動物 - ライフサイエンスの広場

資料1
「中核機関への支援方法」、「新たなバイオリソースの開発の必要性」「提供の在り方」について
(アンケート結果概要②)~実験動物~
1 NBRP中核機関等への支援方法について
○ 各中核機関の効率的運営のための取組み【問1】
【マウス】
(保存法・品質管理)
・2種類の形態(生体、凍結胚・精子)で保存。
・生体として繁殖維持している系統。品質管理は世代毎の遺伝子検査、2 か月毎の微生物検査により実
施。提供頻度の高い系統、導入間もなくで凍結胚の作製途中にある系統、凍結が困難な野生マウス由
来の系統を生体で維持。
・凍結胚・精子として凍結保存している系統。凍結時に一部を融解・個体化してその生存率、遺伝検査、
微生物検査を行い、系統の復元率を見て品質管理としている。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・凍結困難な系統については凍結融解方法の改良が必要。
(改良を進めているか)
・凍結精子による効率的保存と復元方法の改良を進めている。
・凍結胚・精子の液体窒素タンクによる保存についてはもっとも安定した長期保存方法と考えられているが、
利用頻度、利便性、輸送・個体復元の費用も十分考慮して生体と凍結の使い分けをする必要。
【ラット】
(保存法・品質管理)
・SPF 環境下における生体での系統維持法による保存。
・胚および精子の液体窒素内での超低温保存。
・生体については定期的な微生物モニタリングと遺伝モニタリングを実施。
・胚および精子については、個体復帰能を確認。また、個体復帰した動物の遺伝検査により系統の確認。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・精子の保存法に改良の余地あり。特に凍結乾燥法の導入を検討。
【ショウジョウバエ】
(保存法・品質管理)
・系統の遺伝的特質については、毎年 3,500~4,000 系統を顕微鏡下による表現型検査を実施。主とし
て職員、研究員が担当。特に利用者からの指摘事項については、DNA や交配テストで確認。
・寄生生物やバクテリア、カビの問題については、飼育環境を顕微鏡下で検査。特に譲渡や寄託を受け
た際には、厳格な検疫を行い、飼育室への不用意な汚染を持ち込まないよう注意している。
・ショウジョウバエリソースの保存については、生きたままの継代飼育による維持。飼料は全て滅菌状態。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
(保存法・品質管理)
・精子の凍結保存と、凍結精子を用いた顕微授精の研究。
・ショウジョウバエを用いたヒトの遺伝疾患研究が盛んになりつつある国際状況を踏まえると、ショウジョウ
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バエという昆虫モデル生物の需要と、研究推進に求められる特性、例えば純系系統の入手、多数の子
孫、安価、迅速な研究などに対応できる維持保存方法が考慮されるべき。
・挿入突然変異などの場合 DNA として保存し、必要時に再度作成する方法を駆使することで全体的コス
トの低減を図る。
【線虫】
(保存法・品質管理)
・ 線虫は凍結保存が可能な生物である。
・ 品質管理については、変異体の欠失部位や染色体の組換え等について PCR 法を用いて確認する
ことで、高い品質の変異体を提供する努力を続けており、有効であると考えている。
(保存法(保存形態)の改良の余地)(改良を進めているか)
・中核機関では、従来の手法に改良を加え、凍結保存液の工夫により再解凍時の生存率を上げることが
できた。これにより、保存の際の試験管のサイズを小さくし、多数の変異体の保存を低コストで行えるよう
にしている。保存方法は、現時点で既に完成されていると考えているが、もし、一層の改善の可能性が
あれば導入しても良い。
【ネッタイツメガエル】
(保存法・品質管理)
・ 本バイオリソースを保存維持するためには飼育するしかない。
・ 確かに精子の冷凍保存も可能であるが、本リソースの場合は近交系化が大事であり、精子保存だけ
で近交系を維持することはできない。
・ 品質管理としてはカエルツボカビ検査をしており、また交配をとおして受精率の程度を調べている。
(改良を進めているか)
・ 前に精子の冷凍保存の条件検討はしていたが、現在は行っていない。
【カイコ】
(保存法・品質管理)
・ 卵のステージで保存しているが、1 年以内に孵化させ幼虫飼育を行い、世代更新を行う必要がある
(長期保存が行えないリソース)。
・ 幼虫飼育には桑畑が必要であり、桑栽培も重要。
・ 保存するリソースが保有する遺伝特性は、卵、幼虫、蛹、成虫の各段階でチェックし、1910 年から続
く管理ノートに記録する形で管理されている。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・生殖質(卵巣、精巣、精子)保存による長期保存法の実用を目指しており、卵巣を用いた方法が有望。
【メダカ】
(保存法・品質管理)
・ ライブでの保存と凍結精子での保存。ライブで保存する系統は野生系統、近交系、近縁種、標準系
統で、これらは凍結精子だけの保存では系統保存にはならない系統。
・ ユーザーが多く凍結精子での保存が効率的でない系統もライブで保存。
・ 突然変異体と遺伝子導入系統は凍結精子での保存。
・ 品質の管理としては遺伝子導入系統・原因遺伝子が判明している突然変異体では遺伝子タイピン
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グによって系統の同一性を確認するシステムをほぼ構築することができたので、2010 年度からルー
チンに実施する予定。
・ 近交系では新潟大学でマイクロサテライト多型を用いた系統同定システムが樹立。
・ 基礎生物学研究所では転位因子 Tol2 挿入部位の多型をもちいた系統同定法を開発。これも 2010
年度から系統管理に利用する予定。
・ またクローンについては超低温フリーザーをもちいて保存している。すべてのクローンは 2 重化され
ており、異なったフリーザーに保存している。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・ 長期的保存法の改良としては PGC や胚盤胞細胞、多能性幹細胞の凍結保存とキメラ形成による個
体再生の可能性はあるがまだ技術開発されていない。
【ゼブラフィッシュ】
(保存法・品質管理)
・ リソースは生きた状態での系統維持と、凍結精子サンプルの保存の 2 本立て。
・ 使用頻度の高い系統は生きた状態で保存し、使用頻度の低い系統や、また生きた状態で維持して
いる系統のバックアップとして、精子凍結保存法を利用。
・ 近年改良した凍結保存法は簡便で効率がよく、現時点でよく機能している。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・ 今後は数年単位の長期保存への耐性を検討していく予定。
・ また、凍結精子を用いた人工授精法についてはまだ改良の余地があるため、今後もより良い方法を
検討してゆく予定。
【ニホンザル】
(保存法・品質管理)
・ ニホンザルを繁殖させ、実験使用に適した3~5歳まで育成後、供給している。
・ 供給の対象となるコザルについては、B ウイルス感染やオトナザルによる咬傷を回避するため、1歳
前後で親ザルから分離している。
・ 分離時には検疫に準じる検査(離乳検査)を実施し、微生物学的なグレードや健康状態を確認して
いる。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・ 分離個体は同世代のコザルと共に供給までグループで飼育維持するが、ケージ内の個体密度や相
性などの要因により闘争が発生し、実験使用に支障をきたす手指欠損が生じることがある。こうした
問題を解決するため、適正頭数によるグループ飼育、もしくは、ある年齢以降の育成個体に対する
個別飼育の採用を検討する余地がある。
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
(保存法・品質管理)
・ リソースのうち、野生型集団は海で養殖する形で保存している。
・ トランスジェニック系統および純系は室内飼育で飼育して保存している。
・ トランスジェニック系統は凍結精子としてフリーズストックも進めている。
(保存法(保存形態)の改良の余地)
・ 凍結精子がこの先どの程度保存に耐えられるのかについての知見が乏しく、この点が改良の余地
があるが、現在は改良を進められる段階ではない。
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○評価サイクル 【問2】
【マウス】
(自己評価、見直しのサイクル)
・必要に応じていつでも実施できる体制となっていることが重要。年 1 回定期的に実施する。自己評価を
行うためのチェックポイント(項目)を明確化する必要。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・提供したリソースから成果が得られるのは3年以上を要する場合が多く、事業の成果を評価する際には
その点を考慮する必要。評価は 5 年に 1 度として、3 年目に中間評価を実施する程度がよい。
【ラット】
(自己評価、見直しのサイクル)
・収集・保存に至る過程には、MTAの締結、微生物検査、微生物クリーニング、増殖、生体維持あるいは
胚および精子の保存があり、提供に至る過程においても、MTAの締結、提供動物の繁殖、出荷前の微
生物検査確認がある。生体で維持していない場合には、これに個体復帰のステップがある。
・現場における自己評価は、1 年毎に実施することが適切。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・5 年毎に行うのが適切。
【ショウジョウバエ】
(自己評価、見直しのサイクル)
・リソースを用いた研究は、各リソースそのものの特性に大きく依存する。リソースそのものに関する基礎研
究は継続して行われるべきであるが、本事業を利用する多くの研究者は、時代とともに移り変わる研究
対象にあわせ必要とする系統が変動する。研究の時代性にそれなりに対応した中で、必須と思われる系
統を確実に維持することが重要である。この系統の見直しは、特に動物リソースにおいては必須であり、
それによって、その後の 5 年間のリソースの発展が決定するとまで言える。
・植物の場合も、約 10 年間は冷蔵庫で保存できると言うが、5 年毎の系統の発芽率等の確認と、維持系統
の選択・発芽・収穫を行うべきである。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・5 年周期に行うことが必要。自己評価だけにとどまらず、その評価が公表され、特にリソース利用者コミュ
ニティから、本事業が目標を定めて行っていると判断されるべきであり、外部評価として正当に議論され
今後の発展が盛り込まれたものでない限り、国家プロジェクトとして評価されないことになる。
【線虫】
(自己評価、見直しのサイクル)
・自己評価は、収集・保存・提供数および、リソースを用いて発表された論文の数と質の評価で行ってい
る。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・従来は、5 年毎に予算の全体枠の概要が決められ、毎年(あるいは年度途中の中間評価)を通して、実
施の進捗状況の確認が行われてきたと考えられている。
・文部科学省が現在、何を基準とされているかの全容は知らないが、上記の評価は客観的な数値でもあ
り、検証に使っていただくのが公正であると考えている。
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【ネッタイツメガエル】
(自己評価、見直しのサイクル)
・自分自身の反省として、毎年、行うものと考える。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・バイオリソースの事業は長期間にわたる事業と考えられるので見直しは5年位が適当と思われる。
【カイコ】
(自己評価、見直しのサイクル)
・PDCA については3年が妥当(理由:カイコは 1 年を単位に世代を更新させているので、成果を評価する
場合、再現性のチェックには3回という目安で3年が妥当であると思われる)。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・投資対効果の検証は5年が妥当(提供件数、提供したリソースからの成果は年変動があることがこれまで
の経験で分かっている。2年3年ではその変動が大きいので5年程度が適当ではないかと考える)。
【メダカ】
(自己評価、見直しのサイクル)
・ 現在と同様に 5 年をタームとして中間評価と最終評価報告書を作成することで自己評価と文部科学省
への報告をおこなう。
・ Annual report を出すことでその年度の activity を一般のユーザーにも周知する。適宜アンケート(年1
回程度)を実施し、運営に対するユーザーの要求把握に努める。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・ 投資効果を検証することはかなり難しいが、提供数をベースとする何らかの評価が必要だと考える。ど
の程度提供数が伸びているのか、あるいは提供実数等の指標が考えられる。
【ゼブラフィッシュ】
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・ 事業を継続するために、アピールする必要は、確かにあると思いますが、現状では、このアンケートを
含めて、重複した報告や調査が、科研費等他の事業と較べて、多すぎるのではないでしょうか?
・ また、何回も何回も、実績報告や調査報告を求められると、やはり報告する側も、疲弊してきます。中
間評価と最終評価だけで、十分ではないかと思うのですが?
・ 調査のための労力とお金を、本来のリソース事業に回した方が、効率的なのではないでしょうか?
【ニホンザル】
(自己評価、見直しのサイクル)
・ 供給事業については年1回の募集から供給までの体制が確立されつつあり、1年単位の評価が適切。
一方、適切に動物が配分されているかという点については、ユーザーからのフィードバックをいただき
ながら長いスパーンで確認・評価していく必要があると考えている。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・ 繁殖の成果については、年1回というニホンザルの繁殖特性から1年毎の評価を、生産された個体を
組み込んでの繁殖体制の整備状況の評価や、リソースを用いた研究成果に基づく費用対効果の評
価については、脳神経科学研究分野では成果を得るまでに長い時間を要することを考慮して、いず
れも数年単位での実施が妥当と考えている。
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・
以上の事業に関しては、年3回実施している NBR 運営委員会で協議・検証しながら遂行していく。
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
(自己評価、見直しのサイクル)
・ おおよそ半年に一度はチェックする機会があることが望ましい。例えばその年度の最初に目標を立て、
それが半年ぐらい経過してから順調に進められているか、進められていない場合は軌道修正を残りの
半年で進める、というチェックが必要である。
・ ただこのチェックについては事業の進行を妨げるような負担は避けるべきで、運営委員会など既存の
機会をうまく利用することが望ましい。
(費用対効果の検証(文科省の評価))
・ 研究というフィールドに投資している関係上、投資が効果を現すのに時間がかかることを考慮し、3年
に一度程度の評価が望ましい。
○必要なバイオリソースの選定方法【問3】
【マウス】
・寄託希望のあったリソースについて、大学等の研究機関が行うライフサイエンス研究に有用なものであ
るか、研究の発展の可能性や国際的な優位性などについて、有識者による委員会の意見を聞いた上で
受入可否の判断。寄託依頼を断る場合も。
・研究の発展とともにリソースの有用性等は変化するため、有識者による委員会の意見も聞いた上で、保
存すべきリソースの見直しも行っていきたい。
・米国ジャクソン研に権利が帰属しているマウスとの交配など、自由に公開・提供できないマウスの寄託は
断っているが、原則として国内で開発され寄託希望のあるマウスは広く受け入れる方針。
【ラット】
・第 1 期NBRP-Rat 事業において、独自のメニューによりラット系統のゲノムプロファイリングと特性プロフ
ァイルを調べて、ホームページなどから公開しているように、個々の系統のプロファイルが明らかになっ
た。
・第 2 期からは、新規制の明らかなラット系統を収集する方針にしている。
・ユーザーコミュニティ間の連絡を密にするため、ラットリソースリサーチ研究会を年 1 回実施して、新規リ
ソースの紹介やユーザーの要望を得るようにしている。
【ショウジョウバエ】
・本センターで委嘱した系統専門委員による系統に関する意見を受けている。
・ショウジョウバエ遺伝資源センター運営委員会での審議・承認。
・NBRP ショウジョウバエ運営委員会における審議・承認。
・アメリカ系統センター(インディアナ大学)との連携による系統の選択等に関する打ち合わせ。外国の
研究室の諸事情も把握できる。
・日本ショウジョウバエ研究会総会での NBRP 事業案内と、系統の譲渡や寄託の案内。
・国際的規模における研究者からの系統譲渡の受付とそれらの受け入れ可否を上記運営委員会等で
審議。
・論文等で発表された系統に対して、著者への寄託・譲渡の依頼を出す。
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【線虫】
・ 収集する変異体は、コミュニティー研究者のリクエストを取り入れている。すなわち、遺伝研サーバで、
遺伝子名を入力していただき、その遺伝子の変異体を既存の変異体凍結ストックより取り出し、収集
後は遺伝研サーバで公開している。
・ 基本的に欠失変異体は、機能低下あるいは機能喪失型の変異体であることが多く、表現型の強度に
多少の差はあっても、同一ストレインがコミュニティーにとって共通のリソースとなる可能性が高い。
・ 保存や輸送にも便利な生物であることから、時間経過と共に、コミュニティー全体でシェアすることで、
研究の標準となり易い。
【ネッタイツメガエル】
・ 基本的にはユーザーから希望があり、それほどコストがかからなければ、収集対象とすべきである。
・ ネッタイツメガエルは極度の温度変化に弱いので、海外からの収集となると、飛行機での輸送が困難
であり、輸送料が高くなる。
【カイコ】
・ 研究動向を把握し、研究発展に繋がるリソースを選定すると共に国内外で維持が困難となっているリ
ソースを評価し、収集対象としている。
・ 選定に際しては、運営委員会や関係の深い日本蚕糸学会関係者の意見を反映させている。
・ カイコは野外には生息しない昆虫であるので、その祖先種とされるクワコの収集も行っている。
・ 家畜化されたカイコと野生種クワコの比較研究は、野生生物の馴化という人類と生物の関係を知る上
でも重要な位置づけとして多くの利用がある。
・ カイコに近縁な野蚕についても我国独自なリソースとしての整備が望まれているので5種(ヤママユガ、
サクサン、シンジュサン、エリサン、ウスタビガ)を収集している。
【メダカ】
・ 突然変異体と遺伝子導入系統では今までに寄託されている系統と異なった表現型、異なった遺伝子
型を持つ系統は基本的に収集している。この際、凍結精子による保存ができる系統では、まず凍結精
子で保存し、公開後、ユーザーから一定の要求がある場合にはライブでの保存も続ける。
・ はじめから一定数のユーザーが見込まれる系統や凍結精子による保存では意味をなさいないような
系統ではライブでの保存を行う。
・ ゲノムリソースに関してはある程度大規模なリソースはすべて受け入れている。いままでに EST クロー
ン、BAC/Fosmid クローンを受け入れた実績がある。
【ゼブラフィッシュ】
・ 系統の寄託は、ユーザーからの申し入れを受けて寄託を受け入れる方法と、 バイオリソースとして有
用と思われる系統をこちらから直接開発者に寄託依頼する方法の 2 通り。
・ ゼブラフィッシュは精子凍結保存が可能なため、受け入れた系統の使用頻度に合わせて生きた状態
での維持と凍結精子での維持を使い分けている。
・ 寄託の選定に関しては中核機関の裁量によるところが大きいが、運営委員会の場でユーザーを含め
た委員に意見をあおぎ、適宜方針を定めている。
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【ニホンザル】
・ 手先が器用で複雑な課題遂行能力を持つことから、脳神経科学研究の分野で多く使用されてきたニ
ホンザルを対象としている。
・ 今年度で母群の収集を完了し、今後は生産された個体の供給と母群の維持が主たる業務となる。
・ 供給個体の微生物学的グレードを、多くの動物施設が求めている B ウイルス・SVV・結核・赤痢菌・サ
ルモネラ菌マイナスに基準を置き、供給に際しては、ユーザーが要望する手指欠損なし・人馴れして
いる・好奇心が旺盛など、の特性にもできる限り配慮している。
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
・ 我々の取り扱うリソースは発展途中にあり、リソースの需要拡大を考えつつ戦略的にリソースを選定す
る必要がある。
・ 選定はまず論文として発表されたもの、発表予定のもの、それから発表の有無に関わらず、例えばマ
ーカー系統のように大きな需要が見込まれるものを優先して収集している。
○他の公的資金で開発されたリソースの把握と受け入れの状況 【問4】
○他の公的資金で開発された有用なリソースを効率的に中核拠点へ収集する方策【問4】
【マウス】
(国内の他の研究事業で開発されたバイオリソースの把握)
・国内のリソース開発の状況把握を的確に行うことのできる方法が欠如。
・科研費のデータベースがあるが、こうした目的の検索はできず活用は困難。例えば、寄託者・提供者名の
抽出は可能であったが、当該課題でマウスを開発したかどうかは研究概要を一件毎にあたるしかない。
・科研費採択時に、リソース開発・作成を含む課題については、リソース担当機関へその概略だけでも情
報をいただけると(リソース機関の連携)、将来の収集保存計画の立案に役立つと思われる。
(海外で開発されたバイオリソースの把握)
・主要な開発プロジェクトは立案当初からその保存、普及も見越して計画されており、必ず出口となるリソー
ス機関、ジャクソン研や MMRRC が連携している。
・欧米のノックアウトマウスプロジェクトは IKMC として国際連携でポータルサイトを立ち上げプロジェクトの
進捗、リソースへのアクセスについて窓口を開設している。
・NIH の Cre-drover マウスを整備する Blueprint project の開発情報は NIH に開設され供給機関のジャク
ソン研や MMRRC とリンクしている。
・EU でも Cre-driver の整備を目指して開発資金の獲得の為の活動を実施している。欧州のノックアウトマ
ウスプロジェクト EUCOMM のマウスは EMMA に保存、公開されここから供給される仕組み。
・開発系統はジャクソン研、MMRRC、EMMA などに寄託され、マウスリソース国際連携 FIMRe のデータベ
ース IMSR を通して日本の研究者ともアクセスでき、理研 BRC が個体復元等の技術支援を実施してい
る。
・中国では大学、研究所が巨額の国費を得て欧米と連携し、ENU、トランスポゾン、ノックアウトによる大規
模ミュータジェネシスを実施、数銭系統のミュータントを開発している。リソース及びデータの公開は進ん
でおらず、検索サイトではなく、一部の研究成果が国際学会や AMMRA 等の会議で得られる状況。
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【ラット】
(国内の他の研究事業、海外で開発されたバイオリソースの把握)
・国内の他の研究事業で開発されているバイオリソースについては、文献情報などから見つけ出し、寄託
するよう求めている。
・NBRP-Rat のホームページは、ラット関係の国際的データベースである米国の RGD(Rat Genome
Datebase)、ラットリソースセンターRRC,および米国NIHのNCBI にもリンクされている。
・国内では(社)日本実験動物学会のホームページにリンクされている。
(アクセス、受け入れ方法・状況)
・NBRP-Rat のホームページへのアクセス件数は 1 カ月あたり平均 239,000 リクエストである。
【ショウジョウバエ】
(国内の他の研究事業、海外で開発されたバイオリソースの把握)
・国内の他の研究事業で開発されているバイオリソースについては、まとまった情報は入ってきていない。
・海外での研究事業の場合、新規に多くのリソース作成が計画されている研究の場合は、研究費交付機
関から研究終了後、あるいは途中において、開発された系統の有用性と保存先を確認する場合がある。
特に英国や米国でこの傾向が強く、非常に先駆的なリソースの開発が行われたあと、すぐに譲渡を受け
て保存し、提供する場合が数例あった。
【線虫】
(国内の他の研究事業、海外で開発されたバイオリソースの把握)
・ 本中核機関では、基本的には寄託を受けていない。独自に収集した変異体のみを公開・提供してい
る。
・ アメリカに CGC (Caenorhabditis Genetics Center)が存在し、論文に発表された変異体やトランスジェ
ニック株など、寄託を受けた株のみを収集している。CGC では、保有しているストレインを Web 上で公
開しているので把握は可能である。国内外でその他のデータベースで保有株を公開し、提供する事
業を行っている機関はない。
【ネッタイツメガエル】
(アクセス、受け入れ方法・状況)
・ 海外で開発された系統のネッタイツメガエルに関しては、論文などで情報を得て、個人的な問い合わ
せで受け入れている。
・ この場合は、相手側に最寄りの空港まで運搬してもらい、そこから運送会社に依頼して輸入している。
運搬の時、気温を 20-25 度に設定している。
【カイコ】
(アクセス、受け入れ方法・状況)
・ 農業生物資源研究所のジーンバンク事業でカイコのリソースが整備されている。扱われている対象は
絹糸(シルク)の生産に関するリソースである。
・ NBRP は突然変異体を対象としているので両者のリソース内容は全く異なる。
・ 海外ではフランスの国研での保存事業が 2009 年に廃止され、62 系統はイタリアの国研に移された。
NBRP も寄託を要請したが同じ EU 内に移管された。DNA については NBRP に寄託された。
・ イタリアの国研の存続も厳しい状態であるので、イタリアの研究者との意見交換を行っている。
・ 中国のリソースに関しては突然変異系統のリストが出されており、その概要を把握している。しかし、
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【メダカ】
(アクセス、受け入れ方法・状況)
・ 国内で行われた大規模な研究で、開発されたリソースは順次受け入れるべく活動している。すでに今
年度末には逆遺伝学的手法に必須な Tilling ライブラリー(6000 個体からなる凍結精子)の受け入れを
行う予定。
・ 海外で開発されたバイオリソースを把握するために国際学会に継続的に参加している。昨年はローマ
で行われたヨーロッパゼブラフィシュ国際会議に参加し、ZFIN, ZIRC, Sanger center とともにブースを
設置して広報を行った。現在までに海外からは 1 系統の遺伝子導入系統が寄託されすでに公開され
ている。
・ NBRP Medaka ウエッブサイトは日本語とともに英語のサイトも公開しているが、中国語と韓国語のサイ
トも来年度には公開する。これはウエッブサイトの導入部をより容易に閲覧できることからアジア地域で
の利用を促進できると考えている。
【ゼブラフィッシュ】
(国内の他の研究事業、海外で開発されたバイオリソースの把握)
・ 米国の、ゼブラフィッシュ・リソースセンターも、我々と同様に、完全にオープンアクセスになっている。
(アクセス、受け入れ方法・状況)
・ 現在のところ、予算規模が20倍違うこともあり、日本のリソースセンターは、日本で作成された系統の
みを収集・保存・提供することに、特化している。
・ 系統の相互保存は、行っていない。
【ニホンザル】
(国内の他の研究事業、海外で開発されたバイオリソースの把握)
当プロジェクト以外に飼育・繁殖・供給を展開している公的プロジェクト・事業体はない
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
(国内の他の研究事業、海外で開発されたバイオリソースの把握)
・ バイオリソースとして取り扱われる系統などについては、我々の中核・サブ機関が世界の中心となって
作製しており、その技術も卓越している。国内については全ての事業について把握しているといって
過言ではない状態である。
・ 共同研究として成り立っているケースがほとんどであるため、系統のリソースへの寄託やリソースからの
提供は漏らさず進められている。
・ また海外の類似事業についても、共同研究等で把握しているケースがほとんどである。
○他の公的プロジェクト等で整備されるリソースバンクとの連携【問5】〕
○国際協力によるリソース開発への対応についての考え方【問5】
【マウス】
(連携相手、連携内容)
・熊本大学 CARD 中潟教授と実験動物輸送システムの開発で連携し、特に精子、胚の低温輸送とドライ
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アイス輸送の技術開発に成功した。
・熊本大学 CARD 山村教授とアジアネットワークの形成で連携し AMMRA を設立、アジア地域の意見交
換を毎年実施して中国、韓国、台湾との交流が盛んになっている。
(連携の効果)
・FIMRe の設立メンバーとして活動することにより日本の研究者の開発した系統が IMSR を通じて世界に
発信され、国際的な共同研究が行われている。
・FIMRe メンバーとの同意書の締結により日本の研究者から世界の凍結系統を円滑に利用できる仕組み
となった。
【ラット】
(連携相手、連携内容)
・ラット系統の寄託にあたっては、国際命名規約に則って、系統名とラボコードを確認することが必須であ
るため、系統系等の登録国際業務を担っている米国の Rat Genome Dababase(RGD)に協力して、我が
国のラット系統名とラボコード名の登録作業あるいは研究者への指導を行っている。
(連携の効果)
・我が国の研究者が維持・開発しているラット系統が国際的な科学コミュニティーにおける共通の研究ツー
ルとなり、このラット系統を用いる研究成果の再現性や信頼性の確保に繋がっている。
・NBRP-Rat 事業が、我が国のみならず世界においても信頼されていることを明示するものであり、国家
事業としての意義を国内外に示すことにも生かされている。
【ショウジョウバエ】
(連携相手、連携内容)
・宮崎大学と遺伝資源キュレーター育成プログラムを特別教育研究経費により行っている。遺伝資源に関
する後継者の育成や遺伝資源の利用に関する社会的問題とその法規、さらに研究者としての技術的向
上を目的にした大学院教育。
・今後は国際的に活動できるキュレーター教育を行うこととしている。
【線虫】
(連携相手、連携内容)
・ 線虫の変異体等を収集し、データベース公開し、提供しているのは、本中核機関以外には、米国の
CGC のみ。
・ お互いに、相手のデータベースにアクセスすることができる。
・ 提供については、各々の保有する株を各々が提供しているが、上記のように保有株そのものを分担し
ている状況では、お互いに補完する業務を行って、協力しつつコミュニティーの研究を支えているとい
う認識を持っている。
(連携の効果)
・ 我々が新規の変異体を収集する際に、既存の変異体が存在する遺伝子を除外することで、優先度の
高い遺伝子から処理することなどに有効である。
【ネッタイツメガエル】
(連携相手、連携内容)
・英国にある A European Xenopus Resource Centre とは学会や電子メールを介して情報交換等している。
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【カイコ】
(連携相手、連携内容)
・ 農業生物資源研究所とは、リソースのバックアップ体制での協力を話し合っている。
・ 具体的には長期保存する卵を2つにわけ、NBRP のリソースを農業生物資源研究所で保存してもらうこ
とを考えている。
・ 海外との連携は中国重慶市西南大学、イタリアパドバ市国立蚕業研究所、フランスの国際養蚕委員
会等。
(連携の効果)
・ 連携内容不定期的な意見交換に留まっているが、フランスの系統について DNA が NBRP に保管され
る等の成果が上がっている。
【メダカ】
(連携相手、連携内容)
・ メダカに関する海外のバイオリソース事業は現在ないが、以前海外で行われた EST 解析の実施責任
者の Wittbrodot 教授は古くからの友人であり、内容は十分に把握している(末端配列データを提供し
ていただいた)。
・ ゼブラフィシュ国際リソースセンター(ZIRC)の Verga 所長とは相互訪問をすでに行っており、リソース
センターの運営の実際について議論を交わしている。今年からドイツ(Karlsruher)で小形魚類リソース
センターの運営が開始されるが 3 月末に訪問し、意見交換を行う。
・ ゼブラフィシュの生物情報センターである ZFIN の運営責任者の Westerfield 教授とも旧知の間柄なの
で良好なコミュニケーションをとることができる。
(連携の効果)
・ 小形魚類として共通の基盤をもつゼブラフィシュと同様のスタンスでユーザーに対して対応できる。
・ MTA への対応やリソースの輸送に関して相互に意見交換をおこなっている。
・ NBRP zebrafish との連携では遺伝子組換え動物の逃亡防止措置について相談し、ホームページ上に
具体的事例を呈示することや国際的なリソース輸送法についてより経済的な方法を相互に連絡し合う
こと等を行ってきた。
・ ドイツ(Karlsruher)に設置される小形魚類リソースセンターにおいて 3 月末に精子凍結保存法につい
て講習会を行う予定。
【ゼブラフィッシュ】
(連携相手、連携内容)
・ 米国の ZIRC はゼブラフィッシュの国際的なストックセンターとして活動している。そこで公開されている
情報サイト ZFIN は知名度が高く、世界中のゼブラフィッシュ系統が掲載されている。
・ NBRP ゼブラフィッシュでは、分譲依頼用の NBRP データベースと ZFIN とのリンクをつなげることで、
ZFIN から NBRP の系統分譲依頼が可能となるよう作業を進めている。
(連携の効果)
・ 海外のユーザーからの依頼増加に直結すると考えられる。
【ニホンザル】
(連携相手、連携内容)
連携していない。
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【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
(連携相手、連携内容)
・ 国内では類似事業はない。
・ 海外では類似のバイオリソースセンターの構想はあり、それらとは連携をとることが話し合われている。
(連携の効果)
・ 現在の状況は世界の類似事業についてはほとんど稼働していない状態であり、我々のリソース事業が
世界唯一のものといって過言ではない状態であるため、連携の効果はない。
○同リソースを提供する民間企業【問6】〕
【マウス】
(リソースを提供する民間企業)
・日本クレア、日本チャールズリバー、日本エスエルシーなどがある。
(リソースの種類、提供価格等の違い)
・上記、民間ブリーダーは、汎用系統やごく一部の代表的ミュータント、疾患モデルなど大量に売れる 10
~20 種類程度を対象にしている。いずれも既にリソースとして広く定着し、採算が取れるものに限られ
ている。
・理研バイオリソース事業は、最先端のライフサイエンス研究の推進を図るべく、大学等における基礎研究
のために提供を行っている。最先端の学術研究を行う上での価格が高く、民間企業では採算が取れな
いリソースを取り扱っている。
・民間では採算がとれず理研に寄託された例として、P53 欠失マウス及び腎疾患モデルマウスがある。
・民間ブリーダーでは近交系マウスで 2,000 円程度から遺伝子改変マウスで 5,000 円程度までの販売価
格。
【ラット】
(リソースを提供する民間企業)
・民間の実験動物生産企業が存在。
(リソースの種類、提供価格等の違い)
・一般に民間企業においては、アウトブレッドあるいはクローズドコロニーと呼ばれる非近交系ラットが販売
目的の主なもの。
・NBRP-Rat においては非近交系ラットは収集・保存・提供の対象ではない。
・民間企業においてもNBRPで扱っている近交系ラットや疾患モデルラットなどが生産販売されているが、
通常、これらは需要の多いものに限定されている。
・NBRPでは、新規に開発されるラットを含め、近交系ラットや疾患モデルラットなどが対象。さらに、民間
の実験動物生産企業が市販している系統についても、不測の系統断裂への対応や研究者の研究継続
の必要性が生じた際のバックアップとして保存している。
【ショウジョウバエ】
(リソースを提供する民間企業)
なし
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【線虫】
(リソースを提供する民間企業)
なし
【ネッタイツメガエル】
(リソースを提供する民間企業)
なし
【カイコ】
(リソースを提供する民間企業)
・複数の民間企業が存在するが、NBRP で扱う突然変異体リソースとは異なり、絹糸(シルク)用の品種。
【メダカ】
(リソースを提供する民間企業)
・ ヒメダカは一般の熱帯魚店で購入することができる。また数種の突然変異体もダルマメダカ、ヒカリメダ
カとして購入可能。
・ 遺伝子材料を含め、これら以外のメダカバイオリソースは民間企業から購入することはできない。
(リソースの種類、提供価格等の違い)
・ 販売価格はヒメダカが 1 尾 30 円程度、先に記載した突然変異体は 1 ペアー150 円―300 円程度。
・ 民間からの購入で問題となるのはその質。
・ 一般の熱帯魚店のヒメダカは病気に感染している場合が多く、一度、ラボ内に入れると他の系統が全
滅することもある。
・ NBRP Medaka から提供しているダルマメダカ、ヒカリメダカに類似した突然変異体はその原因遺伝子
が判明しているが、市販されているダルマメダカ、ヒカリメダカの遺伝的背景は全く不明であり、実際に
同一の原因遺伝子による突然変異体であるかどうかもわからない。表現形質のおもしろさを指標にし
て市販のダルマメダカ、ヒカリメダカを購入し、研究に利用することはできるが、原因遺伝子の同一性
を問題にする場合には、再度自分でゲノム配列を調べる必要がある。
【ゼブラフィッシュ】
(リソースを提供する民間企業)
・ 野生型は、ペットショップで売っているが、系統とは言えない。
・ その意味では、我々の保存する系統を販売する、民間企業はない。
【ニホンザル】
(リソースを提供する民間企業)
・ ニホンザルを扱っている動物業者はいるが、入手を動物園やサル山などの余剰動物に頼っているた
め、供給状況は極めて不安定で扱われる頭数は少なく、微生物学的なグレードも低い。
・ 販売価格は30万~40万円程度と聞いている。
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
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該当なし
○海外のバイオリソースセンターとの提供価格差。節減見込み 【問7】
【マウス】
(海外との価格差)
・理研 BRC では、平成 14 年度の開始時から実費徴収を実施している。
・リソース料金の海外リソース機関との差については、リソース機関毎に知的財産権等の取扱いを含め料
金設定の考え方が異なるため、BRC の料金設定が海外の非営利リソース機関と比べて安いのか高いの
かを単純に比較することは困難。
・欧州 EU では 7 カ国(伊・仏・英・独・スウェーデン・ポルトガル・スペイン)の 10 機関で構成する 1,700 ユ
ーロ/2~3 つがい(38,000~56,500 円/匹)、凍結胚・精子:11,000 ユーロ(146,000 円)送料はユーザ
ー負担。日本へ輸入する場合は送料 20 万円/回。EU 加盟国に対しては 330 回分(約 7,000 万円相当
額)を EU が負担し、加盟国研究者にリソースへの無償アクセスを確保し、利用促進を図っている。
・米国ジャクソン研は民間ブリーダー機能と公的バンク機能を備え、世界中にマウスを供給している。個
体:$14~$600 以上まで様々。日本から購入する場合は日本チャールズリバーが独占輸入販売して
おり輸入代金のほかに代理店への支払いが上積みされる。北米大陸とそれ以外の地域で価格差があり、
北米大陸以外は 30%増し料金。
ンター。ジャクソン研の機能不足を補完している。UC Davis、ミズーリ大等 4 機関で構成する。個体:$212
(19,000 円)、凍結胚:$1,008(91,000 円)、凍結精子:$424(38,000 円)。送料はユーザー負担。日本
からの利用は送料約 20 万円/回。
【ラット】
(海外との価格差)
・米国の Rat Research Resource Center(RRRC)では、ラット生体一頭につき 150 ドルを徴収している。
・NBRPにおいてはラット生体一頭 5,500 円としている。
(節減見込額)
・今まで提供したリソースを予定価格にて徴収したと想定すると、平成 20 年度では約 200 万円の実費が徴
収されたことになる。
【ショウジョウバエ】
(海外との価格差)
・ ショウジョウバエは H22 年 4 月 1 日か 5 月 1 日から価格改定を行う予定で、運営委員会の了承を得て
いる。
・
その新価格によると、1系統:1,785 円、その後は1系統あたり 143 円で、梱包代が加算される。梱包
の大きさにより価格が変動するが、平均して、10 系統:3,072 円、30 系統:5,806 円、100 系統:15,816
円。
・
アメリカのショウジョウバエ系統センターの価格は、1系統:3,500 円、10 系統:10,000 円、30 系統:
20,000 円、100 系統:45,000 円、と段階的に価格が変動し、多くの系統を発注するほど系統あたりの単
価が安くなる価格体系となっている。
・
単純な比較で、アメリカと比較して約1/3の価格となっている。これは、ショウジョウバエそのものが
系統維持の過程で生じるものであり、提供のための別作業により生まれてきたものでない事から、
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NBRP の維持業務から派生した生物個体と考える事で,リソースそのものは無料と考える事に依る。
(節減見込額)
・ 2009 年度の利用者数が継続すれば、年間提供総額は約 400 万円以上になると思われる。2009 年度
は、提供価格が系統あたり 30 円と低額であったため、約 180 万円強になる。
【線虫】
(海外との価格差)
・ 海外バイオリソースセンターでは、年間登録料が 25 米ドル、1ストレイン毎に送付手数料が 7 米ドル。
・ 中核機関では、送付手数料の支払いの簡略化のために、登録料を設定せず、1ストレイン毎に 1,000
日本円とする案で準備を進めている。
・ 為替変動は予想できないので、仮に、1 米ドル=90 日本円程度とした場合、年間 6 ストレインを送付し
た場合、CGC では約 6,030 円、本中核機関では、6,000 円とほぼ同額になる。
・ これより送付数が多い場合には、本中核機関の方が若干の割高となるが、国内ユーザーは、少数を
確実に使って実験するスタイルの研究室が多いことからデメリットにはならないと考えている。
【ネッタイツメガエル】
(海外との価格差)
・ 事業開始時から輸送費は着払いにして実費徴収を行っている。
・ 現時点の事業展開では輸送費以外の実費は無視できるものと考えている。梱包用の箱は大学出入り
の業者の使用済みの箱で再利用しているため、費用がかかっていない。
【カイコ】
(海外との価格差)
・海外のセンターで課金しているという情報は今まで聞いたことはない。カイコ系統を提供し、課金を行って
いる例があるとすれば、それはシルク生産に使う農業用のもの。
(節減見込額)
・提供価格(実費)徴収によりこれまでと比較して節減される提供経費の年間総額は18万円程度と予想さ
れる。
【メダカ】
(海外との価格差)
・ メダカバイオリソースを提供している海外のリソースセンターは存在しないため、正確な比較はできな
い。
・ ゼブラフィシュでは wild type が$20 per pair、 mutant が$150―$700 に設定されている。cDNA クロー
ンでは 1 クローンが$40 に設定されている。
・ NBRPMedaka では成魚 5 ペアー程度を一度の提供していることから同水準での提供とすると 1 系統あ
たり 10000 円程度となる。クローンに関しても 3000 円―5000 円程度を現在考えている。
(節減見込額)
・ 提供に関する人件費を含む実費徴収後も等程度の利用があるとすると、節減される年間経費は
300-500 万円程度と考えている。正確な実費に関しては現在、積算中であるので変動する可能性が
あることをご承知願いたい。
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【ゼブラフィッシュ】
(海外との価格差)
・ 現在のところ、輸送費を着払いとする以外の実費徴収は行っていない。
・ 実際には、実費は、ビニール袋や、発泡スチロール容器の代金など、わずかなもので、これを徴収す
るための手間の方が、遥かにかかると思われる。
・ リソース運営の殆どは、人件費で、これを課金に回すと、価格が高くなりすぎて、請求は激減するでし
ょう。
【ニホンザル】
・ ニホンザルの場合、海外では生産されていない。
・ ユーザーから検疫費用・輸送料金を実費として徴収しているが、当初よりユーザーが業者に直接支
払う形態をとっているため、提供経費の節減はない。
・ 尚、ユーザーの実費負担額は機関の所在地により異なるが、約10万円から15万円程度である。
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
(海外との価格差)
・ 海外では提供実績がなく比較はできない。
(節減見込額)
・ H22 年度から提供にかかる箱代と送料の実費徴収を計画しているが、これらについては現在でもユー
ザーの負担となっており(現在は代金としてではなく、箱などは送り返してもらうことで対応している)、
コスト削減にはならない。
・ ただ、実費として徴収することでそれら輸送にかかる物品を拠点で購入できるため、ユーザーがそれら
の物品を返送する必要が無くなること、拠点は返送された物品を管理する必要が無くなること、これら
の2点の効果は事業の効率化につながり、大きな利点になると考えている。
○その他。「NBRP 中核機関への支援方法」「新たなバイオリソース開発の必要性」「提供のあり方」
について特に必要と考えられる事項 【問8】
【マウス】
(リソース開発と寄託・再利用促進の方策について)
・科研費等における指針の整備。公的資金による研究課題で新たなリソースを作製した場合には、原則公
開し、希望者に円滑に提供することを奨励すべき。公開と提供を効果的かる効率的に実施する方法とし
て NBRP 中核機関等への寄託を義務付け、研究計画にはその部分も含めて申請させ、審査を受ける仕
組みとすべき。
・なお、韓国のマウスリソース整備は、総じて日本を模倣・追従している状況であるが、中核機関への集約
の仕組みではむしろ先行しており、最近では公的資金により作製したリソースは公的機関に寄託させ集
約することを法律に義務付けた。またその寄託受入れ機関として国立研究所に疾患モデル動物センタ
ーを近く設置する予定。
・特に大型のプロジェクトの場合は国全体としてのコーディネーションとして開発機関とリソース機関の連携
を必須事項とすべき。これによりプロジェクトの成果が公開され、リソースが利活用される。リソース機関と
しても3~5年後の収集計画まで明確化でき、国内外への情報発信もタイムリーにできるものと考える。
・国内のリソース開発状況を正確に把握できる仕組みの整備があれば収集計画が立てられる。新規の採
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択課題におけるリソースの開発・作製を検索できる仕組みの整備が望まれる。
(新たなバイオリソース開発の必要性)
・欧米カナダはノックアウトマウスプロジェクトにより全遺伝子のノックアウトリソース作製を間もなく完了させる。
既に次期フェーズとして表現型解析による機能アノテーションを開始しており表現型の整備されたマウス
が急増する見込み。
・ノックアウトプロジェクトのない我が国は、独自のリソースの収集により国際的な地位を維持している。
NBRP 第 2 期では可視化モデルや主に脳研究者の開発してCreマウスなど、ノックアウトマウスリソースを
補完する重要なリソースの整備に着手してきたが、欧米でも大型のプロジェクトが立ち上がっている。我
が国も研究コミュニティー全体のコーディネーションに力を入れ、国際連携をとりつつ、世界と対等に伍
していくための新規リソースの戦略的な開発が是非とも必要である。Cre マウスや可視化マウスの組織特
異的な発言情報の整備は、リソースのゲノム情報の整備と同様に系統の価値を著しく向上する。こうした
付加価値情報の整備も是非促進していただきたい課題である。
【ラット】
(NBRP 中核機関への支援方法)
・継続的な実施には人材確保が最も大切である。研究者、技術者の雇用条件を大学教員や職員と同等
に処することに御支援をお願いしたい。
(新たなバイオリソース開発の必要性)
・念願の遺伝子ノックアウトラット(遺伝子変異ラットを含む)の作製が可能となったので、新たなラットリソー
スの開発の必要性が急速に高まっている。
・中核機関においては、2つの方法で遺伝子変異ラットあるいは遺伝子ノックアウトラットを作製するシステ
ムを開発しているので、研究者の要望に応えられる状況にある。ラットリソースセンターを設立してNBRP
事業とラット系統の開発事業とを連携して、我が国の研究者の要望に応えたい。
・遺伝子ノックアウトラットの作製が可能となったので、新規の疾患モデルラットの開発が急激に増える可能
性があり、諸国に遅れをとることなく、これまでのラットリソースの優位性を高めるよう努力すべきである。
(提供のあり方)
・ラットリソースの提供については、アカデミアに限定せずに、広く提供することが良い。それらが使われる
ことによって、世の中に貢献するのである。
【ショウジョウバエ】
・ 遺伝資源の収集・維持・提供を今後も長く継続して行なう事を国家事業とするならば,まず研究支援
的事業である事の認識,事業運営者としての自覚を確認し,その上で事業の発展と継続を望むボラン
ティア的リソース専門研究者あるいは事業者を中心として,中核拠点を形成すべきである。
・ 飼育と系統の保存だけでなく、研究の発展とともに日々新しい系統に関する知識や観察力を必要とす
る品質管理は,専門研究者への委託業務か競争的資金で行なう方法も検討されてよい。
・ リソースの収集・維持・管理・提供事業は、リソースを維持する事に情熱を傾けることのできる人材と環
境(外国では現役を退いた名誉職の研究者が代表者の例が多い。あるいは専門職として認知する社
会的仕組み)が必須であり,定年や、任期にこだわらず,5年間隔で評価を行い研究支援的業務の専
門知識と専門技術を長期間維持する事を基本とすべきであると考える。
・ リソースの保全には、まさしく人材リソースの確保が重要であり,育成するのではなく、人材の育つのを
待つくらいの長期計画も考えておく必要がある。
・ 文部科学省と農水省、厚労省、環境省などとの棲み分けも重要。
・
新たなバイオリソース開発は必須であるが,基礎生物学研究用バイオリソースと、野生生物多様性バ
イオリソースの明確な区別が必要。野生生物を対象とした生物多様性に関する保有国の権利と利益
配分への配慮は現在のNBRPの多数の系統には当てはまらない。
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・
・
生命科学等研究用バイオリソースの開発は研究者の研究成果として開発されるのが基本。
バイオリソースの保存に関する技術だけではなく,保存業務を高度な技能で補佐する機器の開発を
支援して頂きたい。
【線虫】
・ 遺伝学的なバックグラウンドの違うバイオリソース材料の間での表現型の違いによって遺伝子機能を
解析することは、ヒトの疾患のメカニズムを理解する上でも、基本的かつ重要な戦略であり、国内で確
実に手に入る体制が必須。これによって、解析のスピードが向上し、国内でのこの分野の技術の広が
りが促進すると期待される。
・ 逆に、これがないと、国外からの提供を受ける際に、タダ乗りしていると考えられる可能性がある。
・ 外国に比べて遜色のない国内バイオリソースの基盤を持つことは、日本の研究者が外国から実験試
料の提供を受ける上でも、不要な劣等感を感じる必要がないし、国外研究者の協力も得やすい。
・ 新たなバイオリソースの開発は、研究の発展に伴い、重要であると考えられるが、それに見合う国内の
優秀な技術のシーズがあることが前提で、競争的資金等で作られた技術を公正に評価して、それがコ
ミュニティーに有用であると判断した場合に、バイオリソース事業に取り入れる方法が良いと思う。
【ネッタイツメガエル】
なし
【カイコ】
・リソースが知的財産であり大変貴重であるということが残念ながら未だ普及していない。この点の改善として、
科研費の申請書あるいは報告書の中に、リソースに体する配慮を促す項目を盛り込む方法を提案したい。
使用する(した)リソースについて、成果報告書にはその入手先を明記することに留意する。または謝辞等
に記載する配慮を行う等の材料、知的財産に関する研究者の配慮を促す項目を設定する。
【メダカ】
(NBRP 中核機関への支援方法)
・ NBRP 中核機関への支援方法として課題管理者とともに常勤の技術職員が雇用可能な体制が構築さ
れるのが望ましい。
(新たなバイオリソース開発の必要性)
・ 新たなバイオリソース開発も半歩先をいくリソースプロジェクトの運営には必須であろう。一方で有用な
リソースは日々の研究過程で生み出されるので、それをできるだけはやく寄託してもらえるようユーザ
ーからリソースセンターが信用を得る必要がある。
・ 大規模なリソース開発を含む研究経費を採択するさいは、開発リソースをリソースセンターへ寄託する
ことを義務づける必要がある。
(提供のあり方)
・ 提供に際して、送料を含む実費を徴収することはコミュニティーからは支持されている。
・ しかし利用を妨げない適正な価格設定をする必要があると考える。実費徴収の目的は無駄や過剰な
リソース提供依頼をなくすことや、提供数の増加によって実質的なプロジェクト運用経費が減ることを
防ぐことが目的である。適正をかく価格設定はリソース事業そのものを妨げる可能性がある。
【ゼブラフィッシュ】
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(NBRP 中核機関への支援方法)
・ ゼブラフィッシュでは、技術的進歩によって、全ての遺伝子を壊した系統ライブラリーや、全ての神経
細胞ごとに、遺伝子操作ができる系統ライブラリーなど、系統的かつ巨大な系統ライブラリーが作成さ
れると思います。このような系統を、我が国で作成する場合、その収集・保存・供給をリソース事業でバ
ックアップする場合、予算規模の拡大が必要になります。
・ 系統を安定的に管理し、さらに先進的なリソース事業を展開することを考えると、現在は岡本が兼任し
て事業代表を行っているが、将来的には事業を統括する専任の研究員の雇用が望まれます。
【ニホンザル】
(NBRP 中核機関への支援方法)
・ 中核機関では繁殖育成業務を民間業者に委託し、年度ごとに契約を更新する形態をとっている。来
年度は入札で事業体を選定することになったが、長期にわたり繁殖群を計画的に維持管理し、ユー
ザーの要望に適う品質や付加価値を持つ個体を継続して提供していくためには、現在の体制のまま
では多くの面で限界がある。
・ 長期的に安定して高品質のリソースを提供していくためには、中核機関に恒久性のある公的な霊長
類繁殖・研究施設を設立し、SPF コロニーの確立を目指すことが、喫緊の優先課題であると考えてい
る。
・ それと共に個体毎のバックグランドデータを付加するサービスを更に充実させていくことにより、海外の
研究者からも提供を要望されるような、世界に類のないバイオリソースシステムを目指していきたい。
・ 分担機関では附属人類進化モデル研究センターが NBR ニホンザルを担当し、分担課題管理者と技
術者の継続性を全体でカバーしている。しかし、予算面から事務担当・特任教員の雇用が困難なため、
特定の職員の負担が過重になり、SPF 化推進計画の遅れにも繋がってきている。
【カタユウレイボヤ・ニッポンウミシダ】
(NBRP 中核機関への支援方法)
(新たなバイオリソース開発の必要性)
・ リソース事業の中には発展途中のものがいくつかある。これらについてはユーザー獲得のためにイン
パクトの高いリソースを戦略的に用意すること、またそれらを使った論文を発表することが効果的な場
合がある。
・ そのようなものが認められる場合には、事業を妨げない程度であれば、リソースの開発に投資可能に
してはどうかと提案したい。
(提供のあり方)
・ 今後海外への提供は重要になってくるが、海外へのリソース提供には GMO の問題がつきまとう。これ
についてそれぞれのプログラムで対応するのではなく、サポート体制を整えていただきたい。
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