活性酸素による体内の脂質の酸化を抑制する ことができる抗酸化組成

JP 2006-83102 A 2006.3.30
(57)【要約】
【課題】 活性酸素による体内の脂質の酸化を抑制する
ことができる抗酸化組成物およびこれを含む製品を提供
する。
【解決手段】 ルテインエステルとラクトフェリンとを
含む抗酸化組成物であることを特徴とする。ここで、ル
テインエステルの質量WL とラクトフェリンの質量WR と
の比WL /WR が0.0012以上12以下であることが
好ましい。また、ルテインエステルの質量WL とラクト
フェリンの質量WR との総和(WL +WR )が抗酸化組成
物全体の0.1質量%以上50質量%以下であることが
好ましい。
【選択図】 図1
(2)
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルテインエステルとラクトフェリンとを含むことを特徴とする、抗酸化組成物。
【請求項2】
前記ルテインエステルの質量WLと前記ラクトフェリンの質量WRとの比WL/WRが0.
0012以上12以下であることを特徴とする、請求項1に記載の抗酸化組成物。
【請求項3】
前記ルテインエステルの質量WLと前記ラクトフェリンの質量WRとの総和(WL+WR)
が前記抗酸化組成物全体の0.1質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、請
求項1または2に記載の抗酸化組成物。
10
【請求項4】
前記ルテインエステルが天然由来のものであることを特徴とする、請求項1から3のい
ずれかに記載の抗酸化組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の抗酸化組成物を含むことを特徴とする、食品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の抗酸化組成物を含むことを特徴とする、錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
20
本発明は抗酸化組成物およびこれを含む製品に関し、特に活性酸素による体内の脂質の
酸化を抑制することができる抗酸化組成物およびこれを含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、活性酸素については世界各国において研究が行なわれており、この活性酸素
が人間の健康に大きな影響を与えていることが判明している。人間は呼吸することによっ
て空気中から体内に酸素を取り入れており、体内の細胞内でミトコンドリアが酸素の代謝
によってエネルギを作り出すときに酸素の一部が還元されて活性酸素(スーパーオキシド
アニオン)となる。活性酸素としては、酸素分子が1電子還元されたスーパーオキシドア
-
ニオン(・O2 )の他に、スーパーオキシドアニオンから生成された過酸化水素(H2O2
30
-
)、過酸化水素の反応によって生成されたヒドロキシラジカル(・OH )、光などのエ
1
ネルギが吸収されて生成した一重項酸素( O2)がある。
【0003】
活性酸素は体内の脂質と反応して過酸化脂質を生成し、過酸化脂質は人体に悪影響を及
ぼす原因となる。また、過酸化脂質は体内の細胞の細胞膜を障害して細胞のタンパク質や
核酸に損傷を与えることによってがん細胞を発生させ、また動脈硬化などの原因にもなる
。また、皮膚には紫外線などが直接照射されるため活性酸素が生成しやすく、これにより
過酸化脂質が生成されて皮膚のシミやソバカスなどの原因にもなる。
【0004】
したがって、人間の健康維持の観点からは、活性酸素による体内の脂質の酸化を抑制す
40
る必要性は非常に大きいものと考えられる。
【特許文献1】特開2003−26589号公報
【特許文献2】特表2001−801798号公報
【特許文献3】米国特許第5382714号明細書
【特許文献4】米国特許第5648564号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、活性酸素による体内の脂質の酸化を抑制することができる抗酸化組成
物およびこれを含む製品を提供することにある。
50
(3)
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【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ルテインエステルとラクトフェリンとを含む抗酸化組成物であることを特徴
とする。
【0007】
ここで、本発明の抗酸化組成物においては、ルテインエステルの質量WLとラクトフェ
リンの質量WRとの比WL/WRが0.0012以上12以下であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の抗酸化組成物においては、ルテインエステルの質量WLとラクトフェリ
ンの質量WRとの総和(WL+WR)が抗酸化組成物全体の0.1質量%以上50質量%以
10
下であることが好ましい。
【0009】
また、本発明の抗酸化組成物においては、ルテインエステルが天然由来のものであるこ
とが好ましい。
【0010】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の抗酸化組成物を含む食品である。
【0011】
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の抗酸化組成物を含む錠剤である。
【発明の効果】
【0012】
20
本発明によれば、活性酸素による体内の脂質の酸化を抑制することができる(以下、「
抗酸化作用」ということもある。)抗酸化組成物およびこれを含む食品や錠剤などの製品
を提供することができる。また、本発明の抗酸化組成物およびこれを含む食品や錠剤など
の製品は体内から活性酸素を除去する効果も有し得る。
【0013】
また、本発明の効果としては、動脈硬化抑制作用、肝保護作用または抗炎症作用などが
考えられる。さらに、本発明は、自律神経失調症、膀胱炎、腎孟炎、結石、生理痛、生理
不順、冷え性、吹出物、湿疹、慢性皮膚病、水虫、蓄膿症、気管支炎、喘息、緑内障、白
内障、口内炎、中耳炎、耳鳴り、前立腺肥大、甲状腺肥大、貧血、不眠症、メニエール病
、頭痛、肩こり、高血圧、肝臓、腎臓、糖尿病、低血圧、動脈硬化、リュウマチ、神経痛
30
、関節炎、椎間板ヘルニア、腰痛、ネフローゼ、脳卒中、胃弱、アレルギー体質(鼻炎、
ジンマシン、アトピー性皮膚炎、小児喘息など)、痔、心臓病、更年期障害、各種婦人病
、川崎病、ベーチェット病、胃がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、大腸がん、肺炎、シ
ミ、そばかす、シワまたは肌のトラブルなどの活性酸素が関与する疾患にも効果があるも
のと考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の抗酸化組成物は、ルテインエステルとラクトフェリンとを含んでいることを特
徴としている。これは、本発明者が鋭意検討した結果、ルテインエステルとラクトフェリ
ンとを混合することによりルテインエステルとラクトフェリンの相乗効果が発現して特に
40
優れた抗酸化作用が発揮されることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
ここで、ルテインエステルはルテイン(C40H56O2)と脂肪酸とのエステルであり、
ルテインエステルを構成する脂肪酸としては、たとえばパルミチン酸、ミリスチン酸、ア
ラキドン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、リノレン酸、オレイン酸またはリノール酸など
がある。これらの脂肪酸がルテインの2つの水酸基とエステル結合することによりルテイ
ンエステルが形成される。ルテインエステルはビタミンAの類縁体から合成することもで
きるが、本発明の抗酸化組成物を食品として口から体内に取り入れて吸収させ、体内にお
ける抗酸化作用を十分に発揮させるためにはたとえば天然物の抽出物のような天然由来の
ものであることが好ましい。また、ルテインエステルは、たとえば天然物であるホウレン
50
(4)
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ソウ、ケール、キーウィ、卵黄、トウモロコシ、ブロッコリ、グリンピース、インゲンマ
メ、葉レタス、コラード、ロマインレタス、セロリ、芽キャベツ、ネギ、黄ピーマンまた
はサケなどに含まれるがその含有量はマリーゴールドと比較すると格段に小さいため、製
造効率および製造コストの観点から、本発明に用いられるルテインエステルはマリーゴー
ルドから抽出されたものであることが好ましい。
【0016】
また、ラクトフェリンは、一本のポリペプチド鎖にガラクトース、マンノース、シアル
酸などの糖類が結合した分子量約80000の糖タンパク質である。ラクトフェリンは、
多くの哺乳動物の乳汁などに含まれている。たとえば、牛乳由来のラクトフェリンは分子
量が83100程度であって、等電点が8.2∼8.9である強塩基性のタンパク質であ
10
る。また、牛乳由来のラクトフェリンは689個のアミノ酸残基から構成され、その組成
は表1に示すとおりである。また、牛乳由来のラクトフェリンの立体構造はX線結晶解析
により明らかにされており、丸く厚みを持たせた柄のないイチョウの葉のようなNローブ
およびCローブと呼ばれる互いに類似した構造を有する二つの領域から構成され、各ロー
ブはそれぞれ3価の鉄イオンと強く結合し、牛乳由来のラクトフェリン1分子あたり2原
子の鉄と結合し得る。また、牛乳由来のラクトフェリンは1分子あたり4箇所に糖鎖を結
合している。また、牛乳由来のラクトフェリンに結合している糖鎖の質量%は11.2質
量%程度である。
【0017】
【表1】
20
30
40
50
(5)
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【0018】
本発明の抗酸化組成物中におけるルテインエステルの質量WLとラクトフェリンの質量
WRとの比WL/WRは0.0012以上12以下であることが好ましく、0.012以上
1.2以下であることがより好ましく、0.06以上0.24以下であることがさらに好
ましい。WL/WRが0.0012未満である場合および12よりも大きい場合には本発明
の抗酸化組成物の抗酸化作用が発揮されにくい傾向にある。また、WL/WRが0.012
以上1.2以下である場合、さらに好ましくは0.06以上0.24以下である場合には
本発明の抗酸化組成物が優れた抗酸化作用を発揮する傾向にある。
【0019】
また、本発明の抗酸化組成物中におけるルテインエステルの質量WLとラクトフェリン
10
の質量WRとの総和(WL+WR)は抗酸化組成物全体の0.1質量%以上50質量%以下
であることが好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量
%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。(WL+WR)が抗酸化組成物全体の
0.1質量%未満である場合および50質量%よりも大きい場合には本発明の抗酸化組成
物の抗酸化作用が発揮されにくい傾向にある。また、(WL+WR)が1質量%以上30質
量%以下である場合、さらに好ましくは5質量%以上20質量%以下である場合には本発
明の抗酸化組成物が優れた抗酸化作用を発揮する傾向にある。
【0020】
なお、本発明の抗酸化組成物にはルテインエステルとラクトフェリン以外の成分が含ま
れていてもよい。ルテインエステルとラクトフェリン以外の成分としては、たとえば還元
20
型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチオン、トコトリエノール
、ビタミンA誘導体、リコピン、β−クリプトキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサ
ンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキ
ス、アリシン、セザミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類
、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス、黒米エキス、ビタ
ミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンD、ビ
タミンP、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食
物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノ
ール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン、カリ
ウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、オオバコ、カ
30
ミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤル
ゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フ
ェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリク
ス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、タマネギ、DPA、
茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤ
ブシタケ、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サ
メ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽
出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、
セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリ、プラセ
ンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリア
40
アゼミ、月桂樹、セージ、ラフマ、黒酢、ゴーヤ、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、カフ
ェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グロコサミン、ソバ、シトラス、プルーン、ス
ピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉
、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アン
ズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、グリシン、ナイ
アシン、チェストツリー、セラミド、Lシステイン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステー
ル、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ
、クローブ、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、カジュ
ツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、シナモン、ダッタンソバまたはココアなどがある。
【0021】
50
(6)
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図1に本発明の抗酸化組成物の製造方法の好ましい一例のフローチャートを示す。まず
、ステップS1aにおいて、マリーゴールドの花弁にヘキサンを加えてルテインエステル
が抽出される。次に、ステップS2aにおいて、この抽出液をろ過して得られたろ液にヘ
キサンおよびエタノールを加えてルテインエステルを精製する。続いて、ステップS3a
において、ろ液からヘキサンおよびエタノールを除去し、続いてルテインエステルの濃縮
を行なう。そして、ステップS4aにおいて、濃縮されたルテインエステルを凍結乾燥し
、その後粉砕して粉末状のルテインエステルが得られる。
【0022】
また、ステップS1bにおいて、たとえば牛乳などの原料乳を遠心分離することによっ
て得られたホエーまたはチーズホエー中のラクトフェリンを陽イオン交換樹脂に吸着させ
10
て抽出する。次に、ステップS2bにおいて、陽イオン交換樹脂に吸着したラクトフェリ
ンを塩類溶液を用いて脱離させて分離する。続いて、ステップS3bにおいて、脱離した
ラクトフェリンを含む液について限外ろ過膜操作を行なうことによってラクトフェリンの
脱塩および濃縮を行なう。そして、ステップS4bにおいて、濃縮されたラクトフェリン
を凍結乾燥し、その後粉砕して粉末状のラクトフェリンが得られる。
【0023】
最後にステップS5において、粉末化されたルテインエステルとラクトフェリンとが混
合されて本発明の抗酸化組成物が生成される。本発明の抗酸化組成物の形態は、粉末状、
固形状または液体状などのいずれであってもよく、ルテインエステルとラクトフェリンと
が含まれていればその形態は問わない。また、上記の本発明の抗酸化組成物の製造方法に
20
おいては、抽出、ろ過または精製などの上記以外の工程が含まれていてもよいことは言う
までもない。
【0024】
本発明の抗酸化組成物を、たとえばガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、
クッキー、ビスケット、スナック菓子、ゼリー、グミ、飴、ケーキ、饅頭、最中などの菓
子類、そば、うどん、ラーメンなどの麺類、ミルク、バター、チーズ、プリン、アイスク
リーム、ヨーグルトなどの乳製品、味噌、醤油、みりん、ポン酢、酢、ソース、ケチャッ
プ、ジャム、ふりかけなどの調味料類、スープ類、ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸
飲料、スポーツ飲料などの飲料類、健康食品類または栄養補助食品類などの食品に含ませ
ることができる。また、本発明の抗酸化組成物を従来から公知の賦形剤などと混合して打
30
錠することにより錠剤に含ませることができる。なお、本発明の抗酸化組成物をカプセル
中に入れることができることは言うまでもない。
【0025】
実験例
(試料)
実験例において用いられたルテインエステルは以下のようにして得られた。まず、マリ
ーゴールドの花弁にヘキサンを加えてルテインエステルを抽出した。次に、この抽出液を
ろ過して得られたろ液にヘキサンおよびエタノールを加えてルテインエステルを精製した
。そして、ろ液からヘキサンおよびエタノールを除去し、続いてルテインエステルの濃縮
を行なった。最後に、濃縮されたルテインエステルを乾燥し、粉砕して粉末状のルテイン
40
エステルを得た。
【0026】
このルテインエステルは、ルテインとパルミチン酸とのエステルが44.5%、ルテイ
ンとミリスチン酸とのエステルが23.0%、ルテインとアラキドン酸とのエステルが1
2.0%、ルテインとステアリン酸とのエステルが11.0%、ルテインとラウリン酸と
のエステルが2.0%、その他、ルテインとリノレン酸とのエステル、ルテインとオレイ
ン酸とのエステルおよびルテインとリノール酸とのエステルが少量ずつ含まれて構成され
ていることがガスクロマトグラフィーにより確認された。ここで、「%」は、ルテインエ
ステルを構成するエステル全体の個数に対する個々のエステルの個数の割合を示している
。
50
(7)
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【0027】
このルテインエステル12mgを正確に量り採り、ヘキサンとアセトンとエタノールと
トルエンとを体積比で10:7:6:7の割合で混合した抽出溶媒を約80ml加えて2
分間超音波処理を行なった後、正確に100mlとした。この液20mlを摺り合わせ三
角フラスコに正確に量り採り、上記抽出溶媒を10mlおよび40gの水酸化カリウムを
メタノールで溶解し冷却後100mlとした40%KOH/メタノールを2ml加えて、
56℃の水浴中で20分間反応させた。これを冷却した後、ヘキサン30mlおよび10
0gの無水硫酸ナトリウムを1000mlの蒸留水に溶解した10%Na2SO4溶液を4
0ml加えて激しく混合した。そして、暗所で1時間放置した後、2層に分離した上層を
メンブランフィルタ(細孔径;0.2∼0.45μm)でろ過を行なって得たろ液をHP
10
LC分析用試料とし、以下の条件でHPLC分析を行なった。その結果を図2に示す。図
2に示すようにHPLC分析開始から約12.7分後にルテインエステルが加水分解して
生じたルテインのピークが見られた。
<ルテインエステルのHPLC分析条件>
検出器:分光光度検出器
カラム:Nucleosil 100−5 (長さ150mm×内径4.6mm)
カラム温度:25℃
測定波長:447nm
移動相:ヘキサン/酢酸エチル=7/3(体積比)
流量:1.5ml/min
20
また、実験例において用いられたラクトフェリンは以下のようにして得られた。牛乳を
遠心分離することによって得られたホエー中のラクトフェリンを陽イオン交換樹脂に吸着
させて抽出した。次に、陽イオン交換樹脂に吸着したラクトフェリンを塩類溶液を用いて
脱離させて分離した。続いて、脱離したラクトフェリンを含む液について限外ろ過膜操作
を行なうことによってラクトフェリンの脱塩および濃縮を行なった。そして、濃縮された
ラクトフェリンを凍結乾燥し、その後粉砕して粉末状のラクトフェリンを得た。
【0028】
このラクトフェリンを50μg含む0.5M塩化ナトリウム水溶液25μlをHPLC
分析用試料とし、以下の条件でHPLC分析を行なった。その結果を図3に示す。図3に
示すようにHPLC分析開始から約10.5分後にラクトフェリンの存在を示すピークが
30
見られた。
<ラクトフェリンのHPLC分析条件>
検出器:紫外分光検出器
カラム:Shodex Asahipak C4P−50 4D
(長さ150mm×内径4.6mm)
カラム温度:30℃
測定波長:280nm
移動相:A液(アセトニトリルと0.5M塩化ナトリウム水溶液との体積比が1:9であ
る混合液に0.03%トリフルオロ酢酸を0.15ml添加した液)およびB液(アセト
ニトリルと0.5M塩化ナトリウム水溶液との体積比が1:1である混合液に0.03%
40
トリフルオロ酢酸を0.3ml添加した液)
グラジェント条件:A液とB液の体積比がA液/B液=50/50でスタートさせ、25
分後にA液とB液の体積比がA液/B液=0/100になるように直線的にB液の濃度を
上げる。次に、25.1分後にA液とB液の体積比がA液/B液=50/50になるよう
に移動相の条件を戻し、その条件で35分まで保持する。
流速:0.8ml/min
(実験)
22時間絶食したマウス(ddY、雄、5週齢)に後述するサンプル1∼3を経口投与
し、その1時間後に10%四塩化炭素オリーブ油溶液(5ml/kg)を背部に皮下投与
した。そして、絶食を続けたまま24時間後に腹部大動脈から採血を行ない、血清の分離
50
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後に、GOT濃度およびGPT濃度を和光純薬工業(株)社製のトランスアミナーゼCI
Iテストワコーを用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0029】
なお、サンプル1としては対照としてオリーブ油と5%アラビアゴム水溶液の体積比1
:1のエマルジョンが用いられた。また、サンプル2としては上記のルテインエステル2
00mgをオリーブ油5mLに溶解させた液が用いられた。また、サンプル3としては上
記のルテインエステル200mgをオリーブ油5mLに溶解させた液と上記のラクトフェ
リン1500mgを5%アラビアゴム水溶液5mLに溶解させた液とを等量混合した液が
用いられた。
【0030】
10
また、サンプル1は6匹のマウス、サンプル2∼3は5匹のマウスにそれぞれマウスの
体重1kg当たり10mlが経口投与された。また、表2におけるGOT濃度およびGP
T濃度の値は、各サンプルごとに測定されたGOT濃度およびGPT濃度の平均値を表わ
している。
【0031】
【表2】
20
【0032】
表2に示す結果から、ルテインエステルとラクトフェリンとが混合されたサンプル3に
おいては、サンプル1∼2と比べて明らかにGOT濃度およびGPT濃度が低いことが確
認された。
【0033】
なお、上記の実験は四塩化炭素誘発肝炎モデルと言われるものであり、これは四塩化炭
素により肝臓内に発生した過酸化物が肝細胞を破壊し、その結果として細胞内のGOTや
30
GPTなどの酵素が血中に逸脱してくるモデルで抗酸化物質のin vivo評価に繁用
されているモデルである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の抗酸化組成物は、ルテインエステルとラクトフェリンとを含んでいるので抗酸
化作用に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の抗酸化組成物の製造方法の好ましい一例のフローチャートである。
【図2】実験例において用いられたルテインエステルのHPLC分析の結果を示すチャー
トである。
【図3】実験例において用いられたラクトフェリンのHPLC分析の結果を示すチャート
である。
40
(9)
【図1】
【図3】
【図2】
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(10)
JP 2006-83102 A 2006.3.30
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
A61P 29/00
A61P 39/06
(2006.01)
(2006.01)
テーマコード(参考)
A61P 29/00
A61P 39/06
(74)代理人 100109162
弁理士 酒井 將行
(72)発明者 片山 源治郎
大阪府大阪市北区曽根崎新地1丁目4番20号 桜橋IMビル14F 株式会社フォーリーフジャ
パン内
Fターム(参考) 4B018 MD08 ME06
4C084 AA02 AA03 BA01 BA22 BA33 BA34 BA44 CA20 CA38 MA02
MA35 MA52 NA14 ZA451 ZA751 ZB111 ZC371
4C206 AA01 AA02 DB06 DB45 DB56 KA18 MA02 MA04 MA55 MA72
NA14 ZA45 ZA75 ZB11 ZC37