ＬＥＤ照明用電源について 2010年3月11日 東芝ライテック株式会社 技術本部 エレクトロニクス技術部 平岡 敏行 1 目次 • • • • • ＬＥＤ照明の必要性 ＬＥＤの照明用電源への要求事項 ＬＥＤの特徴と回路方式 実製品でのＬＥＤ照明電源回路 ＬＥＤ照明の施工例 2 「２５％削減」に照明で貢献する ２８．９％ 日本のCO2排出量と割合 総排出量 １２億８６００万トン 産業･運輸等での 燃焼による排出 電力による排出 １５．３％ 照明のCO２ ３億７２００万トン 電力による 排出量 排出量は４．４％ その他の電力 照明用電力 ５７００万トン 0% 照明用の消費電力の割合 20% 40% 60% 商業用 51.4% ｴｱｺ ﾝ 25.2% その他 32.7% 照明用 消費電力量 家庭における 消費電力量 １２３２億ｋWh/年 ２３２６億ｋWh/年 業務用 12.2% 100% 家庭における消費電力の割合 道路用 6.0% 家庭 30.4% 80% テレビ 9.9% 冷蔵庫 16.1% 照明 16.1% 出典 ： 省ｴﾈﾙｷﾞｰｾﾝﾀｰＨＰより 3 「２５％削減」に照明で貢献する 全既存照明をＬＥＤ照明への 置き換えにより半減化が可能！ 道路用 6.0% 家庭 30.4% 照明用 消費電力量 商業用 51.4% 家庭 30.4% １２３２億ｋWh/年 業務用 12.2% 削減 照明用 消費電力量 業務用 12.2% 約６百億ｋWh/年 商業用 51.4% 道路用 6.0% 日本全体の ２．２％を削減可能 4 ＬＥＤの市場規模 ＬＥＤ電球はやがて照明の主なる部分で 白熱電球などからの置き換え光源として 確立すると予測される ２０１５年 ・オフィス照明 ・住宅照明 市場規模 ２０１０年 一般室内照明 一般照明の応用 照らすあかり ２００７年 部分照明 約３００ｌｘ ニッチ市場 見せるあかり 非照明市場 ・常夜灯 ・足下灯 ・ガーデンライト ・非常誘導用照明 ・スポットライト ・ダウンライト 色彩 装飾，演出照明 ・サイン／ディスプレー ・自動車用（内まわり→外まわり） ・信号機 特性の向上 ・ 価格の低減 5 ＬＥＤの照明用電源への要求事項 6 ■電源仕様に影響する特性要因図 機能・性能 仕様 組み立て 部品点数 規格 複数電圧が存在 自装率 異常保護 絶縁距離 LEDの交換 電源電圧 部品形状 寿命 調光範囲 調光 調光方式 コスト低減 LED電流バランス 標準部品 回路電流 IC化 回路方式 別置タイプ 基板面積 LED個数 絶縁／非絶縁 設計 ＬＥＤ照明用電源 器具形状 部品構成 部品配置 LED直並列数 内部電圧 電力 LEDモジュール 構造 7 ■重点項目 ● ＬＥＤ照明用電源への要求（省エネ、小型化、安全） 省エネ・環境調和 もっと省エネに 小型・低背・高出力 電源を小さく、薄型に 安全・信頼性 仕向け地、用途への対応 ・高効率 →回路の効率、ＬＥＤの発光効率 ・照度センサとの組合せでの光量コントロール →センサ、マイコン技術 ・照度一定制御（初期照度補正） ・熱対策 →低ロスパワー半導体、放熱樹脂 ・集積ＩＣ →プラットホーム回路化 ・実装 →部品小型化 ・直流給電システム対応 ・安全規格対応（国内外）／ＲｏＨＳ等環境対応 ・部品信頼性技術 ・ＬＥＤ寿命に対応した電源寿命（８万時間） 8 ■ＬＥＤ照明システム効率 照明器具 電力 電源回路 電力 光束 光束 商用交流 被照明空間 Ａ Ｂ Ｃ Ｄ システム 入力電力 ＬＥＤ 入力電力 ＬＥＤ 出力光束 器具 出力光束 システム効率 ＝ 電源効率×ＬＥＤ効率×器具効率 ＝ lm／Ｗ Ｂ Ｃ Ｄ × × Ａ Ｂ Ｃ ＝ Ｄ Ａ lm／Ｗ 9 ＬＥＤの特徴と回路方式 10 ■電源から見たLEDの特徴 ●素子単体は、直流低電圧動作 ex. 順方向電圧は３Ｖ程度 ●複数素子をモジュール化した場合は、 電圧電流に自由度が生じる ●電圧－電流特性は、指数関数的であり温度特性をもつ ●動作電圧にはバラツキがある ●効率の観点では、パルス点灯よりも 平滑直流点灯が望ましい など 11 ■組み合わせの自由度 複数素子をモジュール化した場合は、電圧電流に自由度が生じる 例えば、3.4V 350mAの素子12個を組み合わせた場合 40.8V 20.2V 13.6V 350mA 700mA 1050mA 10.2V 1400mA 6.8V 2100mA 3.4V 4200mA 12 ■点灯波形と発光効率 140 ●試験条件１ 120 ＮＳ６Ｌ０８３Ａ（日亜）＊４ｐ直列接続 ＬＥＤへの供給波形は以下の３通り (1)平滑直流（直流安定化電源） (2)全波整流波形（交流安定化電源 ＋限流抵抗 約４４Ω＋ブリッジ整流器） (3)半波整流波形（交流安定化電源 ＋限流抵抗 約４４Ω＋逆阻止ダイオー ド） 100 相対ｌｍ／Ｗ（％） ●試験条件２ 平滑直流 80 全波整流波形 60 半波整流波形 40 20 0 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 相対入力電力（％） ・どの点灯波形でも、投入電力を増加 させると効率（ｌｍ／Ｗ）は低下する。 横軸は、ＬＥＤへの相対投入電力、縦軸は相対効率（ｌｍ／Ｗ）を示す。 ・効率（ｌｍ／Ｗ）は点灯波形に依存し、 縦横軸ともに、平滑直流でＬＥＤに３００ｍＡ通電した状態を１００％としている） (1)平滑直流を１００％とすると、 (2)全波整流波形では約８７％、 (3)半波整流波形では６７％程度である。 ●電源回路を検討する上では、点灯波形によるＬＥＤ自体の効率変化を見込む必要がある。 13 ■電流制限回路の必要性 電圧 Vo 開放電圧 点灯回路の負荷特性 回路図 -25℃ 動作点の 変動領域 +75℃ 負荷(LED)のＶ-Ｉ特性 動作点 -10% 0 +10% Is 短絡電流 電流 14 ■電流制限回路の例 PWM LED (a)抵抗方式 (b)定電流回路方式 (c)ｽｲｯﾁﾝｸﾞ電源方式 15 ■電流制限回路の比較 ●電流制限回路方式による優位差 効率 定電流性 備考 (a)直列抵抗方式 × △ 安価 (b)定電流回路方式 △ ○ － ○ ○ ー 高効率 電流制限回路 (c)スイッチング電源方式 (d)その他 電流制限回路方式の組み合わせは用途に応じた最適方式を選択する 16 ■効率を考慮した回路構成 LED 回路効率 価格 安全性 (a)１－２次分離 商用交流 ＰＷＭ やや低い (a)1-2次分離型回路の例 負荷側は、負 やや 荷電圧に応じ 負荷電圧が低 高い た絶縁距離で い場合は有利 よい (b)１－２次非分離 LED 商用交流 ＰＷＭ (b)1-2次非分離型回路の例 高くできる 負荷電圧が低 条件： くとも、交流入 安く 負荷電圧が電 力電圧に対応 できる 源電圧に近い する絶縁距離 場合 必要 17 ■ＬＥＤ数を多くする場合の課題 LED ﾓｼﾞｭｰﾙ LED ﾓｼﾞｭｰﾙ 電 源 回 路 電 源 回 路 LED ﾓｼﾞｭｰﾙ LED ﾓｼﾞｭｰﾙ LED ﾓｼﾞｭｰﾙ LED ﾓｼﾞｭｰﾙ LED ﾓｼﾞｭｰﾙ (a)直列点灯方式 システム構成 LED ﾓｼﾞｭｰﾙ 拡張性 (b)並列点灯方式 負荷の接続 電源回路の電圧上限ま やや面倒 直列点灯方式 で負荷の台数変更可能 （ﾃﾞｲｼﾞｰﾁｪｰﾝ） だが、安全性に配慮必要 電源回路の電流容量の 並列点灯方式 範囲で負荷の台数変更 可能 電流バランス 問題ない 容易 個々のモジュールに （通常のｺﾝｾﾝﾄ 電流バランスを取る と同等） 機能を必要とする 18 ■位相制御方式（２線式）による調光 調 光 器 電源線 電源電圧波形 負荷電圧波形 白熱電球以外の製品では、深い調光まで絞ることが難しい 19 ■専用制御方式（４線式）による調光 電源線 調光信号線 調 光 器 12V 調光信号波形 ｔ（mS） Duty＝（ｔ／Ｔ）＊100(%) Ｔ(mS) 上記の例 ｔ ＝6 (mS) Ｔ =10 (mS) Duty =60 （%) 深い調光が可能 20 ■まとめとその他注意事項 ●ＬＥＤ照明システムを構成する不可欠な機能部として 電源を捉えることが必要である ●拡張性に考慮を払ったシステム構成が重要 ●複数個のＬＥＤ素子を使う場合、直並列数を適切に選ぶことで 電源部の効率を高めることが可能である ●商用交流電源とＬＥＤ回路が絶縁トランスで分離されるか／非分離 かによって、安全規格の適用が大きく異なる ●負荷電圧を適切に選び、非分離回路方式を選ぶことで、高いシステ ム効率を得られる可能性が大きい ●高調波抑制、調光などの機能への配慮が必要 ●ＬＥＤの長寿命特性を活かすには，高信頼電源が必要 21 実製品でのＬＥＤ照明電源回路 22 ＬＥＤ電球 一般電球形 ４．６Ｗ ６．４Ｗ お客様ニーズにこたえよりリーズナブルな ＬＥＤ電球スタンダードモデルを新発売 高密度実装したＬＥＤモジュール の搭載により、白熱電球に 近いひかり方になりました。 回路の小形化技術が、 こだわりの電球形状を実現。 器具適合性がＵＰします。 ・従来フォルムを踏襲し、 よりシンプルな形状にしました。 ・樹脂グローブを採用。 23 ＬＥＤ電球の構造 前面カバー （ポリカーボネート） ヒートシンク （ｱﾙﾐﾀﾞｲｷｬｽﾄ） 電源回路 口金 ＬＥＤ素子 （Ｓ ＭＤまたはＣＯＢ） （Ｅ ２６） 24 ■４線式調光を利用した制御例 機能 調光形Ｈｆ蛍光灯器具でしか実現できなかったあかりセンサや 人感センサとの接続や照明制御システムとの組み合わせ使用が 可能になります。省エネと共に安心・安全でかつ快適な光環境を提供 します。 ※照度センサーと組み合わせてご使用になる場合は別途ご相談ください。 Ｅ－ＣＯＲＥ６０調光形 Ｅ－ＣＯＲＥ６０調光形 ４線式調光器 ＦＬコントルクスＰＤ ＤＦ－７０１６２－ＰＤ 25 ダウンライトの構造 ヒートシンク （ｱﾙﾐﾀﾞｲｷｬｽﾄ） 電源収納部 電源回路 26 ご清聴ありがとうございました 27
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