事業報告書(PDF) - 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団

平 成 27 年 度 事 業 報 告 書
平成 27 年 4 月1日から平成 28 年 3 月 31 日まで
平成 27 年度においては、レギュラトリーサイエンス(RS) エキスパート認定制度や国際的な視
点から取り組むべき標準品事業等の日本薬局方関連事業や「医薬品医療機器レギュラトリーサイ
エンス」を推進するための各種研修会開催、同名の月刊機関誌刊行、調査研究事業、出版等事業
及び医薬品規制関連用語収集提供事業等、概ね事業計画に沿った事業活動を行うことができた。
特に、レギュラトリーサイエンス エキスパート認定制度においては、認定者ネットワークの会を
開催するなど積極的に事業展開を行った。
平成 27 年度の財団の活動状況とともに、その事業内容を以下に報告する。
Ⅰ 研修事業
・国内外の重要な最近の話題等、医薬品医療機器の開発・PMS/PV1)・薬事・品質管理・営業販
売に関わる広義の薬事担当者(レギュラトリーサイエンス エキスパート)の育成・レベルア
ップに役立つテーマ
・医薬品の国際調和の進展状況
・日本薬局方に関する最近の話題 等
について随時研修会を開催し、会員その他の医薬品医療機器関係者に対し、医薬品医療機器に
関する正確で新しい情報の普及やオープンな議論の場の提供を目的として、以下の事業を実施
した。
また、レギュラトリーサイエンス エキスパート認定制度では新たに開発、PV、品質分野にも
MA2)分野と同様に認定試験を導入し(薬害教育分野を除く)、認定制度の更なるレベルアップを
図った。
1.研修会(場所の記載のない場合は、長井記念ホールで行った)
(1)レギュラトリーサイエンス エキスパート研修会
【認定コース】
(5 講座)
レギュラトリーサイエンス エキスパート認定制度の「MA」、
「開発」
、
「PV」、
「品質」及
び「薬害教育」の各分野について、エキスパートに必須な知識の体系的な修得を目的と
した研修講座を開催し、
「薬害教育」分野以外は研修会最終日に認定試験を実施し、合格
した方を各分野のレギュラトリーサイエンス エキスパートに認定した。「薬害教育」分
野はレポート提出を求め、審査に合格した方をレギュラトリーサイエンス エキスパート
に認定した。
【専門コース】
(半日~1 日)
(17 回)
「MA」
、
「開発」
、
「PV」
、
「品質」及び「医療機器」の分野について、その時々において
話題性があり、重要である専門的テーマ(例:Medical Reviewと情報提供のあり方-
Medical Affairsの視点から-、次世代革新的創薬シーズを活かす最先端医療へ向けて、
1
医薬品リスク管理計画の質的充実を目指して、ワクチンの科学的安全対策をめざして
-副反応報告制度及び安全対策関連インフラ整備の観点から-、National Databaseの利
用事例について、第十七改正日本薬局方の一般試験法残留溶媒 -残留溶媒試験方法と
その適用-、医療機器に関する最近の海外規制動向-欧米、中国、ASEAN及びブラジルに
ついて- 等)を取り上げ、産業界、(独)医薬品医療機器総合機構、大学などの専門家
を講師に招き、講演を聴くとともに、最後に十分な総合討論の時間を持ち、関係者間で
問題の本質を探ることを重視した提案型の研修を計17回開催した。
【専門コース】
(短期集中型)
(4 回)
特定の業務分野に必要な知識や最新知識を提供する研修会を計 4 回開催した。
以下に分野別に、研修会名及び参加人数を述べる。
<MA>
【認定コ-ス】
1)2015 年度 メディカルアフェアーズ(MA)エキスパート研修講座 基本編①:平成 27
年 6 月 2,3 日、基本編②:6 月 29,30 日、基本編③:7 月 9,10 日、応用編:平成 27 年
7 月 27,28 日 全日程 108 名、基本編 6 名、応用編 24 名
【専門コース】(半日~1 日)
1)第 179 回:Medical Review と情報提供のあり方-Medical Affairs の視点から-
平成 27 年 10 月 20 日 153 名
<開発>
【認定コ-ス】
1)2015 年度 開発エキスパート研修講座 基本編①:平成 27 年 5 月 11~13 日、基本
編②:5 月 25~27 日、応用編:9 月 14~15 日 全日程 69 名、基本編 40 名、応用編
42 名
【専門コ-ス】
(半日~1 日)
1)第 173 回:開発後期および市販後の臨床試験・研究における安全性データの収集と
管理 平成 27 年 6 月 5 日 127 名
2)第 174 回:医療経済評価(HTA)の制度化へ向けた現状と課題 平成 27 年 8 月 4 日
229 名
3)第 182 回:次世代革新的創薬シーズを活かす最先端医療へ向けて-バイオブロック
バスター終焉と創薬パラダイムシフト-シリーズ 1:分子標的薬とバイオマーカー
(CDx)の研究開発動向と展望 平成 27 年 12 月 14 日 77 名
4)第 184 回:次世代革新的創薬シーズを活かす最先端医療へ向けて-バイオブロック
バスター終焉と創薬パラダイムシフト-シリーズ 2:次世代抗体医療品の現状と展望
(抗 PD‐1 抗体・抗 CCR4 抗体) 平成 28 年 1 月 20 日 90 名
5)第 185 回:次世代革新的創薬シーズを活かす最先端医療へ向けて-バイオブロック
2
バスター終焉と創薬パラダイムシフト-シリーズ 3:核酸医薬品開発の現状と展望 平
成 28 年 2 月 17 日 99 名
6)第 187 回:次世代革新的創薬シーズを活かす最先端医療へ向けて-バイオブロック
バスター終焉と創薬パラダイムシフト-シリーズ 4:分子イメージングによる創薬・
医療の新世界へ向けて:現状と展望 平成 28 年 3 月 15 日 42 名
<PV>
【認定コ-ス】
1)2015 年度 安全管理・調査(PV)エキスパート研修講座-医療品医療機器法並びに関
連通知への対応とグローバルに通用する RMP3)の作成- 基本編①:平成 27 年 5 月 19
~21 日、基本編②:7 月 1,2 日、応用編:平成 27 年 9 月 9,10 日,10 月 8 日 全日程
47 名、基本編 66 名、応用編 14 名
【専門コ-ス】
(半日~1 日)
1)第 171 回:通常の医薬品安全性監視活動(RMP/PBRER を含む)におけるシグナルマネ
ジメントの考え方-シグナル評価やインパクト分析が見かけ倒しのシグナルマネジメ
ントとならないために-平成 27 年 4 月 21 日 126 名
2)第 172 回:RMP 時代の患者リスク最小化策としての添付文書を考える-薬剤師の情
報提供・指導義務の視点から- 平成 27 年 4 月 28 日 144 名
3)第 176 回:ワクチンの科学的安全対策をめざして-副反応報告制度及び安全対策関
連インフラ整備の観点から- 平成 27 年 9 月 3 日 88 名
4)第 177 回:先駆け審査時代における安全対策のあり方を考える 平成 27 年 10 月 5
日 53 名
5)第 181 回:National Database の利用事例について 平成 27 年 12 月 4 日 116 名
6)第 183 回:グローバル PV 監査の実施とその対応-突然、グローバル PV 監査が要求
されたら、あなたならどのように対応する?- 平成 27 年 12 月 16 日 179 名
7)第 186 回:医薬品リスク管理計画の質的充実を目指して 平成 28 年 2 月 19 日 139
名
<品質>
【認定コ-ス】
1)2015 年度 製造・品質管理/品質保証・薬事(品質)エキスパート研修講座-製品
ライフサイクルをみわたして- 基本編①:平成 27 年 9 月 30~10 月 2 日、基本編②:
10 月 29,30 日、応用編:平成 27 年 11 月 9,10 日 全日程 70 名 基本編 33 名 応用
編 17 名
【専門コ-ス】
(半日~1 日)
1)第 175 回:第十七改正日本薬局方の一般試験法残留溶媒-残留溶媒試験方法とその
適用-平成 27 年 8 月 27 日 237 名
2)第 180 回:日本薬局方の今後とクオリティバイデザインなどの国際基準の取り込み
の方向について-医薬品品質保証の「三位一体原則」のさらなる推進-平成 27 年 11
月 13 日 全電通ホ-ル 128 名
3
【専門コ-ス】(短期集中型)
1)第一回 無菌医薬品 GMP 研修講座
平成 27 年 4 月 14,15 日 167 名
2)2015 年度 医薬品(原薬)GMP 研修講座 平成 27 年 6 月 22~24 日 129 名
3)医薬品の製造/品質分野で働く人のためのエッセンシャル研修会-Big な講師が熱
く語る特別レクチャー- 平成 27 年 11 月 25,26 日 78 名
<薬害教育>
【認定コ-ス】
1)2015 年度 薬害教育エキスパート研修講座-企業リスク最小化の視点から- 平成
27 年 10 月 13,14 日 88 名
<医療機器>
【専門コ-ス】
(半日~1 日)
1)第 178 回(医療機器第 17 回):医療機器に関する最近の海外規制動向-欧米、中国、
ASEAN 及びブラジルについて-平成 27 年 10 月 19 日 84 名
【専門コ-ス】(短期集中型)
1)2015 年度 医療機器規制に関する基礎研修講座 平成 28 年 2 月 8~10 日 102 名
(2)専門コース(日本薬局方に関する研修会)
(4 回)
日本薬局方に関する最新の情報提供を目的とした研修会を東京と大阪で開催した。
1)第 14 回 日本薬局方に関する説明会 平成 27 年 4 月 13 日 朝日生命ホ-ル 274
名、4 月 17 日 291 名
2)
第 15 回 日本薬局方に関する研修会 平成 28 年 1 月 22 日 全電通ホール 253 名、
1 月 28 日 朝日生命ホ-ル 203 名
(3)専門コース(ICH4)関連報告会)(4 回)
ICH での検討内容や論点について、ICH 会議終了後即時に行う報告会及び重要なトピック
を取り上げる説明会を日本製薬工業協会と共催して開催した。
1)ICH M7、
Q3D ステップ 4 ガイドライン説明会 平成 27 年 4 月 7 日 全電通ホール 337
名
2)ICH 日本シンポジウム 2015(第 32 回 ICH 即時報告会) 平成 27 年 7 月 23 日 全電
通ホール 294 名
3)第 33 回 ICH 即時報告会 平成 28 年 1 月 15 日 全電通ホール 184 名
4)ICH Q3D ガイドラインおよびトレーニングマテリアル説明会 平成 28 年 3 月 11 日
全電通ホール 246 名
4
2.認定制度
「MA」
、
「開発」
、
「PV」
、
「品質」、
「薬害教育」の 5 分野のうち、
「薬害教育」以外の 4 分野で
認定試験を実施した。本試験の受験者数、合格者数及び合格率は下記のとおりであった。
分野
受験者数
合格者数
合格率
メディカルアフェアーズ(MA)
104 名
93 名
89.4%
開発
40 名
35 名
87.5%
ファーマコビジランス(PV)
26 名
23 名
88.5%
品質
56 名
49 名
87.5%
27 年度末における登録者及び認定者の人数は以下のとおりである。
登録者数 875 名(MA 298 名、開発 179 名、PV 152 名、品質 171 名、薬害教育 75 名)
認定者数 627 名(MA 261 名、開発 108 名、PV 80 名、品質 106 名、薬害教育 72 名)
認定者の特典として「エキスパート認定者ネットワークの会」を開催した。テーマ名及び
参加人数を述べる。
1)エキスパート認定者ネットワークの会
「認定者ネットワークの会(MA 分野)」の
在り方と今後について 平成 27 年 11 月 11 日
19 名
2)第一回 エキスパート認定者ネットワークの会 「製薬企業におけるグローバルチ
ームと各業務担当者との協業の実際と課題」平成 28 年 2 月 15 日 18 名
3.提言等
医薬品医療機器等の薬事規制等に関する重要事項に関する提言をホームページ及び財団機
関誌に掲載するとともに、規制当局・業界団体・業界紙等に提出・送付し、また、約 10,000
人のメ-ルアドレス登録者に送信し、研修会場においても配布した。
1)第 5 回提言:我が国のワクチン副反応報告制度および安全対策関連のインフラ整備
に関する提言(平成 27 年 9 月 24 日)
(英訳(抄) 平成 28 年 1 月 18 日)
4.海外調査
平成 27 年 4 月に World Vaccine Congress(米国:ワシントン)
、6 月に DIA5)年次総会(米
国:ワシントン)
、9 月に World Drug Safety Congress(ドイツ:ベルリン)、10 月に RAPS6)
年次大会(米国:ボルティモア)に出席し、欧米を初めとする世界の安全対策、開発及び薬
事行政等について最新の情報を収集した。
1) PMS:Post-marketing Surveillance (製造販売後安全管理・調査)
PV:Pharmacovigilance (医薬品安全性監視)
2) MA: Medical Affairs(メディカルアフェアーズ)
3) RMP: Risk Management Plan(医薬品リスク管理計画)
4) ICH:International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals
5
for Human Use (医薬品規制調和国際会議)
5) DIA:Drug Information Association (医薬品情報協会)
6) RAPS:Regulatory Affairs Professionals Society (薬事規制情報専門家協会)
Ⅱ 刊行物発刊事業
医薬品及び医療機器に関する調査研究、規格・基準、品質、開発、PV、MA、医療機器等に関
する情報を含め、レギュラトリーサイエンスの推進に寄与することを目的とし、会員、レギュ
ラトリーサイエンスエキスパート認定制度登録者及びその他医薬関係者を支援するため、
「医薬
品医療機器レギュラトリーサイエンス」誌の発刊事業を実施した。
1.月刊機関誌「医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス」
(英名:Pharmaceutical and
Medical Device Regulatory Science(PMDRS))の発刊(12 回)
財団機関誌として、会員等に向けて座談会、総説、医薬品・医療機器等に関する連載、コ
ラム等を掲載することで、医薬品・医療機器等の研究開発、製造管理・品質管理、市販後安
全対策などに関する最新情報の提供を行った。加えて、レギュラトリーサイエンスエキスパ
ート研修会の重要テーマについては、総説として講演者に講演内容の執筆を依頼し、その原
稿を掲載した。
論文審査においては、各方面よりレギュラトリーサイエンスに関する論文の投稿を受け、
雑誌掲載を行った。
また、研修会開催、RS 認定制度などの財団活動の広報を行った。
・PMDRS 誌掲載原稿の内容
座談会テーマ:ICH を中心とした医薬品開発等に関する国際調和の課題と展望、最終
滅菌医薬品のパラメトリックリリース;日局 17 への導入にあたって、
わが国における「遺伝子検査ビジネス」の今後の展望と課題
総 説 テ ー マ:CAPA とは何か-CAPA の意味・作成・遂行の要点-、ドラッグマスタ
ーファイルをめぐる問題点、ビッグデータ時代の安全性監視を考える、
プリオン病治療薬開発における基礎から前臨床、新薬の薬価算定にお
ける平均的利益率の補正と定量的評価、モニタリングと監視の実施の
ためのガイドラインの提案、抗腫瘍新生血管療法に向けた VEGF 吸着ナ
ノ粒子の開発、ワクチンの科学的安全対策を目指して、他 11 件
Ⅲ 出版等事業
日本の薬事規制情報等の国内外への情報発信、並びに日本薬局方等の医薬品の規格・基準の
普及、日本薬局方の改正に関わる情報の提供等を目的として、以下の事業を実施した。
1.日本の薬事規制情報等の国内外への情報の発信
6
リスク管理計画等の医薬品の安全対策に関する環境変化に対応し、既刊の「PMS の概要と
ノウハウ」を改訂し、
「安全管理・調査担当者必携 PV の概要とノウハウ」を発行した。
2.薬害教育支援ツールの制作並びに普及
製薬企業、医学部・薬学部など医療者の教育機関で行われる薬害教育を支援する教育ツー
ルとして、平成 26 年度に続き、
「日本の薬害事件」、
「スモン事件」
(改訂版)の DVD を制作し
た。これらの DVD は、文部科学省教育映像等審査制度において「特別選定」を受けた。また、
DVD 映像を製薬企業等の社員教育用 e-ラーニングに対応した映像データに変換したコンテン
ツの提供も行った。なお、英語吹替え版については、コンテンツ版のみの提供を行っている。
3.
「日本薬局方フォーラム」
(JPF)の発刊(年 4 回の季刊誌)
(独)医薬品医療機器総合機構が意見募集する日本薬局方改正案の周知及び英訳文の提供
を主要目的として、関連通知、日米欧三薬局方調和案(PDG7)案)等とともに掲載した。国内
読者向けには USP8)・EP9)の改正に関わる提言等の情報を独自に翻訳して紹介し、海外読者向
けには日本薬局方改正案を英訳して掲載した。
・各号の平均販売部数:1,165 部
・平成 27 年度に翻訳した海外情報:USP 関係7報(
「無菌医薬品の包装、確認試験の現代
化、容器機能試験法、非経口製剤の性能試験、ゼラチンカプセルの溶出試験、含量均一
性試験、バイオ医薬品保存時間試験)
4.
「第十七改正日本薬局方」普及版の発行
平成 28 年 3 月 7 日に告示された第十七改正日本薬局方の普及版の編集作業を実施した(平
成 28 年 4 月 30 日発行予定)。
5.
「英文版 第十七改正日本薬局方」のための翻訳・編纂及び普及版の発行準備
平成 28 年 3 月 7 日に告示された第十七改正日本薬局方の英文版の印刷用版下作成に関わる
技術的校正を実施し、その普及版の発行準備を実施した(平成 28 年 9 月頃発行予定)。
6.
「日本薬局方技術情報 2016」の発行
平成 28 年 3 月 7 日に告示された第十七改正日本薬局方に対応した技術情報として、技術的
な留意点等の情報を提供することを目的に、新規一般試験法、新規参考情報、新規収載品目
に重点を置き、更に全体を通した見直しを実施し、編集作業を行った(平成 28 年 4 月 30 日発
行予定)。
7.日本薬局方原案の技術的校正に関する事業
(独)医薬品医療機器総合機構との契約業務(平成 27~30 年度)の平成 27 年度の業務であ
る第十七改正日本薬局方原案作成要領に基づく日本薬局方原案の技術的校正等を実施し、質
の高い校正と総合機構の要望に対して臨機応変な対応を行った。
7
・機構意見募集用の個別原案の作成:67 件
・原案翻訳版の作成:11 件
・第十七改正日本薬局方全体の記載整備:2,109 件
7) PDG: Pharmacopoeial Discussion Group( 日米欧三薬局方検討会議)
8) USP:United States Pharmacopeia(米国薬局方)
9) EP: European Pharmacopoeia(欧州薬局方)
Ⅳ 調査研究事業
日本薬局方の試験法等の改正及びレギュラトリーサイエンスの普及・推進のため、調査研究
を行った。
1.日本薬局方の試験法等に関する調査研究
日本薬局方作成方針に掲げられている「最新の学問・技術の導入」及び「国際化」等を推
進するため、8 テーマを採用した。
・共結晶(コクリスタル)医薬品への製剤試験法適用に関する研究(国立衛研:伊豆津)
・測定試料数が多い場合に適用される製剤均一性試験の規格に関する研究(国立衛研:小
出)
・日局一般試験法 2.48「水分測定法」の改正について(大薬協:藤本)
・日本薬局方 糖鎖試験法の国際調和に関する研究(国立衛研:原園)
・細菌と真菌の同時検出を達成する群集構造解析条件とバリデーション標準品の検討(国
立衛研:窪崎)
・英訳版日本薬局方生薬各条における生薬関連用語の整理及び生薬各条英訳の抜本的見直
し(国立衛研:袴塚)
・宿主細胞由来タンパク質の試験法に関する研究(国立衛研:日向)
・エンドトキシン試験法に用いる組換ライセート試薬の評価に関する研究(国立衛研:菊
池)
2.レギュラトリーサイエンス推進調査研究
医薬品医療機器のレギュラトリーサイエンスに関する最近の重要事項の中から、医薬品開
発における患者団体との協働について、欧米における調査研究、アジアにおける調査研究に
引き続き、「日本の医薬品開発における患者団体の役割に関する研究」(山梨大:岩崎)を実
施し、
報告書として取りまとめた(報告書は医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス Vol.47,
No.5 に掲載予定)。
8
V 標準品事業
日本薬局方(日局)標準品等の公定書標準品の製造登録機関として、我が国の医薬品等の品
質の確保及び向上に寄与するため、以下の事業を実施した。
1.標準品の製造・頒布
公定書標準品に求められる品質を確保し、利用者に安定供給することを基本方針として、
下表に示す標準品を製造・頒布した。これらのうち、本年度に原料のロットを更新した標準
品は 23 品目(化学薬品標準品 18 品目、生物薬品標準品 5 品目)である。また、下表に示し
た以外に、第十七改正日本薬局方(平成 28 年 4 月 1 日施行)に収載される新規標準品 20 品
目(化学薬品標準品)についても製造を行い(合計 4,542 個)
、頒布準備を完了した。
標 準 品
製造数量
総品目数
日本薬局方標準品
品目数
頒布数量
個 数
品目数
個 数
251
136
42,856
237
41,401
タール色素省令薄層クロマト
グラフ用標準品
36
7
321
28
213
食品添加物公定書標準品
15
6
154
15
126
日本薬局方外標準品
5
2
270
3
101
合
計
(前年度比)
307
(100%)
151
(94%)
43,601
(99%)
283
(101%)
41,841
(105%)
2.標準品及び公定試験法に関する調査・検討と対応
(1)日局に標準品が新規に設定される際に、日局原案審議委員会事務局から提示される「標
準品品質標準」原案及び原薬・製剤の各条案について、標準品の品質及び安定供給の確保
等の観点から検討し、事務局に意見を提出した。
(2)類縁物質又は不純物を対象とする純度試験用の標準品やシステム適合性試験用標準品の
導入など、薬局方原案審議委員会等の検討結果から、標準品製造機関が今後取り組むべき
課題や問題点について検討した。
(3)国立感染症研究所が製造・交付している日局抗生物質標準品の分析・評価手法の標準化
に関する研究(日本医療研究開発機構 医薬品等規制緩和・評価研究事業)に参画し、抗生
物質標準品のより適正な品質評価法の開発及びより安定した供給体制の実現について検討
した。
(4)WHO 主催の生物薬品標準品に関する専門家会議に出席し、国際的な将来動向、技術的な
課題や展望について情報を収集した。
3.標準品の品質評価に必要なサイエンス基盤の強化・充実
(1)標準品の品質評価に必要なサイエンス基盤の強化・充実を目指し、個々の職員が各々の
立場、役割に応じた目標を設定して、科学レベルの向上に努めた。
(2)標準品の評価を通して得られる日局試験法の問題点や課題を取り上げ、医薬品関連の官
9
民の分析化学研究者との情報交換を図ることにより、レギュラトリーサイエンスの推進に
寄与した。
4.公定試験法及び標準品に関する技術情報の普及
(1)平成 21 年度から行っている日局一般試験法(核磁気共鳴スペクトル測定法、赤外吸収ス
ペクトル測定法及びエンドトキシン試験法)に関する実務レベルの技術研修会を引き続き
開催し、「局方試験における基礎知識」などの新規テーマにも積極的に取り組んだ。
(2)標準品の適正利用を促進するため、適切な使用方法や取扱い上の留意点などについて説
明するユーザーサポートセミナーを昨年度に引き続いて開催した(大阪で開催)
。
5.海外の薬局方関連の標準品製造機関等に関する情報収集
医薬品産業のグローバル化を踏まえ、諸外国の薬局方関連の標準品製造機関との交流を図
り、情報交換するとともに国際連携体制構築の可能性について検討した。その一環として、
欧州評議会医薬品品質局(EDQM)が行う欧州薬局方(EP)
「デスモプレシン標準品」の共同検
定に参加・協力し、EP における局方標準品の品質確保の方針、技術レベル等について情報を
収集した。
6.組織及び品質マネジメント体制の強化
(1)類縁物質又は不純物を対象とする純度試験用の標準品など、新たなカテゴリーの日局標
準品の設定による業務量の更なる増加が見込まれることから、中長期的な視点から人員強
化及び組織体制の見直しを図るとともに、重点課題として業務の合理化・効率化に取り組
んだ。
(2)海外からの標準品の注文が徐々に増加してきていることから、海外への配送体制の強化
に引き続き取り組んだ(平成 27 年度海外頒布個数 759 個)
。
(3)大規模災害の発生に備え、京都リサーチパーク(京都市下京区)内に設置した大阪事業
所京都分室(保管施設)への標準品原料等の分散保管体制の整備を進めた。
(4)ISO 9001 に準拠した品質マネジメントシステムの継続的な運用により、標準品の製造・
頒布業務における品質管理体制の改善及び強化に取り組んだ。
(5)昨年度取得した「標準物質生産者認定」(認定基準:ISO Guide 34 標準物質生産者の能
力に関する一般要求事項)に加え、標準品の品質試験を適正に実施する技術能力の証明と
なる ISO/IEC 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)の試験所認定を
取得するべく準備を進めた。
7.所内職員研修会の開催等による職員教育・人材育成
職員の知識や視野の拡大を目的として、当財団内外の講師による幅広いテーマでの職員研
修会を毎月 1 回開催した。
8.USP 標準品及び EP 標準品等の取次頒布
平成 27 年度 1 年間における USP 標準品の頒布数量は 1,907 個
(前年度比 110%)
であった。
10
また LGC Standards 社を介する EP 標準品の頒布数量は 533 個(前年度比 95%)
、更に平成 27
年度 12 月より開始した英国薬局方(BP)標準品及び WHO ICRS(International Chemical
Reference Substances 国際化学薬品標準品)の頒布数量はそれぞれ 5 個と 0 個であった。
9.LGC Standards 社の医薬品類縁物質/不純物の標準物質の取次頒布
平成 27 年度 1 年間における LGC Standards 社の類縁物質/不純物の頒布数量は 147 個(前
年度比 253%)であった。
Ⅵ 医薬規制関連用語収集提供事業(JMO10)事業)
ICH 活動の重要な成果物の一つである ICH 国際医薬用語集(MedDRA11))を、MedDRA MB 会議
12)
及び JMB 会議 13)での取り決めに従い、国際維持管理機関(MSSO14))と協力して維持管理を行い、
また、国内維持管理機関(JMO)として MedDRA 日本語版(MedDRA/J)の利用者への提供及び国内で
の円滑な利用を推進するため、以下の事業を実施した。
1.MedDRA に関する調査・検討及び MedDRA/J の維持管理と契約利用者への提供
(1)MedDRA に関する調査、検討、資料収集等
(2)MedDRA/J 契約利用者からの用語の追加変更要請の適切な処理
国内利用者からの用語の追加・変更要請(83 件)を検討し、その内の 60 件と JMO が提
起した案件(15 件)と合わせて計 75 件を MSSO に要請。
(3)MSSO の用語の追加変更処理に関わる国際的医学評価の一員として参加
バージョン 18.1 と 19.0 の更新対象である合計 2,784 件の追加変更要請について医学的
評価を実施し、MSSO へ意見提示。
(4)MedDRA への日本語表記付与と MedDRA/J の日本語表記の適正化等の実施
新規に追加された英語用語(1,608 語)に日本語の付与、及び既収載用語の日本語を見
直し、修正(修正件数:298 語)を実施。
(5)MedDRA/J のバージョン更新と契約利用者へのファイル等の提供(年 2 回)
1)MedDRA/J ファイル、手引書及び説明資料等の作成と提供
英語版と同期した 2 回の MedDRA/J のバージョン更新(9 月、3 月)を実施し、JMO
の契約利用者(以下、JMO ユーザー)にファイル、資料を提供(年間で基本語;663 語、
下層語;1,589 語を追加、バージョン 19.0(最新版)での下層語の総数は 75,818 語)。
2)MedDRA/J 日本語シノニムファイルの更新と提供
MedDRA/J の用語選択を支援する日本語を更新し JMO ユーザーへ提供(最新版対応の
日本語シノニムは 5,560 語)。
(6)SMQ15)関連情報の収集と契約利用者への提供
SMQ(最新版ではレベル1の SMQ が 3 件増えて 101 件、サブ SMQ を含めると 217 件)と
SMQ 手引書の日本語版を作成し提供。
(7)MSSO と連携した MedDRA の有用性向上のための検討、MSSO への意見提示と対応
11
バージョン 19.0 に向けたコンプレックスチェンジ(MedDRA の高レベルの階層用語の変
更)提案を JMO ユーザーに紹介しコメントの募集を行い、MSSO へ JMO の意見を提示。その
他、MSSO 提案の同義語(シノニム)の用語翻訳の方針について説明し意見を募集した。
(8)MedDRA 欧州言語版及び中国語版の契約利用者への提供の仲介
欧州言語版を 9JMO ユーザーに提供し 20JMO ユーザーに MedDRA の中国語版を有料で提供。
2.MedDRA/J 利用者等への情報提供サービス
(1)ヘルプデスクへの迅速で的確な対応:681 件の照会に対応
(2)オンラインブラウザー、オフラインブラウザーの提供とサポート及び機能改善
オンラインの MedDRA/J 検索ツールへのアクセス:延べ 362,328 回/685 組織
(3)MedDRA/J バージョン更新支援ツールの開発と提供
MSSO が開発した MVAT16)の日本語対応版は、平成 27 年 11 月から提供を開始した。
(4)ユーザー会、バージョンアップ説明会等の開催
JMO ユーザー会:東京及び大阪で各 1 回開催(参加者:計 119 名)
バージョンアップ説明会:東京 2 回、大阪で 2 回開催(参加者:計 239 名)
(5)JMO ホームページ等による MedDRA 関連情報の提供
JMO の Website のアクセス数:88,629 件(会員限定サイト:26,571 件/504 組織)
(6)MedDRA/J に関する研修会及び啓発セミナー等の開催
以下の MedDRA/J 研修等を東京及び大阪で開催。
・エッセンシャルコース:3 回開催(参加者:計 171 名)
・コーディングコース:3 回開催(参加者:計 116 名)
・オープンセミナー:3 回開催(参加者:計 256 名)
・SMQ セミナー:2 回開催(参加者:計 61 名)
・オンサイト研修:PMDA にて 1 回開催(参加者:24 名)、大学にて1回開催(参加者:
33 名)
3.MedDRA 利用の標準化推進及び関連会議への参加
(1)MB 会議、PTC-WG17)等の会議、協議会(対面/Web 会議)への参加、意見の提示と情報収
集を実施。
・ICH MedDRA MB 会議、MSSO との連絡会議
・MedDRA PTC-WG 会議、CIOMS(国際医科学評議会)の SMQ-Implementation Working Group18)
会議
(2)JMB 会議:5 回開催(JMO の活動状況等の報告、懸案事項の審議、JMB による JMO 監査の
検討と実施)
4.国内利用者の適切な管理
(1)新規利用申込者の利用区分の適切な判定と利用契約の締結
(2)利用契約の更新
平成 28 年 3 月末現在の MedDRA/J の契約利用者の総数は 681 組織(平成 27 年 3 月末は
12
647 組織、増加は医療機関、Web アカデミア区分の組織の増加による)。
MedDRA/J の契約利用者数(平成 28 年 3 月末現在)
コア会員
事業内容
460
医薬品関係
295
CRO
29
医療機関
49
教育機関
12
公的機関
8
その他
67
Web 限定(医薬品関係)
78
アカデミア
21
Web アカデミア
105
規制機関
合
17
計
681
5.JMO 事業の適正な推進
(1)JMB 会議決議に基づく契約の履行と JMO 事業の推進
(2)品質管理システムの実践と体制の強化(ISO9001:2008 年版の取得)
(3)JMO/MSSO の MedDRA に関する契約の更新に伴う JMO の信頼性確保の強化とそれにともな
う JMB による監査実施の準備と対応
6.JMO/MSSO の MedDRA に関する契約の更新
MSSO の入札に伴い JMO/MSSO の契約について再度見直しが実施され、改定の作業が継続し
ている。
7.その他 MedDRA/J 利用に関連する団体・活動への参加と協調
10) JMO:Japanese Maintenance Organization(国内維持管理機関)
11) MedDRA:Medical Dictionary for Regulatory Activities(ICH 国際医薬用語集)
12) MB 会議:MedDRA Management Board(ICH 管理委員会の下部組織、MSSO を監督)
13) JMB 会議:Japanese Management Board(JMO を監督する国内組織)
14) MSSO:Maintenance and Support Services Organization(国際維持管理機関)
15) SMQ:Standardised MedDRA Queries(MedDRA 標準検索式)
16) MVAT:MedDRA Version up Analysis Tool(MSSO が提供するバージョン更新支援ツール)
17) PTC-WG:Point to Consider Working Group(MB 会議の合意で組織された MedDRA でのコーディング、
MedDRA でコーディングされたデータの検索と提示に関するガイダンスを検討する作業グループ)
18) SMQ-Implementation Working Group:(SMQ の作成・更新検討グループ)
13
Ⅶ 財団の活動状況
平成 27 年度の当財団の活動状況の概要は、以下のとおりであった。
1.理事会、評議員会開催状況
理事会
第 155 回理事会
平成 27 年 6 月 9 日
第 156 回理事会
平成 28 年 3 月 18 日
評議員会
第 94 回評議員会
平成 27 年 6 月 24 日
平成 27 年 6 月 9 日開催の第 155 回理事会では、主として平成 26 年度の事業報告書案及び
決算報告書案について審議を行った。平成 27 年 6 月 24 日開催の第 94 回評議員会(定時評議
員会)では、主として次期評議員及び監事補欠の選任、平成 26 年度の事業報告書及び決算報
告書について審議を行った。平成 28 年 3 月 18 日開催の第 156 回理事会では、主として平成
28 年度の事業計画書案及び収支予算書案について審議を行った。
2.賛助会員の状況
平成 28 年 3 月末現在の賛助会員数は、法人賛助会員 296 社 353 口、個人賛助会員 171 件
171 口であった。
(1)法人賛助会員の状況
区
分
会員数
口 数
入
会
7 ( 12)
7 ( 12)
退
会
10 ( 10)
10 ( 10)
口
数
平成 28 年 3 月末現在
-
296 (299)
△1 (△2)
353 (357)
注)( )内は前年度の状況。
(2)個人賛助会員の状況
区
分
会員数
口 数
入
会
14 ( 17)
14 ( 17)
退
会
20 ( 21)
20 ( 21)
171 (177)
171 (177)
平成 28 年 3 月末現在
注)( )内は前年度の状況。
3.情報公開
定款、評議員及び役員名簿、事業報告書、決算公告、事業計画書及び収支予算書をホーム
ページに公開した。
14
平成27年度 事業報告の附属明細書
1.組織の状況
総務部、経理部、研修事業本部(研修企画部、研修業務部、出版部)、公定書部、JMO 事業
部、大阪事業所(標準品事業部)の体制により事業を実施した。
組織図(平成28年3月末現在)
総務部
・総務課
・広報課
・システム課
評議員会
経理部
・経理課
理事会
研修事業本部
代表理事 会長
研修企画部
・研修企画課
・研修システム課
代表理事 理事長
業務執行理事 専務理事
事
務
局
長
研修業務部
・研修業務課
業務執行理事 常務理事
出版部
・編集課
理
事
公定書部
・公定書課
監
事
JMO事業部
・JMO事業課
大阪事業所
標準品事業部
・総務課
・受注・配送課
・事業推進課
・研修・海外事業課
・化学薬品評価試験課
・化学薬品製品管理課
・生物薬品課
(参考)平成 28 年 3 月末現在の事務局職員数
役員 5 名(常勤 5 名)
、管理職職員 17 名、一般職員 36 名、臨時職員 4 名、参事 9 名、
嘱託 7 名の合計 78 名
2.正味財産額の推移
(単位:千円)
決算年度
正味財産額
平成 23 年度
1,001,626
平成 24 年度
平成 25 年度
1,094,914
1,204,951
15
平成 26 年度
1,386,086
平成 27 年度
1,567,438