アンリツ株式会社 計測サポートセンター 測定のイロハ(第 24 回) 光ファイバと光コネクタ ~デジタル通信システムの伝送媒体 1. はじめに 近年、インターネットおよびスマートフォンの普及に伴い伝送容量の増大とともに、光インターフェースにてデジタル通信 を行う伝送装置やサーバーが様々な場所で使用されるようになりました。そこで、光インターフェースの伝送媒体として使 用される光ファイバと光コネクタについて解説します。 2. 光ファイバ 2.1 光ファイバの構造 通信に使われる光ファイバは、光を伝播するコア部と同心円状に覆いコア内の光を反射させるクラッド部の 2 重構造で 光を伝送しており、これらは被覆で保護されています。また光ファイバは光の伝播形式により、シングルモード(SM)ファイ バとマルチモード(MM)ファイバ(主に GI 型と言われるものが使われる)に分類され、それぞれコア径とクラッド径の寸法が 規定されています。クラッド部の径は SM,MM 共に 125μm ですが、コア部の径は、SM ファイバの場合、9μm または 10 μm、MM ファイバの場合、50μm または 62.5μm のようにSMとMMの違いによりコア径が異なります。光ファイバの構造 は、ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Sector:国際電気通信連合)により標準化が行わ れていています。【G.651:GI ファイバ、G.652:SM ファイバ】 *GI:グレーデッド・インデックス 2.2 光ファイバの特性 光ファイバは、使用する光の波長により伝送損失が異なり、光通信では、主として 0.85μm/1.3μm/1.55μm の 3 つの 波長帯が使用されます。光信号の伝送速度と伝送距離により、MM ファイバは低速(~数 Gbps 程度)、短距離(~数 km 程度)のアプリケーション用途として波長 0.85/1.3μm が使用され、SMファイバはより高速、長距離のアプリケーション用 途として、主として波長 1.31/1.55μm が使用されます。 3. 光コネクタについて 光コネクタは、通信機器や 2 つの光ファイバを接続するため使用されます。光ファイバを保持し、コア部の位置合わせ (アライメント)のため、ファイバの先端にフェルールが取り付けられます。フェルールの中心の穴に光ファイバが挿入され 固定されます。フェルール径は、2.5mm のタイプが一般的でしたが、伝送装置の光コネクタ部の高密度な実装も要求され、 1.25mm のフェルールを使用した光コネクタ(LC 形等)の使用も増えています。 3.1 光ファイバ(フェルール)端面の研磨と反射減衰量(リターンロス:RL)の関係 光コネクタのフェルール端面は、低損失な接続を行うため各種の研磨方式が採用されています。リターンロスの数値が大 きいほうが接続面での反射が少なくなり接続損失が少なくなります。また、斜め球面研磨(APC)では、更に戻り光が少な いため超高速通信、高電力での通信(CATV)に主に使用されます 。また、球面研磨と斜め球面研磨の接続は、コネクタ 端面の破損の原因となるため、同じ研磨方式のコネクタで接続する必要が有ります。 研磨方式 リターンロス 平面(フラット)研磨 ≧14dB 球面研磨 PC (Physical Contact) ≧25dB AdPC (Advanced PC) ≧40dB SPC (Super PC) ≧40dB UPC (Ultra PC) ≧50dB APC (Angled PC) ≧60dB 斜め球面研磨 3.2 光コネクタの種類 光ファイバには、各種の光コネクタが使用されています。測定を行う際に使用する代表的なコネクタを紹介します。コネ クタ接続の際は、光コネクタクリーナ等でコネクタ端面の清掃を行い埃や汚れを取り除き、低損失・低反射な接続を維持し てください。 4. まとめ デジタル通信システムで使用される光ファイバや光コネクタには各種タイプがあり、インターフェースごとに使い分けが行 われています。測定の際、光ファイバの種類(SM/MM)、光コネクタの種類・研磨方式等を確認することが重要です。 © 2014 アンリツ株式会社 140100 WJ-P2STD-130008-00
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