2016年5月号

(注)本月報は,主に現地紙における報道を当館限りで日本語で
まとめたものです。記事の中の客観事実は,日本政府や現地政
府の公式見解と異なる場合がありますが,当館では文責は負い
かねますのでご了承ください。
モーリシャス月報(2016年5月)
主な出来事
【内政】
・与党人民同盟(Lepep)はメーデーを信頼回復の機会と捉え,支持者を大量に動員(1日)。
・テガリー機会均等委員長(元常設仲裁裁判所長官)が着任。同委員会が活動再開(3日)。
・男女平等の実現を目ざす全国女性評議会新法案が採択された(3日)。
・10日に署名された印・モーリシャス間二重課税防止協定議定書を野党が批判(13日)。
・最高裁判所が首相の息子プラヴィント・ジュグノート与党 MMM 党首に無罪判決。3週間で判
決が確定する見込み(25日)。
・最低賃金制度を導入する全国賃金諮問評議会法を国民議会が採択(26日)。
・プラヴィント・ジュグノート与党 MSM 党代表を財相に任命(28日)。
【外政】
・サントメプリンシペ首相が来訪し,両国間投資促進保護協定に署名(6日)。
・潘基文国連事務総長が夫妻で来訪。首相,大統領と会談し,モーリシャスの民主化努力を
賞賛し,小島嶼国の重要性を強調。国立大学の名誉博士号を受章(8-10日)。
・潘国連事務総長出席の下,第23回国際商事仲裁協会(ICCA)会議を開催。(9,10日)。
・印・モーリシャス間二重課税防止協定議定書に署名。印向け投資のキャピタルゲインへの
課税権を2019年までに2段階で委譲。移行期間の投資の流出入にも備える(10日)。
・英国に対し6月末迄にチャゴス諸島の返還期日の決定を迫る:ジュグノート首相(17日)。
・デュヴァル副首相は世界観光機関(UNWTO)会合に出席すべく中国を訪問(18日)。
・ギュリブ・ファキム大統領はドーハ・フォーラム参加のためカタールを訪問(21-23日)。
【経済】
・印との二重課税防止議定書に最恵国待遇が欠如と金融情報企業が懸念表明(11日)。
・ジュグノート首相がゴルフ,エコツーリズム等通年の観光資源整備・多様化を奨励(13日)。
・4月期に海外投資家の証券投資が回復基調。売買代金は1.44億ルピー増加(14日)。
・エアアジア X社がマレーシア・モーリシャス便の10月就航を発表(25日)。
・南部アフリカ最優秀銀行にモーリシャス商業銀行(SBM)が選ばれる(25日)。
・2016年第1四半期のモーリシャスと COMESA/SADC 市場との貿易が堅調。主な貿易相
手は,COMESA 域内ではマダガスカル,セーシェル,ケニア,SADC 圏内では南ア,レソト,
モザンビーク,タンザニア,ナミビア,ザンビア(31日)。
【内政】
●国民議会で偽証
4月26日,スーダン副首相兼国土・雇用相が国民議会の質疑において,2011年2月に自身の会社
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が政府に便宜を依頼した際,閣僚職に居なかったと2度偽証した。2010年5月からスーダン副首相は
ラングーラム政権下の産業・商業相の職にあり,同年6月に同職から交代させられていた。
5月8日,スーダン副首相は,国民議会における2度に亘る上記発言の訂正を事務局に申し入れ,
単なる思い違いで,議会で偽証する意図はなかったと釈明した。(1日,8日付モーリシャン紙)
●野党労働党の前首相は現政権批判に注力
4月30日,ヴァコアス市役所式典ホールで開かれた労働党(PTr)集会で,ラングーラム前首相・同党
党首は,現政権が引き起こすスキャンダル,失言,波紋が国を腐らせていると厳しく批判した。ラチュミ
ンアライドゥ前財相に対するモーリシャス・ステーツ銀行(SBM)のユーロ建て 4,400 万ルピーの「不正」
融資に関し,ジュグノート首相は事前に右融資を承知していた筈だと批判した。ラングーラム前首相は,
5月6日にも集会で,「かつてこれほど堕落した首相を見たことがない」,ジュグノート首相は「既に内閣
を制御不能だ」などと批判した。(1日,7日付モーリシャン紙)
●メーデー集会で労働者側が格差拡大と政治・労組の関係悪化に警鐘を鳴らす
メーデーの1日,愛国運動(MP)党,民間部門労働者連合(CTSP),労働・社会運動家らがベル・ロー
ズに参集して集会を開催し,「モーリシャスはアフリカで最も富豪が多い国であるにもかかわらず,貧富
の格差が拡大し,政治と労働者階級の関係が徐々に悪化している」と警鐘を鳴らした。(1日付モーリ
シャン紙)
●与党人民同盟はメーデー集会に大量動員
与党人民同盟(Lepep)は,1日のメーデー集会を政治不信を取り除く信頼回復の機会と捉え,4月29
日,連合政権内の3党事務局長が揃って記者会見を行い,2014年の選挙公約の実現のためジュグノ
ート首相を中心に纏まるよう,集会への動員を働きかけた。(2日付モーリシャン紙)
●野党 MMM 党はメーデーに憲法改正の勉強会を開く
1日,モーリシャス闘争運動(MMM)党は憲法改正の勉強会を開催し,ベランジェ同党党首は,1969
年の発足以来の同党の歴史に誇りを持ち,目的を見誤らず,過小評価しないよう呼びかけた。(2日付
モーリシャン紙)
●機会均等委員長の着任早々,野党が独立放送監督庁長官の罷免を要求
2日,カリッド・テガリー機会均等委員会(EOC)委員長が着任し,早々に初会合を開催したところ,野
党はジュグノート首相に対し独立放送監督庁(IBA)ユシュレーン・チュームカ長官の罷免を要求した。
同長官については,既に独立汚職対策委員会(ICAC)も EOC も任命時の疑惑の調査を開始している。
ジュグノート首相は「高官の罷免は首相の役割ではない」とのみ回答した。(3日付モーリシャン紙)
-2-
●全国女性評議会新法案が採択される
3日,ペロー男女平等相が提出した全国女性評議会新法案が国民議会で成立し,1985年の旧法
が廃止された。同相によれば,旧法はモーリシャス女性の現状とニーズに適合しておらず,過去数年,
全国女性評議会は有効に機能していなかったことから,新法により,男女平等の実現に向けたより適
切な法的枠組を導入したもの。(4日付モーリシャン紙)
●民間部門労働者連合が全国賃金諮問委員会法案の修正を要求
4日,チャットゥー民間部門労働者連合(CTSP)事務局長が,カリチューン労働相と会談後の記者会
見で,現在国民議会で審議中の全国賃金諮問委員会法案に関し,3つの問題点を指摘したと発表し,
現行案が修正なく採択されれば,モーリシャスの労働者は世界で最も危険な状態で働かされることに
なる,と警告した。(5日付モーリシャン紙)
●野党党首が BAI グループ詐欺事件の処理を巡り金融相と外相の対応を批判
7日,野党 MMM 党ベランジェ党首は,2015年4月に発覚した BAI グループ詐欺事件の処理を巡り,
バダイン金融相及びラチュミンアライドゥ外相(前財相)のとった措置により,「数十億ルピー」の公的資
金が費やされたとして批判する一方,現人民同盟(Lepep)が提出している最低賃金法案の撤回を求め
た。(8日付モーリシャン紙)
●ジュグノート首相が大麻の合法化への反対を明言
7日,サウジアラビアへの実館開設を祝うイスラム関連団体「ハラマイン連帯運動」の集会に出席した
ジュグノート首相は,大麻(Gandia)の使用の合法化には反対する考えを示した。同首相は,過去,大
麻の蔓延による被害の大きさから禁止法が成立した経緯を教訓として,一部国民が政府に指示するこ
とは容認できないと述べた。一方,17日の国民議会の質疑応答で,一般家庭で製造される向精神薬
の取締りについて質問を受けた首相は,「全ての家庭に警官を配置する訳にもいかず,親が自らの義
務を果たすべきである」とも述べた。(8日,18日付モーリシャン紙)
●一部野党が麻薬使用の不処罰化を主張
9日,「抵抗と政権交替(Rezistans ek Alternativ)」党は2014年選挙当時の選挙公約に従って,国民
議会調査委員会に対し,麻薬対策措置の選択肢として不処罰化を検討するよう要請した。同党は麻薬
使用や密売人の処罰は失敗したと主張している。(11日付モーリシャン紙)
●野党MMM党が障害児教育に対する政府補助金の不足を批判
12日,野党 MMM 党教育部会は記者会見を開催し,障害児の教育の権利が軽視され,初等教育の
無償化に反していると,事例と数字を上げて現状を批判した。補助金が不十分なため,障害者教育を
進める国内NGOは寄付金に依拠せざるを得ず,障害児を普通学校に就学させられない父兄に過重な
負担がかかっている現状を批判した。(13日付モーリシャン紙)
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●ラングーラム前首相が印との二重課税防止協定を「無条件降伏」と批判
13日,「交渉なんてなかった。無条件降伏だ」とラングーラム前首相・野党労働党(PTr)は記者会見
で,10日に印・モーリシャス間で署名された二重課税防止協定(DTAA)議定書を厳しく批判した。前首
相は,「素人」バダイン金融相が,結果を予測せずに同協定を改定したと非難した。ラングーラム前首
相は,20日の党の集会でも,同協定により国家経済は漂流することになると警告した。なお,バダイン
金融相は,署名に先立つ9日,シタネン元財相とマンラジ財務次官兼金融委員長と二重課税防止協定
につき協議し,シタネン元財相は署名を回避するよう助言していた模様。
一方,野党 MMM 党ベランジェ党首は13日,同協定の署名によりモーリシャスのグローバル・ビジネ
スに深刻な打撃を与えるとの懸念を表明する一方,同協定が手続きを規定するキャピタルゲイン課税
の早期実現を求めた。(10日,15日,16日,21日付モーリシャン紙)
●ジュグノート首相は賭博施設規制につき制度の公正化を進めていると説明
ジュグノート首相は,17日の国民議会の質疑応答で,野党院内幹事 MMM 党バグワン議員及び労働
党ラムフル議員からの質問に答え,2015年以降,賭博施設規制庁(GRA)により認可された複数の遊
興施設は,認可制度の公正さを回復すべく認可されたと説明した。2011年に前政権が認可取消処分
を行った企業の一部は,処分が恣意的であったとして再認可した。(17日付モーリシャン紙)
●最低賃金制度を導入する全国賃金諮問評議会法の修正案を国民議会が審議
17日,カリチューン労働相は,国民議会に全国賃金諮問評議会法の修正案を提出した。民間部門
労働者連合(CTSP)は,同連合の修正提案は全て盛り込まれたと発表し,チャットゥー同連合代表は,
労働者が最低賃金の支給を受けられることに満足の意を表明した。労働相は同日の趣意説明で,全
国賃金諮問評議会は,最低賃金に係る勧告の発出だけ行い,給与の年末調整は従来通り3者委員会
で審議されると説明した。(18日付モーリシャン紙)
●資産競売制度の改善措置の早期実施の必要性が指摘される
19日,法務委員会ヴァルマ委員(労働党(PTr))は記者会見で,資産競売制度に係る調査委員会勧
告に盛り込まれた改善措置の早期実施を政府に対し要求した。元検事のヴァルマ委員は弁護士らとと
もに,最高裁判所による資産競売が実施される木曜日を選んで記者会見を開催した。資産競売制度
では,回収金額が市場価格の2割にも満たないことが多く,債務者,債権者,金融機関等関係者が一
様に不満足な結果に終わる点が長らく指摘されてきた。(20日付モーリシャン紙他)
●中道右派の新政党「国民の声」が発足
20日,中道右派の新政党「国民の声」が発足し,党のスローガン「今度こそ,新しい流れ」と,突き上
げた青色の拳のロゴを発表した。(20日付モーリシャン紙)
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●愛国運動(MP)党が結党1周年記念集会を開催
17日に結党1周年を迎えた愛国運動(MP)党は,20日,党1周年記念集会を開催し,ガヌー党首は
1年間の総括を行った。(21日付モーリシャン紙)
●政府が補正支出予定費41億ルピーを国民議会に提出予定
国家予算歳出報告の6月30日の提出期限を前に,政府は41億ルピーの補正支出予定費を計上し,
24日に国民議会の了承を求めるべく,補正支出調整法案が提出予定であることが,21日までに判明
した。(21日付モーリシャン紙)
●前首相が政府による「遺産都市」事業経費水増しの疑いを指摘
21日,ラングーラム前首相兼労働党(PTr)党首は,バダイン金融相による「遺産都市」事業の経費
が590億ルピーとの説明に関し,150億ルピーしかかからないとの情報があると主張した。(22日付
モーリシャン紙)
●Medpoint 事件判決: 首相の息子プラヴィント・ジュグノート与党 MMM 党首に無罪判決
25日,Medpoint 事件において利益相反行為の罪に問われていた首相の息子プラヴィント・ジュグノ
ート与党 MSM 党党首に対する裁判の上訴審が最高裁判所で行われ,マタデーン,コーニー両判事は,
利益相反行為及び直接の利害関係は存在しなかったとして,無罪の判決を言い渡した。なお,今回の
上訴判決から21日以内に公職訴追局(DPP)が再審請求しなければ,無罪判決が確定する。プラヴィ
ント・ジュグノート与党 MSM 党代表は翌26日の第8選挙区で開催された同党集会で支持者から盛大
な歓待を受けた。(25日,27日,29日付モーリシャン紙)
●給与調査局の報告書が提案する公務員給与改定手続きに労組が不満を表明
25日,公共部門労働組合連盟(FSSP)イムリット会長は,シーバリュック内閣長官兼公務員相に対す
る公開書簡で,給与調査局(PRB)が提出した報告書が,「脅し道具」として公務員から反発を買い,同
報告書が,給与改定と職務内容を通告する「職務選択書式」に対する公務員の同意署名を求めている
点は,「行き過ぎで権力濫用」に当たるとして,不満を表明した。(25日付モーリシャン紙)
●資金洗浄が絡んだ贈収賄事件の摘発に向け金融委員会が捜査中
金融委員会は,印国軍へのヘリコプター売買契約に絡み,10億ルピー(2,460万ユーロ)の贈収賄
が発生した事案(Chopper Gate)を捜査中である。2008年から2012年の間の印・モーリシャス間の
二重課税防止協定を悪用した資金洗浄のケースと見られる本事案の摘発により,時代の変化が現実
のものとなることが期待されている。(27日付モーリシャン紙)
●国民議会が全国賃金諮問評議会法案を採択
26日,全国賃金諮問評議会法案が,一部労組が同意を留保したものの,一部修正を付した上で,国
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民議会で採択された。カリチューン労働相は,関係各層の意見を聴取した上で,本法案がコンセンサス
で採択されたことを喜んだ。同労働相は,右評議会の委員長が公募により選出される点,各労組の代
表は各々の団体が提出した候補者リストから選任される点を確約した。(27日付モーリシャン紙)
●プラヴィント・ジュグノート MSM 党党首に対する無罪判決を野党が批判
27日,野党労働党(PTr)ラングーラム党首(前首相)は,党集会でプラヴィント・ジュグノート与党
MSM 党党首に対し無罪判決が下りた件につき言及し,最高裁判所の判決に疑義をはさむ意図はない
ものの,事実の究明が必要だと述べ,本件が無罪ならば利益相反で検挙されるものはいないであろう
と皮肉を述べた。また,野党愛国運動(MP)ガヌー党首は,野党の立場を考慮しないという点で,現与
党 MSM 党は政権交代前の労働党(PTr)と変わることがないと皮肉った。
28日,野党 MMM 党ベランジェ党首は,利益相反行為の立証の難しさを指摘した上で,現行の汚職
防止法(PoCA)の利益相反行為の条文を修正すべきと主張した。(28日,29日付モーリシャン紙)
●プラヴィント・ジュグノート与党 MSM 党党首を財務相に任命
28日,プラヴィント・ジュグノート与党 MSM 党党首が自身3度目となる財務相に任命された。
Medpoint 事件に関し最高裁判所が無罪判決を言い渡すと同時に,与党内で財務相任命の方向で調
整が開始していた。(29日付モーリシャン紙)
●補正予算法案に含まれる中小企業貸付費を巡り国民議会が紛糾
31日,プラヴィント・ジュグノート財相が,国民議会において補正予算法案(2015年-2016年)の
2度目の審議のため趣旨説明を行った。補正予算案には,給与調査局(PRB)勧告の給与改定分14
億ルピー,年金追給額10億ルピー,地方選挙追加経費1億ルピー,MauBank に拠出する中小企業貸
付基金16億ルピーが含まれている。この内,MauBank への拠出を巡り審議が紛糾した。野党 MMM 党
ユテーム議員は,ジュグノート首相自身も過去 MauBank に拠出した30億ルピー全額が中小企業貸付
に用いられていない点を指摘し,MauBank が中小企業への融資を怠りながら,倒産した経営者グージ
ョリー氏などに貸し付けて焦げ付いた17億ルピーの負債を抱えている点を問題視した。(31日付モー
リシャン紙)
【外政】
●サントメプリンシペ首相が来訪し観光・金融分野での協力可能性を協議
5日-6日,トロヴォアダ・サントメプリンシペ首相が来訪し,モーリシャスからの投資誘致及び観光・
金融面での協力の可能性につき当局と協議し,6日,モーリシャス・サントメプリンシペ間投資促進保護
協定が署名された。一方,モーリシャス輸出協会とも協議を行った。(6日,7日付モーリシャン紙)
●潘基文国連事務総長が来訪
8日-10日,潘基文国連事務総長がモーリシャスを夫妻で訪れ,8日,ギュリブ・ファキム大統領を
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表敬した後,市内のホテルで政府公式晩餐会に出席した。潘事務総長は,モーリシャスの民主化努力
と COP21 パリ合意の批准の早期達成(15か国の一つ)を賞賛し,国際社会における小島嶼国の重要
性を強調した。また,事務総長は,モーリシャスとセーシェルが大陸棚の共同管轄で合意した点を併せ
て歓迎した。(9日付各紙)
●潘国連事務総長がジュグノート首相と会談
9日に行われた首相との会談で,ジュグノート首相は,「国連水と災害に関する特別会合」における
ギュリブ・ファキム共同委員長の選出に謝意を表明した上で,中所得国モーリシャスに対する特別な支
援戦略を要請し,小島嶼国の開発支援 (2004年のバルバドス合同計画,2 014年の SAMOA
Pathway)の実施を求めた。右に対し,潘事務総長は,モーリシャスの麻薬取締りや海賊対策における
国際枠組みへの協力に謝意を表明する一方,英領チャゴス島の帰属問題については,国連は中立以
外の立場をとり得ない点を説明した。(9日付各紙)
●第23回国際商事仲裁協会(ICCA)会議を開催
9日-10日,潘国連事務総長及びエルバラダイ元IAEA事務局長が開会式に出席する中,第23回
国際商事仲裁協会(ICCA)会議が開催された。潘事務総長は,経済振興,司法の独立,国家機構の
運営やグッドガバナンスの上で「法治国家」が重要である旨述べた上で,英領チャゴス領の帰属問題
がハーグ常設仲裁裁判所で審議された例を引いて,平和的解決の手段としての仲裁の重要性を強調
した。潘事務総長はさらに,モーリシャスが過去10年間,自主的に司法制度やインフラを整備してきた
点を評価した。一方,ジュグノート首相は,モーリシャスが伝統的に「法治国家」を志向する点を指摘し
つつ,メディア他の表現の自由が保障され,国民の政治活動が活発で,逆に検察官や政府高官の立
場も同様に守られている旨応じた。(10日付各紙)
●国立モーリシャス大学の名誉博士号授与
9日,国立モーリシャス大学講堂で,潘基文国連事務総長に対し民法学名誉博士号が授与された。
その後,潘事務総長は,ハヌマンジー国民議会議長とベランジェ野党モーリシャス闘争運動(MMM党)
党首と会談し,翌10日朝に世界遺産の2つのサイトを視察した後,マダガスカルに向けて出発した。一
方,潘夫人は,9日,国立女性開発センター(NWDC)を訪れ,女性の社会参画のための職業訓練の
成果である手工芸品等の展示を視察し,女性の社会参画を奨励した。(10日付各紙)
●印・モーリシャス間の二重課税防止協定(DTAA)議定書に署名
10日,印・モーリシャス間の二重課税防止協定(DTAA)の議定書が,駐モーリシャス印大使とデヴ・
マンラジ財務次官との間で署名された。バダイン金融相は,モーリシャスの国益を害することはないと
約した印に対し謝意を表明した。
従来キャピタルゲイン課税を低く抑えることで恩恵を受けてきたモーリシャスは,キャピタルゲイン課
税の権利を2019年から放棄して印に譲渡する。一方,印は2017年4月からモーリシャスの課税率
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の50%を,2019年からは100%を徴収する。印企業のモーリシャス支社は設立後1年目から登録料
毎年150万ルピーの支払いを義務付けられ,モーリシャスでの営業条件を満たさない場合には,印政
府から投資に対し徴税される。印は印向け投資企業のモーリシャスの銀行での預金利子に対して7.
5%課税する。署名から2年間を移行期間とし,投資の流出入を許容する。2017年3月末までの投資
は印のキャピタルゲイン課税の対象外となり,預金利子も印の課税を受けない。同協定は2017年1
月に発効する。なお,モーリシャスに対する最恵国待遇規定は盛り込まれていない。
印は,署名と同時に総額127億ルピーの無償供与を約した。内訳は,遺産都市事業37億ルピー,
国際会議場建設18億ルピー,2つのタワーを備え,新証券市場を具備した新金融センター建設36億
ルピー。(12日付レクスプレス紙)
●英国に対し6月末までにチャゴス諸島の返還期日を決定するよう要請: ジュグノート首相
チャゴス諸島の租借期間50年が切れる本年12月31日を前に,モーリシャスは英国及び米国に対し
て送る政治的・外交的シグナルを強めている。17日,国民議会における野党 MMM 党ベランジェ党首
の質問主意書(PNQ)への答弁で,ジュグノート首相は,英国に対しチャゴス諸島をモーリシャスの実効
的支配下に返還する期日を6月末までに公式に決定するよう要請したことを明らかにした。同首相は,
回答なき場合は9月から,国連総会及び国際司法裁判所(ICJ)に付託する考えを示した。また,首相
は,9日の週にピーター・ヘイズ英国外務省英国インド洋領域(BIOT)弁務官が来訪し,協議を行ったこ
とを認めた。
18日,英国高等弁務官事務所は,ジュグノート首相の説明は一部事実と異なる旨述べた上で,20
15年11月以来,両国間で対話が継続していると説明した。
一方,ジュグノート首相が,旧チャゴス諸島住民の再定住を要求している点に関し,チャゴス避難民
連合(GRC)のバンクルト代表は,英国政府のフィージビリティ調査報告書の結論も参照し,同諸島返
還問題について旧住民との意見の調整を求める必要があると主張し,首相との面会を求めている。こ
れに対し,野党 MMM 党ベランジェ党首は,英国側のゲームに乗せられてはならず,国と一体になって
交渉するよう GRC に呼びかけた。(17日,21日付モーリシャン紙,18日付デフィメディア紙)
●デュヴァル副首相が中国のネット余暇旅行代理会社と合意議定書に署名
18日,デュヴァル副首相は,北京で開催された世界観光機関(UNWTO)第1回会合開会式に出席す
べく中国を訪問し,19日,ネット余暇旅行代理会社 Tuniu.com 社と合意議定書に署名した。(21日付
モーリシャン紙)
●ジュグノート首相が印との二重課税防止協定を両国間最良の協定と説明
21日,ジュグノート首相はインド洋関連会合の席で,インド・モーリシャス間の二重課税防止協定
(DTAA)につき,両国間で最良な協定を模索した結果であり,2015年に来訪したモディ印首相が残し
た「両国間の特別な関係はいかなる状況,事件によっても壊れることはない」との言葉を現実に移すも
のであると説明した。(22日付モーリシャン紙)
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●ギュリブ・ファキム大統領はドーハ・フォーラムで人道危機と移民の安全上の脅威を指摘
21-23日,カタール首長の招待により第16回ドーハ・フォーラムに参加すべく,同国を訪問したギ
ュリブ・ファキム大統領は,フォーラムの席上,「人道危機と移民のための人々の移動が,地域・国際的
な安全上の脅威となっている」と訴えた。また,アル・タニ首長及び外相と会談を行い,両国間に存在す
る良好な関係を確認するとともに,ホテル業を始めとする対モーリシャス投資について協議を行った。
(21日,23日付モーリシャン紙)
●アザリ・コモロ新大統領が7月13日のハマダ COI 新事務局長の就任式に出席予定
26日に就任式を行ったアザリ・アスマニ・コモロ新大統領が7月中旬にモーリシャスを公式訪問し,1
3日に予定されているインド洋委員会のハマダ新事務局長の引継ぎ・就任式に出席する予定。(27日
付モーリシャン紙)
【経済】
●企業景気予測調査によれば景気は上向き
モーリシャス商工会議所(MCCI)が3日に発表した景気予測調査によると,対象企業中,近時に職員
採用を検討している企業は15%に留まった。一方,2015年第4四半期以来景気予測は上向きとなっ
ており,企業の61%が前年と同水準の投資を行う予定があると回答した。サービス業は2016年第1
四半期に前期比6.7%の投資の伸びを記録した。一方,手工業では第1四半期に景気は上向きと回
答した企業が前期比1.7%増加した。(4日付レクスプレス,モーリシャン紙)
●サイバーシティのビジネスパーク用ビル4棟の購入に政府が15.42億ルピー支出
10日,国民議会のジュグル―与党院内筆頭幹事(Whip)が4月26日に行った質問への回答書が提
出され,エベーヌ地区サイバーシティのビジネスパーク用ビル4棟の購入に,政府が総額15.42億ル
ピーを支出したことが明らかになった。(11日付レクスプレス紙)
●印・モーリシャス間二重課税防止協定議定書に金融情報企業が懸念を表明
11日,金融情報企業 Global Finance Mauritius 社は,10日に署名された印・モーリシャス間二重課税
防止協定(DTAA)議定書に関するプレスリリースを発表して懸念を表明し,印が第三国にとりさらに有
利な条件で課税協定を結ぶことが排除されず,最恵国待遇が担保されていない点を指摘し,議定書署
名前にグローバル企業との協議がなされなかった点は残念であると表明した。(11日付モーリシャン
紙)
●ジュグノート首相が通年の観光資源の整備と多様化を呼びかける
13日,ジュグノート首相は,ゴルフのAfrAsia 銀行トーナメントの夕食会の席で,経済成長の柱の一
つとして観光部門の開発の重要性を改めて強調し,モーリシャスを通年の観光地とすべく,ゴルフ,エ
コツーリズム,サイクリング他の観光資源の整備と多様化を呼びかけた。(15日付モーリシャン紙)
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●海外投資家からの証券投資が回復基調
モーリシャス中銀の14日付定期報告によると,モーリシャス証券取引所において海外投資家の国内
証券への投資が再び活発化していることが分かった。海外投資家の売買代金は,4月期に1億4,370
万ルピーの増加(購入代金5億6,580万ルピー,売却代金4億2,210万ルピー)を記録し,直前3か月
間(2月-4月)で見ても2億960万ルピーの増加(購入代金16億ルピー,売却代金14億ルピー)を記
録した。2015年は海外投資家の資本回避が続いたことから,過去1年(2015年4月-2016年4月)
で見ると,依然として売買代金が30億ルピー減少(購入代金55億ルピー,売却代金89ルピー)してい
るものの,海外資本家の投資の回復を裏付けた。(23日付モーリシャン紙)
●英国の見本市に繊維・服飾企業20社が出展
25,26日,英国で開催される見本市に,ガンガー産業・商業相率いるモーリシャスの繊維・服飾企
業20社が出展した。(23日付モーリシャン紙)
●3月期に貿易赤字が拡大
国立統計局が25日発表した貿易統計によれば,2016年3月期の輸出総額は前年同月比21.1%
減少し,貿易赤字は2015年3月の54億ルピーから69億ルピーに拡大した。(27日付モーリシャン
紙)
●エアアジア X社のマレーシア・モーリシャス便が10月就航
エアアジア X社が本年10月4日からマレーシア・モーリシャス便を就航させることが,25日,クアラ
ルンプールで同社が開催した式典で発表された。2012年に両国が署名した協定では,週最大14便
まで運航できる。(27日付モーリシャン紙)
●南部アフリカ最優秀銀行にモーリシャス商業銀行が選ばれる
25日,南部アフリカ地域の最優秀銀行にモーリシャス商業銀行(MCB)が選出され,ルサカで開催さ
れた式典で表彰された。(27日付モーリシャン紙)
●与党系経営者の系列企業が倒産
現人民同盟(Lepep)政権の誕生とともに,その後ろ盾を得たと見られていた経営者ラケシュ・グルジ
ョリ氏が現政権から見放されたと話題になっている。融資していた銀行2行からの融資が打ち切られた。
Maubank から焦げ付いた負債15億ルピーの完済を要求され,AfrAsia 銀行からは Fashion Style グル
ープ系列8社の倒産を宣告された。(29日付モーリシャン紙)
●SBM ホールディング社がアフリカ輸出入銀行への資本参加を強化
30日,モーリシャス・ステイト銀行(SBM)ホールディング社は,エジプト・カイロに本社を置くアフリカ
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輸出入銀行(Afreximbank)への資本参加比率を0.22%から1.7%に引き上げることを決定した。追
加拠出額は1,400万米ドルに上る。(30日付モーリシャン紙)
●モーリシャスと COMESA/SADC 市場との貿易が堅調:2016年第1四半期
国立統計局の発表によれば,モーリシャスと COMESA 及び SADC 加盟国との間の貿易が堅調であ
る。2016年第1四半期の輸出入総額は33億ルピーで前年比5,300万ルピーの増加を記録した。貿
易収支は3.19億ルピーの黒字(輸出18億ルピー,輸入15億ルピー)で,2015年同時期の黒字額
4.42億ルピー(輸出19億ルピー,輸入14億ルピー)から減少した。
COMESA 市場圏内の主な貿易相手国は,第1位がマダガスカル(輸出13億ルピー,輸入2.67億
ルピー),第2位はセーシェル(輸出2.14億ルピー,輸入6.29億ルピー),第3位はケニア(輸出1.
93億ルピー,輸入2.56億ルピー)となっている。
SADC 市場圏内の主な貿易相手国は,第1位が南アフリカ(輸出18億ルピー,輸入27億ルピー)で
あり,レソト,モザンビーク,タンザニア,ナミビア,ザンビアが主に輸入の相手国となっている。(31日
付モーリシャン紙)
(了)
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