【60】大学生を対象とした子宮頸癌に関するアンケート調査 竹内 一真

60
大学生を対象とした子宮頸癌に関するアンケート調査
◎竹内 一真 1)、富安 聡 1)、奥田 紗矢香 1)、高橋 颯貴 1)、安永 美沙季 1)、森山 良太 1)、
大田 喜孝 1)、佐藤 信也 1)
国際医療福祉大学 福岡保健医療学部 医学検査学科 1)
【はじめに】 現在、我が国における子宮頸
男子・女子学生共通質問を 16 問、さらに女子
癌の発症率は、子宮癌全体の約 7 割を占めて
学生には 11 問、計 27 問をマークシート形式
おり、年間に約 1 万人が発症し毎年約 2,600
で行った。共通質問内容は 4 項目 (1. HPV に
人が死亡している。発症のピークは 40 年前の
ついて、2. 子宮頸癌検診について、3. 検査法
70 歳代から 30 歳代と推移しており、現在で
について、4. ワクチンについて) を問うものと
は 20 ~ 30 歳代において増加の傾向を辿ってい
した。さらに、女子学生にはワクチン接種お
る。近年、子宮頸癌は
(HPV)
human
papillomavirus
感染との関連性が解明され、高リスク
よび検診の経験の有無を問う質問を加えた。
【結果】 共通質問の結果より、HPV と子宮
群である 16 型、18 型に対する有効な 2 価ワ
頸癌との関連性、検診やワクチンについての
クチンあるいは低リスク群である 6 型、11 型
理解度が低く、特に在学生においては医学検
を含む 4 価ワクチンが開発された。我が国に
査学科以外で理解度が顕著に低いことが明ら
おいても定期予防接種に加えられた時期もあ
かとなった。また、女子学生のみの質問の結
ったが、ワクチン接種による重篤な副反応が
果では全学科で子宮頸癌検診への自意識が低
社会問題となり、国からのワクチン接種に関
いこと、クーポン券や検診内容について知ら
する勧奨は現在停止しているのが現状である。
ない学生が多いことが明らかとなった。
事実、ワクチン接種だけでは、予防策として
【まとめ】 学科間で理解度に差が出たこと
は不十分で、定期的な健診が重要だと考えら
はカリキュラムや講義内容の違いによるもの
れている。欧米では検診率が 80% 以上である
と考えられるが、女子学生の子宮頸癌検診へ
のに対し、我が国の検診率は先進国で唯一 20
の自意識が低いことは解決すべき課題である。
~ 30% と低迷している。以上のことから、若年
また、新一年生はさらに理解度が低いことか
層の健診率向上によって早期発見・早期治療
ら、学内での啓蒙活動はもちろん、学外での
が可能となり、子宮頸癌発症予防および罹患
臨床検査技師会や臨床細胞学会等の活動にも
率の低下に繋がることが期待される。
積極的に参画を促すことも大事であると考え
【目的】 若年者に子宮頸癌発症率が高いこ
る。さらに、これらのデータを基に行政との
と、健診率が低いことをどれほどの大学生が
協力体制を図ることも視野に入れている。今
知っているかの調査を行うことで、子宮頸癌
後、研究テーマとして地域で働く女性の意識
に関する意識を高め、健診率の向上を目指す
調査を行い、検診の重要性を周知し女性が検
ことを目的とした。
診を受けやすい環境を整える必要があると考
【対象および方法】 対象者は国際医療福祉
えられる。医療系大学として全学生の意識改
大学 福岡保健医療学部 4 学科 (医学検査学科、
革を図り、女子学生の検診率向上はもとより、
理学療法学科、作業療法学科、言語聴覚学科)
大学が中心となって、地域一体の検診率向上
に平成 26 年度在籍全学生および平成 27 年度、
に寄与したいと考えている。
28 年度全学科新一年生 (約 1,200 名) を対象
にアンケート調査を実施した。アンケートは、
連絡先 : 0944-89-2053