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平成 23 年度及び 24 年度次世代エネルギー技術実証事業成果報告
補助事業者名
補助対象事業名
地域名
事業名称
共同事業者
:株式会社パワーバンクシステム
:B.地域資源活用型プロジェクト
:熊本県水俣市
:みなまた農山漁村地域資源活用プロジェクト事業
:富士電機株式会社、ユニバーサリー電工株式会社
事業の目標・目的
事業の概要
水俣市「環境モデル都市」アクションプラ
ンにおいては「低炭素化社会の実現」、人々
がいきいきと暮らしていける活力のある地
域であるため、環境と経済の持続的な発展・
両立が図れる地域産業の育成と雇用の創出
を挙げている。その中で、水俣の自然環境や
地域特性を生かした農水産業における新エ
ネルギーの導入技術と環境制御システムに
係るビジネスモデルの実証事業を行い、農水
産業における低炭素化を図る。そして、確立
したビジネスモデルを「みなまたモデル」と
して、日本や世界の圧倒的多数の地域を占め
る農山漁村に対しビジネスパッケージとし
て「輸出」につなげる。
①
農業施設においては、無農薬等の安全
安心の高付加価値化や、安定的な農業経
営が可能な施設(ハウス)栽培についての
実証
② 漁業施設においては、養殖環境制御技
術の開発と養殖システムをビジネスパッ
ケージ化するための実証。
③ 地方型EMSにおいては、農山漁村向
けEMSおよび農業・漁業のエネルギー
運用分析並びに情報配信モデルを実証
し、下位の EMS(FEMS、BEMS、HEMS
など)を有しない需要家のエネルギー最
適制御・運用技術の実証検証。
※②は当社、①、③は関連事業者(①ユニバーサリー電工
株式会社③富士電機株式会社) にて実施
事業全体イメージと各社分担
① 農業においては、路地栽培で問題となる外界からの有害物質や病害虫の影響が少なく、
無農薬等の安全安心の高付加価値化や、天候に左右されにくく安定的な農業経営が可能
な施設(ハウス)栽培についての実証を行う。この場合に、施設(ハウス)栽培における課
題である暖房等のための化石燃料コストの低減及びCO2削減と、農家の経験的な技術
や勘に頼っているという栽培の課題を解決するため、新エネルギーを活用したエネルギ
ーの自給技術及び栽培情報の数値化による安定的な作物栽培のための技術の開発並びに
栽培システムをビジネスパッケージ化するための実証を実施。
② 漁業においては、海洋では確保が困難な電力源の確保と、赤潮など海洋環境悪化等によ
る養殖の課題解決のため、新エネルギーを電力源とした養殖環境制御技術の開発と養殖
システムをビジネスパッケージ化するための実証を実施。
③ 上記の①、②を実証するためのエネルギーマネージメントのシステムとして、エネルギ
ーの見える化、エネルギーの最適運用・最適制御、および環境制御などが容易に利用でき
る農山漁村向けEMS(エネルギーマネジメントシステム)および農業・漁業のエネルギ
ー運用分析のテンプレート開発並びに情報配信システムのビジネスパッケージ化のため
の実証を実施。
※②は当社、①、③は関連事業者(①ユニーバーサリー電工株式会社③富士電機株式会社) にて実施。
1
実証スケジュール
※実証スケジュールは当社部分(漁業実証)のみ
※政府開発援助海外協力事業(ODA)は、本事業において開発した製品を、海外で普及させる
ための実証・調査事業として平成 24 年度実施、平成 25 年度も実施予定。ただし、本事業と費
用等において重複はしない。
2
平成23年度の成果
平成23年度の実証成果は主に下記の通り。
① 陸上試験用太陽光パネルの設計、制作と装置機材の購入(熊本県上天草市)
② 海上試験用設備(浮島)の設計、制作、設置(熊本県水俣市)
陸上試験用の太陽光パネル
海上発電システム(浮島)の設置
平成24年度の成果
平成24年度の実証成果は主に下記の通り。
① 陸上試験用設備のシステム構築と、動作確認及びオイスターの生育データ検証
(主な成果)
・実証機器の設置、システム運用、データ収集・解析を開始
常用電源との切替運転、遠隔通信システム
・牡蠣養殖のモニタリング開始
循環式とかけ流し式での比較検証し、かけ流し式より4ポイント生存率上昇
陸上試験装置
オイスターの成育検証
通信によるデータ管理
② 海上試験用設備(浮島)の動作検証と商品化に向けての改造、及びクマモトオイスター
の生育状況調査
(主な成果)
・実証機器のシステム運用、データ収集・解析を開始
通信システムによる発電状況、稼働状況の確認
実証における問題点(発電量不足、糞害等)の洗い出しと調整対応
3
・機能の追加とそれにともなう改造(パネル張替えによる発電量の増強)
水中モニターと自動給餌器装置の追加に伴う太陽電池の増強(540W→1080W )
・クマモトオイスター養殖における稼働による効果
本装置のマイクロバブル装置によるエアレーションを行った結果、同条件で行わな
かった場合に比べ生存率が約 20 ポイントアップ(67%→87%)
海中のエアレーションの様子
高出力型の太陽光パネル
追加機能の装置類
③ 政府開発援助海外協力事業(ODA)による普及事業の実施
本事業における事業展開のひとつに、海外、特に養殖事業の盛んな東南アジアへの展開目標
があり、その足掛りとして、本製品の普及を目的とした実証調査について、平成 24 年度 ODA
プロジェクトに申請し採択され、実証試験を行った。今後、継続事業として平成 25 年、26 年
も実施予定。
(事業名及び概要)
平成 24 年度政府開発援助海外協力事業委託費による途上国政府への普及事業
調査国:フィリピン(ラグナ湖沖合)
調査名:ミルクフィッシュ養殖事業における太陽光発電利用の普及に関する試用導入促進
実施企業:㈱パワーバンクシステム・㈱野村総合研究所共同企業体
実施期間:平成 24 年 11 月~平成 25 年 3 月
(主な成果)
・浮島の現地での実証試験
最も水温の下がる悪条件で稚魚を放流し 50%の生存率を維持(予想では 10%)
・現地市場調査
海外進出における会社方針の具体化。コストダウンの必要性における、一部部品の現地
生産・調達の検討開始、現地での窓口となりうるパートナー企業探しを開始。
Survival rate of the fish in two weeks
(from December 10 to December 20, 2012)
60.00%
50.00%
40.00%
30.00%
20.00%
10.00%
0.00%
53.25%
10%
Survival rate with the system
実証機「浮島」
設置風景(ラグナ湖)
4
Expected survival rate without the
system
生存比較グラフ