8章 自己管理 60.計画・実行・評価・改善(PDCA)を取り入れよう wowo 1 PDCA とは PDCA とは、plan(計画) 、do(実行)、check(評価)、act(改善) の頭文字をつなげたものです。一般的には「PDCA サイクル」というよ うに使われます。PDCA サイクルとは、事業活動における生産管理や品 質管理などの管理業務を円滑に進める手法のひとつです。plan⇒do⇒ check⇒act という手順で物事を進め、また plan に戻り、一連の流れを 連続して実行することによって、業務を継続的に改善していくことを言 います。 PDCA はもともとビジネスの分野で使われてきた手法ですが、現在で は様々な分野で活用されています。みなさんにとってはまだ馴染みがな いかもしれませんが、4年間という限られた時間の大学生活を有意義に 過ごしていくために、とても役に立つ考え方です。それは PDCA を実践 することによって、漫然と日々を過ごしていくのではなく、目的や目標 を持ち、かつ絶えずその振り返りをして成果や自身の成長を自分自身で 確認しながら生活を送ることにつながるからです。 このように、PDCA はわたしたちが主体的に活動し、成果を上げてい くために大切な考え方であり、実践的な手法となるものです。次にその 大切さについて考えてみます。 2 PDCA を進める上で大切なこと PDCA の大切さについて、2つの視点から考えてみたいと思います。 ひとつは、「主体的に取り組む」ということです。大学生活の中で何 を目標にするか、まずは自分で目標を立てましょう。そして、その目標 を実現するためには、どのような具体的な行動が必要か、何をいつまで 実行すれば目標を達成できるか計画を立てましょう。計画は具体的であ ることが望ましいです。目標が抽象的になってしまうと、具体的な行動 を思い描くことが難しくなってしまいます。このように、自分の力で主 体的に目標を立て、具体的な行動計画を練るということが PDCA に取り 組む出発点として大切なことなのです。 もうひとつは、「継続する」ということです。自ら立てた行動計画を 実行に移した後には、どこまで実行できたのかをセルフチェックし、取 り組むことができなかった点を明らかにして改善計画を考えます。そし て、改善した計画に基いてさらに行動し、その後セルフチェックをして さらに改善計画を練ります。1回限りの PDCA では意味がありません。 PDCA サイクルを連続して継続的に実践していくということが大切なの です。 3 周りの助けを借りる PDCA のプロセスにおいては、存分に他者の力を借りましょう。他人 にやってもらうという意味ではありません。中心にあるのは自己であり、 自力で精一杯やるということが基本ではありますが、それで袋小路に入 ってしまうような場合には、積極的に他者のアドバイスやサポートを受 け、見通しを良くすることも大切だということです。 皆さんの周りには様々な支援者がいます。親御さんや兄弟姉妹、部活 動やサークル活動での仲間や友達、大学の教職員、中学高校時代の同窓 生、その他それぞれの皆さんにそれぞれの人的ネットワークがあること でしょう。計画の実行や改善の場面で困ったときにはぜひ、遠慮せず相 談をしてみてください。自分の視野では見えなかった観点からアドバイ スを貰えるかもしれません。 4 PDCA の実践 PDCA を連続的に実践することは、自分の人生を自分でデザインする ということでもあります。このように書くと、とても気軽には取り組み 難い大それたことのように思ってしまうかもしれません。そうではあり ません。 まずは PDCA を習慣化するためにも、小さなことから実践してみてく ださい。例えば、英語の勉強に力を入れたいと思っている人はそれに関 わることでもいいでしょう。 「◯年◯月に TOEIC を受験する」というこ とを決めて、それに向けて「この問題集を最低限1日◯ページ進める」 という具体的な行動計画を立ててください。 小さなことに見えるかもしれませんが、これを1日2日ではなく、数 ヶ月あるいは1年に渡って毎日継続して実践するのは並大抵のことでは ありません。しかも PDCA の「C(チェック) 」のプロセスでは、実践で きたかどうかが極めて明確に評価することが可能です。結果がはっきり 出てしまうのです。 大きな目標を立てることも大切ですが、まずはこのような小さくても (範囲が限られていても)具体的な目標に即して PDCA サイクルを回す ことにチャレンジしてみてください。自分なりのコツが掴めたら、実践 の場面を広げていきましょう。
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