NJU7084 1W出力低電圧動作 出力低電圧動作オーディオパワーアンプ 出力低電圧動作オーディオパワーアンプ ■概 概 要 NJU7084は、1W出力可能な低電圧動作オーディオパワーアンプです。 差動出力形式のため、スピーカのカップリングコンデンサは不要です。 電圧利得は2本の外付け抵抗で調整ができます。 また、SD端子によって入力信号のミュートと同時に消費電流の低減が 可能です。 特に、待機モード切り替え時のノイズを低減し、入力の飛び込みによ る高周波ノイズ検波についても対策を施しています。 当社従来品とピンコンパチのため、置き換えにより容易に音量をアッ プさせる事ができます。 ■外 形 NJU7084R ■アプリケーション アプリケーション ・ 携帯電話、PHS ・ コードレス電話、ボタン電話 ・ 白物家電 ・ 警報機 ・ モニター ■特 特 徴 ●低電圧動作 ●動作時消費電流 + V =2.8∼5.5V + IDD1=2.5mA typ. (V =5V、RL=∞、無信号時) + IDD1=2.0mA typ. (V =3V、RL=∞、無信号時) IDD2=2µA max. + (V =5V、RL=8Ω、THD=2%) PO=1W typ. + PO=400mW typ. (V =3V、RL=4Ω、THD=2%) ●待機モード時消費電流 ●出力電力 ●TSD(サーマルシャットダウン)機能内蔵 ●C-MOS構造 ●外形 VSP8 ■端子配列および 端子配列およびブロック およびブロック図 ブロック図 V+ -IN ― OUTA AmpA +IN + ― AmpB + SDTC OUTB 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. SD SDTC +IN -IN OUTA + V GND OUTB BIAS TSD SD GND - 1 - NJU7084 ■絶対最大定格 項 電 源 消 費 出 力 尖 印 加 動 作 温 保 存 温 (Ta=25℃) 目 電 圧 電 力 頭 電 流 電 圧 度 範 囲 度 範 囲 記 号 + V PD Iop VIN Topr Tstg 定 格 +7 1) 960 注 500 + 2) -0.3∼V +0.3 注 -40∼+85 -40∼+150 単 位 V mW mA V °C °C 注 1) EIA/JEDEC 仕様基板(76.2×114.3×1.6mm、4 層、FR-4)実装時 注 2) SD, SDTC, +IN, -IN, OUTA, OUTB 端子 ■推奨動作電圧範囲 項 目 動 作 電 圧 範 ■電気的特性 ●アンプ部 アンプ部 (指定無き場合 消 消 出 全 ( 囲 記号 + V - 最小 2.8 標準 3.0 最大 5.5 単位 最小 0.8 標準 2.5 1 最大 6 2 - 単位 mA µA W - 0.1 - % 45 55 - dB 105 -50 70 150 - 195 50 dB kΩ mV 最小 320 標準 2.0 400 最大 4 2 - 単位 mA µA mW - 0.1 - % - 55 - dB -50 70 - 50 dB mV V + 1 2 力 率 ) 記号 IDD1 IDD2 Po 条 件 無信号時, RL=∞ 無信号時, RL=∞, VSD=0.25V THD≤2% THD Po=400mW 電源リップル除去比 PSRR ミ ュ ー ト 減 衰 率 S D 端 子 抵 抗 値 出 力 間 電 位 差 MAT RSD VOD 消 消 出 全 ( 件 Ta=25℃, V =5V, GV=6dB, f=1kHz, RL=8Ω, アクティブモード) 項 目 費 電 流 費 電 流 力 電 高 調 波 歪 T H D + N (指定無き場合 条 C1=1µF, C2=2.2µF Vripple=100mVrms シャットダウン VIN=0V + Ta=25℃, V =3V, Gv=6dB, f=1kHz, RL=4Ω, アクティブモード) 項 目 費 電 流 費 電 流 力 電 高 調 波 歪 T H D + N 1 2 力 率 ) 記号 IDD1 IDD2 Po 条 件 無信号時, RL=∞ 無信号時, RL=∞, VSD=0.25V THD≤2% THD Po=200mW 電源リップル除去比 PSRR ミ ュ ー ト 減 衰 率 出 力 間 電 位 差 MAT VOD C1=1µF, C2=2.2µF Vripple=100mVrms シャットダウン VIN=0V VSD:SD 端子電圧 ●制御部特性 (指定無き場合 項 目 H レ ベ ル 入 力 電 圧 L レ ベ ル 入 力 電 圧 ■制御端子説明 動作モード シャットダウン アクティブ - 2 - Ta=25℃) 記号 VIH VIL 条 制御信号(SD 端子) L (=VIL) H (=VIH) 件 - 最小 + 0.7V 0 説 IC を待機状態にします。 IC を動作状態にします。 標準 - 明 最大 + V 0.25 単位 V NJU7084 ■測定回路図 測定回路 1 (消費電流 IDD1, IDD2) Rf=20kΩ V+ A Ci =1µF 10µF Ri=20kΩ -IN Vin ― OUTA AmpA +IN + 20kΩ RL 4Ω/8Ω C1=1µF 50kΩ 20kΩ ― AmpB + C2=2.2µF OUTB 75kΩ SDTC 50kΩ BIAS TSD V+ SD IDD1:SD=H IDD2:SD=L GND 測定回路 2 (出力電力 Po, 全高調波歪率 THD) Rf=20kΩ V+ Ci =1µF Vin Ri=20kΩ -IN OUTA ― AmpA +IN + RL 4Ω/8Ω C1=1µF V ― AmpB + C2=2.2µF OUTB SDTC BIAS TSD V+ SD GND - 3 - NJU7084 ■測定回路図 測定回路 3 (電源リップル除去比 PSRR) Rf=20kΩ 10µF V+ Ci =1µF Ri=20kΩ -IN OUTA ― AmpA +IN + 20kΩ C1=1µF 50kΩ RL 4Ω/8Ω V RL 4Ω/8Ω V 20kΩ ― AmpB OUTB + C2=2.2µF 75kΩ SDTC 50kΩ BIAS TSD V+ SD GND 測定回路 4 (出力間電位差 VOD) Rf=20kΩ V+ 10µF Ci =1µF Ri=20kΩ -IN OUTA ― Vin AmpA +IN + 20kΩ C1=1µF 50kΩ 20kΩ ― AmpB + C2=2.2µF SDTC 75kΩ 50kΩ BIAS TSD V+ SD GND - 4 - OUTB NJU7084 ■端子等価回路 端子 端子名 1 SD 内部等価回路 端子電圧 備考 47.5 - 150k 2 SDTC 47.5 300k 2∗V+/3 600k 67.5 3 V+/2 +IN 75k 4 -IN 67.5 V+/2 - 5 - NJU7084 ■端子等価回路 端子 5 8 6 7 - 6 - 端子名 内部等価回路 端子電圧 OUTA OUTB V+/2 V+ GND - 備考 NJU7084 ■応用回路例 Rf=20kΩ V+ 10µF Ri=20kΩ Vin -IN ― Ci =0.47µF OUTA AmpA +IN + 20kΩ C1=1µF 50kΩ 20kΩ ― AmpB + C2=2.2µF SDTC OUTB 75kΩ 50kΩ BIAS Shutdown Control TSD SD GND - 7 - NJU7084 ■アプリケーションノート NJU7084 はオーディオ向け低電圧動作パワーアンプです。電源電圧 2.8V から動作でき、BTL 接続とすること で高出力電力、出力カップリングコンデンサレスを実現します。電圧利得は二つの外付け抵抗の比によって、0dB から 43dB の範囲で調整可能です。シャットダウン機能を装備しており、シャットダウン時は消費電流を低減す ると同時にミュート状態といたします。また、シャットダウンの切り替え時に発生するノイズ、いわゆるボツ音 を低減しております。 このアプリケーションノートでは、動作概要と使用上の注意について述べています。 1. 動作概要 図 1 は NJU7084 のブロック図で、2 個のパワーアンプ(アンプ A、アンプ B)とバイアス源、TSD(サーマル シャットダウン)回路で構成されています。アンプ A は、入力信号を外付け抵抗で決定されるゲインで反転増幅 します。アンプ B は、アンプ A の出力信号を 0dB で反転します。これらアンプの出力間にスピーカ等の負荷を 接続し BTL 接続とすることで、シングルエン Rf ド形式と比べて 2 倍の出力電圧、4 倍の出力 20kΩ 電力を得ることができます。NJU7084 のシャ ットダウン機能は、図 1 の内部スイッチ SW を開放し基準電流 Iref を止めることで全回路 を停止させますので、低消費電流に貢献しま 6 電源 す。ここで、Iref は全バイアス電流の源です。 C3 + V+ Ci Ri 10uF また、そのシャットダウン切り換え時には、 0.47uF 20kΩ 4 容量 C1、C2 の充電を利用し、+IN、SDTC -IN 信号入力 5 端子電圧とバイアス電流を徐々に変動させる 3 + VOUTA +IN アンプA アンプ ことでボツ音を低減しております。ボツ音の SW 詳細は、3.2 SD 端子切り換えノイズを参照し てください。しかしながら、ボツ音低減のた RL 2 めの充電動作により、C1、C2 を大きくする Iref + 8Ω + C1 SDTC C2 8 ほどターンオン時間が長くなります。この詳 1uF 2.2uF + バイア VOUTB ス 細は、3.3 ターンオン、ターンオフ時間を アンプB アンプ 参照してください。 パワーダウン入力 パワーダウン 入力 1 SD TSD 7 GND 図 1 ブロック図及び応用回路例 2. 応用回路 図 1 はゲイン 6dB とした場合の応用回路例です。 3. 使用上の 使用上の注意 ここでは特に指定がない限り、図 1 の応用回路例について示します。 3.1 外付け 外付け素子 3.1.1 電源バイパスコンデンサ 電源バイパスコンデンサ C3 は、温度特性に余裕があり、高周波特性の良いものを使用し、IC からの配線 抵抗が低くなるよう近傍に配置してください。 - 8 - NJU7084 3.1.2 入力抵抗と帰還抵抗 入力抵抗 Ri と帰還抵抗 Rf の比が NJU7084 のゲインを決定します。BTL 接続でのゲインが 0∼43dB の範 囲になるように決めてください。抵抗比以外として、Ri‖Rf の抵抗値の増加は出力雑音電圧に影響します。 また、Ri は低周波特性に影響しますので、次に述べます入力カップリングコンデンサについても考慮したう えで抵抗値をお選びください。 3.1.3 入力カップリングコンデンサ 入力信号は、入力カップリングコンデンサ Ci と入力抵抗 Ri とで形成されるハイ・パス・フィルタによっ て低域がカットされます。Ci、Ri を大きくすることで、より低周波の信号まで通過させるようになります が、Ci の増加はボツ音を悪化させることがあります。 3.1.4 基準電圧バイパスコンデンサ 基準電圧バイパスコンデンサ C1 は、ボツ音と、PSRR、ターンオン時間に影響します。C1 を大きくす ることでボツ音、PSRR が改善されます。詳しくは 3.2 SD 端子切り換えノイズと 3.4 PSRR 対 C1 を参照 してください。但し、C1 を大きくしますと、ターンオン時間が長くなります。詳しくは 3.3 ターンオン、 ターンオフ時間を参照してください。 3.1.5 SDTC 端子コンデンサ SDTC 端子コンデンサ C2 は、ボツ音とターンオン時間に影響します。C2 を大きくすることでボツ音が 改善されます。詳しくは 3.2 SD 端子切り換えノイズを参照してください。但し、C2 を大きくしますと、 ターンオン時間が長くなります。詳しくは 3.3 ターンオン、ターンオフ時間を参照してください。 3.2 SD 端子切り 端子切り換えノイズ NJU7084 は容量の充放電を利用して SD 端子切り換えノイズ、いわゆるボツ音を低減しています。しかし、外 付け素子定数によっては聞こえやすくなることがあります。ここではボツ音を低減するためのポイントを示しま す。 3.2.1 シャットダウン(SD 端子=LOW)→アクティブ(SD 端子=HIGH) NJU7084 は BTL 出力のため、切り替わり時にも 2 つの出力が等しく動けば音とはなりませんが、外付け 素子定数によっては出力間に差が発生してボツ音となります。そのボツ音低減のため、C1、C2 の充放電を 利用して出力の変化を低周波にすることで聞こえにくくします。従って、ボツ音発生を抑えたり、対策の効 果を高めたりするために、外付け素子定数の選択が重要になります。 ボツ音の発生を小さくするには、外付け素子定数 C1、C2 は以下の関係を満足する必要があります。 2×C1≦C2・・・・・ (ⅰ) 図 2、図 3 を用いて、ボツ音の発生と低減の動作を詳細に示します。上記(ⅰ)を満足する素子定数を選 択している場合。まず、シャットダウン状態では電源電圧以外の端子電圧は 0[V]付近にあります。SD 端子 が切り替えられると、内部スイッチ SW が短絡し、①、②の経路で C1、C2 を充電すると同時に、バイア ス電流も流れ始め、アンプを動作させます。アンプ A は-IN 端子を+IN 端子の電圧と等しくなるように動作 します。このとき、VOUTA と-IN はほぼ同電位になり、VOUTB もほぼ同電位になります。しかし、実際に は VOUTA、VOUTB の出力にわずかな差電圧が発生し、それがボツ音となります。C1、C2 を大きくすれ ば、出力がバイアス DC 電圧に上がるのを遅くすることができ、ボツ音の発生も小さくすることができます。 また、ボツ音は入力カップリングコンデンサ Ci の容量に影響されます。出力がバイアス DC 電圧(通常 は V+の 1/2)になるために、入力カップリングコンデンサが大きいと、より多くのチャージを必要としま す。チャージ電流は③の経路で出力から供給されますので、VOUTA、VOUTB の出力に差電圧が発生しやす くなり、ボツ音が発生しやすくなります。よって、入力カップリングコンデンサの大きさを必要最小限に抑 えることでボツ音の発生を最小に抑えることができます。 - 9 - NJU7084 Rf L 6 ③ Ri Ci V+ 信号入力 ② 4 -IN 3 +IN C2 + + H 電源 SD端子電圧 VOUTA、-IN、 +IN 5 VOUTA アンプA アンプ VOUTB SW 各端子電圧 2 + + - ① C1 C3 RL - Iref SDTC 0V 8 + バイ ア ス VOUTB アンプB アンプ BTL出力電圧 パワーダウン 入力 TSD 1 SD 7 0V GND 図 2 ボツ音発生動作 3.2.2 時間 図3 SD 端子切り換え時各端子電圧 アクティブ(SD 端子=HIGH)→シャットダウン(SD 端子=LOW) シャットダウンに切り替わるときは、アンプの出力がミュート状態になり、出力電圧が降下しはじめま す。電圧降下を終えると、全バイアス電流がとまります。前述(ⅰ)を満足する C1、C2 の素子定数を使 用していれば、C1、C2 の放電を利用し、VOUTA、VOUTB はほぼ同電位で徐々に降下していきます。こ こでも、VOUTA、VOUTB のわずかな誤差電圧でボツ音が発生するおそれがあります。C1、C2 を大きく すれば、出力電圧の降下を遅くすることができ、ボツ音の発生も小さくすることができます。 3.3 ターンオン、 ターンオン、ターンオフ時間 ターンオフ時間 NJU7084 ではボツ音低減、PSRR の改善には C1、C2 を大きくすることが有効です。しかし、C1、C2 を大き くするほど充電する時間がかかるため、ターンオン、ターンオフ時間が長くなります。 ターンオン、ターンオフ時間は C2 に依存します。但し、3.2 SD 切り換えノイズにあります C1 と C2 の関係 (ⅰ)を満足しない場合(C1 が大きい等)はアンプが動作していても、出力 DC が V+の 1/2 に上がりきっておら ず、十分な振幅を得ることができません。 当社応用回路例における C2 とターンオン、ターンオフ時間の関係を図に示します。ここで、ターンオン時間 とは、SD 端子を LOW→HIGH に切り替えてから出力振幅が安定するまでの時間で規定しています。ターンオフ 時間は、SD 端子を HIGH→LOW に切り替えてからミュートとなるまでの時間で規定しています。 ターンオン時間 対 SDTCコンデンサ V+=5V、f=1kHz、Ci=1uF、RL=8Ω、Ta=25℃ 2500 2500 2000 2000 ターンオン時間[mS] ターンオン時間[mS] ターンオン時間 対 SDTCコンデンサ V+=3V、f=1kHz、Ci=1uF、RL=4Ω、Ta=25℃ 1500 1000 500 1000 500 0 0 0 1 2 3 4 5 C2[uF] 図 6 ターンオフ時間対 C2(V+=3V) - 10 - 1500 0 1 2 3 4 C2[uF] 図 7 ターンオフ時間対 C2(V+=5V) 5 NJU7084 ターンオフ時間 対 SDTCコンデンサ V+=5V、f=1kHz、Ci=1uF、RL=8Ω、Ta=25℃ 2500 2500 2000 2000 ターンオフ時間[mS] ターンオフ時間[mS] ターンオフ時間 対 SDTCコンデンサ V+=3V、f=1kHz、Ci=1uF、RL=4Ω、Ta=25℃ 1500 1000 1500 1000 500 500 0 0 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 C2[uF] C2[uF] 図 6 ターンオフ時間対 C2(V+=3V) 図 7 ターンオフ時間対 C2(V+=5V) 3.4 PSRR 対 C1 C1 はボツ音の低減以外にも+IN を安定させるために用いられ、電源リップル除去比(PSRR)に影響を与えま す。図に PSRR の周波数特性を示します。C1 を大きくすることで、低周波での特性が改善されることが分かりま す。C1 を大きくすれば、3.2 SD 切り換えノイズにありますように C2 も大きくする必要があり、ボツ音、ター ンオン、ターンオフ時間にも影響しますので、評価、検討してください。 電源リップル除去比 対 周波数特性 V+=5V、RL=8Ω、Ci=1uF、Ta=25℃、RIN=GND 70 70 60 60 50 50 PSRR[dB] PSRR[dB] 電源リップル除去比 対 周波数特性 V+=3V、RL=4Ω、Ci=1uF、Ta=25℃、RIN=GND 40 C1=2.2uF 30 40 C1=2.2uF 30 C1=1uF C1=1uF 20 20 C1=0.47uF C1=0.47uF 10 10 C1=0.1uF 0 1.E+01 1.E+02 1.E+03 C1=0.1uF 1.E+04 1.E+05 0 1.E+01 1.E+02 周波数[Hz] 図8 PSRR 対 C1(V+=3V) 1.E+03 1.E+04 1.E+05 周波数[Hz] 図9 PSRR 対 C2(V+=5V) - 11 - NJU7084 3.5 パッケージパワーと消費電力、出力電力 IC は IC 自身の消費電力(内部損失)によって発熱し、ジャンクション温度が許容値を超えると破壊されます。 このため、IC には許容損失 PD(=消費電力の最大定格)が定められておりますので、その電力を超えないように ご使用ください。一般的にパッケージによって許容損失が異なるのは、材料(樹脂、フレーム等)により放熱の しにくさが異なってくるためです。放熱のしにくさは熱抵抗 θja として表され、θja が低ければ放熱が良く、よ り多くの電力を消費することが出来ます。 図 10 は NJU7084 の許容損失を表しています。 (VSP8:EIA-JEDEC 仕様 4 層基板実装時、DMP24:EIA-JEDEC 仕様 2 層基板実装時)この図は次の 2 点から得ることができます。1 点目は、25℃における許容損失で、絶対最 大定格の消費電力がそれに当たります。25℃以下でも、許容損失はこの電力になります。もう 1 点は、これ以上 の発熱を許容できない、つまり許容損失 0W の点です。この点は、IC の保存温度範囲 Tstg の上限を最大のジャ ンクション温度 Tjmax とすることで求めることができます。これら 2 点を結び、25℃以下を 25℃と同じとする ことで図が得られます。その 2 点を結んだ線の傾きは 1/θja に相当し、傾きが大きくなるほど熱抵抗は小さく、 傾きが小さいほど熱抵抗は大きいことが分かります。 次に簡易的な設計方法を示します。例えば NJU7084 が熱源の近くに置かれ、周囲温度が動作温度範囲の上限 である 85℃にまで達する可能性があるとするなら、このカーブの 85℃の点が許容損失を見積もることができま す。許容損失と周囲温度の関係は書きの式として導かれます。 Tjmax−Ta 許容損失 PD=( )[W] @Ta=25℃以上 θja IC の消費電力が、この許容損失を超えない範囲で使用するようにします。実際の IC の消費電力は 消費電力=(電源電圧 V+)×(消費電流 Idd)−(出力電力 Po) として実測できますが、簡易的にデータシート中の消費電力対出力電力特性例から読み取ることもできます。 NJU7084 では TSD 回路を搭載しているため、チップのジャンクション温度が異常に上昇した時は、温度が安 全なレベルになるまで出力を停止します。安定した動作をするためにも、使用する条件を考慮し余裕を持って設 計することをお勧めいたします。 PD[mW] DMP24 1370 VSP8 960 -40 25 図 10 85 150 Ta[℃] 許容損失対周囲温度特性 ※本動作説明については、動作原理を表しており特性、数値を保証するものではありません。設計に当たっては外 付部品及び当社 IC の特性、ばらつき等考慮し、使用の際は特性の確認を行ってください。 - 12 - NJU7084 ■特性例 消費電流 対 電源電圧特性 RL=OPEN、Ta=25℃ 5 4.5 4 消費電流[mA] 3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 0 1 2 3 4 電源電圧[V] 5 6 7 消費電流 対 周囲温度特性 V+=5V、Gv=6dB、RL=OPEN 3 3 2.5 2.5 2 2 消費電流[mA] 消費電流[mA] 消費電流 対 周囲温度特性 V+=3V、Gv=6dB、RL=OPEN 1.5 1.5 1 1 0.5 0.5 0 -50 0 50 100 0 -50 150 0 50 1.E+00 1.E+00 1.E-01 1.E-01 1.E-02 1.E-02 1.E-03 1.E-03 1.E-04 1.E-05 1.E-06 1.E-07 1.E-08 1.E-04 1.E-05 1.E-06 1.E-07 1.E-08 1.E-09 1.E-09 1.E-10 1.E-10 0 50 周囲温度[℃] 150 シャットダウン時消費電流 対 周囲温度特性 V+=5V,RL=OPEN,VSD=0.25V シャットダウン時消費電流 シャットダウン時消費電流 シャットダウン時消費電流 対 周囲温度特性 V+=3V,RL=OPEN,VSD=0.25V 1.E-11 -50 100 周囲温度[℃] 周囲温度[℃] 100 150 1.E-11 -50 0 50 100 150 周囲温度[℃] - 13 - NJU7084 ■特性例 VSD端子電圧 対 消費電流特性(Ta) V+=5V、RL=OPEN 1.E-02 1.E-02 1.E-03 1.E-03 1.E-04 1.E-04 1.E-05 1.E-05 消費電流[A] 1.E-06 1.E-07 1.E-08 1.E-06 1.E-07 1.E-08 Ta=85℃ 1.E-09 Ta=85℃ 1.E-09 Ta=25℃ 1.E-10 Ta=25℃ 1.E-11 1.E-10 Ta=-40℃ Ta=-40℃ 1.E-11 1.E-12 0 1 2 0 3 1 2 3 4 5 Vsd端子電圧[V] Vsd端子電圧[V] 電圧利得・位相 対 周波数特性 V+=5V、Gv=40dB、RL=8Ω、Ta=25℃ 電圧利得・位相 対 周波数特性 V+=3V、Gv=40dB、RL=4Ω、Ta=25℃ 60 225 60 Phase 225 180 40 135 40 180 位相 位相 135 90 20 45 0 0 -45 Gain 電圧利得[dB] 電圧利得[dB] 90 20 45 0 0 -45 -90 -90 利得 -20 -135 利得 -20 -135 -180 -180 -40 1.E+02 1.E+03 1.E+04 1.E+05 1.E+06 周波数[Hz] 1.E+07 -225 1.E+08 -40 1.E+02 40 1.E+05 1.E+06 周波数[Hz] 60 225 位相 1.E+04 180 40 90 0 -45 電圧利得[dB] 0 位相[deg.] 電圧利得[dB] 45 20 - 14 - -135 45 0 0 利得 -45 -90 -90 -20 180 135 90 利得 -225 1.E+08 225 位相 135 20 1.E+07 電圧利得・位相 対 周波数特性 V+=5、,Gv=40dB、RL=OPEN、Ta=25℃ 電圧利得・位相 対 周波数特性 V+=3V、Gv=40dB、RL=OPEN、Ta=25℃ 60 1.E+03 -20 -135 -180 -180 -40 -225 1.E+02 1.E+03 1.E+04 1.E+05 1.E+06 1.E+07 1.E+08 周波数[Hz] -40 -225 1.E+02 1.E+03 1.E+04 1.E+05 1.E+06 1.E+07 1.E+08 周波数[Hz] 位相[deg.] 消費電流[A] VSD端子電圧 対 消費電流特性(Ta) V+=3V、RL=OPEN NJU7084 ■特性例 THD 対 Po特性(Ta) V+=5V、Gv=6dB、f=1kHz、RL=8Ω THD 対 Po特性(Ta) V+=3V、Gv=6dB、f=1kHz、RL=4Ω 100 100 10 10 Ta=85℃ THD+N[%] THD+N[%] 1 Ta=-40℃ 0.1 1 Ta=85℃ Ta=-40℃ 0.1 Ta=25℃ Ta=25℃ 0.01 0.01 0.001 0.001 0.01 0.1 1 0.001 0.001 10 0.01 10 100 100 10 10 f=20kHz THD+N[%] THD+N[%] 1 THD-Po特性 (f) V+=5V,Gv=6dB,RL=8Ω,BW:~80kHz THD-Po特性 (f) V+=3V,Gv=6dB,,RL=4Ω,BW:~80kHz 1 1 f=1kHz 0.1 0.1 0.01 0.001 0.1 Po[W] Po[W] 0.01 0.1 1 10 0.01 0.001 f=20kHz f=1kHz 0.01 0.1 1 10 Po[W] Po[W] THD-Po特性 (f) V+=3V,Gv=6dB,,RL=8Ω,BW:~80kHz 100 THD+N[%] 10 f=20kHz 1 f=1kHz 0.1 0.01 0.001 0.01 0.1 1 10 Po[W] - 15 - NJU7084 ■特性例 出力電力 対 電源電圧特性 (THD) RL=4Ω、Ta=25℃ 出力電力 対 電源電圧特性 (THD) RL=8Ω、Ta=25℃ 1.2 2 1 1.5 THD=10% THD=10% 出力電力[W] 出力電力[W] 0.8 0.6 1 THD=1% 0.4 0.5 THD=1% 0.2 0 0 0 1 2 3 4 5 0 1 2 電源電圧[V] 3 4 5 6 電源電圧[V] 消費電力 対 出力電力特性 V+=5V、Gv=6dB。RL=8Ω、Ta=25℃ 消費電力 対 出力電力特性(RL) V+=3V、Gv=6dB、Ta=25℃ 0.7 0.5 0.45 0.6 0.4 0.35 消費電力[W] 消費電力[W] 0.5 0.4 0.3 RL=4Ω 0.3 0.25 0.2 0.15 0.2 RL=8Ω 0.1 0.1 0.05 0 0 0 0.5 1 1.5 0 0.2 出力電力[W] 70 70 60 60 40 Ta=25℃ 30 Ta=-40℃ Ta=85℃ 40 Ta=25℃ 30 Ta=-40℃ 20 10 10 0 0 10 100 1000 周波数[Hz] - 16 - 0.8 50 PSRR[dB] PSRR[dB] Ta=85℃ 20 0.6 電源リップル除去比 対 周波数特性 V+=5V、RL=8Ω、Ta=25℃、RIN=GND 電源リップル除去比 対 周波数特性 V+=3V、RL=4Ω、Ta=25℃、RIN=GND 50 0.4 出力電力[W] 10000 100000 10 100 1000 周波数[Hz] 10000 100000 NJU7084 ■特性例 熱遮断回路特性 V+=3V、RL=OPEN 熱遮断回路特性 V+=5V、RL=OPEN 3 2.5 2.5 消費電流 [mA] 消費電流 [mA] 2 1.5 1 0.5 0 140 2 1.5 1 0.5 150 160 170 周囲温度[℃] 180 190 200 0 140 150 160 170 180 190 200 周囲温度[℃] - 17 - NJU7084 <注意事項> このデータブックの掲載内容の正確さには 万全を期しておりますが、掲載内容について 何らかの法的な保証を行うものではありませ ん。とくに応用回路については、製品の代表 的な応用例を説明するためのものです。また、 工業所有権その他の権利の実施権の許諾を伴 うものではなく、第三者の権利を侵害しない ことを保証するものでもありません。 - 18 -
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