ASSET MANAGEMENT Free at Last ニューバーガー・バーマンは、当時の親会社リーマン・ブラザーズの破綻に巻き込まれたものの、その後パート ナーシップ経営に原点回帰し、今、厳しい環境にある投資の世界に挑んでいる。 本誌:ジュリー・シーガル 撮影:マイク・マクレガー /41 FEATURE SLUG CEO ジョージ・ウォーカー4世 生まれ変わった企業、歴史ある組織 I N S T I T U T I O N A L I N V E S T O R . C O M • F E B R U A RY 2 0 1 4 ASSET MANAGEMENT ジョージ・ウォーカー4世(George Walker IV)は、ゴー ルドマン・サックスでの14年に及ぶ華々しいキャリアを 経て2006年にリーマン・ブラザーズに移籍したものの、 その後、いわゆる「金融危機のグラウンド・ゼロ」とい う稀有な環境に置かれていることに気付くことになる。 当時バリュー戦略を得意とする投資運用会社であったニューバーガ ー・バーマンを含むリーマンのグローバル投資運用のビジネス統括を 任されていたウォーカー氏は、2008年9月中旬に発生した米国史上最大 となるリーマン倒産劇の渦中に、突如巻き込まれてしまう。自身が統 括していた事業を、無傷で投資銀行から切り離す手続きに心血を注ぐ 中、破産弁護士、企業再生会社、債権者委員会、リーマンの企業買収 チームなどとの数々の会議に忙殺され続けた。 ウォーカー氏が携わった資産運用部門は、外部顧客向けの株式、債券 およびオルタナティブ運用を監督する役割を担っており、リーマン解 体の発端となった事業とは一切関わりがなかった。しかしそれは、部 外者にとって重要ではなかあった。リーマンの資産運用部門は多くの 専門家からは優良資産と目されていたものの、当時、僅かながらでも リーマンと関わり合いを持つことは、悪評を延々と立てられることを 意味したため、世論を懸念したニューヨーク市退職基金など公的年金 の顧客が続々と離れていった。 そのような状況でも、ウォーカー氏は新たな買い手を見つけることは 可能と考えていた。現金回収を望んだ債権者たちも、同氏の計画を支 持していた。しかしウォーカー氏にのしかかるプレッシャーは相当な もので、いつ資金繰りが完全にストップするかも知れない危機にも直 面していた。さらに、買い手が現れなければ、顧客および役職員が大 量に流出し、事業価値が急速に損なわれるリスクもあった。 しかしウォーカー氏とニューバーガー・バーマンは幸運に恵まれてい た。2008年の夏頃から、リーマンは資金調達のため、同グループの売 却に着手していた。また、金融危機前の比較的閑散としていた時期 に、いくつかのプライベート・エクイティ・ファンドを含む潜在的な 買い手が買収に向けたデュー・ディリジェンスを既に終えていた。 その結果、ウォーカー氏は、ジョセフ・アマト(Joseph Amato、ニュ ーバーガー・バーマン現最高投資責任者)、アンドリュー・コマロ フ(Andrew Komaroff、同最高執行責任者)、ヘザー・ザッカーマン (Heather Zuckerman、同最高総務責任者)といった当時ウォーカー氏 の下にいたマネジメント・チームと共に、ベイン・キャピタルとヘル マン&フリードマンのプライベート・エクイティー投資会社2社へ、ニ ューバーガー・バーマンそしてリーマンの債券及びオルタナティブ運 用部門を総額21億5,000万ドルで売却する交渉に漕ぎ着けることに成功 した。この契約は、リーマン・ブラザーズの破産申請の2週間後にあた る9月29日に調印された。こうして旧リーマンの投資部門を併せた事業 は、ニューバーガー・バーマンの名を冠して存続することとなった。 グランド・セントラル・ターミナルから数ブロック先にあるニューバ ーガー・バーマンのニューヨーク本社で、最高経営責任者となったウ ォーカー氏は、「我々はどの(資産運用)会社よりも大きな打撃を被 ったものの、我々ほど安定感を示した会社も存在しなかった。」と当 時を振り返る。 ーマンという瓦礫の中から生還した英雄を見る様な色眼鏡を外し、組 織としてだけでも客観的にニューバーガー・バーマンを見た場合、同 社は中堅規模の非上場運用会社であり、同社がビジネスを展開する資 産運用業界は、上場、非上場を問わず、4.3兆ドル規模の運用資産を有 するブラックロックや、JPモルガン・アセット・マネジメント、フィ デリティ・インベストメント、バンガード・グループといった、それ ぞれ1兆ドルを超える運用資産残高を誇る巨人たちが支配している。 ところがウォーカー氏は、ニューバーガー・バーマンは、運用市場で 存在感を発揮し、リサーチ及びセールスチームを支援することを十 分可能にする企業規模であり、同時に、並外れたリターン獲得が大 いに可能なコンパクト性と機敏さを有すると確信している。「むし ろ、会社が成長すればするほど、超過収益の獲得が困難になってい くだろう。」と語る。 「あのような重圧を経験した組織が、運用の失敗やパフォーマンスの 損耗をほとんど被ること無く生き残ることができたのは、信じ難い偉 業です。」そう語るのは、ニューヨークを拠点とする運用会社ホライ ゾン・キネティックスのCEOダグラス・クレイマー氏(Douglas Kramer)である。かつて同氏は、ペンシルバニア大学でウォーカー氏の同 級生であり、ゴールドマン・サックスではパートナーを務めていた。 「後のニューバーガー・バーマンとなる事業体をリーマン・ブラザー ズという組織から無傷のまま切り離すには、それを行うに相応しい器 量を備えた人物が必要でした。そして非上場のままでいることは、明 らかに競合他社からの差別化を図り得ます。ニューバーガー・バー マンは今後の成長余地があるだけでなく、超過収益を生む専門的な運 用商品を提供する能力をも有しています。規模が大きすぎる運用会社 に、そのことが果たして可能でしょうか?」 セントルイスの裕福な一家に育ったウォーカー氏(44) 曽祖父ジョージ・ハーバート・ウォーカー(George Herbert Walker) は、後にメリルリンチの一部となった金融会社G.H.ウォーカー & カン パニーを創業し、その後も、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの前身 であるW.A. ハリマン & カンパニーの経営に携わった。彼の義理の息 子プレスコット・ブッシュ(Prescott Bush)はブラウン・ブラザーズ での勤務経験があり、後にコネチカット州選出の上院議員となった。 プレスコット・ブッシュの息子そして孫にあたるのが共に米国大統領 「あのような重圧を経験した組織が、運用の失敗や パフォーマンスの損耗をほとんど被ること無く生き 残ることができたのは、信じ難い偉業です。後のニ ューバーガーとなる事業体をリーマン・ブラザーズ という組織から無傷のまま切り離すには、それを行 うに相応しい器量を備えた人物が必要でした。」 ― ダグラス・クレイマー氏、ホライゾン・キネティクス しかし、ニューバーガー・バーマンの非上場企業化を完了させるまで に、もう一つドラマが待ち受けていた。株式市場は、前述の買収が完 了する前に暴落を続け、買収契約に盛り込まれていた買収価格を引き 下げる条項が発動される事態へと発展した。それにより、ニューバー ガー・バーマンの経営陣がマネジメント・バイアウトを提示すること が可能となったのである。最終的に9億2,200万ドル相当のMBO契約が 2008年12月20日に発表され、同社の評価額が将来上昇するのを予想し たリーマン・ブラザーズの破産管財人は49%の持ち株を継続保有し、 同社の役職員が残り51%を取得することになった。 に就任したジョージH・Wブッシュ(George H. W Bush)、ジョージWブ ッシュである(George W Bush)。(後者はウォーカー氏の再従兄弟あ たる。)ウォーカー氏の父は後年セントルイスに帰郷し、証券会社ス ティフェル・ニコラウスのCEOに就任した。ウォーカー氏自身は、ペン シルベニア大学ウォートン・スクールを卒業後、ゴールドマンに入社 する。同氏は1994年にゴールドマンのドイツにおける投資銀行業務の 拡大に携わり、その後ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメ ントの設立に従事し、1998年には同社のパートナーに昇格した。 今日では、ニューバーガー・バーマンは、役職員のおよそ2割近くによ り同社株式の約80%を保有する独立系企業となった。しかしながら、リ 2001年初頭になるとウォーカー氏は、ゴールドマンのヘッジファン ド戦略部門の立て直しを任された。同部門は、ブルース・コブナー せ、業務遂行の枠組みを提供し、そして必要な経営資源を確 保するという同氏の経営スタイルを称賛している。 ウォーカー氏が経営の舵取りを任されているニューバーガ ー・バーマンは、これまで様々な変遷を辿ってきている。同 社は、1929年にRadio Corp. of Americaの空売りで名を馳せ た美術収集家ロイ・ニューバーガー(Roy Neuberger、2010年 に107歳で死去)と、同氏のパートナーであるロバート・バー マン(Robert Berman)およびハワード・リップマン(Howard Lipman)3名の共同出資で1939年に設立された。同社は、1950 デビッド・カッパーマンとジュディス・ベイル:ヘッ 年に業界先駆けとなったノーロード・ファンドの一つである ジファンドとバリュー投資のプロダクト・ミックス 「ガーディアン・ファンド」を設定し、バリュー投資と個人 富裕層のための資産運用でその名が知られるようになった。 ロイ・ニューバーガー氏は、各運用チームを軸に社内体制を (Bruce Kovner)やポール・チューダー・ジョーンズ2世(Paul Tudor 構築し、1990年代には投資戦略面での多様化を図った。ニュ Jones II)といった錚々たるトレーダーたちを輩出し、1997年にゴー ーバーガー・バーマンは、60年間に亘る非公開企業としての経営体制 ルドマンに買収されたコモディティーズ・コーポレーションが前身と を経てITバブル全盛の1999年に上場を果たし、多くの自社経営陣に大 なっている。かつてゴールドマン時代にウォーカー氏の同僚であった いなる恩恵をもたらした。 イーガートン・キャピタルのCEOジェフ・ブランバーグ氏(Jeff Blumberg)は、ウォーカー氏の才能は、彼のような新任の上司に対して警 それから4年後、再び同社の経営陣は多大なる富を手中に収めること 戒心を抱く役職員に囲まれた緊迫した状況においても事業を進め、緊 になる。当時金融界で主流となっていた、収益変動を低減させるため 張や混乱を打開していくことであり、現にその才能がニューバーガ に様々な事業資産を取得する経営手段の一環として、リーマン・ブラ ー・バーマンを再建させたと分析する。さらに同氏は、「ウォーカー ザーズが26億ドルでニューバーガーの買収を行ったためだ。リーマン 氏は自らの信ずるところを社内に浸透させようとしますが、同時に、 は、ニューバーガー・バーマンの運用対象を株式以外の資産へ広げ、 その企業の文化に対する敬意を決して忘れないのです。」と述べてい 自社のグローバル規模のネットワークを活用して世界中の投資家へ運 る。 用商品の拡販を目論んだ。リーマンの当初の構想は、ある程度実現し たと言えるが、資産運用業務は、収益面では投資銀行業務のごく一部 ウォーカー氏は、リーマンへの移籍を承諾したのは、ゴールドマン時 を担うに過ぎない状況が継続し、また、運用業務の国際化に真の意味 代上司であったピーター・クラウス(Peter Kraus)とエリック・シ で成功したとは言い難かった。しかし、ニューバーガー・バーマンは ュワルツ(Eric Schwartz)両氏が、20年後もゴールドマンに居続ける リーマンの資金力とプライベート・エクイティー等の運用分野におけ であろうと誤った予想を当時していたからと述べている。実際は両氏 るノウハウを活用することが可能となり、一方でリーマンは、マネ ともゴールドマンに残ることはなかった。クラウス氏は現在アライア ー・マーケット・ファンド(MMF)などの同社の運用商品をプライム・ ンス・バーンスタインの経営者となり、シュワルツ氏は個人投資家へ ブローカー業務や投資銀行業務で活用し、富裕層を対象とする同社の と転身している。ウォーカー氏は、バリュー投資の第一人者と称され 投資顧問部門に自らの顧客を紹介した。 るマーヴィン・シュワルツ(Marvin Schwartz)を始めとするポートフ ォリオ・マネージャー達が数十年にも亘り優れた運用成績を積み上げ リーマンはニューバーガー・バーマンを買収したのと同じ年、シカゴ てきているニューバーガー・バーマンでは、自身の経営スタイルをト を拠点とするリンカーン・キャピタル・マネジメントの債券事業と、 ーンダウンせざるを得なかったことを認めている。今日では、ウォー ダラス拠点のプライベート・エクイティ・ファンド・オブ・ファンズ カー氏の同僚は、権限委譲を行う決断、役職員に対して自主性を持た の運用会社クロスロード・グループも買収していた。リーマンの運用 ASSET MANAGEMENT 資産残高は2,790億ドルに拡大し、2003年11月 末から2008年6月末までの複利成長率、売上高 は年率で各々22%、27%に達した。 現在、ニューバーガー・バーマンの運用資産 残高は2,420億ドルであり、機関投資家および 個人投資家向けに伝統的な債券ロング・オン リー戦略、株式戦略、オルタナティブ戦略を 含む運用商品のラインナップを提供し、堅調 に成長を続けている。ニューバーガーがリー マン傘下にあった時、業界トップ10に名を連 ねる投資コンサルタント各社は、同社の52の 投資戦略を推奨していたが、現在では推奨を 受けている戦略数は109に拡大している。ニュ ーバーガーは、269億ドルの資産規模を有する テキサス・パーマネント・スクール基金を含 む大手顧客と運用委託契約を獲得している。 同基金は、プライベート・エクイティーの共 同投資戦略とセカンダリー戦略で総額9億ドル 相当の運用を同社に委託している。 運用面においてもニューバーガー・バーマン は、堅調な運用成績を収めている。2013年9月 末時点で過去10年に亘り、同社が運用する伝 統的な株式および債券運用戦略のうち、88%が 手数料控除前ベースでベンチマークをアウト パフォームしている。 ニューバーガー・バーマンは、今やヘッジフ ァンドと伝統的な資産運用会社の双方が求め ているマルチ戦略などの運用商品を提供でき る体制にある。リーマン・ブラザーズからの 離脱劇は悪夢のような出来事ではあったもの の、リーマンは、ニューバーガー・バーマン 本来の強みである株式バリュー戦略、ハイ・ イールド債やレバレッジド・ローン等の高付 加価値債券戦略、そしてセカンダリー投資と 共同投資を含むプライベート・エクイティ・ ファンズ・オブ・ファンズ戦略の各運用資産 を混成した魅力的な運用商品を作り上げるこ とに成功した。リーマン傘下に入る過程を経 る事なしには、ニューバーガー・バーマン は、現代の市場において競争力を保持するた めに不可欠な高いリサーチ力やトレーディン グ技術、様々な市場環境に応じた運用商品の 提供能力等を得る機会が無いままで、特定の 運用戦略のみに特化したブティックであり続 けたであろう。ウォーカー氏はこの点につい て、「確かにリーマンに名を連ねたことで、 結果として大惨事に巻き込まれることになっ たが、当社が誇る企業文化とリーマン時代に 培ったノウハウを用いれば、生き残りは可能 であると確信していた。」と語っている。 また、ニューバーガー・バーマンに在籍する 役職員の多くが主張するように、非上場の道 を選択し、大手金融機関に属さないことも、 競争優位性を獲得することに繋がっている。 例えば、運用担当者に対する繰延報酬を全 額自社ファンドに投入する決定を行えるこ とも、非公開企業ならではのメリットの一 つである。同社最高投資責任者のアマト氏 は、「私たちは顧客とのミーティングの席 上で、『お客様が投資するファンドに我々 も投資家として投資をしています。』と伝 えています。」と述べている。リーマン・ ブラザーズの株式リサーチ部門においてグ ローバルの統括責任者を務めていたアマト 氏は、2006年からニューバーガーのMBOが行 われるまでの期間、リーマン傘下にあった ニューバーガー・バーマンの運用部門を統 括していた。非上場企業であるニューバーガ ー・バーマンは、適度な事業成長によって役 職員の福利を提供する必要はあるものの、上 場企業に求められる明確な数値目標の設定を しなければならないしがらみは存在していな い。そして、運用担当者がより長期的な時間 軸で運用を行うことができ、資産規模が大き くなり過ぎたファンドを償還できることも、 非上場であるメリットとなっている。 「非公開企業は、あらゆる面で利点がありま す。」そして「非上場の運用会社では、親会 社の優先事項に憂慮する必要はなく、また、 市場動向に左右されて短期的な意思決定を 行う必要もないため、役職員も非公開を好む 傾向があります。また、ファンド運用者が外 部の音に邪魔されることなく運用に専念す ることが可能となるため、大口投資家も非上 場の運用会社を好む傾向があります。」と 語るのは、コネチカット州スタンフォードを 拠点とするアセットマネジメント分野の人材 紹介会社ウィルバンクス・パートナーズの 経営者ジョージ・ウィルバンクス氏(George Wilbanks)である。 投資家の間で、卓越したリターンと安定性の 提供を可能とさせる運用会社の経営構造に着 目する動きがあり、その点でニューバーガ ー・バーマンは傑出した存在と言える。最近 では、上場運用会社が株主利益の拡大と四半 期業績目標の達成に汲々とする状況に対する 懐疑的な見方も台頭している。また、銀行 傘下の運用会社が、銀行本体の混乱によって 翻弄されるケースも見られる。レッグ・メイ ソンやニューヨーク・メロン銀行といったホ ールディング会社は、複数の小規模な運用会 社を一括で経営し、販売サービス等の集約化 や運用担当者の自主性重視を謳ってはいるも のの、必ずしも奏功しているとは言い切れな い。 ニューバーガー・バーマン・ロング・ショー ト・ファンドのポートフォリオ・マネージャ ーであるチャールズ・カンター氏(Charles Kantor)は、ニューバーガーに13年以上在籍 しており、その間に上場時代、リーマン傘下 時代、そしてプライベート経営時代を経験 している。同氏は、上場以前のニューバーガ ー・バーマンは、異常なほどリスクを回避す る傾向あり、獲得した成果を頑なに守る姿勢 が強かったと振り返る。また、リーマン傘下 では、自らの経営方針に十分な発言権を持っ ていなかったという。「運用パフォーマンス が全てであった役員会では、ニューバーガー の声が親会社の経営陣に届くことはありませ んでした。」さらにカンター氏は「今では、 クライアントにとって有利な運用戦略を追求 する当社の経営陣が陣頭指揮にあたり、長期 的視野で果敢に投資を行える環境を整えつ つ、我々が獲得した成果を保護するという素 晴らしい経営を行っていると思います。」と 語っている。 金融危機とその余波により、それまで資産運 用の常識とされていた様々な前提事項が変化 した。2009年3月になると市場は落ち着きを取 り戻したものの、多くの投資家の警戒感は燻 り続けた。アクティブ運用を担当するファン ド・マネージャーは、ベンチマークに勝てな かったことを非難された一方、オルタナティ ブ運用の人気が高まっていった。低金利環境 が、リターン獲得のために投資家をリスク選 好へと向かわせた。 ニューバーガー・バーマンは、非公開に転進 して以来、競争力維持のため積極的な方策を 打ってきた。具体的には、これまで債券ライ ンナップの空白領域であった新興国市場にお ける債券運用に参入、ヘッジファンドのライ ンナップ増加、さらにプライベート・デット 運用チームを拡充した。一方で金融危機後新 たに導入された規制措置やリスクの観点に鑑 みて、マネー・マーケット・ファンドを売却 した。 今、ニューバーガー・バーマンは、180億ドル の運用資産残高を有するオルタナティブ投資 戦略に注力している。個人投資家のオルタナ ティブ投資に対する興味の高まりに呼応し、 オルタナティブ運用が確定拠出年金で採用さ れるべく迅速に行動に移した(最近の事例 では、ハートフォード・ヘルスケア確定拠出 年金が同社の絶対収益型マルチ・ストラテジ ー戦略を採用)。さらには、個人投資家によ るオルタナティブ戦略への投資が可能となる よう、これまでの定石を打ち破ろうとしてい る。現在ヘッジファンドに投資している個人 投資家は、全体の約5%を占めるに過ぎず、運 用会社からすればそれは未開拓の分野となっ ている。 機関投資家向けオルタナティブ戦略の運用に 携わった実績を持つカンター氏は、2011年、 リターンのボラティリティを最小限に抑制し 且つファンダメンタルズに重視した、株式お よび債券のロング・ショート・ミューチュア ル・ファンドの運用を開始した。同ファンド は、設定来年率リターンが13.5%、同期間の ベンチマーク比では8.02%アウトパフォームし ている。また、2年間で18億ドルもの資金を 集め、創業来で最も成功をおさめたファンド 設定の一つとなった。カンター氏は、「国債 の利回りが2.5%という低金利環境下では、伝 統的なアセット・アロケーション・モデルの 想定を超えているため機能しません。私が運 用を担当しているファンドをお客様にご購入 頂くのに、今ほど最適な環境はないと思いま す。なぜなら、他に資金の投下先となる選択 肢がないからです。」と述べている。 2011年、ニューバーガーは物理学者デビッ ド・カッパーマン氏(David Kupperman)を 採用した。同氏はジョンズ・ホプキンス大 学の応用物理研究所での勤務経験があり、ま た、90年代にはゴールドマンでヘッジファン ド戦略をミューチュアル・ファンド形態に応 用する業務に携わり、そこでウォーカー氏に 出会っている。かつてカーライル・グループ で同社共同創業者デビッド・ルーベンスタイ ン氏(David Rubenstein)と協働し、またパ ロマ・パートナーズでも経験を積んできたカ ッパーマン氏は、ニューバーガー・バーマン に入社した動機について、同社が有するミュ ーチュアル・ファンドの販売能力とオルタナ ティブ運用に対する理解を挙げている。入社 後、カッパーマン氏は、絶対収益型マルチ・ マネージャー戦略の立ち上げに携わった。同 戦略向けにセパレート・アカウントを設定し た9つのヘッジファンド・マネージャーがポ ートフォリオに組み込まれている。潜在的な 問題を監視するため、同戦略はポートフォ リオ組み入れファンドに対して完全な透明性 を確保し、その上、投資家へは日次流動性の 提供を可能にしている。カッパーマン氏は、 「各ファンド・マネージャーがごく僅かな調 整を行うのみで、通常のヘッジファンド運用 で実施していることを全て執行してもらうこ とが、同戦略の理想です。」と語る。カッパ ーマン氏曰く、ディストレスト・デットおよ び一部のストラクチャード・クレジットは流 動性があまりにも乏しいため例外であるが、 たいていの運用戦略は同社のヘッジファンド 戦略の構造にうまく適応できるとのことであ る。 ニューバーガー・バーマンには、未だにリー マンの足跡が残されている。オルタナティブ 投資部門グローバル責任者であるアンソニ ー・テュトロン氏(Anthony Tutrone)は、か つてリーマンで行っていた、ヘッジファンド 運用会社への出資を、ニューバーガー・バー マンでも再度取り組むことを決定した。リー マン傘下にあった同社は、投資銀行部門の自 己勘定を活用し、ニューヨークを拠点とする D.E.ショー・グループなどのヘッジファンド に直接投資をしていた。現在のニューバーガ ー・バーマンでは、以前の様に自己勘定での 投資は行っていないが、その代わり、2009年 に自社「ダイアル・キャピタル・パートナー ズ・ファンド」にて12億8,000万ドルを投資家 から調達した。その資金でヘッジファンド運 用会社へ出資することにより運用会社の株式 を保有、その運用会社が計上する運用報酬を 投資家に還元するというファンド構造を確立 した。ダイアル・ファンドは、既に8つの出資 案件を完了している。出資先には、キャピタ ル・ファンド・マネジメント、キャップスト ーン・インベストメント・アドバイザーズ、 ハルシオン・アセット・マネジメント、MKPキ ャピタル・マネジメントが名を連ねる。 オルタナティブ投資部門の最高執行責任者マ イケル·リース氏(Michael Rees)は、ドッ ド・フランク 法とボルカー·ルールの施行に より、銀行はヘッジファンドに投資できなく なるため、その面でもニューバーガー・バー マンに優位性が存在したと語る。続けて、 「ヘッジファンドが大手運用会社との提携を 模索する状況になることに着目しました。加 えて、当社には実績があり、また同分野で競 争も存在しませんでした。」と説明する。ヘ さらされているが、最高投資責任者のアマト氏 は、今後ともファンダメンタルズ分析に基づく リサーチ志向を堅持し、上場投資信託のような 人気商品は取り扱わない姿勢を強調している。 ジュディス・ベイル氏(Judith Vale)とロ バート・ダレリオ氏(Robert D’Alelio) は、「ジェネシス・ミューチュアル・ファン ド」の運用を共同で担当している。同ファン ドは、小型株バリュー戦略であり、ニューバ ーガー・バーマンが提供しているミューチュ アル・ファンド部門内でも主力ファンドと位 置付けられている。両氏が持つ自主性、率直 さ、そして社歴の長さは、まさに当社の企業 文化を体現している。最近同ファンドは市場 をアンダーパフォームしているものの、両氏 には逆張りの発想を楽しむゆとりさえある。 「私は1992年に入社し、ボブ(ダレリオ氏) は96年に入社しています。私たち相当年季が 入っていると言えますね。」ベイル氏はそう 語る。ジェネシス・ファンドは、借入金依存 度がゼロに近い優良企業を組み入れる運用方 針をとっている。当運用方針は、下落相場で は下値抵抗力を発揮する一方で、上昇相場 では市場をアンダーパフォームする傾向があ る。ダレリオ氏は、「優れたキャッシュ・フ ローを持つ企業は、投資銀行の優れた取引先 候補にはならず、証券会社は魅力的なグロー ス企業ばかりを取り上げたがる傾向がありま す。この先入観は、長期的な時間枠でのみ顕 在化するものです。」と語っている。 ジェネシス・ファンドの年間売買回転率は17% であり、100%を上回る業界平均値をはるかに 下回っている。また同ファンドの投資家の多 くが、90年代前半からの顧客である。 おそらくニューバーガーが実現させた最も驚 くべき成功に挙げられるのは、同社のグロー バル化です。リーマン傘下時は、非米国籍の 機関投資家顧客からの運用資産は41億5,000 万ドルであったが、2013年9月末時点では476 億ドルに拡大している。ラテンアメリカ、欧 州、中東およびアフリカ地域での販売を統括 「債券であれ株式であれ、とにかく一緒に解決策を考えましょ う。投資家は、運用会社が単なる業者の様に何がしかの商品を 提供するだけではなく、より適切な資産運用が出来る様に、パ ートナーとしてサポートしてくれることを望んでいます。」 ― ジョージ・ウォーカー4世、ニューバーガー・バーマン ッジファンドは、当社から資金提供を受ける だけでなく、当社を通じて新規顧客の開拓、 また、コンプライアンスから情報技術に至る までのあらゆる面でアドバイスを享受でき る。 これまでのところ、オルタナティブ資産戦略 への資金投入は奏功している。ニューバーガ ー・バーマンの報酬率は、非公開になる前が 48bpsであったのに対し、高めの報酬率が設定 されている複雑且つ高付加価値戦略の提供が 増加した事により、足元の報酬率は59bpsに上 昇している。 競争激化と投資家によるインデックス・ファン ド利用の拡大に伴い、アクティブ運用は逆風に する、同社オランダ・オフィス在籍のディッ ク・ヴァン・ロムウェル氏(Dik van Lomwel) によれば、同社はシンガポールをはじめ世界 各地で事務所を開設し、地元の人材を雇用し てきた。同社が海外で拠点を置いた国は、リ ーマン時代が7ヵ国だったのに対し、現在は15 ヵ国に拡大している。 ニューバーガー・バーマンが非公開化に踏み 切った時期は、債券ファンドの運用者が非常 に厳しい運用環境に直面した時期と丁度重な っていた。金利は30年の長きに亘り下落を続 け、債券のファンド・マネージャーがかつて 謳歌した世界は、完全に消滅したように見え た。今後金利が大きく上昇することはなくて も、下落する余地はほとんどなかった。 ニューバーガー・バーマンは、これまで常に コモディティー化しにくい複雑な運用商品の 提供を追求してきたため、現在債券運用の基 盤は、多くのハイ・イールド債、レバレッジ ド・ローンおよびオポチュニスティックなフ ァンドで占められている。最近になって新た に新興国債券、ディストレスト・デットおよ びプライベート・デットが商品ラインナップ に加えられている。コア又はコアプラス債券 は、今後債券市場の環境が変化した場合、打 撃を被る可能性が予想されているので、同社 の方針は時宜に適っていると言える。 ニューバーガー・バーマンの投資適格債戦略 およびオポチュニスティック・フィクスト・ インカム戦略の最高投資責任者アンドリュ ー・ジョンソン氏(Andrew Johnson)によれ ば、投資家の投資需要は、ベンチマークと非 相関の運用戦略や運用者が多様な資産クラス に投資を行い、投資セクターを機動的に変更 できる絶対収益追求型ファンドの様なオポチ ュニスティック債券運用に集まっている。同 社のオポチュニスティック型ファンドの一つ である「ストラテジック・インカム・ファン ド」は、目覚しい拡大を遂げている。同ファ ンドの運用資産残高は、2008年には820万ドル であったのに対し、現在12億ドルに拡大して いる。 しかしジョンソン氏は、投資家が運用会社に 何を求めているかを予想することは困難であ ると認めている。「オポチュニスティック型 ファンドへの需要がどの程度続くのか?」と 彼は自問する。「それは分からないとしか言 い様がありません。」 運用業界では、金融危機前の運用モデルは以 前のように上手く機能していない。ウォーカ ー氏によれば、投資家は、ニューバーガー・ バーマンが通常の債券や株式の運用に注力 するよりも、彼らのためにより大胆に新興国 市場に対する投資を行って欲しいと願ってい る。テキサス州教員退職年金基金や中国社会 保障全国評議会基金といった顧客は同社と提 携し、運用の裁量権を与え、付加価値の高い 助言を求めている。顧客についての具体的な コメントは避けながらも、「債券であれ株式 であれ、とにかく一緒に解決策を考えましょ う。」とウォーカー氏は語る。「投資家は、 運用会社が単なる業者の様に何がしかの商品 を提供するだけではなく、より適切な資産運 用が出来る様に、パートナーとしてサポート してくれることを望んでいます。」 業界在籍平均年数が約27年を誇るニューバー ガーに在籍するポートフォリオ・マネ-ジャ ーと同様に、同社自身も多くのマーケット・ サイクルに直面してきた。ニューバーガー・ バーマンは、運用業界の黎明期には未公開 企業であり、運用会社が成長企業になった頃 に上場し、そして運用会社に金融のデパート として一翼を担わせることが出来るのではと 大手銀行が考えた時にリーマン傘下入りをし た。来年 ウォーカー氏は、リーマン・ブラザ ーズの破産管財人に対し15億ドルの最後の小 切手を振り出すことになっており、それが完 了するとニューバーガーは破綻した投資銀行 から完全に切り離される。その時、ニューバ ーガー・バーマンは、創業75年のスタートア ップ企業として堂々と胸を張って歩いて行く ことになる。 インスティテューショナル・インベスター誌の2014年2月号からの転載。Copyright 2014 by Institutional Investor Magazine. All rights reserved. 詳細情報については (212) 224-3675にお電話ください。 当資料はインスティチューショナル・インベスター誌の2014年2月号に掲載された英文の記事の日本語による参考訳です。原文と本抄訳 の間の差異に関しては、原文が優先します。 当資料は出版元から許可を得て転載されているものであり、出版元の同意なく転載及び第三者への提供を行うことは固くお断りいたし ます。当資料は情報提供を目的として作成されたものであり、法的、税・会計上または投資のご提案のためのものではありません。従っ て、有価証券等の勧誘等を目的とするものでもありません。当資料中の見通しや意見については、必ずしもニューバーガー・バーマン( 以下「当社」)としての統一見解ではない場合があることにご注意ください。当資料に含まれる意見や見通しについては作成時点のもの であり、今後予告なく変更されることがあります。当資料に含まれる意見及びその他の情報は最新のものではない場合がありますが、当 社はかかる意見や情報を更新する義務を負うものでもありません。 当資料にて言及される特定の商品やサービスに関しては、すべての法域やすべての顧客層に対して提供することができないものが含まれ ている可能性があります。投資は元本の毀損等を含むリスクを伴います。ヘッジファンド及びプライベート・エクイティへの投資は伝統 的な投資と比較して投機的であり、より高いリスクを伴います。従って、ヘッジファンド及びプライベート・エクイティへの投資は、当 該投資に適合すると判断される一定の投資家のみを対象としています。 当資料に記載されるすべての情報は、特に記載のない限り当資料中で明示される時点のものです。役職員数及び運用資産残高を含む当社 グループの情報については、ニューバーガー・バーマン・グループLLCの子会社である複数の法人に関するデータを集計したものです。 また当社グループの沿革に関する情報は、1939年のニューバーガー・アンド・バーマン(現ニューバーガー・バーマンLLC)創設時まで 遡り、過去の買収による主要ビジネスの拡大をについて取り上げています。特定の顧客に関して言及されているものについて、当該顧客 は出版元により選定されたものです。また直近の受託に関する記述は、例示をもってご理解を深めていただくことを目的として提供して います。顧客が当該受託について投資アドバイザーを承認したか否か、提供した商品またはサービスを承認したか否かについて何らかの 情報を提供するものではなく、また当社としてかかる状況を関知するものではありません。 業界トップ10コンサルタントによる推奨:情報は2013年9月30日時点のものであり、当社が選ぶ「業界トップ10コンサルタント」によ る、当社のインスティチューショナル・セパレート・アカウント、オルタナティブ、ミューチュアル・ファンドに対する「favorable views」に基づくものです。「favorable views」とは、①コンサルタントによるデューディリジェンスに基づき付与された好意的な戦略の レーティングやスコア等、②コンサルタントによるデューディリジェンスに基づく戦略サーチリストへの追加、③コンサルタントのク ライアントによる戦略の保有状況等を含みます。「favorable views」は当社において独自に使用されるものであり、コンサルタントによ るニューバーガー・バーマン及びその投資戦略に関する正式な見解としてみなされるべきではありません。「業界トップ10コンサルタン ト」は、助言にかかる資産運用残高及び一般的な業界の評判に基づき当社が選定した11社(2013年9月30日時点)をいいます。 株式及び債券にかかる運用資産残高アウトパフォーマンスについて:2013年12月末時点において、当社グループの株式及び債券にかかる 運用資産残高は計測期間10年でその87%、5年で48%、3年で45%がベンチマークをアウトパフォームいたしました。なお、株式にかかる 運用資産残高については、計測期間10年でその93%、5年で51%、3年で36%、債券にかかる運用資産残高については、計測期間10年でそ の77%、5年で 45%、3年で60%がベンチマークをアウトパフォームしております。当社グループの株式及び債券にかかる運用資産残高ア ウトパフォーマンスに関する数値は、ニューバーガー・バーマンLLC及びニューバーガー・バーマン・フィクスト・インカムLLCのすべ ての伝統的株式及び債券運用による総残高にもとづくものであり、これらは機関投資家向けセパレート・アカウント、マネージド・アカ ウント/ラップ及びプライベート・アセット・マネジメントによるコンポジットを含みます。運用資産残高アウトパフォーマンスは、個 別の投資戦略と対応するベンチマークとの比較による総体的なパフォーマンスであり、運用資産残高により加重されています。従って、 最も大きな運用資産残高を有する戦略が当該結果に最大の影響を及ぼすことになります。2013年12月末時点において、8つの株式運用チ ーム/戦略が当該全株式運用資産残高の約50%を占めており、8つの戦略が当該全債券運用資産残高の約63%を占めています。個別戦略の 中には特定期間においてパフォーマンスがネガティブとなっているものが含まれます。ヘッジファンド、プライベート・エクイティ及び 他のプライベート投資ビークルにかかる資産は運用資産残高及びアウトパフォーマンスの情報に含まれておりません。機関投資家向けセ パレート・アカウント及びマネージド・アカウント/ラップにかかる運用資産残高アウトパフォーマンスは、手数料控除前の数値を用い ています。仮に手数料及び費用が反映された場合、運用資産残高及びアウトパフォーマンスの結果はより低くなるものと考えられます。 過去の実績は将来の運用成果を示唆または保証するものではありません。 ※現在米国籍公募ファンドは、米国居住者以外からの投資は受け付けておりません。 ■ 手数料等について 投資一任契約に基づく運用報酬として、受託資産の時価総額に対して年率1.00%(税抜き)を上限とする金額が徴収され、これとは別に 成功報酬(ない場合もあります)、受託銀行に対する報酬等の費用が徴収されます。また、当資料において記載される戦略は、投資家の 利益に資すると当社が判断した場合には、同様の戦略を有するファンドを組み入れることを通じて提供する場合があります。その場合、 組入れを行うファンドにおいて以下のような報酬等が別途徴収されます。 運用報酬料率:運用報酬料率は、運用戦略、運用資産額、投資スキーム等に基づく商品の内容及び成功報酬の徴収の有無等により、商品 毎又は契約毎に異なりますが、一般的な運用報酬料率の上限は、運用資産の時価評価額に対して2.0%となります。ただし、その他の諸 条件を踏まえ、個別案件や投資金額毎に異なりますので、詳細を表示することはできません。 成功報酬料率:成功報酬の徴収の有無及びその料率は、運用戦略、運用資産額、投資スキーム等に基づく商品の内容等により、商品毎又 は契約毎に異なりますが、一般的な成功報酬料率の上限は運用資産の超過収益に対して20%となります。ただし、その他の諸条件を踏ま え、個別案件毎に異なりますので、詳細を表示することはできません。 その他費用等:商品の種類、スキーム等により各種費用(経費、運営費用、ファイナンス・コスト、組成費用、取引手数料等)が発生し ますが、これら諸費用は運用状況及び資産規模等により異なりますので、詳細を表示することはできません。 上記の投資一任契約及び組入れファンドに関して徴収される報酬及び諸費用の合計は、戦略、運用状況及び資産規模等により異なります ので、その総額や上限等について、あらかじめ表示することはできません。 ■ 投資リスクについて 投資一任契約に基づき投資を行う投資運用商品には、投資信託、株式、債券、為替、先物、デリバティブ等、各種金融資産が含まれま すので、各市場等における相場その他の指標に係る変動等の影響により投資価値が下落し、損失を被ることがあります。外貨建資産へ の投資は、為替変動により損失を被るリスクを伴います。投資運用商品は、投資元本が保証されているものではなく、投資元本を割り 込むことがあります。投資信託、外国籍リミテッド・パートナーシップ等のファンドに投資する場合、投資するファンドの種類により 投資リスクは異なりますが、主なリスクとして、価格変動リスク、流動性リスク、信用リスク、為替リスク、金利リスク、デリバティ ブ・リスクなどがあります。また、受託資産の運用に関してデリバティブ取引等を利用する場合は、受託資産から委託証拠金その他の 保証金(以下総称して「証拠金」と言います)を預託する場合がありますが、当該取引等にかかる想定元本の額が証拠金の額を上回る 可能性があるとともに、当該取引の対象となる有価証券の価格、利率又は参照する指標等の変動による損失の額が証拠金の額を上回る ことにより、証拠金を上回る損失が生じ結果として元本を上回る損失を蒙る可能性があります。なお、デリバティブ取引等の証拠金に 対する比率は、取引毎の具体的な条件に応じて決定されるため、予め算出することはできません。個別商品、戦略等に伴うリスクにつ いては、以降をご確認ください。 債券、バンクローン、モーゲージ証券、メザニン債等への投資について:これらの商品の価値は金利、市場環境、信用状況その他の要 因により変動します。償還前に債券を売却した場合、売却による利益又は損失が発生する場合があり、また利子についても何らかの課 税の対象となる場合があります。ハイ・イールド債券(「ジャンク債」)、バンクローン(優先担保及び劣後担保のものを含む)、非 政府系モーゲージ証券、メザニン債等に対する投資は一般的に投機的な投資であり、投資適格債に対する投資と比較してより大きなデ フォルトリスクを伴います。こうした商品の市場価格は、金利、市場環境、信用状況、政治、通貨の切り下げその他の要因により変動 する場合があり、投資適格債と比較してよりその変動幅が大きくなります。従って、これらの商品に対する投資はすべての投資家に適 合するものではなく、投資に当たっては潜在的なリスク及びリターンの特性を十分ご理解のうえご検討ください。 株式への投資について:大型株への投資の場合であっても、株式投資に関するあらゆるリスクを伴います。かかるリスクには、全般的 な市場或いは経済状況により株式価値が毀損されるリスクを含みます。中・小型株式への投資の場合は、財務及びその他のリスクに関 し、大型株と比較してより影響を受けやすい傾向にあり、また、取引量が大型株と比較して限定的であること等から、市場価格の変動 はより大きくなる傾向があります。 外国有価証券及び外貨建て有価証券への投資について:これらの商品に対する投資については、為替の変動や政治経済の情勢といった リスクを伴い、投資資産の価値及び配当が影響を受けることがあり、投資元本を割り込む可能性もあります。また、新興国への投資に ついては、先進国への投資に比べて市場規模や流動性等の観点から価格変動が大きくなる傾向があるなど、より大きな損失を被る場合 があります。加えて、新興国における経済は一般的に規制が十分でなく、貿易障壁、為替管理、保護主義的政策及び政治的・社会的不 安定性により悪影響を受ける可能性があります。流動性が低い場合や信頼できる情報が利用できない場合には変動性が高くなるリスク があります。 ヘッジファンドやプライベート・エクイティ・ファンド等のオルタナティブ投資について:ヘッジファンドやプライベート・エクイテ ィ・ファンド等のオルタナティブ投資は投機的な投資であり、高いリスクを伴います。ファンドは、レバレッジの高いキャピタル・ス トラクチャー商品への投資を通じて、レバレッジをかけることがあります(レバレッジは高い金利リスクを伴い、金利上昇や景気後 退、原資産の減少といった要因に対し、投資資産のエクスポージャーが増加することがあります)。これらのリスク要因の影響を受け て、ファンドの運用実績は大きく変動することがあり、結果的に投資元本の全部又は大部分を失うことがあります。 プライベート・エクイティ・ファンドの組入れを行う場合について:プライベート・エクイティ・ファンドの場合、一旦ファンドへの 出資を行うと中途解約は原則として認められず、またファンドの持分には通常譲渡制限が付されているため流通市場はなく、今後も整 備される見込みはありません。従って、中途換金は非常に困難であり、流動性は殆ど存在しません。また、ファンドで徴収される報酬 及び費用の発生により、費用控除後の実現利回りが大きく低下することがあります。さらに、これらの報酬及び費用の発生によって、 投資家に返還される金額が拠出総額を下回る可能性があります。なお、当資料に記載する戦略をファンドの組入れを通じて提供する場 合、当該ファンドに係る条件等の詳細については今後関係者の承認を経て正式決定される場合があり、その場合当資料中に記載された 内容が予告なく変更され、またかかる状況において新たなリスクが発生することもあります。 ■ 適合性原則について 当資料でご紹介する戦略がすべての投資家に適合することを保証するものではありません。当社は、金融商品取引法等の法令・諸規則 等に従い、投資家の知識、投資経験、財産の状況、投資一任契約を締結する目的その他の個別の事情等を踏まえたうえで、個別戦略の 正式なご提案をさせていただくこととしております。 なお、投資家の知識、投資経験、財産の状況、投資一任契約を締結する目的その他の個別の事情等を確認した結果、当社の判断により 一定の戦略のご提案を行わない場合や、投資家からの戦略提案のご要望に応じることができない場合があることをご了承ください。ま た、かかる場合に代替的な戦略のご提案をさせていただく場合もございますが、常にそのようなご提案を行うことを保証するものでは ありません。 また、正式な戦略のご提案以降であっても、投資家の財産の状況や規制環境の変化、その他個別の事情等に照らして当社が必要と判 断する場合には、当初の提案を随時見直す可能性があります。厚生年金基金である投資家に対するご提案に当たっては、運用指針(及 び、場合によっては運用の基本方針)等を確認させていただく他、必要に応じて情報を提供していただくこともあわせてご了承くださ い。 ニューバーガー・バーマン株式会社 Neuberger Berman East Asia Limited 〒100-6511 東京都千代田区丸の内一丁目5番1号 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2094号 加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会 © 2014 Neuberger Berman East Asia Limited. 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