第3回WarkshopAid2012

WARKSHOP AID 2012
宗カツnavi〜~仏教・イスラム教・キリスト教まるかじりっ!!
2012..12..1((土)) 第3回「宗教、旨し。」 配付資料
キリスト教と「食の考え方」 WORKSHOP AID 2012-宗カツnavi
第3回「宗教、旨し。」
2012.12.1(土)
■キリスト教における⾷食の考え⽅方。
キリスト教徒に特有の食事パターンというものも、特に見られません。さまざまな国民や民族がキ
リスト教徒に該当するため、それぞれの食生活の中において適切な食材が選択されています。その為、
キリスト教では、基本的に、食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合
を除いて、自由に食事を楽しんでいます(※キリスト教の一部の分派には、食を含めた、様々な禁止
事項を科しているものもあります)。 このようなことから、キリスト教特有の料理というものもありません。しかし、キリスト教の伝統
行事(イースター、クリスマス、カーニバルなど)では、七面鳥や羊、魚(タラなど)などを用いた
料理が食べられる習慣はあります。 【食の禁止事項を科しているキリスト教の分派】 ・モルモン教:アルコール類、コーヒー、紅茶、お茶、タバコの摂取 が禁じられている。 ・セブンスデー・アドベンチスト教会:信者に菜食を勧めている。 ■⾷食事を共にする
キリスト教では食事を共にすることを大切にしています。初期の教会では
「アガペーの食事(「アガペー」というのはギリシア語で愛を意味する言葉
の一つ。「無私の愛」、「隣人愛」というニュアンスを含んでいる)」と言わ
れる、イエスと共にした食事を想い起こしながら、信徒たちが食事を持ち
寄って共同で会食行うことを儀式として行っていたと言われています。 正餐が典礼儀式として整備されて行く中、この「アガペーの食事」は徐々に
廃れてきましたが、現代でも、日曜日の礼拝やミサの後で、信徒たちが集
まって食事をしたり、お茶を飲んだりすることが多くの教会で見られます。
これも初代教会の「アガペーの食事」が変化した一形態と考えられます。 「エマオの晩餐」(1601年)
カラヴァッジョ
キリスト教の「食の儀式」 WORKSHOP AID 2012-宗カツnavi
第3回「宗教、旨し。」
2012.12.1(土)
■キリスト教の「聖餐」
「聖餐」とは、イエス・キリストの最後の晩餐に由
来するキリスト教の儀式のことです。時代や教派に
よってそのとらえ方に違いがあったとしても、キリ
スト教の中で聖餐は常に礼拝儀式の核になっていま
す。それは、聖餐が人間の罪からの救いの成就とな
る式であり、イエスの死と復活を思い、信仰者と神、
信仰者同士の絆を確認するものだからです。その為、
キリスト教では、聖餐において神の恵みが人間に伝
えられるというより、共同体の信仰を示すための儀
式だと考えています。 「最後の晩餐」(1495-98年)レオナルド・ダ・ヴィンチ
新約聖書には、イエスが引き渡される前に、弟子たちと最後の
食事を共にし、自分の記念としてこの食事を行うよう命じたこと
が記されている。共観福音書(4福音書の内、ヨハネ伝を除く、
マタイ伝、ルカ伝、マルコ伝の3つ。)によればイエスはパンを
取り、「これがわたしのからだである」といい、杯をとり「これがわ
たしの血である」といって弟子たちに与えた。
■聖餐の方法
キリストの肉と血である、パンとぶどう酒を口に
します。パンは、ユダヤ教の過越の祭り(※)に倣
い、種なしパン(無発酵パン)を用いることが通例
となっています。また、最後の晩餐でキリストが1
つのパンを割き、弟子に分け与えたことから、1つ
のパンを割いていく、「パン割き」と呼ばれる儀式が
伝統的に行われているところもあります。 【使徒言行録 2章42節】
彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パ
ンを裂くこと、祈ることに熱心であった。
過越は、旧約聖書(出エジプト記12章)記述されている、古代
エジプトで起こったとされる出来事と、それに起源を持つとす
るユダヤ教の行事のこと。古代エジプトで奴隷状態にあったイ
スラエル人を救出するため、神は10の災いを臨ませる。
神は、戸口に印のない家にその災いを臨ませることを預言者
モーセに伝える。つまり、この名称は、戸口に印のあった家に
はその災厄が臨まなかった(過ぎ越された)ことに由来する。
キリスト教と「食の禁止」 WORKSHOP AID 2012-宗カツnavi
第3回「宗教、旨し。」
2012.12.1(土)
■宗教儀式による食事規制
ローマ・カトリック教会では、「灰の水曜日」と「聖金曜日
(※)」の2日間に、「大斎」と「小斎」と呼ばれる食事規制があ
ります。 「大斎」では、18歳〜60歳の信者が、朝食と夕食の量を抑えるよ
うにしています。また「小斎」では、14歳以上の健康な信者が、
肉食を避けます。 また、東方正教会では主に修道院を対象に、1年に4回の斎戒を
行っている。斎戒期間中は、肉・魚・卵・乳製品・アルコール
類・オリーブ油が避けられます。ただし、一般の信者は、これら
の断食を比較的ゆるやかに実施しています。 (※)灰の水曜日と聖金曜日は、復活祭(イースター)直前の準
備期間である「四旬節」の初日と最終日に当たる教会暦の一日。
福音書の記述をもとにイエスの受難を思い起こす特別な典礼や祈
りが行われることが多い。 ■ユダヤ教の⾮非常に細かい⾷食の規定。
キリスト教の元となったユダヤ教では、旧約聖書に基づき、食べてよいも
の食べていけないもの、一緒に食べてはいけないものの組み合わせ、動物
の屠り方、調理法などに関するカシュルートと呼ばれる規定があり、現在で
もそれを守っているユダヤ教徒が多いといわれています。
キリスト教は初期の段階において、
カシュルートで認め
こうしたユダヤ教の厳格な食事規定
られている食品
を大幅に緩めたことで人々に歓迎さ
(カーシェール食
れたと言われています。
品)には(U)マーク
が付されている。
【創世記 / 3章 1~5節】
主なる神が造られた野の生き物のうち
で、最も賢いのは蛇であった。
蛇は女に言った。「園のどの木からも食
べてはいけない、などと神は言われたの
か」 女は蛇に答えた。「わたしたちは園の木
の果実を食べてもよいのです。でも、園
の中央に生えている木の果実だけは、食
べてはいけない、触れてもいけない、死
んではいけないから、と神様はおっしゃい
ました。」 蛇は女に言った。「決して死ぬ
ことはない。それを食べると、目が開け、
神のように善悪を知るものとなることを神
はご存じなのだ」