1(3)養成教育FDの取組を強化・共有 [1]幼児教育講座学外合宿研修 ●学外合宿研修のねらい 岡山大学教育学部幼児教育講座では、昨年度に引き続き、今年度も当講座に所属する全 学部生が一同に介して、2泊3日で学外合宿研修を行った。3年生の合宿委員6名が中心 となって企画・運営し、2年生の合宿委員6名が次年度に自分達が中心的なメンバーにな ることを目指して、3年生に付いて役割を学ぶ、学生主導型をとっている。 今年度は 2007 年5月4日(金)∼5月6日(日)の日程で、岡山県御津郡建部町福渡 にある「友愛の丘」にて実施された。今回は、新しい試みとして、学部1年次生の前期必 修科目(2単位、30 時間)である「学問の方法(幼児教育入門)」の一部をこの合宿の一 部に位置づけた。「学問の方法(幼児教育入門)」の授業概要としては、幼児教育講座の 教員が幼児教育コースの学生を対象に、大学での学び方、学生生活、専門内容、進学・就 職への準備などについて情報提供と指導を行うものである。大学での学習を通して、幼児 教育者になるために必要な準備を行う。自立的に学習するための基礎的な学習スキルの習 得、学生生活上の留意点、専門内容および進学・就職準備についての基礎的理解を得るこ とが目標である。この 30 時間の一部として、本学外合宿研修における研修2「進学準備 に関する講話:修士および博士課程に進学した大学院生から」、研修3「就職準備と保育 に関する講話:幼稚園と保育所に就職した先輩から」、研修4「卒業研究に向けて:4年 生の中間発表に参加・質疑応答等のやりとりの体験」、研修5「大学における学習と生活 に関するアドバイス:2∼4年の先輩から」、研修6「児童文化の初歩と演習:学年の縦 割りによる子どものための総合表現」、研修7「幼児体育の初歩と実技:学年縦割りによ る子どものための運動遊び」の6つの研修を位置づけた。1年次生にとっては、講座行事 として参加が義務づけられている学外合宿研修が必修単位の一部であること、それが入学 後一段落するゴールデンウィーク中に実施されることから、集中的に講座の同級生や先輩、 教員とふれあう機会を得て、大学生活にスムーズに適応していくうえでも、主体的な学び、 積極的な参加意識の動機づけへとつながったようである。 2∼4年生においては、単位認定科目ではないものの、オリエンテーションおよび卒業 論文発表会と同様に、幼児教育講座の非常に重要な行事の1つとして位置づけられており、 さまざまな活動は幼児教育者を目指すうえで重要な学びの機会となる。また、学生間のタ テとヨコの相互のつながりや、学生と教員との関係を深める意味においても日常の学生生 活では体験しえない意義深い行事となっている。 また、今回は本事業の連携協力大学である倉敷市立短期大学・順正短期大学の学生数人 と教員各大学から1名が3日間の合宿で本学の幼児教育講座の学生と寝食を共にし、全研 修に参加するなど、異なった大学間の学生同士の交流も図られた。 ●岡山大学教育学部シラバス 【講義番号】910014 【授業科目】学問の方法「幼児教育入門」First step in early childhood education 【学期・単位】前期・2単位 - 51 - 【曜日・時限】月曜5限 【対象学生】1年次生 【担当教員】幼児教育講座教員 【所属】幼児教育講座 【オフィスアワー】特別に決めていません。随時、電話で予約をとってください。 【授業の概要】 幼児教育講座の教員が、幼児教育コースの学生を対象に、大学での学び方、学生生活、 専門内容、進学・就職への準備などについて情報提供と指導を行う。 【学習目標】 大学での学習を通して幼児教育者になるために必要な準備を行う。自立的に学習するた めの基礎的な学習スキルの習得、学生生活上の留意点、専門内容及び進学・就職準備に ついての基礎的理解を得る。 【授業計画】(太字部分が、学外合宿研修に関連する。) 1.幼児教育コース・オリエンテーション(授業の履修と単位の取得、学生生活、進学・ 就職、実習等) 2.大学における学習・研究の進め方とレポートの書き方 3.総合情報基盤センターの利用とコンピュータ・リテラシーの基礎技能 4.図書館の利用法(図書館職員による図書館オリエンテーションへの参加) 5.保育内容学への招待(教員訪問:担当・井戸和秀) 6.保育内容学への招待(教員訪問:担当・高橋敏之) 7.幼児教育学への招待(教員訪問:担当・横松友義) 8.幼児心理学への招待(教員訪問:担当・片山美香) 9.進学準備に関する講話 (修士及び博士課程に進学した大学院生から・学外合宿研修にて:研修2) 10.就職準備と保育に関する講話 (幼稚園と保育所に就職した先輩から・学外合宿研修にて:研修3) 11.卒業研究に向けて (4年生の中間発表に参加・質疑応答・指導助言・学外合宿研修にて:研修4) 12.大学における学習と生活に関するアドバイス (2∼4年の先輩から・学外合宿研修にて:研修5) 13.児童文化の初歩と演習 (学年縦割りによる子どものための総合表現・学外合宿研修にて:研修6) 14.幼児体育の初歩と実技 (学年縦割りによる子どものための運動遊び・学外合宿研修にて:研修7) 15.レポートの作成 【教科書・参考書等】必要に応じて資料を配布する。 【成績評価】出席状況 75 点満点、レポート 25 点満点。 【コメント】幼児教育講座に所属する学生が、優れた幼児教育の専門家になってほしいと 思います。そのために私達教員は、できる限りの準備をします。皆さんの熱意と努力を 期待しています。 - 52 - ●2007(平成19)年度第40回幼児教育講座学外合宿研修日程 ○日程:2007 年5月4日(金)∼5月6日(日) ○合宿研修担当教員:片山美香・高橋敏之 ○合宿委員:委員長・二木遥、副委員長・岸本恵理、書記・久本侑子、会計・松元啓子、 渉外・竹森唯、物品調達・横山麗香 ○参加人数:1年生 15 名、2年生 17 名、3年生 17 名、4年生 16 名、合計 65 名。倉敷 市立短期大学学生4名。順正短期大学学生3名。 ○第1日目 11:00 友愛の丘着・集合 11:30 開会式(講堂) 12:00 昼食(弁当)、入室・荷物整理 *岡山大学大学歌を歌う 13:00 【研修1:大学における研究と教育に関する外来講師の講演】 ①倉敷市立短期大学・足立正(あだち・ただし) ②順正短期大学・前嶋英輝(まえしま・ひでき) 16:00 研修6の準備(1) 17:30 夕食 18:30 【研修2:進学準備に関する講話】 *修士及び博士課程に進学した大学院生から ①兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程後期)学校教育実践学 専攻学校教育臨床連合講座・中川智之(なかがわ・ともゆき) ②岡山大学大学院教育学研究科(修士課程)学校教育専攻幼児教育講座・岡山 万里(おかやま・まり) 【研修3:就職準備と保育に関する講話】 *幼稚園と保育所に就職した先輩から ③倉敷市立葦高幼稚園・近藤史隆(こんどう・ふみおき) ④岡山市横井保育園・城本昭子(しろもと・あきこ) 21:00 自由時間(入浴) 23:00 就寝 ○第2日目 7:00 起床・洗面 7:45 朝食 9:00 【研修4:卒業研究に向けて】 *4年生の卒論中間発表に参加 11:00 研修6の準備(2) 12:00 昼食 13:00 【研修5:大学における学習と生活に関するアドバイス】 *グループごとに、教育実習、大学生活、その他、諸々の疑問点等について、 2∼4年の先輩に質問したり、意見を聞いたりする。 14:30 研修6の準備(3) 17:30 夕食 - 53 - 18:30 【研修6:児童文化の初歩と演習】 *学年縦割りによる子どものための総合表現 グループ分け…雪組・月組・花組・星組・宙組 21:30 自由時間(入浴) 23:00 就寝 ○第3日目 7:00 起床・洗面 7:45 朝食 8:30 清掃・部屋の片付け・荷物の整理 9:30 【研修7:幼児体育の初歩と実技】 *学年縦割りによる子どものための運動遊び 11:30 昼食 12:30 閉会式 13:00 解散 *岡山大学学生歌を歌う ●研修内容 第1日目は 11 時に「友愛の丘」へ集合し、開会式、昼食を経て、13 時から研修1「大 学における研究と教育に関する外来講師の講演」が実施された。今回特別参加された倉敷 市立短期大学・順正短期大学の足立正先生、前嶋英輝先生がそれぞれのご専門分野である 保育内容「健康」、保育内容「表現」にかかわるご研究および教育内容についてご講演い ただいた。学生達は、本学の教員にはないそれぞれの先生のユニークなお話の内容に聞き 入っていた。 研修1が済むと、研修6に向けて、あらかじめ合宿委員によって学年縦割りで組織され たグループに分かれ、2日目の夜に披露する児童文化にかかわる演目の練習を行った。今 回は、ここに連携大学から参加した学生も参入した。それぞれのグループでは、グループ 内の3年生が中心となり、演題の提示などを行い、主導的な立場をとった。 夕食後、研修2「進学準備に関する講話」、 研修3「就職準備と保育に関する講話」が 順次行われた。研修2では、4月より博士 課程に入学された中川智之氏、修士課程に 入学された岡山万里氏の講話を聞いた。両 氏ともに、社会人入学であることから、学 生達は入学の動機や仕事と学習の両立など について関心をもったようであった。 研修3では、今春卒業し、倉敷市立の幼 稚園に就職した近藤史隆氏、岡山市保育所 に就職した城本昭子氏の就職後1か月の体験を聞いた。2∼4年生にあっては、学生時代 を知る先輩達が保育者として、社会人としての成長ぶりと奮闘ぶりを自分も遅かれ早かれ 体験する事柄として、親近感をもって聞くと共に、質疑も活発であった。とくに、在学生 達が学生の間にしておくことについて先輩からアドバイスをもらおうとする前向きさが非 - 54 - 常に印象的であった。採用試験に向けた学習についても情報を得て、就職準備としての意 義も十分あったようである。 第2日目の午前中は、研修4「4年生の卒論の中間発表会」として、全学生および教員 が4室に分かれて実施された。連携大学の教員および学生も各部屋に分散して参加し、各 発表への質疑応答も行われ、相互に貴重な学びを得た。午後は研修5「大学における学習 と生活に関するアドバイス」の時間が設けられ、グループごとに教育実習や学生生活等に 関する情報交換が自由に行われた。夕食終了後は、いよいよ研修6「児童文化の初歩と演 習」が開催された。短時間で趣向を凝らしたさまざまな演目が披露され、見る側のさまざ まな感性を刺激した。短時間で協力してひとつの作品を作り上げることの達成感なども同 時に体験した。また、連携大学の学生による演目もあり、本学の学生にとっては新鮮な内 容と映ったようである。この研修の最後には、岡山の伝統芸能である「うらじゃ踊り」に 全員で取り組んだ。あまりの盛り上がりに「感動した!」「参加してよかった!」と感激 して涙する学生も見られた。情緒的に強烈に揺り動かされる体験となったようである。 第3日目の午前中は、最後の研修として、「幼児体育の初歩と実技」ということで、雨 天のため急遽、戸外での活動をホール内での活動に変更し、徹夜で室内用に企画を練り直 した3年生の合宿委員の好采配により、さまざまな趣向を凝らしたミニ運動会が参加者を 沸かせ、盛り上がりを見せた。 2泊3日の研修は、学生が個々に優秀な保育者を目指し、努力を重ねる意識を再確認し 合う貴重な体験として、本年度も成功裏に終了した。 (岡山大学:片山美香・高橋敏之) 幼児教育講座の学外合宿研修に、保育学 科2年生3名、専攻科(保育臨床)1名、 教員1名の合計5名が参加した。 参考になった点は多々あるが、先ず、進 学や就職に関する卒業生の講話、卒業研究 に向けた中間発表、縦割りグループによる 大学生活に関するアドバイスなどの研修 は、1年生から4年生まで、それぞれの学 年に応じた意義や目的があり、充実した研 修内容になっていると思われた。また、自 分の所属する短期大学では、4月下旬に宿泊研修を1泊2日で実施しているが、新入生と 在学生・教職員の交流が主な目的である。実施時期や期間などの制約はあるが、専攻科の 学生の参加を更に充実させながら、この合宿研修のような学修や学生生活などに関わる研 修を取り入れることができれば、内容的な幅が広がると考えられる。 学生の感想には、他大学の友人ができ人的交流が深まった、卒業研究中間発表を聞き研 究に取り組む意欲が高まった、幼稚園・保育所・進学などの様々な進路に関する情報が得 られた、一般的な幼児教育関係とは異なる院生(学芸員)の方の話を聞けて視野が広がっ たなどがあり、有意義な研修であったと思われる。 (倉敷市立短期大学:足立正) - 55 - 本年度は、教員1名、学生3名が、2泊3日で参加できた。昨年度は、初日のみの参加 であったため、今年の方が人間的な交流も深まり、その後のシンポジウムなどでも学生達 が歓談する姿が見られた。このような情報交流が、学生の卒業後の研究活動の交流にも発 展すると考えている。 初日には、昨年同様、卒業研究中間発表会に参加させていただいた。他大学の研究の様 子、中でもテーマ設定の動機や研究方法の方向性は、本学学生にとってもよい刺激になっ た。このような実質的な交流は他では替えがたい。また他大学の先生の講演を聴く機会に も恵まれ、合宿形式で時間的にもゆとりをもって、親しく質問できたことは大学連携なら ではの教育方法であろう。 2日目、3日目にも、大学院生の修了研究中間発表にも参加でき、指導教員の指導方針 などに関しても深まった交流ができた。また合宿ならではの夜間に及ぶプログラムによっ て、保育上の身体運動表現や手遊びなど参考になる活動が実践できた。 岡山大学にとっては日頃関係の少ない1年生から4年生、さらに大学院生や教員が一同 に教育について考え、また懇親を深める場であろう。この合宿は、本学や他大学からの少 人数の参加者にとっても、緊張をともなったまたとない学習の場であった。印象深かった のは、2年生3年生の実行委員の準備や進行に関わる姿勢であった。責任感の強さと参加 者への思いやりが感じられるすばらしい学生達であったことを特筆したい。 (順正短期大学:前嶋英輝) ●講演・講話の概要 学外合宿研修における以下の講演と講話に関しては、概要を示す。敬称略。 ○大学における研究と教育に関する外来講師の講演 ①倉敷市立短期大学・足立正(あだち・ただし) ②順正短期大学・前嶋英輝(まえしま・ひでき) ○進学準備に関する講話 *修士及び博士課程に進学した大学院生から ①兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程後期)学校教育実践学専攻学校教 育臨床連合講座・中川智之(なかがわ・ともゆき) ②岡山大学大学院教育学研究科(修士課程)学校教育専攻幼児教育講座・岡山万里(おか やま・まり) ○就職準備と保育に関する講話 *幼稚園と保育所に就職した先輩から ③倉敷市立葦高幼稚園・近藤史隆(こんどう・ふみおき) ④岡山市横井保育園・城本昭子(しろもと・あきこ) - 56 -
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