子宮頸癌 1. 子宮頚部(子宮の入り口)の表層上皮に発生する癌で、大部分は扁平上皮癌です。 発症頻度は、20 才後半から 40 才頃までは増加傾向となりその後横ばい状態となり ます。子宮体癌より発症年齢が若く、近年若年層の罹患率、死亡率が増加傾向に あります。ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus,HPV)のハイリスクタイプが 子宮頸癌のリスク要因とされており、予防対策としての HPV に対するワクチン開発 が実用化されつつあります。 2. 治療法 前癌病変(子宮頚部異型上皮)から癌化への進展が明らかにされており、子宮頸 癌検診による早期発見、早期治療が勧められています。特に、若年者、未婚女性 に対して、妊孕性温存のための子宮温存手術は重要な問題です。 子宮頚部異型上皮、上皮内癌に対しては、レーザー治療や子宮頚部円錐切除術 で子宮温存を図ることは多いが、初期浸潤癌Ⅰ〜Ⅰb1 期に対しては治療方法と 再発リスクに関して治療前に十分に説明を受けて検討することが必要です。 子宮頸癌の基本術式は、子宮摘出(子宮傍組織を含む)、両側付属器摘出、リン パ節郭清術です。 3. 子宮頸癌の多くを占める扁平上皮癌は、放射線治療に対する感受性が良く、進行 癌に対しては放射線治療(あるいは抗がん剤併用)が選択されることもありますが、 当院では手術療法を第 1 選択としています。それぞれの治療法の利点、副作用を 考慮して判断することになります。 4. 子宮頸癌治療フローチャート 子宮頚部前癌病変 病期 Ⅰ/Ⅱ ~上皮内癌 Ⅰ子宮頚部限局 病期Ⅲ 骨盤内浸潤 病期Ⅳ 遠隔転移 Ⅱ頚部周囲に浸潤 子宮頚部レーザー治療 広汎子宮全摘 術前化学療法 子宮頚部切除 両側付属器摘出術 (円錐切除) リンパ節郭清(骨盤) 単純子宮全摘術 根治手術 経過観察 リンパ節転移 広汎子宮全摘術 脈管浸潤 両側付属器摘出術 腟断端陽性 リンパ節郭清 特殊組織型 (骨盤、傍大動脈) 放射線治療 and/or 化学療法
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