テフロン ふっ素樹脂コーティング

TEFLON ふっ素樹脂加工
TM
CHEMOURS LICENSED INDUSTRIAL APPLICATOR
「テフロン」および「Teflon」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
INDEX
◎テフロンTMふっ素樹脂加工の用途例……………………………………………………………1
◎テフロンTMふっ素樹脂加工とは……………………………………………………………………
2
① ふっ素樹脂のすぐれた特性……………………………………………………………………
2
② 加工塗料の種類…………………………………………………………………………………
2
⑴ PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)……………………………………………………………
2
⑵ PFA(パーフルオロアルコキシアルカンポリマー)…………………………………3
⑶ FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)……………………………… 3
⑷ ETFE(エチレン -テトラフルオロエチレンコポリマー)…………………………………
3
⑸ 変成タイプ…………………………………………………………………………………
3
③ 加工工程概要…………………………………………………………………………………
4
④ 加工方法の種類…………………………………………………………………………………
5
⑴ 厚塗りふっ素樹脂加工……………………………………………………………………
5
⑵ 溶射(金属またはセラミック)
とふっ素樹脂加工…………………………………… 5
⑶ 陽極酸化とふっ素樹脂加工………………………………………………………………
5
⑷ メッキとふっ素樹脂加工………………………………………………………………5
⑸ その他の下地処理とふっ素樹脂加工………………………………………………………………
5
⑤ 基材に対する注意事項…………………………………………………………………………………
5
⑴ 熱処理条件及び下地処理………………………………………………………………………
5
⑵ 基材製作時の注意事項……………………………………………………………………
5
◎テフロンTMふっ素樹脂加工の品質管理…………………………………………………………6
① 出荷時検査の種類と方法………………………………………………………………………
6
② 塗膜の密着検査…………………………………………………………………………………
8
◎物性表…………………………………………………………………………………………………
10
◎物性比較表の用語の説明 ………………………………………………………………………12
ケマーズ社はテフロンTM加工に十分な設備と優れた技術を持つ
メーカーをLicensed Industrial Applicator = LIAとして認定
しております。
当社はケマーズ社の認定加工メーカーです。
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
テフロン ふっ素樹脂加工の用途例
TM
食品工業分野
家庭用品分 野
非粘着
非粘着
撥水
食罐、フィルター、カッター、スクリーン、
トンネル炉の鋼板ベルト及金網、加熱
耐熱
滑り
滑り
シール機のヒートシーラー用棒、パン・アイスクリーム・米菓・洋菓子・砂糖菓子・
鍋、フライパン、肉魚焼、芝刈機刃、便器、
飴菓子等の製菓機械器具及び焼成部品、餅用機械、自動包装機、肉鋸、ホッ
植 木 の 鋏 、丸 鋸 刃 、アイロン、製 氷 皿 、庖
パー、バスケット、小麦粉ねりロール、蒲鉾・竹輪・ハム・ベーコン・佃煮等の機械
丁、炊飯器、ご飯櫃保温器、油揚鍋、ケーキ
部品及び洗浄・焼成部品、運搬容器、作業容器、包装機械の擢動面、自動販売
焼型、雪搔スコップ
機部品
自動車・ 電 子 機 器 分 野
滑り
非粘着
化学工業分野
電気絶縁
非粘着
ソレノイドのプランジャー、キャブレーター、公害防止器の各
耐食
絶縁
ドラム、フィルター、ファン、ロール、フラン
部品、安全ベルト部品、ディストリビューターの部品、蝶番の
ジ、ボルト、ナット、Oリング、バルブ、リング、
部品、フック、計器の回転シャフト部品等、スイッチの絶縁部
コンベヤー、ホッパー、バケット、パイプ、継
品等、録音機器、計器、電気機器、耐ガラス品、擢動面、擢動
手、容器、器具、計器、耐塩水機械部品、熱交
部品、部品製造設備、クーラーバイパスバルブ
換器、機械の壁面、タンクローリー、フィル
ター、プレス、反応槽
半導体分野
医療・医薬分野
非粘着
滑り
耐食
純粋性
非粘着
アーク
純粋性
手術用ピンセット、手術用ハサミ、医療機器部
洗浄機、検査槽、コーターデベロッパー、
ド
品、医療検査機器部品、ヒーター、反応槽、
ライエッチング装置、ウェハーカッティング
針、包装機械、輸血パック製造装置部品、細胞
台、薬品搬送容器、貯蔵容器、レジスト製造
試料作成用部品、滅菌器、義歯型
装置、CMP装置
一般工業分 野
非粘着
滑り
離型
繊維切断器用ドラム、フィルター、芝刈機械、農器具、スチールモールド、ファン、ヒートロール、木工機、鋸、鋳物金型、ゴム加硫用ロー
ラー、樹脂注入整形金型、ベアリング、回転受ブッシュ、製紙ロール、繊維ロール、合板の金型、ホッパー、バスケット、ねりロール、フラン
ジ、ボルト、ナット、ワッシャー、Oリング、プラグ、バルブ、ピストン、プランジャー、パイプ、リング、ステレオ等小型機・大型機の擢動面・擢
動部、
ミニチュアベアリング、小ギヤー、回転防音、水冷メタル、コンベヤー、熱交換器、染色機械部品、繊維機械部品、事務機器用ロー
ル、塗装冶具の懸吊部品、ブース、ロクロ、バイメタル、車両、運搬機器、印刷機、油圧機器、光学機器
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
1
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
テフロン ふっ素樹脂加工とは
TM
当社は1963年(昭和38年)
よりテフロンTM加工・その他のふっ素樹脂加工を行なってまいりました。
その経験により現在、お客様の立場にたってより良いふっ素樹脂加工を行なっております。
1
ふっ素樹脂のすぐれた特性
A.非粘着性
付着性の強い粘着物に対しても離型がよく、付着しないか、または、付着しにくい性質のことです。
B.撥水・撥油性
表面に水や油がついても良く弾きます。よって汚れがつき難く、
しかも簡単に洗浄できます。
C.耐熱性
樹脂の中では耐熱性が高く、高温(260℃)に耐えます。また−260℃の低温にも耐え性能は変わりません。
D.低摩擦性
滑りやすく低い摩擦係数をもっています。また、スティックスリップを起こしません。潤滑性に非常に優れています。
E.耐薬品性
酸やアルカリ等の化学薬品に侵されたり、腐食することが、ほとんどありません。被膜が薄いと被膜はおかされませんが、薬品・溶液が被膜を浸
透して基材を腐食させますので、粉体塗装により被膜を厚くして基材の腐食を防ぎます。
F.電気特性
絶縁耐力(絶縁破壊の強さ)、体積抵抗率、表面抵抗率は大きく、フラッシュオーバー(閃絡放電)やトラッキング現象には樹脂のうちでは一番性
能が良いです。比誘電率も大きく高周波に対しても損失は少なく、誘電体力率(誘電正接)tanδは高い周波数に対しても非常に小さいです。
2
加工塗料の種類
⑴ PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
F
F
C
C
F
F
四ふっ化エチレンとか、
4Fとか呼ばれています。連続使用温度が260℃と最も高く、耐熱性のほか、非粘着性、
低摩擦特性などにも優れています。
PTFEは樹脂の中では熱に強いのですが、これは比較しての話で金属と同じようにはいきません。フライパン・
n
アイロンの底・焼肉器・菓子のバームクーヘン焼成機の棒・食罐等類似の非粘着性、耐熱性を必要とするところ
に適しています。またアルミニウムに対しては耐摩耗性をもたせるため、当社の特許による特別な方法や、溶
射による方法もあります。
2
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
⑵ PFA(パーフルオロアルコキシアルカンポリマー)
F
F
F
F
C
C
C
C
F
F
O
F
ℓ
C
m
F 2m+1
ℓ'
n
PTFEの改良樹脂で、PTFEと同じ連続使用耐熱温度260℃を有しています。
しかも熱溶融粘度が低いため、PTFEでは得られなかったピンホー
ルの少ない連続被膜を得ることができるため、高温使用の耐食用としては、最高の性能を持つふっ素樹脂加工材料です。
PFA加工はPTFE加工より非粘着性に優れているため、高温離型用として使用されています。
⑶ FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)
F
F
F
F
C
C
C
C
F
F
ℓ
F
F
C
F
F
m
n
PTFEの改良樹脂ですが、耐熱性はPTFEより落ちます。焼成により滑らかなピンホールの少ない被膜を得ることができます。4F6Fとか四・六
ふっ化と呼ばれています。
⑷ ETFE(エチレン -テトラフルオロエチレンコポリマー)
H
H
F
F
C
C
C
C
H
H
F
F
m
前記のふっ素樹脂と比べると、非粘着性、耐熱性、耐薬品性において、多少
劣ってはいますが、優れた機械的性質により耐摩耗性に優れていますし、防食
用途にもよく使用されています。
n
⑸ 変成タイプ
ふっ素樹脂の欠点を補うために、主として、ふっ素樹脂と他の高機能樹脂とを混合した塗料で非常に多くの種類があります。
A.高温型変成(260℃使用可能)
ふっ素樹脂の耐熱性を下げることなく、基材との密着力を増し、また、耐摩耗性を向上させたものです。添加樹脂には、PPS、PES、ポリイ
ミド、ポリアミドイミド等が使用されています。
B.低温型変成
ふっ素樹脂の持つ低摩擦性や非粘着性を生かし、低温で加工できるようにしたタイプです。
アクリル、エポキシ樹脂等が使用されています。
低温焼成が必要な金属。
鉛、亜鉛合金、ハイテンションボルト等の加工や、ゴム、プラスチックにも加工できるタイプもあります。
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
3
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
3
品質管理
物性表
用語解説
加工工程概要
受入れ
脱脂処理
○ 基材の検査を行います。
(検査要領は取り決めによります。)
○ 加工に不都合な箇所があれば修正をお願いする場合がございます。
○ 基材の汚れや、油分を溶剤で洗浄します。
○ 基材を炉中で加熱し油脂や汚れを熱分解させます。
ブラスト
○ 加工する面をモランダム、グリッド等の砥粒と空気によりブラストし、
下地処理
錆や汚れ等を除去し、適度に粗面化します。
エッチング、化学被膜処理
○ ブラストが行えない場合や使用される機能に合せて下地処理を行います。
プライマー塗装
焼成
○ 基材とふっ素樹脂の密着をよくするためプライマーを塗装します。
○ プライマーの焼付を炉で行います。
エナメル塗装
塗装
焼成
検査
4
○ ふっ素樹脂のエナメルを塗装機または、手動により塗装します。
粉体塗装
○ ふっ素樹脂のパウダーを静電または、特殊の塗装機により塗装します。
○ ふっ素樹脂を加熱し溶融させ塗膜化します。
※ 塗装、焼成を繰り返し、ご要望の機能に達するまで塗膜を増します。
○ 加工完成後、打合せや、仕様通りの加工ができているか検査します。
主として判定は、検査要領書によります。
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
用途例
4
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
加工方法の種類
⑴ 厚塗りふっ素樹脂加工
プラントやその他の機械、器具、容器で酸やアルカリ等の耐薬品用、または、腐食性ガスのある場所の機械、器具には膜厚が薄いとピンホールよ
り薬品が浸透して基材腐食を起しますので、厳しい薬品には使用寿命が短く実用ができません。その場合、厚塗り加工ですと200μm∼1000μ
m位迄つけることができますので、ほとんどの薬品に対して耐えることができます。塗装は粉体を静電塗装ガンで吹き付けて焼成することを繰り
返します。基材は角ばったところがないよう凸部は6R、凹部は15R以上丸味をつけたものにして下さい。
詳細は当社資料『ふっ素樹脂ライニング用 機器の設計』
を御覧下さい。
なお、罐体設計されるときは、当社技術営業員と打合せて下さい。
⑵ 溶射(金属またはセラミック)
とふっ素樹脂加工
ふっ素樹脂加工で厳しい耐摩耗性を必要とするところには、ニッケルやクロム合金、またはチタニア、ジルコニア、アルミナ等のセラミックといっ
た硬い材料を溶射方式により溶着させ、その上にふっ素樹脂加工を行います。
上記溶着物は、非常に硬く凹凸が激しく多孔質な事もあり、金属片で表面をこすられるような場合でも、表層のふっ素樹脂は削られますが、凹部
のふっ素樹脂がその機能を果たします。
⑶ 陽極酸化とふっ素樹脂加工
アルミ基材に施工致します。
アルミ表面に陽極酸化と特殊処理により、非常に硬く、多孔質な凹凸を形成し、その中へ、ふっ素樹脂を加工したもので、耐摩耗性や、アルミの耐
腐食性を向上させ、ふっ素樹脂の特徴を引きだした画期的な加工です。
⑷ メッキとふっ素樹脂加工
ニッケルメッキや、クロムメッキを使って、特殊な層を形成し、その層の中にふっ素樹脂を含侵させる方法で、ニッケルメッキや、クロームメッキの
持つ硬さや耐摩耗性が生かされ、また、ふっ素樹脂の滑り性も発揮できるものです。
⑸ その他の下地処理とふっ素樹脂加工
ふっ素樹脂加工の特徴を生かしたままで、ふっ素樹脂の持つ欠点を補う下地処理が色々あります。フリット加工、化成被膜処理等、必要特性を分
析して下地処理を使い分けます。
5
基材に対する注意事項
⑴ 熱処理条件及び下地処理
○ 加工の際、通常400℃∼500℃程度の熱処理や、密着性を上げるための下地処理としてブラスト等の加工を行います。
○ 加工温度以上の耐熱性をもつ金属を選定して下さい。
(半田付け等は使用しないで下さい。銅系の金属は熱処理による脆弱な酸化膜により
加工の密着を阻害します。別途ご相談が必要です。)
○ 熱処理により、基材部分に焼き色(酸化膜)がつきます。
○ 熱処理とブラスト処理により歪が生じます。特に薄物や精度の必要なものは事前打ち合わせが必要です。
○ 中空のロールの場合は、軸のずれなどを防ぐために溶接構造にて製作し、熱処理による破裂、変形を防ぐために空気穴を設けて下さい。
○ 再加工および既存加工のやり替えの際は、特に当社技術営業員にご相談下さい。
⑵ 基材製作時の注意事項
○ 溶接部の巣穴やピンホール、アンダーカットは十分な加工ができず加工不良の原因になります。 溶接部は全溶接とし、溶接部のビードはカッ
トし平滑に仕上げる必要があります。角部などは、バリなど無いように滑らかに仕上げて下さい。
○ 厚膜加工(ピンホールレス仕様)の場合は特に角部にR加工が必要です。 通常のPFA施工の場合凸部6R以上、凹部15R以上のR加工が必
要になります。エッジが残っていると加工材のヒケが起こるため、ピンホールや剥がれの原因になります。
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
5
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
テフロン ふっ素樹脂加工の品質管理
TM
当社の加工は、品質検査を経てお客様のお手元にお届けいたします。代表的な加工膜検査方法をご紹介いたします。
1
出荷時検査の種類と方法
A.製品検査
打合せ事項及びご注文書通りであるかを図面や個別仕様をもとに確認を行います。
B.塗膜外観検査
加工塗膜を拡散昼光の下で目視により観察します。
原則として、膨れ、割れ、はがれ(層間剥離含む)、素地露出、すけが発見された場合を不合格とします。
C.膜厚測定検査
膜厚とは、素地板及びその上に乗せた標準板を基準にして調整した膜厚計を用いて測定した加工塗膜の厚さのことをいいます。
検査方法
測定対象部に膜厚計の測定極を密着させて、膜厚計の目盛を読み取り記録します。
膜厚測定点数は、
(平面部においては、)原則として1㎡毎に2箇所以上とする。ただし、測定対象物の形状、大きさ、用途により、お客様と
の協議のうえ測定点数を取決めいたします。
①電磁式膜厚計
鉄素地(フェライト系ステンレス鋼を含む)上に塗った非磁性塗膜の厚さを、交流回路によってプローブ(※)に生じた交番磁界が、鉄素地と
の距離によって生じる変化を塗膜厚に変換して測定します。装置の一例を図1に、原理図を図2に示します。
ゼロ調整つまみ
表示器
000
標準調整つまみ
鉄しん
表示器
コイル
本体
プローブ
塗膜または標準厚板
塗膜
素 地
素 地
図1
図2
(JIS K 5400:1990 3.5から一部変更して転載)
②渦電流式膜厚計
非鉄金属の素地上の塗膜の厚さを、高周波電流をプローブに流したときに素地金属の表面に誘起される渦電流がプローブ(※)
と素地との
距離によって生じる変化を利用して測定します。装置の一例を図3に、原理図を図4に示します。
表示器
ゼロ調整つまみ
000
標準調整つまみ
本体
プローブ
塗膜または標準厚板
電流計
A
コア
E
コイル
渦電流
(※)
高周波電源
金属板
素 地
図3
図4
(※)プローブの測定面と磁極は、常に付着物が付かないようにしておく。
(JIS K 5400:1990 3.5から一部変更して転載)
6
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
D.ピンホール検査
ピンホールとは、電気的に検出できる可能性がある微小欠陥の総称です。ただし、一般的には微小欠陥の1つで、気泡などの抜け跡にみられる
針で突いたような穴のことをいいます。代表的なピンホール検査として次のものがあります。
a.電気抵抗測定法(湿式)
原則として、膜厚500μm以下の加工膜に適用します。ただし、お客様との協議の上、500μm以上の加工膜に用いることもあります。
測定方法
試験器の先端に試験液を含ませた電極を取り付け、接地した対象面の素地の露出部分に軽く接触させ、試験器が作動(導通)
していること
を確認後、接地した対象面の上を、試験液を含ませた電極で毎秒30㎝以下の速度で走査します。試験電圧は、お客様との協議の上、決定
した電圧を優先します。
膜厚(μm)
試験電圧(V)
∼300
25/125/250/500/1000
300∼500
1000以下
500∼
絶縁抵抗計
電極先端
(ガーゼ、
伝導ゴム)
1000以下
表1 膜厚に対する試験電圧の測定基準
塗膜
金属
アース線
図5 測定略図
判定方法
試験器が基準抵抗値以下を示した場合、ピンホールを検出したと判定します。
b.放電検出法(乾式)
原則として、膜厚500μm以上の加工膜に適用します。ただし、お客様との協議の上、500μm以下の加工膜に用いることもあります。
測定方法
試験器を接続し、電極先端にブラシ状電極または導電性ゴムを取り付けた電極を、接地した対象面の素地の露出部分に接触させないよう
に近づけ、試験器が作動(放電)
していることを確認します。接地した対象面の上を、電極先端で、毎秒30㎝以下の速度で走査します。試
験電圧は、お客様との協議の上、決定した電圧を優先します。
500∼800
5000∼8000
800∼1500
8000以下
1500以上
都度取決め
電極
3000∼5000
欠陥
気中放電
試験電圧(V)
電極
膜厚(μm)
∼500
表2 膜厚に対する試験電圧の測定基準
沿面放電
b
c
ピンホールテスター
a
気中放電
塗膜
金属
アース線
図6 測定略図
判定方法
ピンホールテスターが作動した場合、ピンホールを検出したと判定します。
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
7
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
2
品質管理
物性表
用語解説
塗膜の密着検査
テフロンTMふっ素樹脂加工は強固に基材と密着することで機能膜として利用することができます。
加工膜が基材ときちんと密着しているかを確認する検査方法をご紹介します。
密着試験は、塗膜の破壊検査になるため、お客様との打ち合わせの上、通常は同条件で加工したテストピースを使用した検査となります。
A.碁盤目テープ法
塗膜の厚さ μm
碁盤目法にて評価したテストピースの碁盤目の上に粘着テープを貼
項目
り、剥がした後の塗膜の付着状態を目視により確認する方法です。
切りきずは、隙間間隔のカッターガイドなどを用い、塗膜面にカッ
ターナイフにて碁盤目状の切りきずを付けます。切りきずの間隔及び
ます目の数は表3によります。
60未満
隙間間隔 mm
ます目の数
60以上
120未満
120以上
1
2
3
100
25
25
表3 切りきずの間隔及びます目の数
(JIS K 6894:2014 4.6.4から転載)
碁盤目の上にセロハン粘着テープを貼り付け、消しゴムでこすって塗膜にテープを密着させ、1分∼2分後にテープの一方の端を持って塗膜
面に垂直に保ち、瞬間的に引き、テープを引き剥がした後の試験片の塗膜面に付けた碁盤目状の剥離の状態を観察して、図7を参考にし、表
4によって評価します。
また、ます目の数を分母として剥離のないます目を分数で表すこともあります。評価は、最も低い評点をその評価とします。
評価0点
評価2点
評価4点
評価6点
図7 判定基準図(JIS K 6894:2014 4.6.4から転載)
注記:黒い箇所は、欠損部を示します
評点
塗膜面の状態
0点
剥離していない塗膜面積が、全碁盤目試験面積の35%未満。
2点
剥離していない塗膜面積が、全碁盤目試験面積の35%以上65%未満。
切りきずによる剥がれの幅が、大きく、広く認められ、
碁盤目が全面的に剥がれている部分も多い。
4点
剥離していない塗膜面積が、全碁盤目試験面積の65%以上85%未満。
切りきずによる剥がれの幅が、広く認められ、碁盤目が連続的に剥がれている。
6点
剥離していない塗膜面積が、全碁盤目試験面積の85%以上95%未満。
切りきずの両側及び交点に剥がれが認められ、部分的に剥がれている。
8点
剥離していない塗膜面積が、全碁盤目試験面積の95%以上。
切りきずの交点に僅かな剥がれが認められる程度。
10点
切りきず1本ごとが、細くて滑らかで、碁盤目に剥がれがない。
表4 碁盤目テープ試験法の評価点数(JIS K 6894:2014 4.6.4から転載)
8
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
評価8点
評価10点
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
B.ピール強度試験法
300μm以上の塗膜に適用します。
試験片は、表面に被覆された塗膜に10mm±0.2幅になるように、カッターナイフなどで刃先が試験片の素地に届くように切込みを入れます。
塗膜の端を剥がし端面を試験片つかみ具に取り付け、水平に移動する器具を用い90°剥離による引張試験を行います。
剥離時の最高荷重値を接着強さ
(N/㎝〈㎏f/㎝〉)
とする。
1
2
3
1 つかみ具
2 塗膜
3 試験片
図8 90°
剥離試験の例(JIS K 6894:2014 4.6.5.1から一部変更して転載)
C.描画試験
テストピース上の塗膜を貫通して、素地面に達する切り傷を螺旋状に付けたときに生じる塗膜の付着状態を確認する方法で、鋼針の先端を静か
に試験片の表面に接触させ、試験片上に半径4.5mmのら(螺)線を25回描きます。
評価は付着力判定基準から5段階に区分した剥がれの状態に近い評点を求めます。
評点
はく離の状態
判定
1
2
不合格
3
4
合 格
5
図9 付着力判定基準(JIS K 6894:2014 4.6.3から転載)
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9
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
表1 物性比較表
PTFE
PFA
FEP
ETFE
単 位
テフロンTM
テフロンTM
テフロンTM
ETFE
最 高 使 用
温
度
連続(℃)
260
260
204
150
150
218*1
250*2
断続(℃)
316
300
232
180
163
232 *1
288*2
加 工 焼 成
温
度
代表値
(℃)
380−427
380
380
300
245
315
380
(MPa)
27−34
24−34
22−31
45
21−35
21−35
21−35
(%)
200−400
300
5−9
5−9
5−9
優れる
優れる
優れる
優れる
3.2㎜
(kV/㎜)
19
20
20−24
16
−
−
−
25μm
(kV)
3−4
3−4
5−6
−
1−3
1−3
1−3
60−1000Hz
<2.1
<2.1
2.1
2.6
3−4*2
3−4*2
3−4*2
1MHz
<2.1
<2.1
2.1
2.6
3−4*2
3−4*2
3−4*2
<0.0002
0.0006−
0.0008
>0.002 *2
>0.03 *2
>0.03
<0.0005
0.005
<0.01*2
<2.4 *2
<2.4
性
質
引張り強さ
伸
び
率
試験法
ASTM
D638
条 件
PTFE
金属に対する
接
着 性
絶 縁 耐 力
比 誘 電 率
誘 電 正 接
D149
D150
D150
60−1000Hz <0.0002 <0.0002
1MHz
50%RH、25℃
11
>10 16
>10 16
5×1014
6×1012
6×1012
6×10
<0.01
<0.01
<0.01
0.029
<2.0
<2.0
<2.0
7.9−9.7
7.9−9.7
11.1−15.2
−
0.33
9.3
−
(㎎)
テーバー摩耗*4
5−15
10−20
20−35
9−11
静摩擦(1㎏荷重)
0.12
0.12
0.12
0.12
0.12
0.12
動摩擦(1㎏荷重)
0.08
0.08
0.08
0.11
0.10
0.10
D2240 ショアー
D50−65
D64
D60−65
−
−
−
鉛筆硬度
F−H
F−H
F−H
2H−3H
H−2H
F−2H
96−103
>85
>90
>90
25−30
>35
>40
>40
(Ω/□)
(%)
水(°)
n−ヘキサデカン(°)
104−111 100−110 95−105
34−45
40−45
*1:耐薬品性が必要な用途の耐熱温度
*2:品種によって例外あり。
*3:#400ペーパー荷重500g、1000サイクル後の35.5㎠当りの摩耗量
*4:CS-17、1㎏荷重、1000サイクル後の摩耗量
上記数値は代表値であり規格値ではありません。
10
*2
>10 16
50%RH、25℃
スライディングアームテスト
(㎎)
耐 摩 耗 性
角
*2
5×10
(Ω・㎝)
*3
触
優れる
5×1011
D570
接
非常に優れる 非常に優れる
5×1011
吸
度
テフロンTM
>10 16
D257
硬
テフロンTM
>10 18
表面抵抗率
摩 擦 係 数
0.0003
250−330 100−400
テフロンTM
954G−300系 959G−200系 420G−100系
>10 18
D257
率
<0.0002
FEP
>10 18
体積抵抗率
水
PFA
変性ふっ素樹脂系
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
41−45
D75
12
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
表2 ふっ素樹脂テフロン R の耐薬品性をテストした代表的化学薬品
アビエチン酸
二酸化炭素
塩化鉄(Ⅲ)
ナフトール
水酸化カリウム
酢 酸
セタン
リン酸鉄(Ⅲ)
硝 酸
過マンガン酸カリウム
無水酢酸
塩素
ふっ化ナフタリン
ニトロベンゼン
ピリジン
アセトン
クロロホルム
ふっ化ニトロベンゼン
2-ニトロブタノール
石けん、合成洗剤
アセトフェノン
クロロスルホン酸
ホルムアルデヒド
ニトロメタン
水酸化ナトリウム
次亜塩素酸ナトリウム
無水アクリル酸
クロム酸
ギ 酸
二酸化窒素
酢酸アリル
シクロヘキサン
フラン
2-ニトロ-2-メチル
メタクリル酸アリル
シクロヘキサノン
ガソリン
プロパノール
脂肪族、芳香族系溶剤*
塩化アルミニウム
フタル酸ジブチル
ヘキサクロロエタン
n-オクタデカノール
塩化錫(Ⅱ)
液体アンモニア
セバシン酸ジブチル
ヘキサン
動植物油
硫 黄
塩化アンモニウム
炭酸ジエチル
ヒドラジン
オゾン
硫 酸
アニリン
ジメチルエーテル
塩 酸
パークロロエチレン
テトラブロモエタン
テトラクロロエチレン
過酸化ナトリウム
ベンゾニトリル
ジメチルホルムアミド
ふっ酸
五塩化ベンズアミド
塩化ベンゾイル
アジピン酸ジイソブチル
過酸化水素
バーフロロキシレン
トリクロロ酢酸
ベンジルアルコール
非対称ジメチルヒドラジン
鉛
フェノール
リン酸トリクレシル
ホウ砂
ジオキサン
塩化マグネシウム
リン 酸
トリクロロエチレン
ホウ酸
酢酸エチル
水 銀
塩化リン(Ⅴ)
トリエタノールアミン
メタクリル酸ビニル
臭 素
エタノール
メチルエチルケトン
フタル酸
n-ブチルアミン
エチルエーテル
メタクリル酸
ビネン
水
酢酸ブチル
ヘキソ酸エチル
メタノール
ピペリジン
キシレン
塩化カルシウム
エチレングリコール
ナフタレン
酢酸カリウム
塩化亜鉛
*ハロゲン化された溶剤にはいくらか膨張するものがある。
「CHEMICAL RESISTANCE GUIDE FOR PLASTICS 2000」
※テフロン R の耐食性に関しては次の文献も参考になる。
三井・デュポン フロロケミカル株式会社「ふっ素樹脂 デュポンTMテフロン
R
実用ハンドブック」P72から転載
表3 代表化学薬品のテフロン R PFAの引張強度、重量増加に及ぼす影響
重量
温度 残存引張性(%) 増加
(℃) 引張強度 伸び (%)
無機化学薬品
鉱酸類
酸化性の酸類
アルカリ類
過酸化物類
その他
*1
氷酢酸
118
95
100
0.4
無水酢酸
139
91
99
0.3
0.0
トリクロロ酢酸
196
90
100
2.2
96
0.0
イソオクタン
99
94
100
0.7
99
100
0.0
ナフサ
100
91
100
0.5
120
93
97
0.0
鉱物油
180
87
95
0.0
硝酸(Conc)
120
95
98
0.0
トルエン
110
88
100
0.7
発煙硝酸
23
99
99
0.0
O-クレゾール
191
92
96
0.2
水酸化アンモニウム(Conc)
66
98
100
0.0
ニトロベンゼン
210
90
100
0.7
93
99
0.4
ベンジルアルコール
205
93
99
0.3
アニリン
185
94
100
0.3
n-ブチルアミン
78
86
97
0.4
エチレンジアミン
117
96
100
0.1
テトラヒドロフラン
66
88
100
0.7
ベンズアルデヒド
179
90
99
0.5
塩酸(Conc)
120
98
100
0.0
硫酸(Conc)
120
95
98
0.0
ふっ化水素酸(60%)
23
99
99
発煙硫酸
23
95
王水
120
クロム酸(50%)
水酸化ナトリウム(50%) 120
過酸化水素(30%)
23
93
95
0.0
臭 素
23
99
100
0.5
ハロゲン類
金属塩類
重量
温度 残存引張性(%) 増加
(℃) 引張強度 伸び (%)
有機化学薬品
*1
*2
臭 素
59
95
95
塩 素
120
92
100
0.5
塩化鉄(Ⅲ)
100
93
98
0.0
塩化亜鉛(25%)
アミン類
エーテル類
*1
*1
*1
*1
*1
*1
*1
*1
*1
92
100
0.4
80
90
100
0.4
0.7
アセトフェノン
202
90
100
0.6
0.0
フタル酸ジメチル
98
100
0.3
93
100
0.5
0.0
100
2.7
クロロスルホン酸
151
91
100
93
100
ケトン/
アルデヒド類
エステル類
*1 沸点 *2 データなし
試験法: 厚さ1.25㎜の試験片を1週間(168hr)浸漬。
浸漬サンプルは薬液から除去後ただちに密閉容器に保管。
塩素系溶剤
重量増加は薬液から除去後2時間以内に測定、引張強度、
伸びは8時間以内に測定。引張強度15%以下、伸び10%以下、
重量増加0.5%以下は実験誤差範囲内である。
*1
156
100
83
100
アルコール類
*1
シクロヘキサノン
96
リン酸(Conc)
芳香族類
*1
メチルエチルケトン
100
69
*1
炭化
水素類
N.D.
塩化スルフリル
*1
酢酸類
n酢酸ブチル
*1
*1
200
*1
125
リン酸トリ-n-ブチル
200
91
100
2.0
メチレンクロライド
40
94
100
0.8
パークロロエチレン
121
86
100
2.0
四塩化炭素
77
87
100
2.3
ジメチルホルムアミド
154
96
100
0.2
95
100
0.1
92
100
0.6
*1
*1
*1
*1
ポリマー系溶剤 ジメチルスルホキシド 189*1
ジオキサン
三井・デュポン フロロケミカル株式会社「ふっ素樹脂
*1
101
デュポンTMテフロン R
実用ハンドブック」P75から転載
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
11
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
物性比較表の用語の説明
■ 最高使用温度
テフロンTMふっ素樹脂が変質しない最高温度です。連続は何時間でも変質しない最高温度、断続は温度を上げたり下げたり繰り返したときの最高
温度です。この温度はテフロンTM加工を熱のかかるところに使う場合判定して下さい。
■ 加工焼成温度
この温度に耐えられない金属にはできません。低融点の金属すなわち融点(溶ける温度)が鉛327℃、錫232℃、亜鉛419℃及びこれらの合金です。
■ 引張り強さ
JIS規格には「引張り強さとは引張・荷重を平行部の原断面積で除した商をいう。」
「引張の荷重とは引張り試験の経過中試験片の耐えた最大荷
重をいう。」とあります。
ミクロン
テフロン TM 加工膜を金属からはがし膜厚L㎝(㎝=10000μm)、巾M㎝に切って両面を引張って切れたときの力G㎏のとき引張り強さは
τ= G ㎏/㎠ で、金属と比べると数十分の1です。
L×M
タウ
テフロンTM加工
■ 伸び
金属板
げても伸びが大きいのでテフロンTM加工面部分に亀裂が入りにくいのです。
■ 絶縁耐力(絶縁破壊の強さ)
第1図
絶縁材料(電気抵抗の高い材料)の両端に電圧を加え、
しだいに電圧を高くしてゆき放電して絶縁材料
が破壊するにいたったときの電圧を絶縁材料の厚さで割った値、つまり電位の傾きです。交流のときは
テフロンTM
加工面
実効値でなく波高値ですので正弦波の場合は実効値の 2 倍です。薄膜材料では一般に薄くなると厚
さあたりに換算した絶縁耐力(絶縁破壊の強さ)は高くなります。
塩水布
第2図においてテフロン 加工面に塩水を浸した布を置き両端に電圧を加えます。
TM
直流
■ 比誘電率
イプシロン
電気変位をD、電界の強さをEとすればD=εEなる関係で示されます。比例の定数 ε が誘電率です。ま
たε=εoεsで、
εoは真空誘電率で、比誘電車εsは真空1、空気はεs≃1です。
比誘電率はコンデンサの電極間をテフロンTMふっ素樹脂等の誘電体で満たした場合と真空の場合の静
電容量の比です。
真空や空気の比誘電率は1ですから、テフロンTMふっ素樹脂を狭んだコンデンサは空気のときの何倍静
交流
電容量が増えるかということです。
一般に高周波を通したとき比誘電率が大きくなり、損失が多くなります。テフロン ふっ素樹脂は比誘電
TM
率が周波数にほとんど関係なく一定で、この性能が非常に優れています。
第2図
■ 誘電正接
デルタ
誘電損角 δ の正接すなわちtanδです。誘電位相角をθとすると
(θ=90°
−δ)、
δの極め
て小さい場合には近似的にtanδ≃δ≃Cosθなる関係が成り立って、これは絶縁体の損
失の程度を示す重要な量で誘電体によってそれぞれ固有の値があります。
一般に温度や湿度が上昇するとこの値は上昇し、周波数が高くなると増加する傾向が
あります。
分かりやすくいえばtanδが小さいほどコンデンサは電気損失が少くて性能が優れます。
テフロンTMふっ素樹脂はtanδが非常に小さいのです。
12
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
第3図
第4図
曲げる
テフロンTMふっ素樹脂は金属と比べると数十倍大きく、第1図のようにテフロンTM加工した金属を折曲
ひび割れない
曲げる
JIS規格には「全伸びとは、引張り試験においてある荷重を加えたとき、その状態における標点間の長
さと標点距離との差の標点距離に対する百分率をいう。」とあります。
用途例
テフロン TM ふっ素樹脂加工とは
品質管理
物性表
用語解説
■ 体積抵抗率
ある物質の単位長さを1辺とする立方体の電気抵抗がその物質の体積抵抗率です。
オーム
ミクロン
分かりやすくいえばテフロンTMふっ素樹脂の膜の厚さがℓ㎝(㎝=10000μm)で断面積(膜の面積)
A㎠の膜の両面間の電気抵抗がRΩであっ
A
たら体積抵抗率はρ=R Ω
ℓ ・㎝です。
■ 表面抵抗率
絶縁物の表面の抵抗を相対する極の間の1㎠の抵抗に換算したものです。
テフロンTMふっ素樹脂の加工面に第5図のように円状と環状の電極を置
ボルト
電極
き、電極間の距離をd㎝、絶縁物の長さをℓ㎝、電極間に加えた直流電圧を
アンペア
E
ℓ
圧はE/dで、電流はI/ℓですから表面抵抗率はρs= × Ω/□で、
表
I d
面抵抗率が大きいほどフラッシュオーバー(閃絡放電)やトラッキング現象
を起こしません。
テフロンTMふっ素樹脂は樹脂の中で一番表面抵抗率が大きく優秀です。ま
たトラッキング現象を起こしません。痕跡に残留物を残しません。
テフロン ふっ素樹脂
EV、全表面の洩れ電流をIAとすれば絶縁物表面の単位面積当りの印加電
TM
金属
第5図
■ 吸水率
定まった形状の試験片をつくり、20℃
(アメリカの規格ASTMでは23℃)の水中に浸し、24時間放置して取出し、重量の増加を%で表します。
■ 耐摩耗性
スライディングアーム試験は、ケマーズ社独自の試験方法でテフロンTM加工面に#400のサンドペーパーを置き、荷重を500gかけ1000サイク
ル擦ったあとの重量変化を見る試験です。
■ 摩擦係数
b㎏
第6図のようにテフロンTM加工した板の上に磨いた金属板を置き、テフロンTM
シーター
加工した板を傾斜したとき動き出したら、そのときの平面との角度をθとする
a㎏
と、tanθが摩擦係数です。または傾斜にせずに第7図のように金属板がa㎏と
b
すると、それを押す力がb㎏で動き出したならば が摩擦係数です。
また滑り
a
第6図
第7図
始めは大きい力がいります。これが静摩擦係数です。動き始めると小さい力
で続いて動いて行きます。すなわち押す力bが小さくて動きます。これが動摩
擦係数です。この数値が小さいほどよく滑ります。
スティックスリップ
テフロンTMふっ素樹脂はStickslip(息付滑り)
を起こしません。
テフロンTM
加工面
■ 硬度
鉛筆試験、三菱のユニー印鉛筆の先を削って#400のサンドペーパーで先
の角度に持ち第8図のように
端を平にしてからテフロンTM加工した面に45°
第8図
テフロンTM加工面をひっかき鉛筆の芯が折れたらその面を消しゴムで消し
10倍の拡大鏡で見ます。傷がつかないときの一番硬い鉛筆の硬さが試験
成績です。アメリカで使っている鉛筆はイーグル青緑印鉛筆ですがFより硬
いものは三菱ユニー印と変わりありません。
(右図参照)
正確にはJIS K5401の試験機によりJIS K6894で行いますが平らな形
状のものしかできません。
イーグル印
5H
(アメリカ市場品)
三菱ユニー印
(標 準) 5H
4H
4H
3H
3H
2H
2H
H
F HB
H
F
B
HB
2B
B
2B
三菱鉛筆株式会社
注 1.
図でお分かりになる通り5H∼Fはユニーと大体合致しています。
2.
H B∼2Bの軟かい硬度の物はユニーより大体1硬度づつ硬めにずれております。
3.
イーグル印は市場品であるからイーグル印の標準と比べるとかなりの誤差はあるものと思えます。
■ 接触角
水とnーヘキサデカンという薬品液で試験します。これらを試験片の上に
一滴のせ試験器のレンズを通して角度の目盛を読みます。液体の非粘着
度数
線
テフロン
加工面
TM
性の状態を推定します。
しかし水やnーヘキサデカンに似た液体は良いで
すが粘度の高いものはこの数字から推定することはできないものもたくさ
んあります。
切
切線
第9図
テフロンTM
加工面
度数
第10図
「テフロン」は、ふっ素樹脂についてのケマーズ社の商標です。
ライセンスにより株式会社吉田SKTが使用しています。
13
本 社 〒
名古屋市西区花の木一丁目12番20号
TEL(052)524−5211
FAX(052)524−5287
名古屋事業所 〒
名古屋市港区新茶屋三丁目1238番地
TEL(052)302−3030
FAX(052)302−3040
東京事業所 〒
東京都荒川区町屋五丁目4番6号
TEL(03)3895−0351
FAX(03)3809−2215
横浜営業所 〒
横浜市神奈川区神奈川本町3−1弘中ビル302号
TEL(045)451−0033
FAX(045)451−0050
大阪営業所 〒
大阪市城東区成育四丁目9番14号
TEL(06)6933−5123
FAX(06)6933−8338
福山営業所 〒
広島県福山市新涯町二丁目1番32号
TEL(084)957−5239
FAX(084)957−5232
広島営業所 〒
広島市安佐南区緑井四丁目21番7号
TEL(082)962−5403
FAX(082)962−5404
山口事業所 〒
TEL(0837)52−0811
FAX(0837)52−0812
●このカタログの仕様は、予告なく変更することがありますので、ご了承ください。
CAT003-16.08.2000