第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 第1節 連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法 1.連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法 (A) 連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法としては,以下の2つがある。 (1) 個別キャッシュ・フロー計算書の合算から作成する方法(原則法) 個別キャッシュ・フロー計算書の合算から作成する方法は,個別キャッシュ・フロー計算書の合計額から, 連結会社相互間の資金決済を相殺消去する処理を行う。 親会社 個別C/F 子会社 + 個別C/F − 連結会社相互間の 資金決済の相殺消去 = 連結C/F (2) 連結財務諸表から作成する方法(簡便法) 連結財務諸表から作成する方法は,連結財務諸表作成段階においてすでに連結相殺消去が行われているた め,基本的に個別キャッシュ・フロー計算書の作成方法と同様に連結貸借対照表及び連結損益計算書から連 結キャッシュ・フロー計算書を作成する。 親会社 子会社 個別B/S 個別P/L 個別B/S + 個別S/S 個別P/L 連結B/S − 連結相殺消去 = 個別S/S 連結P/L 連結S/S ↓ 連結C/F 2.営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法とキャッシュ・フロー計算書の作成方法と の関係 (A) 一般的には,営業活動によるキャッシュ・フローを直接法により表示している場合には原則法により作成 し,営業活動によるキャッシュ・フローを間接法により表示している場合には簡便法で作成される。 このため,以下では当該組み合わせについて順に説明をしていくことにする。 (1) 直接法と原則法 親会社 個別C/F (直接法) 子会社 + 個別C/F (直接法) − 連結会社相互間の 資金決済の相殺消去 − 66 − = 連結C/F (直接法) 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 (2) 間接法と原則法 親会社 個別C/F (間接法) 子会社 + 個別C/F (間接法) − 連結会社相互間の = 資金決済の相殺消去 連結C/F (間接法) (3) 間接法と簡便法 親会社 子会社 個別B/S 個別B/S 個別P/L 個別S/S + 個別P/L 連結B/S − 連結相殺消去 個別S/S = 連結P/L 連結S/S ↓ 連結C/F (間接法) 第2節 直接法・原則法による場合の留意点(小計より上) 以下では,連結キャッシュ・フロー計算書作成のための修正処理を学習していく。なお,各修正項目につ いて, 「連結キャッシュ・フロー計算書作成のための相殺仕訳」が行われているが,これは連結キャッシュ・ フロー計算書を勘定形式で作成していることを前提に行っている点に留意すること。 1.「営業収入」と「商品の仕入れによる支出」の相殺 (A) 「営業収入」と「商品の仕入れによる支出」における親子会社間の現金決済額を相殺する。 − 67 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 <相殺する取引例> 現金販売・売掛金と買掛金の決済・受取手形と支払手形の決済 <連結C/F作成のための相殺仕訳> (借) 営 業 収 入 ××× (貸) 商品の仕入れによる支出 ××× ※ 親子会社間の現金決済額を相殺消去するため, 親子会社間振出手形の割引額は除かれる点に留意すること。 2.未達取引がある場合 (B) 未達取引がある場合には個別キャッシュ・フロー計算書上の金額に未達事項を加減し,その後連結キャッ シュ・フロー計算書上において相殺消去する。 (1) 期首未達取引(売掛金の決済が未達であった場合) <未達事項の修正> (借) 営 業 収 入 ××× (貸) 現金及び現金同等物の期首残高 ××× 現金及び現金同等物の期首残高の増加として処理する。 <連結C/F作成のための相殺仕訳> (借) 営 業 収 入 ××× (貸) 未達事項修正後の金額で相殺消去を行う。 具体例 − 68 − 商品の仕入れによる支出 ××× 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 (2) 期末未達取引 <未達事項の修正> (借) 現金及び現金同等物の期末残高 ××× (貸) 営 業 収 入 ××× 商品の仕入れによる支出 ××× 現金及び現金同等物の期末残高の増加として処理する。 <連結C/F作成のための相殺仕訳> (借) 営 業 収 入 ××× (貸) 未達事項修正後の金額で相殺消去を行う。 具体例 − 69 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 例題1 直接法・原則法(営業収入と仕入支出の相殺) 重要度 A 難易度 B 以下の資料に基づき×4 年3月 31 日における連結キャッシュ・フロー計算書の各項目の金額を求めなさい。 1.親会社と子会社の個別キャッシュ・フロー計算書の一部は以下のとおりである。 親会社 子会社 営業収入 150,000 円 70,000 円 仕入支出 96,000 円 54,000 円 現金及び現金同等物の期首残高 88,000 円 48,000 円 現金及び現金同等物の期末残高 76,000 円 52,000 円 2.親会社の営業収入には子会社に対する営業収入 30,000 円が含まれている。 3.連結会社間取引における未達事項が下記のとおりある。 (1) 前期末未達事項 前期末に子会社が買掛金 2,000 円を決済しているが親会社に未達であった。 (2) 当期末未達事項 当期末に子会社が買掛金 5,000 円を決済しているが親会社に未達であった。 解答 解説 (単位:円) 営業収入 190,000 円 現金及び現金同等物の期首残高 138,000 円 仕入支出 △117,000 円 現金及び現金同等物の期末残高 133,000 円 − 70 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 ① 期首未達事項の修正 (借) 入 2,000 (貸) 現金及び現金同等物の期首残高 2,000 現金及び現金同等物の期末残高 5,000 (貸) 営 業 収 入 5,000 33,000 (貸) 仕 入 支 出 33,000 営 業 収 ② 期末未達事項の修正 (借) ③ 連結C/F作成のための相殺仕訳 (借) 営 業 収 入 <解答の金額> 営業収入:150,000 円−2,000 円+5,000 円+70,000 円−33,000 円=190,000 円 仕入支出:96,000 円+54,000 円−33,000 円=117,000 円 現金及び現金同等物の期首残高:88,000 円+48,000 円+2,000 円=138,000 円 現金及び現金同等物の期末残高:76,000 円+52,000 円+5,000 円=133,000 円 相殺の金額:30,000 円−2,000 円+5,000 円=33,000 円 3.親子会社間振出の手形割引の処理 親子会社間振出の手形を割り引いた場合,連結上,以下のように捉える。 − 71 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 (1) 手形割引高の処理 「営業収入」を取り消し,「利息の支払額」と「短期借入れによる収入」を計上する。 (2) 手形決済高の処理 「仕入支出」を取り消し,「短期借入金の返済による支出」を計上する。 具体例 親子会社間振出の手形割引① (1) 手形割引高の処理 <個別C/F上の処理> 「営業収入」に 19,500 円計上されている。 <連結C/F上の修正処理> (借) 営 入 19,500 (〃) 利 息 の 支 払 額 500 業 収 (貸) 短期借入れによる収入 20,000 ※ 小計の下の「利息の支払額」には,手形売却損に該当する金額を加算する。 (2) 手形決済高の処理 (借) 短期借入金の返済による支出 20,000 − (貸) 72 − 仕 入 支 出 20,000 具体例 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 重要度 A 親子会社間振出の手形割引② 例題2 直接法・原則法(親子会社間振出の手形割引) 難易度 B 以下の資料に基づき×4 年3月 31 日における連結キャッシュ・フロー計算書の各項目の金額を答えなさい。 1.親会社と子会社の個別キャッシュ・フロー計算書の一部は以下のとおりである。 親会社 子会社 営業収入 150,000 円 170,000 円 仕入支出 96,000 円 154,000 円 2,000 円 1,500 円 短期借入れによる収入 40,000 円 24,000 円 短期借入金の返済による支出 35,000 円 34,000 円 利息の支払額 2.親会社の営業収入には子会社に対する営業収入 30,000 円が含まれている。 3.親会社における子会社振出しの約束手形の割引状況は以下のとおりである。 期首残高 20,000 円 当期割引高 40,000 円 (割引料 1,000 円) 当期決済高 期末残高 36,000 円 24,000 円 − 73 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 解答 解説 (単位:円) 営業収入 251,000 円 仕入支出 △184,000 円 利息の支払額 短期借入れによる収入 104,000 円 短期借入金の返済による支出 △105,000 円 △4,500 円 ① 手形割引における修正仕訳 (借) 営 入 39,000 (〃) 利 息 の 支 払 額 1,000 業 収 (貸) 短期借入れによる収入 40,000 36,000 (貸) 仕 入 支 出 36,000 30,000 (貸) 仕 入 支 出 30,000 ② 手形決済における修正仕訳 (借) 短期借入金の返済による支出 ③ 営業収入と仕入支出の相殺仕訳 (借) 営 業 収 入 <解答の金額> 営業収入:150,000 円+170,000 円−39,000 円−30,000 円=251,000 円 仕入支出:96,000 円+154,000 円−36,000 円−30,000 円=184,000 円 利息の支払額:2,000 円+1,500 円+1,000 円=4,500 円 短期借入れによる収入:40,000 円+24,000 円+40,000 円=104,000 円 短期借入金の返済による支出:35,000 円+34,000 円+36,000 円=105,000 円 − 74 − 第 13 章 第3節 連結キャッシュ・フロー計算書 直接法・原則法による場合の留意点(小計より下) 1.受取利息と支払利息の相殺 (A) 親子会社間の借入金と貸付金に伴う利息を相殺する。 「利息及び配当金の受取額」と「利息の支払額」を相殺する。 (借) 利息及び配当金の受取額 ××× (貸) 利 息 の 支 払 額 ××× ※ 当期の現金収支額のみを相殺するため,経過勘定に留意する。 2.有価証券利息と社債利息の相殺 (A) 親子会社間の社債の発行に伴う利息(クーポン利息)を相殺する。 「利息及び配当金の受取額」と「利息の支払額」を相殺する。 (借) 利息及び配当金の受取額 ××× (貸) 利 息 の 支 払 額 ××× ※ 当期の現金収支額のみを相殺するため,経過勘定及び償却原価法の適用による償却額に留意する。 3.親子会社間振り出しの手形の手形売却損の取扱い (A) 手形売却損を「利息の支払額」に計上する。 4.配当金の支払額 (A) 親会社実施の配当金・・・「配当金の支払額」として計上する。 子会社実施の配当金 親会社持分・・・・親会社の「利息及び配当金の受取額」と「配当金の支払額」を相殺する。 少数株主持分・・・「配当金の支払額」から「少数株主への配当金の支払額」に振り替える。 <子会社が実施した配当金> (借) 利息及び配当金の受取額 ××× (〃) 少数株主への配当金の支払額 ××× − (貸) 75 − 配当金の支払額 ××× 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 5.親子会社間の貸付金と借入金 (A) <貸借時> 「短期(長期)借入れによる収入」と「貸付けによる支出」を相殺する。 <返済時> 「短期(長期)借入金の返済による支出」と「貸付金の回収による収入」を相殺する。 (借) 短期(長期)借入れによる収入 ××× (貸) 貸付けによる支出 ××× (借) 貸付金の回収による収入 ××× (貸) 短期(長期)借入金の返済による支出 ××× 6.親子会社間の固定資産の売買 (A) 「有形固定資産の売却による収入」と「有形固定資産の取得による支出」を相殺する。 (借) 有形固定資産の売却による収入 7.社債の発行時引受 ××× (貸) 有形固定資産の取得による支出 ××× (A) 「社債の発行による収入」と「投資有価証券の取得による支出」を相殺する。 (借) 社債の発行による収入 8.社債の市場買入 ××× (貸) 投資有価証券の取得による支出 ××× (A) 「投資有価証券の取得による支出」から,「社債の償還による支出」に振り替える。 (借) 社債の償還による支出 9.親会社株式の取得 ××× (貸) 投資有価証券の取得による支出 ××× (C) 「親会社株式の取得による支出」から「自己株式の取得による支出」に振り替える。 (借) 自己株式の取得による支出 ××× − (貸) 76 − 親会社株式の取得による支出 ××× 第 13 章 10.子会社株式の追加取得・一部売却 連結キャッシュ・フロー計算書 (A) 「子会社株式の取得による支出」及び「子会社株式の売却による収入」をそのまま計上する。 11.子会社の増資 (A) <親会社引受> 「子会社株式の取得による支出」と「新株の発行による収入」を相殺する。 <少数株主引受> 「新株の発行による収入」から「少数株主からの払込による収入」に振り替える。 (借) 新株の発行による収入 12.合併・営業譲渡等 ××× (貸) 子会社株式の取得による支出 ××× (〃) 少数株主からの払込による収入 ××× (C) 資金の純変動額を投資活動によるキャッシュ・フローの区分に計上する。 <合併の場合> 被合併会社の「現金及び現金同等物」等の純額を「合併に伴う収入」又は「合併に伴う支出」等の名 称(投資活動)で計上する。 <営業譲渡の場合> 営業譲渡により受け入れる「現金及び現金同等物」と「営業譲渡による支払額」の純額を「営業譲渡 に伴う収入」又は「営業譲渡に伴う支出」等の名称(投資活動)で計上する。 (借) 現金及び現金同等物 ××× (貸) 合併に伴う収入 13.新規連結及び連結除外(株式を取得又は売却した場合) ××× (C) 資金の純変動額を投資活動のキャッシュ・フローの区分に計上する。 <新規連結> 「子会社株式の取得による支出」と「子会社保有の現金及び現金同等物」の純額を「連結範囲の変更 を伴う子会社株式の取得による支出」(投資活動)に計上する。 (借) 連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 ××× (〃) 現金及び現金同等物 ××× (貸) 子会社株式の取得による支出 ××× 新規連結を行った場合には,新規連結以後の子会社のキャッシュ・フローを連結キャッシュ・フローに 計上する。 − 77 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 <連結除外> 「子会社株式の売却による収入」と「子会社保有の現金及び現金同等物」の純額を「連結範囲の変更を 伴う子会社株式の売却による収入」(投資活動)に計上する。 (借) 子会社株式の売却による収入 ××× (貸) 連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入 ××× (〃) 現金及び現金同等物 ××× 連結除外を行った場合には,連結除外前の子会社のキャッシュ・フローを連結キャッシュ・フローに計 上する。 例題3 新規連結 重要度 C 難易度 A 当社は,当期末においてA社の発行済株式総数の 60%を 70,000 円で取得し,子会社とした。以下の資料 に基づいて,連結キャッシュ・フロ−計算書を作成するための新規連結における修正仕訳を示しなさい。 1.A社の当期末の個別貸借対照表 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日 現 金 預 (単位:円) 金 20,000 諸 負 債 150,000 そ の 他 の 資 産 230,000 資 本 金 100,000 250,000 解答 解説 250,000 (単位:円) (借) 連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 50,000 (〃) 現金及び現金同等物の期末残高 20,000 − (貸) 78 − 子会社株式の取得による支出 70,000 例題4 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 重要度 C 連結除外 難易度 A 当社は,当期末にA社の発行済株式総数の 60%を 70,000 円で売却し,子会社から除外した。以下の資料 に基づいて,連結キャッシュ・フロ−計算書を作成するための連結除外における修正仕訳を示しなさい。 1.A社の当期末の個別貸借対照表 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日 現 金 預 (単位:円) 金 20,000 諸 負 債 150,000 そ の 他 の 資 産 230,000 資 本 金 100,000 250,000 解答 (借) 解説 250,000 (単位:円) 子会社株式の売却による収入 70,000 − (貸) 連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入 50,000 (〃) 現金及び現金同等物の期末残高 20,000 79 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 例題5 直接法・原則法(総合問題) 重要度 A 難易度 B P社はS社の議決権付株式の 80%を保有しており,連結子会社としている。次の資料に基づいて,連結キ ャッシュ・フロー計算書(直接法)を作成しなさい。 1.連結会社の個別キャッシュ・フロー計算書 (単位:千円) P社 S社 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 営業収入 500,000 100,000 △200,000 △60,000 人件費の支出 △70,000 △25,000 その他の営業支出 △40,000 △18,000 190,000 △3,000 34,000 1,000 △6,000 △2,000 △20,000 △1,500 198,000 △5,500 △40,000 △25,000 30,000 20,000 △10,000 △5,000 商品の仕入支出 小 計 利息及び配当金の受取額 利息の支払額 法人税等の支払額 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 貸付けによる支出 貸付金の回収による収入 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入れによる収入 50,000 40,000 短期借入金の返済による支出 △35,000 △16,000 配当金の支払額 △50,000 △10,000 △35,000 14,000 Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額 153,000 3,500 Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 250,000 80,000 Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 403,000 83,500 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 2.当期よりP社はS社に対して商品販売を開始し,以下のとおり売り上げた。 掛売上 60,000 千円 手形売上(S社振出の約束手形) 40,000 千円 3.期末のP社の売掛金のうち,S社に対するものが 15,000 千円含まれている。 4.期中にP社はS社振出の約束手形のうち,30,000 千円を取引銀行において割引きし,(割引料 2,000 千 円),残額はすべて回収した。なお,当期末現在S社振出の割引手形のうち,10,000 千円が未決済であり, 未決済分に係る割引料は 600 千円である。 5.P社のS社に対する貸付状況は次のとおりである。すべて貸付期間は1年以内である。 期首残高 6,000 千円 当期貸付高 15,000 千円 当期回収高 期末残高 18,000 千円 3,000 千円 利息の現金受取額 800 千円 6.P社・S社ともに当期の剰余金の配当に係る配当金はすべて現金により支払われている。 − 80 − 第 13 章 解答 解説 連結キャッシュ・フロー計算書 (単位:千円) Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 営業収入 517,000 商品の仕入支出 △185,000 人件費の支出 △95,000 その他の営業支出 △58,000 小 計 179,000 利息及び配当金の受取額 26,200 利息の支払額 △9,200 法人税等の支払額 △21,500 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 174,500 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 貸付けによる支出 △50,000 貸付金の回収による収入 32,000 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー △18,000 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入れによる収入 105,000 短期借入金の返済による支出 △53,000 配当金の支払額 △50,000 少数株主への配当金の支払額 △2,000 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 0 Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額 156,500 Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 330,000 Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 486,500 ① 営業収入と仕入支出の相殺 (借) 営 業 収 入 55,000 (貸) 商品の仕入支出 55,000 ※ 営業収入:45,000 千円(掛決済)+10,000 千円(手形決済)=55,000 千円 ※ 掛決済:60,000 千円(掛売上)−15,000 千円(売掛金期末残高)=45,000 千円 ※ 手形決済:40,000 千円(手形売上)−30,000 千円(手形割引高)=10,000 千円 ② 手形割引の修正 (借) 営 (〃) 利 息 の 支 払 額 2,000 (借) 短期借入金の返済による支出 業 収 入 (貸) 短期借入れによる収入 30,000 20,000 (貸) 商品の仕入支出 20,000 28,000 ③ 貸付金と借入金の相殺 (借) 短期借入れによる収入 15,000 (貸) 貸付けによる支出 15,000 (借) 貸付金の回収による収入 18,000 (貸) 短期借入金の返済による支出 18,000 − 81 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 ④ 利息の相殺 (借) 利息及び配当金の受取額 800 (貸) 利 息 の 支 払 額 800 (貸) 配当金の支払額 10,000 ⑤ 配当金の修正 (借) 利息及び配当金の受取額 8,000 (〃) 少数株主への配当金の支払額 2,000 第4節 間接法・原則法の組み合わせ 1.基本的処理方法 (B) 間接法によっている場合に,キャッシュ・フロー計算書の合算から作成する場合には,小計より上の各項 目は連結修正仕訳に基づいて,修正を行うことになる。なお,小計より下の部分については,原則法・直接 法と同様の処理方法となる。 2.小計より上の調整項目の具体的処理方法 (B) (1) 税金等調整前当期純利益 税金等調整前当期純利益は,連結修正仕訳で修正された金額を計上する。なお,少数株主損益及び法人税 等は,考慮しない点に留意すること。 (2) 小計の上の調整項目 損益計算書計上額及び営業活動に係る債権債務の増減額については,連結修正仕訳の金額だけ修正するこ とになる。のれん償却,持分法による投資損益,持分変動損益等の連結固有の損益項目を計上する点にも留 意すること。 <重要ポイント> 小計より下の項目については,直接法・原則法と同様の処理を行うことになる。 − 82 − 例題6 間接法・原則法 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 重要度 B 難易度 B P社はS社の議決権付株式の 80%を保有しており,連結子会社としている。次の資料に基づいて,連結キ ャッシュ・フロー計算書(間接法)を作成しなさい。 1.連結会社の個別キャッシュ・フロー計算書 (単位:千円) P社 S社 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 税引前当期純利益 50,000 10,000 減価償却費 10,000 6,500 受取利息配当金 △6,000 △2,000 固定資産売却益 △12,000 − 役員賞与引当金の減少額 △1,000 △500 売上債権の増加額 △3,000 △4,000 仕入債務の減少額 △5,000 △2,500 棚卸資産の増加額 △2,500 △1,000 30,500 6,500 5,000 1,800 35,500 8,300 有形固定資産の取得による支出 △15,000 △29,000 有形固定資産の売却による収入 35,000 12,000 △16,000 − 4,000 △17,000 − 20,000 △6,000 △2,000 △6,000 18,000 小 計 利息及び配当金の受取額 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 子会社株式の取得による支出 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 株式の発行による収入 配当金の支払額 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額 33,500 9,300 Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 68,400 15,600 Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 101,900 24,900 2.その他の参考資料 (1) P社の売上債権の中にはS社に対するものが 1,500 千円含まれている。なお,期首には存在していな い。 (2) S社の期末棚卸資産のうち,P社仕入分が含まれており,未実現利益は 400 千円である。 (3) 当期首にP社はS社へ備品(帳簿価額 17,000 千円)を 29,000 千円で売却した。S社は当該備品に対し て,残存耐用年数4年,残存価額 10%で減価償却を行っている。 (4) S社は株主割当新株発行増資(総額 20,000 千円)を行い,P社及び少数株主がそれぞれ引き受けてい る。なお,増資による持分比率の変動はない。 (5) 連結財務諸表に計上されている当期ののれん償却額は 2,000 千円である。 − 83 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 解答 解説 (単位:千円) P社 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整前当期純利益 46,700 減価償却費 13,800 のれん償却 2,000 受取利息配当金 △6,400 役員賞与引当金の減少額 △1,500 売上債権の増加額 △5,500 仕入債務の減少額 △9,000 棚卸資産の増加額 △3,100 小 計 37,000 利息及び配当金の受取額 5,200 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 42,200 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 有形固定資産の取得による支出 △15,000 有形固定資産の売却による収入 18,000 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 3,000 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 少数株主からの払込による収入 4,000 配当金の支払額 △6,000 少数株主への配当金の支払額 △400 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー △2,400 Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額 42,800 Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 84,000 Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 126,800 − 84 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 (1) 連結修正仕訳 ① のれん償却 (借) の れ ん 償 却 2,000 (貸) の 400 (貸) 商 1,500 (貸) 売 れ ん 2,000 品 400 権 1,500 ② 棚卸資産の期末未実現利益 (借) 売 上 原 価 ③ 売上債権及び仕入債務の相殺 (借) 仕 入 債 務 上 債 ④ 有形固定資産の未実現利益 (借) 備 品 売 却 益 12,000 (貸) 備 品 12,000 (借) 減価償却累計額 2,700 (貸) 減 価 償 却 費 2,700 (貸) 配 金 2,000 ⑤ 剰余金の配当の相殺 (借) 受取利息配当金 1,600 (〃) 少 数 株 主 持 分 400 当 (2) 連結キャッシュ・フロー計算書作成のための修正仕訳 ⑥ 売上債権の増減と仕入債務の増減の相殺 売上債権の増加額 1,500 円と仕入債務の減少額 1,500 円を相殺する。 ⑦ 有形固定資産の売買 (借) 有形固定資産の売却による収入 29,000 (貸) 有形固定資産の取得による支出 29,000 (貸) 配当金の支払額 2,000 (貸) 子会社株式の取得による支出 16,000 (〃) 少数株主からの払込による収入 4,000 ⑧ 剰余金の配当 (借) 利息及び配当金の受取額 1,600 (〃) 少数株主への配当金の支払額 400 ⑨ 株主割当増資 (借) 株式の発行による収入 20,000 − 85 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 (単位:千円) 項 目 P社 S社 相殺/表示組替 連結C/F Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー ①のれん償却 ②棚卸資産 あ税金等調整前当期純利益 あ減価償却費 50,000 10,000 10,000 6,500 あのれん償却額 △2,000 46,700 △400 ④備品売却益 △12,000 ④売却益実現 +2,700 ⑤親会社配当 △1,600 ④売却益実現 △2,700 13,800 ①のれん償却 +2,000 2,000 あ受取利息配当金 △6,000 △2,000 ⑤親会社配当 +1,600 △6,400 あ固定資産売却益 △12,000 − ④備品売却益 +12,000 0 あ役員賞与引当金の減少額 △1,000 △500 あ売上債権の増加額 △3,000 △4,000 ⑥相殺消去 +1,500 △5,500 あ仕入債務の減少額 △5,000 △2,500 ⑥相殺消去 △1,500 △9,000 あ棚卸資産の増加額 △2,500 △1,000 ②棚卸資産 +400 △3,100 30,500 6,500 5,000 1,800 35,500 8,300 あ有形固定資産の取得による支出 △15,000 △29,000 ⑦備品売買 +29,000 △15,000 あ有形固定資産の売却による収入 35,000 12,000 ⑦備品売買 △29,000 18,000 △16,000 − ⑨子会社増資 +16,000 0 4,000 △17,000 あ小 計 あ利息及び配当金の受取額 あ営業活動によるキャッシュ・フロー △1,500 37,000 ⑧親会社配当 △1,600 5,200 42,200 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー あ子会社株式の取得による支出 あ投資活動によるキャッシュ・フロー 3,000 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー あ株式の発行による収入 − 20,000 あ少数株主からの払込による収入 あ配当金の支払額 △6,000 △2,000 あ少数株主への配当金の支払額 あ財務活動によるキャッシュ・フロー ⑨子会社増資 △16,000 0 ⑨少数株主増資 △4,000 ⑨少数株主増資 +4,000 4,000 ⑧親会社配当 +1,600 △6,000 ⑧少数株主配当 +400 ⑧少数株主配当 △400 △400 △6,000 18,000 △2,400 Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額 33,500 9,300 42,800 Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 68,400 15,600 84,000 Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 101,900 24,900 126,800 − 86 − 第 13 章 第5節 連結キャッシュ・フロー計算書 連結財務諸表から作成する方法の留意点(間接法・簡便法) 1.基本的処理方法 (B) 間接法・簡便法の場合には,連結貸借対照表・連結損益計算書から個別キャッシュ・フロー計算書の間接 法と同様の方法により,連結キャッシュ・フロー計算書を作成することになる。 連結貸借対照表・連結損益計算書を作成する際の連結修正仕訳において,内部取引等は修正されているた め,連結キャッシュ・フロー計算書を作成する段階では,考慮する必要はない。 2.営業活動によるキャッシュ・フローの区分の具体的処理方法 (B) (1) 税金等調整前当期純利益 連結損益計算書の税金等調整前当期純利益からスタートするため,少数株主損益及び法人税等の調整は不 要である。 (2) 連結固有の損益項目の計上 連結損益計算書固有の項目であるのれん償却額,負ののれん発生益、持分法による投資損益,持分変動損 益等を計上する。 (3) 新規連結及び連結除外に伴う資産・負債の増減額 新規連結及び連結除外の場合には,資産・負債の増減額を加味する際に,新規連結又は連結除外に伴う資 産・負債の増減の影響を加味する必要がある。 期末新規連結 期末連結除外 期末連結貸借対照表の資産・負債の金額から新規連結に係る資産・負債の増加額 を控除する。 期末連結貸借対照表の資産・負債の金額に連結除外に係る資産・負債の減少額を 加算する。 (4) 持分法適用会社から受け取った受取配当金 持分法適用会社から受取配当金を受取っている場合には,キャッシュ・フロー計算書の表示方法では,以 下の2つの方法が認められている。 原則 例外 持分法適用会社からの受取配当金を「利息及び配当金の受取額」に加算する。 持分法適用会社からの受取配当金を営業キャッシュ・フローの区分に表示している場合には, 「持分法による投資損益」と相殺することできる。 <重要ポイント> 上記項目以外は,個別キャッシュ・フロー計算書の間接法と同様の処理方法となる。 投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの区分については,原則法と同様の金額となるよう に処理を行うことになる。 − 87 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 例題7 間接法・簡便法(営業活動) 重要度 B 難易度 B P社はS社の議決権付株式の 60%を保有しており,連結子会社としている。そこで,以下の資料に基づい て,当期(自平成×6 年4月1日 至平成×7 年3月 31 日)の連結キャッシュ・フロー計算書(間接法・簡便 法)の営業活動によるキャッシュ・フロ−の区分までを完成させなさい。なお,便宜上税効果は考慮しない。 1.前期末及び当期末の連結貸借対照表 連 結 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 前期末 当期末 (単位:千円) 勘 定 科 目 当期末 現 金 預 金 245,600 ( ) 買 金 96,240 ( ) 売 金 168,000 ( ) 未 払 費 用 6,900 ( ) 貸 倒 引 当 金 △3,360 ( ) 借 入 金 255,000 ( ) 商 品 121,000 ( ) 資 本 金 500,000 ( ) 未 収 収 益 14,900 ( ) 利 益 剰 余 金 179,000 ( ) 少数株主持分 142,000 ( ) 1,179,140 ( ) 掛 土 地 573,000 ( ) の れ ん 30,000 ( ) 貸 付 金 30,000 ( ) 1,179,140 ( ) 掛 前期末 2.各社の当期末の貸借対照表 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 P社 S社 現 金 預 金 102,900 187,900 売 金 120,000 70,000 貸 倒 引 当 金 掛 (単位:千円) 勘 定 科 目 買 掛 P社 S社 金 70,000 30,000 未 払 費 用 6,000 2,500 △2,400 △1,400 借 入 金 200,000 140,000 品 80,000 32,000 資 本 金 500,000 175,000 未 収 収 益 9,500 4,000 利 益 剰 余 金 200,000 145,000 地 323,000 200,000 金 100,000 ― 子 会 社 株 式 243,000 ― 976,000 492,500 976,000 492,500 P社 S社 売 上 原 価 580,000 250,000 貸倒引当金繰入額 2,400 1,400 費 205,600 67,600 支 払 利 息 30,000 12,000 当 期 純 利 益 91,000 35,000 909,000 366,000 商 土 貸 付 3.各社の当期の損益計算書 損 益 計 算 書 勘 定 科 目 営 業 (単位:千円) 勘 定 科 目 − P社 S社 上 842,000 360,000 受取利息配当金 67,000 6,000 909,000 366,000 売 88 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 4.貸借対照表計上額について (1) 前期末の連結貸借対照表に計上されている,経過勘定の内訳は以下のとおりである。 未収収益:全て受取利息配当金 未払費用:営業費 4,800 千円,支払利息 2,100 千円 (2) 当期末の各社の貸借対照表に計上されている,経過勘定の内訳は以下のとおりである。 未収収益:全て受取利息配当金 未払費用(P社):営業費 4,000 千円,支払利息 2,000 千円 未払費用(S社):営業費 1,800 千円,支払利息 700 千円 5.P社のS社株式の取得状況及びS社の資本勘定 取得年月日 持分割合 取得原価 資本金 利益剰余金 60% 243,000 千円 175,000 千円 130,000 千円 平成×6 年3月 31 日 (注 1) 支配獲得時のS社の土地(帳簿価額:200,000 千円)の時価は 250,000 千円であった。 (注 2) S社は当期に利益剰余金の配当を 20,000 千円行っている。 (注 3) のれんの償却は償却期間 20 年の定額法により実施する。 6.P社S社間の取引 (1) P社はS社に対して,当期中に 67,000 千円売上げている。なお,S社の期末商品には,P社が付加 した内部利益が 1,600 千円含まれている。 (2) P社のS社に対する売掛金の金額が,当期末に 7,000 千円ある。なお,貸倒引当金は期末売上債権残 高の2%を設定している。 (3) P社はS社に対して平成×6 年7月1日に 40,000 千円貸し付けている。 なお, 貸付条件は利率年4%, 貸付期間4年,利払日年2回(6月末,12 月末)である。 解答 解説 (単位:千円) P社 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整前当期純利益 111,040 のれん償却額 1,500 貸倒引当金の増加額 300 受取利息配当金 △59,800 支払利息 40,800 売上債権の増加額 △15,000 棚卸資産の減少額 10,600 仕入債務の減少額 △3,240 未払費用の増加額 1,000 小 計 87,200 利息及び配当金の受取額 61,600 利息の支払額 △40,600 営業活動によるキャッシュ・フロー − 89 − 108,200 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 1.投資と資本の相殺消去 (借) 土 地 50,000 (貸) 評 (借) 資 額 50,000 金 175,000 (貸) 子 会 社 株 式 243,000 (〃) 利益剰余金期首残高 130,000 (〃) 少 数 株 主 持 分 142,000 (〃) 評 (〃) の 本 価 差 れ 額 50,000 ん 30,000 価 差 ※ 少数株主持分:(175,000 千円+130,000 千円+50,000 千円)×40%=142,000 千円 ※ のれん:243,000 千円−(175,000 千円+130,000 千円+50,000 千円)×60%=30,000 千円 2.当期純利益の按分及び配当金の相殺 (借) 少 数 株 主 損 益 14,000 (貸) 少 数 株 主 持 分 14,000 (借) 受取利息配当金 12,000 (貸) 配 当 金 20,000 (〃) 少 数 株 主 持 分 8,000 の れ ん 1,500 ※ 少数株主損益:35,000 千円×40%=14,000 千円 ※ 受取利息配当金:20,000 千円×60%=12,000 千円 3.のれんの償却 (借) の れ ん 償 却 額 1,500 (貸) ※ 30,000 千円÷20 年=1,500 千円 4.商品売買関係 (借) 売 上 67,000 (貸) 売 (借) 売 価 1,600 (貸) 商 (借) 買 金 7,000 (貸) 売 (借) 貸 倒 引 当 金 140 上 原 掛 上 原 価 67,000 品 1,600 金 7,000 (貸) 貸倒引当金繰入額 140 掛 ※ 貸倒引当金:7,000 千円×2%=140 千円 5.資金取引 (借) 借 入 金 40,000 (貸) 貸 (借) 受取利息配当金 1,200 (貸) 支 払 (借) 未 400 (貸) 未 収 払 費 用 付 金 40,000 利 息 1,200 収 益 400 ※ 受取利息配当金:40,000 千円×4%×9/12=1,200 千円 ※ 未払費用:40,000 千円×4%×3/12=400 千円 6.連結貸借対照表 連 結 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 前期末 当期末 勘 定 科 目 現 金 預 金 245,600 290,800 買 売 掛 (単位:千円) 掛 金 前期末 96,240 当期末 93,000 金 168,000 183,000 未 払 費 用 6,900 8,100 貸 倒 引 当 金 △3,360 △3,660 借 入 金 255,000 300,000 商 品 121,000 110,400 資 本 金 500,000 500,000 未 収 収 益 14,900 13,100 利 益 剰 余 金 179,000 206,040 地 573,000 573,000 少数株主持分 142,000 148,000 1,179,140 1,255,140 土 の れ ん 30,000 28,500 貸 付 金 30,000 60,000 1,179,140 1,255,140 − 90 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 ※ 売掛金:120,000 千円(P社)+70,000 千円(S社)−7,000 千円=183,000 千円 ※ 貸倒引当金:△2,400 千円(P社)+△1,400 千円(S社)−△140 千円=△3,660 千円 ※ 商品:80,000 千円(P社)+32,000 千円(S社)−1,600 千円=110,400 千円 ※ 未収収益:9,500 千円(P社)+4,000 千円(S社)−400 千円=13,100 千円 ※ 土地:323,000 千円(P社)+200,000 千円(S社)+50,000 千円=573,000 千円 ※ 貸付金:100,000 千円(P社)−40,000 千円=60,000 千円 ※ 買掛金:70,000 千円(P社)+30,000 千円(S社)−7,000 千円=93,000 千円 ※ 未払費用:6,000 千円(P社)+2,500 千円(S社)−400 千円=8,100 千円 ※ 借入金:200,000 千円(P社)+140,000 千円(S社)−40,000 千円=300,000 千円 ※ 少数株主持分:{175,000 千円(S社資本金)+145,000 千円(S社利益剰余金) +50,000 千円(評価差額)}×40%=148,000 千円 7.連結損益計算書 連 結 損 益 計 算 書 平成×6 年4月1日∼平成×7 年3月 31 日 売 上 価 764,600 貸倒引当金繰入額 3,660 営 原 費 273,200 の れ ん 償 却 額 1,500 支 業 払 利 息 40,800 少 数 株 主 利 益 14,000 当 期 純 利 益 97,040 売 (単位:千円) 上 1,135,000 受取利息配当金 59,800 1,194,800 1,194,800 ※ 売上原価:580,000 千円(P社)+250,000 千円(S社)−67,000 千円+1,600 千円=764,600 千円 ※ 貸倒引当金繰入額:2,400 千円(P社)+1,400 千円(S社)−140 千円=3,660 千円 ※ 支払利息:30,000 千円(P社)+12,000 千円(S社)−1,200 千円=40,800 千円 ※ 売上:842,000 千円(P社)+360,000 千円(S社)−67,000 千円=1,135,000 千円 ※ 受取利息配当金:67,000 千円(P社)+6,000 千円(S社)−12,000 千円−1,200 千円=59,800 千円 8.解答の金額 税金等調整前当期純利益:97,040 千円(当期純利益)+14,000 千円(少数株主利益)=111,040 千円 のれん償却額:1,500 千円(P/L計上額) 貸倒引当金の増加額:3,660 千円(当期末B/S)−3,360 千円(前期末B/S)=300 千円 受取利息配当金:△59,800 千円(P/L計上額) 支払利息:40,800 千円(P/L計上額) 売上債権の増加額:168,000 千円(前期末B/S)−183,000 千円(当期末B/S)=△15,000 千円 棚卸資産の減少額:121,000 千円(前期末B/S)−110,400 千円(当期末B/S)=10,600 千円 仕入債務の減少額:93,000 千円(当期末B/S)−96,240 千円(前期末B/S)=△3,240 千円 未払費用の増加額:5,800 千円(当期末B/S)−4,800 千円(前期末B/S)=1,000 千円 利息及び配当金の受取額:59,800 千円(P/L計上額)+14,900 千円(前期末B/S未収収益) −13,100 千円(当期末B/S未収収益)=61,600 千円 利息の支払額:40,800 千円(P/L計上額)+2,100 千円(前期末B/S未払費用) −2,300 千円(当期末B/S未払費用)=△40,600 千円 − 91 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 例題8 間接法・簡便法(投資活動及び財務活動) 重要度 B 難易度 B P社はS社の議決権付株式の 60%を保有しており,連結子会社としている。そこで,以下の資料に基づい て,当期(自平成×6 年4月1日 至平成×7 年3月 31 日)の連結キャッシュ・フロー計算書(間接法・簡便 法)を完成させなさい。 1.前期末及び当期末の連結貸借対照表 連 結 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 前期末 当期末 (単位:千円) 勘 定 科 目 前期末 当期末 現 金 預 金 176,500 ( ) 短 期 借 入 金 221,000 ( ) 商 品 644,700 ( ) 未 払 費 用 11,400 ( ) 未 収 収 益 8,620 ( ) 未払法人税等 294,000 ( ) 短 期 貸 付 金 67,200 ( ) 長 期 借 入 金 420,000 ( ) 地 1,162,000 ( ) 社 債 − ( ) 長 期 貸 付 金 235,000 ( ) 資 金 397,000 ( ) 投資有価証券 496,500 ( ) 資 本 剰 余 金 803,120 ( ) 利 益 剰 余 金 496,000 ( ) 少数株主持分 148,000 ( ) 2,790,520 ( ) 土 2,790,520 ( 本 ) 2.各社の当期末の貸借対照表 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 P社 S社 (単位:千円) 勘 定 科 目 現 金 預 金 875,720 88,900 短 期 借 入 金 商 P社 S社 208,000 138,000 品 421,000 193,000 未 払 費 用 10,500 4,900 未 収 収 益 7,400 4,600 未払法人税等 222,000 95,000 短 期 貸 付 金 122,000 20,000 長 期 借 入 金 400,000 300,000 土 地 662,000 460,000 社 債 382,000 − 長 期 貸 付 金 431,000 − 資 金 397,000 180,000 投資有価証券 347,500 231,400 資 本 剰 余 金 803,120 − 子 会 社 株 式 180,000 − 利 益 剰 余 金 624,000 280,000 3,046,620 997,900 3,046,620 本 997,900 3.各社の当期の損益計算書 損 益 計 算 書 勘 定 科 目 売 上 原 価 P社 S社 (単位:千円) 勘 定 科 目 2,760,000 1,180,000 費 424,800 支 払 利 息 S社 上 3,672,000 1,553,000 144,000 受取利息配当金 59,800 19,000 53,000 23,000 有価証券利息 15,000 3,000 社 債 利 息 15,000 − 土 地 売 却 益 28,000 7,000 法 人 税 等 222,000 95,000 当 期 純 利 益 300,000 140,000 3,774,800 1,582,000 3,774,800 1,582,000 営 業 − 売 P社 92 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 4.財務諸表計上額について (1) 前期末の連結貸借対照表に計上されている,経過勘定の内訳は以下のとおりである。 未収収益:全て受取利息配当金及び有価証券利息 未払費用:営業費 5,130 千円,支払利息 6,270 千円 (2) 当期末の各社の貸借対照表に計上されている,経過勘定の内訳は以下のとおりである。 未収収益(P社及びS社):受取利息配当金及び有価証券利息 未払費用(P社):営業費 2,900 千円,支払利息 4,600 千円,社債利息:3,000 千円 未払費用(S社):営業費 1,850 千円,支払利息 3,050 千円 (3) 当期のP社損益計算書に計上されている有価証券利息のうち,償却原価法による金額は 6,000 千円で ある。 (4) 前期末及び当期末の連結貸借対照表に計上されている短期貸付金及び短期借入金は,すべて貸付期間 及び借入期間が1年以内のものである。 5.P社のS社株式の取得状況及びS社の資本勘定の推移 取得年月日 持分割合 取得原価 資本金 利益剰余金 平成×5 年3月 31 日 60% 180,000 千円 180,000 千円 120,000 千円 平成×6 年3月 31 日 − − 180,000 千円 190,000 千円 (注 1) 評価差額は便宜上無視すること。 (注 2) S社は当期に利益剰余金の配当を 50,000 千円行っている。 6.P社は当期に利益剰余金の配当を 130,000 千円行っている。 7.P社S社間の取引 (1) P社はS社に対して当期に 100,000 千円の土地を 120,000 千円で売却している。 (2) P社はS社に対して貸付を行っている。貸付状況は以下のとおりである。 管理# 貸付日 #1 平成×4 年7月1日 #2 貸付金額 貸付期間 年利率 利払日 80,000 千円 4年間 6% 6月末,12 月末 平成×6 年1月1日 51,000 千円 1年間 4% 6月末,12 月末 #3 平成×6 年8月1日 78,000 千円 1年間 5% 1月末,7月末 #4 平成×6 年4月1日 90,000 千円 3年間 7% 3月末,9月末 (3) S社は平成×6 年7月1日にP社が発行した社債(額面総額 400,000 千円,償還期間3年,年利率3%, 利払日6月末,12 月末)の 20%を発行時に引き受けている(保有目的は満期保有目的)。なお,P社は1 口 100 円につき 94 円で発行しており,額面価額と発行価額については両社とも定額法による償却原価 法を適用している。 − 93 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 解答 解説 (単位:千円) P社 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 税金等調整前当期純利益 707,000 支払利息 72,770 土地売却益 △15,000 受取利息配当金 △48,570 棚卸資産の減少額 30,700 未払費用の減少額 △380 小 計 746,520 利息及び配当金の受取額 41,640 利息の支払額 △66,040 法人税等の支払額 △294,000 Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー 428,120 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 土地の売却による収入 75,000 貸付けによる支出 △90,000 貸付金の回収による収入 67,200 Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー 52,200 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 短期借入れによる収入 268,000 短期借入金の返済による支出 △221,000 長期借入れによる収入 110,000 社債の発行による収入 300,800 配当金の支払額 △130,000 少数株主への配当金の支払額 △20,000 Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー 307,800 Ⅳ 現金及び現金同等物の増加額 788,120 Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高 176,500 Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高 964,620 1.投資と資本の相殺消去 (借) 資 本 金 180,000 (貸) 子 会 社 株 式 180,000 (〃) 利益剰余金期首残高 120,000 (〃) 少 数 株 主 持 分 120,000 ※ 少数株主持分:(180,000 千円+120,000 千円)×40%=120,000 千円 2.前期利益の按分 (借) 利益剰余金期首残高 28,000 (貸) ※ 少数株主持分:70,000 千円×40%=28,000 千円 − 94 − 少 数 株 主 持 分 28,000 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 3.当期純利益の按分及び配当金の相殺 (借) 少 数 株 主 損 益 56,000 (貸) 少 数 株 主 持 分 56,000 (借) 受取利息配当金 30,000 (貸) 配 金 50,000 (〃) 少 数 株 主 持 分 20,000 地 20,000 当 ※ 少数株主損益:140,000 千円×40%=56,000 千円 ※ 受取利息配当金:50,000 千円×60%=30,000 千円 4.土地の売却の修正 (借) 土 地 売 却 益 20,000 (貸) 土 ※ 土地:120,000 千円−100,000 千円=20,000 千円 5.貸付金・借入金の相殺 (借) 長 期 借 入 金 170,000 (貸) 長 期 貸 付 金 170,000 (借) 短 期 借 入 金 78,000 (貸) 短 期 貸 付 金 78,000 (借) 受取利息配当金 15,230 (貸) 支 払 利 息 15,230 (借) 未 1,850 (貸) 未 収 収 益 1,850 払 費 用 ※ 長期借入金:80,000 千円(#1)+90,000 千円(#4)=170,000 千円 ※ 受取利息配当金:80,000 千円(#1)×6%+51,000 千円(#2)×4%×9/12 +78,000 千円(#3)×5%×8/12+90,000 千円(#4)×7%=15,230 千円 ※ 未払費用:80,000 千円(#1)×6%×3/12+78,000 千円(#3)×5%×2/12=1,850 千円 6.社債・投資有価証券の相殺 (借) 社 債 76,400 (貸) 投 資 有 価 証 券 (借) 有 価 証 券 利 息 3,000 (貸) 社 債 利 息 3,000 (借) 未 600 (貸) 未 収 収 益 600 払 費 用 76,400 ※ 社債:400,000 千円×95.5%×20%=76,400 千円 ※ 有価証券利息:400,000 千円×3%(クーポン利息)×9/12×20% +400,000 千円×1.5%(償却原価法)×20%=3,000 千円 ※ 未払費用:400,000 千円×3%×3/12×20%=600 千円 7.連結貸借対照表 連 結 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 前期末 当期末 (単位:千円) 勘 定 科 目 前期末 当期末 現 金 預 金 176,500 964,620 短 期 借 入 金 221,000 268,000 商 品 644,700 614,000 未 払 費 用 11,400 12,950 未 収 収 益 8,620 9,550 未払法人税等 294,000 317,000 短 期 貸 付 金 67,200 64,000 長 期 借 入 金 420,000 530,000 地 1,162,000 1,102,000 社 債 − 305,600 長 期 貸 付 金 235,000 261,000 資 金 397,000 397,000 投資有価証券 496,500 502,500 資 本 剰 余 金 803,120 803,120 利 益 剰 余 金 496,000 700,000 少数株主持分 148,000 184,000 2,790,520 3,517,670 土 2,790,520 3,517,670 本 ※ 未収収益:7,400 千円(P社)+4,600 千円(S社)−1,850 千円−600 千円=9,550 千円 ※ 短期貸付金:122,000 千円(P社)+20,000 千円(S社)−78,000 千円=64,000 千円 − 95 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 ※ 土地:662,000 千円(P社)+460,000 千円(S社)−20,000 千円=1,102,000 千円 ※ 長期貸付金:431,000 千円(P社)−170,000 千円=261,000 千円 ※ 投資有価証券:347,500 千円(P社)+231,400 千円(S社)−76,400 千円=502,500 千円 ※ 短期借入金:208,000 千円(P社)+138,000 千円(S社)−78,000 千円=268,000 千円 ※ 未払費用:10,500 千円(P社)+4,900 千円(S社)−1,850 千円−600 千円=12,950 千円 ※ 長期借入金:400,000 千円(P社)+300,000 千円(S社)−170,000 千円=530,000 千円 ※ 社債:382,000 千円(P社)−76,400 千円=305,600 千円 ※ 少数株主持分:{180,000 千円(S社資本金)+280,000 千円(S社利益剰余金)}×40%=184,000 千円 8.連結損益計算書 連 結 損 益 計 算 書 平成×6 年4月1日∼平成×7 年3月 31 日 売 上 営 原 業 売 (単位:千円) 価 3,940,000 上 5,225,000 費 568,800 受取利息配当金 33,570 支 払 利 息 60,770 有 価 証 券 利 息 15,000 社 債 利 息 12,000 土 地 売 却 益 15,000 法 人 税 等 317,000 少 数 株 主 利 益 56,000 当 期 純 利 益 334,000 5,288,570 5,288,570 ※ 支払利息:53,000 千円(P社)+23,000 千円(S社)−15,230 千円=60,770 千円 ※ 社債利息:15,000 千円(P社)−3,000 千円=12,000 千円 ※ 受取利息配当金:59,800 千円(P社)+19,000 千円(S社)−30,000 千円−15,230 千円=33,570 千円 ※ 有価証券利息:15,000 千円(P社)+3,000 千円(S社)−3,000 千円=15,000 千円 ※ 土地売却益:28,000 千円(P社)+7,000 千円(S社)−20,000 千円=15,000 千円 9.解答の金額 税金等調整前当期純利益:334,000 千円(当期純利益)+56,000 千円(少数株主利益) +317,000 千円(法人税等)=707,000 千円 利息及び配当金の受取額:33,570 千円(受取利息配当金)+15,000 千円(有価証券利息) +8,620 千円(前期末未収収益)−9,550 千円(当期末未収収益)−6,000 千円(償却原価法) =41,640 千円 利息の支払額:60,770 千円(支払利息)+12,000 千円(社債利息) +6,270 千円(前期末未払支払利息)−8,200 千円(当期末未払支払利息) −4,800 千円(償却原価法)=△66,040 千円 ※ 当期末未払支払利息及び未払社債利息 10,650 千円(個別合算)−1,850 千円−600 千円=8,200 千円(連結B/S) ※ 償却原価法:400,000 千円×1.5%×80%=4,800 千円(連結P/L計上額) ※ 内部取引に伴う部分は,連結修正仕訳で,既に相殺消去されている点に留意すること。 貸付けによる支出:235,000 千円(前期末長期貸付金)−{64,000 千円(当期末短期貸付金) +261,000 千円(当期末長期貸付金)}=△90,000 千円 貸付金の回収による収入:67,200 千円(前期末短期貸付金) − 96 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 土地の売却による収入:1,162,000 千円(前期末土地)−1,102,000 千円(当期末土地) +15,000 千円(土地売却益)=75,000 千円 短期借入れによる収入:268,000 千円(当期末短期借入金) 短期借入金の返済による支出:△221,000 千円(前期末短期借入金) 長期借入れによる収入:530,000 千円(当期末長期借入金)−420,000 千円(前期末長期借入金) =110,000 千円 社債の発行による収入:305,600 千円(当期末社債)−4,800 千円(償却原価法)=300,800 千円 少数株主への配当金の支払額:50,000 千円(S社配当金)×40%=△20,000 千円 例題9 新規連結(間接法) 重要度 C 難易度 B 当社は,当期末においてA社の発行済株式総数の 60%を 70,000 円で取得し,子会社とした。以下の資料 に基づいて,連結キャッシュ・フロ−計算書(間接法)の各項目の金額を答えなさい。 1.A社の当期末の個別貸借対照表 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日 現 金 預 売 掛 (単位:円) 金 50,000 買 掛 金 20,000 金 70,000 資 本 金 100,000 120,000 120,000 2.連結貸借対照表 連 結 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 前 期 末 当 期 末 (単位:円) 勘 定 科 目 前 期 末 当 期 末 現 金 預 金 190,000 250,000 買 掛 金 90,000 180,000 売 150,000 180,000 資 本 金 250,000 250,000 340,000 430,000 340,000 430,000 解答 掛 解説 金 (単位:円) 売上債権の減少額 40,000 円 連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 △20,000 円 仕入債務の増加額 70,000 円 現金及び現金同等物の期末残高 250,000 円 ① 売上債権の減少額 期首売掛金 150,000 円−(期末売掛金 180,000 円−新規連結増加額 70,000 円)=40,000 円 ② 仕入債務の増加額 (期末買掛金 180,000 円−新規連結増加額 20,000 円)−期首買掛金 90,000 円=70,000 円 ③ 連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 △70,000 円+50,000 円=△20,000 円 ④ 現金及び現金同等物の期末残高 連結貸借対照表の金額 250,000 円 − 97 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 例題 10 連結除外(間接法) 重要度 C 難易度 B 当社は,当期末においてA社の発行済株式総数の 60%を 70,000 円で売却し,連結除外とした。以下の資 料に基づいて,連結キャッシュ・フロ−計算書(間接法)の各項目の金額を答えなさい。 1.A社の当期末の個別貸借対照表 貸 借 対 照 表 平成×5 年3月 31 日 現 金 預 売 掛 (単位:円) 金 50,000 買 掛 金 20,000 金 70,000 資 本 金 100,000 120,000 120,000 2.連結貸借対照表 連 結 貸 借 対 照 表 勘 定 科 目 前 期 末 当 期 末 (単位:円) 勘 定 科 目 前 期 末 当 期 末 現 金 預 金 190,000 150,000 買 掛 金 90,000 80,000 売 150,000 180,000 資 本 金 250,000 250,000 340,000 330,000 340,000 330,000 解答 掛 解説 金 (単位:円) 売上債権の増加額 △100,000 円 仕入債務の増加額 10,000 円 連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入 20,000 円 現金及び現金同等物の期末残高 150,000 円 ① 売上債権の増加額 期首売掛金 150,000 円−(期末売掛金 180,000 円+連結除外による減少額 70,000 円)=△100,000 円 ② 仕入債務の増加額 (期末買掛金 80,000 円+連結除外による減少額 20,000 円)−期首買掛金 90,000 円=10,000 円 ③ 連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 70,000 円−50,000 円=20,000 円 ④ 現金及び現金同等物の期末残高 連結貸借対照表の金額 150,000 円 − 98 − 例題 11 持分法適用会社からの受取配当金 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 重要度 B 難易度 B 当社は,A社の発行済株式総数の 30%を取得し,関連会社としている。以下の資料に基づいて,間接法に よる連結キャッシュ・フロー計算書における以下の各問に答えなさい。 1.当社の個別損益計算書上の受取利息配当金は 25,000 円であり,期首期末ともに経過勘定はない。 2.A社は当期の剰余金の配当において,配当金 6,000 円を行っている。 3.A社の当期純利益は 20,000 円である。 問1 原則法を採用した場合の,連結損益計算書の受取利息配当金,持分法による投資利益の金額,連結キ ャッシュ・フロー計算書の小計の上の受取利息配当金,持分法による投資利益の金額,小計の下の利息 及び配当金の受取額の金額を求めなさい。 問2 例外法を採用した場合の,連結損益計算書の受取利息配当金・持分法による投資利益の金額,連結キ ャッシュ・フロー計算書の小計の上の受取利息配当金・持分法による投資利益の金額,小計の下の利息 及び配当金の受取額の金額を求めなさい。 解答 問1 解説 (単位:円) 原則法 P/Lの受取利息配当金 P/Lの持分法による投資利益 問2 (C) 23,200 円 C/Fの受取利息配当金(間接法) 6,000 円 C/Fの持分法による投資利益 △23,200 円 △6,000 円 C/Fの利息及び配当金の受取額 25,000 円 C/Fの受取利息配当金(間接法) △23,200 円 例外法 P/Lの受取利息配当金 P/Lの持分法による投資利益 23,200 円 6,000 円 C/Fの持分法による投資利益 C/Fの利息及び配当金の受取額 △4,200 円 23,200 円 <持分法適用における連結消去仕訳> (借) 投 資 有 価 証 券 6,000 (貸) 持分法による投資損益 6,000 (借) 受取利息配当金 1,800 (貸) 投 資 有 価 証 券 1,800 − 99 − 第 13 章 連結キャッシュ・フロー計算書 【MEMO】 − 100 −
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