第 2 回 感想や質問への回答 • ホール効果の実際の応用例を知り、自分

第 2 回 感想や質問への回答
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ホール効果の実際の応用例を知り、自分たちが勉強した物理が様々なところで応用されている
ことがわかったので、物理を勉強するモチベーションが高まりました。量子ホール効果の 30T
までの測定結果を見て、自分も実験データを取れるところまで取りたいと思います。
次回のスライドでも、「やれるところまでやる」ことで発見があった話をします。
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τ→∞の解で電場の方向に電子が動かないのは不思議でした。
でも、講義を聞いて納得しましたよね。
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ホール効果では実際の実験の場合での問題を取り扱ったり、τ→∞の問題を取り扱ったりして
面白かった。量子ホール効果は前期も出てきましたが、具体的な実験結果が見れてとてもわか
りやすかった。だが抵抗ゼロで伝導度ゼロという話はなんとなくわかったようで、いまいち納
得できていません。
抵抗率、伝導率をテンソルで書いたときに ρxx=0 かつ ρxy≠0 ならば自動的に σxx=0 になり
ますよね?
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量子ホール効果で、τ→∞を実現するにはものすごく純良な結晶が必要だと思うのですが、実
験でどうやって作るのでしょう?
それはよい質問です。τ→∞に見えるのはあくまでも ρxy が磁場によらない値を持つ(量子
ホール状態)に限ります。また、ゼロ磁場や適当な磁場では抵抗率は有限ですから、純良といっ
ても理想的な完全結晶ではありません。こう考えてくると、量子ホール状態は単なる自由金属
ではなく、一種の相転移が生じた状態と考えたほうがよさそうですね。量子ホール効果を詳し
く取り上げる機会があればお話しましょう。
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シンプルにあらためて電磁気学を学ぶと、以前よりわかりやすく感じたし、新たに考えたこと
もあってよかったです。
次週は、以前よりわかりやすく感じる量子力学の話です。
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式を追うだけでなく、現代の技術とからめて説明してくれるので、かなり式の意味の想像がし
たすかったです。
最後のスライドは準備が大変(何を選ぶか迷う)ですが、好評のようですので続けられる限り続
けたいと思います。
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ゼーベック係数の大きな物質を探索するポイントのようなものは、これまで研究で何かわかっ
ているのでしょうか?
わかっています。お話する機会があれば熱電変換材料の話をしましょう。そこではどうやって
大きな熱起電力を得るかの様々なアプローチが調べられています。
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抵抗がゼロになる 3 つめが知りたい
3 つ目は、Nature 420, 646-650 (2002) です。
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巨大なゼーベックを示す物質がかご状物質のように見えましたが、そうですか? もしそうな
ら構造によってゼーベック係数が大きくなっているということはないのでしょうか?
かご状物質は、ある種の仕組みによって熱伝導率が異常に低下する物質ですが、ゼーベック係
数は半導体物理で理解可能です。FeSb2 はマルカサイトと呼ばれる構造の物質です。
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過去に習ったことで曖昧だったことが解決した。式のフォローだけでなく、実際の現象を交え
て説明していて内容がつかみやすかった。
なるべく次回以降も踏襲したいと思います。
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磁場・電場の下でのドリフト運動の方向は電場の方向になっているものと勘違いしていました。
物理の問題を解くだけでなく、問題自体を見直すことの重要さをあらためて気付かされました。
なるべく視覚的、直感的に理解できる物理描像を提示することもこの講義の目的です。
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前期の授業で量子ホール効果の計算や考え方を学びましたが、分数量子ホール効果についてふ
れられていなかったので、授業で聞きたいと思います。
みなさんの希望に応じて最先端のトピックスは選ぶつもりです。
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ホール効果で磁場と電場があるとき、電場と違う方向に動くことに、私も「あれ?」と思いま
した。古典力学のブーメランで似たようなことがあって、自分の物理センスを疑いました。
私も「あれ?」と思いましたが、それでも物理学科の教授になれます。
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法月君の質問のときの話が少しよくわからなかったので、もう少し詳しく説明してほしい。
質問は質点の回転中心がとまって見える慣性系に視点を移すとどうなるかということでした。
磁場や電場がある状態で、うかつにガリレイ変換してはいけませんと答えました。ローレンツ
変換を施さないといけません。そのとき質点の動きがどれだけおそくとも、電場と磁場が変換
されることを考慮しないといけません。
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登録していないものですが、分数量子ホール効果の話が聞いてみたいです。
登録者だけでなく、聴講者みなさんの希望に応じて最先端のトピックスは選ぶつもりです。
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ホール効果が携帯電話とお札認識に使われているとはじめて知った。講義の最後のスライドが、
講義のまとめ、知識の定着につながってとても助かる。またよろしくお願いします。
最後のスライドは準備が大変(何を選ぶか迷う)ですが、好評のようですので続けられる限り続
けたいと思います。
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ゼーベック係数で、温度差が電圧を作ることを坂道運動に例える方法がわかりやすかった。
荷電粒子でなく溶液中の粒子なら圧力(浸透圧)の勾配が発生します。これも同じように説明で
きますよね。
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導体の両端がそれそれ一定の温度で保たれれば電子は一定の割合で拡散しますか?
もしも両端に導線が繋がっていれば一定の電流が流れます。
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お札が磁性インクで書かれているとは知りませんでした。
世界のお札は知りませんが(プラスチックのお札もありますから)、日本では使われています。
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電子ドリフト、複合フェルミオン、気になったので調べてみます。
Google scholar で調べてみて下さい
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やれるところまでやってみる、という姿勢は研究者にとって必要だと思う。
次回もそのようなエピソードを紹介します。
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輸送係数をテンソルで書くメリットはなんですか?
式の形をそのままにして、内容をアップグレードできる点ですね。オームの法則は j=σE と書
きますが、j と E はベクトルです。j と E が平行ならば σ は定数ですが、そうでなければ行列
であるべきですから、σ をテンソルで書いておけば、昔習った j=σE がどんな時にも成り立つ
ように拡張され、「思考の節約」になります。さらに理解が進めば、対角成分や非対角成分が
満たすべき関係式(物質の詳細によりません)を導くことができます。
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量子ホール効果の振る舞いが高磁場の分数量子ホール効果でも見えるというのが興味深かった。
さらに強い磁場をかけたらどうなるのだろう?
理論的にはそのような研究もあります。磁場のエネルギーと電子の運動エネルギーが同程度に
なったら次週から勉強するブロッホ状態が破綻します。
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Seebeck 係数が Drude モデルでは物質によらない一定値になることが意外だった。
Seebeck 係数は「比熱」と関係した量ですからね、ありそうな話だと思いますよ。
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実験においては、例外や「似た形」など様々な着眼点を持つことが大切だと思った。
これからも「似ている」という直感に訴える説明をします。