No.40 March (2009年発行) - 沖縄キリスト教学院大学・沖縄キリスト教

進化する図書館
図書館長(人文学部教授)
仲 地 弘 善
IT (Information Technology, 情報技術) 化時代に突入したと言わ
れて久しい。 図書館職員の業務や図書館を利用する学生や教職員にとって
も、今やITを操作する情報検索の知識と活用が不可欠になっている。特に、
学生のレポートや卒業論文の作成、あるいは教職員の研究調査には、情報
検索の手助けなしではよき成果が得られないことは自明の理となっている。
図書館といえば、まずカード・カタログ・ボックスを思い出す人が多いであろ
う。図書館に入るとそこでまず必要な書籍の検索をし、カードの左上にある図
書整理番号に従ってその本が配架されている場所へ行って探し出し、カウン
ターで借用手続きをとったものである。その本がすでに貸出されている場合に
は、無駄な時間を過ごしたことになっていた。ところが今では、カード・カタロ
グ・ボックスはどこにも見当たらない。それに代わって、図書館の窓口カウン
ターの近くに設置された3台のパソコンから蔵書検索ができるようになってい
る。つまり、コンピュータを使ってオンラインで検索できる図書目録システム
(OPAC)の登場のおかげで、迅速に、かつ効果的に書籍が蔵書されている
かどうかが確かめられるのである。
OPACへの対応に向けて、図書館員は新刊書をコンピュータに目録データ
ベース化し、オンライン化する作業に取り組む。各大学図書館でそのような作
業を実施することで、全国の大学図書館等が所蔵する図書・雑誌の総合目録
データベースをWWW上で検索するシステム (Webcat) が構築されてい
る。それ故、本学に所蔵されてない書籍や雑誌でもWebcat検索で所蔵図書
館を確かめ、ILL (Inter-library Loan, 図書館相互貸借制度) を利用
して、入手したい書籍や雑誌のコピーを送付してもらうことができるのだ。小さ
な大学に所属していてもあらゆる図書や雑誌の最新情報にアクセスできる時
代になっているのである。
その他のデータベースとしては、学内用あるいは学内専用端末からの検索
となるが、次のようなデータベースがある。

「朝日新聞記事データーベース聞蔵(きくぞう)DNA」

「CiNii (NII論文情報ナビゲータ」

「CSA (Cambridge Scientific Abstracts) Illumina
(JPN/Eng) 」

「ELNET」

「琉球新報データベース」

「沖縄タイムス記事データベース」
以上のように、本学の図書館は大学図書館として全国の大学図書館との
連携の下に学術情報の共有に務めるという点では確かに進化しつつあるの
だが、同時に大学教育の支援にも役立つ授業科目との協力関係や、図書館
で読書を楽しめる環境作りにも進化が見られるようにしたいものだ。特に、情
報検索のデジタル化に伴い、その操作を入学の早い時期に身につける必要
があるので、図書館の参考司書と情報センターの専門員が情報関連科目の
教員と連携してこれまで以上に図書館での情報検索利用に目を向けさせてい
けたら面白い展開が期待できるであろう。
デジタル情報検索の進展に伴い、大学における教育・研究のあり方も変化
を迫られている。情報収集やレポート・論文の書き方の指導が一層、重要に
なってきているようだ。
(人文学部教授)
ガンジーとキング牧師に学ぼう
英語科特任教授
ウィリアム・T・ランドール
モハンダス・カラムチャンド・ガンジー (1869-1948)とマーティン・ルー
サー・キング・ジュニア(1929-1968)は、二十世紀の精神文明における偉
大な指導者たちである。ガンジーは、1913年にノーベル文学賞を受賞したイ
ンドの高名な詩聖ラビンドラナート・タゴール(1861-1941) から1915年
に 「マハートマー、またはマハトマ」 (偉大なる魂) という称号を与えられた。
一方、キング牧師は1964年にノーベル平和賞を受賞した。この偉人たちは、
ともに暗殺されてこの世を去っている。
ガンジーとキング牧師は生前には一度も袖ふれあうことはなかったふたり
だが、実に多くの共通点がある。ひとつの重要な例をあげれば、ふたりは公
平無私な愛と非暴力というパワーを通して社会正義の達成に貢献した。ふた
りは、「柔和な人たちは地を受け継ぐであろう」というイエス・キリストの言葉が
真実であるということを具現化したのである。
ガンジーはヒンドゥー教徒であった。ロンドンで法律を勉強していた折、キリ
スト教の聖典、すなわち聖書によってイエス・キリストの教えを学んだ。「山上
の垂訓」の福音に、このインドの若者は強い衝撃を受けた。「あなたがたに言
う。悪人に手向かってはならない。誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬
をも向けなさい。力ずくで下着を奪おうとする者には、上着をも差し出しなさ
い。あなたの敵を愛しなさい。」(マタイ伝5章) ガンジーは「山上の垂訓」で述
べられたイエス・キリストの教えと、ヒンドゥー教の経典のひとつで叙事詩マハ
ーバーラタの一部、サンスクリット語で書かれたバガヴァッド・ギーターの教え
とが同義であることに気づいた。このようなヒンドゥー教の経典には、「賢者た
る者は、あらゆる小さな善意の行為に対して10倍の酬いを与えるものであ
る。しかし、本当に高潔な人は、すべての人びとは平等であるということ、そし
て悪事に対しても善意で応えるという喜びを知っているのである」というひとつ
の教えがある。(マヌ法典の立法者の教えより)
ヒンドゥー教とキリスト教の倫理的訓令を結合させて、ガンジーは非暴力、
サッティヤーグラハすなわち真理の把握の哲学の基礎を固めたのである。
(ガンジーの自叙伝より)
かたやキング牧師はキリスト教徒であった。彼はガンジーに強い影響を受
けていたので、「アメリカのガンジー」として称されている。彼は彼の非暴力の
哲学を「魂の力」と呼んだ。それは彼が「山上の垂訓」から学んだイエス・キリ
ストの愛の道徳に基づいたものである。「宇宙戦争と誘導原子力ミサイルの
時代には、どの国も戦争に勝利する国はない。非暴力か、滅亡かのいずれか
だ。私たちは悪に対して善で酬いよう。キリストは私たちに道を示してくださっ
た。また、マハトマ・ガンジーも非暴力は効果があると教えてくれた」と彼は述
べている。(ホスキンズ編 『私には夢がある―M・L・キング・ジュニアの説
教・講演集』より)
ガンジーとキング牧師がとった手段はよく知られている。ボイコット、座り込
み、ストライク、デモ行進と陳情。しかし、悲しいことに、彼らと彼らの同志たち
が被った報復行為は、同じようによく知られたものである。いじめ、警察当局
の残虐行為、放火、爆撃、私刑(リンチ)それに他の残酷な暴力であった。し
かし、ガンジーとキング牧師によって主導された運動は崇高で高邁な非暴力
の精神を決して放棄しなかった。
ガンジーとキング牧師は真の倫理的な信念で生涯を貫いたが、それはキン
グ牧師が書いた手紙で明示されている。その手紙は、アラバマ州、バーミング
ハムの公民権にかかるあらゆる抗議運動を禁じた裁判所の命令に違反した
罪により、彼と彼の同志たちが投獄されたとき、独居房で書かれたものであ
る。彼らは抗議デモを起こした。カトリック、プロテスタント、英国聖公会とユダ
ヤ教の高名な八人の聖職者たちは、地元の報道機関にキング牧師は法律
(裁判所の命令)を破ったという非難の手紙を書き送った。キング牧師はそれ
に応えて手紙をしたためた。その手紙の一部をここに紹介してみよう。「あな
たたちは、我々が法律を犯すことを率先してやっているのではないかと大変
危惧しておられますが、それに対する答えはこうです。法律の性質には二種
類あるという事実です。公平と不公平です。不公平な法律を破る人間は、
堂々と愛情に満ちて潔く罰を受けることを覚悟しなければなりません。自分の
良心が不公平だと認めている法律を破ることと、その法律の不正について社
会的良心を呼び起こすために自ら進んで投獄の罰を受けることは、その個人
が本当に法律を尊重しているということを示めしています。」(キング牧師著
『黒人はなぜ待てないか』より)
ガンジーとキング牧師は、それぞれめいめいに、自らの哲学を実践し、自
分たちの同志たちへ人種差別法に対して暴力を伴わない不服従を呼び掛け
るとともに、世界中の人びとの良心を呼び醒ました。このように、彼らは社会
正義において大きな進歩をもたらしたのである。特筆すべきは、1947年に、
英国植民地支配からのインドの独立を勝ち取ったこと、そして、1964年に、
歴史的な公民権法がアメリカで制定されたことである。
私の沖縄の友人たち―あなたがたは戦争の苦難、軍隊による長期に渡る
占領の屈辱と外国の軍事基地の継続的な駐留の重荷にこれまで耐えてき
た。この半永久的な外国の軍隊の駐留は、不公平な国際条約(安保条約)に
よって合法化されてきた。同じく、日本政府もその条約で取り決めた法の効力
を承認している。私の友人たちよ。あなたがたはガンジーやキング牧師のよう
な偉大な人物を真に学ぶことによって多くのものを得るであろう。
幸運なことに、沖縄キリスト教学院図書館の書架には、ガンジーとキング牧
師の著作やそれらについて書かれた本がたくさん収容されている。英語 (原
文)で記されたものもあるし、和訳されたものも数多くある。それらの本はあな
たたちがガンジーやキング牧師を学ぶ上で重要な助けとなるであろう。
本学図書館のマンガ・コレ
クション
人文学部英語コミュニケーション学
科准教授
本 浜 秀 彦
かつてマンガは、「図書館」 という空間とはあまり縁がなかったように思え
る。通っていた小学校 (那覇市立若狭小)の図書館には1冊だけマンガがあ
って、それがなぜか根本進『クリちゃん』だったことを今でもはっきりと覚えて
いる。児童文学よりもはるかに面白いと(当時は) 思っていたマンガの本が図
書館にないのが、小学生の私には不思議でしょうがなかった。それだけに学
生時代、下宿近くに現代マンガ図書館 (東京都新宿区)があったことには感
動したし、1997年に広島市立まんが図書館が出来たときには、さっそく見学
に出かけた。
またマンガは、大学や大学生にはふさわしくないものとして以前は思われて
いた。ところが今やマンガ学部を持つ大学(京都精華大学など)や、科目とし
て強化している大学・大学院 (明治大学、学習院大学など) も登場している。
旧小学校の校舎を改装して開館した京都国際マンガミュージアムも好評で、
現在は日本を代表する文化として 「manga」 が海外から注目を集めている
のは周知の事実、政府も積極的にマンガ文化をサポートしている。
こうしてマンガが広く 「市民権」 を得てきたからというわけではないが(い
や、そうした流れに乗じている部分は正直あります~)、最近本学の図書館
に、貴重なマンガ・コレクションを揃えてもらった。ひとつは、没後20年の“マ
ンガの神様”手塚治虫の『手塚治虫漫画全集』(講談社) 全400巻である。出
版社に在庫がないため抜けている巻も今のところあるが、戦後マンガの 「出
発」 を告げた 『新宝島』 をはじめ、『鉄腕アトム』、『リボンの騎士』など手塚
マンガの全体像が眺められる棚は“壮観”である。私の論文 (「手塚治虫のオ
キナワ表象」 『マンガ研究』 14号) でも紹介しているが、実は手塚には沖縄
との意外な関りがいくつかあり、沖縄国際海洋博覧会(1975-76年) で海上
都市アクアポリスの展示プロデューサーを務めたほか、「海の姉弟」 (『タイガ
ーブックス⑥』 所収)など沖縄を舞台にしたマンガを4作品描いて、いずれも
この全集の中に収められている。
もうひとつの目玉は―もしかすると、これを所蔵している場所は沖縄では数
少ないとも思える蔵書だが―昨年刊行された 『石ノ森章太郎萬画大全集』
(角川書店)である。770作品を収録し、500巻に上る全集は、ギネスブック
に一人の著者として最も多いマンガと認定されている。その洗練された絵に、
手塚が嫉妬したというエピソードも残っている石ノ森は、『サイボーグ009』、
『仮面ライダー』といったSF・変身譚ものから、『龍神沼』といった民俗もの、
『マンガ日本経済入門』のような社会派ものまで幅広いテーマで作品を描いて
いる。
またマンガを、「漫画」 ではなく、「萬画」と表記すべきだと主張した石ノ森
は、優れたマンガの理論家でもあり、マンガの描き方を解説した『マンガ家入
門』、『続・マンガ家入門』は、後進のマンガ家に大きな影響を与えた (小学生
の私にとっては“バイブル”でもあった)著作である。しかし、私自身は、石森
章太郎から石ノ森章太郎へ改名した後の彼の作品には、実はあまり興味が
持てなかった。それがなぜだったのか、この全集でその理由を探りたいと思
う。
今後、コレクションには、もも・ココロ 『がじゅまるファミリー』 などの沖縄の
マンガも加わる予定である。ちなみに本格的な沖縄マンガの研究は、『漫画の
文化記号論』などをはじめとする本学の大城冝武先生の研究を嚆矢とするこ
とを記しておく。
最後に。マンガは、マンガを読むだけでは十分論じることができず、マンガ
のほんとうの良さにも気づかないのではないかと私は考えている(それは小
説や映画、アニメにも同じことが言えるはずだ)。ビジュアル的なもの(当然マ
ンガも含まれる) を分析することは、実は自分の 「ことば」の限界に挑むこと
だというようなことを、仏哲学者ロラン・バルトは書いている。本学の図書館所
蔵のマンガを含めた書籍、新聞、雑誌、DVD、データベースなどを、学生の皆
さんには幅広く活用してもらい、「ことば」と 「ビジュアル・メディア」のリテラシ
ーにぜひ長けてほしいと願っている。
保育科2年次 新垣 圭子(図書館奨学生)
英語コミュニケーション学科3年次 仲村 秀一朗
英語科1年次 松根 美加
保育科2年次 宮本 佳代子
図書館での出会い
保育科2年次
新垣 圭子 (図書館奨学生)
私は、沖縄キリスト教短期大学に入学してから2年間、図書館奨学生とし
て図書館で働かせていただいた。私にとって図書館とは多くの出会いがあ
る場であった。まずは本との出会いである。本を整理しながら興味のある本
に偶然出合うことがよくあった。思わずその場で本を開いてしまうこともあっ
た。本からメッセージが伝わってくる。本の素晴らしさを改めて感じることが
できた。そしてなによりも一番の出会いは、人との出会いである。私はこの
2年間、ほんとに多くの人と関わることができた。職員の方々はもちろん、
アルバイト生や先生方、利用者など、図書館を通して人とのつながりを感じ
ることができた。この図書館での出会いや学びが、私を大きく成長させてく
れた。このように恵まれた環境の中で大学生活を送れたことを本当にうれ
しく思い、感謝の気持ちでいっぱいである。
本を読むのが苦手で図書館を利用しないという学生もいると思うが、私
は、図書館のあの雰囲気が大好きである。図書館という空間は本からだけ
ではなく、多くの人から情報が聞けたり、知らなかったことを知ることができ
る場所でもあるので、気軽に図書館に足を運び、大いに活用し、充実した
学生生活を送って欲しいと思う。
本と向き合う
英語コミュニケーション学科3年次
仲村 秀一朗
図書館に一歩足を踏み入れると、なぜか視線を感じてしまうのは私だけ
だろうか?その視線を私に投げかけているのは、色々なタイトルを冠された
本たちである。時折、本自らが「読んでくれ」と訴えているような感じさえす
る。
私が好んで読む本というのは、他人からみれば高踏的だとか無意味だと
思われがちである。例えば哲学がそうだ。確かにこの本を読んだから就職
活動に役立つわけでもなく、また、特殊な技術を得られるわけでもない。そ
れよりは専門書を読んですぐにでも役立つ知識を身につけた方が効率的
だ。
それでも私が小説や哲学に惹かれるのはなぜか?それにはっきりとした
理由はない。ただこれらの本と向かい合っている時、私は一人の人間と対
面しているような感じを受ける。なぜならそれらの本は私に色々な視点から
世界を見ることを可能にしてくれるし、私が経験した事のない事を、活字を
通して経験したかのように感じさせてくれる。端的に言えば読書する事で私
が成長していると実感できるのだ。
「読書をしろ」といえる程の立場ではないし自慢できるほどの量を読んで
きたわけではない。だが確実に言えることは、読書は必ず糧になる。
図書館、私にとって
英語科1年次 松根 美加
図書館は昔からお気に入りの場所でした。私が小さい頃から本好きとい
うこともありますが、あの独特の静謐感漂う空間が好きで、小学校から今ま
で毎日といっていいほど図書館に足を運んでは、興味惹かれる本を読んで
いるような気がします。
小学校、中学校の頃は主に小説を中心に借りていましたが、高校では新
書のコーナーや心理学や芸術などの専門関係の本が並んでいる棚があっ
たので、そちらにも目を向けるようになりました。そして今は、より専門的な
蔵書が増えた図書館で、興味が惹かれそうな本がないか探して、やはり足
を運んでいます。
世界中の色んな人が書いた沢山の本が積まれている図書館は、まさに
知の倉庫とでも言うべき場所です。そこに行くと私は決まって、世の中広い
なぁと思ってしまいます。例えば「むしの持ち方」について面白おかしく懇切
丁寧に教えている本があったり、精霊辞典なんて辞書もあったりするので
す。
もっと色んな本を読んで知識を得たいし、また楽しみたい。そんな私にと
って、図書館は好奇心を刺激してくれる場所です。
私は、きっとまだまだ知らない世界があるのだろうと思いながら、ずっとこ
れからも図書館へ足を運び続けるのだと思います。
図書館への思い
保育科2年次 宮本 佳代子
私にとって図書館とは、思わぬ知に出会う場所であります。探し求めてい
る本の為に足を運びながら、館内の書籍をついゆるりと見回していくうち
に、本の帯に惹かれて手にとる世界につかり、ふと気づけば目的を忘れて
いるのです。そのように出会った知に、本棚の間にひっそりと隠れるように
して、経験していくのは至福の時です。このような時を味わえるのも図書館
ならでは、静寂に包まれて、思いもかけぬ学びを与えてくれる図書館の存
在に感謝しています。
そして、私はこれからも本から新しい精神を生かしていきたいです。子供
の頃からの「本好き」は時空を超える広がりをみせてくれました。初めてち
ゃんと読んだ源氏物語からは、紙をめくるたびに香りがたち、読本される先
生から匂いたつ雅さに感嘆し、私の身にはんなりとした色をつけていきまし
た。そんなふうに、本をつうじて入る言葉によって呼吸している、私である精
神を知っていく瞬間のつながりに蒔かせていきたいです。
最後に、週90分図書館で学業と労働の両立のよい機会を与えられまし
た。学生ひとりだけでも、何かあれば司書の方に助けていただけたので安
心して尽くすことができました。ありがとうございました。
保育科教授 大山 伸子
英語科教授 作田 真由子
人文学部英語コミュニケーション学科准教授 浜川 仁
総合教育系准教授 張本 文昭
1秒の言葉、1分の音楽
保育科教授
大山 伸子
『1秒の言葉』 (小泉吉宏著/㈱メディアファクトリー発行)は、1
秒で表現できる言葉の大切さを、まず、言葉と写真を対にしながら
伝えてくれる。「はじめまして」「ありがとう」「がんばって」「おめでとう」「ごめんなさ
い」「さようなら」、わずか、5~6文字の1秒の言葉。1秒の言葉探しをすれば、私達
の日常生活には、まだまだある。しかし、最近は、その言葉がおざなりになっている
のである。「1秒に喜び、1秒に泣く。一生懸命、1秒。人は、生きる」と締めくくられて
いる。手のひらサイズで、携帯にも便利な本だ。
さすがに1秒で完結する音楽はないと思うが、1分の曲はある。 いわゆる、「黙
祷」する長さだ。「熊蜂の飛行」(リムスキー・コルサコフ)が約1分。私が担当してい
る「リトミック」の授業では、「熊蜂の飛行」を題材にして学生達が身体創作表現を行
っている。速いテンポの曲だが、あえて逆発想のスローテンポで、「人生の不思議
さ」を表現したり、急速なテンポで「自己葛藤」や「風を送る扇風機」など、学生達の
自由な発想が面白い。1分の授業風景である。
1秒の言葉、1分の音楽で人は幸福になれる。コミュニケーションができ、豊かな
身体表現が可能なのだ。「今」、「この時」こそ、自己を最大限に表現でき、私たちを
豊かにしてくれるのである。
本は心のパートナー
英語科教授
作田 真由子
「私たちは、他人なしにずっと一人で生きること、ましてや喜び、悲しみ、怒ること、
そして愛おしいと思う気持ちを持つことも不可能だと思います。生きる全てのもの
は、自分とは別の生きるものに共鳴するために生まれてきたと言っても過言ではな
いと思います。・・・いかなる人も誰かしらに気遣われて生きています。本人が気づか
なくとも、相手はあなたの心にノックをしてきているのです。実は、本はまだ見ぬ人の
心をノックするために生み出されました。本、つまり読書は、あなたが生きる意味を
実行していくために、宝石のように何色も帯びた人生を作っていくためにあなたを誉
め、あなたと議論し、あなたに怒り、時には一緒に悲しみ慰めてくれる必要な心のパ
ートナーなのです。」これは、英語科2年生の岡本亜由美さんが『特別研究』の授業
の中で「読書」について書いた文章の一部です。こんなに格調高い美しい文章で述
べられては、私は何もつけ加えることがありません。そう、本は時空をへだてた友人
で、作者の心が時を越え、場所を越えて皆さんに語りかけてきています。今現在、皆
さんのまわりにいる友人たちの他にも本という友人を作りませんか?
何のために本を読むのか
英語コミュニケーション学科准教授
浜川 仁
米国コロラドの大学院で4年間学んだ。そこの図書館の立派な
石作りのエントランスの上にこんなことばが彫り込まれていた。「自
分の世代のことしか知らない者は、生涯子供のままだろう」。
本を読まないと「大人」になれないということなのだろう。一途さや清らかさを尊ぶ
日本とは大きく異なり、欧米の人びとは知識や経験をとても重んじる。
いろんな本を読み、知識を取りいれると、ものの見方が大きく変わっていく。あたり
まえのように接していたものごとを、もう二度と同じ目で見ることができなくなってい
る自分に気づく。
歴史を学ぶというのは、わたしたちの日常が、先人たちのたゆまぬ努力と豊かな
発想の上になりたっていると気づくことだ。集落や街や国は、そこを住み家とする人
たちの「夢」を肥やしに育つ……そのことを心に深く取り込むことである。
また、小説を読むことで、始まりのあることにはかならず終りがあるということを知
る。読み終えてからでないと、始まりの意味はほんとうには分からない。「終わり」こ
そが、真の「始まり」なのだと理解するのである。
読書の真の醍醐味は知識を広げたり深めたりというより、ものの見方や考え方を
より細やかに、そしてよりしなやかにすることにあると思う。
こうして「成長する」ことに、もっと賭けてみるべきではないだろうか。
本と出会う
総合教育系准教授
張本 文昭
必要な本はアマゾンで注文するようになった今でも、本屋にはと
きどき足が向いてしまう。最近のパターンは決まっていて、まず新
書の新刊タイトルをチェックする。ピンと来たら手にとって目次を見たり、中身を見た
り。次はたくさんの種類の雑誌を巡回するように眺め回る。主に眺めるのはアウトド
ア系、雑貨系、DIY系、あとはNHKのコーナー。同じように面白そうな特集だったら
手にとってページをめくる。その頃、かなりの頻度で便意を感じる。本屋、図書館、ホ
ームセンターなど、無機質なものが整然と並んでいる場所にしばらくいると、なぜか
感じてしまう。さておき、そうやって立ち読みの結果、何も買わずに店を出ることもあ
るが、時々はお買い上げとなる。
用事があったり話がある人には、こちらから会いに行く。それは、本をwebで注文
するのと同じだろう。それは「出会い」とは呼ばない。でも、ふと、ばったり、たまた
ま、偶然にも、出会った人と仲良くなったり、刺激を受けたりすることが生きていく中
でよくある。本屋や図書館でたまたま見つけた本が、実はすごく面白かったり、感動
したり、参考になったり、そんなこともよくある。それは、「出会い」なんだと思う。
(2008年4月~2009年3月)
青野 和彦

「B.ラス・カサスの洗礼理解 ―『布教論 (De unico vocationis
modo)』 5:7を中心に-」
関西学院大学神学研究会『神学研究』 第56号、2009年3月
伊佐 雅子

「模合にみる沖縄人 (ウチナンチュー) のコミュニケーションについてー
新聞記事の分析を通して」 (p.31-49)
『人・言葉・社会・文化とコミュニケーション』橋本満弘・畠山均・清水孝
子・八尋春海 編著北樹出版 2008年4月1日発行
内間 清晴

Electrical resistivity and thermopower of ErCo 3 under
hydrostatic pressure : ournal of Physics ; Conference Series
(to be published )

Two-Magnetization Nordheim Model of Randomly
Distributed Co Local Sites for the Anomalous Residual
Resistivity at the Magnetic Phase Boundary of Y 1 - xRxCo 2
System (R:Rare Earth) : Journal of Physics ; Conference
Series (to be published )
大山 伸子

「宮良長包・その生涯と音楽―圧巻だった八重山初演―」
『琉球新報』 2008年10月23日付朝刊
喜舎場 勤子

「沖縄県における善隣幼稚園に関する考察2-定着課程に着目して
-」
『保育学研究』 (46-2) 2008年 (日本保育学会)
張本 文昭

キャンプにおける生きる力の変容とフロー経験との関連
『日本野外教育学会第11回大会研究発表抄録集』、日本野外教育学
会、91、2008

キャンプのだいご味-遊びの楽しさとフロー理論- 『CAMPING』
社団法人日本キャンプ協会、126、2-3、2008

花山から沖縄、沖縄から花山
『キャンプの原点-幼少年キャンプ研究会40周年記念誌-』、幼少年
キャンプ研究会、41-42、2008
本浜 秀彦

「時代と伴走 輝き放つ言葉-中里友豪詩集」 『琉球新報』 2008年6
月8日付朝刊

書評・高口智史『<歴史>に対峙する文学』」 『社会文学』 第28号 (日
本社会文学会)2008年7月

沖縄表象は、猥雑なトラベルライティングか?」 『國文學』2008年7月
号

「「島」 と 「海」 の表象-沖縄からの「太平洋文学」」 『琉球新報』 (6回
連載)
2008年7月8日、15日、29日、8月5日、12日、19日付朝刊

「「郷愁」がつくる移民の心性-細川周平 『遠きにありてつくるもの』」
『すばる』2008年10月号

「手塚治虫のオキナワ表象」『マンガ研究』 14号 (日本マンガ学会)
2008年10月

「「アメリカ」の存在問う-仲程昌徳著『アメリカのある風景』」 『琉球新
報』2008年10月30日付朝刊

「オキナワン・コミックス-「ローカル」と結びつく表現」 『毎日新聞』
2009年1月13日付朝刊

「呪術 (マジカル) 美少女の琉球/沖縄- 「テンペスト」 現象を読む」
『沖縄タイムス』 (3回連載) 2009年1月19日、20日、21日付朝刊
2009年度 「沖縄キリスト教学院大学 論集 第5号」 及び 「沖縄キリスト教短期大学
紀要 第37号」 が発行されました。研究内容は次のとおり。
沖縄キリスト教学院大学論集
(拡大
128KB)
(拡大
132KB)
(拡大
125KB)
沖縄キリスト教短期大学紀要
(拡大
120KB)
2009年度 新着図書紹介
1. The International Encyclopedia of Communication v.1~v.12
Ed. Wolfgang Donsbach, Blackwell 2008 請求記号 361.45//D//1~12
2. Encyclopedia of Race and Racism(Macmillan Social Science Library) v.1~v.3
Ed. John Hartwell Moore, Macmillan Reference USA, 2008 請求記号 316.8//M//1~3
3. アメリカ文学ライブラリー 第1~16巻, ロバート・L. ゲイル著他
雄松堂 2006~2008 請求記号 930.2//A//1~16
4. 言語学と日本語教育:実用的言語理論の構築を目指して 2~5巻 アラム佐々木幸子編
くろしお出版 1997 請求記号 810.4//G//2~5
5. レクリエーション支援の基礎:楽しさ・心地よさを活かす理論と技術
日本レクリエーション協会編集 2007 請求記号 786//N
6. 江戸科学古典叢書 全46巻 佐藤智編集代表
恒和出版 1982~1983 請求記号 402.1//E//1~46
※ Harry Potterシリーズ(英語版、日本語版等のCD版、和・洋書も所蔵)
2007年度受入図書の中に、ニューベリー賞シリーズ(アメリカで最も名声のある児童文学賞の一つ)についで、
SSS英語学習法(多読法) をサポートするシリーズ(100冊以上)、レベル1~2(語彙数600~ 1000)も揃えてあ
ります。
2009年度受入予定データベース
<データベース> (2009年4月~)
1)Acadmic Search Elite (EBSCO社)
2)日経BP記事検索サービス大学版(日経BP社)
大学院図書コーナー紹介
(異文化コミュニケーション学研究科)
2008年4月大学院の新設に伴い、大学院関係図書を図書館2階のグループ学習室内に書架を設
置。専門書や一般図書をはじめ、異文化関係・コミュニケーション関係・国際関係・言語・語学関係・
英語教育関係の和・洋書を収集配架されている。
人事異動(図書館)
<就任>
館長・仲地 弘善 (任期:2008年4月1日~2010年3月31日)
<異動>
図書館図書課主任・玉寄 勝也 (2008年9月1日付)
漫画コレクションコーナー紹介
図書館2階の児童図書コーナーの一角に、漫画コレクションコーナ
ーを設置。当面、児童図書コーナーと隣接し書架を共有している。主
な蔵書に『手塚治虫漫画全集』(講談社)全400巻発行の内、本図書
館では389巻を所蔵(一部入手不可能な欠号があり)。
2008年11月末に第12期セットが完成され全集が刊行された『石
ノ森章太郎萬画大全集』 (角川書店)全500巻を購入。ギネスブック
認定を受けた人気の作品で、入手困難なところ、東京の書店からや
っと取り寄せることができた作品である。
手塚作品の代表作である 『鉄腕アトム』 や 『リボンの騎士』、石ノ
森作品の『サイボーグ007』・『仮面ライダー』など幼少時代に読んだ
懐かしい作品の数々がコーナーを魅了する。その他にまだまだ希少
の蔵書だが沖縄の漫画 もも・ココロ『がじゅまるファミリー』 も一部
配架されている。