国際建設情報 ダイジェスト

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2007 年 7 月上期号
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(社)国際建設技術協会 / TEL : 03-3263-4821
危機に直面している世界の河川トップ10
スイスに本部を置く世界最大の自然保護非政府組織 WWF インターナショナルは、
「危機に直面して
いる世界の河川トップ 10」を発表した。
(詳細以下。括弧内は原因を示す。
)東南アジア・サルウィー
ン川(ダム)/欧州・ドナウ川(河川交通)/南米・ラプラタ川(ダムと河川交通)/北米・リオグラン
デ川(過度の水利用)/インド・ガンジス川(過度の水利用)/インド・インダス川(気候変動)/北ア
フリカ・ナイル川(気候変動)/豪州・マレー/ダーリング川(外来侵入種)/東南アジア・メコン川(過
度の漁獲)/東アジア・揚子江(汚染)
ニューヨーク市のロードプライシング、実施に向け一歩前進
6月7日、米連邦政府が交通補助金(11 億ドル)支給に向けた、2次選考9都市の1つにニュー
ヨーク市を選んだ。これにより、運転者に8ドルを課金して交通渋滞の緩和を図るブルームバーグ市
長の構想に弾みがついた。5億ドルもの資金をニューヨーク市長提案の渋滞課金計画に供与すること
は、ブッシュ政権の権限を逸脱するものだ、との下院の道路・交通分科会議長の批判もあるが、同プ
ログラム実施には州議会の承認が必要なため、連邦資金受領は大きな前進になる。
メキシコ Cemex 社、建材最大手に
先般メキシコのセメント大手 Cemex 社が、オーストラリアの Rinker Group 社の株式の過半数
を取得し、建材で世界最大手となった。同社をはじめ第三世界の大手企業は先進国の企業を次々と買
収し始めており、発展途上国に基盤を持つ企業の台頭は、マネジメントと資本調達の能力が世界規模
で普及してきている、という事実を示すと専門家は見ている。
英、ブラウン新首相が5つのグリーン都市建設を公約
英ブラウン新首相の選挙公約の1つに、各1−2万人の人口を擁する新都市5つの建設がある。建
設地には工場跡地が予定され、環境への配慮から再生可能エネルギーによる電力の使用が見込まれて
いる。最初の新都市はケンブリッジシャーの兵舎跡地に建設される予定。これに対し NPO 団体から
は、「跡地に持続可能な新住宅を建設しても公共交通機関がなく車通勤すれば、グリーン住宅を建設
しても意味がない」との批判が出ている。
ユーロトンネルの再建計画前進、破産を免れる見込み
ユーロトンネル社が提案した公開株式交換(OPE)の結果、「資本の 87%に相当する株券」が新株
と交換された。OPE の成功により「再出発が可能」と同社社長は説明している。財政再建計画の主
なステップは(1)グループ・ユーロトンネル社(GET)の新規創設(2)仏法人の Eurotunnel SA
と英法人の Eurotonnel plc が抱える債務 91 億ユーロを約 42 億ユーロに圧縮し、GET に引継ぐ(3)ゴー
ルドマンサックス、ドイツ銀行およびシティグループが融資を行う。
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2007 年 7 月下期号
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海水脱塩化事業、環境問題を更に悪化との勧告
世界自然保護基金の報告書によると、海水から飲料水を作り出す脱塩化事業は、気候変動を激化さ
せる可能性があるという。海水のろ過または蒸発による脱塩は、エネルギー集約型で、真水の供給減
少の要因である温室効果ガスの大量排出をもたらすと言う。持続可能な水源を確保するには、河川、
氾濫原、および湿地帯といった自然資産を守らなければならない。これらの自然体系は壊滅的な脅威
からの防御となり、また水を浄化してくれるからだ。
インド、ヒマラヤの峰に囲まれたダル湖の水質改善事業と住民移住計画
ヒマラヤ山脈に囲まれたジャム・カシミール州のダル湖は美しく静かな水を湛える湖だがその存在
が脅かされている。農地の不法占拠により同湖は縮小し、政府職員が不法埋立と指摘する場所には複
数階建ての建物と工場が立地している。同湖には大量の下水が流入して雑草が繁茂し、湖と水生生物
の酸素不足を招いている。政府当局は湖を浄化し、また湖周辺の住民を内陸部に移住させる計画を立
案中だ。
自動車交通量急増でバーレーンの道路網改善計画
高品質のインフラに対する公共投資を元に顕著な発展を遂げたバーレーン王国では、富の増加と輸
入関税引き下げによる自動車価格の低下で自動車保有率は急上昇し、交通量と渋滞が増加した。高層
ビル群が交通渋滞を招いたドバイとは異なり同国政府は、道路網を急速な発展に追いつかせるため、
その第一段階として交通モデルの改定を計画中。最優先事業としては首都内の環状交差点の切替、キ
ングファイサルハイウェイの改修など。
ブラジル、アマゾン支流の水力発電プロジェクト
ブラジル国境沿いのロンドニア州で、二基の水力発電ダムの建設計画が持ち上がっている。その発
電能力は 6,450MW で、上流に2基のダムが追加建設されると、4,200km に亙り艀の航行が可能
となり、大西洋・太平洋の各港へ農産品等の輸送が可能となる。しかし一方で環境保護団体の反対も
強く、マディラ川の生態系への深刻な影響の他、ゴールドラッシュ時に不法使用された水銀が川底か
ら舞上がるのを懸念する声もある。また、建設労働者とその家族 10 万人が同州に流入すると、住宅
や飲料水の不足がさらに深刻化すると見られている。
フランス サルコジ大統領下で
旧設備省、エコロジー省、地域開発担当部局等が合併して大規模省庁誕生
合併後の新しい省庁である、エコロジー・持続可能開発省の大臣で、副首相格の国務大臣となった
元首相のアラン・ジュペ氏は、20 以上の行政組織の長となり、その他複数の組織も他の大臣と共管
する。監督下にある主な機関としては、旧設備省の土木評議会、道路総局、旧エコロジー省の水局、
汚染およびリスク防止局、産業省にあったエネルギー・資源局、4つの各省委員会、その他国鉄等の
6つの公共機関があげられる。
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2007 年 8 月上期号
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中国製の模造建機、先進国メーカーに危機感
不法模造製品の大部分は中国製と言われて来たが、最近では多国の企業に亙り、市場規模も 3,000
億ドルと急拡大中。その模倣品も機器やシステム全体、旅客機等にも及ぶと言われる。これに対抗しド
イツの建機製造業者は、模造業者の上を行く宣伝で自社の建機の長所を強調する計画だ。著作権に似
たステッカーを建機に貼り、ユーザーが純正製造機器の購入から得られる安全性、信頼性、製品サポ
ートの売込を図っている。
シドニー・クロスシティ・トンネル、約7億豪ドルで売却
当トンネルは、オランダ系の ABN Amro 銀行とオーストラリアのレイトン・ホールディングス社
とのコンソーシアムに、約7億豪ドルで売却された。工費 10 億豪ドルで建設された同トンネルが破綻
に追込まれた主因は、予測交通量の見誤り。1日9万台の予測に対し実際の交通量は3万5千台であ
る。NSW 州政府は料金値下げを進言しているが、PPP プロジェクト破産に対する州政府の責任を
野党は追及している。
米、凍結防止剤を自動噴射するスポンジ状オーバーレイ実験プロジェクト
今冬、豪雪による道路閉鎖と氷結による事故が多発したペンシルバニア州では、同州交通局が特別
なオーバーレイ材の開発を通じ道路と橋梁の安全性と運用性の改善を図っている。エポキシと石材を
混合したオーバーレイ材は、内部に凍結防止剤を溜め込み、氷結状態が進むと自動的に薬剤を放出す
る硬いスポンジのように作用する。同剤は 233m の橋梁に使用される予定で、雪嵐の発生前に除雪ト
ラックが液体凍結防止剤をオーバーレイに充填する。
英、19 世紀のアースダム洪水吐が豪雨に対応できず、堰堤の一部に亀裂
1874 年に設計された Ulley ダムは土質遮水壁型アースダムで、3本の洪水吐の内2本はビクトリ
ア時代に建設されたもの。6月の豪雨当日、この南側の洪水吐が水を処理するはずであったが、水が
大量であったことと、洪水吐の壁面が脆弱であったことから、最終的に崩落につながった。水は流れ
続け、堰堤を押し流し基底付近のダム中央部表面の崩落を招いた。またこの時点で水がダムを通過し、
盛り土の流出に拍車をかけた。同ダム貯水池に亀裂が発見された後、壁の補強と消防隊による水の汲
み出しが行われ、決壊の危機は回避された。堰堤の長期的改修については未定だが、健全度測定試験
の必要性は出てくるだろう。
英、テムズ川支流、水運と洪水制御を兼ねた閘門建設プロジェクト
プレスコット水路の河口に建設される新プレスコット閘門は、Bow Back 川を航行可能な状態に
復活する。同閘門により最大 175 万トンの建設資材が艀で運べ、これによりオリンピックパーク建設
中に、50 万台の大型トラックがロンドンの路上から姿を消すのと同等の効果が得られる。この環境
上、および物流上の恩恵が大きいため、オリンピック調達局、ロンドン都市圏交通事業体、および交
通局が資金を拠出した。
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2007 年 8 月下期号
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イエメンとジブチを結ぶ紅海大橋(世界最長吊り橋 4,987m)計画
4月 25 日、Middle East Development LLC 社(MED)は Noor City Development 社(コ
ロラド州)に、紅海にかかるイエメン・ジプチ間の橋梁建設の計画、開発、建設および管理を進める
ための許可証を発行した。同社の目標は、新しく橋梁を建設して新しい鉄道や道路のハブを結びつけ
ると共に、アフリカおよびアラビア半島のネットワークを結びつけ、紅海の両側に経済的機会と安定
を創り出すことだ。
韓国の遷都計画 実施へ
韓国政府は7月 20 日、人口過密となった首都ソウルの渋滞を緩和」するため新行政首都の
建設を公式に開始した。同政府は 2005 年、新行政首都として忠清南道の燕岐と公州を選定
し、また二つの環をベースとした都市デザインを採用した。2012 年から 2014 年までに
12 省、4庁、2行政機関を含む 49 の政府機関がこの新都市に移転する予定である。計画で
は同年都市は自己充足型の二環の形をした環境に優しい都市で土地の 50%が豊かな森に覆
われる予定である。一方、この開発を無意味な浪費とする評論家もいる。
全米で始まりつつある海水淡水化事業
テキサス州の Brownsville の 運河沿いで同州初となる海水淡水化実証プロジェクトの建
設が行われている。世界で脱される水の総量の 2/3 はサウジアラビア、クウェートおよび
北アフリカで生産されている。海水脱塩による水の全世界生産量はいまだに比較的僅かであ
り、全飲料水の 0.1%弱だ。しかし今後 10 年間で 140%伸びるという予測がある。米国 で
は半塩地下水を浄化するプラントは何百ヶ所もあるものの、より高塩分の海水脱塩は始まっ
たばかり。フロリダ州のタンパベイ地域で海水脱塩化プラントが数年遅れて操業を開始した 。
実証プロジェクトの結果は本格的塩水淡水化プラントの設計、資金調達および建設を支援す
るために利用される。
米、CM の発注実績が伸び悩み、PM が大幅増加
米国の CM/・PM 企業の業績は CM 関係の収益が伸び悩む一方で PM 関係の顕著な増加振
り を示 してい る 。「 用地 の選 択から 費用 の問題 を含 む発注 変更 まで、 所有 者が行 うほ ぼ全 て
の決定には、費用が絡んでくる」のが実情で、米国の大手発注者の 85%がなんらかの形で
PM を利用しているという報告もある。しかし CM/・PM 企業の営業利益は手数料収入より
費用増がより早く進行したため下落していると伝えられる。
ミネアポリス橋梁崩落
8 月 1 日 ミ ネ ソ タ 州 ミ ネ ア ポ リ ス 市 中 心 部 の ミ シ シ ッ ピ ー 川 に 架 か る 州 際 道 路 I35W 号
線 8 車 線 の 鋼 ト ラ ス 橋 が 突 如 崩 落 し 、50 台 前 後 の 車 両 が 事 故 に 巻 き 込 ま れ た と 見 ら れ る 。
死 者 9 名 、 行 方 不 明 4 名 、 負 傷 者 79 名 。 崩 落 原 因 は 現 時 点 で は 不 明 。 事 故 橋 梁 は 連 邦 基
準 で は「 橋 梁 構 成 要 素 に 経 過 観 察 ま た は 補 修 が 必 要 」の 部 類 に 入 る 。2001 年 の ミ ネ ソ タ
大 学 の 調 査 報 告 書 は ト ラ ス ト 材 の 多 く は 溶 接 構 成 が 粗 雑 で 、床 桁 と 対 傾 構 と の 接 続 部 分 に
腐食が認められたとし、このトラスト橋の設計上のリダンダンシー不足を指摘している。
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全世界、洪水被災者は年間 5 億人に拡大
国連幹部職員によると洪水は益々深刻化し、家屋や農地が水没、年間約5億人に影響を与え救援活
動は困難の度合を深めている。予報システム等により死者数は減少しているものの、コミュニティの
住宅、健康、インフラに与える経済的損害は悪化を辿り、深刻な洪水被害は南アジアに限らず他の全
ての大陸で発生している。世界気象機関と気候変動に関する政府間パネルは、複数の災害に対応可能
な予報システムの構築に取組んでいる。
ミネアポリスの橋梁崩落、維持管理の重大欠陥を浮き彫りに
従来米国州政府は、連邦政府が橋梁架け替え費用の 90%を供与する条件である非常に状態の悪い
橋になるまで橋梁を使い切ることを方針としてきた。同規則は変更されたが何千もの橋梁が、通常の
修理をした場合より遥かに悪い状態に放置されている。またミネアポリスで崩落した橋梁の場合のよ
うに、検査チームの技術者がリダンダンシーのないスチールトラス建設など、橋梁設計の全種類を網
羅する具体的な専門知識に欠けている点も問題視されている。
英、洪水危険エリアと住宅開発
6月末にイングランド北部のヨークシャー、ミッドランド、リンカーンシャーを襲った洪水は住宅
2万 7,000 戸、店舗 5,000 戸に被害を与えその保険請求総額は 10 億ポンドに及ぶ。ブラウン首相
は大量の住宅建設を最優先事項の一つに設定したが、環境省は建設指定地域の 80%が洪水危険地域
だと言う。環境・食糧・農村地域省が実施中の予備計画は2段階から成り、第1計画では利害関係者
間のより緊密な作業を考察し、第2計画では建物自体に変更を加えることで洪水に対し建物を回復力
の優れたものにする方法を模索するものである。
モスクワに誕生する新都心
モスクワ・シティは事務所、ホテル、アパート、レストラン、店舗、および娯楽センターから成る
複合施設で1日当り 50 万人を呼び込むと見込まれている。中心部に赤の広場とほぼ同じ広さの広場
が建設される予定である。このプロジェクトの運営者はロシア政府と民間投資家の共同企業である。
投資不足で 21 世紀になるまで殆ど動きはなかったが、現在、石油によるロシアの経済成長のおかげ
で現場は建設ラッシュに沸いている。
オランダ運輸・水利省、衛星を利用した道路課金調査に着手
オランダ運輸・水利省は、衛星を利用した全国ベースの対距離課金制度導入を提案しており、全て
の車は総走行距離ベースで課金され、走行する時間、場所、車の特性によって違いが設けられる。こ
のシステムの正確性と信頼性についての調査を英国運輸研究所(TRL)コンソーシアムが行う。な
おドイツおよびスイスで既に行われている同種の課金制度は高速道路における大型車に限られてい
る。
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アジア、下水設備の不備が莫大なツケに
アジア開発銀行(ADB)は、アジア諸国の多くは公衆衛生に対し投資不足であり、地下および地表水
の両者に大規模な汚染を引き起こしているという。さらに公衆衛生および排水に適切に手を打たなけ
れば都市や周辺地域を汚染し、最終的には腸チフスやコレラの大発生が起こると同行は警告した。
2006 年中国は公衆衛生および排水処理に 1,250 億ドルを投資する計画を発表したが、まだ必要性に
対し不十分だと同行は言う。
ロサンゼルス、建築規制の緩和による効果の検証
ロサンゼルス市は低層のロサンゼルス・コンベンションセンターの空中権売却に関する投票を行い、
開発業者がさらに大型で容積率の高いプロジェクトが行えるよう、中心部の用途規制を緩和した。開
発業者は今後戸数の 15%を低所得者のために確保すれば現行の市街化調整区域法が認めたものよ
り 35%大型の建物の建設が可能となるが、他都市に比べ大いに見劣りする交通網が、住宅面の充実
と共にクローズアップしてきている。
英、ECI を総合レビュー
早期請負業者参加(ECI)は、公共部門の幹線道路工事調達の最新手法だ。ECI で請負業者はプロセ
ス開始直後にチームに参加し、立案、建設可能性評価および費用見積りに参加する。重要な利点は開
発プロセスの一部を同時に行うことで、準備期間の 30-40%の削減が可能な点だ。請負業者は契約
リスクの削減と入札費の低下による恩恵を得た。一方 ECI 導入以来 HA は、僅かな訓練しか実施せ
ず職員に意欲が欠けているとの指摘もある。
カリブ諸国・世銀による災害保険、ハリケーン「ディーン」は下りず
頻発するハリケーンの被害に悩むカリブ諸国の首脳陣は、緊急時に備えた保険制度の創設を世銀に
働きかけた結果、今年2月にそれが実現した。カテゴリー5(最大規模クラス)のハリケーン「ディ
ーン」により 20 名の死者も出たが、風速その他の基準値を「ディーン」は下回ったため保険の支払
は行われなかった。15 のカリブ諸国と英領バミューダは、20 年に一度のハリケーンや地震にしか
下りない災害保険に加入してしまったと一部で言われている。
スーダンのヌビア地方、ダム建設を巡り第二のダルフールに
1956 年の独立以来スーダンは内乱が続き、計 200 万人の死者を出した。現在多くの人々はスー
ダン北部のヌビア地方が戦場となることを恐れている。その背後には、資源を巡る争い、民族浄化の
非難、アラブ人支配の政府による国民の社会的疎外への不満がある。最近の騒乱はヌビア地方の中心
地を流れるナイル川沿いに、2基から3基の発電用ダムを建設するという政府提案に端を発する。同
地域の住民は、ダムにより河川水位が上昇し多数の村落が飲み込まれれば住民の大部分は移住を余儀
なくされる。
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マレーシア、スマートシステム(道路と洪水対応トンネル)が完成間近
深刻な洪水と慢性的な交通渋滞に悩むクアラランプールで、洪水に対処する特別な排水システムを
兼ねた道路トンネルの建設が行われている。全長 11.5km、直径 13.2mの洪水調節・道路トンネルは、2
つの河川の合流点から大量の雨水を迂回させ、洪水の発生を防ぐ。中央区間は 2 層化され下層部分の
下に排水溝があり、通常は幹線道路として機能する。特別の大型台風の来襲時にはトンネルは閉鎖さ
れ、全トンネル区間が総計 300 万m3の貯水容量を提供する。閉鎖された道路は 48 時間以内に通行が再
開される計画となっている。
75%の PFI がコスト超過
英国において契約から5年が経過して運営段階にある、最初の 49 件の PFI 計画のサービス価値の
テストが行われた。その結果、5年間に4分の3でサービス料が増加し、22%で低下していることが
判明した。財務省およびパートナーシップ UK が立ち上げたデータベースは、843 のプロジェクトの
詳細を保有し、サービス料の増加と低下に関する情報を提供する。
ピサの斜塔、安定化工事が完了
イタリアのピサの斜塔の安定化工事が完了し、1838 年当時の傾斜角に戻った。工事は塔北側下部
の土を約 63 トン除去し斜塔頂部で約 46cm 鉛直方向に戻す工事であった。1990 年に一般公開が中止
された時点では同斜塔は鉛直方向から 4.5m 傾いていた。石造建築物自体も長年のゆがみで劣化して
おり、今回の工事ではこの修復補強も行われた。
パリの貸し自転車開始から1ヶ月、業績は上々、周辺市町村やロンドンにも飛び火
パリでは7月 15 日からの一ヶ月間でパリ市民延べ 150 万人が1万 600 台の自転車を利用した。平均
利用時間は 20 分、平均利用距離は2km。問題点としては、スピードが出ないこと、自転車が重いこと、
および自転車の盗難等の発生である。この貸し自転車制度で最も影響を受けたのは貸し自転車専門業
者で、タクシー業者への影響は殆ど見られなかった。パリの8区のスポーツ用品店の売上げも一時的
に低下したが、直ぐ元のレベルに戻った。ロンドンのリヴィングストン市長は同制度のロンドンでの
実施可能性に関し調査を命じた。
フランスの砂浜海岸の浸食は海水位上昇で加速の恐れ
フランスの海岸の 1/4、砂浜の半分が浸食問題の対象になっている。地球温暖化により暴風雨の強
度、
頻度が増加し海水位が 2100 年までには 18−59cm 上昇し海岸線の様相が変わる可能性がある。
コルシカを含めフランスには延長 5,000km の海岸線があるが、砂浜(41.4%)が多く問題を抱えて
いると指摘されている。予算の不足や、オランダおよびニュージーランドと比較した場合の海岸保全
技術の遅れが挙げられている。
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ベトナム、カントー橋崩落事故の原因に関する様々な憶測
9月 26 日に崩落したカントー橋は、メコン川の支流ハウ川の両岸を結ぶもので、全長 2.7km、
中央支間長 550m、4車線の斜張橋で完成すれば、現在フェリーを利用して渡っている数千人の人々
の渡河に要する時間は大幅に短縮されるはずであった。総工費3億4千万ドルの同プロジェクトには、
日本の大手建設会社とコンサルタントが関わっている。事故原因の憶測が飛交う中、足場と支保工の
緊急補強を訴える事故前のメモが公表されている。
米、ミネアポリスの橋梁崩落、凍結防止システムが原因か?
国家交通安全委員会(NTSB)はミネアポリスの I-35W 号線橋梁の崩落原因の可能性の一つとし
て、同橋に後から設置された防氷装置の調査を進めている。同システムは常に気温、湿度や他の環境
要因を読み取り、華氏 35 度で作動する。2006 年の MNDOT の報告書に、同橋のすぐ北の主橋床
トラスの取り付けスパンの桁の 1 つに「除氷システム漏出による塗装不良」がある事が記されてい
る。除氷薬品が橋の塗料にどれだけの影響を与えたか不明である。
カリフォルニア、ダム事業に 90 億ドル必要
シュワルツェネッガー知事は、ベイエリア、サクラメントとサンホアキン・バレー等の3つのダム
プロジェクトに 90 億ドルの公債を発行すると発表した。殆どの大規模な水事業が国又はその水の利
用者により行われてきた州においての公債の発行は、従来の水開発の資金調達からの脱却を意味する。
同知事のアドバイザーは、州全体として利益がある事業にのみ税金を使い、投資額もダムの事業コス
トの最大 50%で残りは水の使用者たちが払うと言った。
21 世紀のカザフスタン
カザフスタン政府は 1997 年に公式に首都をアルマトイからアスタナに移動し、新首都に世界最
大規模の建設事業が展開された。そこにはアスタナを中央アジア全ての中心とするだけでなく、国際
社会参加者への記念事業としている。この建設作業のためアスタナは 2002 年に経済特区に指定さ
れた。都市建設に参加している投資家達に土地、財産税、消費税、関税に関し特権と有利な条件が与
えられる。
アフリカ各地で洪水の被害発生
記録的な洪水により、アフリカ各地の 18 カ国で約 150 万人が被害を受け、300 人近くが死亡
した。ウガンダ東部では 15 万人が家を失い、自給自足農民が多数を占める 40 万人が農地を奪われ
た。アフリカ東部、西部および北部の国々でも被害は甚大である。移住を強いられた人々は目下の必
需品の確保に追われているが、一部の地域では、洪水で作物が流されたため、近い将来に食料不足が
待ち構えていると援助団体は警告している。
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中国、三峡ダムさらに数百万人が移転
長江の洪水抑制とクリーンな電力供給を目的に建設される世界最大の水力発電所三峡ダムは、国内
に山積する環境問題と経済急成長の影の部分を露呈することとなった。ダム近くに建設された貯水池
周辺からさらに 400 万人の立退きは三峡渓谷の地滑り対策の他に、人口過密が新しい湖の水を汚染
する公害源となる恐れへの対処もあり、都市化と貧困緩和、貯水池のより良い水質保護対策が見られ
る。
ハノイ近郊 Lang-Hoa Lac ハイウェイは韓国企業の BOT
ベトナム政府は、韓国の建設業者5社からなるコンソーシアムと、Lang-Hoa Lac ハイウェイの
ホアビン省までの延伸プロジェクト(総額1億 5,000 万ドル)に関して合意に達した。同プロジェ
クトは、BOT(建設・運営・譲渡)の一部として同コンソーシアムにより実行される。このハイウ
ェイは首都ハノイを Hoa Lac ハイテクパーク及びベトナム国伝統村と結ぶもので、Hoa Lac の起
点でホーチミン道路と接続する。
ミャンマー、軍事政府資金になる天然ガス
タイにとりミャンマーからの天然ガスは、全電力の 20%を発電するものであり、貧困に喘ぐミャン
マーにとっては、今年約 28 億ドルを生み出した最大の資金源だ。ミャンマーを支配する軍司令官たち
にとり現金は中国からの武器の購入、インドからのヘリコプターの購入等の資金となる。また中国の
ミャンマーへの傾斜は、経済、戦略地政学の両面で見られ、国連安保理では拒否権を発動し、ミャン
マーの人権問題を議題に加えないように動いている。
米、五大湖の環境整備に 260 億ドルが必要との見積り
米国とカナダの国境に連なる五大湖は、地表最大の淡水系で、その水量は米国の地表にある淡水の
90%以上を占め、米加両国の 4,000 万人に飲料水を提供している。その相互に繋がりあった五大
湖も高濃度の毒性物質等、数多くの環境問題が発生している。五大湖回復に関する報告書が掲げる行
動計画は(1)下水処理システムの近代化(2)侵入生物種の阻止(3)鳥および水鳥用の野生動物
生息環境の復元(4)汚染された堆積物の除去、である。
温暖化対策として住宅開発は高密度より低密度、
英都市地方計画協会による新報告書
英国の都市地方計画協会(TCPA)は報告書の中で、開発業者が低密度で建設を行い、新住宅計画
に充分な樹木と緑地帯を確保すれば同国は、現在の気温レベルの維持が可能だろうと述べている。高
密度地域にある既存の緑地にさらに緑地を 10%加えるだけで、最高地表温度を 2080 年まで現在
の水準に維持できるとの見方もある。都市緑化は、空気を冷やす働きをする蒸散を可能にすることで
機能する。
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2007 年 11 月下期号
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中国、EU と共同で河川浄化
新華社電によれば、中国と欧州連合(EU)は共同で黄河および揚子江の浄化キャンペーンを開始し
た。5年計画で黄河沿いの地域の汚染管理、産業公害や廃棄物削減等を目的とし、費用は、EU から
の助成金 2,500 万ユーロ、世銀からの 8,000 万ユーロ超の融資、中国自身の 7,000 万ユーロ超の資金で賄
われる。さらに1億 7,500 万ユーロの資金が、揚子江の上、中流域の生態学的な保護区改善を目的と
して、住民が経済的かつ生態学的な植林を行うために使用される。
中国、有料道路運営事業を香港上場企業へ売却の動き
毎年数百万台の新車が路上へ繰り出す中国の有料道路システムは、既に世界最大級となっているが、
全体的に見て赤字経営だといわれている。成長を続ける道路網の大部分を運営する地方行政は、道路
建設に伴う借入返済に充当する通行料収入が目標額に達せず、事業拡大を維持するため負債の少ない
株式会社への売却を考えている。投資する側からは「道路運営会社への投資は手堅い選択」という見
方が出ている。
マレーシア、マレー半島東部総合開発入札開始
マレーシア政府は、2020 年までに 340 億ドルを投資して、マレー半島の民族的な中核地帯を農
業、エネルギー、および観光の中心地に変換すべく野心的な入札を開始した。同計画には空港、道路、
港湾の施設改善の他、天然ガスおよび石油化学製品の拠点拡大も含まれる。資金の半分は、同国東北
部の4百万人の故郷にあたる最貧州の交通・インフラ部門に充てられる。340 億ドルの資金源は
20%が民間部門、27%が PPP、残りは政府資金となっている。
カリフォルニア、火災危険地域で耐火構造住宅
10 月 20 日にカリフォルニア州南部の山火事で甚大な被害が発生したが、同州のサンタクララ南
部の基本計画通りの住宅 5,000 棟は被害を免れた。適切な建築技術を施せば、住宅の火災の危険が
大幅に減少することがこれにより証明された。尚このような耐火構造にはコンクリート屋根瓦等が含
まれる。しかし同州のコミューニティの住宅は、耐火基準からは程遠く、火災の危険の高い地域では
新しい建物に厳しい建築基準が適用される見込みである。
ASEAN の成長とこれからのアフリカ
ASEAN 諸国にとり輸出は経済成長の主力であり、参加各国は輸出推進の観点に立ち確固たる経
済地域の確立に努め成功を収めた。これとは対照的にアフリカは引かれた人為的なサハラ以南の国境
線という歴史的遺産、民族対立、市民の自尊心の欠如、指導者の失政の記録が経済統合を阻害してき
た。しかしエネルギー分野で先ず統合を進めていくことは可能である。アフリカは、世界の三分の二
の水力発電資源を擁するエネルギー源が豊富な大陸である。
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ラスベガス、下水を発電に利用
現在、ラスベガス地区の高度処理した下水をミード湖の新放流点に送る、27km のパイプライン
の建設準備が進められている。同プロジェクトの目的には下水流を利用した発電が含まれている。ラ
スベガス都市圏の下水処理プラントから下水を集め、ミード湖の湖底で排出する。ラスベガス市街地
と湖底は約 122m の落差があるため発電が可能である。ミード湖としても、湖水レベルが下がって
いることから、その排出の必要がある。
豪マッコーリ社、中国の有料道路に出資
豪州の投資銀行のマッコーリーグループが運営するファンドは、中国南部の華南高速道路株式のう
ち、81%を購入したと発表した。これは同グループによる中国の有料道路に対する初の投資である。
Macquarie International Infrastructure Fund 社は 2026 年まで華南高速道路の料金徴収権に
よる収益分配が得られる。全長 31km の同高速道路は中国で3番目に人口が密集する広東省の省都、
広州の中心部を通過し、年率 13%の交通量の伸びを示している。
五大湖の水位低下で輸送コスト増
五大湖の水位が低下している。オンタリオ湖では1年前に比べて水位が 18 センチ低下した。湖の水
位が1インチ(2.54 センチ)低下する毎に大容量の資材を運ぶ船は積荷を 270 トン減らさなければ座礁の
危険がある。国際合同委員会は、五大湖の縮小は季節的な増減サイクルによるものか、温暖化の結果
なのかを調査中である。毎年平均2億 4,000 万トンの貨物が五大湖を利用して運ばれる。63 隻の米
国船が使用され水位が正常値より1インチ低下する毎に 8,000 トンの輸送力が失われる。
チリの交通問題改善策失敗、国家最大の集団訴訟へ
チリのサンティアゴ市は交通渋滞や騒音、汚染対策として約5年前にトランサンティアゴ計画を実
施した。コロンビアの首都ボゴタ市の成功例に倣った同計画は、バスに焦点を当てたボゴタ市と違い
地下鉄を計画の要とし、バスを地下鉄に連結させたため効果がなく自動車交通量は 20%増加した。
現在数百人の通勤者が計画の担当者を告訴している。バス専用レーンや、バス乗車前や駅到着前に簡
単に切符を買う手段を欠いたことが失敗の原因。
水資源予算をめぐるブッシュ大統領と議会の攻防
生態系保存と水供給を目的としたフロリダ州エバーグレーズ湿原再生プロジェクトは、2000 年
に始動したが 2002 年に中断、連邦政府からの予算は、水資源開発法(WRDA)の不成立により約
5年間凍結された。ブッシュ大統領は、同湿原再生を支持する工事予算を大統領予算教書に組込んだ。
しかし議会は、修正を加えて予算を 230 億ドルに増額し、同大統領はそれに反対し拒否権を発動し
た。これを受け上下両院はさらに拒否権を覆した。
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ロンドンオリンピック交通計画、全観客を公共交通機関で会場に
オリンピック調達局は 2012 年のロンドンオリンピックの交通計画書を発表した。その目標は
1,000 万人と予想される全観客を自動車によらず公共交通機関、徒歩および自転車で競技場に移動
させることだ。例えばジャベリン高速鉄道シャトルが、セントパンクラス駅からストラトフォードイ
ンターナショナル駅まで乗客を7分で輸送し、更に地下鉄駅をバリアフリーにするため 83 の駅で大
量のエレベーターやエスカレーターが設置される予定だ。
中国、国家環境保護第 11 次5カ年計画発表、
汚染原因者は浄化費用負担
11 月中国政府は環境保護計画を遂に発表した。これは拡大しつつある同国の大気および水質汚染に
対する取組みの強化を約束するものであり、また初めて温室効果ガスの削減の必要性を強調している。
またこれまでに実現していない二酸化硫黄の 10%削減も今回の計画に盛り込まれている。同国では、
環境汚染が一因となっている奇形児の増加も指摘され始めている。同国政府は、環境汚染に関するデ
ータを一般人に公開しないという姿勢を崩していない。
バングラデシュ、サイクロン被害
バングラデシュにカテゴリー4 のサイクロン・シドルが 11 月 15 日に来襲し、同国南部沿岸で死
者 3,500 人、被災者 410 万人、家屋倒壊 92 万 6,000 棟の被害が出た。しかし 90 年代初頭に
今回のサイクロンが来襲していれば、死者数は 10 万人に達していたであろうと言われている。現在
はどの地域にも防災団が組織され、災害時には住民を安全な場所に誘導し、天災が迫るとモスクの拡
声器により村に警報を流す仕組みになっている。
米、ガソリン税と走行距離課金の比較試験を 6 州で実施へ
米国6州で、公募によるドライバーが車にコンピューターと GPS 装置をつけて走行し、走行距離
課金と現在ガソリンで払っている金額を比較する実験を行う。これまで道路プロジェクト主要財源は
連邦ガソリン税であった。車の燃料消費効率の改善等によりガソリン税歳入は走行距離程には伸びな
い状況下、走行課金に魅力を感じている州もある。一方、プライバシーを主張する人たちは、GPS
技術による運転ルート追跡に懸念を表明している。
英、新築家屋税をインフラ整備新財源に
英国では新築家屋に課される家屋税(roof tax)により道路、水道および電力インフラ用に数十億ポ
ンドの追加資金が調達される。同税は新しい開発に必要な道路や他のインフラ建設に必要な資金を提
供するものと思われる。同税は南東イングランドのミルトン・キーンズで導入された家屋税と類似の
ものとなろう。そこでは地域インフラ提供等の標準的負担に開発業者が同意しない限り開発許可は下
りない。
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