日本語版読者向けの解説 「欧州における教育訓練の基本制度と最近の政策見直し動向 - 職業教育訓練を中心に -」 職業能力開発総合大学校 岩田克彦 はじめに 本書は、CEDEFOP(欧州職業訓練開発センター)が 2008 年に発行した『欧州教育・ 訓練政策関連用語集-重要用語 100 選』(”Terminology of European education and training policy -A selection of 100 key terms” ) (http://www.cedefop.europa.eu/EN/Files/4064_en.pdf)の日本語版である。 職業能力開発総合大学校(職業大)は、EU 公文書刊行局から本書翻訳出版の許可を 得、このたび職業大HPに公開することとした。 「欧州版はじめに」によると、 「本用語 集は、教育・訓練関連政策で多用される用語の解説を 6 カ国語(英・スペイン・独・仏・ 伊・ポルトガル)で収録したものであり、研究者向けに、またさらに広く教育・訓練関 連政策に関与する人々を対象として作成されたものである。特に、欧州における現行の 教育・訓練関連政策を理解するために不可欠な重要用語を選び抜いたものである」。 21 世紀に入り、EU のイニシアティブの下、欧州諸国は、教育・訓練政策の広汎な改 革を進めている。日本においても、経済危機に対応した効果的な職業訓練の実施はもと より、教育・訓練の相互乗り入れの推進、資格制度の整備等による生涯学習のサポート、 教育・訓練と労働市場とのリンクの本格強化等が重要課題となっており、欧州の教育・ 訓練政策から積極的に学ぶべきことが大変多いと思われる。欧州委員会や CEDEFOP(欧州職業訓練開発センター)をはじめ、欧州各国政府・大学・研究機関から、 近年多くの基本文献が発行されているが、こうした基本文献を読み解くにあたり、本用 語集は、大変貴重なガイダンス・ブックとなるであろうと考え、今回日本語版作成にチ ャレンジした。しかしながら、欧州と日本の教育・訓練制度等はかなり異なる。利用者 の方々に本用語集をより活用して頂けるよう、ここでは、欧州における教育訓練の基本 制度と最近の政策見直し動向について、VET(職業教育訓練)を中心に説明するととも に、CEDEFOP(欧州職業訓練開発センター)、本用語集の活用方法について、基礎的 な解説を行う。 1.欧州の教育訓練制度 欧州においては、通常、前期中等教育(日本の中学校に相当する)までは職業教育コ ースは設置されておらず、後期中等教育(日本の高等学校に相当する)で、一般教育ル ートと職業教育ルートが並立される国が多い。また、職業教育と職業訓練は、現在一体 的に議論されるが、IVET(Initial Vocational Education and Training : 初期職業教育 1 訓練)と CVET(Continuing Vocational Education and Training : 継続職業教育訓練) とは通常明確に分かれている。IVET は、一般に就学年齢の青年を対象とし、学校教育 の範疇ないしその延長線上で、通常は職業生活に入る前に行われ、概ね、教育行政が担 当している。他方、CVET は、IVET の後に、または職業生活に入った後に行われる教 育・訓練で、離職者訓練、技能向上訓練等である。企業や国・自治体だけでなく多様な 機関が訓練を供給しているが、監督官庁は、多くの国で、労働行政が担当している。 図1 欧州のIVET(新規教育・訓練):概念図 年 齢 ( 雇 用、 自営) 大学学部 卒後課程 学 士 レ ベル ( 高 等教育 第 1 期) 後期中等 教育: 普通教育 ルート 準 学 士 レ ベル( 短期 高 等 教 育) 後期中等 教育: 職業 ルート 見習い 訓 練 制度 特 別プ ロ グラ ム( 退学、失業、 非 労 働 力化 の 防 止) ( 中 学校レベル) (資料出所)CEDEFOP“Initial vocational education and training (IVET) in Europe -Review”(2008) 図 1 に、欧州における初期教育・訓練(Initial Education and Training)を掲げた が、その内の職業教育訓練に関する各国制度は、次のようになっている。英国では、継 続教育カレッジが後期中等教育(職業ルート)と準学士レベルにまたがり、高等教育カ レッジと大学に学士レベルの職業教育を行う教育機関がある。フランスでは、職業リセ とその上の「職業バカロレア取得課程」が後期中等教育(職業ルート)に、技術短期大 学部、リセ付設の中級技術者養成課程、各種専門学校が準学士レベルに相当し、見習い 訓練生養成センターが両者にまたがる。また、ドイツでは、後期中等教育(職業ルート) に相当する多くのコース(職業学校、職業専門学校、職業上級学校、上級専門学校等) がある。なお、職業教育訓練が職場と訓練センターないし学校とに分かれた学習計画に より行われる徒弟制度(Apprenticeship: デュアルシステム)は、ドイツ、オースト リア、スイス、デンマーク等で構造化されたものであるが、近年はイギリス、フランス、 オランダ等でも、政府の助成と奨励により急速に導入が進んでいる。 CVET(継続職業教育訓練)は、公式教育・訓練システムとそれ以外に分かれ、通常 多数の機関により大変多様な形態で提供されている。 2 【用語集関連項目】 項目 7(apprenticeship: 見習い訓練制度)、項目 19(continuing education and training : 継続的教育・訓練)、項目 35(first stage of tertiary education : 高等教育 の第一段階)、項目 43(initial education and training : 初期教育・訓練)、項目 59(lower secondary education : 前期中等教育)、項目 96(upper secondary education : 後期中 等教育)、項目 100(Vocational education and training 2.最近の EU 教育・訓練政策の動向 : 職業教育訓練) -戦略的取組み EU(欧州連合)と欧州諸国は、近年、教育と訓練に力を入れているが、全体的な経済・ 社会戦略の下、教育・訓練政策を統合した「教育・訓練ワークプログラム」を策定し(そ れぞれ 10 年単位で策定し、EU 加盟国はこれに対応した各国プログラムを策定、それ ぞれ定期的に見直すことになっている。) 、その中で、学校教育、職業教育訓練(VET : Vocational Education and Training)、高等教育、成人教育の見直しを進めている。特 に、職業教育訓練、高等教育については、コペンハーゲン・プロセス、ボローニャ・プ ロセスと呼ばれる政策調整方式が取られている。 すなわち、2000 年 3 月のリスボン・サミット(年数回、各国首脳が一堂に会する欧 州サミットが開催されている。)で、 「より多くより良い雇用とより強い社会的きずなを 伴う持続可能な経済成長を可能とする世界で最も競争力のあるダイナミックな知識基 盤経済を 2010 年までに実現する」との経済・社会戦略(「リスボン戦略」)1が打ち出さ れた。これを受け、2002 年のバルセロナ欧州サミットで、生涯を通じ質の高い教育・ 訓練へ容易にアクセスできるようロードマップ(工程表)として、「生涯学習」を基本 原則とした「教育・訓練 2010 ワークプログラム」(ET2010)2が設定された。この下 で、職業教育訓練分野では「コペンハーゲン・プロセス」3、高等教育分野では「ボロ ーニャ・プロセス」4と呼ばれる開放型政策調整方式が進行している。EU 経済・社会戦 1(http://www.consilium.europa.eu/ueDocs/cms_Data/docs/pressData/en/ec/00100-r1.en0.htm) 。なお、 「リスボン戦略」は、2005 年 2 月、 全体指針と各国行動計画との調整プロセスの簡易化を含む「新リス ボン戦略」に衣替えした。 (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2005:0024:FIN:EN:PDF) 2 (http://www.esib.org/documents/external_documents/0202_EC-council_detailed-work-program.pdf) 3 職業教育訓練(VET)領域につき、2002 年のコペンハーゲン宣言(①ヨーロッパ次元の強化、②透明性、 情報、ガイダンス制度の改善、③能力(コンピテンス)・資格の承認、④教育・訓練の質保証の推進) (http://ec.europa.eu/education/pdf/doc125_en.pdf)を実現していく過程をいい、コペンハーゲン会議以 降、2 年ごとに開催される欧州各国職業教育訓練担当大臣会議で点検、見直しが行われている。直近の会 議は 2010 年 12 月にベルギーのブルージュで開催され、2011 年から 2020 年までの 10 年間の取組みを列 記している。 4 どこの大学で学んでも共通の学位・資格が得られる「ヨーロッパ高等教育領域」の構築を目指す 1999 年 のボローニャ宣言 (http://www.ond.vlaanderen.be/hogeronderwijs/bologna/documents/MDC/BOLOGNA_DECLARATION 3 略は、2005 年には、教育と訓練を中心に据えた、2010 年までの新リスボン戦略となり、 2010 年以降は 2020 年までの新経済・社会戦略「欧州 2020」となった。 「ET2010」も 「ET2020」に変わった(図2参照)。 図 2 EUの経済・社会戦略と教育・訓練政策改善プロセス 【EU 経済・社会戦略】 「リスボン戦略」 (2000 年) →「欧州 2020」(2010 年)(賢く、持続可能で、包括的な成長) 経済政策・雇用政策統合ガイドライン(2010 年) 「教育訓練 2010 ワークプログラム」 (ET2010) →「教育訓練 2020 ワークプログラム」(ET2020)(2009 年)(注) (注)「生涯学習行動統合プログラム」 (2007-2013 年)5が展開中である。 1.pdf)を実現していく過程を言い、EU を超えた、ロシアを含む「欧州」46 カ国が参加し、2 年ごとに、高 等教育大臣会議が開催されている。同宣言は、①理解しやすく比較可能な学位システムの確立、②2 サイ クルの大学構造(学部/大学院)の構築、③単位互換性(ECTS)の導入、④欧州レベルでの質保証等から なる。2 年ごとに、高等教育大臣会議が開催されている。2005 年のベルゲン・コミュニケで,3つのレベル からなる EHEA フレームワーク(欧州高等教育領域での資格枠組み)が採択された。2010 年 3 月のブタ ペスト・ウィーン会議で、 「ヨーロッパ高等教育領域」の構築が正式に宣言されたが、今後とも2年ごとに 高等教育担当大臣会議を開催して政策の点検・見直しを続けることとなった。 5 以下の4つの下位プログラムを通じ多様な実務プロジェクトを支援している。①学校教育の「コメニウ ス・プログラム」、②高等教育の「エラスムス・プログラム」、③職業教育訓練の「レオナルド・ダ・ヴィ ンチ・プログラム」、④成人教育の「グルントヴィ・プログラム」。 4 新経済・社会戦略については、2010 年 3 月、欧州理事会は、2020 年までの新経済・ 社会戦略「欧州 2020:賢く持続可能で包括的な成長」 (Europe 2020 : A New Strategy for Smart, Sustainable and Inclusive Growth)6を採択した。この「欧州 2020」は、 世界的金融危機の影響を受け、リスボン戦略の野心的性格から堅実性を重視したものに なっているが、教育・訓練は引き続き重要課題となっている。なお、5つの「ヘッドラ イン(見出し)目標」の一つが「教育」目標で、2020 年までに、①教育からの中退者 (18-24 歳)比率を 10%未満に、②30-34 歳層での高等教育履修者割合を 40%以上 にすることを掲げている。 教育・訓練プログラムについては、欧州理事会は、2009 年 5 月に、「ET2010」を引 き 継 ぐ プ ロ グ ラ ム 、「 欧 州 教 育 ・ 訓 練 協 力 戦 略 枠 組 み ,”Strategic framework for European cooperation in education and training(„ET2020‟)」7を採択した。 「ET2010」 同様、 「ET2020」でも、生涯学習の実施が基本目標とされ、以下の4つの戦略目標を掲 げている。 【戦略目標1】生涯学習(lifelong learning)8と社会移動可能性(mobility) を現実のものとすること 【戦略目標2】教育・訓練の質と効率性を高めること 【戦略目標3】公正、社会的結束、行動的市民精神を促進すること (Promoting equity, social cohesion and active citizenship) 【戦略目標4】教育・訓練の全てのレベルで、起業家精神を含む創造性、 イノベイションを高めること(Enhancing creativity and innovation, including entrepreneurship, at all levels of Education and training) また、以下の5つのベンチマーク(2020 年までの達成率)を掲げている。 なお、達成目標数値は異なるが、目標自体は「ET2010」とほぼ同じである(基礎スキ ルの「リーディング」に、「数学、科学」が加わっただけである)。 (1)生涯学習への成人(25-64 歳)参加率 平均して 15%の参加 (2009 年実績 9.3%) (2)基礎スキルの学習達成率の改善(特に、リーディング、数学、科学) 15 歳でのリーディング、数学、科学の学習目標を低レベルでしか達成でき なかった者の比率を 15%以下に。 (2009 年実績 19.8 %)(参考:日本 12.3%) (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2006:327:0045:0068:EN:PDF) 6 7 (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2010:2020:FIN:EN:PDF) (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2009:119:0002:0010:EN:PDF) 8 本用語集では、”lifelong learning”、 ”learning outcome(s)を、通常訳通り、「生涯学習」 、「学習成果」 と訳しているが、欧州での実際の使われ方をみると、 「生涯学習訓練」、 「学習訓練成果」とでも訳した方が 日本人には分かりやすいかもしれない。 5 (3)30-34 歳層での高等教育履修者割合を、40%以上に。 (2009 年実績 (参考:25-34 歳 32.3 %) EU 29% , 日本 54 %(2009 年)) (4)教育からの中退者(18-24 歳)比率を、10%未満に。 (2009 年実績 14.4 %) (5)4 歳から義務教育開始年齢までの児童の尐なくとも 95%の者を 初期児童教育に参加させる。 (2008 年実績 92.3 %)(参考:日本 96.4%(2007 年)) 第 1 サイクルを 2009 年から 2011 年とし、各戦略分野の重点事項が次のように定め られたが、4 分野とも職業教育訓練と密接に関係している。第 1 戦略目標分野では、① ノンフォーマルな学習(学習者の視点からは意図的だが、学習目標等学習としては明示 されていないもの)、インフォーマルな学習(日常の仕事や家庭ないし余暇活動で行わ れる意図的でないもの)の認証およびガイダンス(non-formal and informal learning and guidance)に特別の注意を払うこと、②多様な資格を全て EQF (欧州共通資格枠 組み)に関連付け、基準と資格、評価と認証手続き、履修単位の転移、教育・訓練の質 保証のための学習成果(learning outcome)に基づくアプローチの活用を支援すること、 第2戦略目標分野では、①2カ国語でのコミュニケーション能力、②教員・訓練指導員 の専門的能力の開発、②高等教育の現代化や職業教育訓練の質保証枠組みの推進、第3 戦略目標分野では、教育・訓練からの早期離脱者対策として、予防的アプローチ、一般 教育と職業教育との密接な連携、ドロップアウトした者が教育・訓練に復帰する際の障 壁除去、第4戦略目標分野では、カリキュラム、評価(assessment)、資格において「横 断的な主要コンピテンス(transversal key competences)」を一段と考慮すること、が それぞれ掲げられている。 VET(職業教育訓練)の領域では、2010 年 12 月 7 日に、 「2011 年から 2020 年まで の期間における職業教育訓練での欧州の協力を高めるための」ブルージュ・コミュニケ 9が発表された。職業教育訓練政策については、2 年ごとの欧州各国職業教育訓練担当 大臣会議で政策進展の点検、見直しが行われているが、今後とも、2 年毎の大臣会議で、 このブルージュ・コミュニケの点検、見直しが行われることになる。こうして、いわゆ るコペンハーゲン・プロセス(2の注3参照)は 2010 年以降も継続することとなった。 ブルージュ・コミュニケでは、次の 11 本の戦略が掲げられている。 (1)教員・訓練指導員等の能力改善、質の高い情報やガイダンスの提供、カリキュ ラムへの主要コンピテンス学習の包含、職場学習の促進等により、I-VET(初期 職業教育訓練)を魅力的な選択肢にすること。 9 (http://ec.europa.eu/education/lifelong-learning-policy/doc/vocational/bruges_en.pdf) 6 (2)訓練の質保証枠組みの構築等により、I-VET(初期職業教育訓練)、C-VET (継続職業教育訓練)両者の卓越性、質、適合性を高めること。 (3)弾力的な訓練の仕組みの構築や、ノンフォーマル・インフォーマルな学習 (訓練)の承認(recognition)と認定(validation)を行う手続きの展開等により、 訓練、資格に対する弾力的なアクセスを可能にすること。 (4)EQF(欧州資格枠組み)、ECVET(欧州職業教育訓練単位制度)、ユーロパス等 欧州各国間の透明性を高めるツールを組織的に活用する等により、I-VET、 C-VET の国際化への戦略的アプローチを発展させ、国際的移動可能性を促進す ること。 (5)(I-VET、C-VET 両面において)、ICT(情報通信技術)を活用するとともに、 VET 供給者と創造的な企業、高等教育機関等との「知識パートナーシップ」を 形成する等により、イノベイション活動、創造性、起業家精神を高めること。 (6)成人学習制度における主要コンピタンス発展の強化する、教育からの中退者比 率の減尐、無技能ないし低技能者への学習・訓練の提供等により、包摂的な (inclusive)I-VET、C-VET を実現すること。 (7)ECVET(欧州職業教育訓練単位制度)や NQF(国単位の資格枠組み)の EQF (欧州資格枠組み)への参照手続き、EQAVET(欧州職業教育訓練質保証参照枠 組み)に沿った各国質保証制度の実施等の諸ツールの実施に焦点を合わせた、様 利害関係者に対するコミュニケーション戦略の確立等により、VET への利害関 係者の関与を強め、VET に対する欧州全体での協力成果をより目に見える形に すること。 (8)透明性(transparency)、承認(recognition)、質保証(quality assurance)、 移動可能性(mobility)の領域で、コペンハーゲン・プロセス(脚注3参照)、高等 教育のボローニャ・プロセス(脚注4参照)など、欧州ないし国レベルの仕組み (instruments)を調整管理(coordinated governance)すること。 (9)VET(職業教育訓練)政策と、雇用、経済、研究、社会問題、若年等他の関連 政策領域の協力関係を強化すること。 (10)VET(職業教育訓練)の欧州全体での政策立案に資するよう、データの質と 比較可能性を改善すること。 (11)欧州構造基金や生涯学習プログラムなど、EU の支援の仕組みを有効活用 すること。 こうした EU の戦略枠組みとそれに沿った各国の政策改善により、VET(職業教育訓 練)の領域では、以下説明するように、①労働市場とのリンクの強化、②社会的包摂を めざした教育・訓練機会の拡大、③生涯学習の推進、④EU 全体での訓練成果の共有化、 ⑤訓練内容の質向上、⑥職業教育訓練の教員・指導員の養成及びレベルアップ、⑦職業 7 教育訓練(VET)のナショナルセンター設立、等が進んでいる。 【用語集関連項目】 項目44(key skill/ key competence : 主要スキル/主要コンピテンス)、 項目57(lifelong learning:生涯学習)、項目61 (mobility : 移動可能性)、 3.労働市場とのリンクの強化 経済危機からの回復の途につくためには、技能を向上させることにより人々の就業可 能性(employability)を高めることが重要である。しかし、技能を高めても仕事がな くてはどうしようもない。労働市場のニーズに適合した技能労働者を供給する必要があ る10。経済危機にも関わらず、2008 年末時点欧州全体で 4,000 万人の未充足求人があ り、長期的にも高度の技能を要する仕事が大きく増加するという(1996 年実績と 2020 年予測を比べると、低技能職では 32.9%から 18.5%に減尐し、中等技能職は 46.2%か ら 50.0%に微増し、高度技能職は 20.9%から 31.5%に増加する)11。EU 及び欧州各国 では、現在および将来の技術ニーズと技能ニーズを的確に把握し、それに基づいた技能 向上と就業拡大の重要性が多くの政策文書で指摘されており、特に、「グリーン・ジョ ブ」(地球温暖化防止に関連する仕事)や医療介護分野での就業拡大、地域レベルにお ける高付加価値産業の創出等が強調されている。 また、労働市場のニーズに合った教育・訓練の実施を図るため、①学習者の職場見学 から資格取得につながる長期の見習い訓練制度に至るまでの多様な職場訓練の活用、② 労働市場に常に接している労使の積極的関与(地域ないし職種別の訓練ニーズ予測、訓 練科目の決定等)、③教育訓練機関と企業とのパートナーシップの拡大、④学習・訓練 プログラムの策定や指導方法等での教育訓練機関の自律的運営の重視等が進んでいる。 【用語集関連項目】 項目88(training course planning and design: 訓練コースの計画・設計)、項目89(training needs analysis : 訓練ニーズ分析) 10 European Commission, ”New skills for New jobs – Anticipating and matching labour market and skills needs”,2008.12,p3 (http://ec.europa.eu/education/lifelong-learning-policy/doc/com868_en.pdf) 11 CEDEFOP, ” Continuity, Consolidation and Change -Towards a European era of vocational education and training”,2009 ( http://www.cedefop.europa.eu/EN/publications/12894.aspx) 8 4.社会的包摂をめざした教育・訓練機会の拡大 社会的に排除された人々を社会に統合していくための取り組みを「ソーシャル・イン クルージョン(社会的包摂)」といい、この理念をもとに社会連帯の再構築を目指そう としているのが欧州連合(EU)である。2000年3月の「リスボン戦略」(EU各国に おける雇用、経済改革及び社会的統合の強化を目的とした10年間の戦略)では、「社会 的排除の根絶」を柱の1つに掲げた。2010年から2020年までの新戦略(欧州2020)で も、社会的包摂は戦略名称内に入っており、大変重視されている(「欧州2020 -賢く、 持続可能で、社会包摂的な成長」)。 「リスボン戦略」を受けて、2001 年のストックホルム欧州サミットで、「全ての者 の教育・訓練システムへの参加を容易にすること」が、欧州主要政策の 3 本柱の1つに 挙げられた。そして、多くの欧州諸国で、①若年ドロップアウト(無業者)を主対象と した新たな見習い実習訓練制度の導入、②低技能者(特に、高齢者や移民)の生涯教育 (訓練)への参加率向上方策、などが進められている。特に、学校から職場への円滑な 移行を実現するため、デュアルシステム(学校ないし訓練センターでの教育・訓練と企 業での実務実習訓練との組合せ)が再評価されつつあり、デンマークやドイツ等で受入 れ企業の拡大に努めている他、従来制度がなかった英仏等でも急速に導入が進んでいる。 訓練の多様化ニーズに沿いより弾力的な訓練を実施するため、部分資格制度や訓練プロ グラムのモジュール化も進展している。また、尐数民族、障害者、学習困難者、そして 仕事と家庭の両立に問題を抱えている者など「脆弱な(vulnerable)」グループへの特 別プログラムの実施がEU文書では強調されている。 【用語集関連項目】 項目 22(digital divide / digital gap:デジタルデバイド/デジタルギャップ)、項目 25 (dropout:ドロップアウト)、項目 82 (social inclusion:社会的包摂)、項目 84(special needs education:特殊ニーズ教育(特別支援教育))、項目 92(transition from school or training to work:学校又は訓練から仕事への移行) 5.生涯学習の推進 日本において「生涯学習」というと、「定年後の高齢者や専業主婦などが生涯続けら れる趣味について学ぶもの」と認識されがちであるが、欧米諸国では、急速な高齢化と 知識集約社会の進展に対応した労働生産性向上の側面が大変重視され、1990 年代以降、 各国際機関(OECD, UNESCO, ILO 等)の共通推進テーマとなっている。EU(欧州 連合)も積極的に推進し、2010 年までの教育・訓練政策の工程表である「教育・訓練 2010 ワークプログラム(ET2010)」、同じく 2010 年から 2020 年までの教育・訓練政 策の工程表である「欧州教育・訓練協力戦略枠組み(ET2020)」とも、生涯学習の推進 9 がプログラム全体を貫く基本原則となっている。また、EQF(欧州共通資格枠組)も、 厳密には、「生涯学習に資する欧州資格枠組み」と称され、生涯学習のための諸改革の ための枠組みを提供し、改革を誘導するものとされている。 生涯学習の推進のために、EQF とそれに基づく NQF(国単位の資格枠組み)の構築、 通常の一般教育や職業教育訓練(VET)だけでなく、ノンフォーマル学習(学習者の視 点からは意図的だが、学習目標等学習としては明示されていないもの)、インフォーマ ル学習(日常の仕事や家庭ないし余暇活動で行われる意図的でないもの)を含めた全て の学習(訓練)の連携及び橋渡し等が重視されている。なお、ブルージュ・コミュニケ (2010 年 12 月の欧州職業教育訓練担当大臣会議宣言)では、遅くとも 2015 年までに、 NQF に適切に支援されながら、国として、ノンフォーマル・インフォーマルな学習(訓 練)の承認(recognition)と認定(validation)を行う手続きの展開を開始するよう、各国 政府に勧奨している。 【用語集関連項目】 項目36(formal learning : 公式学習)、項目40(informal learning : インフォーマ ル学習)、項目55(learning outcomes : 学習成果)、項目57(lifelong learning:生 涯学習)、項目64(non-formal learning : ノンフォーマル学習)、項目80 (skill audit : スキル審査) 6.EQF(欧州資格枠組み)等 EU 全体での訓練成果の共有化の試み (1) EQF(欧州資格枠組み) 欧州では、社会で共有される資格制度が定着しているが、①教育、訓練、労働市場間 のリンクを強化し、②教育、訓練の様々な部分を結合し、理解しやすくすることで、資 格制度の一貫性(coherence)を強化し、③各国の国内資格システムを、各国間で理解・ 通覧しやすいものにする等の多様な目的を兼ね、現在、教育と労働の世界を横断した資 格枠組みづくりに向かっている。 これが、EQF(European Qualifications Framework:欧州資格枠組み)に準拠した NQF (国単位の資格枠組み)の策定である。EQF(European Qualifications Framework: 欧州 資格枠組み)は、義務教育(前期中等教育)修了レベル(レベル1)から博士号取得レベ ル(レベル8)までの8つの資格参照レベルを設定し(表1)、各国の全てのレベル、職種 の教育・訓練に関する資格につき、その資格保有者がどのようなレベルの知識、スキル、 能力(コンピテンス)を持つか、欧州全域で比較可能にするものである。すなわち、欧州 A 国の資格(認定証、学位等を含む)が、A 国の NQF→EQF→欧州他国の NQF のリンクを 通じ、欧州他国の資格と比較可能になるというものである。 10 表1 EQF(欧州資格参照フレームワーク) (資料出所)松井裕次郎「若年者の就業支援 心として」、 『青尐年をめぐる諸問題 -EU,ドイツ、イギリス及び日本の職業訓練を中 総合調査報告書』、国立国会図書館、2009.2(抜粋)(原典 は、Recommendations of the European Parliament and of the Council on the establishment of the European Qualifications Framework for lifelong learning,2008) 教育訓練体系全般の見直しを促す起爆剤となることを EQF は期待されており12、欧 州各国は、2012 年末までに各国の国内資格を、国単位の資格枠組みである NQF の整 12職業教育訓練のコペンハーゲン・プロセス(脚注3参照) 、高等教育のボローニャ・プロセス(脚注4参 照)を一つの傘に入れ込む狙いもあるとされる。 11 備を通じ、EQF に参照づける(referencing)ことになっている13。 【用語集関連項目】 項目17(competence:コンピテンス)、項目34( European qualification framework for lifelong learning、EQF:生涯学習に資する欧州資格枠組み)、項目46(knowledge: 知識)、項目57 (lifelong learning : 生涯学習)、項目79(skill:スキル) (2) ECVET (欧州職業教育訓練単位制度) 2002 年、EU 加盟国は職業教育訓練のためのクレジット(成果ポイント)制度の検 討を合意した。用語集 31 の「コメント」でいうように、ECVET (European Credit system for Vocational Education and Training:欧州職業教育訓練単位制度)は、 「ク レジットポイント付与の対象となる移転可能・蓄積可能な学習単位にまとめられ、個人 の学習成果証明書に登録された学習成果(知識・スキル及び/又は能力(コンピテンス)) で表現される資格の規定に基づく」もので、EQF と同様に、様々な資格制度、一般・ 職業教育の学習成果を包含する。学んだ場所(国、学校その他機関)や教育訓練期間で はなく、学習成果に基づいてポイントを与え、ポイントの蓄積に応じ単位を認定し、必 要な単位を満たした場合に資格を認証する(60 ポイントが 1 年間フルタイムの VET に よる学習成果に相当)。EQF が定着した後の次のステップとして考えられているもので、 2009 年 6 月に出された欧州理事会・議会合同勧告14で、本格推進されることになった。 勧告では、2012 年から徐々に導入を進めるよう、各国政府に要請しており、例えば、 英国は、ECVET を組み込んだ枠組みを、イングランド・北アイルランド地域では QCF (Qualifications and Credit Framework : 資格・クレジット単位枠組み)、ウェールズ ではほぼ同内容の CQFW、スコットランドは独自色の高い SCQF という形で、すでに 導入ずみである。 13 2008 年の欧州議会・欧州理事会合同勧告 (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2008:111:0001:0007:EN:PDF) により、EU各国政府は、2010 年末までに国内資格を EQF に関係付ける(「参照」(referencing))こと を、勧奨(invite)されていた。このため、EU全加盟国で、1つないし複数(イングランド、ウエールズ、 スコットランドの3つの枠組を有する英国、オランダ語地域とフランス語地域で2つの枠組を有するベル ギー)の NQF(国単位の資格枠組み)を策定し EQF と関係づけるべく精力的に努力しているが、2010 年末までに実現できそうな国は、英国、フランス、アイルランド他数カ国に留まる見込みであった。この ため、2010 年 12 月 7 日の「ブルージュ・コミュニケ」(欧州職業教育訓練担当大臣会議宣言)で、2012 年末まで「参照期限」が延長された。EU 各国の NQF 策定状況については、岩田(2011②)を参照。なお、 欧州委員会は、EQF関連の情報を総合的に提供するポータルサイトを 2011 年 5 月開設した。その中で、 加盟国同士の NQF レベルの比較ができるようになっている(但し、2011 年 7 月現在で比較できるのは, 英国の 3 地域(イングランド・北アイルランド、ウェールズ、スコットランド)、フランス、マルタ、アイ ルランドだけである。(http://eqf.intrasoft-intl.com/eqf/home_de.htm) 14 (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2009:155:0011:0018:EN:PDF) 12 【用語集関連項目】 項目 31(credit system for vocational education and training, ECVET:職業教育訓 練クレジット制度) (3) ECTS (欧州クレジット移転蓄積制度)と EHEA(欧州高等教育領域資格枠組み) 高等教育の改革では、ECTS (欧州クレジット移転蓄積制度)15と EHEA(欧州高等教 育領域)資格枠組み16が重要である。 ECTS は、大学以上の高等教育に限定された、単位(クレジット)の移転・蓄積に関 する欧州の枠組みである。ECVET 同様に、60 ポイントが 1 年間フルタイムの公式学 習に付与されるもので、ECVET より早く、1999 年のボローニャ宣言で打ち出され、 全欧州での単位の互換を推進している。ECTS は、高等教育機関のカリキュラム・デザ インと教育の質保証も支援している。 EHEA 資格枠組みは、高等教育機関の 3 つのレベルないしサイクル(学士、修士、 博士)に基づくもので、高等教育機関で授与される主要資格に対応する。2005 年のベ ルゲン・コミュニケ(2 年ごとに、ロシア等を含めた「欧州」46 カ国の高等教育担当 大臣会議でコミュニケが発表される。)で、採用されたものである。そのレベルは、次 の2つの次元(dimension)を使って表現される。 ① 学習成果評価指標(learning outcomes descriptors) 「知識と理解」、「知識の適用と理解」、「判断」 、「コミュニケーション・スキルと 学習スキル」に関する卒業生の学習成果の一般的ステートメント ② 単位(credit) 初めの2つのサイクル(学士課程、修士課程)は ECTS(欧州単位移転・蓄積 制度)が適用される(第 1 サイクルは 180~240ECTS、第 2 サイクルは 90~ 120ECTS)。60 ECTS は公式学習 1 年間の学習負荷に対し授与される単位数。 EHEA 枠組みの重要な特徴は、「累進的」 (progressive)性格で、第 1 サイクルが第 2 サイクルのプログラムの入口、第 1 サイクルが第 2 サイクルのプログラムの入口とな っている。2010 年末現在で、オランダ語圏ベルギー、ドイツ、アイルランド、オラン ダ、英国(スコットランド以外)、スコットランド等が批准している。 【用語集関連項目】 項目 32 (European credit transfer and accumulation system, ECTS : 欧州クレジ ット移転蓄積制度) 15(http://ec.europa.eu/education/lifelong-learning-policy/doc48_en.htm) 16 (http://www.ehea.info/Uploads/Documents/QF-EHEA-May2005.pdf) 13 (4)NQF(国単位の資格枠組み)とユーロパス 欧州各国は、現在、EQF(欧州資格枠組み)に準拠した NQF(国単位の資格枠組み) づくりに尽力しているが、EQF や NQF が、上記(3)で触れた EHEA(欧州高等教 育領域資格枠組み)も包含したものとなりうるのか、それとも、EHEA は別個の枠組 みとして今後とも存続するのか、将来は不透明である。CEDEFOP(欧州職業訓練開発 センター)17によると、NQF のデザインには、3つの大きな流れがあるという。 1)ほとんど全てのレベルと資格を包含し、首尾一貫したワンセットの「資格レベル説 明指標」(level descriptors)で構成された NQF(大多数の国) アイルランド、フランス、マルタ、英国(高等教育機関の資格を除く。)、ドイツ等。 2)レベル1-5とレベル6-8を分け、後者は、ボローニャ・サイクルの EHEA 枠 組み(欧州高等教育領域での資格枠組み)に準拠し、高度教育機関で授与された 3 ラ ンクの資格に限定した NQF ベルギー(フランス語地域)、デンマーク、ルーマニア 3)レベル6-8は並列した鎖構造(“strands”)に分ける妥協をした NQF ベルギー(オランダ語地域)、オーストリア ユーロパス(Europass :欧州共通履歴書)は、欧州内での就業、学習のための地域 間移動に際し各個人のスキルやコンピテンス(能力)を適切に伝達することができるよ う、5つの文書からなるもので、全欧州で大変活用されており、将来的には EQF を反 映することになっている。5つの文書とは、基本履歴書(Europass CV)、ユーロパス・ 言語パスポート(この2つは自己記載)、ユーロパス・モビリティ(学習・訓練での他 国滞在記録)、ユーロパス・認定証付属文書(Europass certificate supplement : 公式 職業教育・訓練関係)、ユーロパス・修了証書付属文書(Europass diploma supplement、 高等教育関係)からなる。基本履歴書は、2005 年 2 月の開始以来、3,830 万件がオン ラインで記入完成されている(2011 年 6 月現在)。18 【用語集関連項目】 項目 34( European qualification framework for lifelong learning、EQF:生涯学 習に資する欧州資格枠組み) 17 CEDEFOP, “The development of national qualifications frameworks in Europe”,2010.8 ( http://www.cedefop.europa.eu/EN/Files/6108_en.pdf) 18(http://europass.cedefop.europa.eu/europass/home/hornav/Introduction.csp?loc=en_GB)。日本のジョ ブ・カード制度はユーロパスとはやや狙いが異なる。正社員経験の尐ない者を対象に、ハローワーク等で 登録キャリア・コンサルタントによるキャリア・コンサルティングを受けながら、職務経歴、学習・職業 訓練歴、免許・資格などを「ジョブ・カード」と呼ぶ書類に取りまとめるもので、2008 年 4 月開始から 2010 年 12 月末までに約 391 万人が取得し、そのうち約 12 万人が職業能力形成プログラムを受講した。 14 7.職業教育訓練内容の質向上 職業教育訓練(VET)修了者が適切に就業ないしキャリアアップし、人々が生涯を通 じて学習(訓練)を継続できるよう、訓練内容の質を保証し、VET をより魅力のある ものにする取組みが次第に重視されるようになっている。成果指標(テスト結果、修了 率、習得時間、他の教育プログラムへの転換率、就職率等)やガイドラインによる運営 管理や訓練カリキュラムの大幅見直し等による訓練内容の改善が多くの国で実行され ている。また、 (品)質基準と(品)質指標に基づく改善サイクル(計画、実施、評価、 改善の PDCA サイクル)による職業教育訓練の質保証参照枠組み(EQAVET)に関す る欧州議会・欧州理事会合同勧告19が 2009 年 6 月に採択されたが、2010 年末の「ブル ージュ・コミュニケ」は、EU 加盟国は 2015 年末までに、EQAVET に準拠し、職場 での関連する学習・訓練にも適合する、国内教育・訓練事業者に共通の質保証枠組みを 国レベルで策定すべきと勧奨している。このように、訓練内容の質向上が強調される背 景には、後期中等教育(高校)段階での職業ルートを希望する者が減尐していること、 生涯学習ニーズが高まっていること、等が挙げられている(CEDEFOP, 2009②) 。 国際標準化機構(ISO)は、非公式の教育・訓練サービス(公式教育・訓練機関以外 の教育・訓練サービス)提供者が行うサービスの質保証基準、ISO 規格 29990 を、2010 年 9 月に発行した20。EQAVET と ISO 規格 29990 を踏まえ、欧州各国がどのように対 応するのか、大変興味深い。 【用語集関連項目】 項目 2(accreditation of an education or training programme:教育・訓練プログラム の認定)、項目 3(accreditation of an education or training provider:教育・訓練事業 者の認定)、項目 28 (education or training provider: 教育・訓練事業者)、項目 85 (standard:基準) 8.職業教育訓練の教員・指導員の養成及びレベルアップ 欧州の職業教育訓練担当教員、指導員は、以下のような多様な者からなる。 ① 一般大学(大学院)を卒業した、一般教育科目を担当する教員 ② 技術者・技能者出身の教員(craftsman-turned-teacher) ③ 実習演習の指導教官ないしトレイナー (従来は、ほとんどの国で資格を不要とし ていたが、EQF(欧州資格枠組み)にリンクした NQFs(各国資格枠組み)が整備 19 (http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2009:155:0001:0010:EN:PDF) ISO 規格 29990 では、訓練内容等の情報開示のほか、①訓練ニーズの把握、適切なカリキュラムの策定、 指導者の質の確保、訓練効果の評価等の訓練サービスに係る要求事項、②訓練サービス事業者の経営管理 体制の整備、事業計画の作成・記録、財務管理、内部監査等のマネジメントに係る要求事項等が示されて いる。 20 15 されるにつれ、これに準拠した資格への見直しを目指す国が増えつつある。) ④ 専門的職業教育訓練教員(professional VET teacher)(職業教育訓練の教員養成 コースを経て教員になるが、最近増加しつつある。) 訓練モデルは国により様々だが、IVET (初期職業教育訓練)教員の入職前訓練は、通 常、理論的科目/教授法学習と実践的教員訓練の両者を含み、次の4つのモデルがある (はじめの3つは、主として学校ベースの訓練である)。 ① 同時進行モデル(the concurrent model) 職業科目の学習コースと教授法の学習コースが同時進行で行われる。 (フィンランド、ハンガリー、ラトヴィア、ノルウェー、スペイン等) ② 連続進行モデル (the consecutive model) 科目学習後に教授法の学習コースが来る(キプロス、チェコ、フランス、ドイ ツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、ラトヴィア、リトアニア、スロヴェ ニア)。採用試験後に教員候補者向けの準備訓練がなされる。 ③ 同時進行、連続進行両モデルの併存モデル 例えば、ポーランドでは、2つのコースを選択できる。 ④ 連続デュアルないし統合モデル ( the sequential dual or integrated model) 訓練コースはモジュールの組合せで統合されている。オランダの場合、4 年間 の学校コース各学習年の最後に教育実践が行われる。同様の順次的な構造が、ベ ルギー、チェコ、デンマーク、イタリアにある。英国とノルウェーにも専門教育 と就業経験を有する教員向けに同様の構造を持った仕組みが併存する。デンマー クの訓練は、職場での実践期間とのデュアル原則で構造化された大学卒業後課程 として組織されている。 (注)欧州諸国における職業教育訓練を担当する教員・指導員の養成・研修状況につい ては、『諸外国における職業教育訓練を担う教員・指導員の養成に関する研究報告書』 (職業能力開発総合大学校、2011 年 3 月)第6章で、IVET・CVET 別、入職前・在職 別に詳しく説明しているので参照されたい21。 さて、職業教育訓練の質を確保するための鍵は、教員・指導員の質の向上との認識が 欧州諸国においても次第に強まっており、その質の向上方策として、以下のような取り 21 (http://www.uitec.ehdo.go.jp/schoolguide/09/50th_04/index.html)。なお、CEDEFOP の次のサイト の情報を大いに活用した。 (http://www2.cedefop.europa.eu/etv/Information_resources/NationalVet/Thematic/criteria_replycop.as p) 16 組みを EU は奨励している22。 ① 教員・指導員の役割の見直し -「教える」から「学ぶ」に重点を置いた教育が 有用とされ、学習の促進者、コーチ、ガイダンス・カウンセラー等としての役割が 重視されるとともに、教育訓練のプランナー、マネジャー等の役割等期待される領 域が広がっている。 ② 大学学部レベル等での初期教育と就業後における向上訓練のより一貫性のある システムの構築 ③ VET 教員・指導員の地位の向上 ④ 教員・指導員に対するニーズと実際の保有技能との間のミスマッチの改善 【用語集関連項目】 項目 86(teacher:教員)、項目 87 (trainer:訓練指導員)、88(training course planning and design:訓練コースの計画・設計) 9.職業教育訓練(VET)のナショナルセンター設立の動き 多くの国では、職業教育訓練機関の監督責任がいくつかの省(典型的には、教育省と 労働省)と様々な機関(例えば、政労使の三者構成機関)に分かれている。職業教育訓 練に関するデータはばらばらに収集されがちである。各機関が連携したデータの収集・ 分析、調査研究、そしてこうしたことに基づく政府への政策提言を有効に行うため、世 界各国で職業教育訓練のナショナルセンターを設立する国が増えている(OECD、” Learning for Jobs - OECD Policy Review of Vocational Education and Training, Initial Report” ,2009.10,p91)。 ドイツの連邦職業教育訓練研究機構(Bundesinstitut für Berufsbildung;BIBB)は、 初期職業教育訓練の職業別の実務訓練の内容(職業の種類、職業の名称、訓練の期間と 内容、試験内容等)を規定する職業訓練規則を立案する他、研究プロジェクトや企業内 訓練への支援活動も行っている。2008 年 12 月 31 日現在の職員数は 576 名である。フ ランスには、資格調査・研究センター(Centre d'études et de recherche sur les qualifications, CEREQ)という、国民教育省、経済産業省、労働省の共同管轄による 独立した公的機関がある。主な業務内容は、①雇用状況に関する統計調査を行うこと、 ②職業・資格等の問題に関する研究を行うこと、③地域圏、国、国際レベルでの各政府 22 CEDEFOP, ”The Training and development of VET teachers and trainers in Europe”, „Modernising vocational education and training: 4th report on vocational training research in Europe: background report” (http://www.cedefop.europa.eu/etv/Upload/Information_resources/Bookshop/544/3050_II_en.pdf) 17 機関が政策立案を行うに際して専門的見地から助言を行うことであり、職員は 142 名、 ほとんどが研究員として雇用されている。オランダの国立職業教育専門技能センター (Expertisecentrum Beroepsonderwijis : ECBO)は 2009 年 1 月設立され、VET 機関 と関連する産業部門とのリンクを作り出す役目を担っている。上記 OECD 報告書では、 オーストリアの職業教育訓練研究所、チェコの国立技術・職業教育研究所、ハンガリー の国立職業教育研究所も紹介されている。また、分権化された大学・研究所のネットワ ーク組織である、スイスの「スイス・リーディング・ハウス」 (LHs)、英国の「教育経 済センター」(CEE)も紹介されているが、OECD は、英国については、英国政府に対 し、VET 全体のナショナルセンターの設立を検討すべしとの提言を出している。 (OECD,”Learning for Jobs -OECD Policy Review of Vocational Education and Training, England & Wales” ,2009.10,p34) 10.CEDEFOP(欧州職業訓練開発センター) 本用語集を発行した CEDEFOP(欧州職業訓練開発センター)は、ギリシャに所在 し、欧州連合(EU)における職業教育訓練(VET)の発展を促進することを目的とし た EU の下部機関である。EU 及び各国での VET 各分野の政策発展を支援する重要な 役割を演じている。欧州各国の多くの機関、研究者を結ぶネットワークを活用した情報 収集・分析・研究、欧州委員会・欧州各国政府・労使等への助言を積極的に行っており、 そのHPから多くの情報が収集できる。以下のサイトを参照されたい。 (1) HP (http://www.cedefop.europa.eu/EN/) (2) 公刊物(http://www.cedefop.europa.eu/EN/publications.aspx) (3) 各国 VET 情報 (http://www.cedefop.europa.eu/EN/Information-services/vet-in-europe-country-rep orts.aspx) (4) 文献データベース (http://www.cedefop.europa.eu/EN/Information-services/vet-bib-bibliographic-data base.aspx)。 11.欧州の VET(職業教育訓練)政策をなぜ学ぶ必要があるのか 日本では、尐子高齢化や経済のグローバル化が急速に進む中、国を挙げて生産性向上 に取り組む必要性が大きいにも関わらず、職業訓練関係予算は国際的にみてかなり尐な い(表 2)。また、学校教育に占める職業教育のウェイトも非常に低い。教育全般につ いても、職業教育を含め、全般的に公的支出は際立って低い(表 3)。 18 表2 雇用・就業対策への公的支出(対GDP) (概ね2008年、%) 日本 1.公共 職業紹介 2.訓練 (内施設内 訓練) 米国 英国 フ ラ ン ドイツ ス オ ラ ン デンマ ダ -ク 0.14 0.04 0.28 0.20 0.29 0.33 0.37 0.03 (0.03) 0.07 (0.03) 0.02 (0.02) 0.25 (0.08) 0.29 (0.22) 0.10 (0.04) 0.23 (0.21) 0.01 ― 0.01 0.04 0.01 0.01 0.10 0.07 0.08 0.03 - 0.47 0.14 0.61 0.30 0.8 1 1.15 1.04 1.26 0.73 0.26 0.17 0.16 (0.20) 0.32 0.81 0.81 1.04 1.35 0.57 0.98 0.49 1.98 1.91 2.31 2.56 4 3.雇用助成 4.障害者:支 援付雇用、社会 復帰 5.失業給付等 6.積極的雇用対 策 (1~4等計) 7.総計 (出所)OECD“Employment Outlook 2010”:統計表 K・・日本は 4 月開始の 2008 年度、 米国は 2008 年 10 月からの 1 年、英国は 4 月開始の 2007 年度(失業給付等の括弧内 2008 年度)、他 は 2007 年。 (注)2の訓練には、通常の在職者訓練や教育制度の一環として行われる見習い訓練制度は含まれない。 また、自治体の支出や福祉サービス受給者等への就労サービスは含まれない場合が多い。日本では、 都道府県立職業能力開発施設の設置・運営に対する都道府県支出や大学・専門職業教育機関への支出 は含まれない。施設内訓練とは、訓練時間の 75%以上が訓練施設(学校/カレッジ、訓練センター等、 委託訓練施設を含む。)で行われるもの。空欄は、未実施ないし OECD への報告がないもの。なお、 英国の雇用対策は仕事探し支援が重点で、職業訓練のウェイトは低い(職業教育予算は EU 平均水準)。 表 3 教育関係支出の対GDP割合(%) (公的部門)2000 2003 2004 (民間部門)2004 EU-27 4.68 5.17 5.09 0.64 デンマーク 8.28 8.33 8.47 0.32 ドイツ 4.45 4.71 4.60 0.91 フランス 5.83 5.88 5.81 0.54 英国 4.64 5.38 5.29 0.95 日本 3.82 3.70 3.65 1.23 USA 4.94 5.43 5.12 2.37 (資料出所) OECD, Eurostat 19 日本の取組みに比べ、欧州各国は、前節までで説明したように、EU の積極的イニシ アティブの下、「職業教育訓練」を経済発展計画(ビジョン)の主要な柱に据え、学校 教育の中での一般トラックと職業トラックの相違減尐、職業教育と職業訓練との連携・ 統合をはじめ、職業教育訓練の各分野で多くの EU 共通政策フレームを策定し、それに 沿った大きな見直しを進めている。 また、日本の尐子高齢化は急速に進み、今や高齢化率(65 歳以上人口/総人口)は世 界一の水準となった(2006 年で 20.8%)。今後の尐子高齢化も現状ペースで進むと、今 世紀半ば(2050 年)には、高齢化率は約 40%(39.6%)にまで達する見込みである。 日本の高齢化率が特に高いのは、日本のベビーブーマー世代が 1947 年(昭和 22 年) 以降の数年で終わったのに対し、欧米では 1960 年前後までの 15 年程度続いたこと、 そして近年の尐子化が日本では一層顕著に進んだことが大きい。 さらに、従来、人材育成面では、製造業を中心に大企業等では長期雇用を前提とした 人材育成を図る一方で、中小企業の中では、企業間移動を通じ多能工になっていき、最 後は自分が会社を興す、すなわち、中小企業が中小企業の従業員の学校の役割を果たす ことで、基盤技術を有する中小企業が自己増殖的に増えていく動きがあった。学校の職 業教育に対する企業の期待は低く、公共訓練も、企業・個人による訓練が不十分になり がちな若年者、離職者等を対象とした補完的な訓練を実施していればよかった。しかし、 国際競争による労働コスト抑制の必要等から、現在では、家計維持的な非正社員が大き く膨れ上がっている。特定の狭い範囲の仕事や一企業における雇用の継続から、仕事・ 企業を変えることも含めたエンプロイメント・セキュリティ(雇用保障)ないし「キャ リア権の保障」23を意識した人材育成システムが重要であり、今後は、長期雇用に基づ く企業の人材育成システムとも両立する、企業外での人材育成システムを抜本的に強化 する必要がある。 このように、社会全体での労働生産性の向上は、企業訓練主導の能力開発体制の維持 が難しくなっている日本で特に重要である。日本型雇用システムの特異性が強調された こともあり、職業教育訓練の分野では国際比較、他国との情報交換等の意識が、他国に 比べ弱いように思える。職業教育と職業訓練とが積極的に連携し、職業教育訓練、高等 教育、労働市場の相互リンクの強化に積極的に取組む欧州の教育・訓練政策から、日本 は多くのことを学ぶことができると考える。近年、CEDEFOP(欧州職業教育訓練セン ター)の HP 等から英語で欧州各国の教育・訓練関係情報が豊富に入手できるようにな っている。本用語集の活用により、多くの者が EU 及び欧州各国の教育・訓練政策(そ して、それと日本との比較)に関心を持っていただければ幸甚である。 なお、職業能力開発総合大学校では、本用語集の他に、本年(2011 年)3 月、 『諸外 国における職業教育訓練を担う教員・指導員の養成に関する研究報告書』を発行した (http://www.uitec.ehdo.go.jp/schoolguide/09/50th_04/index.html)。その中で、アメ 23 European Commission(2007) 、諏訪(2004)、岩田(2010) 20 リカ、英国、ドイツ、フランス、韓国、中国、マレーシアとともに、EU 及び欧州諸国 の職業教育訓練を担う教員・指導員の養成状況についても、別途整理している。併せて ご活用いただきたい。 12.本用語集利用にあたって 本日本語版作成にあたって、訳語の選定等には大変苦労した。以下、本用語集を利用 するに際して読者に留意いただきたい事項を挙げる。 (1)日本語版作成にあたって、意訳を避け、正確な訳を心がけたが、訳だけ では理解が難しいと思われる用語も多い。本書では、読者の理解を深める ため、3 分の1ほどの用語に対し、日本語版独自の訳注をつけた。 (2)できるだけ原語のカタカナ表記を避け日本語訳を心がけたが、適当な訳 語がない又はカタカナ表記が定着しているものについては、カタカナ表記とした。 (例) 22 digital divide / digital gap デジタルデバイド/デジタルギャップ 60 mentoring 94 メンタリング tutoring チュータリング (3)「熟語的訳」が難しい一部の用語については、形容詞句の表現を工夫した。 (例) 56 learning region → 「学習する地域」 58 lifewide learning → 「生活全般にわたる学習」 (4)欧州の資格認定プロセスは、(a) learning → → (c) validation → (d) certification → (b) assessment (e) recognition の段階を 経る。 (CEDEFOP, “Changing Qualifications – A review of qualifications policies and practices”,2010,p34) 本書では、以下のように訳している。なお、プログラムや教育・訓練事業者の accreditationも「認定」とした。 (a) learning → 「学習」 (b) assessment → 「評価」 (c) validation → 「認定」 (d) certification → 「認証」 (e) recognition → 「承認」 (5)国際機関の略称表記については、本用語集の原著表記を尊重した。CEDEFOP は、 表紙だけCEDEFOP、本文中ではCedefopとなっている。UNESCOは、Unesco と表記されている。 (6)本用語集の翻訳にあたり、修正を繰り返し丁寧な作業を心がけたが、思わぬ誤訳も あり得る。本用語集はHP版であり、利用者のご指摘を踏まえ、適宜修正をしていき たい。訳文、訳注、解説を通して、忌憚なきご意見をいただきたい。 21 (7)本用語集発行後、ET2020( 2020年までの欧州教育・訓練戦略フレームワーク)の策 定やECVET(欧州職業教育訓練単位制度)、EQAVET(欧州職業教育訓練質保証参 照枠組み)に関する欧州理事会・議会合同勧告等、欧州レベルの教育・訓練政策の枠 組みに関して大きな動きがある。また、ユーロパス(各個人のスキルや能力を欧州共 通様式で伝達する欧州共通履歴書)等、本用語集が取り上げていないもので、近年欧 州各国で急速に浸透しているものがある。こうしたことを踏まえ、CEDEFOP(欧州 職業訓練発展センター)は、2011年末目途に、本用語集の改訂版発行を予定してい る。担当者からの情報では、用語数を100から130に増やし、一部の用語を差し替え るという(但し、本用語集に取り上げられている用語については、解説を一部付加し たものがあるが、大多数そのまま掲載するとのことである)。職業能力開発総合大学 校は、CEDEFOPの改訂版発行後速やかに日本語改訂版を発行できるよう準備を進め ており、その際、訳語選定、訳注や解説内容について、改めて細かく見直したいと考 えている。 【参考文献】 岩田克彦(2011①),「EU及び欧州諸国での職業教育訓練と教員・指導員の養成」、 職業能力開発総合大学校,『諸外国における職業教育訓練を担う教員・指導員の 養成』、2011 年 3 月 同(2011②),「欧州諸国の NQF(国単位の資格枠組み)策定状況と日本版 NQF(JQF) 策定に向けた諸課題」、『構造転換期における人材育成のあり方に関する調査研究 報告書』、日本生産性本部 同(2011③),「欧州における NQF(国単位の資格枠組み)策定動向と職業訓練の 質保証・質改善への取組み」、『人材育成サービスの国際標準化動向を踏まえた 公共職業訓練の質保証に関する調査研究』、職業能力開発総合大学校能力開発研究 センター 同(2010),「改革が進む欧州各国の職業教育訓練と日本 -日本においても職業教育 訓練の総合的強化が急務」、『日本労働研究雑誌』No595,2010.1 同(2009),「職業能力開発に対する政府関与のあり方 - 政府関与の理論的根拠、 方法と公共職業訓練の役割」、『日本労働研究雑誌』No583,2009.1 諏訪康雄(2004),「キャリア権をどう育てていくか?」、『季刊労働法』207 号 日本労働研究機構,『教育訓練制度の国際比較調査研究』、2003 労働政策研究・研修機構(2009),『欧米諸国における公共職業訓練制度と実態 独・英・米 4 カ国調査』 CEDEFOP(2010), “A Bridge to the future – European policy for vocational education and training 2002-10” (http://www.cedefop.europa.eu/EN/Files/3058_en.pdf) 22 -仏・ CEDEFOP , ”Comparative Presentation – Training VET teachers and trainers” (随 時更新) (http://www2.cedefop.europa.eu/etv/Information_resources/NationalVet/Thema tic/criteria_replycop.asp) European Commission(2007), “Towards Common Principles of Flexicurity: More and better jobs through flexibility and security”,2007.6 European Council(2009),” Council conclusions of 12 May 2009 on a strategic framework for European cooperation in education and training(„ET 2020‟) European Ministers for Vocational Education and Training〈2010〉, “The Bruges Communiqué on enhanced European Cooperation in Vocational Education and Training for the period 2011-2020” OECD,“Learning for Jobs -Synthesis Report of the OECD Reviews of Vocational Education and Training”(2010 )(日本語版は、明石書店から近刊予定)。概要およ び各国レポートの英語版は以下のサイトを参照。 (http://www.oecd.org/document/61/0,3343,en_2649_39263238_43736957_1_1_1_37 455,00.html) 23
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