NP Pr og.Med. 1 9(s . 1)：6 77∼68 0, 199 9 uppl 一般講演 2 心機能低下例における致死的不整脈のアミオダロンによる治療 ―その心機能に対する影響― 福本義弘大原郁一竹下樗木晶子彰はじめに従来のⅠ群抗不整脈薬が心抑制や催不整脈作用を有するためにいにくい状況にある中で，最近，特に心機能低下例において致死的不整脈に対する治療薬としてⅢ群抗不整脈薬や I CDを用いるようになってきた．本研究の目的として，心機能低下例における致死的不整脈に対するアミオダロンの治療として抗不図 1 VPC，VTに対する効果整脈効果，心機能に対する影響，副作用の出現について検討を行ったので報告する．対象と方法心機能低下例 1 8例に対し，アミオダロンを投与した．平年齢は 6 1 ±1 5歳で，1 8例のうち女性が 4例である．対象不整脈は持続性心室頻拍( s us t ai ne d が1 6例，心室細動( ) が 2例で，基礎心疾患は VT) Vf 拡張型心筋症( DCM)が 9例，虚血性心筋症( I CM)が 8例，不整脈源性右室異形成( が 1例であっ ARVD) 図 2 RR間隔，QTcに対する結果た．アミオダロンの投与方法は，初期投与として 1日 2 0 0∼40 0mgを 1 ，2週間投与し，その後，可能な限例は突然死した．I CM が 1例，DCM が 1例で，2例り漸減し，平維持量は 15 0 ±5 7mg/ 日で，経過観察とも自宅で突然死したため，そのときの不整脈の記録期間は平はない．残りの 2例は DCM で，ポンプ不全で死亡し 1 9. 7カ月であった．た．結果次に，Hol t e r心電図上における不整脈に対する効生存率は 18例中 1 4例( 78 ％) で，死亡例の 4例中 2 図 1) 果を検討した( ．左が心室性期外収縮( ，右 VPC) が 3連発以上の VT を評価したもので，アミオダロ１)Y.Fukumot o,Y.Ohhar a,A.Take s hi t a：九州大学医学部循環器内科２)A.Chi ：九州大学医療技術短期大学部 s haki ン投与後に，どちらもアミオダロンによって減少傾向は認めたが有意差はみられなかった． ―1 36 (77 )― . 19 .11 99 9 図 4 症例：3 1歳，男性，拡張型心筋症ダロンを投与開始した．その頃から胸部レントゲン上の CTRも改善し，心エコー上の LVEFも著明な改善を認めている．副作用の発現副作用の発現をみると DLco低下により，2例で中止．甲状腺機能低下を 7例に認め，心拡大も 1例に認めたが投与を継続した．徐脈により 1例中止し，眼症図 3 心機能の評価状のために 1例が中止となった．まとめ心電図上におけるそれぞれの指標に対する結果を図 2にまとめた．左が RR間隔，右が QTcを検討したもので，アミオダロン投与前後において，RR間隔および QTcともに有意に長がみられた．１)心機能低下例における心室頻拍，心室細動に対するアミオダロンの効果を検討した．２)アミオダロンは致死的不整脈に対する高い有効図 3) 心機能の評価として( ，左が胸部レントゲン上の心胸比( CTR)と心エコー上の左室駆出率( LVEF) を検討した．性を示した．３)アミオダロンにより DLc oの低下による中止を 2例に認めたが，肺線維症の発症はなかった． CTRの検討では，アミオダロン投与により改善傾向にあるが，有意差はみられなかった．一方，LVEF ４)アミオダロンにより，心収縮能の改善を認めた．は，アミオダロン投与後で有意に改善した．症例提示(図 4) 症例は 3 1歳，男性，基礎心疾患は拡張型心筋症である．8歳ぐらいから不整脈を指摘され，1 3歳頃から VT が出現し，ジソピラミドが投与された．当初は有効であったが，VT の再出現とともにアプリンジンへの変や，ジソピラミドとメキシレチンの同時投与，献１)TheCASCADEI nve s t i gat or s:Randomi z edant i ar r hyt hmi cdr ugt her apyi ns ur vi vor sofcar di acar r e s t ( 2:28 0, t he CASCADE s t udy) .Am.J .Car di ol .7 1 99 3 ２)Nade mane e ,K. ,Si ngh,B. N. ,St e ve ns on,W. G.e t al . :Ami odar oneandpos t MIpat i e nt s .Ci r c ul at i on 8 8:7 64 9 9 3 ,1 ３)Ke nKni ght ,B. H. ,J one s ,B. R. ,Thomas ,A. C.e t フレカイニドの同時投与を行ったが，いずれも著効は得られなかった．徐々に CTRも大きくなり，LVEFも 1 8歳を過ぎて徐々に低下し，3 0歳で当科に入院した際にアミオ ―1 46 (78 )― al . :Te c hnol ogi c aladvance si ni mpl ant abl e car 00 0 and di ove r t e r de f i br i l l at or sbe f or et he year 2 8,1 99 6 beyond.Am.J .Car di ol .78( s uppl .5A):10 第 3回アミオダロン研究会講演集質疑応答座長／堀江稔(京都大学医学部第三内科) 演者／福本義弘(九州大学医学部循環器内科) 堀江( 座長) どうもありがとうございました．本演ている群と入っていない群では改善度に差がありませ題に対してご質問，ご討議はありませんでしょうか．んでしたので，関与していないとは全く言えないと思杉本( 関東中央病院) 甲状腺機能低下例が 7例ありますね．このことと心機能の改善は何か関係ないのでうのですが．笠貫ええ，そういうことを言っているのではなくしょうか．というのは，甲状腺機能低下が unl oadi ng て，典型例として呈示された症例ではアミオダロンを ee ctとなって，心機能を改善することがあるのでは投与する前にフレカイニドが投与され，そのあとにないかと以前からえているわけなのです．甲状腺機 ACE阻害薬，カルベジロール，アミオダロンの三者能低下効果が心機能にまで及んでくると，今度は併用で心機能がよくなったとお話しになったものです hypoになってきますが，ある程度，全身性の de mand から，他の症例について細かく析なされたほうがい抑制というところにその効果が留まっている限りはいかと思います． unl oadi nge e ctになり得るだろうと思うのです．いかがでしょうか．あとは 2例が突然死をしているのですが，その前に PVCと VT が減少傾向にありますが，有意差はなか福本( 演者) 申しわけありません．そのような観点ったということですが，それと突然死の関連でお伺いで検討していませんので，その点に関しては答えをもしたいと思います．先生の施設でアミオダロンの長期っておりませんが，可能性はあると思いますので検討投与時の有効性の予測については，Hol t er心電図所したいと思います．見をどのように評価していますか．経験的な投与と，杉本心拍出量はみておりますか． Hol t er心電図による評価，EPSによる評価の 3つの福本みておりません．え方がありますが，先生の施設ではどのえ方に基杉本どうもありがとうございました．づいて長期投与時の有効性を予測して笠貫( 東京女子医科大) 先ほどの心機能が改善したすか．という典型例の症例ですが，カルベジロールと一緒に始めていますね．っておられま福本われわれが普段用いていますやり方としては，アミオダロンを投与しまして，その投与で十福本そうです．でなければ I CDを用いるようにしています．笠貫そうすると，カルベジロールによるものかど笠貫 Hol t e r心電図で有効性を確認して長期投与うかは判断できないと思います．アミオダロンだけでを開始したとすると，先ほどの PVC，VT に有意差よくなったかどうかは疑問だと思いますが，他の症例が認められなかったということはどうしてかという疑についてはそのようなことはなかったのですか．問があります．突然死 2例については PVCの抑制福本確かにあの症例も β遮断薬が一緒に入って率，あるいは VT の抑制率に差がないとすれば，VT いたのですが，おっしゃるようにカルベジロールの関の連発数や VT r at eをどれぐらい抑えたかが大事に与している可能性が十になりますので，そのデータがあれば教えていただけまえられると思います．しかし，全症例をまとめまして，それぞれ β遮断すか．薬と ACE阻害薬といった他剤との併用を検討しまし福本 2例とも投与して 1カ月弱で退院されたのでたが，それは差がありませんでした．β遮断薬が入っすが，そのあと 2 ∼3回外来に来られる間に 2人とも ―1 56 (79 )― . 19 .11 99 9 亡くなられましたので，投与期間としては数カ月だっ果をえられましたか．たものですから，長期投与後の PVC，VT のデータ福本両方だろうと思います．の中には入っておりません．発言者他の患者さんでもこのようなことが起こる笠貫 1カ月という短期投与で Hol t e r心電図で有効と判断して退院するわけですね．長期投与時の有効と予測するにあたって Hol t e r心電図所見で，PVC と思うのですが，先生はそのときに抗不整脈薬をやめるのか，どのようにえられましたか．福本いまの時点では，その他の抗不整脈薬よりはの減少率，VT の減少率について，突然死した 2症例アミオダロンを選択することになるだろうと思いまでは何か特徴があったのか教えていただきたいのですす．が．発言者今後このようなケースが起こった場合に福本特になかったと思います．は，いままでわれてきた抗不整脈薬によって，この堀江他にご質問はありませんか．ような心機能が低下して，不整脈のコントロールがつ発言者最後にお示しいただきました 3 1歳の男性かなくなった場合にはアミオダロンに……．で，1 8歳から 2 6歳のときに EFが低下したということをお示しいただいたのですが，そのときに先生はどうおえになりましたか．要は疾患の nat ur alcour s e としてえられたのか，あるいは一生懸命，不整脈を福本アミオダロンに移行していくようにえております．発言者どうもありがとうございます．堀江どうもありがとうございました．止めようと思って出した抗不整脈薬による陰性変力効 ―1 66 (80 )―