房を行っていないA、 頻度の高いC、 D、 9.7℃で、暖房 B宅の平均室温はそれぞれ8.0、 18.2、 E宅ではそれぞれ16.7、 D、 18.5℃であり、 E宅間を除いて 有意差を認めた(表3-2)。 3,3.1.2 湿度の変動 風致地区に位置するA宅の年平均相対湿度は65.2%で、他の住宅よりも有意に約 10%高かった。 B宅の年平均相対湿度は57.0%で、 A宅よりも全体的に約10%低いが、 変動パターンは類似していた。これに対してC-E宅の年平均湿度はそれぞれ49.3、 51.8、 50.0%であった。また8月のA宅の平均相対湿度は約66%で他の住宅の55- 57%に比して有意に高かった。 c、 60、 1月にはA-E宅の順に約70、 41、 50、 42%で、 E宅間を除いて有意差を認めた(表3-2)。暖房住宅のC-E宅では11月から3月 C宅では までの5ケ月間の平均湿度が50%以下になり、特に2月にE宅では40%台、 30%台であった(図3-2)。 年平均絶対湿度はA-E宅の順に8.2、 著な相違を認めなかったが、 c、 D、 E宅では14.5、 14.0、 9.4、 8月にはA、 9.2、 9.8、 9.Og/kg'で、住宅間に顕 B宅の絶対湿度は16.0、 12.9g/kg'と低く、 A、 15.6g/kg'と高く、 B宅間およびD, E宅間を除いて 有意差を認めた。一方、1月の平均絶対湿度はA、B、C宅ではそれぞれと4.7、4.5、5.Og/ kg'と低く、 D、 E宅では6.5、 均絶対湿度は夏期には16以上の結果から、 5.6g/kg'と有意に高かった(表3-2)。また外気の平 17g/kg'で冬期には約4g/kg'であった。 8月には冷房住宅と非冷房住宅間の月平均室温の相違が顕著でな く、相対湿度が低い住宅ほど絶対湿度も低い傾向がみられ、 1月には室温が高い住宅 ほど相対湿度が低く、絶対湿度は逆に高い傾向にあると要約される。またC宅の冬期 の室温および相対湿度の変動は暖房によりD、 B宅に類似し低く、 E宅に類似したが、絶対湿度の変動はA、 C宅の温熱性能は他の住宅と著しく異なると推察された。 -40- E;i U 20 0 ヽ-′ 讃16 8 4 80 75 70 65 一己I 芭60 選55 歪50 40 35 30 ′ ■ヽ ltd }bd 雌 唄 衣 i 6 8 7 図3-2 表3-2 9 10 11 12 1 2 4 3 室内温湿度の月平均値 室内温湿度の月平均値(8月、 1月) 8月(1997) 平均±S.D. 5 1月(1998) 平均±s.D. 平均±S.D. 平均±s.D. 平均±S.D. 平均±S.D: A 27.9 ± 1.1 65.5 ± 10.8 16.0 ± 2.7 8.0 ± 1.4 70.1 ± 2.5 4.7 ± 0.5 B 29.9 ± 1.8 57.4 ± 12.3 15.6 ± 2.5 9.7 1.0 60.3 ± 3.6 4.5 ± 0.5 C 29.4 ± 0.9 55.9 ± 8.7 14,5 ± 2.3 16.7 :± ± 3.0 41.1 ± 5.3 5.0 ± 0.9 D 28.8 ± 0.5 54.7 ± 8.6 14.0 ± 2.2 18.2 ± 0.6 49.5 ± 3.7 6.5 ± 0.6 E 27.4 ± 0.6 55.1 ± 5.2 12.9 ± 1.2 18.5 ± 0.7 42.1 ± 2.5 5.6 ± 0.5 温度(8月);有意差あり;A-E, C-D間を除く組み合わせ 温度(1月);有意差あり;D-E間を除く組み合わせ 相対湿度(8月);有意差あり;A-B,C,D,E間 絶対湿度(8月);有意差あり;A-D, 相対湿度(1月);有意差あり;C-E間を除く組み合わせ A-E, B-D, 良-E, 絶対湿度(1月);有意差あり;A-B, C-E間 -41- D-E間を除く組み合わせ 冷房期の室内気候の検討 3.3.2 3.3.2.1室温の変動 8月の室内外の日平均気温差を比較した結果(表3-3)、 ど室温が高く、 C-E宅では-0.4--1.3℃で室温が低く、 A、 B宅では0.7、 A、 B宅間およびC、 1.3℃ほ D宅間 D宅では を除いた有意差が認められた。また日最高最低差を比較した結果(表3-4)、 C宅4.4℃、 2:3℃で最も′トさく、次いでE宅の3.4℃、 A、 B宅間およびA、 A宅4.5℃、 B宅5.2℃であり、 C宅間を除いて有意差を認めた。 日平均室温と外気温との関連を検討した結果(図3-3)、 表3-3 A宅では室温が外気温に追 室内温湿度の内外差の月平均値(8月、 1月) 1月(1998) 8月(1997) 平均±S.D. 平均±s.D. 平均±S.D. 平均±s.D. 平均±S.D. -0.5 0.0 ± 0.9 2.2 ± 0.7 2,7 ± 0.4 5.1 ± 0.8 -1.9 ± 1.7 10.7 ± 3.6 3.8 -1.5 ± 1.1 13.6 ± 6.5 -2.7 ± 2.2 13.9 ± A 0.7 ± 0.4 -5.5 ± l.6 B 1.3 ± l.8 -4.0 ± C ± 0.9 -5.4 ± D -0.4 0.2 6.9 5.3 ± 1.2 -6.8 ± E -1.3 ± 1.5 -6.3 ± 内外温度差(8月);有意差あり;AIB, 平均±S.D. 表3-4 0.8 ± 0,6 ± 13.9 1.1 ± 0.5 -24.1 ± 9.4 1.2 ± 0.6 1.4 -15.8 ± 9.7 2.8 ± 0.5 1.4 -23.2 ± 10.2 2.2 ± 0.5 C-E間を除く組み合わせ 内外絶対湿度差(1月);有意差あり;A-B, B-C, C-D間を除く組み合わせ 室内温湿度の最大最小差の月平均値(8月、 D-E間を除く組み合わせ 1月) 1月(1998) 8月(1997) 平均±S.D. 16.9 内外相対湿度差(Ⅰ月);有意差あり;B-D, 内外相対湿度差(8月);有意差みられず A-D, 10.5 内外温度差(1月);有意差あり;DIE間を除く組み合わせ C-D間を除く組み合わせ 内外絶対湿度差(8月);有意差あり;A-a, ± 平均±S.D. 平均±S.D. 平均±s.D. 平均±S.D. A 4.5 ± 1.7 20.5 平均±s.D. ± 9.6 3.5 ± 1.4 3.0 ± I.1 8.5 ± 4.2 1.3 ± 0.5 B 5.2 ± l.9 2l.7 ± 9.5 3.5 ± l.7 4.1 ± l.3 8.3 ± 3.0 l.2 ± 0.3 C 4.4 ± 1.2 ± 4.9 6.5 ± ± 4.1 30.4 ± ll.3 5.0 ± 1.6 2.3 ± 0.7 ± 5.4 6.6 ± 1.8 1.6 13.1 D 21.2 23.2 3.3 ± 1.1 20.7 ± 4.6 3.6 ± 0.7 E 3.4 ± 1.5 15.3 ± 5.6 3.8 ± 1.6 6.4 ± 0.9 ± 4.2 2.6 ± 0.7 最高最低温度差(8月);有意差あり;A-ら, 最高最低温度差(1月);有意差あり;A-a,A-D,B-D間を除く組み合わせ A-C間を除く組み合わせ 最高最低相対湿度差(8月);有意差あり; 9.6 最高最低相対湿度差(1月);有意差あり;A-B,A-E,B-E間を除く組み合わせ E-A,B,C,D間 最高最低絶対湿度差(8月);有意差あり;A-B,A-E,B-E,C-D間を除く組み合わせ 最高最低絶対湿度差(1月);有意差あり;AIB間を除く組み合わせ ( ′ ■ヽ U U 0 ) O iコ■ユ g!弓30 蛸30 脈 広 州 哲28 計 収 尾 州 蜜28 仁卜 ⅡⅠ 皿 24 26 28 30 32 34 図3-3 24 26 28 30 日平均外気温(oC) 日平均外気温(℃) 日平均の外気温と室内気温との関係(8月) -42- 32 34 随的に変動し、相関および回帰係数がともに高かった(r=o.92、 a-0.93)。 も追随的な変動がみられたが、室温が外気温よりも低い日もあり、相関および回帰係 数はA宅よりも低かった(B、 r=0.41、 係数が小さくなり(r=0.50、 a=0.16)、 r=0.60、 a=0.52;C, C宅で D宅では回帰 E宅では相関および回帰係数がさらに小さく、 回帰直線は外気温に対してほぼ平行的であった(r=-0.05、 3.3.2.2 a=0.52)。 B、 a=-0.03)0 湿度の室内外差 相対湿度の室内外差はいずれの住宅では5%前後で住宅間で有意差を認めなかった が、絶対湿度の内外差はA-E宅の順に-0.5、 宅とB、 0.0、 -1.9、 -1.5、 A -2.7g/kg'で、 D宅間およびC宅とD宅間を除いて有意差を認めた(表3-3)。このような 絶対湿度の内外差は冷房に伴う除湿効果によると推察された。そこで絶対湿度の室 内外の関連を検討した(図3-4)。 A、 B宅では室内絶対湿度と外気絶対湿度の相関お よび回帰係数が極めて大きく追随的な変動がみられた(A、 D、 a=1.03 ;B、 a=0.94)0 C、 E宅でも外気絶対湿度の上昇に伴い室内絶対湿度も高まる傾向がみられたが(C、 a=0.58 ; D、 a=0.78 ; E、 a=0.26)、外気絶対湿度が約12g/kg'以上では室内絶対湿度 が外気絶対湿度よりも低くなった。すなわちこれらの住宅では外気の日平均絶対湿度 が12g/kg'を上回る冷房が使用され、除湿量が多くなったと推察された。 さらに絶対湿度の室内外差と外気温との関連を検討した結果(図3-5)、 は室内外差が小さく、回帰直線は外気温に対してほぼ平行的であった(A、 A、 B宅で a=-0.20 ; c、 D、 E宅では外気温が約26℃以上になると絶対湿度の室内外 a=-0.06)。一方、 差の拡大する傾向がみられた。 C宅では相関および回帰係数が小さかったが(r=-0.09、 B、 a=-o. 0.63、 15)、 D、 a=-0.49 E宅では外気温の上昇に伴い室内絶対温度が顕著に低下した(D、 ;E、 r=-0.61、 a=-0.95)。すなわち日平均外気温で26℃以上になると 冷房が使用されると推定された。 -43- r=- l:i■i:ヨ ( 1hD .ihO }bD iZ5 bL) 亡■■:i 哩 唄 衣 EB 也 輿 衣 臣萱 広 g 州 野 E: 棚 蜜 計 江l E] 8 12 20 16 8 24 12 20 24 日平均外気絶対湿度(g/kg') 日平均外気絶対湿度(g/kg,) 図3-4 16 日平均の外気絶対湿度と室内絶対湿度との関係(8月) 2 0 0 Ei- l:i■コ1 ltd 1hD ltd }hd 拙-2 嘩 担 衣 #-4 女 8N -2 噸 唄 衣 #-4 女 官 官 榊 側 8 24 26 28 30 32 34 24 26 日平均外気温(oC) 図3-5 3.3.2.3 28 30 32 日平均外気温(oC) 日平均の外気温と室内外絶対湿度差との関係(8月) 室内絶対湿度の最高最低差 室内相対湿度の日最高最低差はA-D宅では20%以上であったが、 E宅では約15% で他の住宅に比して相対湿度の変動が有意に小さかった(表3-4)。また室内絶対湿度 の日最高最低差はA、 c、 D宅では6.5、 B、 E宅ではそれぞれ3.5、 3.5、 3.8g/kg'で有意差はみられず、 6.6g/kg'であり、前3住宅に比して有意に大きかった(表3-4)。 室内絶対湿度の最高最低差と外気温との関連を検討した結果、 C宅を除く4住宅で は相関係数がr=0.2以下と小さく、外気温との有意な相関は認められなかった(図 3-6)。また回帰係数もa=0.2以下と/トさかった。一方、 c宅では外気温との相関お よび回帰係数が大きく、外気温の上昇に伴い室内絶対湿度の変動幅も大きくなった (r=o.49、 a=0.86)。 -44- 34 ( Eu td lbh .1 ltd 州 側 唄 衣 # 6 響 蛸 巾匡 4 雌 棚 哩 唄 衣 # 響 噛 拒 q# Ⅱl 圧 8 6 4 江I 蛋 2 倒 10 }hO 側 0 2 0 24 26 28 30 32 34 24 26 日平均外気温(℃) 図3-6 3.3.3 28 30 32 34 日平均外気温(℃) 日平均の外気温と室内絶対湿度の最高最低差との関係(8月) 暖房期の室内気候の検討 3.3.3.1室温の変動 A、 1月の室温の室内外差を比較した結果、 B宅では2.2、 5.1℃と低く、暖房頻度の 高いC、D、E宅では10℃以上であった(表3-3)。また最高最低差を比較した結果、A、B、 4.1、 D宅の平均はそれぞれ3.0、 3.3℃と小さく、 E宅では6.4℃、 C宅では13.1℃と 極めて大きく、これら住宅間は有意差が認められた(表3-4)0 室温と外気温との関連を検討した結果(図3-7)、 的に変動し(A、 a=0.99;B、 意な相関がみられた(D、 a=0.58)、 a=0.19 ;E、 D、 A、 B宅では室温が外気温に追随 E宅でも追随性は低いが、外気温と正の有 c宅では有意な相関は認められ a=0.19)。一方、 なかった(r=-0.13、 a=-0.22)。 室温の日最高最低差と外気温との関連を検討した結果(図3-8)、 C宅を除く4住 宅では相関および回帰係数が極めて小さく、回帰直線は外気温に対してほぼ平行的で あった(A、 a=-0.07;B、 a=-0.16;D, a=0.ll ;E、 a=10.15)。これに対してC宅では 回帰係数が大きく、外気温の低下に伴い室温の日最高最低差も大きくなった(r=-0. 36、 a=-o.89)。 3.3.3.2 A、 B、 湿度の室内外差 C、 D宅では相対湿度の内外差が10%以下で、 絶対湿度の室内外差はA-E宅の順に0.8、 C宅間およびD、 1.1、 E宅では20%以上であった。また 1.2、 E宅間を除いて有意差がみられた(表3-3)。 ー45- 2.8、 2.2g/kg'で、 B宅とA、 14 12 10 ′ーヽ 622 oO 0 亡■=i ヽノ 望20 E ?.! 8 倒 6 !.8 E: 4 Ⅲ16 嫉 圧 野 臥 叫 2 14 0 12 0 2 4 6 10 8 12 14 0 2 4 (; 日平均外気温(oC) 図3-7 10 12 14 日平均の外気温と室内気温との関係(1月) 20 .I 8 日平均外気温(oC) ⊂iil 20 O 0 く) ER 0 ヽ-_..′ 棚 鯛 15 脈 壁 蛸 碓 10 コ 棚 讃.5 壁 哨 1B 10 Ⅱl lコ 圧 尾 州 倒 5 0 2 4 8 6 10 12 5 0 2 8 6 E宅を除く4住宅 では外気絶対湿度の上昇に伴い室内絶対湿度も高まる傾向がみられた(A、 a=0.83:D、 く(r=0.88、 a=0.52)。一方、 a=0.43 E宅では相関係数、回帰係数がともに小さ a=0.47)、室内絶対湿度に対する外気絶対湿度の影響の小さいことが示 された。 また絶対湿度の室内外差と外気温との関連を検討した結果、いずれの住宅でも外気 温が低下すると室内外の絶対湿度差が拡大する傾向がみられた(図3-10)。その傾向 はA、 r=-o.67、 B、 12 日平均の外気温と室内絶対湿度の最高最低差との関係(1月) 室内絶対湿度と外気絶対湿度との関連を検討した結果(図3-9)、 a=o.47;C、 10 日平均外気温(oC) 日平均外気温(oc) 図3-8 4 C宅では小さく(A、 a=-0.22 ; E、 r=-0.61、 a=-0.15;B、 a=-0.17;C、 a=-0.16) D,E宅では大きく(D、 a=-0.21)、相関の有意水準も高かった(pく0.01)。 -46- ;B、 EiEi- ○ 6 ltd 8 .3<hb }hD 世 担 衣 食 vb 世 唄 衣 # 4 圧 6 E 倒 側 賓 蜜 牡 蛋: 2 ⅡⅠ 4 ‖l 2 4 6 8 o 2 日平均外気絶対湿度(g/kg.) 図3-9 ′ 4 6 8 日平均外気絶対湿度(g/kg') 日平均の外気絶対湿度と室内絶対湿度との関係(1月) ■ヽ A.3<bD ′ 6 ■ヽ 8 1bb i己! hD }bD lコ■≡il 也 項 世 唄 衣 6 臣∃ 壷4 尾 圧 州 倒 官 片- 4 野 監2 Ⅱl 2 4 6 8 2 o 日平均外気絶対湿度(g/kg7) 図3-10 3.3.3.3 A、 6 日平均の外気絶対湿度と室内絶対湿度との関係(1月) 室内湿度の最高最低差 B、 C、 C、 E宅では室内相対湿度の最高最低差が10%以下であったが、 以上であった。また絶対湿度の最高位最低差はA、B宅では1.3、 たが、 4 日平均外気絶対湿度(g/kg') D、 E宅ではそれぞれ5.0、 3.6、 D宅では20% 1.2g/kg'と小さかっ 2.6g/kg'と大きく、これら住宅間で有意 差を認めた(表3-4)。 室内絶対湿度の最高最低差と外気温との関連を検討した結果、 では相関および回帰係数が小さく(A、 a=0.04;B、 a=0.04;D、 C宅をのぞく4住宅 a=0.00;E、 住宅により平均レベルは異なるが、回帰直線は外気温にほぼ平行的であった。 は相関および回帰係数が大きく(r=-0.31、 a=0.02)、 C宅で a=-0.31)、外気温の低下に伴い絶対湿度 -47- l;- 10 盲50 pT)EF ltd i:■■ユ 純 増40 唄 衣 純 8 増 唄 衣 匡∃ 6 響 蛸 悼 4 雌 冨30 哨 巾匡 雌20 ⅡI Ⅱl 圧 g 倒10 洲 0 0 2 4 6 8 10 12 o 2 日平均外気温(℃) 4 6 8 10 12 日平均外気温(oC) 図3-11日平均の外気温と室内最高最低絶対湿度差との関係(1月) の最高最低差が拡大した(図3-11、左図)。また相対湿度の最高最低差と外気温との 関連を検討した結果、絶対湿度とほぼ同様な結果であった(図3-11、右図)。 3.4 温湿度変動と温熱性能に関する考察 室内気候には室外気候および住宅の熱容量、断熱性能、気密性能、調湿性能などの 温熱性能の影響が大きく、室内気候はまた居住者の冷暖房の使用や扉や窓の開閉など の住まい方、生活活動に影響し、住まい方は逆に室内気候に影響していると推察され る。すなわち室内気候と室外気候、温熱性能および住まい方は密接に関連しており、 室外温湿度を基準として居住空間の温湿度変動を検討することにより、住宅の温熱性 能や住まい方などの特徴の把握や比較が可能であると考えられる。このような考えか ら室内気候の年変動に加え、室内温湿度の変動と住宅の温熱性能、住まい方などとの 関連を考察した。 3.4.1室内気候の年変動について 3.4.1.1室温の年変動 冷房期(8月)の日平均気温と外気温との関連で、非冷房住宅のA、 回帰係数は類似し、冷房住宅のC、 D、 B宅の散布図、 E宅と大きく異なった。しかし月平均室温は28 A宅とB宅では2.0℃の差があり、 -30℃で住宅間に大きな相違は認められず、 とE宅では0.5℃の差で、分散分析でもA、E宅間およびC、D宅間には有意差がなく、A、 B宅間に有意差が示され、月平均室温の相違と冷房の有無との関連は低いと推定され -48- A宅 た。坊垣らニ;7は那覇、福岡、京都、名古屋、新潟、東京、仙台、札幌などの夏期にお ける平均室温と外気温との関連を検討し、冷房している住宅でも日平均室温が日平均 外気温よりも高く、室温の日変動から冷房使用の有無や時間帯を判断することは困難 であったと述べている。須藤ら4)は名古屋市近辺の約100戸における3-5日間の温 湿度測定結果を検討し、冷房期にほとんどの住宅で室内平均絶対湿度は外気絶対湿度 よりも低いが、平均室温は外気温よりも全体的に高いことを報告している。また坂口 ら5)は新潟市の高気密高断熱住宅において冷房を行った場合でも、日平均室温が外気 温よりも低い日数は約1/3であったと報告している。すなわち月平均や日平均でみた 場合、冷房による室温の低下は冷房の強度(エアコンの能力、使用時間、設定温度など) や住宅の熱容量,断熱性能、窓の開閉などにもよるが、必ずしも大きくなく、冷房効 果の評価が困難な場合もあると推察される。 冬期に暖房を行っていないA、 B宅の平均室温は10℃以下で、室内外の温度差も小 さかったが、暖房頻度の高いC-E宅の冬期の平均室温は約18℃で、暖房住宅と非暖 房住宅で8℃以上の室温差がみられた。また夏期の月平均室温は冷房の有無にかかわ らず28 - 30℃であるので、室温の年較差は非暖房住宅では約20℃、暖房住宅では約 10℃と推定された。冬期の室温について吉野ら6)は東北地方で、坊垣ら3)は札幌およ び那覇をのぞく地域で、本報と同様に18℃前後であったと報告している。すなわち近 年では暖房により冬期の室温が上昇し、年較差が10℃前後の住宅が多くなっていると 推定される。 3.4.1.2 湿度の年変動 室内相対湿度の年平均は風致地区のA宅(65.2%)を除いて50%台で、暖房住宅の C-E宅では11月から3月までの5ケ月間の平均相対湿度が50%以下であった。特 にC宅では2、 3月の平均相対湿度が30%台に低下した。名古屋地方の冬期の外気の 平均絶対湿度は4g/kg'前後であるので、室内を日平均で18℃前後に暖房すると、相 対湿度は30%-40%台に低下し、過乾燥状態になると推定された。赤林7)も新潟で 冬期に平均室温が22℃前後の高気密高断熱住宅において相対湿度が30%台に低下し、 居室では加湿を要すると述べている。このような湿度低下は室内塵生息性ダニ類や居 住者の健康にも影響していると推察される。 須藤8)9)、須藤ら4)はアトピー性皮膚炎患者宅などのダニ相および室内外の温湿度 を検討し、近年の都市部の住宅では室内環境の湿度が全般的に低下し、湿度要求性の 高いヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニ類などの優占率が著しく低下し、ダニ密度 も全体的に減少傾向にあること、および生活住環境の顕著な湿度低下は皮膚のバリア 機能の低い乳幼児やアトピー性乾燥皮膚からの水分喪失を高め、アトピー性皮膚炎の -49- 重要な、非特異的な発症・悪化要因であると提唱している(生活住環境乾燥化説)。吉野・ 長谷川10)は東北地方の高気密高断熱住宅の熱環境および入居後の住まい方や居住者 の健康-の影響を調査し、冬期に空気の乾燥感を訴える居住者が多く、喉の痛みや皮 膚炎の悪化などの悪影響がみられたと報告している。長谷川・吉野11)も高気密高断 熱住宅の冬期の温熱環境と居住者の乾燥感との関連を検討し乾燥感の有無にかかわら ず団らん時に室温の高い(18-22℃)住宅ほど相対湿度、絶対湿度ともに高い傾向 がみられ、乾燥感と室内湿度との関連性の低い可能性、あるいは乾燥感に湿度以外の 要因も影響している可能性を推察している。本調査でも冬期に室温の高い住宅ほど絶 対湿度の高い傾向がみられたが、相対湿度は顕著に低下し、東北地方の高気密高断熱 住宅における湿度変動と異なる結果であった。その一因として住まい方などの影響が 推察されるので、今後の検討課題としたい。 3.4.2 室温の日変動:熟的性能 室温の日最高最低差(変動幅)を検討した結果、夏期にはA、B、C宅の変動が大きく、 E宅では小さく、熱容量や断熱性能の相違による可能性が推察された。冬期にも在 D、 来型木造住宅のA、 B宅およびRC造集合住宅のD宅では有意に小さく、次いで高気密 高断熱住宅のE宅、軽量鉄骨造のC宅であった。 C宅を除く4住宅では室温の日最高 最低差の回帰直線が外気温とほぼ平行的であったことから、これらの住宅は室温の変 動に関して特有の調節性能を有し、外気温などの影響は必ずしも大きくないと推察さ れた。すなわち、 A、 D B宅では暖房を行っていないので室温の日変動幅が小さいが、 宅では熱容量が大きいことにより、 E宅では断熱性能の高いことにより室温の変動幅 が小さいと推定された。これに対してC宅では室温の変動幅が著しく大きく、暖房の 影響に加え、断熱性能が低いことによると推定された。 3.4.3 夏期の絶対湿度の内外差:冷房の効果 夏期の相対湿度の室内外差は、冷房の有無にかかわらず5%前後で、住宅間で有意 差は認められなかった。しかし絶対湿度の室内外差はA、 B宅では小さく、 C, D、 E宅 では統計学的にも有意に大きいことが示され、冷房に伴う除湿効果によると推定され た。そこで絶対湿度の室内外の関連を検討した。その結果、 と外気絶対湿度とに極めて高い同調的な変動がみられたが、 A、 B宅では室内絶対湿度 c、 D、 湿度が12g/kg'を上回ると室内絶対湿度が外気絶対湿度よりも低くなり、 E宅では外気絶対 E宅ではそ の傾向が顕著であった。さらに外気温と是たち湿度の室内外差との関連を検討した結 果、 A、 B宅では回帰直線が外気温にほぼ平行的であったが、 C、 D、 E宅では外気温が 26℃以上になると室内外の絶対湿度の差が拡大し、冷房に伴う除湿によると推定され -50- た。また外気温が26℃以上では外気温が高いほど除湿量が増大する傾向がみられたこ とから、エアコンの使用時間の延長や設定温度の低下などにより、冷房が強化されて いると推定された。 以上の結果から冷房の効果は平均室温や相対湿度などよりも、絶対湿度の室内外差 (除湿量)により、より端的に評価されると推定された。なおD宅ではヒアリング調 査でエアコンの使用頻度が低いとの回答であったが、外気絶対湿度(図3-4)や外気 温(図3-5)の上昇に伴い絶対湿度の室内外差が増大する傾向がみられ、その差は舵 計学的にも有意であったので、冷房の使用頻度は高いと推定された。 外気絶対湿度が約12g/kg'を上回ると室内絶対湿度が外気絶対湿度が外気絶対湿度 よりも低くなる傾向を須藤ら4)も報告している。また坊垣ら12)は冷房の開始および 終了時期に関するアンケート調査および温度の測定結果から、札幌や那覇を除く名古 屋や京都、東京などの冷房の使用率は平均外気温が24-25℃で約50%に、 で70- 26-27℃ 100%に達すると報告している。本調査でも平均外気温が約26℃を上回ると冷 房による除湿量の増大がみられた。 3.4.4 冬期の絶対湿度の内外差:気密性能 冬期の外気温と絶対湿度の室内外差との関連を検討した結果、いずれの住宅でも外 気温の低下に伴い絶対湿度の室内外差が拡大し、その傾向はA、 B、 C宅では小さく、 D、 E宅では大きかった。冬期に外気温が低下すると寒さ対策として開口部の窓、扉や間 仕切り戸を閉めるので住宅の気密性能が増すと推定される13)-16)。特に松原らは京都 市近辺地域の住宅では冬期に扉を開け放しにしないように気にしないように気をつけ る、内装を冬向きに替える、厚いカーテンを掛ける、夜間にシャッターを閉める、換 気を少なくするなどの寒さ対策が行われていると報告しており、寒さ対策の第一段階 は住宅の気密性能を高めることである15)と推察される。また気密性能が高まると生 活活動などに伴って発生した水蒸気が室内に滞留し、絶対湿度の室内外差は拡大する と推定される。すなわち冬期の外気温の低下に伴う絶対湿度の室内外差は気密性能の 指標となりA、 B、 D、 C宅では気密性能が低いので絶対湿度の室内外差が′トさく、 E宅 では気密性能が高いので、絶対湿度の室内外差が拡大したと推定された。 また室内の水蒸気の発生量は居住者数およびその生活活動と関連し17)、絶対湿度の 室内外差に影響していると推定される。このような観点からみると、 A、 B宅は老夫婦 家庭で水蒸気発生量が多くが少なく、住宅の気密性能も低いので、絶対湿度の内外差 が小さく、 D、 E宅では気密性能が高く、生活活動に伴って発生した水蒸気が室内に滞 留しやすいので、室内外の絶対湿度差が大きくなったと推定される。 一方、 c宅では家族数が7人と最も多いので水蒸気発生量も多く、絶対湿度の室内 -51- 外の差がさらに拡大されると推測されたが、外気温と絶対湿度の室内外の回帰係数は A、 B宅のそれに類似し、気密性能が低いと推定された。またC宅では暖房により冬期 の室温および相対湿度の変動がD、 度の変動がA、 3.4.5 E宅に類似したが、気密性能が低いので、絶対湿 B宅に類似したと推定された(図3-2)。 室内湿度の日変動:調湿性能 冬期の室内絶対湿度および相対湿度の最高最低差、つまり湿度の日変動幅を検討し た結果、 A、 B、 E、 D、 C宅の順に変動が大きくなった。居住空間では絶対湿度および 相対湿度の変動幅が小さいほど調湿性能が高いと考えられることから15)18)、上記の住 宅順に調湿性能が低いと推察される。またC宅を除いて室内絶対湿度および相対湿度 の最高最低差の回帰直線は外気温とほぼ平行的であり、これら住宅ではそれぞれ特有 の調湿性能を有し、その調湿性能は外気温やそれに伴う住まい方などの変化にあまり 影響されない可能性が高いと推察された。一方、 c宅では外気温の低下に伴い湿度変 動が著しく増大し、調湿性能が極めて低いと推定された。 湿度変動は室内の水蒸気発生量および建材などの吸放湿性により大きく影響され、 一般的に土壁や畳、木材は吸放湿性が高く、石膏ボード、コンクリート、ビニルクロ スなどは吸放湿性が低い18)。このような観点からみると、 A、 B宅の床面は械扱およ び畳で、側面は土壁、天井は無垢の杉板からなる和室であった。またE宅では日常生 活のエネルギー源としてすべて電力を使用し、居間の天井や壁面には木材が多用され、 床面の半分はフローリングで、半分は畳であった。すなわちこれら木造住宅では吸放 湿性の高い土壁や木質系建材の使用割合が高く、水蒸気発生量も少ないので、湿度の 変動幅が小さいと推定された。一方、 D宅の床面は械観で、壁面はコンクリートにビ ニルクロス貼りで、天井はリシンの吹きつけであり、吸放湿性の低い建材の使用割合 が高かった。またC宅の床面はフローリング、壁面や天井面は石膏ボード下地板にビ ニルクロス貼りで吸放湿性の低い建材が多用され、さらに家族数が多く水蒸気発生量 も多いので、湿度変動が大きくなったと推定された。 3.4.6 温熱性能の定性的評価 室内気候の実態の把握および温湿度変動から住宅の温熱性能の簡便な評価法を開発 し、疫学調査などに資することを目的に、立地、構造、暮らし方の異なる5住戸にお ける長期の室内外の温湿度変動を検討した。その結果、在来型木造住宅のA、 B宅で は室内温湿度が外気温湿度に追随的に変動し、絶対湿度の室内外差および変動幅が小 さいことから、断熱性能、気密性能は低いが、調湿性能は高く、 RC造集合住宅のD宅 では室温の変動幅が小さく、絶対湿度の室内外差および変動幅が大きいことから、熱 -52- 容量が大きく、気密性能も高いが、調湿性能は低いと推定された。高気密高断熱住宅 木造住宅のE宅では室温および絶対湿度の変動幅が小さく、絶対湿度の室内外差は大 きいことから、断熱性能、調湿性能、気密性能が高いと推定された。一方、軽量鉄骨 住宅のC宅では室温および絶対湿度の変動幅が大きく、絶対湿度の室内外差は′トさい ことから、断熱性能、調湿性能、気密性能が低いと推定された。 これらの結果から、室内温湿度の変動と住宅の温熱性能は密接に関連し、断熱性能 または熱容量などの熱的性能は冬期の外気温を基準に室温の変動幅により(図3-8)、 冷房の効果、強度は夏期の絶対湿度の室内外差、つまり除湿量により(図3-4、 気密性能は湿気移動の難易を目安として冬期の絶対湿度の室内外差により(図3-10)、 調湿性能は冬期の室内絶対湿度や相対湿度の変動幅により(図3-ll)、それぞれ簡便 に評価できると推定された。これらの点についてさらに調査住戸を追加して検証を行 う必要がある。 現在、居住空間の熱的性能や冷暖房の効果は省エネルギー対策や快適環境に資する ことを主な目的に温度変動を中心に解析されているが、本調査の結果、湿度変動の解 析により気密性能、調湿性能、冷房の効果なども簡便、端的に評価できることが示唆 された。このことは建築環境工学的には一般論的に議論されることであるが、これま で居住空間の長期の湿度変動を解析した研究は極めて少なく、具体的に実証、確認さ れていなかった。また湿度変動は結露やカビの発生との関連で調査されることが多い が、近年では暖房により過乾燥状態の住宅も多く、乾燥感や喉の痛み、皮膚炎の悪化 などの健康障害が指摘されている11)。特にアトピー性皮膚炎では症状と皮膚水分率お よび室内温湿度とに並行的な変動がみられ、室温の上昇や湿度低下による皮膚や粘膜 からの水分損失の冗進が発症・悪化の一因であると推察されている19)20)。また脱水症 は居室内で発症することが多く、脱水症と心臓・脳血管障害との因果的な関連も多く 推定されているので19)21)温度変動と同時に湿度変動も調査解析し、居住空間の温熱特 性や性能を総合的に把握することが、これら疾患の疫学調査や予防対策にも重要であ ると考えられる。 3.5 小結 室内気候の実態の把握および温湿度変動から住宅の温熱性能の簡便な評価法を開発 し,疫学調査などにも資することを目的に、名古屋市内の立地条件や構造、暮らし方 などの異なる住宅5戸において室内外の温湿度を約1年間に亙って測定し、年間の変 動に加え8月と1月の室内外の温湿度変動と各住宅の温熱性能との関連を予備的に検 討した。 -53- 3-5)、 夏期の月平均室温は28 - 30℃で住宅間に顕著な相違を認めながったが、絶対湿度 は非冷房住宅と冷房住宅で有意差がみられ、冷房住宅では外気絶対湿度が約12 または外気温が26℃を上回ると絶対湿度の室内外差が拡大し、冷房に伴う除湿効果に よると推定された。 冬期では非暖房宅の平均室温は10℃以下であったが、暖房住宅では約18℃と高かっ た。年平均相対湿度は3戸で50%台、 また、 8月、 2戸で2月に30-40%台に低下していた。 1月の各住戸の温湿度変動を検討した結果、断熱性能、熱容量は温度 変動の解析により、気密性能、調湿性能、冷房の効果は湿度変動の解析により、それ ぞれ簡便、端的に評価できると推察された。また近年では室内湿度の低下が顕著であ り、一方、アトピー性皮膚炎や脱水症、心臓・脳血管障害などでは室内湿度の低下に 伴う皮膚や粘膜からの水分喪失が発症や悪化と関連していると推察されるので、温度 変動と同時に湿度変動も調査解析し、居住空間の温熱性能や環境特性を総合的に把握 することが、これら疾患の疫学調査や予防対策においても重要であると考えられる。 -54- g/kg' 参考文献 その2 1)絵内正道,荒谷登:居住室の温熱環境の実態 について,日本建築学会論文報告集, 1978.3 pp.105-113, (渡辺要編),湿度,換気,室内気候,丸善,東京, 2)堀江悟郎:建築計画原論Ⅲ 347, No.265, 寒さに応じた住まい方と設定室温 pp.13卜 1973 3)坊垣和明,薄地孝男,吉野博,鈴木憲三,赤林伸一,井上隆,大野秀夫,松原斉樹,林徹夫, 森田大:夏期および冬期の居住室室温とその地域性に関する研究一全国的調査に基づく住 宅のエネルギー消費とライフスタイルに関する研究一第2報,日本建築学会計画系論文集, No.505, 1998.3 pp.23-30, 4)須藤千春,水谷章夫,深谷元継:室内環境・気候とチリダニ類-チリダニ類は増加してい るか-,木材工業, vol.55, No.12, 2000.12 pp.584-591, 5)坂口淳,赤林伸一,山口- :新潟市に建設された住宅における室内温熱環境とエネルギー 消費に関する実測調査,日本建築学会計画系論文集, No.543, 2001.5 pp.33-39, 6)吉野博,長谷川房雄,沢田紘次,石川善美,赤林伸一,菊田道宣:熱環境からみた冬期 No.345, の居住性能に関する地域特性の分析,日本建築学会論文報告集, pp.92-103, 1984.ll 7)赤林伸一:高気密・高断熱住宅には全電化が似合う,建築雑誌114, pp.36-37, 1999.5 8)須藤千春:チリダニ類の生態および温湿度変動から見た室内環境の乾燥化とアトピー性疾 患,環境技術28, 1999 pp.167-173, 9)須藤千春:チリダニ類の生態および室内気候からみたアレルギー疾患の増加要因,日本医 事新報, No.3942, 1999 pp.30-32, 10)吉野博,長谷川兼- :高断熱高気密住宅における熱環境特性と居住者の健康に関する調査, No.507, 1998.5 日本建築学会計画系論文集, pp. 13-19, ll)長谷川兼-,吉野博:高断熱高気密住宅における居住者の乾燥感に関する冬期調査,日本 建築学会計画系論文集, No.509, 1998.7 pp.9卜96, 12)坊垣和明,薄地孝男,吉野博,鈴木憲三,赤林伸一,井上隆,大野秀夫,松原斉樹,林徹夫, 森田大:全国的調査に基づく住宅の暖冷房時間および暖冷房期間に関する研究,日本建築 学会計画系論文集, No.509, 1998.7 pp.41-47, 13)絵内正道,荒谷登:居住室の温熱環境の実態 その1寒さに応じた住まい方と室温変動 パターンについて,日本建築学会論文報告集, No.264, 1978.2 pp.91-97, 14)水谷国男,岩瀬昭雄,赤林伸一:新潟市の中層集合住宅における温熱空気環境に関する調 査報告,日本建築学会論文報告集, No.407, pp.23-26, 1990.1 15)宮野則彦,浅見雅子,宮野秋彦:寝室及び便所の温湿度変化から見た居住環境の考察,日 生気誌, 27, pp.57-70, 1990 16)松原斉樹,加藤真理子,蔵澄美仁,大和義昭,松原小夜子,下村孝:京都市近辺地域にお ける住宅居住者の居間での休息姿勢-その体温調節行動的側面-,日生気誌37, 85, pp.●73- 2000 17)藤井正一:住居環境学入門,彰国社,東京, pp.1-231, 18)宮野秋彦:建物の断熱と防湿,建築技術選書25,学芸出版社,東京, 1984 pp.卜164, 19)須藤千春,水谷章夫:湿度環境と疾患,特にアトピー性皮膚炎一生活住環境乾燥化説一 湿気研究の新たなる進展,第31回熱シンポジウム,日本建築学会環境工学委員会・熱環 -55- 1981 境小委員会, pp. 107-112, 2001 20)小島昌幸,斉藤輝幸:アトピー性皮膚炎患者宅の住環境に関する研究一低湿度環境下での No.37, 皮膚水分率の低下に関する実験-,日本建築学会東海支部研究報告集, 616, 1999 21)鶴屋和彦,平方秀樹:脳血管障害と脱水症,治療81, -56- pp.1928-1936, 1999 pp.613- 第4章 夏季の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅に おける室内温湿度変動に基づいた温熱性能・環境の比較 -57- 4.1 はじめに 近年、都市域のヒートアイランド化、省エネルギーを目的とした住宅の高気密・高 断熱化、冷暖房の普及などにより室内環境は大きく変化している。内閣府の調査1)に よると、 1970年に5.9%であったルームエアコンの全国普及率は1980年に39.2%、 1990年には63.7%と急速に伸び、 2005年3月末現在87.0%に達し、北海道などの夏 季に涼しい地域を除くとほぼ100%に近いと推定される。これを受け、冷房の室温の影響、エネルギー消費、地域特性、冷房行為、居住者の快適性などに関する研究が 進められているが2トノー0),第1章で述べたように暖房に関する研究と比較してまだ少 ない。また、冷房に伴い室温のみならず室内湿度も低下するが、湿度変動に関する研 究Ll)12)13)は少なく、これらの報告では冷房に伴う湿度の変動にも触れているが、冷房 の除湿効果に着目して温湿度変動を解析した研究はみられない。つまり冷房の室内温 熱環境に及ぼす影響および評価法には未検討のところが多く、冷暖房に伴う室内温熱 環境の実態の解明は、健康問題を検討する上でも重要である。そこで本章では、冷房 の評価法を樹立することも目的として、まず健常者の居住する一般住宅における冷房 の室内温湿度に与える影響を検討した。その結果を踏まえて一般住宅とアトピー性皮 膚炎患者宅の温湿度を比較検討した。 4.2 室内温熱環境の把握法について 室内温熱環境には住宅の断熱性、気密性、調湿性、熱容量、日照調節、通風・換気 などの建築環境学的な性能に加えJ4)、屋外の気象条件、さらに居住者数や生活活動、 冷暖房の使用状況などの非定常な、定量的な把握の困難な多数の要因が複雑に影響し ている。したがってその実態の把握には温湿度を長期に測定し、住まい方などに関す るアンケート結果を加味して、帰納法的に検討することにより、住宅間の比較が可能 になると考えられる。第3章に引き続き、本章においても建築生態学的立場から室内 温熱環境の把握を試みた。 4.3 調査対象と調査方法 4.3.1一般住宅の調査対象 一般住宅の調査対象は名古屋市および岐阜市とその周辺に立地する17戸で、その 選択には特に基準を設けなかった。木造住宅6戸、 RC造集合住宅3戸、 S造住宅4戸、 RC造戸建住宅4戸、 SRC造1戸で、各住宅の概要を表1に示した。なお、 はRC造集合に含めて検討した。木造住宅では建築年数や構法のばらつきが大きく、 -59- SRC造集合 1 戸は移築後100年以上の伝統民家、 1戸は新省エネルギ一 4戸は在来型軸組工法で、 基準を満たした高気密・高断熱型であったo S造住宅の建築年代はすべて90年代で、 RC造戸建住宅ではすべて70年代、RC造集合住宅の2戸は70年代、2戸は90年代であっ たo 床面積はWo、 あったが、 Wn宅を除いて、戸建住宅(木造、 RC造)では100m2以上で s造、 RC造集合住宅では80m2以下で全般的に狭小であった。 Wn宅は1790年代 居住者数は最高7人、 に建築されたWo宅の離れで,独立していたので別住戸としたo 最低1人で、壁や天井の仕上げ材は現代住宅の一般的な傾向を示し、石膏ボード、ビ ニルクロス、コンクリートが多く、土壁は木造の2戸とRC造戸建の3戸のみであった。 床面ではフローリングが多く、畳は6戸に過ぎなかったo 4.3.2 アトピー性皮膚炎患者宅の概要 アトピー性皮膚炎患者は、アトピー環境研究会・名古屋が症例検討した約150名の 中から25)、長期調査に賛同を得た6名を対象とした。これら患者宅の概要を表4-2に 示す。在来型軸組工法1戸、 S造戸建1戸、 RC造集合4戸の計6戸で、使用建材等に 一般住宅と大きな相違を認めなかった。 表4-1一般住宅の概要 住戸 地域 構造等 連投時期 床面積 居住者 測定重 量材 yw 岐阜 木造2階建 1979年 130n了 7人 尿開 化粧合板 KI 名古屋 木造2階建 1947年 166Ⅰ廿 1人 尿闘 士壁 yn 岐阜 木造2階建 1985年 104Trf 4人 応接間 yo 岐阜 木造平屋建 1961年 126rrf 2人 居間 NI 名古屋 木造2階建 1995年 128rrf 4人 居間兼台所 Wo 名古屋 木造平屋建 l入 居間兼寝室 OD 岐阜 S造2階建 1993年 rrf 144Irf 4人 MN 名古屋 S造2階建 1996年 150m2 An 孝.古屋 S造2階建 1996年 133m2 MR 名古屋 RC造平屋建 1974年 MG 名古屋 RC造2階建 Ao 名古屋 wn NO 天井材 床材 窓枠 7ルミ × 木 △ 7ルミ C) アルミ ○ フロールク√ 石膏砧∼-ド+ヒ∼ニhクロス石膏ホ∼-ド+ヒ'ニルタロス 土壁 杉板 畳 アルミ ◎ 居間 石膏ホ∼-ド+ビニルクロス 石膏ホナ-ド+ととニルタロス フロJ)M∼ 7ルミ 3人 居間 フローr)M' 石膏ホ∼-ド+ビニルクロス 石膏ホ∼-ド+ヒ'ニルグロス アルミ 4人 居間 フロールクチ 石膏ホ>-ド+ヒ1'ニルタロス石膏ホ1--ド+ヒL'ニルタロス アルミ 164m2 2人 居間 コン州-ト+土壁 合板 1973年 256m2 2人 居間 コンクr)-ト+土壁 杉板 RC造2階建 1971年 177m2 2人 応接間 名古屋 RC造平屋建 1976年 17n了 2人 居間兼寝室 岐阜 RC造集合 1974年 51mz 3人 居間 コンクIJ-ト+ヒItニルタロス コンクリ-「+〔11ニI[クロス畳 アルミ ○ ys 岐阜 SHC造集合 1992年 67 4人 居間 アルミ △ ST 名占屈 RC造集合 1971年 72m2 2人 居間 フローリンク∼ コンクIJ-ト+ヒ1LニMロス コンクI)-ド+ビニルクロス 畳 コンクIJ-ト+ヒ∼ニlレクロス コンク1)-ト+ヒ∼ニルタロス アルミ FJ 名占一屋 RC造集合 1992年 68m1 3人 居間 フローrJH† コンクリート+ヒ∼ニルクロス コンクリート+ヒミニルタロス アルミ ○ ㊨ *、居(ルームエアコン) 81 1790年た頁 ♂)用頻 :◎向い、 n了 ○やや向い、 表4-2 △氏い、 ×不 石膏ボード+ビ=ルタロス 7ロールク√ 石膏ホ∼-ド+布クロス 杉板 石膏ホ∼-ド+布クロス ラ7J(-ド+土壁 コン州-卜+土壁 コンクI)小十和クロス 木 合板+ヒ■ニルタロス 畳 カーヘット 畳 フローF)Hll 畳 木 (⊃ アルミ 7kミ フローリンク√ アルミ アルミ フローリンク√ コンクリート十和クロス 用 アトピー性皮膚炎患者宅の概要 住戸 地域 構造等 建設時期 床面穣 居住者 測定圭 A 名古屋 1991年 38n] 2人 居間 コンクリート+ビニbクロス クッシ]ンフロア アルミ 冷房胡 ◎ B 名古屋 RC造集合 RC造集合 1 996年 73rTj' 4人 居間 コンクリート+ビニPクロス コンクリート+ヒ■ニルタロス フロールタミ アルミ △ C 名古屋 SRC造集合 1990年 79rrf 2人 居間 コンクリ-ト+ヒ'ニルタpス コンクリート+ヒミニルタロス フロールク、 アルミ ◎ D 岐阜 RC造集合 1 997年 79nf l人 居間 ◎ E 名古屋 1980年 96nf 5人 居間 F 名古屋 S造2階建 木造2階建 アルミ コンクリート+ヒヾニルタロス か-Lソト張 コン〃-ト+ヒ+ニルタロス 化粧合板 プラスターホナード+塗装クッシ]ンフロア アルミ 1968年 72n子 2人 居間 *冷房(ルームエアコン)の使用楯度: ◎高い, ○やや高い、 △低い、 ×不使用 160- 壁材 ヒ■ニルタロス 天井材 リシン吹付 ヒ■ニルタロス 床材 フロールク、 窓枠 アルミ ◎ ◎ 4.3.3 調査方法 調査対象住宅の主に居間(Yn、 Ao宅では応接間)に小型温湿度計ロガー(ェスペッ ク社製:RS-10またはRS-ll)を設置し、 30分間隔で気温および相対湿度の測定を行っ た。設置場所は高さ1.5m前後で直射日光、冷暖房の直接的な影響がない位置とし、 測定期間は1999年7月から約半年-1年間で、 3ケ月間隔でロガーを回収、交換し、 その都度アスマン通風乾湿計および塩飽和溶液を用いて較正したoロガー交換時(9月) に各住宅の7-8月の冷房の頻度に関する聞き取り調査を行い、冷房を在室時にはほ ぼ毎日使用と回答した住宅を頻度が高い、暑いときに使用するを頻度がやや高い、あ まり使用しないを頻度が低い、使用しないおよび保有しないを不使用とした.一般住 宅のYW宅(木造)とOD毛(s造)は冷房不使用であり、冷房使用の対照とした。 FJ 宅は一般住宅の中で冷房頻度が最も高く、測定期間中ほぼ毎日、昼夜使用していた。 一方、患者宅の冷房使用頻度は1戸(B宅)を除いて高かった。屋外の気温および相 対湿度は名古屋および岐阜地方気象台の観測データを採用した。なお、名古屋と岐阜 の1999年および2000年の7、 8月の気温、相対湿度を対応のあるt検定を用いて検 討した結果、有意差は認められず、地域差は小さいと判断されたo 各患者には毎日ほぼ同時刻に、モイスチャーチェッカー(スカラ社, よる前腕表面の皮膚水分率の計測およびVisual MY-707S)に analog scale法26)に準じて、症状 が最も軽いを1点、最も重いを10点とした10段階評価法による症状スコアの記録を 依頼した. 4.3.4 患者属性 患者属性を表4-3に示す。患者Aは総IgE値、症状スコアともに高く、特に皮膚水 分率の低いことが注目される(重症)。患者Bは毎年、秋から冬にかけて悪化し、春 から夏には軽快するが、冷房した部屋で悪化することを認識している(重症)。患者c は老人性乾皮症の傾向がみられるが、全般的に軽症である。患者Dは医師の診断では 軽症であるが、総IgE値が比較的高く、症状悪化時には保湿剤、止痔剤を多用している。 皮膚水分率と症状スコアに逆相関がみられたのはこのためと考えられる。患者Eは軽 症で、皮膚水分率も通常範囲にあった。症状スコアの平均値が比較的大きいが、標準 偏差は小さく、症状が安定していると推察された。患者Fは老人性乾皮症も併発して いる。皮膚水分率、症状スコアの記録は拒否された(軽症)。患者Eは軽症で,皮膚 水分率も通常範囲にあった。症状スコアの平均値が比較的大きいが、標準偏差は小さ く、症状が安定していると推察された。患者Fは老人性乾皮症も併発している。皮膚 水分率、症状スコアの記録は拒否された(軽症)0 -61- 表4-3 患者 発症 アトピー性皮膚炎患者の属性 」ヲ2 水分率(%) 総IgE ′lヽ′■ (性別,年齢)年齢(川/mり + 合併症 症状スコア悪手温蓋墓相関係が (r) (∩) ヽ ′ヽ■′ 平均±S.D.平均±S.D A (女,40才) 3 2755 22.2±8.3 5.3±2.7 702 1 0.39 B (男,40才) o 467 29.2±4.3 3.8±2.2 343 - 0.30 なし C (女.60才) 50 50 33.9±3.2 3.0±1.2 508 - 0,10 JL炎.結膜炎 D (女32才) 2 984 33.7±3.4 0.6±1.0 219 0.54 Jt炎,結膜炎 E (男,25才) 3 103 36.1±4.1 2.4±0.6 90 0.18 なし F (男,68才) -- + - 鳴息.JL炎,結膜炎 269 なし *前腕皮膚水分率と症状スコアとの相関 4.3.5 解析法 冷房の影響を把握することを目的に、 7-8月のデータを抽出し、気温および相対 湿度の測定値から絶対湿度を算出した。気温および絶対湿度の日平均値を求め、それ らの室内外の平均値の差をt検定により、関連を相関分析および単回帰分析により解 析した。統計解析にはStatcel 4.4 (OMS出版、 1998)を用い、 P〈O.05を有意とした。 一般住宅の測定結果と考察 4.4.1気温の室内外の関連 一般住宅の7-8月の室温の日平均値と標準偏差、室内外気温差、外気温と室温と の相関係数rおよび単回帰式(y=ax+b)の係数aを表4-4に示す。平均室温は家屋構 造や冷房の使用頻度に拘わらず27-29℃で住宅間の差違は小さかった。 宅の内外の気温差はそれぞれ-1.6、 -1.0、 Wo、 Wn、 -0.9℃で、外気温よりも有意に低く、 FJ FJ、 wn宅は冷房の使用頻度の高い住宅であった。しかし冷房頻度の高いNI宅では内外差 が0℃で有意差は認められなかった。また冷房不使用のYW、 の頻度が高いMN、 OD宅のみならず、冷房 An宅を含めて、他の住宅では室温が外気温よりも有意に高かった。 このように冷房した室内でも日平均気温が外気の日平均気温よりも高い日の多いこと は、鈴木ら3)、坊垣ら7)、坂口らL2)などによっても示されており、かなり一般的な事 象であると考えられた。 検討期間の外気温と室温の日平均値の関連を図4-1に示したo 木造住宅は室温の 散布図および回帰直線から室温が外気温よりも高い住宅と低い住宅に分けられた。 前者は冷房不使用のYW宅、冷房頻度の低いKI宅およびやや高いYn、 r=o.78-0.95、 Yo宅を含み、 a=0.70-0.76と大きく、住宅間で顕著な相違を認めなかった。後 者は冷房頻度の高いNI宅とやや高いWo宅を含み、 NI宅ではr-0.61、 の上昇率は小さく、かつ外気温より室温の低い日が多かったo -62- a=0.22で室温 冷房頻度のやや高いWo 表4-4 一般住宅の室内気温の平均値、標準偏差、室内外差と 外気温との相関係数、回帰係数 構造 室内気温 平均±S.D. (oc) 住宅 一一両示書相関係数 (℃) 木造 YW(岐) 29.1±0.9** KⅠ(名) 29.3±0.8** Yn(岐) 28.6±1.2** Yo(岐) 28.5±1.2** NⅠ(名) 27.9±0.6 Wo(名) 26.3±1.1** s造 OD(名) 29.3±ー.0** MN(名) 29.4±ー.4** An(名) 28.7±0.9** RC造 MR(名) 29.6±0.5** 戸建 MG(名) 29.3±0.8** Ao(名) 29.3±0.8** Wn(名) 27.0±0.9** RC造 NO(岐) 28.6±0.6** 集合 ys(岐) 28.4±0.5** ST(名) 29.0±0.9** FJ(名) 27.0±0.3** 外気(名古屋) 27.9±1.6 27.1±2.0 外気(岐阜) *r)くU. ()5, **tl(O. ()I 2.1 1.5 1.5 1.4 0.0 -1.0 1.6 1.3 1.1 -0.9 ./-I (30 .O i:さ■=i ?.! 28 ?.! 28 脈 ヽ._′ 脈 広 E 州26 側26 26 28 30 0.74 0.70 0.76 0.73 0.22 0.19 0.75 0.65 0.33 0.49 0.59 0.14 0.29 0.43 0.39 0.21 0.12 (室内と外気絶対湿度差のt検定) oO 24 a 0.93 0.78 0.91 0,95 0.6ー 0.26 0.93 0.88 0.74 0.50 0.85 0.13 0.58 0.85 0.83 0.44 0.30 -1.6 2.3 1.2 0.8 1.7 1.3 1.3 (30 22 回帰南面 r 32 22 34 24 26 28 30 32 34 30 32 34 外気温(oC) 外気温(℃) (30 (⊃ (30 U 0 O ) ヽー 鯛28 ?.弓28 収 収 a g 側26 側26 24 22 24 26 28 30 32 34 22 24 26 28 外気温(oC) 外気温(℃) 図4-1一般住宅の日平均外気温と日平均室内気温の関係 -63- 宅ではr=0.26、 a=0.19とさらに小さく、冷房の影響が大きいと推察されたo s造住宅では、 3戸とも外気温よりも室温の高い日が多く、その分布に冷房の不使 用(OD宅)と使用(MN、 An宅)とによる顕著な相違を認めなかった.また相関係数 はr=0.74-0.93と大きく、OD宅とMN宅では回帰係数もa=0.75、0.65と大きかったが、 An宅ではa=0.33と小さく、冷房の影響がやや大きいと推察された。 MG、 Ao宅に分けられた。 ・RC造戸建住宅でも外気温よりも室温の低いWn宅と高いMR、 冷房頻度の高いWn宅では回帰係数がa=0.29と小さく、室温の低下が顕著であった。 冷房頻度のやや高い他の3戸では室温が外気温よりも高い日が多く、 帰係数がa=0.49、 数がr=0.13、 MR、 MG宅では回 0.59と比較的大きかった。これに対してAo宅は相関係数、回帰係 a=0.14と小さく、外気温との関連がきわめて低かった。 RC造集合住宅も2群に分けられたが、回帰係数はa=0.12-0.43と全体的に小さく、 熱容量の影響が推察された。冷房頻度の低いYS宅とやや高いNO、 ST宅では外気温よ りも室温の高い日が多く、冷房の室温-の影響は小さいと推察された。一方、冷房頻 度の高いFJ宅では室温の低い日が多く、回帰係数はa=0.12と′トさかった。 以上、気温の室内外の関連を検討した結果、冷房不使用住宅では室温が外気温より も高く、両者の相関係数、回帰係数は大きかったo 一方、冷房頻度の高い住宅では相 関係数、回帰係数が小さくなる傾向がみられた。しかし冷房頻度の高い住宅でも室温 が外気温よりも高い住宅があり、また冷房不使用住宅と頻度のやや高い住宅の室温の 分布に大きな差違は認められなかった。これらの結果は冷房による室温の低下が必ず しも大きくない可能性、あるいは温度のみによる冷房効果の把握、評価に限界のある 可能性を示すものと考えられた。 4.4.2 絶対湿度の室内外の関連 冷房は室温の低下と同時に除湿を伴うので、絶対湿度も低下する。そこで室内絶対 湿度の日平均値、標準偏差、室内外の絶対湿度差を求め、絶対湿度の室内外の関連を 検討した(表4-5、図4-2)。 室内外の絶対湿度の平均値の差をt検定により検討した結果、冷房不使用(YW、 OD 宅)や使用頻度の低いYS宅およびRC造戸建の冷房頻度のやや高いMR、Ao宅を除いて、 室内絶対湿度は外気絶対湿度よりも有意に低く、冷房との高い関連性が示唆された。 絶対湿度の室内外の関連を家屋構造別に検討した結果、木造住宅のYW、 宅ではr=0.87-0.98、 KI、 Yn、 a=0.80-0.89と大きく、外気絶対湿度の上昇に伴い室内絶 対湿度も大きく上昇した。しかし測定値の散布図をみると、冷房不使用のYW宅では 室内絶対湿度が外気絶対湿度よりも高い日が多く、冷房使用の3戸では室内絶対湿度 の低い日が多く、冷房の影響によると推定された。冷房頻度の高いNI、 -64- Wo宅ではそ Yo 表4-5 一般住宅の室内絶対湿度の平均値、標準偏差、室内外差と 外気絶対湿度との相関係数、回帰係数 構造 木造 yw(岐) KⅠ(名) yn(岐) Yo(岐) NⅠ(名) Wo(名) s造 oD(名) MN(名) An(名) RC造 MR(名) 戸建 MG(名) Ao(名) wn(名) RC造 NO(岐) 集合 ys(岐) ST(名) FJ(名) 外気(名古屋) 外気(岐阜) *pく0.05, **pく0.01 外気絶対湿度との関係 内外差 相関係数 回帰係数 「 a (g/kg') 室内絶対湿度 平均±S.D. (g/kg') 住宅 17.7±0.8 ー6.1±0.5* 16.2±ー.1** 16.0±0.7** 13.9±1.2** 14.0±1.2** 17.2±0.7 ー2.4±2.ー** 0.5 -1.4 -ー.1 -1.2 -3.0 -2.2 0.0 -0.8 -0.6 -3.3 -1.9 0.46 0.72 0.84 0.95 0.72 0.71 0.71 -0.1 -1.4 -4.5 0.92 0.87 0.40 -2.1 -1.8 0.0 15.2±1.8** 17.0±0.6 16.2±0.9* 16.6±0.9 13.7±1.4** 15.3±1.3** 17.1±1.1 15.5±1.4** 12.4±1.1** 0.96 0.92 0.87 0.98 0.68 0.51 0.98 0.88 0.82 0.80 0.89 0.25 0.48 0.93 0.33 0.53 0.5了 0.86 0.9了 0.44 0.35 0.62 0.69 0.3ー 17.0±ー.8 17.2±2.1 (享内と外気絶対湿度差のL検定) 20 乙i E- -1hD iud18 18 }99 iiZ! RP( 16 嘆 衣 #14 雌16 唄 衣 #14 蛋 E 側 側 、聖 10 12 14 16 18 20 22 10 12 14 16 18 20 22 20 22 外気絶対湿度(g/kg') 外気絶対湿度(g/kg') 20 EEu -1bD ⊥ぎ18 、聖 世 唄 衣 # 18 }bb iZI 世16 唄 衣 16 #14 E 広 側 州 10 12 14 16 18 20 10 22 図4-2 12 14 16 18 外気絶対湿度(g/kg') 外気絶対湿度(g/kg') 一般住宅の日平均外気絶対湿度と目平均室内絶対湿度の関係 -65- れぞれr=0.68、 r=0.51 ;a=0.25、 a=0.48と小さく、顕著な湿度の低下がみられたo 特にWo宅よりもNI宅の回帰係数が小さいことは、冷房頻度との高い関連を示すもの と推察されたo s造住宅で冷房不使用のOD宅では内外絶対湿度差が0.Og/kg'で、 r=0.98、 a=0.93 と外気との追随性が高く、測定値の多くは室内外の絶対湿度の等値線上に分布した。 An宅ではそれぞれr=0.46、 -方、冷房頻度の高いMN、 r=0.72; a=0.33、 a=0.53と小 さく、室内絶対湿度は外気湿度よりも有意に低かった。すなわち冷房不使用住宅と使 用住宅が明瞭に分けられた。 RC造戸建住宅のMR宅ではr=0.84、 外気絶対湿度の高い日が多かった。 の使用頻度の低いことを示した。 a=0.57と比較的大きく、測定値も室内よりも Ao宅ではr=0.72、 a=0.97とさらに大きく、冷房 MG宅では室内外で有意差が認められたが、 r=0.95、 a=o.86と大きく、外気湿度-の追随性が高かった。これら3戸の冷房頻度はアンケー ト結果からやや高いとみなされたが、室温は比較的高く(表4-4)、湿度の低下も小さ いことから、冷房の頻度は必ずしも高くない可能性が推察された。冷房頻度の高いWn 宅ではr=0.71、 a=0.44で、顕著な湿度低下がみられた。 RC造集合住宅で冷房頻度の低いYS宅の相関係数はr=0.92と大きく、回帰係数 もa=0.62と比較的大きかった。 ST宅では室内外で有意差を認めたが、回帰係数は a=o.69と比較的大きく、冷房頻度の低い可能性が示唆された.これに対して冷房頻度 のやや高いNO宅では回帰係数がa=0.35と小さかった。さらに冷房頻度の高いFJ宅 では室内外絶対湿度差が-4.5g/kg'と大きく、相関係数、回帰係数はr=0.40、 a=0.31 と小さかった。 以上、絶対湿度の内外の関連を検討した結果、冷房不使用(YW、 OD宅)あるいは 頻度の低い住宅(甘s宅)では室内外差に有意差が認められず、室内外の相関係数は r=o.90以上、回帰係数はa=0.61 -0.82と大きく、外気絶対湿度に対する追随性の高 いことが判明した。これに対して冷房頻度が高い住宅(NI、 FJ宅)では室内 MN、軌1、 外の絶対湿度に有意差が認められ、相関係数(∫-0.40-0.71)および回帰係数(a -o.25-0.44)は小さかった。これらの結果は、室内絶対湿度と冷房使用との高い 関連を示すもので、冷房の効果判定に、室温の変動よりも有用な指標になると推定さ れたo この点は図4-1と図4-2の比較からも明らかである. なお、 Ao宅の気温の内外の相関係数および回帰係数はr=0.13、 aニ0.14と小さく、 冷房使用頻度が高いと推察されたが、絶対湿度では室内外の相関係数および回帰係数 がr=0.72、 a=0.97と大きく、冷房の使用頻度は低いと推察されたo この不一致の一 因として測定室が来客のある時のみ冷房を使用する応接間であり、冷房の使用が不規 則であったため、外気温との関連が低かったと推察された。また多くの住宅で、外気 -66- 絶対湿度が12g/kg'以上になると室内外の絶対湿度差が顕著になるとから、外気絶対 湿度12g/kg'前後が冷房の開始湿度である可能性が高いと推察された。 冷房の効果からみた住宅の類型化 4.4.3 上記の結果をさらに確認するため、気温および絶対湿度の内外差の日平均値を求め、 その分布パターンを検討した.その結果、調査住宅は家屋構造などに拘わらず、気温 および絶対湿度の内外差の関連から5タイプに分類できると考えられた(表4-6、図 4-3)0 タイプ1はYW、 OD、 MR、 YS宅を含み、室温が外気温よりも平均で1.3-2.1℃高 く、絶対湿度の内外差はOg/kg'前後で、冷房を使用せず、あるいは使用を最小限にし、 窓の開放などにより採涼している可能性が高いと推察された。タイプ2はKI、 Yo、 MG、 ST宅からなり、室温差は1.1-1.5℃とタイプ1よりもやや小さいが、絶対 湿度差は-0.8--1.4g/kg'とやや大きく、冷房を使用しているものの、室温-の影 響は小さいと推定されたo タイプ3はMN、 NO宅からなり、気温差は1.2-1.6℃と室 温が高いが、絶対湿度差は-2g/kg'前後と大きく、室内絶対湿度の大きな低下にも拘 わらず、室温の低下はみられなかった。タイプ4はいずれも冷房頻度の高い住宅(NI、 Wn、 FJ宅)で、室内外気温差がo.o--1.0℃と室温が低く、絶対湿度差もー3.0- -4.5g/kg'と大きく低下した。しかし気温差と湿度差に線形的な関連はみられなかっ たo タイプ5はWo、 An、 Ao宅からなり、室内外の気温差の低下に伴い絶対湿度差も 大きく低下し、両者に線形的な関連がみられた。 冷房の使用により室温の低下と同時に湿気の除去も生じるので、タイプ5のような 表4-6 一般住宅の日平均室内外気温差・絶対湿度差による住宅の類型化 住宅 室内外気温 差(oc) 室内外絶対 湿度差(g/kg') AVE±S.D. 2.1±0.8 YW(木) 2.3±0.8 OD(S) 1.7±1.5 MR(R戸) 1.3±1.3 ys(R集) KⅠ(木) 1.5±0.8 1.5±0.8 Yn(木) I.4±0.7 Yo(木) 1.3±0.9 MG(R戸) 1.1±1.4 ST(R集) 1.2±0.8 MN(S) ー.6±1.3 NO(R集) 0.0±1.3 NI(木) Wn(R戸) -1.0±1,3 FJ(R集) -0.9±1.5 Wo(木) -1,6±1.8 0.8±1.1 An(S) 1.3±1.9 Ao(R戸) AVE±S.D. 0.5±0.6 0.0±0.4 0.0±1.0 図4-3 対応 タイプ1 -0.1±1.0 -1.4±0.6 -I.1±1.0 -1.2±0.5 -0.8±0.6 -ー.4±0.9 -2.ー±1.7 -1.9±ー.6 -3.0±1.4 -3.3±1.3 タイプ2 タイプ3 タイプ4 -4.5±1.8 -2.2±1.7 -1.8±1.2 -0.6±1.7 -67- タイプ5 Yn、 4 ′ 4 2 ヽ 2 _^ bJ) .1 i;!■ _ど }hD 0 0 、聖 棚 世 -2 唄 衣 # -4 舌 拙 僧12 唄 広 庄一6 州 側 i-4 舌 -6 -4 -2 0 2 4 6 -6 -4 室内外気温差(oc) -2 0 2 4 2 4 6 室内外気温差(oc) 4 2 2 .- .J'1 b♪ _さ亡 _3<bb iZI 遍 o 、竺 0 州 世-2 唄 棚 雌-2 蛸 憲一4 塞-4 舌 意 蒜-6 -6 思-6 刷 -4 0 -2 2 4 6 室内外気温差(oc) -6 -4 -2 0 室内外気温差(℃) 4 r 2 .ihD iiZ5 、望 0 棚 哩 -2 唄 衣 * -4 舌 広 州 -6 -6 -4 -2 0 2 4 6 室内外気温差(oc) 図4-3 一般住宅の日平均室内外気温差と室内外絶対湿度差の関係 -68- 6 線形的な関連が典型的である考えられるが、タイプ2や3のような絶対湿度の低下に も拘わらず、室温の顕著な低下のみられなかった住宅やタイプ4のような室温と同時 に室内絶対湿度も低下したが、両者に線形的な関係のみられない住宅もあることが判 明した。また、以上の結果から各住宅の冷房使用頻度や強度は日々の室内外の気温差 と絶対湿度差の関連を検討することにより判定できると考えられたo 4.4.4 熱容量と湿気容量 以上の結果より、冷房は室温の低下よりも絶対湿度の低下-の影響、つまり除湿 -の影響が大きいと推定された。そこで各住宅の室内外気温差と絶対湿度差の平均値 を求め、絶対湿度差を基準に気温差との関連を検討した(図4-4)0 その結果、家屋構造に拘わらず、室内外絶対湿度差が-2.Og/kg'まではタイプ13の住宅のように室内気温が外気温よりも1℃以上高く、 -2.Og/kg'以下になると、タ イプ4の住宅のように室温も顕著に低下することが示された。なおタイプ1の住宅の 絶対湿度差がog/kg'前後であること、およびタイプ5に属す3戸のうちAo、 室内外気温差はタイプ2、 3とほぼ同程度であったが、 An宅の Wo宅の室温の低下が顕著であ ることが注目された。 冷房により室温の低下と同時に絶対湿度も低下すると一般的に考えられているが、 以上の結果は、冷房の影響がまず除湿による絶対湿度の低下として現れ、冷房の強化 (絶対湿度の内外差が-2.Og/kg'以下)により、室温が低下することを示唆した。こ 2.5 2.0 1.5 ⊆i■i!l U 0 1.0 ) 柵 盃 0.5 0.0 収 舌 -0.5 圧 -1.0 倒 -1.5 -2.0 -2.5 -5.0 -4.0 -3.0 -2.0 -1.0 0.0 室内外絶対湿度差(g/kg') 図4-4 一般住宅の室内外気温差、絶対湿度差の平均値 -69- 1.0 のように湿度低下が気温低下に優先する一因として、住宅のもつ湿気容量と熱容量の 差違が考えられる。すなわちタイプ1に含まれるYW、 OD、 MR、 YS宅の絶対湿度の室 内外差がOg/kg'前後であることは、住宅の湿気容量が小さく湿気の蓄積量が少ない、 あるいは室内と屋外の湿気が平衡状態にあることを意味する。このため冷房に伴う除 湿によって湿度が容易に低下すると考えられる。この点で、木造住宅で冷房不使用の yw宅の室内絶対湿度が外気よりも約o.5g/kg'高いこと、および壁面が土壁仕上げの Ao、 MR、 MG宅では絶対湿度の低下が小さいことが注目される。 一方、室内気温はタイプ1のみならずタイプ2、 3の住宅でも、外気温よりも1.1 -2.3℃ほど高く、熱容量の大きいことを示した。すなわち夏季の高温の外気に曝さ れた住宅は屋根や壁体、窓などから多量の貫流熱や換気熱を取得、蓄積し、放射して いるので、室温の低下には湿度の低下よりも強度の冷房を要すると推察された。つま り湿度の低下が気温の低下に優先した一因は、住宅のもつ湿気容量と熱容量の差違に よると推察される。 なお、 Wo宅の室温の低下は他の住宅と比して顕著であった。その一因として熱容量 が比較的小さいことによる可能性が推察されるが、アンケート結果とは異なり冷房使 用頻度が高い可能性も推察される。 4.5 アトピー性皮膚炎患者宅の測定結果と考察 4.5.1気温および絶対湿度の室内外の関連 アトピー性皮膚炎患者宅の7-8月の室温の日平均値と標準偏差、室内外気温差、 外気温と室温との相関係数rおよび回帰係数aを表4-7に、同様に検討した絶対湿度 の結果を表4-8に示す。 平均室温は住宅構造や冷房の使用頻度に拘わらず27 - 30℃で一般住宅と大きな差 は認められなかった(表4-7)。冷房使用頻度の低いB宅の内外気温差は1.1℃で、外 気よりも有意に高かった。冷房頻度の高い住宅のうち、内外気温差が有意差に低かっ たのはF宅(-o.6℃)のみで、A、C宅の気温差はそれぞれ1.6、0.6℃と有意に高く、D、 E宅は-0.7、 -0.6℃で有意差はみられず、冷房使用頻度と室温の低下との関連性は不 明瞭であった。 室内外絶対湿度差は全ての患者宅で有意に低く、冷房頻度の高い住宅の内外差は -2.6--7.3g/kg'と、頻度の低いB宅(-1.2g/kg')と比較して低下が大きかった(表 4-8)0 以上より、一般住宅と同様に患者宅でも絶対湿度は気温よりも冷房頻度との関連性 が高いと推察されたo なお、 A宅の室温は外気温よりも高かったが(1.6℃)、室内絶 ー70- 表4-7 患者宅の室内気温の平均値と標準偏差、室内外差、 外気温との相関関係、回帰係数 住宅 構造 A RC造 RC造 RC造 RC造 s造 木造 室内気温 平均±S.D. (oc) B C D E F *pく0.05, 表4-8 **pく0.01 外気温との関 係 相関係数 回帰係数 内外差 (oc) r a 30.0±0.8** 29.8±1.2** 1.6 0.61 0.3ー ー.1 0.6 0.63 0.25 0.42 27.6±1.1* 0.24 0.31 0.16 0.21 0.62 0.24 27.2±0.7 -0.7 -0.6 27.2±1.1 27.8±0.6** -0.6 (室内と外気絶対湿度差のt検定) 0.16 患者宅の室内絶対湿度の平均値と標準偏差、室内外差、 外気絶対湿度との相関関係、回帰係数 住宅 構造 A RC造 RC造 RC造 RC造 s造 木造 B C D E F *pく0.05, **pく0.01 室内絶対湿度 平均±S.D. (g/kg') 外気絶対湿度との関係 内外差 相関係数 r (g/kgー) 12.4±1.8** 15.1±1.9** ー4.9±2.0** 13.1±1.1** a -4.1 0.65 0.75 -1.2 0.84 0.66 I.01 0.64 0.34 0.18 0.42 0.31 -2.6 -7.3 10.9±0.8** 回帰係薮ーー -4.9 13.3±1.0** 0.730.ヰ6 -3.2 (室内と外気絶対湿度差のt検定) 20 ^bD 18 _さ亡 i:ヨ Ei■iコ O -td 0 iコ■:i 16 哩 鯛 28 脈 翌14 g i 柵 26 ・匡12 側 22 24 26 28 30 32 8 34 図4-5 10 12 14 16 18 20 22 外気絶対湿度(g/kg') 外気温(oc) 患者宅の日平均外気温と日平均 室内気温との関係 図4-6 -71- 患者宅の日平均外気絶対湿度と 日平均室内絶対湿度との関係 対湿度が顕著に低下したこと(-4. 1g/kg')、およびD宅で気温の内外差に有意差がみ られなかったが、絶対湿度差は-7.3g/kg'と極めて大きいことが注目されたo 外気温と室温の日平均値の関連を図4-5に示す。散布図と回帰直線より、室内気温 が外気温よりも高い日の多いA、 回帰係数はそれぞれa=0.31、 B宅と低い日の多いC-F宅に分けられた。前者の 0.42、後者の回帰係数はa=0. 16-0.24であった。 ・絶対湿度の内外の関係を図4-6に示す。いずれの住宅も室内絶対湿度は外気絶対湿 A、 C、 度よりも低かった。回帰係数は冷房頻度の低いB宅で最も大きく、 の順に小さくなった。これら冷房頻度の高い住宅では、 F、 E、 D宅 A宅を除いて絶対湿度の内外 差の大きい住宅ほど回帰係数が小さく、室内外絶対湿度差、つまり除湿量と回帰係数 の大きさに対応関係がみられたが、 A宅では大きな絶対湿度差(-4.1g/kg')にも拘わ らず、回帰係数はa=0.75と大きかったo さらに図4-5と図4-6を比較すると、A宅とB宅の室温の回帰直線は近接していたが、 絶対湿度の回帰直線は大きく相違した。またC、 していたが、 D、 E、 F宅の気温の回帰直線は近接 D宅の絶対湿度の回帰係数はa=0.18と小さく、直線は他の住宅と大きく 蔀離した。これらの結果はA宅とD宅の冷房の使用状況が他の住宅と大きく異なる可 能性を示すものと考えられたo 4.5.2 アトピー患者宅の類型化 一般住宅と同様に、室内外の気温差と絶対湿度差の関連を検討した(図4-7)。 とC宅では、内外の気温差がそれぞれ1.1、 0.6℃で、絶対湿度差もー1.2、 B宅 -2.6g/kg' と小さいことから、タイプ2に、またA宅の内外気温差(1.6℃)は前二者と大きな 相違はないが、絶対湿度差は-4.1g/kg'と大きいことから、タイプ3に属すると考え られた。一方、 D-F宅では気温差が-0.6--0.7℃と、平均室温が平均外気温より も低く、絶対湿度差もー3.2--7.3g/kg'と大きいことから、タイプ4に属すると推 察された。これらの結果はアトピー性皮膚炎患者宅においても、一般住宅で検討した 冷房の評価法が適用できることを示すものと考えられた。 4.6 冷房期の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の温湿度の比較 以上の検討結果をもとに、一般住宅とアトピー性皮膚患者宅の冷房の効果を室内 外絶対湿度差を基準に比較検討した(図4-8)0 C、 アトピー.性皮膚炎患者6戸のうち4戸(B、 致したが、 2戸(A、 E、 F宅)は一般住宅の結果とほぼ一 D宅)では絶対湿度の大きな低下にも拘わらず、室温の顕著な低 下はみられず、大きく異なった。 A宅では絶対湿度差が-4.1g/kg'と大きかったが、 -72- 4 4 0 2 EA }bD E 側 ----------L.----------0------------0 1bh _ぎ 柵 哩 嘆 衣 # 舌 2 ′■■■■ヽ 0 ltd 0 ヽJ ○ 拙 -2 哩 項 -4 衣 臣当 -6 意 ー4 0___」㌻9___ーー___ _Td9____三盤 ㌔ ◆ ◆ ------------◆-- 倒 ◆◆ ◆---◆-o-- .++.+r 圧 -6 畏浄;毛-o--:--- _______ー__」⊃__________ -8 I.∼! 10 ー6 -4 0 -2 2 4 6 ー6 -4 室内外気温差(oc) 0 -2 2 4 室内外気温差(oc) 4 E- 2 LT5Ln }hD 0 棚 也 -2 境 衣 # -4 i E ㌔. △△△ 逮 ---------一都--A_Li△■l.A ▲▲ △ - -----一△--. AAIA .A:rF.5 ---1---------」■--■■■ I -6 側 ■■ ■ lコ .●. -8 ー6 ■● -4 0 -2 2 4 6 室内外気温差(oc) 図4-7 アトピー性皮膚炎患者宅の室内外気温差と室内外絶対湿度差との関連 2 ロロ♂ロ 乙iiコ O □□} 0 lこ■■コ 柵 ?.! 収 恵 1 0 CB l‡l D g E▲▲F 側 ロ」ユh__¶___ 1 --一般住宅;y=o.67x+1.91,r=0.80 患者宅;y-o.26x'1.26,r-0.56口 Ill -6 14 -2 0 室内外絶対湿度差(g/kg') 図4-8 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の温湿度の比較 -73- 2 6 気温差は1.6℃と外気よりも室温が高かった。また、 D宅では絶対湿度差が-7.3g/kg' と大きかったが、気温差は-0.7℃にすぎなかったo すなわちこれら患者宅では冷房を 強化しながらも、室温の低下を避けている可能性が高いと推定された。このような相 違にはアトピー性皮膚炎の病態生理的学的な特徴16'17)が関係していると考えられる。 アトピー性皮膚炎患者の表皮はバリア機能および保水機能の主成分である角質細胞 間脂質のセラミドの含量が低く18)19)、非病変部でも乾燥傾向にあり、アトピー性乾 燥肌(atopic dry skin)と言われている。このような皮膚では湿度低下などの様々 な刺激により症状が出現、悪化しやすい20)2り。小島・斎藤22)は低湿度環境(25℃、 40%RH)でアトピー性皮膚炎患者の皮膚水分率が低下し、入室約10分後に症状の出現 することを実験的に示している。一方、我々は先にアトピー性皮膚炎患者の皮膚水分 率、自己申告による症状スコアと室内温湿度との関連を検討し、秋から冬にかけて室 内温湿度が低下すると、患者の皮膚水分率が低下し、症状スコアが高まると報告して いる23)。すなわちアトピー性皮膚炎における持続する乾燥症状は皮膚炎を増悪させる 一つの要因になっていることは疑いようのない事実であり24)、厚生労働省のアトピー 性皮膚炎治療ガイドラインにおいても乾燥対策が外用療法の第一位に挙げられている 25)。一方、アトピー性皮膚炎患者では体温調節機能、特に発汗能の低下が報告されて いる26)27)17)o 小島・斎藤22)は30℃、 750/.RHで、患者の皮膚温は健常者よりも約0.5℃ 高く、皮膚水分率は逆に有意に低いことから、発汗量の低下が高皮膚温の原因である と考察している。 以上の病態生理的学的な特徴を基に今回の結果を推論すると、アトピー性皮膚炎患 者は発汗能が低下しているので、高温下で熱感が強く、冷房の強度を高めている可能 性が考えられる。しかし冷房を強化すると皮膚からの水分喪失が高まり、乾燥症状が 出現する。そこで患者は冷房による室温の低下がすなわち悪化要因であると考え、除 湿運転などにより室温の低下を避けていると考えられる。 A宅やD宅で、絶対湿度の 大きな低下にも拘わらず、室温の低下が一般住宅と比較して小さいことは、このこと を示唆している。しかし冷房の強化は皮膚炎の悪化や治癒の遅れの要因になっている 可能性が考えられる。すなわち図4-8の結果は患者が冷房した環境下で悪循環に陥っ ていることを示していると推論される。 このような推論の当否は皮膚科学からの検証を要するが、本検討結果から、アトピー 性皮膚炎患者は健常者とは異なった温熱環境下で暮らしている可能性が高いと推定さ れる。したがってさらに多数の患者を対象として、アトピー性皮膚炎の症状の変化と 冷房との関連を本章の結果などに基づいて検討することは、アトピー性皮膚炎患者の 暮らしに適した室内温熱環境の構築上、極めて重要な課題であると考える。 -74- 4.7 小結 本章では、冷房の室内温熱環境に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、健常者の 居住する一般住宅17戸(2戸は冷房不使用)の夏季の温湿度測定結果を解析し、その結 果を踏まえてアトピー性皮膚炎患者宅6戸の検討を行った。 1)日平均室温が日平均外気温よりも有意に低い住宅は、一般住宅で3戸、患者宅で1 戸のみであった。 2)室内気温と外気温との関連を検討した結果、外気温よりも室温の高い住宅が多く、 気温のみによる冷房効果の把握、評価には限界があると推定された。 3)絶対湿度の室内外の関連を検討し、冷房の使用頻度と湿度の低下に高い関連を認め、 絶対湿度の内外差は冷房効果の有用な指標になると考えられた。 4)気温の室内外差と絶対湿度の室内外差の日平均値の分布パターンから、調査住宅は 構造に拘わらず5タイプに分類された。 5)各住宅の絶対湿度の内外差を基準に気温の内外差を検討した結果、冷房の効果はま ず絶対湿度の低下として現れ、冷房の強化により室温が低下すると推定された。そ の一因として住宅のもつ湿気容量と熱容量の差違が推察された。 6)アトピー性皮膚炎患者宅についても-般住宅と同様に検討し、 ながらも、室温の低下を避けている可能性が高いと推定されたo ピー性皮膚炎の病態生理学的な異常が存在していると推察されたo -75- 2戸では冷房を強化し その背景にはアト 参考文献. 1)内閣府:消費動向調査(平成17年3月) 2)揮地孝男,松尾陽,羽野田健,福島弘幸:暖冷房行為生起の決定要因と許容室温範囲に関 する検討,日本建築学会計画系論文報告集, 382, 1987.12 pp.48-58, 3)鈴木憲三,松原斎樹,森田大,滞地孝男,坊垣和明:札幌,京都,那覇の公営集合住宅に 475, おける冷暖房環境の比較分析,日本建築学会計画系論文集, 17-24, pp. 1995.9 4)加藤友也,山岸明浩,山下恭弘:長野市を中心とした一戸建住宅の室内温熱環境と居住者 意識の冬季と夏季の差,日本建築学会計画系論文集, 481, 1996.3 pp.23-31, 5)福島逸成,浦野良美,渡辺俊行,林徹夫,龍有二,赤司泰義:福岡における夏季の住まい 方と住宅の冷房エネルギー消費量に関する研究,空気調和・衛生工学会論文集, No.61, 1996 pp.79-90, 6)坊垣和明,滞地孝男,吉野博,他7名:夏期および冬期の居住室室温とその地域性に関す る研究一全国的調査に基づく住宅のエネルギー消費とライフスタイルに関する研究-,日 本建築学会計画系論文集, 505, 1998.3 pp.23-30, 7)坊垣和明,滞地孝男,吉野博,他7名:全国的調査に基づく住宅の暖冷房時間および暖冷 房期間に関する研究,日本建築学会計画系論文集, 509, 1998.7 pp.41-47, 8)赤林伸一,坂口淳,山岸明浩,佐々木淑貴,山口-:戸建住宅を対象としたアンケート及 び実測調査結果 研究 新潟県の住宅における室内温熱環境・エネルギー消費実態に関する調査 554, その1,日本建築学会計画系論文集, pp.1-6, 2002.4 9)浅輪貴史,梅干野兎,武滞秀幸,清水敬示:戸建住宅における窓開閉・冷房使用の行動特 性と影響要因解析 究 屋外空間の微気候と居住者の開放的な住まい方との関わりに関する研 593, その2,日本建築学会環境系論文集, pp.87-94, 2005.7 1_())羽原宏美,鳴海大典,下田吉之,水野槍:一般住戸を対象とした実態調査に基づく冷房発 停の生起要因に関する検討,日本建築学会環境系論文集, 589, 2005.3 pp.83-90, ll)水谷国男,岩瀬昭雄,赤林伸一:新潟市の中層集合住宅における温熱空気環境に関する調 査報告,日本建築学会計画系論文集, 407, 1990.1 pp.27-36, 12)坂r1淳,赤林伸一,山口- :新潟市に建設された住宅における室内温熱環境とエネルギー 543, 2001.5 消費量に関する実測調査,日本建築学会計画系論文集, pp.33-39, 13)西村仁,池田真樹,藤村知春,垂水弘夫:北陸の次世代省エネルギー基準全電化住宅を対 象とした温熱環境と暖冷房用エネルギー消費に関する実態調査,日本建築学会環境系論文 集, 582, pp.37-44, 2004.8 14)梅干野晃:室内気候と快適性,住まいと環境学,放送大学教育振興会, 6,アトピー 15)江畑俊哉,上出良一:拝みをどう評価するか?,皮膚科診療プラクティス, 性皮膚炎診療のストラテジー, 1990 pp.130-143, 1999 pp.84-92, 16)古江増隆:アトピー性皮膚炎のオーバービュー,病態はどこまでわかっているか,膚科診 療プラクティス, 雅浩編), 6.アトピー性皮膚炎診療のストラテジー(古江増隆、宮地良樹、瀧川 pp.176-177,文光堂,1999 17)塩原哲夫:アレルギー炎症からみたアトピー性皮膚炎,アトピー性皮膚炎-コンセンサス アップデイト(宮地良樹,永倉俊和編), Abe, 18)Imokawa,G., corneum of atopic/ A., Jim, dermatitis: K. 2000 pp.13-27,メヂカルレビュー社, et an al.: Decreased etiologic -76- factor level in of ceramides at()plc dry in skin?, stratum J. In- 96, I)ermatol., vest. 1991 pp.52:卜526, 19)芋川玄璽:表皮角層水分保持機能,水と生命(永山国昭編), pp.152-16・,;i,共立出版, 2000 20)上原正巳:皮膚血管異常反応,皮膚科診療プラクティス, ラテジー, 6.アトピー性皮膚炎診療のスト 1999 pp.218-219,文光堂, 21)石川治:ドライスキンによる皮膚バリア障害.アトピー性皮膚炎-コンセンサスアップデ イト, 2000 pp.3-12,メヂカルレビュー社, 22)小島昌幸,斎藤輝幸:アトピー性皮膚炎患者の住環境に関する研究:低湿度環境下での皮 膚水分率低下に関する実験,日本建築学会大会東海支部報告集, 37, 1999 pp.613-616, 23)青木哲,水谷章夫,須藤千春,大揮徹夫:健常者およびアトピー性皮膚炎患者宅の冷房期 の温湿度変動比較,日本建築学会大会講演集, pp.349-350, D-2, 2002 24)古江増隆:乾燥肌(アトピー皮膚)と角質細胞間脂質.皮膚科診療プラクティス, 性皮膚炎診療のストラテジー, 6.アトピー 1999 pp.176-177,文光堂, 25)宮地良樹:スキンケア.アトピー性皮膚炎-コンセンサスアップデイト, カルレビュー社, M.U., 26)Parkkinen, mal 27) stress Imayama 1in-A in Immunolol., Kiistala, atopic surface skin 94, pp. R., Kiistala, dermatitis, Shimozono, ,S., to pp.L4卜51,メヂ 2000 Y., of 195-200, Hoash, patients Br. U. : Journal M. with 1994 -77- et al. atopic Sweating to response Dermatol., :Reduced dermatitis, 126, moderate pp.346-350, secretion Journal of ther1992 immunoglobuAllerg. Clin. 第5章 冬季の一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅に おける室内温湿度変動に基づいた温熱性能・環境の比較 -79- 5.1 はじめに 室内温熱環境には住宅の熱容量、断熱性能、気密・換気性能、調湿性能および日 射調節性能に加え、屋外気候および生活活動が大きく影響している1)。すなわち温湿 度の測定値はこれら性能や要因の相互作用により形成されたものであるとみなせる。 従って温湿度の測定値を住宅の基本的な温熱性能を踏まえて、住まい方などを加味し て帰納法的に検討することにより、住宅間の比較が可能になると考えられる。このよ うな立場を第3章で「建築生態学的立場」と呼称した。 温湿度は測定が簡単で、居住者の日常生活-の干渉が少なく、定量性には欠けるが、 住まい方なども含めた建築生態学的な比較は、アレルギー疾患や脳卒中などの室内環 境が関係する疾患の疫学調査や医師による患者の生活指導なども目標とした場合には 特に有用であると考えられる。 このような観点から第3章では、まず予備的に5戸の長期の室内外の温湿度測定値 を検討し、熱容量や断熱性能などの熱的性能は室内外の気温差に加え、室温の変動の 大きさから、気密・換気性能は絶対湿度の室内外差から、調湿性能は絶対湿度あるい は相対湿度の変動の大きさから推定できると予報した。 この結果を踏まえて、第4章では、夏季の気温および絶対湿度の内外差の関連から 健常者の居住する一般住宅における冷房の効果を評価し、その上でアトピー性皮膚炎 患者宅との比較を行った。しかし、夏季には住宅間の温湿度の差が小さく、温熱性能 の比較はできなかった。 そこで本章では、冬季の温湿度の実測データを用いて、一般住宅の基本的な温熱性 能・環境および住まい方を検討し、その上で一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅との 比較を行った。 5.2 調査対象と調査・解析法 5.2.1調査対象住宅の概要 一般住宅の調査では名古屋市および岐阜市とその周辺に立地する計17戸を対象と した。その内訳は木造戸建住宅6戸(NI宅は新省エネルギ一基準を満たした高気密高 断熱型)、 RC造戸建住宅4戸、 S造戸建住宅3戸、 RC造集合住宅3戸、 SRC造集合住 宅1戸であった(表5-1)。アトピー性皮膚炎患者宅の調査では木造戸建住宅1戸\ S 造戸建住宅1戸、SRC造集合住宅1戸およびRC造集合住宅2戸の計5戸を対象とした(表 5-2)。 SRC造集合住宅はRC造集合住宅に含めて検討した。居住者は1 -7人で、 2人の住宅はWnおよびST宅を除いて高齢者(65歳以上)宅であった。なおST宅で は喫煙者がおり、患者E宅では主治医の勧めにより、窓を開放するなど換気に努めて -81- 1- いるとの申告があった。また石油ストーブなどの開放型暖房器具を使用していた住宅 は11戸、エアコンなどの電気暖房器具を使用していた住宅は6戸で、 NI、 YS宅では 加湿器を使用していた。 5.2.2 温湿度の測定法 調査住宅の測定室(居間を原則としたが、 Yn、 Ao宅では応接間)に′ト型温湿度計ロ ガー(ェスペック社製:RS-10またはRS-ll)を日射や冷暖房などの影響を受けにくい、 高さ1.2-1.5mの場所に設置し、 30分間隔で温湿度の測定を行った。測定期間は、 一般住宅では1999年7月から約1年間、アトピー性皮膚炎患者宅では1999年から途 中欠損を含めて約2年間とした。本報では冬季の温熱性能・環境の特徴の把握を目的 に、 1-2月のデータを中心に解析した。外気の温湿度は名古屋および岐阜地方気象 台の観測値を採用した。また温湿度ロガー交換時に各住宅の冷暖房や換気の方法・頻 度、加湿器の有無などに関する簡単な聞き取り調査を行い、計測および推定結果の検 証のための参考資料とした。 表5-1一般住宅の概要 住戸 地域 構造等 Yo 岐阜 木造平屋建 Wo 床面報 居住者 測定量 壁材 床材 126m' 2人 居間 名古屋 1961年 木造平屋建1790年頃 17m2 1人 居間兼寝室 土壁 畳 Kl 名古屋 木造2階建 1947年 166m2 1人 居間 土壁 畳 Yn 岐阜 木造2階建 1985年 104m2 1人 応接間 岐阜 木造2階建 1979年 130Ⅰぜ 7人 居間 Nl 名古屋 木造2階建 1995年 128m2 4人 YW * 建投時期 ラスホヾ-トヾ+土壁 石膏Jff-ド+布クロス 化粧合板 窓枠 暖房器具 アルミ 木 石油ストr がスストづ○ 木 電気ストーTl 畳 か-へ'ット アルミ 石油フ7ンヒーター フロールク、 アルミ 電気カーヘ○ット* 居間兼台所石膏i;(-ド+ヒ'、ニルタロス 7ローリンク、 居間兼寝室 コンクU-ト+布クロス フローリンク-I Wn 名古屋 RC造平屋建 1976年 81mJ 2人 MG 名古屋 RC造2階建 1973年 256m2 2人 居間 Ao 名古屋 RC造2階建 1971年 177m2 2人 応接間 MR 名古屋 RC造平屋建 1974年 164m2 蔓△ 居間 On 岐阜 S造2階建 1993年 144m2 4人 An 名古屋 S造2階建 1996年 133m2 MN 名古屋 S造2階建 1996年 FJ 名古豪 RC造集合 ST 名古屋 NO 岐阜 YS 岐阜 コンクlトト+土壁 コH I)-ト+土壁 アルミ アルミ 畳 アルミ アルミ フロールクミ 電気小-Tl がスファンヒーター 石油朴-フ∼ 電気ストフ寸 加湿器 血 並 無 無 無 有(使用) 虹 4旺 無 アルミ がスフアンヒづ一 居間 コンクリート十土壁 7ロールク11 石膏ホ■-ド+ヒItニルタロス フローl)A) アルミ 4人 居間 石膏ポート+ヒJニルタロスフロールク、、 アルミ 石油ファンヒーター がスファンヒーター 150m2 3人 居間 石膏ボード+ヒ11ニルタ叫7ローリンク11 アルミ がスフ7ントクー 1992年 68m1 3人 居間兼台所 アルミ エアコン 虹 RC造集合 1971年 72m) 2人 居間 フロールタモ コンクリート+ヒ■ニルタロス 畳 コンクリート+ヒ∼ニルタFス 7Pミ エアコン 1旺 RC造集合 1974年 51m} 3人 居間 畳 コンクリート+ヒモニルクロス アルミ sRC造集合 1992年 戸を開放した隣室に石碑フアントタ・- 67m2 4人 居間 コン州-ト+ヒ'1ニルタロス 7ローリンクナ 表5-2 石油ファンヒーター 石油フアントクー 無 虹 4旺 無 無 有(使用) アトピー性皮膚炎患者宅の概要 住戸 地域 柵造専 連投時期 床面耕 居住者 測定圭 A 名古屋 RC造集合 1991年 38TTf 2人 居間 B 名古屋 RC造集合 1996年 73n1 4人 居間 C 名古屋 SRC造集合 1990年 79rrF 2人 居間 E 名古屋 S造2階建 1980年 96rrf 5人 居間 F 名古屋 木造2階建 1968年 72n1 2人 尿開 壁材 床材 窓枠 壌房器具 加湿器 クッシ]ンフロア コンクリート+ヒIニルタロス フローリンク1t コンクリート+ヒ寸ニルタロス 7ルミ 石油フアンヒーQ- 1旺 アルミ 石油77ンヒーター 虹 フローリンクヾ コンクリート+ビニルクロス 化粧合板 クッシ]ンフロア アルミ ヒ■ニルタロス -82- アルミ フローリンク∼ アルミ 石油ストフ'.電気刈-フ' エアコン・石油刈、づ∼ 石油ファンヒーター 虹 血 1旺 5.2.3 解析法 温湿度の測定データから絶対湿度を算出し、暖房や換気などの住まい方の影響の把 握を主な目的として、日単位の平均値、変動係数を求め、外気温および外気絶対湿度 との関連を相関分析、単回帰分析(y-ax+b)により検討した。なお、変動係数 (Coef丘cient of variation)は、標準偏差を平均値で除した百分率で、平均値の異な るサンプル集団における変動の大きさの直接的な比較の際に広く用いられている。本 章では平均値の異なる住宅間の比較を目的としており、変動係数を使用した。 また住宅間の温熱性能の把握を主な目的として、各住宅の1-2月の温湿度および 変動係数の平均値を求め,室内外の気温差との関連を回帰分析により比較した。温熱 性能の項目ごとの解析法はそれぞれの結果の項で記述した。また統計解析は全体的な 特徴、傾向の把握を目的とし、有意水準の検討は最小限にとどめた。 5.3 一般住宅の測定結果と考察 5.3.1室内温湿度の年変化 一般住宅の約1年間にわたる気温の月平均値を図5-1に示した。夏季の室温は25 -30℃で、住宅問および室内外の差は比較的小さかった。これに対して冬季では10 -20℃と住宅間の差異が大きく、室温の年較差が10℃前後の住宅もあった。 室内絶対湿度は夏季、冬季ともに住宅間の差が大きく、冬季には外気絶対湿度が約 4g/kg'のときに8g/kg'の住宅もあった(図5-2)。しかし春秋季の内外差はいずれ の住宅でも小さかった。また相対湿度は秋季から冬季にかけて低下し、冬季に30%台 の住宅もあったが、逆に上昇した住宅が2戸あった(図5-3)。なお名古屋と岐阜で外 気の温度および絶対湿度は極めて近似し、有意差は認められなかった。 これらの結果は調査住宅の室内環境の多様性を示すもので、先行研究の結果2)3)と も大きな相違はみられず、現代住宅における一般的な温熱環境を示すものと考えられ た。住宅間のこのような大きな差異は住宅間の温熱性能の差異に加えて、冷暖房の使 用状況、住まい方の影響も大きいと推察される。また冬季には他の季節に比して温湿 度の住宅問および外気との差が大きく、各住宅の温熱性能・環境の把握により適して いると考えられた。 -83- 620 0 iコ■5】 ?.!15 蝦 10 5 EEC Ⅲこ EEC E町 「- O) cO EEC 町: ⊂⊃ ▼- N L■._ i Lllllllllll一 dt 町:町こ ▼- N M EEC EEこ 町: 寸 LL) く上〉 EEC 「ー 図5-1各住宅の月平均気温の年変化 16 .J41 2 .i5<bD ii5 vhDI 0 芸8 夜6 #4 2 0 町 r■- E町 cO EEC EEL: EE: Ⅲこ En: EEC 町 Ⅲこ EEC O> ⊂⊃ '- N N ■寸■ 山i_ i Lllllllllll一 - '- n LE) EEC En: く工) 「一 各住宅の平均絶対湿度の年変化 図5-2 90 80 了0 (60 S )50 凱o 童30 20 10 0 EEC EEE 町: EEC 【町 町【町 「- o> ▼・- o⊃ ⊂) Lllllllll■■ 図5-3 N I'I 町: 【町 En: Ⅲこ Ⅱ亡 EEE: ∼ n 寸 LL) q⊃ L I L J- 各住宅の月平均相対湿度の年変動 -84- 「- 5.3.2 室内気温と外気温との関連 日平均室温およびその外気温との相関および回帰係数を表5-3に、外気温と室温 の日平均値との関連を住宅の構造種別に図5-4に示した。木造住宅では室温が9.4 -ll.3℃と低いYo、 Wo、 KI、 Yn宅と15.3、 17.5℃とやや高いYW、 NI宅に分けられ た。前者は内外気温差も小さく(4.7-6.6℃)、暖房頻度の低いことが示唆された。 また外気温との関連ではいずれの住宅でも正の相関がみられ、 Wo宅では回帰係数が a=0.98と特異的に高く、Yn、KI、Yo宅の3戸ではa=0.42-0.51とやや低い値であった。 後者の住宅では内外差が10.6- 12.7℃と大きく、暖房頻度の高いことが示唆された。 また回帰係数はYW宅ではa=0.52とやや大きかったが、 NI宅ではa=0.32と小さな値 であった。 RC造戸建住宅は、室温が12.1-13.2℃のやや低いMG、 MR宅 Ao宅と17℃台のWn、 の2群に分けられ、内外気温差は前者では7.2-8.3℃、後者では12.9-13.0℃であっ た。回帰係数はMG宅(a=o.50)を除く3戸ではa=0.26-0.37と比較的小さく、近 似していた。 S造住宅3戸の平均室温は14.8-17.9℃とやや高く、内外差は10.4-13.1℃であっ た。回帰係数はAn宅ではa=0.31とやや小さいが、 OD、 MN宅ではa=0.50、 0.52とや や大きかった。 RC造集合住宅では室温が18. 1 -21.5℃と全般的に高く、内外差も大きかった(13.2 -16.8℃)。また回帰係数はST宅(a=o.19)を除き、 a=-0.08--0.03と極めて小さ な値であった。 以上、日単位の室温と外気温との関連を検討した結果、木造住宅では全般的に外気 温の影響が大きく、特に建築年数が古く、床面積の小さいWo宅では室温が外気温に 追随して変動した。しかし高気密高断熱型で室温の高かったNI宅では回帰係数は小 さく、暖房時間が長く、かつ熱的性能の高いことによると推察された。一方、熱容量 の大きいRC造集合住宅では回帰係数が小さく、 RC造戸建住宅およびS造住宅の回帰 係数は住宅による差異もあるが、両者の中間に位置した。すなわち室温の変動には暖 房頻度に加えて、住宅構造による熱容量の影響も大きいと考えられた。そこで室温の 変動係数について次に検討した。 -85- ・表5-3 一般住宅の室内平均気温および外気温との関連 内外 室内気温 構造 種別 住宅 外気との関係 気温差 相関係数 (oc) r 平均±S.D. (℃) 回帰係数 a 木造 Yo(岐) 9.4±3.6** 4.7 0.68 0.5ー 戸建 Wo(名) KⅠ(名) 9.8±1.4** 4.9 0.85 0.98 9.9±2.6** 4.9 0.54 0.46 Yn(岐) ll.3±3.8** 6.6 0.58 0.42 YW(岐) Nl(名) MG(名) 15.3±3.3** 10.6 0.78 0.52 17.5±1.9** 12.7 0.70 0.32 12.1±2.0** 7.2 0.76 0.50 Ao(名) Wn(名) MR(名) 13.2±2.8** 8.3 0.59 0.26 17.8±2.7** 12.9 0.47 0.37 17.9±3.2** 13.0 0.56 0.25 OD(岐) An(名) MN(名) 14.8±2.4** 10.4 0.72 0.50 15.了±2.ー** 10.8 0.76 0.31 17.9±3.5** ー3.1 FJ(名) ST(名) NO(岐) 18.1±0.9** 13.2 18.4±1.3** 13.7 0.43 -0.08 0.19 20.了±1.9** 16.1 -0.ー8 -0.07 21.5±1.7** 16.8 -0.09 -0.03 RC造 戸建 S造 戸建 RC造 集合 YS(岐) 外気(名古屋) 4.9±2.4 *pく0.05. **pく0.01 0.52 rTn巴ii 4.7±2.5 外気(岐阜) 0.68 "=o.16 6i iii (外気温一室内気温のt検定) ′■■ヽ O ミノ 鯛12 蛸12 蜜10 翌10 8 柵 ㈱ 8 6 6 4 2 -2 0 2 4 6 8 10 12 -2 0 2 4 6 8 10 12 8 10 12 外気温(oC) 外気温(oC) 22 20 18 嘆12 鯛12 警10 側 空10 8 側 8 6 6 4 4 -2 0 2 4 6 8 10 12 外気温(℃) 図5-4 -2 0 2 4 一般住宅の日平均の外気温と室内気温との関係 ー86- 6 外気温(oc) 5.3.3 室温の変動係数と外気温との関連 各住宅の室温の変動係数およびその外気温との関連を表5-4、図5-5に示した。木 造住宅は2群に分けられ、 Yo、 Wo、 Yn、 a=-3.57--4.80と大きく、 KI宅の変動係数は25.4-40.0%、回帰係数は YW、 NI宅の変動係数は11.0-21.8%、回帰係数は a=-0.64--1.15と小さいことが示された。 15.2- RC造戸建住宅の変動係数は21.3%のAo宅を除き、 回帰係数もa=-0.87-ll.41であった。なお、 以下の日数が24日、 r=-0. 18.0%と比較的類似し、 MG宅では検討期間中、変動係数10% 20%以上の日数が26日と日により大きく変動し、相関係数は 29と′小さな値であった。 S造住宅3戸の変動係数は13.4大きいが、 MN、 An宅ではa=-0.99、 19.6%で、回帰係数はOD宅ではa=-1.40とやや -0.72と小さかった。 RC造集合住宅の変動係数は5.2-9.1%と全体的に極めて小さく、その回帰係数も a=-0.20--0.46と′トさく、近似していた。 外気温と室温の変動係数に負の関連が示された。これは外気温の低下に伴い暖房頻 度が高まり、室温の変動が大きくなったことによると推定される。特に木造住宅では 外気温と変動係数の回帰係数が全般的に大きく、 RC造集合住宅では極めて小さいこと から、室温の変動係数は熱的性能、特に熱容量の指標となると考えられた。 しかし木造住宅でも高気密高断熱型のNI宅では変動係数が小さかった。また床 面積の小さいWo宅では室温が低く(9.8℃)、外気温との相関が極めて高かったが (a=0.98) (表5-3、図5-4)、変動係数は室温の高いNI宅に近似した(表5-4)。すな わち暖房頻度の高い住宅や頻度が極めて低い住宅では室温の変動係数が小さくなると 推察された。 RC造戸建住宅およびS造住宅では変動係数の回帰係数が全般的に小さく、熱的性能 の高いことを示したが、 MG宅では変動係数が10%以下の日数と20%以上の日数がほ ぼ等しく、暖房の使用が不規則であり,相関係数が小さくなったと推察された。これ らの結果から日々の室温の変動係数は熱的性能に加えて、暖房の使用状況などの特徴 も反映していると推察された。 ー87- ・表5-4 一般住宅の室温の変動係数および外気温との関連 外気温との関係 変動係数 相関係数 回帰係数 r a (%) 室内気温の 構造 種別 住宅 木造 戸建 RC造 戸建 S造 戸建 yo(岐) Wo(名) KⅠ(名) yn(岐) yw(岐) 40.0 -0.74 -4.80 14.7 -0.48 -1.15 25.4 -0.62 -0.84 -4.17 -3.57 -0.63 -1.10 NⅠ(名) MG(名) Ao(名) Wn(名) MR(名) oD(岐) An(名) ll.0 -0.64 -0.64 16.4 -0.29 -1.12 21.3 -0.5了 -1.41 15.2 -0.52 -0.87 18.0 -0.73 -1.09 16.6 -0.77 13.4 -0,53 -1.40 -0.72 19.6 -0.44 35.2 21.8 MN(名) FJ(名) ST(名) NO(岐) ys(岐) 外気(名古屋) 外気(岐阜) 5.2 7.2 RC造 集合 -0.99 -0.46 -0.6了 -0.46 -0.31 -0.38 9.1 8.0 -0.29 -0.20 56.9 -0.26 iiii / 58.9 80 70 a 50 壁 粛 40 a 50 S 粛 40 伽 明 滅 20 g,弓 蝦 20 州 倒 10 鶴 令 30 e 30 圧 尾 10 0 0 2 0 2 4 6 8 10 12 2 0 2 外気温(oC) 6 8 10 12 外気温(℃) ?.! 収 20 a 50 S 邑惑40 側 令 30 明 滅 20 側 10 倒 10 0 0 a 50 S 巨惑40 樹 e 4 30 店 圧 2 0 2 4 6 8 10 12 0 2 4 6 外気温(oC) 外気温(℃) 図5-5 2 一般住宅の日平均の外気温と室内気温の変動係数との関係 -88- 8 10 12 5.3.4 絶対湿度の室内外の関連 室内絶対湿度の日平均値およびその外気絶対湿度との関連を表5-5、図5-6に示し た。木造住宅は室内絶対湿度が3.6-4.4g/kg'と低いYo、 5.6g/kg'とやや高いYW、 Wo、 KI、 Yn宅と、 5.5- NI宅に分けられた。前者は内外差も1g/kg'未満で、回帰 係数はa=0.40-0.81と大きかった。特に恥、 KI宅ではそれぞれa=0.78、 きいことが注目された。後者の室内外差は1.9、 0.81と大 2.1g/kg'とやや大きく、回帰係数は a=0.47-0.59であった。なおNI宅では加湿器を使用していたが、室内絶対湿度が他 の住宅に比して特に高いという傾向は認められなかった。 RC造戸建住宅4戸の平均絶対湿度は4.4-6.6g/kg'、内外差o.9-3.1g/kg'、回 帰係数a=o.39-0.65で、 Ao宅の絶対湿度の高いことが注目された。 S造住宅3戸の平均絶対湿度は5.7-6.5g/kg'、内外差は2.0-3.Og/kg'と比較 的大きかったが、回帰係数はa=0.59-0.75と、比較的近似していた。 RC造集合住宅の平均絶対湿度はST宅を除いて、 7g/kg'以上と高く、内外差も3.8 -4.4g/kg'と大きかった。特に加湿器を使用していたYS宅では平均8.3g/kg'、内 外差4.6g/kg'と最も高かった。一方、sT宅の平均絶対湿度は5.3g/kg'、内外差は1.9g/ kg'と′トさかった。回帰係数はa=0.34-0.63で、YS宅の回帰係数は小さく(a=0.34)、 NO宅では大きい(a=0.63)ことが注目された。 絶対湿度の室内外の差は気密・換気性能および室内における水蒸気の発生状況の影 響が大きいと考えられる。そこで、まず気密・換気性能について検討した。木造で、 建築年数が古く、窓枠が木製のWo、KI宅およびYo宅では絶対湿度の室内外差が小さく、 RC造戸 一方、高気密高断熱型のNI宅では大きく、気密性能との関連が示唆された。 建でも住宅間の差異が比較的大きく、 Ao宅では内外差が大きく、気密性能の高い可能 性が示唆された。 S造住宅およびRC造集合住宅では全般的に絶対湿度の内外差が大き く、気密性能が高いと推察された。しかし換気を励行していたST宅ではやや小さかっ た。これらの結果から室内絶対湿度には気密性能と同時に換気の影響も大きいと推察 された。 また室内絶対湿度は室内の水蒸気発生量にも大きく左右されると推定される。しか し加湿器を使用していたNI宅で特に高くなる傾向は認められなかった。また居住者 数の多い住宅では生活活動に伴って、石油ストーブなどの開放型暖房器具の使用では 燃焼に伴って、水蒸気の発生量が多くなると推量される。しかし表5-1に示した居住 者数や暖房器具の種類と室内絶対湿度とに一定の傾向は認められなかった。すなわち 対象住宅では水蒸気発生量の室内絶対湿度に及ぼす影響は必ずしも大きくないと推察 された。 -89- 表5-5 一般住宅の室内平均絶対湿度および外気絶対湿度との関連 構造 種別 室内絶対湿度 平均±S.D. 住宅 (g′kgー) 0.83 0.78 3.4±0.4 0.3 0.98 0.81 4.4±1.1** 0.8 0.58 0.40 5.5±0.9** ー.9 0.59 5.6±0.8** 2.1 0.81 0.73 4.4±0.6** 0.9 0.78 0.47 6.6±0.9** 3.ー 0.70 0.39 Wn(名) MR(名) S造 oD(岐) 戸建 An(名) MN(名) RC造 FJ(名) 集合 sT(名) NO(I支) ys(岐) 外気(名古屋) 5.1±0.8** l.6 0.84 0.65 5.4±1.3** ー.9 0.70 0.41 5,7±1.1** 2.0 0.78 0.59 6.5±1.3** 3.0 0.88 0.75 6.2±1.0** 2.8 0.72 0.61 7.4±0.6** 3.9 0.57 0.42 5.3±1.1** 1.9 0.70 0.50 7.5±0.8** 3.8 0.81 0.63 8.3±1.2** 4.6 0.54 0.34 外気(岐阜) 3.7±0.5 戸建 *pく0.05. Yo(岐) Wo(名) KⅠ(名) Yn(岐) YW(岐) 3.6±0.5 NⅠ(名) MG(名) Ao(名) 4.3±0.5** 5 3.5±0.5 6i 6i 6i 0.47 貞岳 四 iiiil (外気絶対湿度一室内絶対温度のt検定) **pく0.01 ( E- 7 _ど ii3 bLI }hD 6 哩 5 唄 衣 i 4 尾 州 a r 0.51 RC造 嘩 担 衣 i (g/kg') 0.86 戸建 ヽー 外気との関係 相関係数 回帰係数 -0.I 0.8 木造 _ど 内外絶 対湿度差 E 榊 3 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 10 2 3 4 5 6 7 8 9 10 外気絶対湿度(氏/kg') 外気絶対湿度(g/kg●) ′、 ′ 、 bJ) bL) .上亡 ..ゝ= i:ヨ bJ) }hD Eq 世 唄 衣 # 哩 唄 衣 # E 尾 側 州 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 外気絶対湿度(g/kg') 図5-6 1 2 3 4 5 6 7 8 外気絶対湿度(g/kg') 一般住宅の日平均の外気絶対湿度と室内絶対湿度との関係 -90- 9 10 5.3.5 絶対湿度の変動係数と外気温との関連 室内絶対湿度の変動の大きさは湿気容量の指標になると考えられる。そこで室内絶 対湿度の変動係数とその外気温との関連を検討した(表516、図5-7)。木造住宅は変 動係数と外気温との関連から3群に分けられた。その1はWo宅で、相関係数および 回帰係数がr=0.10、 a=0.19と小さく、外気温との関連がほとんどみられなかった。 その2はYn宅で、回帰係数がa=-1.92と大きく、外気温の低下に伴い、変動係数も 大きくなった。その3はNI、 YW、 KI、 Yo宅を含み、回帰係数はa=-0.52--0.89で、 前2者の中間的な値であった。 Ao、 RC造戸建でも回帰係数の大きいMR宅(a=-1.31)と小さいWn、 MGに分かれた (a=-0.52 --0.73)。特に暖房が不規則とみなされたMG宅では相関係数がr=-0. 18と 小さかった。 S造住宅ではOD宅の回帰係数がa=-1.28と大きかったが、その分布は他の2戸(a=0.39、 -0.77)の分布とほぼ重なり、大きな差異はないと推定された. RC造集合住宅では回帰係数の大きいST宅(a=-1.29)と、小さい3戸(a=-0.18 FJ、 --o.45)に分かれた。 NO宅では変動係数が8.5、 ll.0%とやや小さくST宅で 21.7%と大きいことが注目された。 以上の結果から、 Yn、 MR、 OD、 湿気容量が小さく、 Wo、 KI、 FJ、 NO宅では小さいことから湿気容量が大きいと推定さ れた。しかしWo、 An、 ST宅では絶対湿度の変動係数が大きいことから NO宅では相関係数が小さく、湿気容量を必ずしも反映していない 可能性が推察された。なお、外気温との回帰係数はWo宅を除いて負で、外気温の低 下に伴い室内絶対湿度の変動が増大した。その原因として、暖房に伴う室温の変動の 増大の影響(図5-5)が推察されるが、特に変動係数の大きいYn、 MR、 OD、 では後述(図5-9)のように換気頻度の高い可能性が推察されるので、室内絶対湿度 の変動には湿気容量に加え、換気の影響も大きいと考えられた。 -91-- An、 ST宅 表一5-6 一般住宅の室内絶対湿度の変動係数および外気温との関連 外気温との関係 室内推対湿度の 構造 種別 住宅 木造 戸建 RC造 戸建 変動係数 相関係数 (%) r a -0.89 Yo(岐) 14.6 Wo(名) ll.8 -0.59 0.10 KⅠ(名) Yn(岐) ll.6 -0.32 -0.62 26.1 -0.71 17.2 -1.92 yw(岐) -0.67 NⅠ(名) MG(名) 14.1 -0.41 -0.39 -0.52 13.1 13.6 -0.18 -0.52 -0.52 -0.73 15.8 24.4 -0.41 -0.75 -0.64 -1.31 20.0 20.9 -0.69 -0.46 -1.28 -0.77 16.6 8.5 -0.24 -0.23 -0.39 -0.25 21.7 -0.56 -1.29 -0.15 -0.18 -0.31 -0.45 Ao(名) Wn(名) MR(名) S造 戸建 OD(岐) An(名) MN(名) FcJ造 FJ(名) 集合 ST(名) NO(岐) YS(岐) 外気(名古屋) 外気(岐阜) ll.0 14.2 14.7 0.19 iiii 6i / 14.2 a S 25 南 側 20 6i a S 25 粛 鶴 20 e e 哩 15 唄 衣 # 10 哩 15 輿 衣 i 10 E g 榊 回帰係数 5 側 0 5 0 2 0 2 4 6 8 10 12 2 0 2 外気温(℃) 4 6 8 10 12 8 10 12 外気温(℃) 35 35 15i ち■■ヨ 芭30 ざ lコ-l # S 25 森 側 20 令 匹三15 嘆 衣 i 10 圧 倒 30 a 壁 南 側 令 慨 嘆 衣 # 尾 5 州 0 5 0 -2 図5-7 0 2 4 6 8 10 12 外気温(℃) -2 0 2 4 6 外気温(oC) 一般住宅の日平均の外気温と室内絶対湿度の変動係数との関係 -92- 5.3.6 一般住宅間の熟的性能の比較 以上の室温の日変動の検討結果から、住宅の熱容量や断熱性能などの熱的性能は室 温の変動係数の大きさによって評価できると考えられた。そこで各住宅の1-2月の 平均変動係数を求め、室内外気温差との関連を回帰分析により検討した(図5-8)。 その結果、両者に直線的な負の相関がみられ(r=-0.72)、 係数が小さく、木造住宅では、 Wo、 RC造集合住宅では変動 NI宅を除いて全体的に大きく、 RC造戸建住宅やs 造戸建住宅は両者の中間に位置したことから、この回帰直線は調査対象住宅の熱容量 の大きさを反映していると推定された。一方、 NI宅では気密・断熱性能が高いので、 変動係数がRC造集合住宅に近似したと推定された。 また回帰直線の上方に帝離したYo、 Yn宅は今回検討した住宅の平均よりも変動が 大きいことから断熱性能が低く、下方に離れて分布したFJ宅では熱容量に加え、断 熱性能が高いと考えられる。 Wo、 MG宅も下方に帝離し、断熱性能が高いとみなせるが、 この両住宅では上記したように暖房の使用頻度が極めて低いか、不規則であるので、 変動係数が小さくなったと推定された。すなわちこの回帰分析法による熱容量、断熱 性能の評価においては、住まい方も加味した解釈を要すると考えられた。 Cid >o 35 i≡■5i 30 # i 25 a 樹 20 e 増 15 尾 10 収 州 5 0 0 4 8 12 16 20 室内外気温差(oc) 図5-8 一般住宅の室内外気温差と室内気温の変動係数との関係 -93- 5.3.7 一般住宅間の気密・換気性能の比較 室内外の絶対湿度差は気密・換気性能および室内水蒸気の発生量などの指標になる と考えられる。そこで室内外の気温差と絶対湿度の内外差との関連を検討した結果、 両者に高い正の直線的な関係(r=o.82)が示された(図5-9)。すなわち気温が上昇す ると飽和水蒸気量が増大することから、室内絶対湿度には室温の影響が最も大きいと 推定された。 FJ、 YS宅は調査住宅全体の平均 An、 この回帰直線の上方に帝離して分布するAo、 と比較して、気密性能が高いか、あるいは何らかの方法による加湿があった可能性が、 反対に下方に分布するWn、 MR、 ST宅は気密性能が低いか、換気頻度の高い可能性が 推察される。前者のYS宅では室温に加え、加湿器の使用により室内絶対湿度が高くなっ たと考えられた.一方、後者のWn、 MR宅ではST宅と同様に換気を励行していたので、 絶対湿度が低くなったと推察された。 5 4 ( _ど 3 iZIGE iZq 棚 2 雌 唄 衣 1 巨岩 恵 尾 0 州 0 4 8 12 16 20 室内外気温差(oC) 図5-9 一般住宅の室内外気温差と室内外絶対湿度差との関係 -94- 5.3.8 一般住宅間の相対湿度の比較 上記の結果は室内絶対湿度に室温および気密性能に加えて、加湿や換気頻度も影響 している可能性を示唆した。この点を確認するために、室内外気温差と室内平均相対 湿度との関連を検討した(図5-10)。その結果、両者に有意ではないが、負の相関が みられ(r=-0.35、 P〉0.05)、 Ao、 An、 FJ、 MR、 YS宅は回帰直線の上方に、 Wn、 は下方に大きく帝離していることが注目された。 加湿や除湿がない場合、相対湿度は温度と逆比例的に変動するので、室温が約10℃ の木造住宅のKI、 Wo、 Yo、 平均室温が20℃以上のYS、 Yn宅では相対湿度が50-55%前後と高くなった。しかし NO宅の相対湿度も50%前後であり、両者に有意差は認め られなかった(P〉0.05)。またAo、 An、 FJ宅では室温が比較的高く、絶対湿度はYS、 NO宅よりも低いが、相対湿度は特異的に高く、加湿のあった可能性も推察された。 Wn、 ST宅では2ケ月間の平均相対湿度が40%前後と低かった。すなわ 一方、 MR、 ち外気絶対湿度が低い(約4g/kg')冬季に、暖房した室内に換気により外気を取り入 れると、室内相対湿度は極度に低下すると推定された。 芸50 5 童4 電 柵4 0 0 4 8 12 16 室内外気温差(oc) 図5-10 一般住宅の室内外気温差と室内相対湿度との関係 -95- 20 ST宅 5.3. 9 一般住宅間の絶対湿度の変動係数の比較 各住宅の室内絶対湿度の平均変動係数と室温の内外差との関連を検討した結果、回 帰直線はX軸にほぼ平行で(a=0.04、 r=0.03)、変動係数と室温の内外差に一定の傾 向はみられなかった(図5-ll)。この回帰直線の上方に分布した住宅は湿度変動が大 きいことから、湿気容量が小さく、下方に分布した住宅は変動が小さいことから、湿 気容量が大きいと推察される。しかし下方に分布した6宅(wo、 KI、 MG、 Ao、 FJ、 宅)のうちで、前4宅は内装が調湿性の高い土壁であったが、後2宅はビニルクロス であった。また上方に分布した5宅(Yn、 OD、 An、MR、 ST)のうちMR宅は土壁であり、 必ずしも湿気容量を反映していない可能性が示唆された。一方、図5-9で回帰直線の 上方に分布した住宅が図5-11では回帰直線の下方に分布し、その逆の分布も見られた。 すなわち両図を比較すると、気密・換気性能の高い住宅では絶対湿度の変動が小さく、 低い住宅では大きいことから、図5-11の住宅の分布は湿気容量よりも換気の程度を 示している可能性が高いと推察された。 以上の一般住宅の検討結果は、冬季の長期の温湿度測定データを用いて、室内外の 気温差を独立変数、室温の変動係数、絶対湿度の内外差および室内絶対湿度の変動係 数をそれぞれ従属変数とする回帰分析により、各住宅の温熱性能レベルが比較できる ことを示唆した。またその解釈には住まい方や建材なども考慮すべきであると考えら れた。そこで以下ではアトピー性皮膚炎患者宅の温湿度変動を検討し、一般住宅との 比較を行った。 l=i 25 oTSiO ヽ_.....′ a 20 壁 喜惑 鶴 15 e 哩 唄 10 衣 i 圧 5 倒 0 4 8 12 16 室内外気温差(oc) 20 図5-11一般住宅の室内外気温差と室内絶対湿度の変動係数との関係 -96- NO 5.4 アトピー性皮膚炎患者宅の測定結果と考察 5.4,1室温と外気温との関係 アトピー性皮膚炎患者宅の1 -2月の室温および外気温の日平均値との相関および 回帰係数を表5-7に、回帰直線を図5-12に示した。木造F宅の平均室温は12.2℃、 内外差は8.3℃と低く、 S造E宅の平均室温は14.9℃、内外差は10.4℃で、回帰係数 はそれぞれa=0.50、 0.42と大きかった.一方、 宅の平均室 C B、 RC造集合住宅のA、 温は18.7-20.3℃、内外差は13.9-16.2℃と大きく、回帰係数はa=0.09-0.22 と小さかった.すなわち一般住宅と同様に戸建住宅ではRC造集合住宅に比して室温 が低く、回帰係数は大きくなった。 室温の変動係数と外気温との関連 5.4.2 外気温と室温の変動係数との関連を図5-13に示した。戸建住宅のF、 E宅の変動係 数は共に18.1%と大きく、外気温の低下に伴い増大した(a=-1.40--1.01)。一方、 B、 RC造集合住宅のA、 C宅では変動係数が5.3%-8.4%と小さく、回帰係数もa=- 0.78--0.29と小さな値であった。以上より、戸建住宅の2戸では熱的性能が低く、 RC造集合住宅の3戸では高いと推察された。 患者宅の室内気温の平均値、変動係数、外気との関連 表5-7 室内気温 平均±S.D. (oc) 18.7±1.5** 構造 種別 住宅 A 変動係数 (%) 内外 気温差 (℃) 8.0 13.9 0.53 0.22 18.9±1.0** 5.3 14.3 0.28 0.09 C RC造集合 20.3±1.7** 8.4 16.2 0.37 0.14 S造戸建 木造戸建 外気 外気.x 14.9±2.7** 18.1 10.4 0.5了 0.42 12.2±2.3** 18.I 8.3 0.45 0.50 *pく0.05, 4.5±2.3 6i ⊆i ⊆i 6i 4.9±2.4 **pく0.01 / 6i a -0.68 -0.78 -0.23 -0.29 -0.32 -0.39 -0.54 -1.01 -0.44 -1.40 6i垣i I5 回柵係数 r ら F 相関係数 a r RC造集合 RC造集合 E※ 変動係数と外気温の関係 外気との関係 相関係数 回柵係数 Ei 6i 6i 6i I5 6i (外気温一室内気温のt検定) 24 22 70 20 !=■こ! 18 芭co ;; o9 ?.弓12 $50 慧40 e 璽10 榊 ?.!30 8 収 6 蒜20 4 10 2 0 -2 0 2 4 6 8 10 12 -2 外気温(oc) 図5-12 0 2 4 6 8 10 12 外気温(oc) 図5-13 患者宅の日平均の外気温と 患者宅の日平均の外気温と 室内気温の変動係数との関係 室内気温との関係 -97- 絶対湿度の室内外の関連 5.4.3 室内絶対湿度の日平均値およびその外気絶対湿度との相関および回帰係数を表5-8 に、外気絶対湿度との関連を図5-14に示した。室温の低かったF、 度はそれぞれ4.8g/kg', E宅の室内絶対湿 3.6g/kg'と低く、内外差は1.7g/kg'、 0.3g/kg'で、特に E宅では室内と外気の絶対湿度差が小さかった。回帰係数は両宅ともにa=0.73で、相 関係数はr=0.83-0.96と大きかった。 1-7.4g/ RC造集合の3戸の室内絶対湿度は6. kg'と高く、内外差は2.9-4.2g/kg'と大きく、回帰係数はa=0.48-0.67であった。 以上の結果より、戸建住宅では室内外差が小さく、 RC造集合住宅では大きいことか ら、前者は気密性が低く、後者は高いと推定された。特に床面積が小さく、室温の高 いA宅では絶対湿度の内外差が大きく、一方、主治医の勧めにより換気を励行してい たE宅では極めて小さいことが注目された。 5.4.4 絶対湿度の琴動係数と外気温との関連 F宅の 外気温と室内絶対湿度の変動係数の関連を図5-15に示した。戸建住宅のE、 変動係数はそれぞれ16.4%、 表5-8 14.4%、回帰係数はa=-0.48、 -0.42で、比較的類似し 患患者宅の室内絶対湿度の平均値、変動係数、外気との関連 至内絶対湿 平均±S.D. (g/kgー) 構造 種別 住宅 度 変動係数 (鶴) 内外絶対 湿度差 (氏/kg') r 7.4±0.8** 10.了 4.2 0.77 0.67 B 6.1±0.6** 10.4 2.9 0.50 0.54 C RC造集合 6.4±1.1** 16.7 3.3 0.63 0.48 3.6±0.6 16.4 0.3 0.96 0.73 4.8±0.7** 14.4 1.7 0.83 0.73 S造戸建 木造戸建 外気 外気.x E※ F 3.5±0.5 Ig 回帰係数 a r -0.34 0.03 -0.69 0.06 -0.39 -0.92 -0.27 -0.48 -0.17 ⊆i 6i 3.3±0.5 相関係数 a RC造*合 RC造JE合 A 変動係数と外気温の関係 外気との関係 相関係数 回帰係数 -0.42 曲 6i 一句 一岳 / l6i iii 6i5 (外気絶対湿度一室内絶対湿度のt検定) *pく0.05, **pく0.01 10 9 8 ( a S 了 甫 1糾 e _3<bD }hD 増 額 衣 臣当 雌 顔 衣 E3a E g 側 側 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 ー2 外気絶対湿度(g/kg') 図5-14 図5-15 患者宅の日平均の外気絶対湿度 0 2 4 6 8 10 患者宅の日平均の外気温と 室内絶対湿度の変動係数との関係 と室内絶対湿度との関係 -98- 12 外気温(oC) ていた。 RC造集合住宅のA、 B宅の変動係数は10.7、 10.4%と′トさかったが、 C宅で は16・7%と比較的大きかったo回帰係数はA、C宅ではaニーo.69、aニー0.92とやや大きく、 B宅では回帰係数、相関係数がa=o.o6、 r=0.03と極めて小さかった。 以上に得られた結果を基に、一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の温熱性能・環境 の比較を試みた。 5.5 一般住宅とアトピ-性皮膚炎患者宅の比較 5.5.1一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の熟的性能の比較 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の熱的性能を比較するために、両者の室温の変 動係数を併合して従属変数とし、室内外気温差との回帰分析を行った(図5-16)。 造集合住宅のB宅は回帰直線よりやや下方に帝離し、RC造集合のFJ宅と近似しており、 熱的性能が高いと推定されたが、他の4戸は回帰直線の近傍に分布し、一般住宅との 熱的性能の差異は小さいと推察された。 Eu 35 oTSiO i⊇■コ 30 # S 25 鯛 15 a 樹 20 e 収 E 榊1 10 5 0 4 8 12 16 20 室内外気温差(oc) 図5-16 一般住宅と患者宅の室内外気温差と室内気温の変動係数との関係 -99- RC 5.5.2 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の気密・換気性能の比較 室内外の絶対湿度差と気温差との関連を回帰分析により検討した(図5-17)。患者 YS宅と同様に回帰直線から上方に大きく帝離し、気密性能が A宅では一般住宅のFJ、 高く、かつ水蒸気の発生量も多いと推察された。一方、換気頻度の高い患者E宅は下 方に大きく帝離した。他の3戸は回帰直線の近傍に分布し、一般住宅との大きな差異 はみられなかった。 5 Ei- 4 .1bD iZ53E 3 iさ■i 州 側 2 唄 衣 1 臣∃ 舌 電 柵 0 0 4 8 12 16 20 室内外気温差(oc) 図5-17 5.5.3 一般住宅と患者宅の室内外気温差と室内絶対湿度差との関係 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の相対湿度の比較 室内平均相対湿度と室内外気温差との関連を検討した結果、患者A宅は回帰直線の 上方に、患者E宅では下方に大きく帝離する分布がみられた(図5-18)。患者A宅で は室温が比較的高く、絶対湿度に加えて相対湿度も高いことから、気密性が高く水蒸 気の発生量が多いと推察された。一方、患者E宅では冬季2ケ月間の平均相対湿度が 35%を下回り、換気を励行していたことにより、過乾燥状態になっていると推定され た。 5.5.4 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の絶対湿度の変動係数の比較 室内絶対湿度の平均変動係数と室内気温差との関連を検討した(図5-19)。 合住宅の患者A、 B宅では回帰直線より下方に分布し、気密性が高く、換気頻度の低 -100- RC造集 い可能性が推察された。他の3戸(C、 D、 E宅)は回帰直線近傍に分布し、一般住宅 との差異は小さいと推察された。ここで注目されるのは一般住宅のST、 住宅wnおよび患者E宅の相違である。 ST、 MR宅と一般 MR宅では換気頻度が高いので絶対湿度が 低く、その変動係数が大きいことから換気の影響も大きいと推定された。一方、 wn、 E宅でも換気頻度が高いので絶対湿度が低くなったが、その変動係数は回帰直線の近 傍に分布し、湿気容量は必ずしも小さくない可能性を示唆した。 貰50 毒45 圧 倒40 0 4 8 12 16 20 室内外気温差(oc) 図5-18 一般住宅と患者宅の室内外気温差と室内相対湿度との関係 25 ( >o iZq a i 20 粛 鶴 15 e 哩 唄 10 衣 臣当 E 榊 0 8 4 12 16 20 室内外気温差(oc) 図5-19 一般住宅と患者宅の室内外気温差と室内絶対湿度の変動係数との関係 -101- 5.6 総合考察 熱容量および断熱性能などの熱的性能は、各住宅の室温の変動係数の平均値と室内 外気温差との回帰分析により比較できることが示された。すなわち両者に高い負の相 関がみられ、回帰直線は熱容量を示し、直線から上方に大きく帝離している住宅は断 熱性能が低く、下方に帝離している住宅は断熱性能が高いと推定された。しかしWo、 MG宅などで示されたように、暖房頻度などの住まい方の影響も大きいと推察されるの で、室温の日変動から住まい方の特徴を把握することが重要である。 気密・換気性能は各住宅の絶対湿度の室内外差と気温の室内外差との回帰分析によ り比較できると考えられた。両者に高い正の相関がみられ(r=0.82)、その回帰直線 からの帝離の程度によって気密性能、水蒸気発生量の多寡、換気の程度などの推定が 可能であることが示された。特にAo、An、FJ宅では回帰直線から上方-大きく帝離し、 気密性能が高いと推察された。 長谷川・吉野4)は高気密・高断熱住宅における居住者および建材-の影響を検討し、 乾燥による喉の渇きおよび建材の歪みなどの悪影響を報告している。すなわち暖房に より室温が高くなると飽和水蒸気量が増大するので、建材や人体などからの蒸発量が 多くなり、室内空気の絶対湿度は高くなるが、乾燥による悪影響が出現すると推定さ れる。このような背景もあり、近年では加湿器の普及が著しく、 4ケ月乳児検診時の 調査によると70%以上の家庭で使用しているとの報告もある5)。また結露やカビなど の多発の一因として開放型暖房器具や加湿器の使用が一般的に指摘されているが、本 報ではそれらの使用と室内絶対湿度との関連は認められず、室内絶対湿度には室温の 影響が最も大きいと推定された。 Wn宅は回帰直線の下方に帝離し、絶対 一方、換気を励行していたST宅およびMR、 湿度の低下を示した。さらにこれらの住宅では室温から推定されるレベルよりも大き な相対湿度の低下がみられ、室内相対湿度に対する換気の影響の大きいことが示され た。 湿気容量を比較するために室内絶対湿度の変動係数と気温の室内外差との回帰分析 を行った結果、有意な相関はみられず、各住宅には特有の湿気容量が存在すると推定 された。しかし調湿性建材使用との関連が示されなかった住宅もあり、一方で換気頻 度の影響が大きいと推定される住宅もあったことから、湿気容量についてはさらに検 討を要する。 以上より、冬季に一定数の住宅を対象として長期(2ケ月間)に温湿度を測定し、 室内外の気温差、すなわち暖房の程度を基本とし(第一軸)、室温の変動係数、絶対 湿度の内外差、室内絶対湿度の変動係数をそれぞれ従属変数として回帰分析を行い、 その回帰直線(第二軸)からの帝離の程度(第三軸)を比較することにより各住宅の -102- 基本的な温熱性能および住まい方の特徴が比較できると考えられた。このような比較 法を三軸比較法と呼称したい。 アトピー性皮膚炎患者宅の温熱性能・環境を検討した結果、一般住宅と大きな差異 は認められなかったが、患者A宅では絶対湿度、相対湿度が特に高く、加湿があった と推定された。一方、主治医の勧めにより換気を励行していた患者E宅では室内外の 絶対湿度差が極めて小さく、相対湿度の顕著な低下がみられた。 アトピー性皮膚炎ではアレルギー性炎症に加え、皮膚のバリア機能障害によるアト ピー性乾燥皮膚(atopic dry skin)がみられ、室温の上昇や室内湿度の低下などに よる皮膚からの水分蒸発の克進は重要な悪化要因であると考えられている6)。患者E 宅では冬季2ケ月間の平均室温が約15℃と高く,相対湿度は約35%と低いことから、 その室内環境はアトピー性皮膚炎にとって好ましくない、さらには悪化要因となって いる可能性が高いと推察される。すなわち外気絶対湿度の低い冬季に暖房し、かつ換 気を励行すると、室内相対湿度は極度に低下するので、アトピー性皮膚炎の予防対策 上、注意を要すると考えられた。 5.7 小結 本章では、簡易、かつ総合的な住宅の温熱性能・環境の比較を目的として、健常者 の居住する一般住宅17戸の冬季2ケ月間の温湿度測定結果を検討し、その上でアト ピー性皮膚炎患者宅5戸との比較を行った。 1 )一般住宅の室温および室内絶対湿度の月平均値を検討した結果、冬季には住宅問 および外気との差が大きく、住宅の温熱性能・環境の比較に適していると推察さ れた。 2)熱容量および断熱性能などの熱的性能は室温の変動係数と室内外気温差との回帰 分析により比較できることが示された。回帰直線は熱容量を示し、直線から上方 に帝離している住宅は断熱性能が低く、下方に蔀離している住宅は高いと推定さ れた。ただし、室温の日変動から住まい方の特徴を把握した上での解釈を要する。 3)気密・換気性能は絶対湿度の室内外差と気温の室内外差との回帰分析により比較 できることが示された。回帰直線からの帝離程度により、気密性能、水蒸気発生 量の多寡、換気の頻度などの推定が可能であった。 4)室内絶対湿度に開放型暖房器具、加湿器の使用との関連は認められず、室温の影 響が最も大きいと推定された。 5)室内相対湿度には室温の影響が大きいが、換気頻度の高い住宅では相対湿度の大 きな低下がみられた。 -103- 6 )アトピー性皮膚炎患者宅の温熱性能・環境に一般住宅と大きな差異はみられなかっ たが、換気を励行していた1戸の室内湿度は極めて低く、皮膚炎の悪化要因となっ ている可能性が高いと推察された。 -104- 参考文献 1)梅干野晃:室内気候と快適性,住まいと環境学,放送大学教育振興会, 2)坂口淳,赤林伸一,山口- :新潟市に建設された住宅における室内温熱環境とエネルギー 全電化・高気密・高断熱住宅を対象として,日本建築学会計画 消費量に関する実測調査 系論文集, No.543, 1990 pp.130-143, pp.33-39, 2001.5 3)西村仁,池田真樹,藤村知春,垂水弘夫:北陸の次世代省エネルギー基準全電化住宅を対 象とした温熱環境と暖冷房用エネルギー消費に関する実態調査,日本建築学会環境系論文 集, No.582, pp.37-44, 2004.8 4)長谷川兼-,吉野博:高断熱高気密住宅における居住者の乾燥感に関する冬期調査,日本 建築学会計画系論文集, 509, pp.91-96, 1998.7 5)藤井理史,山上温子,水上貴夫,須藤千春,水谷章夫:乳幼児の生活住環境実態調査特に アトピー性皮膚との関連,日本建築学会東海支部研究報告集, 39, pp.525-528, 6)石川治:ドライスキンによる皮膚バリア障害.アトピー性皮膚炎-コンセンサスアップデ イト(宮地良樹,永倉俊和編), pp.3-12,メヂカルレビュー社, -105- 2000 2001.2 第6章 -107- 結論 6.1総括 本研究では、室内温熱環境とアトピー性皮膚炎の発症・悪化との関連を明らかにす るために、まず一般住宅におけるダニ類の生息状況の実態把握を行い、さらに室内温 湿度環境とダニ類の生息状況との関連について、チリダニ類の湿度要求性を踏まえて 検討したo また室内環境と関わる各種疾患に関する疫学調査での活用も視野に入れ、 住まい方を加味した住宅の温熱性能評価法の開発を行った。その結果に基づき、一般 住宅とアトピー性皮膚炎宅の温熱性能・環境の比較を行い、室内温熱環境とアトピー 性皮膚炎の病態生理学的特徴との関連から悪化要因を検討した。ここに、本研究によ り得られた知見をまとめ、総括とする。 第1章では、アトピー性皮膚炎および室内環境の実態や評価法に関する先行研究と 本研究とを関連づけながら、研究背景と目的および研究意義を明確にした。 第2章では、アトピー性皮膚炎の主要アレルゲン産生者である室内塵性ダニ類の生 息状況の実態把握のため、健常者の居住する高層集合住宅2棟を対象として階層別の 室内塵性ダニ類の分布および室内温湿度との関連を検討した。高層階では湿度要求性 の高いヤケヒョウヒダニや非チリダニ類の減少傾向が見られ、湿度要求性の低いコナ ヒョウヒダニの分布は階層にあまり影響されないことが示された。この理由として、 高層階では風力換気が強まることで室内湿度が低下したことが推察された。従来の一 般家庭で検出されるコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの比は約1 ていたが、本研究では全住戸の平均として約5: 1と報告され : 1となり、湿度要求性の高いヤケヒョ ウヒダニの減少が注目された。 第3章では、アトピー性皮膚炎などの室内環境と関わりある疾患の疫学調査での活 用を視野に、室内温湿度変動に基づいた住宅の温熱性能評価法の開発を試みた。名古 屋市内の一般住宅における1年間に亙る温湿度の測定結果をもとに、 8月、 住戸の温湿度変動を分析した。その結果、壁体の断熱性能、熱容量は温度変動の解析 により、また、気密性能、調湿性能、冷房の効果は湿度変動の解析により、それぞれ 簡便に評価できると推察した。また人体の皮膚や粘膜からの水分喪失がアトピー性皮 膚炎や脱水症などの発症・悪化と関連していることから、人間の健康の観点からも、 温度変動と同時に湿度変動も調査解析することの重要性を示した。 第4章では、冷房の室内温熱環境に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、健常者 の居住する一般住宅17戸(2戸は冷房不使用)の夏季の温湿度測定結果を解析し、その -109- 1月の各 結果を踏まえてアトピー性皮膚炎患者宅6戸の検討を行い、以下の知見を得た。 1)日平均室温が日平均外気温よりも有意に低い住宅は、一般住宅で3戸、患者宅で1 戸のみであった。 2)室内気温と外気温との関連を検討した結果、外気温よりも室温の高い住宅が多く、 気温のみによる冷房効果の把握、評価には限界があると推定された。 3・)絶対湿度の室内外の関連を検討し、冷房の使用頻度と湿度の低下に高い関連を認め、 絶対湿度の内外差は冷房効果の有用な指標になると考えられた。 4)気温の室内外差と絶対湿度の室内外差の日平均値の分布パターンから、調査住宅は 構造に拘わらず5タイプに分類された。 5)各住宅の絶対湿度の内外差を基準に気温の内外差を検討した結果、冷房の効果はま ず絶対湿度の低下として現れ、冷房の強化により室温が低下すると推定された。そ の一因として住宅のもつ湿気容量と熱容量の差違が推察された。 6)アトピー性皮膚炎患者宅についても一般住宅と同様に検討し、 2戸では冷房を強化し ながらも、室温の低下を避けている可能性が高いと推定された。その背景にはアト ピー性皮膚炎の病態生理学的な異常が存在していると推察された 第5章では、簡易、かつ総合的な住宅の温熱性能・環境の比較を目的として、健常 者の居住する一般住宅17戸の冬季2ケ月間の温湿度測定結果を検討し、その上でア トピー性皮膚炎患者宅5戸との比較を行い、以下知見を得た。 1 )一般住宅の室温および室内絶対湿度の月平均値を検討した結果、冬季には住宅問 および外気との差が大きく、住宅の温熱性能・環境の比較に適していると推察さ れた。 2)熱容量および断熱性能などの熱的性能は室温の変動係数と室内外気温差との回帰 分析により比較できることが示された。回帰直線は熱容量を示し、直線から上方 に帝離している住宅は断熱性能が低く、下方に帝離している住宅は高いと推定さ れた。ただし、室温の日変動から住まい方の特徴を把握した上での解釈を要する。 3)気密・換気性能は絶対湿度の室内外差と気温の室内外差との回帰分析により比較 できることが示された。回帰直線からの帝離程度により、気密性能、水蒸気発生 量の多寡、換気の頻度などの推定が可能であった。 4)室内絶対湿度に開放型暖房器具、加湿器の使用との関連は認められず、室温の影 響が最も大きいと推定された。 5)室内相対湿度には室温の影響が大きいが、換気頻度の高い住宅では相対湿度の大 きな低下がみられた。 6)アトピー性皮膚炎患者宅の温熱性能・環境に一般住宅と大きな差異はみられなかっ 1110- たが、換気を励行していた1戸の室内湿度は極めて低く、皮膚炎の悪化要因となっ ている可能性が高いと推察された。 6.2 今後の課題と展望 本研究では、室内温熱環境とアトピー性皮膚炎の悪化要因との関連を検討するため に、主要アレルゲン産生者であるダニ類の生息状況と室内温湿度との関連については、 生物学的な特徴を踏まえて検討した。また、アトピー性皮膚炎患者宅の室内温湿度環 境とアトピー性皮膚炎の悪化要因との関連については、病態生理学的な特徴を交えて 検討した。すなわち、発症・悪化対策に資するためには、建築学に加えて生物学、病 理学など多岐の学問領域にわたる検討が必要であり、未だ多くの課題が残されている。 以下、本研究で得られた結論を踏まえ、今後の課題と展望を述べる。 1)本研究で調査したアトピー性皮膚炎患者宅は夏季で6戸、冬季で5戸と少なく、 調査対象住戸を増やして、得られた知見をさらに検証する必要がある。 2)開発した室内環境の簡易評価法では、温湿度の計測のみで簡単であり、居住者の負担は小さい。そのため、アトピー性皮膚炎に限らず、室内環境と関わる各種 疾患の疫学調査での活用も期待される。今後は疾患の発症・悪化メカニズムと温 湿度環境との関連を検証し、医師による患者の生活指導など、疾患の悪化・予防 対策に活用できるよう、簡易評価法のソフトウェア化を進めたい。 3)本研究では室内環境の乾燥によるアトピー性皮膚炎-の悪影響を推察した。この 結果に基づけば、居住空間の乾燥を防止する建築的手法の考案が急務であるが、 具体的な手法については打ち出せていない。アトピー性皮膚炎のみならず、室内 環境と関わりのある各種疾患の発症・悪化対策に資するモデル住宅を考案、建設 し、その効果については建築学に加えて、医学的な見地からの検証も行う。また、 一般的に、疾患対策として室内湿度の低下が推奨されているため、建築内におい て過度な乾燥を防止することの重要性についても、患者や建築技術者などに対し て啓蒙を行いたい。 -111- 発表論文 -113- 発表論文一覧 審査論文 1)青木哲,水谷章夫,須藤千春:高層集合住宅における階層の室内塵性ダニ類の分布に及ぼ す影響,日本生気象学会雑誌, vol.35, No.4, 1998 pp.133-144, 2)青木哲,水谷章夫,須藤千春:室内気候の実態および居住空間の温熱性能評価日本生気象 学会雑誌, vol.38, No.3, pp.13-30, 2001 3)青木哲,須藤千春,水谷章夫,大津徹夫:室内温湿度からみた冷房の効果に関する研究 No.605, 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の比較,日本建築学会環境系論文集, 62, pp.55- 2006.7 4)青木哲,須藤千春,水谷章夫,大津徹夫:冬季の室内温湿度変動からみた温熱性能・環 境 一般住宅とアトピー性皮膚炎患者宅の比較,日本建築学会環境系論文集, No.637, 2009.3 vol.74, (印刷中) 発表論文 1)青木哲,水谷章夫:高層集合住宅における階層のダニ類生息分布に及ぼす影響,日本建築 学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, pp. 347-348, 1998 2)青木哲,水谷章夫,須藤千春:家屋構造が室内温湿度およびダニ相に及ぼす影響,日本建 築学会東海支部研究報告集, vol.37, pp.513-516, 1999 3)青木哲,水谷章夫,大津徹夫:都市・室内の温湿度変動とダニ相,日本建築学会大会学術 講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, pp.317-318, 1999 4)水谷美樹,大津徹夫,角舎輝典,青木哲:温湿度環境が与える人体皮膚水分量-の影響に 関する研免Journal of Ecotechnology Research, No.2, vol.5, pp.2001201, 1999 5)青木哲,大津徹夫,水谷章夫,藤井理史,須藤千春:名古屋における気候変化に及ぼす都 市化の影響,日本建築学会東海支部研究報告集, vol. 38, pp. 377-380, 2000 6)青木哲,大津徹夫,水谷章夫,中川由紀子,須藤千春:住宅構造・設備機器および住まい 方とダニ相との相互関連,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会論文集, pp.9-12, 2000 -115- vol. 1, 7)水谷美樹,大津徹夫,角舎輝典,青木哲,須藤千春:室内温湿度が人体皮膚水分率に及ぼ す影響,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会論文集, vol. 1, pp.57-58, 2000 8)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,藤井理史:名古屋における都市気候の変化および都市化と 乾燥化との関連,日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, pp.357-358, 2000 9)青木哲,大津徹夫,水谷章夫,藤井理史,利守洋祐,須藤千春,大場和生,深谷元継:都市気候, 室内気候,室内塵性ダニ類およびアトピー性疾患における関連性の検討Ⅰ.名古屋地方 の都市気候の実態とその形成過程,日本生気象学会雑誌, γol.37, No.3, pp.39, 2000 10)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,須藤千春:住宅構造および住まい方と室内温湿度環境との 関連,日本建築学会東海支部研究報告集, vol.39, pp.509-512, 2001 ll)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,須藤千春:各種住宅の室内温湿度環境の実態調査 一名古屋・ 岐阜地区の計21戸を対象とした年間温湿度測定-,空気調和・衛生工学会中部支部学術 研究発表会論文集, vol.2, pp.13-16, 2001 12)青木哲,水谷章夫,大津徹夫:名古屋・岐阜における各種住宅の室内温湿度環境の実態調査, 日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, 2001 pp.315-316, 13)青木軌水谷章夫,須藤千春:温湿度変動からみた居住空間の温熱性能の比較,日本生気 象学会雑誌, Vol.38, No.2, pp.25, 2001 14)林応州,青木哲,大津徹夫:室内温湿度と皮膚水分含有および皮膚温との関係, of Ecotechnology Research, γol.7, No.2, pp.242-243, Journal 2001 15)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,須藤千春:室内温湿度環境の実態調査から見た住宅の温熱 性能の評価,日本建築学会東海支部研究報告集, vol.40, 2002 pp.429-432, 16)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,須藤千春:一般住宅およびアトピー性皮膚炎患者宅の温湿 度変動 一夏期における冷房の効果について-,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究 2002 発表会論文集, vol.3, pp.19-22, 17)青木哲,水谷章夫,須藤千春,大津徹夫:健常者およびアトピー性皮膚炎患者宅の冷房期 の温湿度変動比較,日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, pp. 349-350, 18)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,須藤千春,矢田史織:健常者宅およびアレルギー患者宅 の室内温湿度変動の比較-夏季における実態調査-,日本建築学会東海支部研究報告集, Vol.41, pp.493-496, 2003 -116- 2002 19)青木哲,水谷章夫,大津徹夫,須藤千春,矢田史織:夏期におけるアトピー性皮膚炎 患者宅の温熱環境調節,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会論文集, 137-140, pp. Vol.4, 2003 20)林応州,青木哲,大津徹夫,水谷章夫:異なる湿度環境下における皮膚水分に関する基 礎的研究,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会論文集, vol.4, pp.140-143, 2003 21)青木哲,水谷章夫,大揮徹夫:夏期におけるアレルギー患者宅の温熱環境の解机 築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, 日本建 2003 pp.443-444, 22)林応州,水谷章夫,青木哲,大洋徹夫:異なる湿度環境下における皮膚水分に関する基礎 的研究,日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, 2003 pp.44卜443, 23)林応州,青木哲,大津徹夫,水谷章夫:室内温度変動と皮膚水分含有および皮膚温との関係, Journal Ecotechnology of Research, Vol.9, No. 1, 2003 pp.29-34, 24)野々村恵,青木哲,大津徹夫:乳幼児アレルギーと室内環境との関係についての研究, Journal Ecotechnology of Research, Vol.9, No.3, 190-191, pp. 2003 25)青木哲,水谷章夫,上坂-譲,須藤千春,大津徹夫:アレルギー患者宅と健常者宅との温 熱環境の比較 会論文集, 一冬季における実態調査-,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表 vol.5, 2004 pp.39-41, 26)嵯峨崎千尋,青木哲,角舎輝典,大津徹夫:幼児アレルギーと室内環境との関係について の研究一冬季における幼児が過ごす建物の室内温湿度環境-, Research, Vol.10, No.4, Jounal of Ecotechnology 2004 pp.294-295, 27)野々村恵,青木哲,水谷章夫,大津徹夫:乳幼児アレルギー疾患と室内環境との関係につ いての研究-アンケート調査による室内環境および住まい方の実態把握-,日本建築学会 東海支部研究報告集, vol.43, 2005 pp.481-484, 28)嵯峨崎千尋,青木哲,水谷章夫,大津徹夫:幼児が居住する住宅の室内温湿度環境の実態 把握-アレルギーの有無及び夏期の地域差による住まい方の差異-,空気調和・衛生工学 会中部支部学術研究発表会論文集, Vol.6, pp.63-66, 2005 29)青木哲,水谷章夫,須藤千春:各種疾患の発症状況と気象要素との関係 一名古屋にお ける暖候期に多発する疾患について-,日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, pp. 457-468, 2005 ー117- 30)嵯峨崎千尋,青木哲,水谷章夫,大津徹夫:幼児が居住する住宅の室内温湿度環境の実態 把握夏期の地域差による住まい方の差異,日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学 ⅠⅠ, pp.455-456, 2005 31)青木哲,須藤千春,水谷章夫,大津徹夫:室内温湿度環境とアトピー性皮膚炎,日本建築 2005.ll pp.69-72, .学会環境工学委員会第35回熱シンポジウム, 32)嵯峨崎千尋,青木哲,水谷章夫,須藤千春,大津徹夫:乳幼児が居住する住宅の室内温湿 度環境の実態把握 究報告集, 一冷房使用及びアレルギーの有無の影響-,日本建築学会東海支部研 vol.44, 2006 pp.349-352, 33)円山樹,青木哲,角舎輝典,大津徹夫,水谷章夫:寺院の冬季行事中における室内環境 の実態把握,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会論文集, vol.7, pp.45-48, 2006 34)嵯峨崎千尋,青木哲,水谷章夫,須藤千春,大津徹夫:乳幼児の居住する住宅における夏 季温湿度環境の実態把握 住宅構造、冷房使用、地域差およびアレルギーの有無による影 響,日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, 2006 pp.375-376, 35)佐藤涼平,青木哲,水谷章夫,大津徹夫:岐阜市近郊における幼稚園の冬季室内環境の実 測調査一幼稚園教諭の意識との関わり-,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会 論文集, vol.8, pp.69-72, 2007 36)野瀬暁則,大津徹夫,青木哲:各種木材木口面の吸湿性能に関する実験的研究,空気調和・ 衛生工学会中部支部学術研究発表会論文集, vol.8, pp.6卜64, 2007 37)円山樹,青木哲,大津徹夫,水谷章夫:寺院の冬季行事時における室内環境の実態把握, 日本建築学会大会学術講演梗概集,環境工学ⅠⅠ, pp.877-878, 2007 38)青木哲,水谷章夫,大津徹夫:名古屋市と岐阜県郡上市における幼児期のアレルギーの実 態と生活環境との関係,日本生気象学会雑誌, Vol.44, No.3, pp.S85, 2007 39)高橋広弥,青木哲,水谷章夫,大津徹夫:幼児の居住する住宅の室内環境と健康に関する 研究一岐阜地域におけるアンケート調査および夏季実測調査による検討-,空気調和・衛 生工学会中部支部学術研究発表会論文集, γol.9, pp.45-48, 2008 40)堀翼,青木哲,水谷章夫,須藤千春,大津徹夫:室内温湿度変動による冷房使用状況の把 握に関する研究一絶対湿度変動パターンによる予測-,空気調和・衛生工学会中部支部学 術研究発表会論文集, vol.9, pp.6卜64, 2008 -118- 41)森本尚揮,青木哲,水谷章夫,大津徹夫,佐藤涼平:幼稚園の室内環境と教諭の環境調整 意識との関係一岐阜市近郊における夏季の実態調査-,空気調和・衛生工学会中部支部学 術研究発表会論文集, γol.9, pp.65-69, 2008 42)高橋広弥,青木哲:幼児の居住する住宅の室内環境と健康に関する研究一岐阜地域にお けるアンケート調査および夏季実測調査による検討-,こども環境研究, pp.121, vol.4, 2008 43)森本尚揮,青木哲:幼稚園の室内環境と教諭の環境調整行為および意識との関係一岐阜地 区の幼稚園における実態調査-,こども環境研究, -119- vol.4, No.1, pp.122, 2008 No.1, 謝 -121- 辞 謝 辞 本論文は名古屋工業大学大学院工学研究科博士前期課程在学中の1997年から1999 年までの2年間、そして岐阜工業高等専門学校着任以降の1999年から2008年までの 9年間、計11年間の研究成果をまとめたものです。 研究開始当初より大変長期にわたり研究全般に関してご指導を頂きました、名古屋 工業大学水谷章夫教授に深甚なる謝意を表します。また、論文の作成および生物学・ 医学的な見地について終始懇切なるご指導とご助言を頂きました中部大学須藤千春教 授に心より謝意を表します。 名古屋工業大学宮野秋彦名誉教授、岐阜工業高等専門学校大津徹夫名誉教授には、 研究姿勢や建築環境工学全般にわたるご助言を頂きましたo 記して心より謝意を表し ます。 また、本研究を遂行するにあたりご協力頂きました調査対象住宅の居住者の皆様、 並びに貴重な調査データをご提供頂きましたアトピー環境研究会・名古屋の皆様には、 厚く御礼申し上げます。 名古屋工業大学水谷研究室の大学院生および卒業研究生、岐阜工業高等専門学校の 筆者の研究室所属の専攻科生および本科生には、研究遂行にあたりご協力を頂き、心 より御礼申し上げます。また、筆者は岐阜工業高等専門学校に在職しながら、論文博 士として本論文をまとめました。多忙なる校務の中、ご協力・ご尽力頂いた岐阜工業 高等専門学校の関係者の皆様には、深く御礼申し上げます。 最後に、本論文をまとめることができたのは、妻の応援と理解、そして遊びたい盛 りの3歳、 1歳の子供達の我慢があったからこそです。深く感謝致します。また、応 援し続けてくれた両親に、心より感謝の意を表し、本研究の結びと致します。 -123-
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