Doing Business in the Russian Federation (2016年版)

Doing Business
in the Russian
Federation
(日本語版)
まえがき
このガイドは、ロシアの法的枠組み、税制度、企業の会社形態および商習慣と会計実務の概要
を簡潔に説明することを目的として EY ロシアが作成しました。外国のオペレーションについ
て意思決定を行うためには、その国のビジネス環境に関する知識が不可欠ですが、ロシアのビ
ジネス環境と法制度が常に変化していることから、ロシアにおけるビジネス判断を行うことは
容易ではありません。このガイドは 2016 年 8 月時点の最新情報を反映したものです(本文中
にそれ以外の日付が明記されている場合を除きます)。
ロシアにおけるビジネス遂行やより直近の法制や税制に関する最新動向の情報については
www.ey.com/russiaをご覧ください。
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Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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目次
ロシアのビジネス概況 ........................................................................................................................... 3
地理と人口 ........................................................................................................................................... 3
祝日 ....................................................................................................................................................... 4
金融システム ....................................................................................................................................... 5
銀行システム ....................................................................................................................................... 5
保険会社および非公的年金ファンド ............................................................................................... 7
投資ファンドおよび資産運用会社 ................................................................................................... 8
「顧客確認」(KYC)の手順 ........................................................................................................... 8
ロシアの有価証券規制の原則 ........................................................................................................... 9
為替管理 ............................................................................................................................................... 12
法人 ........................................................................................................................................................... 15
ロシアにおける事業形態 ................................................................................................................... 15
M&A(合併・買収)............................................................................................................................. 20
法人への課税 ....................................................................................................................................... 21
法人利潤税 ........................................................................................................................................... 22
付加価値税(VAT) ........................................................................................................................... 28
資産税 ................................................................................................................................................... 31
その他の税金 ....................................................................................................................................... 32
国際税務について ............................................................................................................................... 33
関税 ....................................................................................................................................................... 35
移転価格税制 ....................................................................................................................................... 38
ロシア経済への投資に対する優遇税制 ........................................................................................... 40
沖合いの石油·ガス田の開発 .............................................................................................................. 42
財務報告と監査 ................................................................................................................................... 43
個人 ........................................................................................................................................................... 49
個人所得税 ........................................................................................................................................... 49
社会保険制度 ....................................................................................................................................... 52
雇用 ....................................................................................................................................................... 54
入国管理法 ........................................................................................................................................... 55
巻末資料 ................................................................................................................................................... 57
巻末資料 1:官公庁住所録 ................................................................................................................ 57
巻末資料2: 為替レート(年度末).................................................................................................... 60
巻末資料3: 経済成長率の統計 ...................................................................................................... 60
巻末資料4: 二重課税防止条約の源泉税率一覧表....................................................................... 61
巻末資料5:財務省の認定したブラック・リスト国一覧 ........................................................... 66
巻末資料6:2012~2016年日系企業向け主なセミナー ............................................................... 67
欧州における日本企業担当者 ........................................................................................................... 68
CISにおけるEY ................................................................................................................................... 70
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EY / Doing Business in the Russian Federation
ロシアのビジネス概況
地理と人口
ロシアは世界一広大な国土をもち、その広さは17,075百万m2に及ぶ。ヨーロッパ、 アジア両大陸にまた
がり、西はポーランド、ウクライナ、バルト三国、北はフィンランド、南はグルジア、カザフスタン、ア
ゼルバイジャン、中国と接している。東部沿岸部からは、アラスカ、日本ともそれほど離れていない。
ロシアは豊かな地下資源に恵まれていることに加え、教育レベルの高い人材が豊富であることが投資の魅
力である。1億4,200万人の人口を持つが、年々減少しているため、ロシア政府は人口増加のための出産奨
励策を打ち出している。非常に多くの民族で構成され、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ生まれのスラブ
民族がもっとも多く、他には、アルメニア人、グルジア人、ドイツ人、イラン系、トルコ系、フィン・ウ
ゴル族などの民族がいる。また、ロシア少数民族として、タタール人、トルコ人と関係の深いバシュキー
ル人、モルドバ人がいる。
言語
ロシア語がロシアの公用語である。また、英語は広く教育されており、公用外国語となっている。多くの
政府高官や実業家が英語を話す。ドイツ語はエンジニアリングのような専門分野で使用される。
時間
ロシアは、グリニッジ標準時間(GMT)+2時間(西のカリニングラード州)から、GMT+12 時間(東のカムチ
ャッカ地域)までの 10 の時間帯が存在する。上記の通り、夏時間は実施されず、季節変化はない。首都モス
クワはグリニッジ標準時間(GMT)+3 時間になる。
モスクワとCISの主要都市との時差は次の表の通り。
都 市 名
キエフ
サンクトペテルブルグ
バクー
アルマティ
ノボシビルスク
ウラジオストーク
時 差
-1/0
0
-1/0
+3
+3
+7
モスクワと世界の主要都市との時差及び飛行時間は、次の表の通り。
( )内は夏時間。
都 市 名
ロンドン
ニューヨーク
パリ
東京
時 差
-3 (-2)
-8 (-7)
-2 (-1)
+6
飛行時間
3 時間 50 分
8 時間 30 分
3 時間 45 分
10 時間 25 分
出所: http://www.timeanddate.com/
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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祝日
現在の公式なロシアの祝日は次の通り。
新年休暇
1 月 1 日~6 日、8 日
ロシア正教のクリスマス
1月7日
祖国防衛者の日
2 月 23 日
国際婦人デー
3月8日
春と労働の日
5月1日
戦勝記念日
5月9日
ロシア国家主権宣言の日
6 月 12 日
民族統一の日
11 月 4 日
もしこれらの祝日が週末(土曜日・日曜日)であった場合、次の週の月曜日(または火曜日)も祝日とな
る。また、祝日が火曜日(または木曜日)であった場合、月曜日(または金曜日)も祝日となり、その前
の土曜日か次の日曜日が平日になるというのが慣例である。ロシア国内にある外国機関の大使館、領事館
などは通常、自国の祝日と上記ロシアの祝日の両方を休みとしている。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
金融システム
概要
金融機関、非公的年金ファンド、保険会社および投資ファンドは、ロシアの金融システムを支える主たる柱
である。
ロシア連邦中央銀行(以下、「中央銀行」)はロシア経済の金融セグメント全体の監督責任を負う、唯一の
金融当局の役割を担っている。その権限は金融機関の監督から、有価証券の発行と証券取引所の取り締まり
にまで及ぶ。中央銀行はロシアの公式通貨であるルーブルを発行する独占的権利を付与され、ロシア連邦の
金融政策の責任を担っている。
現金取引および送金は、金融機関が国家決済システムの枠内において実施する。有価証券、為替およびコモ
ディティの取引は、取引所および取引プラットフォームで行われる。有価証券およびデリバテイブ取引をは
じめとする金融取引を円滑化する主な金融仲介機関としては、プロの有価証券市場参加者(ブローカー、デ
ィーラー、為替ディーラー、資産運用会社、預託機関、および登録機関)、ファンド運用会社およびファン
ド預託機関がある。
銀行システム
金融機関
ロシアにおける銀行業務は、銀行およびノンバンクを含む認可をうけた金融機関のみが行うことができる。
銀行業務は法令で以下の様に定義されている。すなわち、法人および個人の預金の引き受け、集めた資金の
受け入れ、法人および個人の銀行口座の開設と維持、送金の実行、および電子マネーの送金、現金回収サー
ビス、外貨両替、並びに銀行保証状の発行である。
ロシアにおけるすべての認可銀行は、法人からの預金の引き受け、法人の口座の開設、資金の受入れ、およ
び送金を実行する資格を持つ。さらに厳しい諸要件を満たすことのできた銀行は、リテールバンキングの認
可も取得でき、その場合には個人からの預金の募集および個人の口座の開設が可能になる。最低 2 年間優良
な状態にあった銀行は、中央銀行に銀行業務の拡大を申請することで、通常の銀行業務のほぼすべての実施
が認められる一般認可の取得が可能となる。一般認可の範囲外とされる唯一の銀行業務は、貴金属の預入の
募集および販売である。ノンバンク金融機関は、認可証に記載された限定的な種類の銀行業務の実施だけが
認められており、法人からの預金の引き受けおよび法人の口座の開設のみ行うことができる(個人が同様の
業務を行うことは認められていない)。
中央銀行は、銀行業務に適用される法定規制の制定、ロシアの金融機関に適用される財務比率の設定、金融
機関の上級経営陣の任命の承認、法定準備金の保持、適用要件の遵守状況の監視を行う。
2014 年 1 月 1 日以降、ロシアの金融機関はバーゼルⅢの資本規制を遵守することが求められている。バーゼ
ルⅢの規制の導入に伴い、とりわけ、金融機関の劣後ファイナンスに関する新たな規定が制定された。それ
によれば、金融機関は、一定の適正資本比率を満たせない場合またはそれに関連して支払不能防止措置が実
施された場合、劣後ファイナンスに関する義務を放棄することを義務付けられる。
現在、外国の銀行はロシアにおいて直接または支店を通じて銀行業務を行うことは認められていないが、ロ
シアの銀行子会社を設置することは認められている。こうした子会社の設置および営業には、特定の追加要
件が課せられる。(例えば、最高経営責任者が外国人の場合は全従業員数の少なくとも 75%、および役員会
の少なくとも 50%がロシア人でなければならない)。その他、ロシアと外国のいずれの投資家にも適用され
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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る重大な制約として、直接的または間接的にロシアの銀行の株式の 10%(または、それ以上)または支配権
を取得する場合、中央銀行の事前承認を受けなければならない。
外国事業体は、ロシア連邦内の金融機関すべてについて、その定款資本金(株式)合計の 50%を超えて保有
することはできない。外国事業体が保有する株式は毎年、中央銀行によって算定される。新たな金融機関の
登録または金融機関の買収の承認により、外国事業体が保有するロシア金融機関の資本の比率が限度を超え
る場合、中央銀行はかかる登録または承認を行うことができない。
また外国の銀行は、中央銀行の事前承認を条件として、ロシア連邦領土における駐在員事務所設置が認めら
れている。外銀の駐在員事務所は、ロシア市場への参入見通しの評価、および当該銀行のクライアントへの
助言業務の提供を目的とする場合に限り、設置することができる。したがって、外銀の駐在員事務所はロシ
アにおいていかなる銀行業務も行うことはできない。
国家決済システム
2011 年 6 月 27 日付連邦法第 161-FZ 号「国家決済システムについて」(以下、「国家決済システム法」)
は、中央銀行が管理する決済システム、銀行カードの国家決済システム、国家的に重要なその他の決済シス
テムのほか民間の決済システムを含む、ロシア連邦領土における決済システム内の取引に関する法的・組織
的枠組みを定めたもので、銀行口座内の現金および電子マネーの両方に関する送金(電信送金)の手順と仕
組みを定義している。
様々な種類の銀行口座(当座預金(決済口座)、エスクロウ、名義人口座および質権口座を含む)の残高は、
現金を送金するオペレーションの主たる資金源である。
国家決済システム法は金融機関が民間の決済システムを創設することを認めているが、それらの決済システ
ムは中央銀行の監督および監視を受けなければならない。原則として、民間の決済システム内で行われるロ
シアの金融機関間の支払処理および清算は、ロシアの事業体のみが実行できる。民間の決済システムの運営
者は全般に、中央銀行に準備預金を預け、維持することが求められている。ただし、ロシア国内における国
際銀行カードの振替に相当する決済が、銀行カードの国家決済システムを通じて実行されることを保証する
場合を除く。
また国家決済システム法は、金融機関と契約し、当該金融機関に代わり顧客を特定して小口現金または電子
資金の代金の回収あるいは支払を代行する「銀行決済代行業者」や、法人、個人起業家の業務も規制してい
る。個人から小口現金の回収を行う「ノンバンク決済代行業者」の業務も同様の規制に従う必要があるが、
この規制は 2009 年 6 月 3 日付連邦法第 103-FZ 号「決済代行業者による個人からの代金回収業務について」
という別の法律に基づいている。
預金保険
銀行は預金保険制度に加入している場合にのみ、個人からの預金の引き受け、または個人の口座の開設を行
うことができる。この制度は 2003 年 12 月 23 日付連邦法第 177-FZ 号「ロシア連邦の銀行における個人預金
の保険について」(以下、「預金保険法」)に基づいて創設された。
預金保険法は預金保険庁(以下、「同庁」)の創設を定めている。同庁は、預金保険制度の保証機関として
の機能を果たしている。その責務には、保険拠出金の徴収、強制保険プールの資金管理、保険料の設定、お
よび保険金の監視が含まれる。リテールバンキング認可を受けたすべての銀行は、強制預金保険制度の加入
者として同庁に登録される。
同庁は加入銀行に関連する破産防止措置の実施に積極的な役割を果たす。すなわち、問題のある金融機関の
一時的管理の責任を負い、当該銀行(またはその財政再建の責任を負う投資家)に金融支援を提供し、さら
に当該銀行の株式を取得することさえある。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
預金保険制度に加入している銀行には、中央銀行の監視する法定比率(適正資本量、流動性など)の遵守や
財務諸表および報告の信頼性確保、ならびに所有構造の透明性など、様々な要件が課せられる。こうした要
件を満たせない銀行は、個人からの預金の受け入れや個人の口座の開設ができなくなる場合がある。
加入銀行は預金保険基金に拠出金を支払う。こうした拠出金は、当該銀行が維持する個人預金残高の一日当
たり平均額の割合として計算され、上限が定められる。この割合は、加入銀行がいずれかの暦月に預金に基
づいて支払うべき預金利回りの最高水準が、その平均月間利回りを超えているかどうかによって異なる。平
均利回りを超える支払を行う銀行の場合、基準金利(現在 0.1%)が最大 500%引き上げられる可能性があ
る(加重追加金利)。
保険会社および非公的年金ファンド
保険会社
ロシア連邦では、保険サービスは認可を取得した保険会社のみが提供できる。認可取得が必要な事業活動の
種類には、損害保険、賠償責任保険、災害保険、健康保険、生命保険、起業リスク保険、再保険、および保
険仲介業務が含まれる。
保険会社は、生命保険業務と損害保険、賠償責任保険、起業リスク保険の各保険業務の同時提供は認められ
ていない。しかしながら、いずれのタイプの保険会社も健康保険および災害保険を提供することは可能であ
る。
中央銀行はロシアの保険セクターを取り締まり、監督する権限を有する。中央銀行は、保険会社の適性資本
および保険契約準備金の積み立てに関する一定の財務要件を設定するとともに、保険会社、その経営幹部
(officer)および株主の業務に関する規制要件の遵守状況をモニターする。また、保険契約準備金の投資の
ために受入れ可能な資産クラスを決定する規制を成立させる権限も有する。
外国の保険会社は、ロシアでは、直接または自社の支店を通じて保険を提供することは認められない。しか
し、ロシアの保険子会社を設立することは認められている。かかる子会社の事業には、全般的に特定の追加
制限が課される(例えば、国家当局および国営企業には保険を提供することはできない。また、2017 年まで
は生命保険および強制運転者損害賠償責任保険を提供できない)。さらに、外国事業体またはその子会社は、
ロシア連邦におけるすべての保険会社の定款資本金(株式)を合計した場合に 50%を超えて保有することは
できない。外国の保険会社または再保険会社は、ロシアの保険会社が顧客に負う義務の再保険を引き受ける
ことができる(設立国で当該業務の認可を受けている場合)
。外国の保険ブローカーは、再保険に関連する
保険仲介業務を除き、直接または自社の支店を通じてロシアで事業を行うことを認められない。また外国の
保険ブローカーは、ロシアで保険ブローカーの子会社を設立することを認められる。
非公的年金ファンド
認可を取得した非公的年金ファンド(以下、
「年金ファンド」)は、ロシアで年金および退職制度を設立する
ときに最も一般的に利用される体系である。保険会社は、年金保険も提供することができる。
年金ファンドは、民間年金制度(以下、
「民間年金ファンド」)、または強制的な国家年金保険への拠出金の
一部(以下、「強制拠出ファンド」
)
(従業員のためにかかる拠出がなされており、その取得対象従業員が当
該年金ファンドによる運営を選択した場合)を運営する。強制拠出ファンドは、より厳格な規制要件の適用
を受けるが、民間年金制度も運営できる。強制的な国家年金保険への拠出金額は預金保険庁によって保証さ
れている。
新たな年金ファンドおよび強制拠出ファンドは、株式会社の形態でのみ設立可能である。2014 年までに設立
された民間年金ファンドは、2018 年末まで会員のいない非商業的基金として運営を続けることができる。
強制加入の国家年金保険制度に対する拠出金として受け取った資金の投資戦略を決定する場合、強制拠出フ
ァンドが自由に裁量できる範囲は、2002 年 7 月 24 日付連邦法第 111-FZ 号「ロシア連邦における労働年金
の累積部分に対するファイナンシングのための投資ファンドについて」で定められている様々な制限事項に
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よって大幅に制限されている。民間年金制度を運営する年金ファンドは、その投資戦略に適用される制限事
項がより緩やかである。
中央銀行は年金ファンドを取り締まる主要機関として機能し、年金ファンドの適性資本および年金準備金の
積み立てに関して特定の財務要件を定めている。同行は、年金ファンドおよび資産運用会社(かかるファン
ドの資産運用に従事する場合もある)による規制要件の遵守を取り締まっている。
投資ファンドおよび資産運用会社
ロシアにおいて、多数の投資家グループが保有する金融資産の運用を手がけるプロの企業が最も一般的に利
用する形態は、ミューチュアル投資ファンドである。金融資産の運用を直接受託する契約を、認可された資
産運用会社が結び、この契約に基づいて民間の資産運用スキームを設立することができる。あるいは、有限
責任パートナーとして行動する民間法人が投資目的で拠出した資産プールを運用することを運用パートナ
ーに認める投資パートナーシップ契約に基づいて資産運用スキームを設立することもできる。投資パートナ
ーシップ契約は公証が必要であり、一定の法定要件に適合していなければならない。運用パートナーの活動
それ自体は認可を受ける必要はない。
ミューチュアル投資ファンドは通常、
「共同投資ファンド」として設立される。つまり、ファンドメンバー
が共同で所有する資産プール(メンバーの持分は、各々の証書によって表章される)を、認可を受けたファ
ンド運用会社が当該ファンドのルールに基づいて運用する。ファンドのルールは、その投資宣言を含め、中
央銀行に登録することが義務付けられる。ミューチュアル投資ファンドは、株式会社としても設立すること
ができる。ミューチュアル投資ファンドの運営およびその資産運用会社は中央銀行によって厳重に規制され、
中央銀行はかかるファンド運用会社が投資可能な資産カテゴリーなどを定めている。
「顧客確認」(KYC)の手順
資金洗浄防止法
連邦法第 115-FZ 号「資金洗浄およびテロリズムへの資金供与の防止について」
(以下、
「資金洗浄防止法」)」
は 2002 年 2 月 1 日に発効し、その後この地域の国際的状況を反映するべく何度も改訂された。資金洗浄防
止法は、資金洗浄活動およびテロリズムへの資金供与の防止を目的としたロシア連邦の主要な法律であり、
中央銀行や他の当局からの多数の勧告や拘束力のある命令および規制によって補完されている。
資金洗浄防止法は、あらゆる種類の金融機関(特にローン会社、年金ファンド、保険会社、プロの有価証券
市場参加者、ミューチュアルファンド運用会社、決済代行業者、リースおよび債権買取会社など)および携
帯電話会社、質屋、連邦郵便局、不動産業者、貴金属ディーラー、カジノおよびコンサルタント(総称「規
制対象事業体」)など、現金オペレーションを手がける機関に対し、クライアントおよび支払の受け入れに
関する強制的内部規程を策定するよう求めている。
特に規制対象事業体は、相当な注意を払って顧客およびその最終的な実質的所有者(以下、「受益者」)の
身元確認を行うとともに、疑わしい行為がなされていないか取引を監視しなければならない。未登録の信託、
ファンドまたは類似した構造の身元確認においても、その名称、登録および納税者に関するデータ、管轄地
域、資産構成、信託委託者ならびに運用者(受託者)の特定が必要となる。
原則として、取扱額が 1 万 5,000 ルーブルまたは外貨相当額を下回る場合を除き、個人顧客の身元確認が必
要とされる。宝石類を扱う業務にはより高い基準値が設定される。
受益者の身元確認は、公的機関、特定の上場企業および受益者が存在しない外国の未登録構造に関して資金
洗浄防止法に定められた特定の狭い範囲の例外を除き、すべての顧客に関して要求される。このことは、規
制対象事業体が直接、間接にかかわらず、法人顧客の株式を最終的に保有し、かつ法人顧客の資本の 25%を
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超える支配的な出資をしている個人、またはかかる顧客をコントロールできる力を持った個人の身元を確認
することを意味する。
規制対象事業体は、強制制御の対象となる取引を特定し、指定監視当局である連邦金融監視局に報告しなけ
ればならない。こうした取引には特に、小口現金取引、無記名証券を伴う取引、匿名口座への送金、60 万ル
ーブル以上の価値を持つ貴金属および宝石の取得、300 万ルーブル以上の不動産の取引が含まれる。取引の
一方の当事者についてテロリスト活動への関与が疑わしい場合、当該取引は取扱金額にかかわらず強制制御
の対象となる。
規制対象事業体ならびに取引所、取引プラットフォーム、清算人(クリアリング)および中央清算機関は、
資金洗浄またはテロリズムへの資金供与に関連している疑いがあると判断した取引について身元確認を行
うとともに連邦金融監視局に報告することを要求される。さらに、連邦金融監視局はかかる事業体に対して、
その顧客や取引に関連する一定の情報の提供を要請する権限を付与されている。
中央銀行は、資金洗浄防止法に違反する取引に関与した規制対象金融機関に対し、防止措置や強制措置を講
じることができる。防止措置には、違反行為の停止および改善計画の中央銀行への提出を命じることや、追
加的な監視措置を策定することが含まれる。金融機関に関する強制措置には、罰金刑や銀行認可の取り消し
も含まれている。
FATCA 導入法規
米国の外国口座税務コンプライアンス法(以下、「FATCA」)は、外国の金融機関に対して、顧客に関する
身元確認手続を行い、米国の管轄当局に特定の情報を報告することなどを求めている。
ロシアの法規は、ロシアの金融機関が FATCA のために必要となる方針および手続を採用し、実施すること
を認めている。顧客から追加情報を収集し、外国の管轄当局に情報を報告することは、かかる顧客の同意を
得ることを条件に認められている。顧客が情報の開示と報告に対して同意を与えない場合、関係する金融機
関はロシアの法律に基づき、かかる顧客との契約を無効とし、その各々の口座を閉鎖することが許可されて
いる。
ロシアの有価証券規制の原則
有価証券の募集に関する規制
1996 年 4 月 22 日付連邦法第 39-FZ 号「有価証券市場について」(以下、「有価証券法」)は、ロシア連邦
における有価証券の販売および二次取引の両方に関する法的枠組みを確立した。
ロシアの法規では、有価証券以外の金融商品すべてについて公募または売却を禁じており、場合によっては、
外国の有価証券についても禁じている。有価証券法に基づく「有価証券」の定義は、株式、債券、新株引受
権証券、およびロシアの預託証券のみを含んでいる。特定の要件を遵守した場合にはコマーシャルペーパー
も有価証券とみなされるが、ロシアの法律は、コマーシャルペーパーの種類の網羅的なリストを定めており、
有価証券法に明示的に列挙された以外の形式で有価証券を発行することは実質不可能である。
ロシア連邦では、原則として公募・私募にかかわらずすべての有価証券の募集は中央銀行を通じて国家登録
することが義務付けられている。主として、取引所が組織立った取引として受け入れている債券の公募およ
び証書が中央預託機関によって保管される債券の私募については国家登録は要求されない。どちらの場合も、
取引所(中央預託機関)がかかる募集に識別番号を付与したうえで、中央銀行にしかるべき通知を行う。
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公募の場合は、有価証券発行それ自体の登録と同時に目論見書の登録も必要となる。有価証券法により、私
募の場合に目論見書の登録要件が法的に免除される基準が導入される。免除となるのは、募集総額が 2 億ル
ーブル未満の場合や、500 人未満を対象とした非公開募集の場合などである。
プロの有価証券市場参加者、金融機関、投資ファンド、年金ファンド、保険会社および清算人は、法の作用
により「適格投資家」として見なされる。特定の企業や多額の純資産を有する個人は、ブローカーまたは資
産運用会社によって適格の条件を満たしているとされている場合、適格投資家と見なされる。適格投資家を
対象とした有価証券の募集は、対象人数にかかわらず公募とは見なされず、目論見書の登録は必要ない。
目論見書の内容に対する要件は、発行体とその子会社に関する情報(財務諸表を含む)および募集される有
価証券に関する情報が含まれる。ロシア法は、発行体が過去の申請を参照することで特定の情報を目論見書
に援用したり、登録用の最終目論見書を提出する前にその草案を提出してコメントを求めたり、目論見書を
一括登録したりすることを認めている(1 年間有効)。
目論見書を登録した発行体は、四半期報告の公開、および発行体の財務状況や事業活動に影響し得る重大な
事象の公表といった形で、継続開示義務を果たさなければならない。こうした情報はインターネットのサイ
ト上に公開し、場合によってはニュースワイヤーも使って周知させる必要がある。すべての発行済有価証券
(株式を除く)を償還した場合、継続的な開示義務は終了する。自社株式について目論見書を登録した企業
は、株主数が 500 人以下に減少した場合、株主の 95%超が会社の決定を承認した場合、および会社が非公開
企業に転換した場合、中央銀行に申請書を提出することで法定開示義務を免れることができる。
債券発行体は、必要とされる債券保有者の要請に応じて、債券保有者会議を開く権利を有する。この会議で
は、債券発行条件の修正および債券保有者の権利放棄を承認するとともに、債券保有者の代表者(その役割
は、信託証書受託者と同様)を指名することが認められている。2016 年 7 月 1 日以降、債券保有者の代表者
の指名は、債券の公募のすべてにおいて義務化される。
二次取引の規制
中央銀行への国家登録が必要でありながら登録されていない有価証券の二次取引はいかなるものであれ、禁
じられている。中央銀行には登録されているが、かかる有価証券に関する目論見書がない、または発行体が
継続開示義務を負わない場合、または持分証券に関して発行体が公開企業でない場合、かかる有価証券の公
募または販売はいかなるものであれ制限される。ロシアの発行体の有価証券に関するその他の取引は総じて
認められており、有価証券法には強制保有期間は定められていない。
外国発行体の有価証券(および適格投資家のみを対象とすると明示しているロシアの数種類の有価証券)は
ロシアでは「制限付き有価証券」と見なされ、目論見書のない登録有価証券より大幅に厳格化された制限が
二次取引に課される。制限付き有価証券の二次取引は、法の作用により適格投資家である事業体の間または
ブローカーを通じて、他の適格投資家の間のみ許可されている。
外国発行体の有価証券に対する上記の制限は、ロシアの取引所が発行体の作成した目論見書とともに申請書
を提出して要請し、中央銀行が決定した場合に解除することができる。外国発行体の有価証券で、適用され
る外国法により公募を制限されておらず、上場手続の途中段階にあるかまたは国際的に認められている海外
の取引所(ニューヨーク証券取引所、ナスダック、およびロンドン証券取引所など)に上場している有価証
券は、中央銀行の許可を取得せずにロシアの取引所に上場することを認められる。後者のケースでは、国際
的に認められている取引所の同等の要件を満たしている場合、かかる外国発行体はロシアの目論見書開示お
よび継続開示義務を遵守していると見なされる。
ロシア発行体の有価証券の海外での販売のほかロシアの有価証券に関する預託証券または類似プログラム
の設立は、中央銀行の許可がある場合に限り行うことができる。海外で募集できる株式数、および預託証券
プログラムに預入できる株式数は、当該ロシア発行体の資本金の 25%を超えてはならない。
証券化
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EY / Doing Business in the Russian Federation
ロシアの法規は、不動産ローン担保証券、その他の金融資産(クレジットカード債務、個人融資など)のプ
ール資産を担保とした証券のほか長期投資プロジェクトに伴う契約の請求権を担保としたインフラ債券の
発行といった形式の証券化に対する規制の枠組みを定めている。
有価証券法は、証券化商品の発行体のコーポレートガバナンスおよび破産に関する特別規則を定めるととも
に、同じ資産を担保とし、トランシェが異なる証券化商品の発行に対する手順を規定している。
有価証券に関する権利登録制度
一般的にロシアの有価証券は、記名式でも無記名式でもいずれの形式でも発行できる。ただし特定の種類の
有価証券(例えば株式)の発行は、記名式のみで可能である。
ロシアは登録有価証券に関し、二重構造の権利登録制度を採用している。かかる有価証券すべてにかかわる
取引は、認可登録機関が管理する登録簿に記録されなければならない。認可預託機関は登録機関またはその
他の預託機関で名義上の有価証券保有者の口座を自由に開設することができ、当該預託機関が名義人として
保有している有価証券に関する取引を記録する権利を持つ。従って、有価証券保有者は自身の有価証券の権
利を登録機関または預託機関のどちらに記録するかを自由に選ぶことができる。無記名式有価証券の発行の
決議では、その取引を記録する預託機関で当該有価証券を「一元保管」することを定めることができる。
閉鎖型株式会社(CJSC)がロシアの単一の認可中央預託機関として、継続開示義務の対象となる発行体の
あらゆる有価証券登録において、名義上の有価証券保有者となる独占権を有することになる。すべてのロシ
アの預託機関(中央預託機関を除く)は、会計報告を行う発行体の有価証券の登録機関に名義人口座を開設
することを認められない。かかる認可中央預託機関はまた、無記名式で公募された有価証券に関わる取引を
記録する預託機関として機能する独占権も有する。
クリアストリームやユーロクリアなど、主要な国際的および外国の預託機関と決済機関は、ロシアの有価証
券に関して名義上の有価証券保有者の口座を開設する権利があるが、これを行えるのはロシアの中央預託機
関においてのみである。2016 年 7 月 1 日以降、国際的および外国の預託機関(決済機関)は、(有価証券保
有者の権利の行使者との合意に従い)、当該行使者の身元を開示するかどうかを選択することを認められる。
ただし、有価証券保有者の身元を開示しない場合、同人は、議決権および先買権、有価証券保有者の総会で
可決された決議に対する異議申立ての権利ならびに特定の他の権利(有価証券に基づいて支払われる利益を
受け取る権利を除く)を失う。
預託証券または同様の外国有価証券を原資産とするロシア有価証券は、「外国預託機関プログラム口座」に
保有しなければならない。同口座は、中央預託機関に口座を開設しているロシアの預託機関に開設しなけれ
ばならない。外国の預託機関(保管機関)は、こうした外国有価証券(その保有者はロシアの発行体に開示
されている)を原資産とする株式に関してのみ、投票権を行使することが認められている。
プロの有価証券市場参加者
有価証券法は数種類のプロの有価証券市場参加者(ブローカー、ディーラー、為替ディーラー、資産運用会
社、預託機関および登録機関)を特定している。プロの有価証券市場参加者の活動は、中央銀行の認可を受
けたロシアの法人のみが遂行できる。
中央銀行はプロの有価証券市場参加者に対する監督機能を果たす。特に、同行は上級経営陣の資格要件を設
定し、内部統制、内部監査およびリスク管理手続への遵守状況の監視を行う。
外国の金融会社は、ロシア連邦の領土内で自社の金融サービス(認可サービスおよび非認可サービスのいず
れも含む)を一般向けに提供(宣伝)すること、またはそれに関する情報を一般向けに広めることを制限さ
れる。しかしながら、現在のところ、外国企業が有価証券市場でプロの活動を行うロシアの子会社を設立す
ることは一切制限されない(例外として、金融取引に関する情報を開示していないと認識された管轄地域(例
えば、リヒテンシュタイン、英領ヴァージン諸島、ガーンジー島)で設立された事業体は、為替ディーラー
を直接・間接に所有することまたは支配することを認められない)。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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また外国事業体は、中央銀行の事前承認を条件として、ロシア連邦の領土内における駐在員事務所設置も認
められている。駐在員事務所は、ロシア市場への参入見通しの評価、およびクライアントへの助言業務の提
供を目的とする場合に限り、設置することができる(駐在員事務所はロシアにおいてプロの有価証券市場参
加者の活動を一切行うことができない)。
ロシア有価証券市場の統制および監督
有価証券市場に対する統制および監督は中央銀行が行う。中央銀行は、有価証券市場に関する政府の政策を
実行し、有価証券市場におけるプロの参加者の活動を規制し、投資家および株主の権利を保護する。中央銀
行の主な役割は以下の通りである。
► 関連規制を採用するなど、有価証券市場に関する規制の法的枠組みの策定を行う。
► 有価証券市場の発展に向け、主要な方向性を決定する。
► 有価証券の募集、目論見書、および有価証券の募集に関する報告を登録する。
► 有価証券市場に関し、適切な記録を維持するとともに情報開示を推進する。
► 有価証券市場におけるプロの参加者に対してライセンスを発行し、監督する。
► 検査の実施、強制的命令の発令、行政行為の発動、およびその他法的措置の策定を行う。
さらにロシア市場には、プロの有価証券市場参加者が結成する自主規制組織が多数存在し、会員の活動にか
かわる統一基準の作成に当たっている。例えば、登録機関・証券代行機関・預託機関専門家協会(PARTAD)、
主としてプロの有価証券市場参加者として認可を取得した銀行が結成した全国有価証券協会(NFA)、ノンバ
ンクのプロの有価証券市場参加者も加盟する全国株式市場参加者協会(NAUFOR)がある。
為替管理
一般原則
ロシアの為替管理規則は、ロシアの居住者と非居住者に対し、それぞれ別の要件を求めている。これらは税
務上とは異なる定義であるため、留意する必要がある。為替管理規則上の定義は以下の通りである。
► ロシア国民。ただし、永久的または 1 年以上にわたり一時的に国外に居住する者(1 年を超える期間
の外国の居住許可、労働または学生ビザを持つ者を含む)を除く。
► 居住許可を受けてロシアに永住する外国国民および無国籍者。
► ロシアの法律の下で適切に登録された法人、および外国にあるロシア法人の支店、駐在員事務所およ
びその他の支部。
► ロシア国外に設置されたロシアの外交代表、領事館、その他の公的代表機関。
► ロシア連邦、およびその諸地域、ならびに地方自治体。
►
その他のすべての個人および団体は非居住者と見なされる。ロシアにある外国法人の支店、駐在員事務所お
よびその他の支部は非居住者となる。
居住者と非居住者との間のルーブルおよび外貨による支払、またはルーブルおよび外貨建の有価証券を伴う
取引は、政府または中央銀行によって特別な規制が設けられない限り、いかなる制限もなく締結できる。
ロシア居住者間の外貨建取引は禁止されている(すなわち、ロシア居住者間の支払はロシアの公式通貨であ
るルーブルで行わなければならない)が、法律で定められた例外がいくつかある。居住者は外貨単位で契約
価格を決めることができるが、支払はルーブルで行わなければならない。この場合、取引が成立した日と支
払日との間で為替差損益が生じる可能性がある。
非居住者間では、外貨での支払が基本的に無制限で認められている(非居住者間での有価証券の売買も認め
られているが、こうした取引はロシアの有価証券規制および反トラスト規制の対象となり得る)。非居住者
間のルーブルでの支払は、ロシアの銀行に開設した口座を通じてのみ認められている。
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ロシア居住者に対する為替管理制限
端的に言えば、ロシアの為替管理規則は次の 3 つの主要要件に集約される。(i)輸出取引で得た現金は国内
の銀行口座に戻さなければならない。(ii)外国銀行に開設した口座は制限付きで運用できる。(iii)非居住
者との取引に関する具体的な報告が国内銀行に対してなされる。
それと同時に、企業や個人の外国為替取引額に制限はなく、外国投資家は一つの銀行口座のみを必要とし(資
本口座は不要)、資本の投入および配当の分配は制限されないかまたは為替管理の観点から審査され、いか
なる取引に関しても為替管理当局の承認は要求されない。
居住者と非居住者の取引に関する主な要件は以下の通りである。
► 居住者は輸出取引で得たルーブルおよび外貨建収益を本国に送金するとともに、未完了の輸入取引に
基づいて外国当事者に支払った為替を返金しなければならない(本国送金の義務を、居住者が非居住
者に供与した融資の返済にまで拡大しようとする法案が審議中)。
► ロシア居住者は、海外の銀行で銀行口座を開設した場合、これを税務当局に通知しなければならない。
ロシア居住者はまた、税務当局に対し、銀行口座の開設または閉鎖に関する通知、および当該口座に
関する通常のキャッシュフロー報告書を提出しなければならない(法人は四半期に 1 回、個人は年 1
回)。
► 居住者は、非居住者との通貨取引を取引パスポートによって文書化しなければならない。取引パスポ
ートとは、ロシアの銀行の支援を得て開設する特別な書類である。銀行は取引パスポートを通じて当
該為替の受領および返済を中央銀行に報告する。現時点では、契約(融資契約を除く)の総額が 5 万
米ドル以下の場合、取引パスポートは不要である。
► 外貨および外貨建小切手(トラベラーズチェックを含む)は、外貨建取引を行う特別認可を取得して
いる銀行を通じてのみ売買することができる。
► 個人が一定の限度額を超える為替をロシア国外に輸出する場合、これを申告しなければならない。
ロシア居住者による海外銀行口座の取引には、厳しい制限が課せられる。居住者がかかる口座で資金を受領
できるのは、ロシア為替管理規制に具体的に示されたいくつかのケースに限られる。そうしたケースには以
下のものがある。
• 口座開設に必要な最低限の預金
• 当該居住者がロシア国外において履行する雇用義務を定めた雇用契約に基づいて、非居住者が支払っ
た給与およびその他の支払
• 当該口座の残高に対する利息
• 現金預金
• 当該口座の資金を利用して行った外国為替取引から生じる現金
• 年金、給付金、扶養費およびその他の社会保障費
• 非居住者の保険会社から支払われた保険金
• 居住者個人に返却される資金。間違って送金された資金、および非居住者から購入し、返品した商品
またはかかる非居住者によって提供された有料サービスに関して居住者個人に返却される資金など
が含まれる。
以下についても、居住者個人が経済協力開発機構(OECD)および金融活動作業部会(FATF)に加盟し
ている国において保有する銀行口座に対して非居住者が支払うことが可能である。
• 居住者個人がロシア連邦外に所有する不動産およびその他の資産を非居住者に賃貸(転貸)して得る
収入
• 補助金
• 居住者個人が所有する外国の有価証券の発行条件に基づいて支払われる累積(クーポン)金利収入
• 外国の有価証券から得られるその他の収入(配当、債券および為替手形に対する支払、外国の有価証
券発行体の定款資本金の減額に関わる支払)。
• 非居住者である受託運用会社が資金の投資および/または有価証券から得た現金
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•
2018 年 1 月 1 日以降 - 外国有価証券の売却による収益(それらの有価証券がロシアの取引所または
中央銀行の承認リストに記載された外国の取引所に上場されていることが条件)
為替管理法違反に対する責任
従来、為替管理を含め、金融および予算関連領域の管理と監視を担当するロシアの国家機関は、連邦金融・
予算監督局(Rosfinnadzor)であった。しかし、同局は 2016 年 2 月に大統領令によって廃止され、その権限
は税務局と税関の間で分割された。現時点でこの改革はまだ完了していない。
為替管理法違反に対する罰則は非常に厳しいものになり得ることを認識すべきである。行政法上の違反に関
する規則では、違法な通貨取引および本国送金規制の違反には、違反金額の 75~100%の行政的罰金が科せ
られると定められている。さらに、一部の違反に関しては、規制違反した法人の役員に懲役を含む刑事責任
が追加的に科せられる場合がある。為替管理法に違反したロシア銀行は、認可を取り消される可能性がある。
ロシア為替管理法の違反例を以下に挙げる(これらの違反については、ロシア居住者のみ責任を問われるこ
とに注意)。
► 外国の請負業者がロシアのサプライヤーに期日までに支払をしない、あるいはロシアの顧客に商品を
納入せず、それら商品の前払金を期日までに返還しない(すなわち、ロシア居住者が本国送金義務を
果たせない)。
► ロシア居住者がロシア銀行以外の当事者と為替の先物、スワップまたはオプション契約を締結するこ
と
従って、ロシア国内の事業体がロシア以外の企業と債権放棄、貸倒償却、またはその他の類似取引に関与す
る場合には、いかなる状況においても、重要な取引を契約する前に為替管理について十分に配慮することを
強く推奨する。
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法人
ロシアにおける事業形態
営利法人と非営利法人
ロシアの会社法では多様な種類の法人が定められており、一般的には (1) 営利法人および (2) 非営利法人
の 2 つの分野に分けられる。営利法人には会社、パートナーシップ、および商業協同組合が含まれるが、こ
れらに限られない。非営利法人には基金、協会、政府機関等が含まれる。
法人
ビジネスの実務において最も一般的に利用される事業形態は法人である。法人は、有限会社(LLC)または
株式会社(joint stock company、JSC)のいずれかの形態として設立される。以下では、法人の活動を規制
する主要な原則の概要を説明する。
設立
法人は一定期間に限定してまたは無期限にわたり設立できる。
設立者は、会社設立に当たり設立に関する決定を下さなければならない。その中には、設立当初の定款資本
金額の承認、会社定款の承認、単一執行機関の任命および会社の登記住所の決定が含まれていなければなら
ない。設立者が 2 社以上の場合には設立の合意書を承認しなければならない。
法人登記
法人は、税務当局によって連邦登記簿に登記がなされた時点で設立されたとみなされる。
会社定款の変更および会社に関する一般情報の変更は、連邦登記簿に登録されなければならないが、申請書
類を公証人に提出すること行われる。公証人は、これらの書類を公証したうえで税務当局に送付する責任を
負う。税務当局は、連邦登記簿に各々の記載を行うことにより、変更された会社定款および会社情報を登録
する。
連邦登記簿に登録された情報は公開情報である。連邦登記簿の抄本は企業のステータスや、その現在の単一
執行機関に関する正式の情報源とみなされる。有限会社の場合、連邦登記簿の抄本は、各出資者の出資持分
の価額を証明するものとなる。
株主名簿
株式会社は株主名簿を維持管理する特別認可会社を任命することを義務付けられている。株主名簿には、株
式会社の株式総数に関する情報のほかその株主に関する情報が記載されている。株主が保有する実際の株数
は株主名簿の抄本によって確認できる。
設立時の定款資本金の払い込み期限
有限会社の場合、法人登記の時点から 4 ヶ月以内に設立当初の定款資本金を払い込まなければならない。
株式会社の場合、法人登記の時点から 3 ヶ月以内に設立当初の定款資本金の 50%を払い込み、残りの 50%
を法人登記の時点から 1 年以内に払い込まなければならない。
定款
法人は定款を有する必要がある。定款は、法人に関する一般情報を記載するとともに、法人の内部の組織に
関する一般原則のほか、株主や出資者の一般的な地位を定めた文書であり、公開情報である。定款の変更は、
出資者総会の承認を受けたうえで税務当局に登記しなければならない。
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株主間協定
有限会社の出資者間および株式会社の株主間において株主間協定の締結が可能である。株主間協定を取り交
わすことにより、当事者は、株主総会における特定の決議方法を定めたり、他の株主/出資者との間で決議
権について合意したり、特定の事態が発生した場合に事前に決定した価格で株式/出資持分を取得・売却し
たり、特定の条件下で株式/出資持分の移転を差し控えたり、ならびに/または会社およびその活動の運営
に関連するその他の措置を講じたりすることができる。
株主間協定は、すべての出資者/株主の間または一部の出資者/株主の間において締結することができる。
債権者およびその他の関係者も株主間協定の当事者となることができる。株主間協定は機密文書である。
定款資本金
有限会社および株式会社の定款資本金の最小額は 10,000 ルーブルである。他方、公開型株式会社の定款資
本金の最小額は 100,000 ルーブルである。定款資本金の上限は制限ない。
設立当初の定款資本金が全額払い込まれた場合に限り、株主総会で定款資本金の増資または減資することを
決議できる。定款資本金の増資は、現金または現物により行うことができる。現物による定款資本金への出
資は、有形資産、株式会社の株式、有限会社および商業パートナーシップの出資持分、ならびに公債・地方
債および知的財産に限定される。
株主/出資者または他の第三者が債権者の場合、その債権との相殺という形でも定款資本金を払い込むこと
ができる。
純資産額
会社の定款資本金はその純資産額を下回ってはならない。会社は設立後 2 年以内に事業を開始しなければな
らず、また 2 年目以降、定款資本金が純資産額を下回っているかどうかを毎年点検することを義務付けられ
る。純資産額が会社の定款資本金額を下回った場合、株主/出資者は翌会計年度以内に純資産を増加させな
ければならない。この是正期間の終了時に純資産額が依然として定款資本金額を下回っている場合、株主/
出資者は 6 ヶ月以内に定款資本金の減資を決定しなければならない。純資産額が定款資本金の最小額を下回
った場合、株主/出資者は会社の清算を決定しなければならない。
単一執行機関
委任状がなくとも会社を代表して行動する権限を有する唯一の機関が単一執行機関(代表取締役、取締役、
社長等)である。
単一執行機関は以下のいずれかによって構成される。(1)1 人の個人(2)共同で単一執行機関として行動する
複数の個人、(3)複数の単一執行機関として別々に行動する複数の個人、および(4)経営管理会社として行動
する法人。
委任状がなくとも会社を代表して行動する権限の代わりに、単一執行機関の権限は雇用法関連の事項も含ん
でいる。
株主総会
株主総会は最低年 1 回は開催しなければならない。有限会社は 3 月 1 日から 4 月 30 日までの間に、株式会
社は 3 月 1 日から 6 月 30 日までの間に年次総会を招集しなければならない。それ以外の株主総会は臨時総
会とみなされる。
株主総会の非執行権限は会社定款によって制限される。株主総会の執行権限は会社法によって制限され、最
も重要かつ戦略的な事項を定める基本的権限のみを含んでいる。それらの権限には、例えば、会社清算、再
編成、定款資本金の増減、配当の支払、定款の変更、単一執行機関の任命および解任、ならびに取締役会の
任命および解任等がある。
会社の株主/出資者が 1 人しかいない場合、これらの株主総会の手続をは適用されない。
取締役会
非公開の会社では、取締役会は必須の会社機関ではない。通常、この機関は公開会社が頻繁に株主総会を招
集する必要性を回避するためによく利用されている。取締役会の特定の権限は、株主総会および単一執行機
関の専属的権限を除き、定款で定めることができる。
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有限会社
定款資本金は出資者数に等しい数の出資口から成り立っている。各出資者は 1 出資口数を保有し、その額面
価額は定款資本金に対する出資者の出資額に応じて決まる。出資者は出資持分の全体または一部を譲渡する
権利を有する。
出資者は出資持分または出資持分の一部を別の出資者に売却またはその他の方法で出資権を移転する権利
を有する。但し、有限会社の定款において他の全出資者および当該法人の事前の同意が求められている場合
を除く。
定款で直接禁じられている場合を除き、出資者は出資持分または出資持分の一部を第三者に売却またはその
他の方法で出資権を移転することができる。他の出資者全員および/または当該企業は、第三者が支払うと
合意した買取金額または定款がかかる状況に関して定めた金額で、かかる出資持分または出資持分の適切な
部分を取得できる先買権を有する。
出資持分全額または出資持分の一部を移転するための売買契約またはその他の契約は、公証としなければな
らない。
定款で直接定められている場合、出資者は当該企業に出資の脱退を申請する権利を有する。出資者が出資か
らの脱退を書面で要求した場合、
当該企業はかかる出資持分を現在価値で 3 カ月以内に買い戻す義務がある。
有限会社への出資者は最大 50 人である。有限会社は、単一の者(法人または個人)のみによって所有され
る者(法人/個人)を唯一の出資者とすることは認められない。
株式会社
株式会社の定款資本金は等しい額面価額の株式から成り立ち、株主は 1 株またはそれ以上(最大持株比率 100%
まで)の株式を保有する権利を持つ。
株式会社の定款資本金を構成する株式は有価証券に相当する。従って、株式を発行する場合には必ず、先の
「株式取引および有価証券」の項で説明した通り、中央銀行に届け出なければならない。
株式会社は、普通株式と優先株式のいずれも発行できる。様々な優先株式が認められているが、優先株式の
額面価額の総額は当該株式会社の定款資本金の 25%を超えてはならない。新規株式を発行する場合、株式は
私募または公募によって株主や第三者に配分される。
定款資本金の増資を行う場合、株主は、株式の追加発行または 1 株当たりの額面価額の引き上げのいずれか
を決定することができる。
株主は、保有する株式を第三者に売却またはその他の手段で処分する権利を有する。株式会社の場合、その
他の株主全員および/またはかかる株式会社は、第三者と合意した購入金額でかかる株式を取得できる先買
権を有する。
閉鎖型株式会社の株主数は最大 50 人を超えることができないが、公開型株式会社の株主数に制限はない。
株式会社では、単一の者(法人または個人)のみによって所有される者を唯一の株主とすることは認められ
ない。
株式会社の財務諸表は毎年、外部監査人の監査を受けなければならない。
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公開型株式会社
公開会社は株式会社の形態によってのみ設立することができる。公開型株式会社は、会社名および定款に法
人形態が公開型株式会社であることを示さなければならない。
公開型会社は法が定める情報の開示を義務付けられている。公開型会社の株主総会の権限は法によって制限
されている。公開型株式会社はその企業組織に取締役会を設置しなければならない。公開型株式会社の場合、
特定の株主に先買権は存在しない。
公開型株式会社の株式のみ証券取引所で売買することができる。
ある株主または第三者が一回の取引または複数の関連取引において、公開型株式会社の株式の持ち分比率が
規定値である 30%(または 50%、または 75%)を超えた場合、公開型株式会社の残りの株式を買い取るために
他の株主全員に対して公開買い付けを発表しなくてはならない。この公開買い付けの過程において、特定株
主の持株比率が規定値 95%を超えた場合、かかる株主は公開型株式会社の残りの株式に関して全株式取得権
を持つ。この場合、残りの少数株主は保有株式を売却する義務が生じる。
非公開型のステータス
株式会社は、会社名および会社定款に公開型株式会社としての法人形態が直接規定されない場合、非公開型
の法人形態とみなされる。
合弁会社および子会社
合弁会社および子会社の設立において最も頻繁に使用される形態は、有限会社および株式会社である。これ
ら 2 つの法人形態の基本的な相違点について以下にまとめた。
有限会社
株式会社
標準の登記手続
標準の登記手続に加え、中央銀行への株式の登録が
必要
定款資本金の少なくとも 4 分の 3 を登記前3ヶ月以
定款資本金は、登記後4ヶ月以内に払い込まなけ
内に、残額を登記後 1 年以内に払い込まなければな
ればならない。
らない。
出資者が重大な違反行為を犯した場合、裁判所の
判定により出資者を有限会社から除外することが 株主を除外することはできない。
できる。
定款に明示的に定められている場合、出資者は当
株主は、(株式を売却する以外の方法によって)
該企業よりいつでも脱退でき、出資持分の 実際価
企業より脱退することが認められていない。
値を受け取ることができる。
株式を取得する先買権が行使された場合、出資持
株式を取得する先買権が行使された場合、株式の
分の買取価格は事前に定款に記載された価格また
買取価格は買い手に提示された価格である。
は買い手に提示された価格のいずれかである。
各出資者および出資持分の口数、額面価額に関す 各株主および保有株式数、額面価額に関する情報
る情報は、税務当局が管理する会社登記簿に登録 は、認定登録機関が管理する株主名簿に登録されて
されている。
いる。
出資権の移転は通常、ロシア公証役場での認証を 必 株式所有権の移転は、株主名簿をしかるべく変更す
要とする。
ることによって行われる。
企業資産への資金拠出は許可されている。かかる
企業資産への資金拠出は、適用法規において定めら
拠出は定款資本金の総額または各出資者の持分の
れていない。
額面価額に影響を及ぼさない。
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外国法人の支店、駐在員事務所
外国企業は、ロシア法人を設立せずに、支店や駐在員事務所を登記することによりロシアで活動すること
ができる。支店や駐在員事務所の主な利点は、株式会社や有限会社と比べ法人を維持するための事務、税
務、会計処理上の負担が少なく、また外国為替管理法上は非居住者とみなされる点にある。
支店
外国法人のロシア支店は、ほかの国に登記されている外国法人の支部にあたる。支店は代表機能を含む、
法人としてのすべての機能を果たすことができる。支店長は、外国法人の代表者から発行される委任状に
基づいて活動することになる。支店は本店と同一法人と見なされるため、本店は支店の行動、義務に対し
てすべての責任を負うことになる。ロシア法人にしか発行されないライセンスを必要とするような事業を
行う場合には、支店形態は適切でない。また、大規模な輸入活動が行われるような場合、通関手続はロシ
ア法人として行うほうが容易なため、支店の法人形態は向かないと思われる。
さらに、外国法人の支店は税務署、社会保障積立基金、その他の国家機関に登記を行わなければならない。
活動内容によってロシアでの課税対象となるかどうかが決定される。課税対象業務が行われていない場合
や課税所得が発生していない場合でも、税務署への申告書提出は必要である。
駐在員事務所
駐在員事務所は、ロシアにおいて外国法人の利益を代表する機関として認識されている。駐在員事務所は
民法の規定において商業活動を行うことが許可されていない。駐在員事務所の主な目的は、一般的に本社
とロシア企業との商業上の関係を促進し、ロシア市場に関する情報収集をすることである。実際には、多
くの外国法人は駐在員事務所の形態で商業活動に従事している。
特定の商業活動に従事するためにライセンスまたはその他の許可証を得る必要がある場合、ロシアの関係当
局は、商業活動を行うことが禁じられているという理由で、駐在員事務所に必要なライセンスまたは許可証
を発行することを拒否することがある。
2015 年 1 月 1 日からは、外国法人の駐在員事務所も高度な専門性を有する外国人制度の下で外国籍の社員を
雇用することが認められることとなる。(詳細は、「入国管理法」をご参照)
駐在員事務所は、税務署、社会基金、その他の国家機関への登録が必要となる。
ロシアにおける登記
ロシア法人、およびロシアに拠点のある外国法人の支店及び駐在員事務所は、様々な国家機関に登録する
必要がある。ロシア法人は、国家登録と税務登録を行う国家登録機関(税務署が両方の登録を行っている)
に加え、統計局、及び3つの社会基金(年金、社会、義務付けられた医療保険)に登録する必要がある。
外国法人の支店及び駐在員事務所はモスクワ税務署に登録と認証を受け、地元の税務署、統計局、社会保
障積立基金にも登録する必要がある。
外国投資家は登記の過程においてロシア当局の形式主義、つまり、なにごとにも時間を要するという問題
に直面する。まず、登記機関へ提出する必要書類の収集、草案の作成(外国法人の登記書類の公証・アポ
スティーユ、新設のロシア企業の定款等)に相当の時間を要する。登記作業自体は、ロシア法人は通常、
必要書類の提出から2週間程度かかる。外国法人の支店・駐在員事務所の登記の場合、必要書類の提出か
ら6週間程度かかる
また、提出された登記関連文書が不十分とみなされた場合、再提出が必要となる。さらに、一部の機関へ
の登記は順序を経て行なうことから、ある段階の登記プロセスの遅延は、その後の登記プロセスに影響を
及ぼす。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
19
法人が実際に稼動するためには、そのほかの手続も必要である。例えば、銀行口座の開設、社印の作成、
株式発行について中央銀行への登録(株式会社のみ)等がそれにあたる。
一方、ロシア法人、外国企業の支店、駐在員事務所は登記手続の全てが完了するまで活動できないという
わけではなく、ロシア法人は国家登録と税務登録を済ませ、社印を作成し、銀行口座を開設した段階で操
業が可能になる。外国法人の支店・駐在員事務所は、モスクワ税務署からの認証と登録、地元の税務署へ
の登録、社印の作成、銀行口座の開設以降の実際に活動を開始することができる。
M&A(合併・買収)
独占禁止の管理
一定の取引(合併、買収、新会社の設立、株式や資産の売買など)は独占禁止法の規制下に置かれること
もある。特に、取引に関与した企業の資産規模、売上金額、市場占有率等が一定の要件を満たす場合、連
邦独占禁止局の事前承認や事後通知が必要となる。
戦略企業に関する制限
戦略的に重要で、特別な保護が必要な経済産業分野への外国企業の投資には一定の制限が設けられている。
戦略的重要性を持つ 42 種類の分野が指定されており、環境、原子力産業、軍事装備、産業用爆発物、航
空、宇宙、マスメディア、自然独占セクター等が挙げられる。上記の分野で事業を行う戦略企業の支配獲
得行為は法律により規制・制限されている。
20
EY / Doing Business in the Russian Federation
法人への課税
税制
ロシア税法に記載・規定されているロシアの各種課税には、以下のようなものがある。
► 連邦税 - 付加価値税(VAT)、物品税、個人所得税、法人利潤税、鉱物採掘税、水税、野生生物・
水生生物資の使用に係る税金、国家課徴金
► 地方税 - 資産税、賭博税、車両保有税
► 市町村税 - 土地税、個人への資産税(税法には含まれていないが、1991 年 12 月 9 日付け連邦法に
基づく)
税率一覧
法人の所得及びキャピタル・ゲインに係る税率については、下記にまとめた通りである。
法人利潤税
20% (a)
キャピタル・ゲイン課税
20% (b)
支店送金税
0%
源泉税
配当
0%/9%/15%/30% (c)(g)
特定の種類の国債・地方債、モーゲージ担保債券、モーゲージプールの参
0%/9%/15%/30% (d)(g)
加証券から生じる特定所得に係る利息
外国企業へのその他の利息支払
20%/30% (g)
国際運送業に係る所得で、船舶や航空機の貸付、国際運送やコンテナの使
10%
用からの所得
ロシアにおける資産の使用から生じるレンタル所得
20%
外国企業へ支払われる特許、ノウハウ等の使用料(ロイヤルティ)
ロシアにおける不動産の売却益、ロシアにおける不動産が総資産の 50%
超を占める会社の株式の売却益
外国企業へ支払われるその他のロシア源泉所得
罰則金
20%
20%
20% (e)
20%/40%(f)
(a)法人利潤税の基本税率 20%の内訳は、連邦税 2%、地方税 18%となっている。地方政府は、地方税率部分に
ついて 4.5%を上限に減免する(即ち、地方税率を 13.5%に定める)ことができ、法人利潤税率が 15.5%まで
下がることがある。法人利潤税率 0%が適用されている新しい沖合いの炭化水素鉱床における教育活動や医
療活動に関わる所得への法人利潤税 20%は全額連邦税となる。例外として、特定の教育活動や医療活動に関
わる所得には法人利潤税率 0%が適用されている。また
新しい沖合いの炭化水素鉱床における所得への法人利潤税 20%は全額連邦税となる。
(b)ロシア企業のキャピタル・ゲインは法人利潤税の課税所得に加算される。尚、特定の場合、外国法人が
得たグロスの所得に 20%課税される可能性がある。(「キャピタル・ゲイン・ロス」の項参照)。
(c)ロシア国内に恒久的施設(PE)を持たない外国法人に支払われる配当には 15%の源泉税が課されるが、租
税条約を適用することで源泉税率が引き下げられる場合もある。ロシア企業が受領する配当に課される税率
は 13%だが、資本参加免税の適用対象とされる場合は免税措置を受けられる。この免税制度の下では、ロシ
ア企業が他のロシア・外国の企業に適格資本参加している場合は、その企業からの受領配当は、免税扱いと
なる(「配当所得」の項参照)。
(d)特定の種類の国債・地方債、モーゲージ担保債券、モーゲージプールの参加証券から生じた特定所得に
係る利息には、軽減税率が適用される。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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(e)ロシア国内における物品・その他資産(ロシアの不動産または、不動産が総資産の 50%超を占める会社
の株式、及びその金融派生商品については除外)・所有権の売却、作業、あるいはサービス提供で生じる事
業所得に属する項目については、ロシアでは一般的に源泉税の対象外とされる。
(f)罰則金は 20%(意図的な違法行為とみなされた場合には 40%)である。移転価格税制における罰則金は
2014 年ー2016 年の間は 20%に低減されているが、2017 年以降は 40%である。(「移転価格」の項参照)
(g)ロシアの有価証券(ADR や GDR を含む)について、ロシアのカストデイアンに登録している外国の口座に
関する実質的な所有者に関する情報が提供されていない場合、それらの証券から支払われる金利、配当に懲
罰的な源泉税率 30%が適用される場合がある。
なお、上記の源泉税率は、ロシア国内における PE を通じて営業活動を行っていない外国法人に対する支払
に適用される。
法人利潤税
納税者
法人利潤税上の納税者とは(i) ロシア法人と(ii) 外国法人のうち恒久的施設を通じてロシア国内で営業活
動を行うか、ロシア源泉所得を受領する外国法人、あるいはその両方に該当する法人である。
ロシア法人
ロシア法人は全世界所得に対して課税される。
連結納税制度
連結納税制度とは、法人利潤税の納税にあたり、グループ企業のすべての損益の合計に基づいて法人利潤税
の計算及び支払ができる制度である。ただし、連結納税グループ合意書は税務当局に登録され承認されなけ
ればならない。
グループに参加することができるのはロシアの会社だけであり、少なくとも 2 年間はグループを継続しなけ
ればならない。但し、2018 年 1 月 1 日以降に登録される連結納税者は、5 年間そのグループを継続しなけれ
ばならない。一方の会社が、他方の会社の最低 90%の資本を直接又は間接に所有する場合、グループに参加
することができる。
グループ会社はグループ結成の申請時に最低でも次の要件を満たすことが必要である。
► 前年度(暦年)に最低 100 億ルーブルの連邦税を納付したこと。
► 前年度のグループの総収入が最低 1,000 億ルーブルであること。
► 前年度末(12 月 31 日付け)のグループ総資産額が最低 3,000 億ルーブルであること。
グループの中の一法人が「グループ責任者」としてグループ全体の税務会計、税額計算、納税の責任を有す
る。 グループ責任者が連結納税申告書を税務署に提出し、納税する。もしそのグループ責任者が責任を果
たすことができない場合には、未納額、加算税、延滞税についてグループの参加者が連帯責任を負う。
グループ参加者の間の取引は、移転価格税制の対象外である。税務調査はグループ会社全社に対し同時に行
われる。
2015 年―2017 年の間、あたらな連結納税者としての登録が凍結されている。そこで今年から来年にかけて
連結納税者としての登録はできず、2014 年―2015 年にかけて登録されたグループには、連結納税制度が認
められていない。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
恒久的施設を有する外国法人
外国法人の恒久的施設(以下「PE」)とは、支店、駐在員事務所、出張所、事務局、事務所、代理人、または
ロシアで恒常的に営業活動を行っているその他の経済的に自立した部門やその他のロシア国内の場所で、そ
れを通じて、企業が事業を行う一定の場所のことを指す。
2014 年 1 月 1 日より、外国法人が新しい沖合いの炭化水素鉱床においてオペレーターとして採掘に伴う活動
は、ロシアにおける外国法人の活動とみなされる。これらの沖合いの炭化水素鉱床は、ロシアの領海の外に
位置する可能性もあることから、この取り扱いは、外国法人がロシアで PE が生じる場合とは、ロシア国内
で活動を行う場合であるという原則の例外となる。
一定の活動場所を通じて営業活動が恒常的に開始された時に、PE が発生したとみなされる。「恒常的」に関す
る明確な定義はなく、企業活動の結果として PE が発生したかどうかというのは、個々の状況によって判断
される。しかし、一般的には反復的に事業活動が実施されている形態と理解されており、一度切りの事業活
動には適用されないと考えられている。PE の発生は、外国法人が、その活動場所を税務署に登記したかどう
かに左右されない。またその外国法人が駐在員事務所として登記したのか支店として登記したのかにも左右
されない。
外国法人の PE はロシアの従属代理人の活動によっても生じることがある。従属代理人とは、外国法人との
契約に基づき、その外国法人のロシアでの利益を代表し、その外国法人の名前でロシアで行動し、その外国
法人の名前で契約書を締結したり契約の重要事項について交渉する権限を有し且つこれを反復して行使し、
その結果、代理人の行為がその外国法人に法的な拘束力をもつ者と定義されている。
但し、以下の活動はロシアにおける PE とはみなされない。
・本社のための準備的・補助的な業務活動を遂行すること
・ロシアにおける有価証券・株式・その他の資産の保有
・ロシア法上のシンプルパートナーシップ契約の締結
・他のロシア企業への人材派遣
・ロシアへの商品輸出又はロシアからの商品輸入
税率
法人利潤税率は 20%である。法人利潤税は連邦税、地方税部分に分けられ、下記が現在の税率配分である。
連邦税
2%
地方税
18%
地方政府は地方税部分の税率を 13.5%にまで引き下げることができる。
例外として、教育活動や医療活動に関わる所得には法人利潤税率 0%が適用されている。また
新しい沖合いの炭化水素鉱床における所得への法人利潤税 20%は全額連邦税となる。
配当(以下の「配当所得」を参照)、外国法人に支払われる所得や特定の利息等、特定の種類の所得には、
異なる税率が適用される。
課税基準
課税対象となる利益は、ロシア法人の場合、総所得ら損金算入可能な経費を差し引いた額である。
他方、外国法人の場合は、(i) 恒久的施設を通じて獲得した所得から恒久的施設が負担した経費を差し引い
た額、(ii) 一定の種類のその他のロシア源泉所得、と定義される。
2015 年 1 月 1 日以降、特定の外国法人はロシアの税制上の居住者とみなされ、ロシア法人と同じ税制が課さ
れる可能性がある。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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課税所得
総所得には、商品(作業・サービス)の提供による営業所得、営業外所得 (借款協定の下で受領した利子所
得、リース物件からの収益、配当やその他の所得等) が含まれる。
課税所得の算出においては、損金算入可能な経費を控除することができる。
非課税所得
税法において、課税が免除される所得がいくつか定められている。
代表的なものに、次の条件をみたすロシア法人の無償の資金援助受領が挙げられる。
(i) ロシア法人の定款資本金の 50%超を保有する親会社(または個人)からの資金援助
(ii) ロシア法人が資本金の 50%超を保有する子会社からの資金援助
但し、この免税は、受領した資産(現金など金融資産を除く)が受領日から 1 年以内に第三者に譲渡されな
い場合において適用される。 加えて、親会社が純資産を増加させるために子会社に財産、財産権、又は非
財産権を投資する場合、そのような取引は課税対象とはならない。
損金算入可能な経費
原則として、「経済的に妥当」な経費で、適切な必要書類(ロシアの法令に基づいて作成された書類、または
外国で発生した経費はその当該国のビジネス慣習に基づき作成された書類)の揃った経費は、税法に特段の
制約が明記されていない限り、法人利潤税上は損金算入できる。税法には損金算入できる経費の一覧が記載
されているが、このリストは限定的なものではなく、原則 「経済的に妥当」な経費は損金算入できるとされ
ている。
また、税務当局は、実態より形式を重んじる傾向にあり、契約書やインボイス(経費によっては追加書類が
必要)によって経費の証明ができなければ、損金不算入となる傾向がある。
利息
受取利息と支払利息は(適切な経理書類で証明でき、経済的な妥当性があれば)、原則、利息の実額を税務
上、認識することができる。但し、関連者(または特定の第 3 者)との取引の場合には、利息金額が独立企
業原則に基づいた利率であることが要求されるため調整をうける可能性がある。
特に、受取利息や支払利息が、移転価格税制の関連者間取引に該当する場合には、独立企業間金利のレンジ
内に収まっている必要がある。税法には、関連者間の受取利息と支払利息について次のことを規定している。


受取利息は税法で定める最低利息を上回った場合に、利息額の実額を益金として計上できる。支払利
息は税法で定める最高利息を上限として利息額を損金算入できる。税法では、通貨ごとに金利の下限
と上限を規定している。
納税者は独立企業間金利のレンジを、上記のルールに基づきを定めるか、または、税法上の移転価格
算定方法に基づき算出することができる。
また支払利息は過少資本税制の規制を受ける。即ち、ロシア法人に提供された融資のうち次のような場合、
その支払利息が過少資本規制の対象となり損金算入が制限される。
(i) ロシア企業の株式を 20%超(直接及び間接的)所有する外国企業からの融資
(ii) 上述の外国企業と関連当事者であるロシア企業からの融資
(iii) 上述の外国企業又は関連当事者であるロシア企業が、保証人となっている融資、又はその他の方法で
借り手の返済を保証している融資
過少資本税制に関する検証基準は、一般に負債と資本比率が 3:1 で、銀行・リース業の場合 12.5:1 におさ
まっていることが条件である。超過部分の利息、すなわち負債と資本比率 3:1 又は 12.5:1 を超える負債に
付随する利息は、税務上損金算入できないほか、金利でなく配当とみなされて源泉税が課税される。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
さらに最近の裁判所の判決では、納税者が形式的に過少資本規制を適用した場合、税務当局が租税条約の非
差別原則適用に異議を唱え、外国の兄弟会社から受領したローンにも過少資本規制を適用しようという傾向
がみられる。
減価償却
耐用年数が 12 ヶ月超で取得原価が 10 万ルーブル超の固定資産や無形固定財産については、減価償却が認め
られている。納税者は、資産の種類に応じて、耐用年数を規定した 10 のグループに分類され、各々のグル
ープ毎の耐用年数の範囲の中で償却することができる。
納税者は、減価償却に定額法か定率法のいずれかを選択することができるが、全ての減価償却資産に同一の
方法を適用しなければならない。例外として、特定の長期耐用年数資産または、新しい沖合いの炭化水素鉱
床におけるライセンス保有者およびオペレーターが保有する資産で採掘活動にのみ使用される資産につい
ては、定額法のみ認められる。
減価償却資産のグルーピングは、別途政令により、個別の資産ごとに細かく分類が定められている。例えば、
テクノロジー機器の大半は 7 年から 10 年の償却年限となっており、
建物は 30 年超の耐用年数となっている。
固定資産が 2014 年 1 月 1 に以前に、エネルギー効率の高い資産の分類として固定資産台帳に記入されてい
る場合で、厳しい環境やシフトワークにおいて利用される場合には、通常の償却年限の2倍以内での特別償
却が可能である。
固定資産が科学およびエンジニアリング活動に利用される場合、リース契約に使用される資産である場合、
または厳しい環境やシフトワークにおいて利用される場合、新しい沖合いの炭化水素鉱床においてライセン
ス保有者またはオペレーターが炭化水素鉱床の採掘活動にのみ利用する資産については、通常の償却年限の
3 倍以内での特別償却が可能である。
設備投資を行う納税者は、固定資産の取得原価の 10%を取得時に早期償却することができる。但し、資産の
耐用年数が 3 番から 7 番目のグループに属する資産(耐用年数が 3 年から 20 年までの資産)については取
得原価の 30%を取得時に早期償却することができる。この特別償却は、固定資産の取得やその拡張・追加設
備・再建設・近代化・入れ替え・一部廃棄などに対して適用される。但し、その固定資産の使用開始から 5
年未満に当該資産が関連者に売却された場合には、特別償却費を繰り戻し、法人利潤税の課税額に加える必
要がある。なお 2013 年 1 月 1 日以前は、該当資産が 5 年以内に売却されたすべての場合、特別償却費が繰
り戻されていた。
更に、IT 分野の企業には電子機器・パソコン機器の取得費用を経費として扱うことが認められ、複数年にわ
たる減価償却ではなく、これらの設備が実際に稼動する時に全額を償却することができる(但し、一定の条
件を満たす必要あり)。
無形固定資産はその性質や種類によって納税者が決定した耐用年数の範囲内で償却することができるが、そ
うでない場合、耐用年数は 10 年とみなされる。
その他の経費
マスメディアによる広告(TV、ラジオ、通信ネット・ワーク)や、街頭広告(ビルボードやイルミネーショ
ン)、展示会・見本市への参加、ショールームの管理、宣伝用パンフレット・カタログ等の広告費は、全額
損金算入が可能である。他方、広告宣伝活動において配布する景品に関わる経費やその他の広告宣伝費の損
金算入は、納税者の売上の 1%に制限される。
従業員の研修費は、その研修又は教育が、(i) ライセンスを保有するロシア又は外国の教育機関が行う場合
で、(ii) 従業員または雇用を予定している人に与えるためのものであれば、税務上全額控除できる。
特定要件を満たした研究開発費は、その研究が有益な結果を出すのに成功したか失敗したかを問わず一般的
に全額控除可能である。また、特定の研究開発費は、1.5 倍の係数を乗じて控除可能である。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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繰越欠損金
欠損金の繰越期間は 10 年である。
欠損金の繰戻し制度は無い。ロシア法人の株主変更は、欠損金の繰越には影響を与えない。
店頭市場で取引されている有価証券の取引に伴う損金やデリバテイブ取引に伴う損金などには、特別のルー
ルがある。
配当所得
ロシア法人が受領する配当所得には 13%の税率が適用される。但し、国内の配当所得への二重課税を回避す
る為、課税所得は、他のロシア法人より受領した配当から他のロシア法人に支払う配当を控除した差額とな
る。即ち、ロシア法人が他のロシア法人から受領した配当を全額、再配当する場合は課税されない。
一定の投資条件を満たせば、ロシア法人が他の法人より受領する配当への税金が免除されるという資本参加
免税制度を適用できる。資本参加免税の対象となるのは、配当を受領するロシア法人が、配当支払の決定日
においてすでに継続的に 365 日以上配当を行う法人の資本の 50%以上を所有している場合である。
さらに資本参加免税制度の適用において、ロシア子会社が外国の親会社から配当を受領する場、追加的条件
がある。外国の親会社の居住国が財務省の既定するブラック・リスト国の居住者でないこと、すなわち、税
制優遇措置が適用され且つ(又は)オフショアでの金融業務に関する情報開示が不要とされている国(オフ
ショアゾーン)の居住者でないことである。
財務省の認定したブラック・リスト国については巻末資料 5 を参照。
キャピタル・ゲイン・ロス
資本的資産の売却に伴うキャピタル・ゲインは、通常の法人利潤税が課税される。
キャピタル・ゲインは、売却代金から残存簿価(減価償却資産の場合)または取得原価(その他資産と財産
権の場合)を差し引いて算出される。売却に伴う諸費用も控除可能である.
資産や財産権の処分に伴うキャピタル・ロスは控除できる。減価償却資産の売却に伴うキャピタル・ロスは、
資産の残存耐用年数に均等に配分して償却することができる。
外国法人が、ロシア国内の不動産を売却する場合、または資産の半分超がロシアの不動産を直接・間接的に
保有している法人(ロシア法人または外国法人)の株式や出資権を売却する際のキャピタル・ゲインは、ロシ
ア源泉所得とみなされる。これらのキャピタル・ゲインは 20%の税率で課税される。
有価証券売却に伴うキャピタル・ゲインは、法人利潤税の通常の税率で課税される。
上場・未上場の有価証券に対するキャピタル・ゲインの算出方法は特別規則で規定されている。2015 年 1 月
1 日以降は、上場と未上場の有価証券の売却に伴うキャピタル・ゲインとキャピタル・ロスは同じ課税基準
の中で課税される。
外国法人が有価証券(資産の 50%超がロシアの不動産で構成されている会社の株式又はその金融派生商品を
除く)を譲渡することで取得したキャピタル・ゲインは、キャピタル・ゲインがロシアの恒久的施設に帰属
しなければ課税されない。
さらに税法では、2011 年 1 月 1 日以降に購入したロシア企業の株式(出資権)で次の要件を満たした場合に
は、株式売却に伴うキャピタル・ゲインに法人利潤税は 0%の税率が適用できる。
1) そのロシア企業の株式を 5 年超保有していること
2) 50%以上の資産がロシアの不動産を直接・間接的に保有しているロシア企業の株式で、保有期間中
の最低 5 年間は株式市場で売買されていない株式であること
3) 次に該当する会社の株式を 1 年超*保有していること
株式市場で売買されているハイテク産業(イノベーション産業)
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ハイテク産業(イノベーション産業)の株式で、購入時は株式市場で売買されておらず、売却時に
株式市場で売買されている場合も含む
*但し、保有期間 1 年の条件は 2016 年―2022 年のみ適用でき、2023 年 1 月 1 日以降は、5 年超を保
有した場合にのみ 0%税率が適用できる。
申告と納付
納税者は月次または四半期ごとに当該期間の納税申告書、および暦年度末には課税年度の確定申告書を提出
しなければならない。四半期ごとの納税申告書の申告期限は当該四半期の翌月 28 日である。確定申告の申
告期限は当該課税年度の翌年の 3 月 28 日である。
法人利潤税の納付は四半期または月次を選択することができる。月次納税方式では、実収益に基づき翌月 28
日以内に納付する。四半期納税方式では、実収益に基づき四半期末の翌月 28 日以内に納付する。但し、月
次(毎月 28 日)に予納しなければならず、予納額は前四半期の法人利潤税総額の 1/3 に相当する。
外国法人の恒久的施設、
過去 4 四半期における各四半期の平均的な売上額が 15 百万ルーブル未満の納税者、
PSA(生産物分与協定)投資家、シンプル・パートナーシップ又は投資パートナーシップの出資者、資産運用
契約の受益者などの特定の納税者は、四半期納税方式を選択した場合、月次予納が免除される。従って、納
付は四半期ごとになる。
ロシア国内の2拠点以上で活動を行うロシア企業は、恒久的な事業所を置く税務管轄地ごとに支店の登記を
行い、法人利潤税申告書を提出する必要がある。このような法人は、本店及び、異なる地域の支店との間で
課税利益を配分しなければならない。
次の 2 つの係数に基づく配分基準に基づき法人利潤税を支店に配分する。
(i) 固定資産の簿価
(ii) 従業員数または支払給与総額(納税者が選択)
納税者が一つの地域にいくつかの支店を置いている場合は、その全てを代表して法人利潤税申告書を提出す
る支店を選択することもできる。
外国法人でロシアの数箇所に PE を保有する場合、個々の PE は、法人利潤税上は個別の納税者として取り扱
われる。ひとつの PE から生じた損金は、他の PE の課税所得から控除できない。この例外が 2 件ある。その
ひとつの例外は、外国法人が複数の PE を通じて活動するが、それらの活動全体がひとつのテクノロジカル・
プロセスのフレームワークの下で行われる場合である。そのような外国法人は、複数の PE が同じ会計と税
務基準を採用し、活動全体を合算して法人利潤税を算出することについて許可を取得できる可能性があるか
もしれない。二つ目の例外は、新しい沖合いの炭化水素鉱床における採掘に関わるオペレーターが同一の鉱
床について複数の場所で活動を行う場合であり、特定の条件を満たす場合である。
税務会計
会計上の帳簿に法人利潤税の課税標準を決定する十分な情報が含まれていない場合、納税者は別途法人利
潤税の算出のための税務会計帳簿を作成する必要がある。税務上の所得は、税法の原則に準拠し、税務会
計データの収入と支出から算出される。納税者は税務会計データの維持に関する原則を納税者の税務会計
基準として文書化する必要がある。
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付加価値税(VAT)
納税者
VAT納税者となるのは下記の通り。
► 企業
► 個人事業者
► ロシア領土およびロシアが管轄する領域に貨物を輸入するもの
ロシア領土およびロシアが管轄する領域とは、ロシア領土と、ロシア法令と国際法に基づき、ロシアが管
轄する権利のある人口的な島や設置された施設(例、沖合いのリグ)をさす。
2014年3月18日以降、ロシア政府は、セバストーポル市を含むクリミア地域をロシア領土として取り扱っ
ている。クリミアにおけるVAT制度をロシアの制度に移行される期間(2014年3月18日から2015年1月1日)
を制定した。
税務登録
納税者は、VATのみの税務登録を行うことはできない。つまり、ロシアにおける税務登録とは、すべての
税制に関する税務登録を意味する。
税率
VATの一般税率は18%で、国内におけるモノ・サービスの売買取引の大半に課せられる。特定の基礎食品
と子供向け商品、特定の医薬品、新聞、雑誌は、10%の軽減税率が適用される。さらに2017年12月31日ま
で国内の飛行機や鉄道の乗客輸送と手荷物輸送にも10%が適用される。
モノの輸出、モノの輸出入に関わるサービスや作業、特定取引(外交使節団への販売等)、通関上トランジ
ットの貨物に関わるサービス、国際間にまたがる乗客や貨物の輸送サービスには、0%の税率(即ち、売
上VATの免除と仕入VATの相殺)が適用される。さらに2016年12月31日までは郊外の長距離電車の乗客輸
送サービスには0%が適用される。
課税対象
次に挙げる取引はVAT課税対象となる。
►
►
►
►
ロシア国内での物品(作業・サービス)と無形固定資産の販売
自己の消費目的の、ロシア国内での物品(作業・サービス)の譲渡
自己の消費目的の建設・据付作業
ロシア領土およびロシアが管轄する領域への物品の輸入取引
無償での商品(または作業・サービスの結果として)の譲渡は、VAT上、販売取引とみなされる。
物品・サービスの供給場所
物品がロシアで販売されたとみなされるのは次の場合である。
► 物品がロシア領土およびロシアが管轄する領域に存在し、それらが船積み、輸送されない場合
► 船積み、輸送の開始時点で、物品がロシア領土およびロシアが管轄する領域にある場合
サービスがロシアで提供されたとみなされるのは次の場合である。
(i) サービス・作業がロシアの不動産と直接関連する場合
(ii) サービス・作業がロシアにある動産と関連する場合
(iii) 文化、芸術、教育、体育、旅行、レジャー、スポーツの分野で、ロシアで実際にサービスが提
供される場合
(iv) 特定のサービス・作業*については、買手がロシアで活動を行う場合
(v) ロシア法人によって提供される運輸サービス・作業またはそれに関連する業務で、出発地点また
は到着地点がロシア国内である場合、またはロシアの税務署に登記されていない外国法人によ
28
EY / Doing Business in the Russian Federation
って提供される運輸サービス・作業またはそれに関連する業務で、出発地点または到着地点が
ロシア国内である場合(但し外国法人が恒久的施設を構成せずに提供する乗客と貨物の輸送サ
ービスは除く)
(vi) 国際運送でトランジット通関に係るサービス・作業をロシア法人が提供する場合
(vii) ロシア法人がパイプラインを通じて天然ガスを輸送する場合
(viii) 大陸棚や経済特区において、炭化水素の地質調査や開発、生産を目的として提供されるサービ
ス・作業
(ix) ロシア国内で企業および個人事業者が上記(i)と(Viii)以外のサービス・作業を提供する場合
*(ix) に関しては、次の種類のサービスが含まれる:無形固定資産の譲渡・ライセンス供与、コンサル
ティング、法律、会計、監査、広告、情報、エンジニアリング、ロシアで業務を行う人材の出向、動産
の賃貸、技術適合・改良を含むコンピューター・プログラムやデータベース(ソフトウェアや情報製品)
の開発に関連するサービス、京都議定書に基づく排出削減ユニットの提供、その他特定の種類のサービ
ス。
ロシア法人もしくは個人事業者が、乗務員も含めた航空機、船舶、車両をリースする場合でかつロシア
領土外で水中の資源の採掘(除去)や科学調査を目的としてリースされた場合、またはそれらがロシア
領土でない港間の輸送に利用された場合、その行為はロシア国外で行われたものとみなされる。
販売における VAT 発生日
2006 年1月1日以降、VAT の認識には、発生主義のみが適用される。
VATの発生日は、次のいずれか早い日付で認識する。
► 商品及び資産が発送された日、作業・サービスが提供された日
► 商品(作業・サービス)及び資産の譲渡に対する前受金(全額、一部)の受領日。
但し、VAT 免除取引または 0%VAT の取引にかかわる前受金はこの限りで無い。
VAT の免除取引
VATが免除されている取引とは、金融、保険、教育、文化、医療(身体障害者に対する特定の
医療用品及び器具)などである。
研究開発に係わる会社の事業を促進するため、創造的な製品や技術の開発など特定の活動についてもVAT
が免除となる。
なお、VAT免除となる物品・サービスを提供する場合、その提供に伴う仕入のVATは相殺できない。
輸入取引
商品の輸入は、国境の税関で輸入VATが課され徴収される。輸入税と物品税が適用される場合は、これら
も商品価額に加算した総額にVATが課せられる。
実務上、輸入契約には、商品の輸入に加えてその商品に関わるサービスの提供が規定されているかもしれ
ない。そのような場合、VATの取り扱いは様々である。つまり、税関によっては、契約金額の全額が輸入
VATの対象とみなされる場合もあれば、物品価格のみが輸入VATの対象とみなされサービスについての
VATの取り扱いは別途決定が必要になる場合もある。そこで、商品の販売に加えてサービスを提供する契
約の場合には、VATの取り扱いを考慮しながら契約書の作成を要する。
特定の輸入品は輸入VATを免除される。例えば、法令で規定されているロシア製の同等品が無い特定の技
術的な機器(その部品を含む)の輸入には、輸入VATを免除される。より詳細は、「関税」を参照。
VAT の計算
一般的には、納付すべきVATの金額は、 商品・サービスの販売時に受け取る「売上VAT」と、商品・サービ
スの購入時に支払う「仕入VAT」の差額として計算される。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
29
一般的に、VAT対象の販売活動を行った納税者が、その販売に関わる仕入に伴って支払った仕入VATは相
殺できるが、正しいVATインボイスを受領していることが前提である。このVATの相殺権は、ロシアの税
務署に登録されている納税者で、VAT付売上を認識している納税者にしか与えられていない。
ロシアのVATは、クロスボーダー間でVATの還付権は無い。つまり、ロシアの税務署に登録されていない
外国の顧客に請求したVATは、顧客にとり追加のコストとなる。
また納税者がVAT付売上とVAT免除売上の両方がある場合、それぞれに分けて取引を計上する必要がある。
そしてVAT付売上に関わる仕入VATは相殺できるが、VAT免除売上に関わる仕入VATは相殺できない。
VAT付売上とVAT免除売上のいずれにも直接関わらない仕入(例えば、間接費に関わる仕入VAT)は、両
者に按分すべきである。また、VAT付売上とVAT免除売上の両方に関わる仕入VATは、売上全体に占めり
るVAT付とVAT免除取引の割合に応じて配分すべきである。
サプライヤーに支払われたVAT金額が、顧客から受領したVAT金額を上回る場合、その差額について、納
税者は将来の負債(将来のVAT支払、その他の連邦税や罰則金の支払)と相殺するか、現金還付を受ける
権利がある。まずは税務申告書の提出日から3ヶ月以内に、税務署が書類上の調査を行いその差額金額を
確認する。
その結果、差額がなければ税務署はVAT還付を承認すべきである。但し、納税者に税金の滞納がある場合、
税務署は自主的に滞納額を払戻可能な金額と相殺する。税金の滞納がなければ、税務署は納税者の申請に
基づき払戻可能なVATの金額を還付する必要がある。納税者が将来の納税額との相殺をすることもできる。
但し、特定の要件を満たす納税者には、税務調査が完了する前にVATの還付・相殺権利が認められる。そ
のような早期のVAT相殺権を有する納税者とは (i) 過去3年以上ロシアの納税者であり、その過去3年間
の納税額が合計70億ルーブルを超えている納税者、または (ii)そのような早期のVAT相殺額に相当する
銀行保証を税務署に提出した納税者である。
実務上、仕入VATの還付を受けるには非常に時間がかかる。VATの還付や相殺が遅れることは往々にある。
外国法人から商品・作業・サービスを購入する際の VAT の源泉
ロシア法人が、ロシアに税務登録をしていない外国法人から商品・作業・サービスを購入し、その提供場
所がロシアである場合、物品(作業・サービス)の購入者であるロシア法人がVATの納税代理人とみなさ
れる。納税代理人は購入代金として支払う金額からVAT を源泉し代理納付しなければならない。
ロシアの購入者が外国法人への支払額から源泉して代理納付したVATは、ロシアの購入者にとり、通常の
仕入VATと同様に相殺可能である。
VATが源泉されてしまうことへの対応として、外国法人はロシアVATの金額をグロス・アップすることを
契約に明記することで、手取り金額を確保することができる。
納付および申告
納税者は四半期ごとのVAT申告(四半期の翌月25日)し、四半期の翌月以降3ヶ月間、毎月3分の1ずつの
納付が義務付けられている。
2014年1月1日以降、VATの納税者(VATの代理人を含む)は、VAT申告書を電子ファイルで提出すること
が義務づけられた。
ロシア国内に複数の支店を持つロシア法人は、VATの申告と納付を本店で一括集中することができ、支店
ではVATの算出や納付は行う必要はない。
また2015年1月1日からVATの申告書の書式が変更されている。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
資産税
納税者
ロシア法人、ロシアで恒久的施設を通じて活動を行う外国法人、およびロシア国内に不動産を保有する外
国法人。
課税基準
ロシア法人およびロシアで恒久的施設を通じて活動を行う外国法人が保有している不動産(および 2013
年 1 月 1 日より前に取得した動産)で、ロシアの会計基準に基づく財務諸表上の固定資産は、資産税の対
象となる。
課税基準は、それら法人の貸借対照表上の対象資産の減価償却後の残存簿価で、当該期間(3 ヶ月、6 ヶ
月、9 ヶ月、暦年)の平均価額をもとに四半期ごとに算出される。
地方政府ごとに、次の不動産についての課税基準も、不動産台帳上の資産価値(カダスタルバリュー)に変
更することができる。
管理用ビル、ビジネス・センター、ショッピング・モール
オフィス、リテール、公的ケータリング施設、消費者向けサービスを目的とする、または実際に
その用途で使用されている非居住用施設
► ロシアに恒久的施設を持たない外国法人が保有している不動産、または恒久的施設を通じた活動
に関連していない不動産
►
►
不動産台帳上の資産価値(カダスタルバリュー)を資産税の課税基準として制定するためには、各地方政府
は、対象となる不動産について資産価値(カダスタルバリュー)の決定を承認し、それに関連する政令を改
正しなければならない。そこで2014-2015年度は、ロシアの地方ごとに異なるが、一部の資産について資産
税の課税基準が新ルールに移行されている。
今後数年間に、より多くの地方政府が資産税の課税基準を資産価値(カダスタルバリュー)に変更するもの
と思われる。
不動産が、1月1日において、地方政府が資産税の課税基準を資産価値(カダスタルバリュー)に含まれてい
ない場合には、当該税務年度は、古いルールで資産税が算出される。つまり、減価償却後の残存簿価が課税
基準となる。
税率
地方政府が資産税の課税基準を資産価値(カダスタルバリュー)に含まれていない不動産と動産について
は、各地方政府が 2.2%を上限として税率を制定できる。地方政府によっては、特定の投資活動を行って
いる投資家には、資産税の免除を与えている。
地方政府の不動産の資産価値(カダスタルバリュー)に含まれている不動産への資産税の税率は、次
の税率を上限として各地方政府が制定する。
モスクワ市
その他の地域
2014 年
1.5%
1.0%
2015 年
1.7%
1.5%
2016 年以降
2%
2%
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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免除
特定の固定資産は、資産税から免除されている。例えば、土地、天然資源が埋蔵されている土地、歴史的
または文化的遺産。
2013 年 1 月 1 日より、資産税の課税対象が大きく変更されており、資産税に対象外となる固定資産が広
げられた。
► 2013年1月1日以降に取得した動産
► 原子力発電所、宇宙船、ロシアの国際船舶登記簿に登録されている船舶、文化遺産として認識さ
れている資産
申告、納付
四半期ごとに申告と納付 。納税者は、累積税額からそれまで四半期ごとに納付してきた納付額を差し
引いた税額を算出。四半期ごとの申告時に税金未払分があれば、それも合わせて税務署に申告しなけ
ればならない。
納税者の支店が、本店と分けて貸借対照表を作成している場合には、各支店が納税者となる。
その他の税金
物品税
物品税は、輸入商品及びロシアで生産された特定商品に課税される。物品税対象商品には酒類、タバコ、自
動車、オートバイ、宝石類、原油、ディーゼルオイル、モーターオイル、ガソリンなどが含まれる。税率は
物品ごとに異なる規定があり、通常、1 単位当たりの固定額や価格に一定率を乗じた金額に対して設定され、
大きな幅がある。輸入酒類および輸入タバコは、当該商品に物品税印紙が添付されている場合に限り、税関
を通過できる。いくつかの例外を除いて、輸出には物品税が免除される。物品税は法人利潤税の算出上、損
金算入が可能である。
車両保有税
車両保有税は、車両を所有する個人と法人の両方に課税される。車両の種類によって税率が異なり、エンジ
ンの最高出力 1 馬力当り 2.5~15 ルーブルで課税される。地方政府は 10 倍を超えない範囲で税率を変更で
きる。
2014 年 1 月 1 日から平均価格が 3 百万ルーブル以上の乗用車については、車両価格によって税率に 1.1 倍か
ら 3 倍の係数を乗じて引き上げられた。
鉱物採掘税
石油、天然ガス(例外は、沖合いの炭化水素鉱床からの石油とガスの採掘)、天然ガスコンデンセート、石
炭の採掘に鉱物採掘税が課税されるが、実際の容積や数量に基づいて算定される。炭化水素への税率は市場
価格の変動や採掘の難しさなどの様々な要因により変動する。
但し、採掘が難しい油田、新しい沖合いの炭化水素鉱床、特定の地下媒体については採掘への投資を促進す
るため、タックス・ホリデーや税率を軽減する係数が適用される。その他の鉱物資源は、その鉱物の純分の
価値が課税標準となる。
より詳細は、「EY Oil & Tax Regime in Russia」(別冊子)をご参照。
その他の税金
企業が支払うべきその他の税金として水税、賭博税、公害税、土地税、様々なライセンス料等がある。
32
EY / Doing Business in the Russian Federation
国際税務について
ロシアに恒久的施設のない外国法人のロシア源泉所得への課税
源泉税
源泉税の制度は比較的 OECD 原則に近い。外国法人のロシア源泉所得は、その外国法人が恒久的施設(PE)
を介し行う事業活動と関連性がない場合、支払元でロシアの法人利潤税の対象となる。ロシア源泉所得を外
国法人に支払う者は、ロシア法人利潤税を源泉し、代理納付する義務がある。
ロシア源泉所得
ロシア源泉所得とされるのは以下の項目である。
►
ロシア企業からの配当及び他の類似方法による利益配分
►
あらゆる種類の債券(利益分配型、転換社債を含む)からの受取利息
►
ロシアにおける著作権、特許、商標、工業デザイン、機密事項に関する使用料の支払
►
資産の 50%以上を不動産が占めるロシア企業の株式(株式持分)の譲渡益、同様の株式(株式持分)
を原資とする金融派生商品の譲渡から生じたキャピタル・ゲイン。ただし、そのロシア企業の株式
がロシアまたは外国の証券取引所に上場されている場合を除く
►
ロシアにある不動産の譲渡から生じた益金
►
ロシアにおける賃貸料及びリースの支払
►
国際輸送から生じた所得
►
ロシア法人や公的機関が契約義務違反により支払う罰金・罰則
►
不動産ファンドに該当するクローズド・エンド型投資信託の売却(償還も含む)から生じた所得
►
その他同種の所得
源泉税の税率
外国法人に支払われる所得にかかる源泉税率は、所得により異なる。
所得の種類
税率
利息
20%(*)
国際輸送に使用される船舶、航空機、その他の輸送手段又は
10%
コンテナの運航、管理、リースから生じた所得
配当
15%
不動産の売却に伴うキャピタル・ゲイン、保有資産の 50%以上が不動
20%
産で構成されるロシア法人の株式譲渡から生じたキャピタル・ゲイ
ン
レンタル収入
20%
ロイヤルティ
20%
その他の所得
20%
*特定の種類の国債・地方債、モーゲージ担保債権、モーゲージプールへの参加証書から
じた特定所得に係る利息には、軽減税率が適用される。
生
市場で売買されている債権やそれらに伴う債権から受け取る利息は、一定の要件を満たした場合、
ロシアの債券発行者は納税代理人とならない。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
33
租税条約
ロシアもしくは旧ソ連邦が締結した二重課税防止条約(ロシアが継承)により、ロシア源泉所得への源泉
税が軽減または免除される可能性がある。過去5年間にロシアはOECDモデル協定に準拠した新しい条約
を数多く締結しており、現在80国以上の租税条約がある。
租税条約を適用し、ロシア源泉税の軽減や免税を請求する外国企業は、当該企業が租税条約締結国の税務
上の居住者であるという内容の証明書を当該国の税務当局から事前に取得する必要がある。
巻末資料 4:二重課税防止条約の源泉税率一覧 参照
外国税額控除
前述の通り、ロシア法人はロシアにおいて、全世界所得、すなわちロシア源泉所得と国外源泉所得につい
て課税を受ける。従って、課税対象を決定する際にはロシア源泉・国外源泉所得の両方を考慮する必要が
ある。
二重課税を避けるため、ロシア法人が外国の制定法に従い外国で納付した納税額は、当該法人のロシアに
おける納税額から控除することができる。ただし、ロシアにおける納税額を超えてはならない。外国源泉
の所得として受領した配当への源泉税は、二重課税防止条約に規定されている場合にのみ、ロシアで税額
控除ができる(多くのケースが該当)。その他の種類の所得については、租税条約の有無に関わらず税額
控除が受けられる。
ロシアにおける組織再編への課税
ロシアにおける組織再編(合併・吸収・再編・子会社・会社分割により)は税務上、一般的に中立的である。
ロシアでの組織再編では、再編された企業の株主に対する課税は行われない。
さらに、その結果設立された企業に移転された資産・売掛金・負債に対する課税もない。また組織再編によ
り設立された企業は、再編された企業から移転された繰越欠損金を使用することができる。
34
EY / Doing Business in the Russian Federation
関税
概要
ロシアにおける関税の規制は国際基準に基づいて作成されており EU 関税コードの概念を導入している。
ロシアは 2012 年 8 月に世界貿易機関(WTO)に加盟したが、その他にも世界関税機構、商品の名称及び分
類についての統一コードに関する国際条約(1983 年ブリュッセル)、暫定輸入に関する国際条約(1990
年イスタンブール)、税関手続の簡素化及び統合に関する国際規約の議定書(京都議定書)にも署名して
いる。
さらにベラルーシとカザフスタンとの関税同盟も開始されたことから、3 カ国間で共通の関税法が導入さ
れ、2012 年からは共通経済圏が実施されている。
ユーラシア経済連合:ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタン
ロシアは、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタンの間で、関税同盟を形成した。ユーラ
シア経済連合は、これの国で関税同盟を組成したが、次の段階ではこれらの国の経済的統合をもたらす。
関税同盟国の間で統一された関税法、関税同盟国との国際的な協定、関税同盟委員会の決議、統一関税率、
統一された非関税措置のシステム(輸入上のライセンス要件など)は、ロシアにも適用される。関税同盟
は、関税同盟国のメンバー内で物品が自由に移動することを意味する。
ユーラシア経済連合の関税法は、2017 年 1 月から施行される予定である。それ以前は、ユーラシア経済
連合域内の関税規制は、すでに関税同盟国の間で採択されている統一された関税法、関税同盟国との国際
的な協定が適用される
輸入税
一般的に、輸入品は輸入関税と輸入 VAT の対象となる。商品の種類によっては(例: アルコール、タバ
コ、個人所有の車、ガソリン等)は物品税の対象にもなる。(その他の税金を参照)
関税率は、商品の関税価値の 0% から 20%まで様々である。輸入 VAT の税率は通常 18%(例外もあり)、
関税価値と関税の合計を元に算出される。一般的に、輸入業者によって支払われた輸入 VAT は、その売
上 VAT と相殺が可能である。
現在、書籍・医薬品・技術機器の一部、その他の商品に関しては、関税率を 0%としている。人道支援、
自然災害・事故・災害による被害の修復の為に必要な物品、外交用品・現物出資のために輸入された技術
機器に関しては、関税と VAT が免除される。
特殊な機器の輸入
ロシアで製造されていない特殊な機器およびその部品(別途ロシア政府が規定した機器)を輸入する場合
の VAT が免除される。また特定の高度な技術のある機器については輸入税の免除制度もある。
また、外国投資家がロシア法人に現物出資する機器についての輸入税の免除制度もある。
輸出税
商品の種類によっては(例:石油、天然ガス、木材等)輸出関税の対象となる。
関税価値
ロシアでの関税価値の算出は、関税と貿易に関する一般協定(GATT) / 世界貿易機関(WTO)のルールに
基づく。通常、輸入品の関税価値は、インボイスに記載されている商品代金に、取引価格に含まれていな
い輸入に伴う諸費用を加えて算定される。これらの追加コストの代表的なものとして、商品のロシアの国
境までの配送にかかるコスト(例:輸送や保険のコスト等)や、ロイヤリティー、その他知的財産の使用
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
35
のために支払う報酬、購入者から販売者へ無償で提供された材料費などがある。この関税価値の算出方法
は「取引価値法」と呼ばれる。
関税価値が取引価値法で算定することができない場合、他の方法(同一または類似した商品の取引価格、
コスト控除法、積上げ法)の適用が容認される。
関税コード
ユーラシア経済連合の関税品目分類表がロシアで適用されている。この関税品目分類は、国際統一商品分
類に基づいている。従って、実際には例外もあるが、原則として、商品コードの始めの 6 桁の数字はロシ
アと EU で同じである。商品分類に関しては、事前に税関から拘束力のある決定を得ることも可能である。
通関制度
国境を越えてロシアに入る全ての物品・車両運搬具の移動は、関税同盟国の関税法に規定された通関制度
に基づき行われる。それぞれの通関制度は異なる要件を規定しており、輸出入取引において関税・非関税
障壁に大きな影響を与えているが、以下に主な通関制度を説明する。
国内消費を目的として輸入する通関方法
商品を再輸出する予定が無い場合、ロシアにおける国内消費を目的として完全に輸入される場合に適用さ
れる。この輸入通関方法は、最も頻繁に適用される直接的な方法である。この制度では、関税、輸入 VAT、
通関手続費用を支払った後、商品はロシアで自由に流通される。
保税倉庫
物品が保税倉庫に輸入された場合、輸入品は、最終消費者への販売されるまでまたはロシア国外への再輸
出までの間、関税当局の管理の下の特定の倉庫(関税保税倉庫)で保管される。関税と輸入 VAT の支払
は、物品が実際に最終消費者へ販売され、保税倉庫から出される時まで延期される。
保税倉庫で保管されている商品は同じ状態で保管される必要がある。すなわち、保税倉庫で保管されてい
る商品の製造、組立て、変形は禁じられている。
保税倉庫での物品の保管期間は 3 年を超えることはできない。この期間を超えると、物品は別の関税の課
税制度の下で保管される必要がある。物品が自由に流通される場合には、関税と VAT が課される。物品
がユーラシア経済連合域外へ再輸出された場合、関税や輸入 VAT は課されない。
暫定輸入
暫定輸入の下では、物品の輸入に際して、関税と輸入 VAT の全額または一部免除が認められる。
再輸出を前提に一定期間、暫定的に輸入される製品に適用される。暫定輸入の期間は 2 年を超えることは
できない。(固定資産のリースの場合は 34 ヶ月まで)
関税の全額免除が適用できるのは、販売を目的としない活動での使用が予定される物品に限られる。典型
的な例は、ロシアでの展示会やテストの為の商品の輸入である。特定の種類の船舶や航空機にも全額免除
の制度がある。
関税の完全免除が適用できない場合、輸入者は物品を完全輸入する場合の関税総額の 3%の関税を月々支
払う必要がある。この支払額は、物品が再輸出されたとしても還付されない。
暫定輸入の期間が終わると、製品はロシア国外へ再輸出されるか、ロシアへの完全輸入に切り替えること
ができる。暫定輸入された製品をロシアに完全輸入に切り替える場合、まだ未納の関税額とその納付遅延
利息を支払う必要がある。
36
EY / Doing Business in the Russian Federation
加工に対する関税の課税制度
加工に対しては 3 つの関税制度がある。
1. 輸出目的としたロシアでの商品の加工
この制度では、ロシアで商品の加工を営む企業が、一定の条件を満たせば、原材料を関税と輸入 VAT を
支払うことなくロシアに輸入できる。加工された最終商品は輸出しなければならない。
この制度の条件に違反した場合に課される関税と税金の支払を担保する為、銀行の保証が必要となる場合
もある。仮に最終商品がロシアで市場に流通すると、関税と輸入 VAT が原材料の関税価値に対してかか
ると同時に、遅延利息が課される。
2. 国内消費を目的とした商品の加工
この制度の下では、加工のために輸入された原材料は、関税と輸入 VAT が、加工後の最終商品がロシア
市場に流通するまで支払を猶予される。この制度を適用するには、政府の特別許可が必要となる。
3. ロシア国外での商品の加工
ロシア国外での商品の加工に対する関税制度とは、加工のために原材料を輸出し、加工後の最終商品をロ
シアに再輸入を認める制度である。この場合の関税は、加工作業による付加価値に対してのみかかり、輸
入品の価値総額に対してはかからない。この制度はロシア国外へ修理のために輸出が必要となる商品に対
して有効である。
CIS 自由貿易体制
CIS 諸国内の自由貿易体制下では、ロシア原産、または CIS の国からロシアへ輸入された物品は、関税が
免除となる。この免除を受けるには、物品は CIS の居住者間で締結された契約のもとで輸入され、CIS の
領域から直接輸入される必要がある。さらに輸出者は、その製品の所有者であること。他方で VAT や物
品税(該当する場合) は免除されない。
ベトナムとの自由貿易体制
2015 年 5 月 29 日付けでユーラシア経済連合とベトナムの間で自由貿易協定が締結された。これは、
ユーラシア経済連合が初めて域外国と締結した自由貿易協定である。5 年から 10 年間の移行期間に
わたり、ユーラシア経済連合原産品およびベトナム原産品の輸入関税を段階的に引き下げていくこ
とが規定されているが、2016 年 10 月 5 日から施行されている。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
37
移転価格税制
移転価格税制
現在のロシアの移転価格税制は2012年1月1日から施行されている。ロシアはOECD加盟国でないが、
OECD移転価格ガイドラインに類似した新しい移転価格税制が導入された。但し、一部ロシア特有の取り
扱いも残ることから注意を要する。新しい移転価格ルールでは、独立第三者間取引の原則に基づいており、
取引の実態に焦点をあてるようになった。
移転価格税制の対象範囲
原則、ロシアの移転価格税制は、関連者間取引に焦点をあてているが、第三者との特定の取引も移転価
格税制の対象となっている。国境をまたがる関連者間取引はすべて対象となる。移転価格税制の対象と
なる第三者との取引には、例えば、世界の商品取引所で取引される物品(特定の種類の石油および石油
製品、鉄鋼材料、非鉄金属、肥料、貴金属、宝石など)が絡む取引、ならびに取引先が特定の「ブラッ
ク・リスト」国の居住者である取引のうち、当事者間の全取引による年間収益が60百万ルーブルを超え
るものなどがある。
国内取引においては関連者間取引のみが移転価格税制の対象となり得が、国内関連者間取引には最低金額の
基準が適用され、通常、10 億ルーブルの基準値を超える取引のみが移転価格税制の対象となる。ただし、以
下の取引についてはこの基準値が 6 千万ルーブルまたは 1 億ルーブルに引き下げられている点に注意する必
要がある。
► 従価税率で算定される鉱物採掘税の課税対象物を含む取引
► 当事者の一方に特別税制が適用される取引
► 当事者の一方が法人利潤税の免除を受けている、または 0%の税率の適用を受けている取引
► 当事者の一方が経済特区に登録している取引
► 当事者の一方が、ロシアの大陸棚における炭化水素の採掘活動を伴うプロジェクトに関連するオペ
レーターまたはライセンス所有者である取引
► 当事者の一方が地域投資プロジェクトへの参加者で、0%または軽減税率の適用を受けている取引
例外として、以下のような一部の国内取引は移転価格税制の対象とならない。
► 国内の連結納税グループのメンバー間の取引
► ロシアの同じ地方政府に登録されている両当事者間の取引。ただし、当該当事者のいずれもロシア
の他の地方政府に経済的に自律した下位部門(支店など)を有しておらず、かつ他の地方政府に法人
税を納付していないこと、両当事者のいずれも税務上赤字でないないこと、および取引が移転価格
税制の対象となる他の事由が存在しないことを条件とする。
► 両当事者が、ロシアの同じ大陸棚埋蔵地域における炭化水素の採掘活動を伴うプロジェクトに関連
するオペレーターまたはライセンス所有者である取引
► 7 日以内の銀行間信用(預金)取引
► ロシアと外国の軍事および技術協力に関連する取引
► 2012 年 1 月 1 日以前に合意されているローンや保証を伴う取引(ただし、その後、取引条件が大き
く変更されていない場合に限る)
関連者とは法人間の相互依存関係が、取引条件や取引結果に影響を及ぼす場合と定義される。
株式保有基準は、直接・間接的に 25%超の株式を保有する場合を指す。法人間の相互依存関係が存在する場
合が税法に規定されており、また裁判を通じて、当事者間の関係が取引条件に影響したことが証明されると、
関連者と認定される。
移転価格算定方法
移転価格の算定方法は全般的に、2010 年 7 月の OECD の「多国籍企業および税務当局のための移転価格ガ
イドライン」に示された原則に従っている。特に、同法は独立価格比準法(CUP 法) 、再販売価格基準法、原
価基準法、利益比準法および利益分割法という 5 つの OECD の算定方法のうち一つを使用することを認めて
38
EY / Doing Business in the Russian Federation
いる。CUP 法が最優先されるのに対し、利益分割法は最終手段とみなされる。ロシア国内における物品の販
売活動については、再販売価格基準法が優先的な算定方法とみなされる。
2015 年以降、利率は税法に示されたセーフ・ハーバーの範囲内にあれば独立企業原則に基づいているとみな
されている。セーフ・ハーバーの範囲は、ローンの通貨、およびそれが国際取引または国内取引のいずれで
あるかによって異なる。
文書化の要件
関連者間取引の通知:納税者は、移転価格通知を通じて、関連者間取引に関する情報を毎年税務当局に提出
する必要がある。この情報は、関連者間取引が発生した年の翌年 5 月 20 日までに税務当局に届け出る必要
がある。関連者間取引はすべて移転価格通知で報告する必要がある。通知の提出を怠った場合の罰金は 5,000
ルーブルである。
税務署より要求された場合、納税者は 30 営業日以内に関連者間取引が市場価格であることを証明する書類
を提出しなければならないが、税務署は翌年の 6 月 1 日以前には納税者に証明書類を要求できない。
移転価格文書には、OECD移転価格税制ガイドラインに類似した情報を盛り込まなくてはならない。ま
た、対象企業がロシア法人の場合、ロシア企業の財務データとの比較が必要になる。
また税務署にはロシア語で文書を提出する必要がある。
例外として、第三者との取引、価格が規制価格または独占禁止委員会から指導された価格と一致してい
る取引、公認株式市場で売買される有価証券やデリバテイブの取引、および事前承認制度(APA)の対
象となっている取引については、移転価格文書の提出は不要である。
対応的調整
国内取引については対応的調整が利用可能である。
(1) 連邦税務当局の加算税を課す決定に基づき関連者間取引の一方の当事者が納付した場合、または(2)
関連者間取引の一方の当事者がそれを納税申告書に記載することにより自発的に調整を行い、加算税を
納付した場合、対応的調整を行う権利が関連者間取引の他の当事者に発生する。
事前確認制度(APA)
移転価格法はロシア税務当局と事前確認(APA)を締結する機会を認めている。ロシア法人のみが APA を
締結する資格があり、同時に当該ロシア法人は大口納税者に該当しなければならない。APA は一国内(ロシ
ア税務当局のみと締結)または多国間(数ヶ国の税務当局が関与)のいずれも可能であるが、現在のところ
一国内 APA の手続しか策定されていない。
移転価格調査
連邦税務局は関連者間取引に関する移転価格調査を執行する権限を有している。原則として、移転価格調査
の対象となるのは直近 3 年間である。ただし、移行措置のため、2012 年と 2013 年は 2015 年 12 月 31 日時点
で移転価格調査の対象外になっている。
罰則
移転価格税制では、移転価格調査の結果、納税者の所得が更正された場合、未払納税額の40%を罰則金
として定めている。ただし、納税者が規定通りに移転価格文書を提出した場合や、APAを締結した場合
には、この罰則が適用されない可能性がある。
40%の罰則金が適用されるのは、2017 年以降に締結および/または会計処理される取引に限定される。2014
年、2015 年、2016 年に締結および/または会計処理された取引に対しては、20%に軽減された罰則金が適
用される。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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ロシア経済への投資に対する優遇税制
現在、ロシア経済が不安定な中で、ロシア経済への投資を誘致するこをと目的として、特別な優遇税制の手
法が策定された。これらの措置により、実際に投資した投資家は、様々な税制優遇措置の利用により節税が
可能になった。場合によっては、ロシアの特定地域で投資プロジェクトを実施する際、より有利なビジネス
条件も享受できる。
投資家が利用可能な優遇税制の主要な制度には以下の通りである。
► 優先的社会経済発展区域(TOR)の居住者に供与される優遇措置
► ロシアの特定地域における地域投資プロジェクトに従事する企業に供与される連邦政府による免税
措置
► 経済特区(SEZ)の居住者に供与される免税措置
► 工業団地およびテクノパークの居住者に供与される優遇措置
► 地方政府の政令に定められる地域投資に係る税制優遇措置
以下、これらの特別な優遇税制の主要側面に関してその簡単な概要をまとめた。
TOR の居住者に供与される優遇措置
2015 年 3 月 30 日より発効した、2014 年 12 月 29 日付連邦法第 473-FZ 号「ロシア連邦における優先的社会
経済発展区域について」は、ロシアの極東における望ましい投資環境の発展を目指すものである。
TOR は、閉鎖行政地域組織を含むロシア地域の一部であり、そこでは、投資の誘致、急速な社会経済的発展
の推進、および住民の日常活動の促進に向けて特恵的な条件を構築するために、政府の決定に従い、起業そ
の他の活動に関する特別な法体制が確立されている。この特恵的な条件を享受できるのは、TOR の居住者、
すなわち、TOR における活動の遂行に関する契約を締結し、TOR 居住者登録簿に記載された個人事業主ま
たは営利法人である(一定の条件を満たしていることが必要)。
最初の 3 年間、TOR は極東連邦管区の諸地域および極めて複雑な社会経済状況にある特定の単一産業の町に
のみ設置されることになっている。2016 年 1 月 1 日以降は、閉鎖行政地域組織内に TOR を創設することが
可能になり、3 年後には、他のいかなる地域にも創設できるようになる。最初の 3 年間の TOR は、2015 年
初頭に極東連邦管区に設置された。それらは、ハバロフスク地方の「ハバロフスク」TOR と「コムソモリス
ク」TOR、プリモライ地方の「ナデジディンスカヤ」TOR である。さらに 6 ヶ所の TOR の創設に関する書
類も政府に提出されている。
一定の条件が満たされた場合、TOR の居住者は以下のような税制優遇措置を享受することができる。
►
最初に利益が認識された年度から 5 年間、法人利潤税の税率が 5%に軽減され、その後の 5 年間は
12%に軽減される。企業が TOR 居住者登録簿に記載された期間から 3 年以内に利益が稼得されなか
った場合は、その期間から数えて 4 年目の課税期間から軽減税率が適用され始める。
►
鉱物採掘税に関しては、最初の利益が稼得される年度までおよびその後 2 年間、税率をゼロにする
ことが可能な特別の係数が導入される。その後の数年間、係数は 1 に引き上げられる。
►
TOR の居住者は 10 年間、年金基金、社会保険基金および強制医療保険基金への保険拠出金につい
て、それぞれ 6%、1.5%および 0.1%の軽減比率の適用を受けることができる。これらの軽減比率
は、TOR の創設から 3 年以内に利用を開始することができる。
►
TOR の居住者は土地税と資産税を免除される。
►
請求に基づく VAT 還付手続の適用を受けることができる(管理会社が保証人となった場合に限られ
る)。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
地域投資プロジェクトに従事する企業を対象とする税制優遇措置
TOR の居住者に提供される税制優遇措置に加え、ロシア極東の開発プログラムにより、極東およびシベリア
連邦管区内の特定区域において認定された地域投資プロジェクトに従事する企業を対象とする連邦政府レ
ベルの優遇措置が策定された。地域投資プロジェクトの概念および当該プロジェクトに従事する企業が利用
可能な優遇措置は税法の中に組み込まれ、2014 年 1 月 1 日に発効した。
地域投資プロジェクトとは、税法に明記された要件を満たす物品の製造(一部例外あり)を目的とするプロ
ジェクトを指す。地域投資プロジェクトの参加者は、特定の条件を満たす場合、税制優遇措置を受けること
ができる。
かかる納税者に供与される主な税制優遇措置は、以下のような法人利潤税の軽減税率の適用を受けられるこ
とである。
► 連邦政府への法人利潤税 - 地域投資プロジェクトの実施に伴い最初に収益を稼得した期間から 10
年間にわたり税率 0%
► 地方政府への法人利潤税 - 地域投資プロジェクトの実施に伴い最初に収益を稼得した期間から 5
年間にわたり 10%未満(その後の 5 課税期間は 10%以上)
経済特区の居住者に供与される免税措置
経済特区の居住者にも特定の免税措置が供与される。これは、ハイテク・セクター、輸入代替産業、造船お
よび観光への国内外の投資を誘致することによる地域発展を目的として創設されたものである。現在ロシア
では、工業生産、技術開発、観光・レジャーおよび物流に関わる多くの経済特区が制定されている。
すべての経済特区は特別な法的地位を与えられ、これにより、経済特区の投資家は、法人利潤税、資産税、
土地税および車両保有税に関して様々な税制優遇措置を受けることができる(経済特区が設置されたロシア
の地域に応じて異なる)。また経済特区の居住者は、関税の優遇措置および技術・輸送インフラの利用も認
められる。
テクノパーク・工業団地の居住者に提供される優遇措置
テクノパークや工業団地の居住者にも有利な投資条件が提供されている。従来、こうした区画の大部分はモ
スクワとモスクワ州に設置されてきた。例えば、現在モスクワには約 17 のテクノパークが設けられており、
公的情報源によれば、2015 年末までにさらに 30 のそうした区画が計画されている。また新しい工業団地も、
レウトフなどモスクワ州内に創設されることになっている。
一方、カザンの「ヒムグラード」やノボシビルスクの「アカデムパーク」、チュメニの「西シベリア・イノ
ベーションセンター」など、他の地域にもテクノパークが創設されている。
そうした区画の居住者にも税制優遇措置が供与される。特にモスクワでは、当該区画の居住者の地位を取得
してから 10 年間、法人利潤税の合計税率が 15.5%に、資産税の税率が 0%に軽減される。また、モスクワ
のテクノパークおよび工業団地の管理会社は、資産税および土地税に係る特定の優遇措置も利用可能である。
地域投資に係る税制優遇措置
さらに様々な地域が、地域内の特定の施設の建設に投資することにより地域経済の発展に貢献する用意のあ
る企業に対して、地域的な税制優遇措置を提供している。それらの税制優遇措置やその適用条件および投資
家に課される要件は、地域によって大きく異なることがある。かかる投資家を対象とする地域の法規によっ
て定められる優遇措置を受けるためには、納税者は数多くの要件を満たし、一定の文書を作成し、地方当局
と投資契約を締結しなければならない。
例えば、モスクワ州では、
そうした税制優遇措置を受ける投資家には 2004 年 11 月 24 日付法律第 151/2004-OZ
号「モスクワ州における租税減免について」(2015 年 7 月 18 日までに改正)が適用される。同法に基づき、
投資家は地方政府に納付する法人利潤税および資産税について軽減税率を利用できる。軽減税率の適用を受
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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ける権利は、一般に、特定の条件を満たす、モスクワ州の投資プロジェクトへの参加者に供与され、またプ
ロジェクトへの投資金額および納税者の活動分野にも左右される。
注意を要するのは、地方の法規は頻繁に改正される傾向があり、それが、利用可能な優遇措置の範囲および
その申請条件や手続に影響を与えることである。特に、上記の法律第 151/2004-OZ 号は 2015 年中に何度も
改正され、その結果、2015 年末までに同法を改正する簡素化された手続が導入されるとともに、展示ホール
やスキー施設を所有する企業を対象とするいくつかの新たな税制優遇措置がもたらされた。
沖合いの石油·ガス田の開発
2014 年 1 月 1 日以降、特定の沖合いの炭化水素鉱床の採掘プロジェクトには、特別な税制と関税が適用され
ている。そこで「オペレーター」、「沖合いの炭化水素鉱床」、「新たな沖合いの炭化水素鉱床」、「炭化
水素の採掘活動」などの概念が税法と関税に関する法令にも導入され、適格な沖合いの炭化水素活動を対象
とする法人利潤税、特恵的な VAT、鉱物採掘税、資産税、車両保有税および関税について特別な取り扱いが
適用できるようになった。それらの鉱物資源のライセンス保有者やオペレーターは、新しい沖合いの炭化水
素鉱床から得られる課税所得から、他の活動から生じる損失を控除することができないほか、ある炭化水素
鉱床の採掘から生じた損失を、他の炭化水素鉱床の採掘から得られる所得から控除できないなど、課税所得
を減らすことを制限する特殊なリングフェンシングのルールが適用される。
より詳細な情報が、「ロシアにおける石油·ガス制度の概観」に記載されている。
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財務報告と監査
会計原則の根拠法令
規制機関
ロシアの会計原則を監督する規制機関には、財務省および中央銀行が含まれる。
ロシア法人に適用される会計規制は、民法、連邦法「会計について」、連邦法「連結財務諸表について」、
会計および報告に関する法律(会計基準(PBU))、および財務省が発令したその他の省令や会計規則に基
づいている。2010 年、連邦法「連結財務諸表について」が採択されたことにより、一部の企業の財務報告に
は国際財務報告基準(IFRS)がロシア法制に導入された。(詳細は次項参照のこと。)
「企業の金融・経済活動のための簿記勘定科目およびその適用方法」で、簿記の手法が詳しく説明されている。
会計基準 PBU No.1/2008「組織の会計方針」では、現行の会計法制に会計手法が存在しない場合、ロシア
会計基準および IFRS に基づいて適切な手法を策定することができると規定されている。
大半の PBU はおおむね IAS および IFRS に基づいている。しかし、相当する PBU が存在しない IFRS 基準
もあれば、根拠となっている IFRS 基準の最近の変更を反映していない PBU もある。それゆえロシアの会計
制度は今なお、IFRS や米国で一般に採用されている会計原則(US GAAP)と異なっている。
財務会計報告は税務会計報告とは区別されている。会計事項に関するガイダンスを示した 24 の会計基準が
財務省から発令されている。また現在、新たな会計基準がいくつか策定されている。
帳簿と記録
PBU No. 4/99「ロシアにおける会計および報告に関する法律」を含む会計基準の一般規定では、会計記録の
主目的は企業の活動およびその資産と負債の完全かつ正確な情報を提供することとしている。財務報告は、
企業の内部で経営者や株主、所有者が用いるほか、外部の投資家や債権者、その他の会計報告利用者が使用
するものである。連邦法「会計について」では、企業が会計法制を参照し独自に会計方針を定めることが求
められている。会計方針にはその会計手法のほか、企業の構造、業種、その他事業上の特殊要因を反映させ
なければならない。
連邦法「会計について」は、ロシアに所在するすべての組織に加え、ロシアが当事者である国際条約に別段
の規定がない限り、外国企業の支店および駐在員事務所にも適用される。ただし、「会計および報告に関す
る法律」では、外国企業の駐在員事務所は自国の会計規制が IFRS に矛盾しない場合、これに基づいて会計
記録を維持することが認められている。
基本概念
会計原則には、発生主義、継続企業の前提、慎重性、完全性、適時性、目的適合性、実質優先、費用収益対
応、比較可能性、首尾一貫性、合理性の概念と原則が含まれる。しかし、こうした原則の適用方法は諸外国
の一般慣行とは異なるようである。例えば実際には、ロシア会計は実質より形式を重視する傾向がある。法
律では、取引に伴う必要書類が非常に細かく指定されており、この法的形式の偏重により他の会計原則は形
骸化している場合もある。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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ロシアの上場企業の連結財務諸表に関する IFRS の適用可能性
連邦法第 208-FZ 号「連結財務諸表について」(以下、「連邦法第 208-FZ 号」)が 2010 年 7 月 27 日に採択
された。これにより、ロシアは社会的影響度の高いすべての公益事業体およびその他の一部企業の連結財務
諸表作成に IFRS 基準の強制適用に関する法的要件を導入した。
連邦法第 208-FZ 号のさらなる改正により、同法の目的上、連結財務諸表とは、IFRS に定義されている通り、
企業またはグループを形成する企業の集合体(外国企業も含まれる)の財務状況、財務実績、財務状況の変
化を表示するものであること、および IFRS の財務諸表は、子会社を有さないものの、その他の点で同法の
適用範囲内に入る企業によって作成されなければならないことが明確化された。
IFRS 基準に基づく連結財務諸表の公表が義務付けられる企業
連邦法第 208-FZ 号に従い、以下の事業体は IFRS 基準に則って作成した連結財務諸表を公表しなければな
らない(※)。
► 金融機関
► 保険会社(強制加入が求められる医療保険事業のみに従事する医療保険会社を除く)
► 非公的年金ファンド
► 投資ファンド、ミューチュアルファンドおよび非公的年金ファンドの運用会社
► 清算機関
► 重要な公益事業を手がける連邦政府国営企業(政府が決定する)
► 株式を連邦政府が保有する株式会社(政府が決定する)
► その他の上場企業
その他の連邦法で連結財務諸表の作成、提出および/または公表が求められている場合、または、連邦法第
208-FZ 号の適用範囲に入らない企業の設立文書で連結財務諸表の作成、提出および/または公表が直接求
められている場合には、かかる諸表は連邦法第 208-FZ 号に基づいて作成しなければならない。
(※)当初は、金融機関、保険会社、および株式を上場しているその他の企業のみが連邦法第 208-FZ 号の
適用範囲に含まれていた
ロシアにおける IFRS 基準のエンドースメント
連邦法第 208-FZ 号では、ロシアにおいては、IFRS 財団が発令し、ロシア政府が中央銀行と協議してエンド
ースした IFRS 基準とその解釈が適用されなければならないと定められている。個々の IFRS 基準またはそ
の解釈をロシアでエンドースするかどうかの決定は、かかる基準または解釈の全体について下される。個々
の基準または解釈の特定の規定がロシアにおいては適用が適切ではないと認識された場合、そうした規定を
「採用しない=カーブアウト」した上でかかる基準または解釈を採用することになる。
IFRS 財団はロシアに、同国内で IFRS 基準のロシア語翻訳版を使用する権利を認めている。ロシアは管轄地
域内で IFRS 基準の適用を承認する前に IFRS 基準の特定の規定を「カーブアウト」する権利を有している
が、原則としては、国際会計基準審議会(IASB)が承認した文言のままロシアで適用することが期待されて
いる。
非政府組織の国家財務会計報告基準財団(NOFA 財団)は、個々の IFRS 基準とその解釈がロシアの財務報告
制度に適合するかという点で、財務省にエンドースメントに関する助言を行う専門機関である。
2012 年 3 月、財務省の命令第 148 号により IFRS 適用のための部門間ワーキンググループが設立された。同
ワーキンググループは特に、連邦法第 208-FZ 号の適用実務を要約するとともに、ロシアにおいて IFRS を
適用する際に生じる課題について提言をまとめる。同ワーキンググループは 2015 年 11 月までに 7 つの提言
を発表しており、これは財務省の公式ウェブサイトに公表されている。
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EY / Doing Business in the Russian Federation
ロシアにおける IFRS 基準のエンドースメントの現状
IASB が発令し、2016 年 1 月 1 日から発効する IFRS 基準および解釈は、2015 年 11 月時点でそのすべてがロ
シアによってエンドースされている。また、IFRS 第 9 号「金融商品」と IFRS 第 15 号「顧客との契約から
生じる収益」もエンドースされているため、ロシア企業がこれを早期適用する可能性がある。
現在、ロシアがエンドースした IFRS 基準と IASB が発令した IFRS 基準の間に相違はない。
IFRS 基準に準拠した連結財務諸表作成要件に関する日程
連邦法第 208-FZ 号の要件の対象となる企業は、2012 年 12 月 31 日に終了した年度から IFRS 基準に準拠し
た連結財務諸表を作成、申告、公表している。ただし、2014 年に改正された同法の適用範囲内に含まれてい
る事業体等、特別な日程が設定されている特定の種類の事業体は除く。
それらの企業は以下の通りであり、IFRS 基準に準拠した連結財務諸表を提出、公表しなければならない。
► 上場債券を発行している企業―2014 年暦年まで。上場株式を発行している企業で、IFRS 以外の国
際的に認められている会計基準(※)に基づいて連結財務諸表を作成している企業―2015 年暦年ま
で。
► 非公的年金ファンド、投資ファンド/ミューチュアルファンド/非公的年金ファンドの運用会社、
ならびに清算機関―2015 年暦年まで。
► 重要な公益事業を手がける国営企業および連邦政府が株式を保有している公開型株式会社―政府が
承認した特別リストに掲載された年の翌年から。2015 年 10 月 27 日、ロシア政府は、当該リストを
承認する規制第 2176-p 号を発令した。このリストには現在、政府国営企業 7 社および連邦政府が株
式を保有している公開型株式会社 19 社が含まれている。したがって、これら 26 の事業体は 2016
年度財務諸表から IFRS 基準に準拠した連結財務諸表を提出、公表しなければならない。
(※)このような基準を明示する公式なリストは存在しない。しかし、ロシア財務省が設置した IFRS 実施
のための部門間ワーキンググループは、連邦法「連結財務諸表について」に基づき、IFRS 以外の国際的に
認知された基準は US GAAP を指すと解釈するべきだと説明している。
IFRS 基準に準拠した年次連結財務諸表の提出期限と提出先
年次連結財務諸表を総会前に企業の出資者(株主を含む)に提出しなければならない。ただし、遅くとも連
結財務諸表が作成された年度の最終日から 120 日以内にこれを行わなければならない。年次連結財務諸表は
中央銀行にも申告する必要がある。
IFRS 基準に準拠した連結財務諸表の監査
IFRS 基準に準拠した年次連結財務諸表は法定監査の対象となる。監査意見は連結財務諸表とともに提出、
公表されなければならない。
IFRS 基準に準拠した連結財務諸表の公表
企業は、年次連結財務諸表を当該企業の出資者に提出した日から 30 日以内に公表しなければならない。
連結財務諸表は、以下のいずれかに該当した場合に公表されたと見なされる。
► 一般の人々が閲覧可能な情報ネット・ワーク(インターネットなど)上に公開された場合、および
/または
► 財務諸表に関心のある人々が閲覧することのできるマスメディアに掲載された場合、および/また
は
► 上記以外の措置により、すべての利害関係者が財務諸表を閲覧できる状態になった場合
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
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投資家にとって重要な概念
ロシアで IFRS 基準が公式エンドースメントされて以降、公開企業の連結財務諸表は IFRS 基準に基づいて
作成されてきた。ロシア語の合算財務諸表(特定の場合に求められる)、およびすべての企業の単体財務諸
表は、引き続き PBU に基づいて作成される。PBU に基づく特定の勘定および商取引の会計原則を下記に示
す。
外貨建取引
すべての帳簿記入はルーブルで行わなければならない。ルーブルは報告通貨でもある。ロシアは高インフレ
経済圏ではないが、過去のインフレを鑑みると、財務状況や業績をよりよく理解するためにはルーブル建金
額の分析が必要である。帳簿上、外貨建取引は、中央銀行が定めた取引日時点の交換レートを用いてルーブ
ルに換算される。ルーブルで記帳された主要為替建の金融資産および負債(前受金・前払金を除く)は、報
告日の交換レートで再評価される。ただし、当事者が合意した場合は、会計上、別の交換レートを使用する。
固定資産
企業の固定資産は取得原価で記帳される。こうした資産の減価償却には 4 つの方法が認められているが、そ
の中で最もよく使われるのが定額法である。固定資産の耐用年数は取得日に決定され、予想使用期間に等し
い。報告年度末現在における固定資産の市場価格への再評価を年に 1 度、行うことが認められている(ただ
し義務ではない)。企業は、類似(同質)の固定資産からなるグループを年に 1 度まで再評価することがで
きる。土地および天然資源は再評価の対象とはならない。
企業は会計と税務の記帳において、異なる耐用年数を用いることができる。
棚卸資産
棚卸資産は原価で記帳される。棚卸資産は、実現可能価額が原価を下回る場合、年度末に償却されなければ
ならない。実現可能価額は販売費用を差し引かずに算定される。
原価を決定するための会計手法としては、以下が認められている。
► 総平均法
► 個別原価法(個別法)
► 先入先出法(FIFO)
最もよく使われているのは総平均法である。製品の原価には、直接原価および配分された間接製造原価が含
まれなければならない。
投資
投資は実際の支出額で記帳される。決定可能な現行市場価額がある投資は、市場価額で記帳しなければなら
ない。決定可能な現行市場価額がない投資は原価で記帳し、減損テストを実施すべきである。
銀行取引
企業の現金残高は、銀行に記録された活動のみを反映する。銀行取引明細書とその補完書類は、当該企業の
帳簿記入の証憑であるため、銀行取引明細書を企業の帳簿と照合する必要はない。
納税義務
PBU No. 18「繰延税金の会計」は、繰延税金、および税務と帳簿との間の一時・永久差異の特定に関して
言及している。
46
EY / Doing Business in the Russian Federation
資本金および準備金
株主資本は定款で承認された全金額である。自己株式は、貸借対照表の資本および準備金の欄でマイナス表
示される。
企業は、利益剰余金から準備金を積み立てることができる。準備金の目的は、累積損失の補填や自社株の買
い戻しを行うことである。株式会社が積み立てるべき準備金は定款資本の 5%を下回らない金額でなくては
ならない。
純利益
ロシア会計は発生主義に基づくが、収入と経費の認識については IFRS と異なる場合がある。
株主に承認された財務諸表は原則修正することができない。すでに財務諸表が承認されている過去の期間に
関する重大な誤りはいかなるものであれ、現行期間の財務諸表で遡及的に修正する。
年度終了後から年次株主総会で承認を受けるまでの間に重要な誤りが発覚した場合は、誤りが発生した年の
12 月の会計記録において修正する。
税務上、企業は過去の誤りの影響を修正するために、過去に申告した納税申告書を再提出する必要がある。
開示、報告、申告の要件
開示要件
財務諸表はすべてロシア語で作成し、ルーブル建で報告しなければならない。
ロシアでは、年次財務諸表は以下の書類で構成される。
► 過去 2 年を比較年度とする貸借対照表
► 損益計算書
► 貸借対照表および損益計算書の付属書類
貸借対照表、損益計算書、それらの付属書類の書式は、PBU No. 4「組織の会計報告について」で規定され
ている。
財務諸表の付属書類には、以下の情報が含まれなければならない。
► キャッシュフロー報告書
► 株主資本等変動計算書
► 財務諸表注記
► 重要な会計方針の概要
► 強制適用される会計基準を適用すると適正表示ができなくなるために、当該会計基準から逸脱したす
べての項目に関する説明
► 重要な勘定(無形資産、固定資産、投資、債務、債権、株主資本、収入、費用)に関する補足的詳細
► コミットメント、偶発事象、重要な後発事象、保証、関連当事者、実質所有者、1 株当たり利益(EPS)、
事業セグメント情報の開示
► 業績、将来計画、リスク管理、および経営陣が重要とみなす情報の説明と分析
► 自社の環境活動に関する開示情報
► イノベーションおよび近代化に関する開示情報
► 自社の事業活動のリスクに関する開示情報
► 補足情報
四半期財務報告には、貸借対照表と損益計算書を含めなければならない。
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報告・申告要件
すべての企業の会計報告年度は 1 月 1 日から 12 月 31 日までである。新たに設立された法人の場合、最初の
会計年度は企業の国家登録日から同年 12 月 31 日までだが、10 月 1 日以降に設立された法人については、翌
年の 12 月 31 日までとなる。年次財務諸表(賃借対照表、損益計算書、および賃借対照表と損益計算書の付
属書類)は、報告年度の翌年度開始から 90 日以内に、株主、税調査団および統計機関に提出しなければな
らない。
財務報告書は、当該企業の代表取締役または財務諸表への署名を明確に委任された者が署名しなければなら
ない。
企業の年次報告は、報告年度の翌年度開始から 90 日以内に、企業の所有者、税務局の税調査団、およびそ
の他の統計機関に提出されなければならない。四半期報告は、当該四半期の最終日から 30 日以内に提出さ
れなければならない。
年次報告は企業の定款に従って検証、承認されなければならない。
公開企業、銀行、保険会社および投資ファンドは、会計年度終了後の 6 月 30 日までに自社の年次報告書を
一般に公表しなければならない。
ロシア証券取引所に上場しているすべての企業は、四半期財務諸表(貸借対照表、損益計算書、および必要
な開示情報)と追加的情報を、当該四半期の最終日から 30 日以内にロシア中央銀行に提出しなければなら
ない。上記の IFRS 基準に準拠した財務諸表を作成、提出、申告する上場企業に係る要件も参照のこと。
監査要件
連邦法第 307-FZ 号「監査について」で、監査が義務付けられる事業体の判断基準が以下の通り説明されて
いる。
► 株式会社
► 銀行、保険会社、証券取引所、機関投資家
► 地方自治体、国営企業
► 売上高および/または資産総額が報告期間の前年度末時点で所定の限度を超えている企業(現在は、
年度収入が 4 億ルーブル超、資産総額が 6,000 万ルーブル超とされている)
► 連邦法第 208-FZ 号に準拠して作成された財務諸表の監査など、その他、連邦法により法定監査が定
められている場合
財務省は最近、ロシア連邦領土における適用に向けた国際監査基準の承認に関する規則を発令した。同規則
によれば、連邦監査基準は今後国際監査基準に置き換えられる。しかしながら、この移行に関する日程はま
だ決定されていない。
IFRS とロシア会計原則との違い
主な違いは以下の通り。
► 報告通貨と機能通貨の定義
► 会計と税務の両方の目的で、規定の書式に従って疎明資料を作成、用意しなければならない。
► インフレ会計の概念が存在しない。
► 企業結合や取得原価配分の概念がない。
► 営業権の概念が適切に規定されておらず、適用されていない。
► 時価の概念が適用されていない。非流動資産と非流動負債はほとんどの場合、取得価値で表示される。
► 資本金および準備金の会計が異なる。
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個人
個人所得税
居住者の個人所得税率は一律13%であり、タックス・ヘイブン諸国を除いて世界で最も税率の低い国の一つ
と言える。低税率である一方、税制の運用や管理面において納税者が直面する問題が多く残っており、税金
の納付手続にも困難を伴う。
納税者
居住者、およびロシア源泉所得を受領する非居住者が納税者となる。
居住者定義
居住者とは「連続した12ヶ月間に183日以上ロシアに滞在する個人」と税法上定義されている。しかしなが
ら財務省及び連邦税務局の見解では、居住者に該当するためには暦年での滞在日数が183日以上である必要
があり、税法には規定はないものの、実務上はこの見解が居住者の定義として運用されている。
この居住者判定における滞在日数の数え方であるが、現在の税務署の見解では、到着日・出発日ともにロシ
アでの滞在日数として数える。上述の居住者の基準を満たさないものは、非居住者となる。
課税基準
居住者は、全世界所得に課税される。
非居住者はロシア源泉所得に課税される。ロシア源泉所得に含まれる所得は以下の通り。
► ロシアにおける職務、サービス、活動に対する報酬(報酬の受取場所は関係ない)
► ロシア企業が支払う配当および利息
► ロシア企業が支払う保険料ロシアにおける資産(例えば、不動産、有価証券、出資権等)の売却に伴
う所得
► 低金利ローン、市場価格以下で購入した証券 (ロシア源泉の場合)
税率
所得の種類により9%**、13%、15%、30%、35%の5種類の税率がある。
居住者が受領する配当所得 (ロシア源泉と国外源泉を含む)
13%
居住者が受領するすべての所得
居住者・非居住者にかかわらず連邦法115-FZ号に規定されている「高度な専門性を
有する者」が受領する給与所得*
13%
非居住者が受領する配当所得
15%
非居住者が受領する(配当や「高度な専門性を有する外国人」が受領する給与所得を
除く)全ての課税所得
高金利の預金利息(中銀リファイナンス・レート+5%を超えるルーブル預金の受取利
息、9%を超える外貨預金の受取利息)、特定の賞金、低金利のローン(中銀リファイ
ナンス・レートの 2/3 以下のルーブル建ローンおよび 9%以下の外貨建ローンはその金
利差額がみなし所得となる)
30%
35%
*財務省の現在の見解によれば、高度な専門性をもつ外国人として13% の税率が適用されるのは、基本給と賞与、つ
まり高度な専門性をもつ外国人の雇用者との雇用契約や業務委託契約にもとづく報酬とされる。高度な専門性を
もつ外国人としての所得に該当しない、もしくは別の雇用者(例:高度な専門性をもつ外国人の労働・サービスへ
の対価を支給する国外の雇用者)から受領する所得に13%の税率を適用する場合、当局から指摘される可能性があ
る。
**2007年1月1日以前に発行された抵当権付き債権など、特別な条件下において適用される。
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個人所得税計算表
所得内訳
ロシア
居住者
ロシア
非居住者
ロシア
非居住者
(高度な専門性を有する外国人)
給与所得*1
10,000
10,000
10,000*4
その他の所得
(ロシア国内)*2
2,000
2,000
2,000
ロシア源泉所得でない
その他の所得
200
n/a
n/a
控除*3
***
n/a
n/a
課税所得
12,200
12,000
12,000
適用税率
13%
30%
13% - 給与所得 10,000 に適用
30%- その他のロシアで受領した所得 2,000 に適用
税額
1,586
3,600
1,900
1
* 給与所得は、現金、物品により支給される労働対価で、給料、賞与、海外赴任手当を含む
*2 ロシア国内で受け取るレンタルによる収入、キャピタル・ゲイン、銀行利息など
*3 ロシア税法では課税標準から次の控除が想定されている:標準控除、社会控除、資産控除、
及び職業に関する控除、ただし少額である
*4 財務省の現在の見解によれば、高度な専門性をもつ外国人として 13% の税率が適用されるのは、基本給と賞
与、つまり高度な専門性をもつ外国人の雇用者との雇用契約や業務委託契約にもとづく報酬とされる。高度な専
門性をもつ外国人としての所得に該当しない、もしくは別の雇用者(例:高度な専門性をもつ外国人の労働・サー
ビスへの対価を支給する国外の雇用者)から受領する所得に 13%の税率を適用する場合、当局から指摘される可能
性がある。
申告および納付
大半の納税者は、所得の受領時に税金が源泉徴収されている。他方で、税金が源泉されずに
ロシア源泉所得を受領した個人は、年度末に確定申告を行う義務がある。
通常、確定申告義務が発生する個人は以下の通り。
► 税金が源泉徴収されずにロシア源泉所得を受領した人
► ロシア国外から所得を受け取った人
► 民事契約(賃貸契約及び販売契約を含む)により個人からロシア源泉所得を受領した人
個人は、確定申告の義務がなくても、任意に確定申告をすることができる。特別な税金控除を受けたり、
非居住者から居住者への税法上のステータス変更にともなう税金の還付を請求する際には、
確定申告が必要となる。
確定申告は翌年4月30日までに行い、税金は翌年の7月15日までに納付しなければならない。ロシアでの任
期を終えて帰国する外国人は、出発の1ヶ月前に申告が義務づけられており、その際出国日までの全所得
を報告し、申告後15日以内に税金を納付する必要がある。
税法では自己申告制度を規定しているが、多くの税務署は納税者の税額を明記した納税通知書を発行して
いる。申告が遅れた場合、毎月未納付額の5%の罰則金が課されるが、上限は30%(かつ1,000ルーブル未満)
と税法で規定されている。
納付の遅延には、ロシア中央銀行リファイナンス・レートの1/300の利率が日割計算で遅延利息として課
される。税金が過少に納付された場合、未納付金額の20% (意図的な違反には40%)が罰金として課される。
また、外国人にロシア駐在中、脱税があった場合、納税債務の支払が完了するまでロシアへの入国が禁止
される。
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有価証券売却損益
有価証券売却に伴うキャピタル・ゲインは、有価証券売却価格から取得原価(有価証券の購入または売却
に関連した手数料を含む)を控除して算出される。税金は、所得の支払者が源泉徴収するか、納税者が確
定申告により支払う。市場性のある有価証券の売却に伴うキャピタル・ロスは、同じ税務年度に発生した
同種の有価証券のキャピタル・ゲインと相殺することができる。キャピタル・ロスの繰越は10年まで可能
である。税法には、ストックオプションやその他の株式による報酬に関する特別な規定はない。したがっ
て、税務の観点から慎重な分析を要する。
控除と免税
納税者が居住者である場合、次の控除を受けることができる。
► 納税者と扶養する子供に関する特定の教育費。ただし上限あり。
► 納税者とその配偶者、両親、子供に関してロシアの認可を受けた医療機関に支払った医療関連費用。
ただし上限あり。
► 納税者、配偶者、扶養する両親と子供に関して締結された契約に基づきロシアの認可を受けた任意年
金基金へ支払った年金の積立金。ただし上限あり。
► 一定の制限の下での教育費・医療費・寄付金に関する控除 (いわゆる社会的控除)は合計で年間 12 万
ルーブルを上限とする (子供の教育費や高額な医療費は除く)。
► 200 万ルーブルを上限とする不動産の購入費。ロシアの居住用資産の取得、または建設費用。また、
それらの取得資金や建設資金のためのロシア公認銀行に支払われる銀行ローン金利は年間 300 万ル
ーブルを上限として控除できる。この控除は一生に一度のみ適用できる。不動産関連の控除は 200 万
ルーブルを上限として複数の不動産に適用できる。不動産が複数名により所有される場合、各個人は
200 万ルーブルを上限として控除の申請が可能。
► 納税者が 3 年、もしくは(2016 年より一部の例外を除き)5 年未満保有してきた不動産の売却益につ
いては、販売価格から経費を控除した売却益に課税されるが、控除する経費の書類などがそろわない
場合には 100 万ルーブルまで控除可能。
► 納税者が 3 年未満保有してきた動産(有価証券を除く)の売却益は、販売価格から経費を控除した売
却益に課税されるが、控除する経費の書類などがそろわない場合には 25 万ルーブルまで控除可能。
► 企業の清算時の株主への株式の売却、企業からの撤退、資金(財産)の株主への移転、当該企業の株式
の額面金額の減少、建設出資契約における債権の譲渡がある場合には 25 万ルーブルまで控除可能。
► 国または宗教団体が出資している科学、文化、教育、ヘルスケア、社会保障にかかわる団体への寄付
金。但し、年間で受け取った総所得の 25%を上限とする。
納税者が 3 年以上保有した資産(証券を除く)の売却に伴う収入 (居住者にのみ適用される)
► 投資に関する控除:控除は 2014 年 1 月 1 日以降に購入した有価証券で、3 年以上保有したものに適
用される。ロシアの証券市場で取引が認められた証券など、特別な条件下で適用される。
個人事業者や契約に基づき役務・サービスを提供する個人は関連経費を控除することができる。納税者
が支払った資産税はその資産が直接、事業に使用されるものであれば控除可能。個人事業に伴う経費が
書類で証明できない個人事業者には、事業の総収入に対して 20%の職業控除が適用できる。この場合、給
与計算でも確定申告(納税代理人が不在の場合)でも申請可能。
その他、標準控除や扶養控除もある。例えば扶養控除(第一子、第二子につき子供一人当たり月額 1,400
ルーブル、第三子以降は子供一人当たり月額 3,000 ルーブル)もあるが、年間の所得が 28 万ルーブルを
超えた納税者はこの控除を受ける権利がない。特定の障害者、退役軍人、自然災害による犠牲者は所得
金額に関わらず、月額 500 ルーブルの標準控除と扶養家族一人当たり 3,000 ルーブルの控除が適用でき
る。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
51
納税者は次の所得は免税を受ける権利がある。
►
►
►
►
►
►
►
►
連邦政府からの補助金(妊娠の補助金や失業保険など、ただし疾病手当を除く)
退職金 (3 ヶ月分の支払いを上限)
年金
特定の保険金(特に、加入が義務つけられている保険、生命保険、傷害、健康保険、任意の年金保険)
医療保険規定に基づき雇用者が従業員の為に支払う大部分の保険料
個人や法人から受領した贈与(贈与された資産の種類、その価値など特定の条件にも左右)
相続により受領した所得(大半の場合)
特定の金銭的支援
社会保険制度
ロシアの社会保険料は、個人負担分はなく、全額雇用者負担である。雇用者が強制年金・医療・社会保険料
を負担する。任意で個人や雇用者(福利厚生の一環として)が追加の年金積立を行うことも可能である。
社会保険料は年金基金・社会保険基金・連邦強制医療保険基金に積み立てられる。
社会保険料は、雇用関係や業務委託契約に基づき支払われる金額すべてにかかる。法令で社会保険料が免除
される給与計算上の項目が規定される。リストには大部分の国の社会給付、補償の性質をもつ支払い(例、
日当、ホテル代、旅費)、退職金、任意の医療・年金保険(法令で規定されるように書面で規定されていれ
ば)、特定の種類の従業員への保障など。
なお、2017年1月より社会保険料の管轄は各基金から税務署へ移行される予定。
保険料率
2016年は社会保険の優遇制度が適用される者を除くすべてのカテゴリーの支払者に次の保険料率が適用さ
れる。(ただし労災には別の保険料率が適用される。)
1. ロシア人従業員の場合
2016 年度
社会保険料率
(合計)
718,000 ルーブル
以下の所得
796,000 ルーブル
以下の所得
796,000 ルーブルを
超える所得
30%
27.1%
15.1%
*その内訳
年金基金
社会保険基金
22%
2.9%
22%
0%
10%
0%
連邦医療保険基金
5.1%
5.1%
5.1%
例: ロシア人従業員年収が
1,000,000 ルーブルの場合
52
718,000 X 30% + (796,000–718,000) X 27.1% + (1,000,000-796,000) X
15.1% = 267,342 (2015 年に比べ 11,592 ルーブル増加)
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2. 日本人従業員の場合
2016 年度
社会保険料率
(合計)
*その内訳
年金基金
社会保険基金
連邦医療保険基金
例: 日本人従業員年収が
1,000,000 ルーブルの場合
718,000 ルーブル
以下の所得
796,000 ルーブル
以下の所得
796,000 ルーブルを
超える所得
23.8%
22%
10%
22%
1.8%
0%
22%
0%
0%
10%
0%
0%
718,000 X 23.8% + (796,000–718,000) X 22% + (1,000,000-796,000) X
10% = 208,444(2015 年と比べ 11,064 ルーブル増加)
ロシアに一時的に滞在する外国人で雇用契約の有効期間が6ヶ月を超えない場合、または高度な専門性をも
つ外国人への支払いは、労災以外の社会保険料の積み立てが免除される。通常の労働許可証を持つ外国人へ
の支払いには1.8%の社会保険料が適用される。6ヶ月間、社会保険料を積み立てると、外国人も疾病手当な
どの社会保険の恩典をうけることができる。
早期退職の権利をもつ従業員(例:危険かつ有害な環境で勤務するケース)をかかえる企業は年金保険料を
追加で積み立てる必要がある。これは各職場環境の査定結果により、危険かつ有害な環境での労働と分類さ
れた職種について雇用者が追加で 2~8%の保険料の積み立てを行うものである。
その他、法令では低減された社会保険料率を適用できる組織を規定している。これらは特定の分野での経済
活動を行っている企業で下記の通り。
►
►
►
►
►
特定の IT 企業
特定のマスメディア企業
スコルコボ・プロジェクトへの参加者
エンジニアリング・サービスを提供している企業
その他
雇用者は、社会保険料の積み立ての情報を年金基金と社会保険基金へ(2017 年からは税務署へ)提出する。
報告書は関連当局へ月次、四半期ごと、年次ごとに提出する。
労働災害保険
全ての雇用者は、上記の社会保険料の積立に加え、労働災害保険料の支払を義務づけられている。これ
らの保険料は、支払給与総額に一定率を乗じて算出される。保険料率は職業別にリスク率に応じて 32
段階に分類され、段階ごとに固有の料率(0.2~8.5%)が定められている。なお、保険料が適用される
所得の上限はない。
雇用契約やサービス契約に基づき支払われる全ての支払が対象。免除の対象となるのは、社会保険料の
積立が免除されるものとほぼ同様となる。
Ernst & Young / Doing Business in the Russian Federation
53
雇用
ロシア労働法
労働法は、ロシアにおける労務関係の基本を定め、従業員の権利を規定しており、従業員の雇用・解雇手
続、就業時間、休暇、出張、給与支払等の条件が取り決められている。ロシアの労働法は従来通り従業員
保護の色合いが強い。
労使対立が起こった場合、従業員は雇用契約に明記されていない権利であっても労働法の保護規定の適用
を要求することができる。さらに労働法では特定分野の従業員に一定の権利を保障しており、たとえ雇用
契約に明記されていない権利であっても、雇用者はその権利を付与する義務がある。
労働法は、従業員の国籍にかかわらず、また雇用主がロシア法人か外国法人にかかわらず、ロシア国内で
従事する全ての従業員に適用される。すなわち、ロシアの労働法は、ロシア人のみでならず、ロシアで勤
務する外国人駐在員に対しても雇用契約の締結場所にかかわらず適用される。更に、入国管理法とその実
務は厳格化されてきており、雇用者は、外国人従業員の労働許可を取得するため、外国人従業員との間に
ロシアでの雇用契約を締結せざるを得ないこともある。
標準的な労働時間は雇用者により規定される。通常は1日8時間で週5日、つまり1週間40時間の労働時間制
が採用される。特定のカテゴリーの従業員(ロシア北西部で勤務する女性など)には短縮された労働時間
制が適用される。残業は連続した2日間で4時間以内、年間120時間が上限と制限される。
従業員には年間28日以上の有給休暇が与えられなければならない。特別な環境や労働時間制で勤務する従
業員には追加の有給休暇が付与される。
労働法上、給与は連邦区域で規定された最低賃金、それがなければ国家で定められた最低賃金を上回る金
額を支給する必要がある。2016年7月1日現在の最低賃金はロシア全体で月額7,500ルーブル、モスクワで
は月額17,300ルーブルと規定される。この金額は定期的に見直される。最低賃金は労働市場における賃金
を大きく下回り、実質的な最低賃金というより国からの給付金の算定に使用される。労働法上、給与はル
ーブルで月に2回以上、2016年10月以降は翌月15日までに支払う必要がある。
従業員への保障と権利につき、本人のイニシアティブであっても法令で定められたものを雇用契約で制限
することはできない。労働法上、雇用契約は通常、無期限で締結される。有期の雇用契約は限られた状況
においてのみ適用できる。雇用者は新規に従業員を雇用する場合、試用期間を設けることができる。通常
の従業員へは最長3ヶ月間、社長、チーフアカウンタントは6ヶ月まで設けることができる。
ロシア法に準拠すべく雇用者は様々な人事上の出来事(採用、休暇、出張、解雇など)を都度、記録するため
多くの書類をそろえる必要がある。これらの書類は当局の監査の対象となる。いくつかの社内人事規定も労
働法で義務づけられている。
労働法では解雇手続きの様々な事由を規定している。もっとも頻繁に使用される事由は以下のとおり。



54
従業員のイニシアティブ(2 週間前通知があれば、いつの時点でも可能)
雇用者・従業員の双方の合意 (最も頻繁に使用されており、双方で合意した日付・条件で可能)
雇用者のイニシアティブ(最も複雑な手続きで、特定の状況下でのみ可能。手続きが雇用者により守
られない場合、従業員は裁判で職場復帰を要求する可能性もある)
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労働法違反の罰則
現在、労働法のコンプライアンス違反への罰則は、下記の通り。経営陣(代表取締役、チーフ・アカウン
タント、人事部長) への罰金は1,000ルーブルから5,000ルーブル、雇用者への罰金は3万ルーブルから5
万ルーブル、給与の未払の場合、未払分の支払と遅延利息 (ロシア中央銀行のリファイナンス・レートの
1/300で日割り計算)が要請される。90日までの法人の活動停止もありえるが、実際には稀である。個人が
繰り返し行政罰をうけた場合、3年までの退陣もありえる。
入国管理法
ロシアで外国人が就労する場合、原則として労働許可証、またはパテント(後者は CIS 国籍者のみ)を取得
する必要がある。また、必要に応じて雇用者や労働(サービス)の受入先は外国人を雇用するための雇用許
可証の取得が必要な場合もある。
労働許可証に加え、外国人がロシアに滞在し就労するためには就労ビザも取得する必要がある。就労ビザ
の有効期限は通常、労働許可証の有効期限に連動する。
ロシアで外国人を雇用するにあたり、実際に使用されている制度の概要は次の通り。
主な特徴
労働許可証
の種類
一般の外国人
高度な専門性を
もつ外国人 (HQS)
パテント
ウラジオストク自由港
(2015 年 10 月より施行)
基準
特定の基準なし
ロシアで支給され
る所得が月収 16 万
7,000 ルーブル以上
であること
CIS 国 籍者 への労働
許可証に代わるもの
15 行 政 区 か ら な る
ウ ラ ジ オス ト ク自 由港
で活動する企業への
制度
手続きと
特徴
3 段階
試験*が必要
雇用枠**も必要
1 段階
試験は不要
雇用枠も不要
1 段階
試験が必要
1 段階
試験が必要
雇用枠は不要
申請期間
3~5 ヶ月
14 営業日
10 営業日
30 営業日
有効期限
最長 12 ヶ月
3年
最長 12 ヶ月
(前払い金額による)
最長 12 ヶ月
制度が
使用できる者
ロシア法人
外国法人の支店と
駐在員事務所
非営利団体
ロシア法人
外国法人の支店と
駐在員事務所
ロシア法人
非営利団体
自 由 港 の居 住 者と して
登録された法人
* 2015 年 1 月 1 日より、外国人が労働許可証・パテント、一時的居住許可証、永住許可証を申請する場合、ロシア語・ロシアの歴史・
ロシアの法律の知識の証明書を提示することが義務づけられた。(高度な専門性をもつ外国人は免除される)
**現行制度では、企業は毎年 6 月 1 日までに翌年の雇用予定の外国人(従業員以外に、民事契約で雇う者、また CIS 国籍者も含む、
高度な専門性をもつ外国人は除く)の人数・職位・国籍を報告する必要がある。この手続きは実質的な雇用枠の申請で、高度な専門
性をもつ外国人や雇用枠の対象とならない職種を除き、労働許可証の申請に先立ち要請される。ロシア政府は毎年、雇用枠の対象と
ならない職種を発表しており、2015 年には 70 の職種がこれに該当した。
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55
外国人の雇用に関する通知制度
雇用者は外国人の雇用に関して、様々な当局への通知義務がある。
税務署はこの通知制度を監視しており、給与計算関連の税務申告等を受理する際に、通知のコピーがしば
しば要求される。
外国人の滞在場所での通知制度
外国人がロシアを訪れた場合、受入先は7営業日以内に管轄地域の入国管理当局にその旨を通知する必要
がある。また外国人が 7 営業日以上のロシア国内出張から戻ってきた場合も同様である。
受入先とは、一般的に外国人がホテルに宿泊する場合にはホテル、それ以外の場合には雇用者となる。
高度な専門性をもつ外国人でロシアにアパートを所有している場合、帯同家族の受入先となれる。
他方、高度な専門性を有する外国人の場合には、受入先は 90 日以内の滞在の場合には、入国管理当局へ
の通知は不要である。
フランス国籍者やユーラシア経済同盟国(ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギスタン)には滞
在登録に関する特殊な規定もある。
さらに外国人がロシアから出国する際の通知(滞在場所での抹消登録)は不要となった。より正確には国境
管轄当局、または国内移動の場合、新しい滞在登録場所が行う。
入国管理法違反の罰則
法令では、入国管理法に違反した企業、その外国人を招聘した法人に対して厳格な罰則を規定している。企
業に課される罰則金は1つの違反につき最大 100 万ルーブル、外国人のロシア国外追放、且つ 90 日までの
企業の業務停止、もしくは「高度な専門性を有する外国人」の雇用が 2 年間禁止される可能性がある。さら
に、2013 年 8 月 9 日より新たな罰則規定が施行され、外国人の雇用につき、適切な書類の不備や関連当局へ
の通知が行われていない場合、雇用者や外国人本人に科される罰則は従来にまして強化されている。例えば、
過去 3 年間に 2 つ以上の行政違反があった場合、ロシアへの入国が 3 年間禁止される。
また特定の地域 (モスクワ市、サンクトペテルブルグ市、モスクワ州、レニングラード州)における違反に
ついては、より厳しい罰則が適用される。
重国籍者等に対する移民局への通知制度について
ロシア連邦国籍法にもとづき、重国籍者等に対する移民局への通知制度が導入され、ロシア国籍者は次の場
合に連邦移民局への通知を要請される。
► ロシア以外の国籍を取得した場合
► ロシア以外の国における居住許可証を取得した場合
► ロシア以外の国における永住許可証を取得した場合
通知期限は、ロシア以外の国で国籍や永住権を取得してから60日以内と規定される。
通知制度に違反すると行政罰や刑事罰に処せられる。60日以内の期限が守られなかったり、正確な情報が提
供されなかったなど、手続の違反に対しては行政罰1,000ルーブルが科される。ただし通知を怠った場合に
は最大で1年間分の所得相当額の罰金、又は最高で400時間の社会奉仕活動の刑事罰が科される。
56
EY / Doing Business in the Russian Federation
巻末資料
巻末資料 1:官公庁住所録
主要な商業機構
連邦政府機関
American Chamber of Commerce
Dolgorukovskaya st. 7, 14th floor
Moscow, 127006, Russia
Tel : +7 (495) 961 2141
Fax: +7 (495) 961 2142
E-mail: [email protected]
Website: www.amcham.ru
Government of the Russian Federation
Krasnopresnenskaya Naberezhnaya, 2
Moscow, 103274
Tel: +7 (495) 605 5329
Website: www.government.ru/en/
Ministry of Internal Affairs
Zhitnaya st., 16
Moscow, 119049
Tel: + 7 495 667 4579
Website: https://en.mvd.ru/
Association of European Businesses
Krasnoproletarskaya ul.16, bld.3,
Entrance 8, 4th floor
Moscow, 127473, Russia
Tel : +7 (495) 234 2764
Fax: +7 (495) 234 2807
E-mail: [email protected]
Website: www.aebrus.ru
Ministry of Health Care
Rakhmanovsky pereulok, 3/25
Moscow 127994
Tel: +7 495 627 2944
Website: www.rosminzdrav.ru
Deutsch-Russische Auslandshandelskammer
(Russo-German Chamber of Commerce)
Pervy Kazachi pereulok, 7
Moscow, 119017,Russia
Tel: +7 (495) 234 4950
Fax: +7 (495) 234 4951
Email: [email protected]
Website: http://russland.ahk.de
Russo-British Chamber of Commerce
GalerEYa Aktyor Business Centre
Tverskaya st., 16/2, 4th floor
Moscow, 125009, Russia
Tel: +7 495 961 2160 (ext. 100)
Fax: +7 495 961 2161
Email: [email protected]
Website: www.rbcc.com
Chambre de Commerce et D’Industrie
Francaise en Russie
Milyutinskiy pereulok 10, bld.1
Moscow, 101000, Russia
Tel: +7 495 721 3828
Fax: +7 495 721 1995
Email: [email protected]
Website: www.ccifr.ru
Ministry of Foreign Affairs
Smolenskaya-Sennaya Ploshad, 32/34
Moscow, 121002
Tel: +7 499 244 1249
Email: [email protected]
Website: www.mid.ru
Ministry of Communications and Mass Media
Tverskaya st., 7
Moscow, 125375
Tel: + 7 495 771 8100
Fax: + 7 495 771 8121
Website: www.minsvyaz.ru
Ministry of Education and Science
Tverskaya st., 11
Moscow, GSP-3, 103905
Tel: + 7 495 629 7062
Fax: + 7 495 629 0891
Website: www.mon.gov.ru
Ministry of Natural Resources and
Environment
Bolschaya Gruzinskaya st., 4/6
Moscow, 123242
Tel: +7 495 254 4800
Fax: +7 495 254 4310/6610
Website: www.mnr.gov.ru
EY / Doing Business in the Russian Federation
57
Ministry of Industry and Trade
Kitaygorodskyi proezd, 7
Moscow, 109074
Tel: +7 495 539 2187
Fax: +7 495 539 2172
Email: [email protected]
Website: www.minpromTORg.gov.ru
Ministry of Agriculture
Orlikov pereulok, 1/11
Moscow, 107139
Tel: +7 495 607 8000;
Fax: +7 495 607 8362
Email: [email protected]
Website: www.mcx.ru
Federal Agency for Management of
Federal Property
Nikolsky pereulok, 9
Moscow, 109012
Tel: +7 495 698 7562
Fax: +7 495 698 7583
Website: www.rosim.ru
Ministry of Finance
Ilyinka st., 9
Moscow, 109097
Tel: +7 495 987 9101
Website: www.minfin.ru
Ministry of Economic Development
Pervaya Tverskaya-Yamskaya st., 1/3
Moscow, A-47, GSP-3, 125993
Tel: +7 495 694 0353
Fax: +7 499 251 6965
Email: [email protected]
Website: www.economy.gov.ru/minec/main
Ministry for Development of Russian Far East
Burdenko str., 14, Moscow, 119121
Shkolnaya st., 25, Moscow, 109544
Tel/Fax: +7 495 671 46 04
Email: [email protected]
Sheronova st., 22, Khabarovsk, 680030
Tel: +7 4212 97 00 10
E-mail: [email protected]
Website: http://minvr.ru/
58
Federal Customs Service
Novozavodskaya st., 11/5
Moscow, 121087
Tel: +7 495 449 7235
Fax: +7 495 449 7235
Website: www.customs.ru
Federal Service for State Registration,
Land Cadastre and Cartography (Rosreestr)
Prospect Vernadskogo, 37, bld. 2
Moscow, 119415
Tel: +7 495 917 5798,
Fax: +7 495 917 4852
Website: www.rosreestr.ru
Ministry of Transport
Rozhdestvenka st., 1/1
Moscow, 109012
Tel: +7 495 626 1000
Fax: +7 495 626 9128
Email: [email protected]
Website: www.mintrans.ru
Ministry of Justice
Zhitnaya st., 14
Moscow, GSP-1, 119991
Tel: +7 495 955 5999
Website: www.minjust.ru
Federal Tax Service
Neglinnaya st. 23, 127381 Moscow
Tel: +7 495 913 00 00
Website: www.nalog.ru
Federal Antimonopoly Service
Sadovaya-Kudrinskaya st., 11
Moscow, D-242, GSP-5, 123995
Tel: +7 499 252 2479
Fax: +7 499 254 7521
Email: [email protected]
Website: www.fas.gov.ru
Federal Tariff Service
Kitaygorodskyi proezd, 7
Moscow, 109074
Tel: +7 495 620 5069
Fax: +7 495 620 5041
Email: [email protected]
Website: www.fstrf.ru
Federal Meteorology and Environment
Monitoring Service
Novovagankovsky pereulok, 12
Moscow, 123995
Tel: +7 499 252 5504
Website: www.meteorf.ru
EY / Doing Business in the Russian Federation
Federal State Statistics Service
Myasnitskaya st., 39, bld. 1
Moscow, 107450
Tel: +7 495 607 4902
Email: [email protected]
Website: www.gks.ru
Federal Service of Ecological,
Technological and Nuclear Monitoring
A. Lukyanova st., 4, bld. 1
Moscow, 105066
Tel: +7 495 411 6045
Fax: +7 495 411 6052
Website: www.gosnadzor.ru
Federal Space Agency
Schepkina st., 42
Moscow, 107996
Tel: +7 495 631 9444
Fax: +7 495 688 9063
+7 499 975 4467
Website: www.federalspace.ru
The Central Bank
of the Russian Federation
Neglinnaya st., 12
Moscow, 107016
Russia
Tel: +7 495 771 9100
Fax: +7 495 621 6465
Email: [email protected]
Website: www.cbr.ru
Russian Chamber of Commerce and
Industry
Ilyinka st., 6/1, 1
Moscow, 109012
Tel: +7 495 929 0009
Fax: +7 495 929 0360
Email: [email protected]
Website: www.tpprf.ru
EY / Doing Business in the Russian Federation
59
巻末資料2: 為替レート(年度末)
出所:ロシア連邦中央銀行
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
RUB/US$
26.33
24.55
29.38
30.24
30.48
32.20
30.37
32.72
56.25
72.88
RUB/EUR
34.70
35.80
38.00
43.80
40.30
43.80
40.23
44.97
68.34
79.69
巻末資料3: 経済成長率の統計
出所:ロシア連邦統計局、ロシア連邦中央銀行、Oxford Economics
2006 2007
2008 2009 2010
Nominal GDP, US$ billion
1,022
Real annual GDP growth, % 8.2
2011
2012
2013
2014
2015
1,354
1,405
1,283
1,482
1,695
2,053
2,093
1,324
1,211
8.5
5.2
-7.8
4.3
4.3
3.4
1.3
0.7
-3.7
Inflation, %
9.0
11.9
13.3
8.8
8.8
6.1
5.7
6.5
11.4
12.9
Industrial output index
growth,
%
Unemployment
rate, %
6.3
6.8
0.6
-9.3
8.2
4.7
2.6
0.4
6.9
6. 1
7.8
8.2
7.2
6.1
5.3
5.5
60
EY / Doing Business in the Russian Federation
1.7
5.2
-3.4
5.6
巻末資料4: 二重課税防止条約の源泉税率一覧表
The maximum rates of withholding tax under double tax treaties currently in force are as follows:
Payee
resident in
Signatory
Dividends (%)
Interest
(%)
Royalties
(%)
Albania
Russia
10
10
10
2 Algeria
Russia
5/15 (a)
15 (e)
3 Argentina
Russia
10/15 (ab) 15 (e)
4
Armenia
Russia
5/10 (b)
5
Australia
Russia
6
1
Payee
resident in
Signatory
Dividends (%)
Interest
(%)
Royalties
(%)
23 Germany
Russia
5/15 (l)
0
0
15
24 Greece
Russia
5/10 (pp)
7
7
15
25 Hungary
Russia
10
0
0
0
0
26 Iceland
Russia
5/15 (m)
0
0
5/15 (c)
10
10
27 India
Russia
10
10 (e)
10
Austria
Russia
5/15 (d)
0
0
28 Indonesia
Russia
15
15 (e)
15
7 Azerbaijan
Russia
10
10 (e)
10
29 Iran
Russia
5/10 (pp)
7.5 (e)
5
8
Belarus
Russia
15
10 (e)
10
30 Ireland
Russia
10
0
0
9
Belgium
Russia
10
10 (e)
0
31 Israel
Russia
10
10 (e)
10
10 Botswana
Russia
5/10 (n)
10 (e)
10
32 Italy
Russia
5/10 (o)
10
0
11 Bulgaria
Russia
15
15 (e)
15
33 JAPAn
USSR
15
10 (e)
0/10 (p)
12
Canada
Russia
10/15 (f)
10 (e)
0/10 (g)
34 Kazakhstan
Russia
10
10 (e)
10
13
Chile
Russia
5/10 (zz)
15
5/10 (aaa)
35 Kuwait
Russia
0/5 (q)
0
10
14
China
Russia
10
10 (e)
10
36 Kyrgyzstan
Russia
10
10 (e)
10
15
Croatia
Russia
5/10 (h)
10
10
37 Latvia
Russia
5/10 (qa)
0/5/10 (e) (ea) 5
16
Cuba
Russia
5/15 (ww) 0/10 (xx)
0/5 (yy)
38 Lebanon
Russia
10
5 (e)
5
17
Cyprus
Russia
5/10 (i)
0
39 Lithuania
18
0
Czech
Republic
Russia
10
0
10
19 Denmark
Russia
10
0
0
20
Egypt
Russia
10
15 (e)
15
21 Finland
Russia
5/12 (j)
0
0
22 France
Russia
5/10/15 (k) 0
0
Russia
5/10 (r)
10 (e)
5/10 (s)
40 Luxembourg Russia
5/15 (t)
0
0
41 Macedonia
Russia
10
10
10
42 Malaysia
USSR
0/15 (vv)
15 (e)
10/15 (u)
43 Mali
Russia
10/15 (v)
15 (e)
0
44 Malta1
Russia
5/10(bbb)
5
5
45 Mexico
Russia
10
10 (e)
10
46 Moldova
Russia
10
0
10
EY / Doing Business in the Russian Federation
61
Signatory
Dividends (%)
Interest
(%)
Royalties
(%)
47 Mongolia
Russia
10
10 (e)
20 (x)
68 Sri Lanka
Russia
10/15 (gg) 10 (e)
10
48 Montenegro2
Russia
5/15 (aa)
10
10
69 Syria
Russia
15
10 (e)
49 Morocco
Russia
5/10 (w)
10
10
4.5/13.5/
18(hh)
50 Namibia
Russia
5/10 (h)
10 (e)
5
70 Sweden
Russia
5/15 (ii)
0
0
51 The
Netherlands
Russia
5/15 (y)
0
0
71 Switzerland
Russia
0/5/15 (jj) 0
0
72 Tajikistan
Russia
5/10 (n)
0
Payee
resident in
Payee
resident in
Signatory
Dividends (%)
Interest
(%)
10 (e)
Royalties
(%)
52 New Zealand Russia
15
10
10
73 Thailand
Russia
15
10 (e)
15
53 North Korea Russia
(DPRK)
10
0
0
74 TurkEY
Russia
10
10 (e)
10
75 Turkmenistan Russia
10
5
5
54 Norway
Russia
10
10 (e)
0
76 Ukraine
Russia
5/15 (ll)
10 (e)
10
55 Philippines
Russia
15
15 (e)
15
10
0
0
Russia
10
10 (e)
10
77 United
Kingdom
Russia
56 Poland
57 Portugal
Russia
10/15 (z)
10 (e)
10
78 USA
Russia
5/10 (mm) 0
0
58 Qatar
Russia
5
5 (e)
0
79 Uzbekistan
Russia
10
10 (e)
0
59 Romania
Russia
15
15 (e)
80 Venezuela
Russia
10/15 (ss)
0/5/10 (tt) (e) 10/15(uu)
60 Saudi Arabia Russia
5
5 (e)
10
81 Vietnam
Russia
10/15 (nn) 10
82 Non-treaty
countries
Russia
15
61 Serbia
Russia
5/15 (aa)
10
10
62 Singapore
Russia
5/10 (rr)
7,5 (e)
7,5
63 Slovak
Republic
Russia
10
0
10
64 Slovenia
Russia
10
10
10
3
65 South Africa Russia
10/15 (bb) 10 (e)
0
66 South Korea Russia
(ROK)
5/10 (cc)
0
5%
67 Spain
5/10/15
(dd) (ee)
0/5 (ff) (ee)
5(ee)
62
Russia
1
15
0/9/15/20 (oo) 20
The treaty with Malta is effective from 1 January 2015.
2
Montenegro, as a legal successor of the Federal Republic of Yugoslavia, applies
the respective double tax treaty.
3 Serbia, as a legal successor of the Federal Republic of Yugoslavia, applies the
Yugoslavia-Russia double tax treaty.
EY / Doing Business in the Russian Federation
(a)
The 5% rate on dividends paid to a company (excluding a partnership) that
is a beneficial owner and that holds at least 25% of the capital of the payer.
(ab)
The 10% rate applies to dividends paid to a company that is the beneficial
owner of the dividend and holds directly at least 25% of the capital of the
payer of the dividends. The 15% rate applies to other dividends.
(b)
The 5% rate applies if the recipient of the dividends has invested at least
US$40,000 or the equivalent in local currency in the payer’s charter
capital. The 10% rate applies to other dividends.
(c)
The 5% rate applies to dividends paid to companies (other than
partnerships) that hold at least 10% of the capital of the payer and have
invested in the payer at least AUD700,000 or an equivalent amount in local
currency and if the dividends paid by a Russian company are exempt from
tax in Australia. The 15% rate applies to other dividends.
(d)
The 5% rate applies to dividends paid to a company (other than a
partnership) that is the beneficial owner of the dividend and holds directly
at least 10% of the capital of the payer of the dividends and if the
participation exceeds US$100,000 or the equivalent in other currency. The
15% rate applies to other dividends.
(e)
A 0% rate applies in case the interest is paid to e.g., a state, its political
subdivisions or local authorities thereof, the central bank or credit
institutions of a state or if the loan is guaranteed or otherwise secured by a
state. For each particular case, the respective double tax treaty should be
considered.
(ea) The 5% rate applies to interest on bank loans issued to banks. The 10% rate
applies to other interest.
(f)
The 10% rate applies to dividends paid to a company that is the beneficial
owner of the dividends and owns at least 10% of the voting stock of the
payer or, in the case of a Russian payer that has not issued voting shares, at
least 10% of the statuTORy capital. The 15% rate applies to other dividends.
(g)
The 0% rate applies to royalties for the following: copyrights of cultural
works (excluding films and television rights); the use of computer software
and the use of patents or information concerning industrial, commercial or
scientific experience, if the payer and the beneficiary are not related
persons. The 10% rate applies to other royalties.
(h)
The 5% rate applies to dividends paid to companies that hold at least 25%
of the capital of the payer and have invested at least US$100,000 or the
equivalent amount in local currency. The 10% rate applies to other
dividends.
(i)
The 5% rate applies to dividends paid to shareholders that have invested in
the payer at least EUR100,000 or the equivalent amount in local currency.
The 10% rate applies to other dividends.
(j)
The 5% rate applies to dividends paid to a company (other than a
partnership) that is the beneficial owner of the dividend and holds directly
at least 30% of the capital of the payer of the dividends and the foreign
capital invested exceeds US$100,000 or its equivalent in the national
currency of the contracting states at the moment when the dividends
become due and payable. The 12% rate applies to other dividends.
(k)
The 5% rate applies if the recipient of the dividends has invested in the
payer at least FRF500,000 (EUR76,224) or the equivalent amount in other
currency (as the value of each investment is appreciated as of the date it is
made) and if the beneficiary of the dividends is a company that is exempt
from tax on dividends in its state of residence. The 10% rate applies if only
one of these conditions is met. The 15% rate applies to other dividends.
(l)
The 5% rate applies to dividends paid to companies that hold directly at
least 10% of the capital of the payer and such capital share amounts to at
least DEM160,000 (EUR80,000) or the equivalent amount in rubles. The
15% rate applies to other dividends.
(m)
The 5% rate applies to dividends paid to companies (other than partnerships)
that hold directly at least 25% of the capital of the payer, and the foreign
capital invested exceeds US$100,000 or its equivalent in national currency.
The 15% rate applies to other dividends.
(n)
The 5% rate applies to dividends paid to corporations that hold at least
25% of the capital of the payer. The 10% rate applies to other dividends.
(o)
The 5% rate applies to dividends paid to companies that hold directly at
least 10% of the capital of the payer, whereby this share should be at least
US$100,000 or its equivalent in other currency. The 10% rate applies to
other dividends.
(p)
The 0% rate applies for royalties received as a consideration for the use of,
or the right to use, any copyright of literary, artistic or scientific work
including cinematograph films and films or tapes for radio or television
broadcasting. The 10% rate applies to royalties received as a consideration
for the use of, or the right to use, any patent, trademark, design or model,
plan, secret formula or process, or for the use of, or the right to use,
industrial, commercial or scientific equipment, or for information
concerning industrial, commercial or scientific experience.
(q)
The 0% rate applies if the recipient of the dividend is the Government, a
political subdivision or a local authority of the other contracting state, or
Central Bank or other governmental agencies of the other contracting
state. The 5% rate applies to other dividends.
EY / Doing Business in the Russian Federation
63
(qa)
The 5% rate on dividends paid to a company (excluding a partnership) that
is a beneficial owner and that holds at least 25% of the capital of the payer
and has invested in the payer at least US$75,000 or the equivalent in local
currency. The 10% rate applies to other dividends.
(z)
(r)
The 5% rate applies to dividends paid to companies (other than
partnerships) that hold directly at least 25% of the capital of the payer, and
the capital directly invested by this beneficial owner is not less than
US$100,000 or the equivalent amount in the national currency. The 10%
rate applies to other dividends.
(aa) The 5% rate applies to dividends paid to companies (other than partnerships)
that hold directly at least 25% of the capital of the payer and have invested
in the payer at least US$100,000 or the equivalent amount in local currency.
The 15% rate applies to other dividends.
(s)
The 5% rate applies to royalties for the usage of industrial, commercial or
scientific equipment. The 10% rate applies to other royalties.
(t)
The 5% to dividends paid to companies that hold directly at least 10% of the
capital of the payer, and the capital directly invested by this beneficial
owner is not less than EUR80,000 or the equivalent amount in the national
currency (not yet effective upon the amending protocol come into force).
Currently the lowest rate is 10%, it applies if the recipient of the dividend
holds directly at least 30% of the capital of the payer and has invested in
the payer at least EUR75,000 or its equivalent in national currency. The
15% rate applies to other dividends.
(u)
The 10% rate applies to royalties received as a consideration for the use of,
or the right to use, any patent, trademark, design or model, plan, secret
formula or process, or any copyright of scientific work, or for the use of, or
the right to use, industrial, commercial, or scientific equipment, or for
information concerning industrial, commercial or scientific experience. The
15% rate applies to royalties received for the use of, or the right to use,
cinematograph films, or tapes for radio or television broadcasting, any
copyright of literary or artistic work.
(v)
The 10% rate applies if the recipient of the dividends has invested more
than FRF1 million (EUR152,449) in the payer. The 15% rate applies to other
dividends.
(w)
The 5% rate applies if the beneficial owner of the dividends owns an
interest in the capital of the payer of at least US$500,000. The 10% rate
applies to other dividends.
(x)
Royalties are subject to tax in the country of the payer in accordance with
domestic law (current rate 20%).
(y)
The 5% rate applies to dividends paid to companies (other than
partnerships) that hold directly at least 25% of the capital of the payer and
have invested at least EUR75,000 or its equivalent in the national
currencies. The 15% rate applies to other dividends.
64
The 10% rate applies if the beneficial owner is a company that, for an
uninterrupted period of two years before the payment of the dividends,
owned directly at least 25% of the capital of the payer of the dividends. The
15% rate applies to other dividends.
(bb) The 10% rate applies if the beneficial owner of the dividends owns at least
30% of the charter capital of the payer and has directly invested at least
US$100,000 in the charter capital of the payer. The 15% rate applies to
other dividends.
(cc)
The 5% rate applies to dividends paid to companies (other than
partnerships) that hold directly at least 30% of the capital of the payer and
have invested not less than US$100,000 or the equivalent amount of local
currencies. The 10% rate applies to other dividends.
(dd) The 5% rate applies if the beneficial owner of the dividends is a company
(other than a partnership) that has invested at least EUR100,000 or its
equivalent in the charter capital of the payer and if the country of residence
of the beneficial owner of the dividends does not impose taxes on the
dividends. The 10% rate applies if one of these conditions is met. The 15%
rate applies to other dividends.
(ee) The reduced tax rate is not applicable to a company resident in one
Contracting State receiving dividends, interest or royalties from sources in
the other Contracting State if more than 50% of this company is owned
(directly or indirectly) by non-residents. This restriction does not apply if
the establishment of the company and its operating activities in thet other
Contracting State are founded on sound business reasons other than a
mere participation in the capital of the other company.
(ff)
The 0% rate applies if the interest is paid on a long-term loan (seven or
more years) granted by a bank or other credit institution, which is a
resident of the contracting states, or if the beneficial owner of the interest
is a contracting state, a political subdivision or a local authority thereof.
(gg) The 10% rate applies if the beneficial owner of the dividends owns at least
25% of the charter capital of the payer. The 15% rate applies to other
dividends.
(hh) The 4.5% rate applies to royalties paid to entities for copyrights of
cinematographic films, programs, and recordings for radio and television
broadcasting. The 13.5% rate applies to royalties paid to entities for
copyrights of works of literature, art, or science. The 18% rate applies to
EY / Doing Business in the Russian Federation
royalties paid to entities for patents, trademarks, designs or models, plans,
secret formulas or processes and computer software, as well as for
information relating to industrial, commercial or scientific experience.
(ii)
(jj)
(ll)
The 5% rate applies if the beneficial owner is a company (other than a
partnership) that holds directly 100% (at least 30% if the recipient
corporation is a part of a joint venture) of the payer and the foreign capital
invested exceeds US$100,000 or the equivalent amount in local currency.
The 15% rate applies to other dividends.
A 0% rate applies in case the dividend is paid to e.g., a pension fund a state,
its political subdivisions or local authorities thereof, the central bank of a
state which are beneficial owners. The 5% rate applies to dividends paid to
companies (other than partnerships) that hold directly at least 20% of the
capital of the payer and if, at the time the dividends become due, the
foreign capital invested exceeds CHF200,000 or its equivalent in any other
currency. The 15% rate applies to other dividends.
The 5% rate applies to dividends paid to corporations that have invested in
the payer at least US$50,000 or the equivalent amount in local currency.
The 15% rate applies to other dividends.
(mm) The 5% rate applies to dividends paid to corporations holding at least 10%
of the voting shares of the payer or, in the case of a Russian payer that has
not issued voting shares, at least 10% of the statuTORy capital. The 10%
rate applies to other dividends.
(nn) The 10% rate applies to dividends paid to shareholders that have invested
at least the equivalent of US$10 million in the payer. The 15% rate applies to
other dividends.
(oo) The 0%/9%/15% rates apply to interest on certain types of state and
municipal securities; the 20% rate applies to other interest.
(pp) The 5% rate applies if the beneficial owner is a company (other than a
partnership) that holds directly at least 25% of the capital of the company
paying the dividends. The 10% rate applies in other cases.
(qq) The 10% rate applies if the beneficial owner holds directly at least 20% of
the total capital of the company paying the dividends. The 15% rate applies
in all other cases.
(rr)
(ss)
The 5% rate applies if the beneficial owner is the Government of the other
contracting state or is a company that holds directly at least 15% of the
capital of the payer company and has invested in it at least US$100,000 or
its equivalent in other currencies; the 10% rate applies in other cases.
The 10% rate applies to dividends paid to a company (other than a
partnership) that is the beneficial owner of the dividend and holds directly
at least 10% of the capital of the payer of the dividends and if the
participation exceeds US$100,000 or the equivalent in other currency. The
15% rate applies to other dividends.
(tt)
The 5% rate applies to interest on bank loans. The 10% rate applies to
other interest.
(uu) The 10% rate applies to fees for technical assistance.
(vv) The 0% withholding tax rate applies to dividends paid by a company resident
in Malaysia to a resident of Russia who is the beneficial owner thereof.
Profits of a joint venture accruing to a participant who is a resident of
Malaysia, when transferred from Russia, may be taxed in accordance
with the Russian law but the tax so charged shall not exceed 15% of such
profits transferred from Russia.
(ww) The 5% rate applies if the beneficial owner of the dividends is a company
(other than a partnership) that holds 25% of the charter capital of the
payer. The 15% rate applies to other dividends.
(xx) The 0% rate applies in the case the interest is paid to e.g., Government of
the state, its political subdivision or local authorities thereof, or to a body
or financial banking organization that is fully owned or controlled by the
Contracting State or a political subdivision or local authority thereof; or to
other bodies or organizations (including financial institutions) in
connection with a loan made within the framework of agreements
concluded between the governments of the Contracting States. The 10%
rate applies to other interest.
(yy) The 0% rate applies to royalties paid to entities for copyright royalties and
other similar payments for the production of a literary, dramatic, musical or
artistic work. The 5% rate applies to other royalties.
(zz)
The 5% rate applies to dividends paid to companies that hold at least 25%
of the capital of the payer. The 10% rate applies to other dividends.
(aaa) The 5% rate applies to royalties for the use of, or the right to use, any
industrial, commercial or scientific equipment. The 10% rate applies to other
royalties.
(bbb) The 5% rate applies to dividends if the beneficial owner is a company
(other than a partnership) which holds directly at least 25% of the capital of the
company paying the dividends and this holding amounts to at least
EUR100,000. The 10% rate applies in other cases.
Pending treaties:
Brazil, Estonia, Ethiopia, Georgia, Laos, Mauritius, Oman.
Treaties being negotiated:
Bahrain, Bangladesh, Barbados, Bosnia and Herzegovina,
Ecuador, Fiji, Hong Kong, Madagascar, Nigeria, Seychelles,
Taiwan, and Tunisia.
EY / Doing Business in the Russian Federation
65
巻末資料5:財務省の認定したブラック・リスト国一覧
ロシア財務省が発表している、税制優遇措置が適用され且つ(又は)オフショアでの金融業務に関する情
報開示が不要とされているブラック・リスト国は以下の通り。
1. アングィラ
2. アンドラ
3. アンチグアバーブーダ
4. アルバ
5. バハマ
6. バーレーン王国
7. ベリーズ
8. バミューダ
9. ブルネイ・ダルサラーム国
10. バヌアツ共和国
11. 英領ヴァージン諸島
12. ジブラルタル
13. グレナダ
14. ドミニカ共和国
15. 中華人民共和国、香港特別行政区、マカオ特別行政区
16. コモロ:Anjouan Islands
17. リベリア共和国
18. リヒテンシュタイン公国
19. モーリシャス共和国
20. マレーシア:ラブアン島
21. モルジブ共和国
22. マーシャル諸島共和国
23. モナコ公国
24. モントセラト島
25. ナウル共和国
26. キュラソー島、シント・マールテン(オランダ領)
27. ニウエ共和国
28. アラブ首長国連邦
29. ケイマン諸島
30. クック諸島
31. タークス・カイコス諸島
32. パラオ共和国
33. パナマ共和国
34. サモア共和国
35. サンマリノ共和国
36. カントビンセントおよびグレナディーン諸島
37. セントキッツ・ネビス島
38. セントルシア
39. マン島、チャンネル諸島(ガーンジー島、ジャージー島、サーク島、オルダニー島)
40. セイシェル共和国
66
EY / Doing Business in the Russian Federation
巻末資料6:2012~2016年日系企業向け主なセミナー
2012 年 6 月「ロシアにおける自動車業界の状況、製造拠点を設置する際の法制・税制上の留意点」
(於:東京)
2012 年 11 月「ロシア関税のホットな話題、税法の改正の方向性、給与の支払方法」(於:モスクワ)
2013 年4月「ロシア自動車業界の動向について、最近赴任された方の為のロシア税制の基礎」
(於:
モスクワ)
2013 年 10 月「ロシアにおける自動車業界の状況、製造拠点を設置する際の法制・税制上の留意点」 (於:
東京)
2013 年 11 月「サラリーサーベイ結果・福利厚生の実態・社会保険料変更・労働法 Q&A」(於:モスクワ)
2014 年 4 月「最近赴任された方の為のロシア税制・労働法の基礎セミナー」(於:モスクワ)
2014 年 6 月「ロシア税制アップデートセミナー」(於:東京、大阪)
2014 年 6 月「移転価格セミナー」(於:モスクワ)
2014 年 8 月「ロシア・ドイツ個人所得税セミナー」(於:東京、大阪)
2014 年 11 月「会社法に関して新しい法的権限の行使手段とその利用機会、2015 年度からの税制改正
法案、脱オフショア化政策と日系企業にとっての検討事項」(於:モスクワ)
2015 年 2 月「EY ロシア雇用・労務セミナー」(於:モスクワ)
2015 年 4 月「最近赴任された方の為のロシア税制と労働法の基礎セミナー」(於:モスクワ)
2015 年 7 月「ロシア投資セミナー:不動産とインフラ建設に焦点をあてて」(於:東京)
2015 年 11 月「EY ロシア雇用・労務セミナー」(於:モスクワ)
2016 年 2 月「EY ロシア税制セミナー」(於:モスクワ)
2016 年6月「最近赴任された方の為のロシア労働法の基礎」(於:モスクワ)
2012~2016 年ジャパンクラブでの配布資料
2012 年 5 月「ロシアで働く外国人に対するロシア語等の試験導入の可能性について」
2012 年 9 月「2013 年度のモスクワ市の外国人雇用枠削減について」
2012 年 11 月「ロシアで働く外国人にロシア語等の試験導入に関する 2 つの法案について」
2013 年 7 月「日露租税条約とロシア-欧州諸国との租税条約について」
2013 年 12 月「2014 年 1 月 1 日からの税法の変更と最近の税制上の話題」(於:サンクト・ペテルブルグ日
本商工会)
2014 年 5 月「労働許可の取得手続の変更について」
2014 年 6 月「外国法人の駐在員事務所の認証機関の変更について」
2014 年 7 月「労許可取得手続に関するアンケートの集計結果について」
2014 年 11 月「2015 年 1 月から社会保険料の積立額の引き上げ法案について」
2014 年 12 月「労務・事務所登記関連法改正に伴 2015 年 1 月以降の変更点」(於:サンクト・ペテルブルグ
日本商工会)
2015 年 1 月「外国法人の駐在員事務所・支店の新しい認証手続と移行ルールついて」
2015 年 3 月「外国法人の駐在員事務所・支店の新しい認証手続きと移行ルールについて、その後の状況アッ
プデート」
2015 年 7 月「2015 年 1 月からの労働許可制度とロシア語、ロシアの歴史及び法規制の試験の動向について、
その後の状況アップデート」(第2回労働・雇用分科会)
2016 年 6 月「環境税の導入、労働許可申請先の変更について」
2016 年 9 月「ロシア税率一覧」(於:モスクワ、サンクト・ペテルブルグ日本商工会)
EY / Doing Business in the Russian Federation
67
欧州における日本企業担当者
Ernst & Young Global Limited と、その日本における加盟事務所である新日本有限責任監査法人 (旧
監査法人太田昭和センチュリー、みすず監査法人)は、主な海外拠点において日系企業の業務展開に
貢献すべく、日本企業担当者によるネット・ワークを組織しております。これらの日系企業担当者は、
世界各地の日系企業に対して長年にわたりサービスを提供しており、皆様のニーズを充分に理解して
いると自負しております。現在、全米には 100 名を超える日本人スタッフを擁し、ヨーロッパ諸国に
90 名以上、その他各地にも多数の人材をそろえております。各担当者はいずれも公認会計士、税理士、
MBA 等の専門有資格者です。さらに、これらの地域におけるクライアントの事業の様々な局面に対応
するために、必要な情報を入手して提供する広範な情報ソースを有しております。
Office Tel
国名
住所
氏名
Direct Tel
都市名
Email
イギリス
ロンドン
Ernst & Young LLP
1 More London Place
SE1 2AF
United Kingdom
25 Churchill Place, Canary
Wharf E14 5EY, United
Kingdom
フランス
パリ
Ernst & Young et Associés
Tour First 1, place des
Saisons
92400 Courbevoie
オランダ
アムステルダ
ム
Ernst & Young
Antonio Vivaldistraat 150
1083HP Amsterdam
The Netherlands
68
宮川 朋弘
Tomohiro Miyagawa
Partner
+44-20-7951-2000
+44-20-7951-2850
[email protected]
江原 正樹
Masaki Ehara
Senior Manager, FS
+44-20-7951-2000
+44-20-7951-7728
[email protected]
岡部 誠
Makoto Okabe
Senior Manager
+44-20-7951-2000
+44-20-7980-9322
[email protected]
益子 卓也
Takuya Mashiko
Manager, FS
+44-20-7951-2000
+44-20-7951-5349
[email protected]
近藤 洋平
Yohei Kondo
Senior Manager, FS
+44-20-7951-2000
+44-20-7951-6005
[email protected]
大野 雄裕
Yusuke Ono
Manager
+44-20-7951-2000
+44-20-7951-0020
[email protected]
遠藤 仁
Hitoshi Endo
Partner
+33-1-46-93-60-00
+33-1-46-93-62-18
[email protected]
富永 英樹
Hideki Tominaga
Partner
+31-88-407-1000
+31-88-407-1723
[email protected]
m
橋本 悠生
Yuki Hashimoto
Manager
+31-88-407-1000
+31-88-407-1521
[email protected]
EY / Doing Business in the Russian Federation
国名
都市名
ドイツ
デュッセルド
ルフ
ドイツ
フランクフル
ト
ドイツ
ミュンヘン
ベルギー
ブリュッセル
イタリア
ミラノ
スペイン
マドリード
ポーランド
ワルシャワ
ハンガリー
ブダペスト
チェコ共和国
プラハ
トルコ
イスタンブル
住所
氏名
Ernst & Young GmbH
Wirtschaftsprüfungsgesells
chaft
Graf-Adolf-Platz 15
40213 Düsseldorf, Germany
Ernst & Young GmbH
Wirtschaftsprüfungsgesells
chaft
Mergenthalerallee 3-5
65760 Eschborn, Germany
Ernst & Young GmbH
Wirtschaftsprüfungsgesells
chaft
Arnulfstrasse 59
80636 Munich, Germany
Ernst & Young
De kleetlaan 2, B-1831
Diegem Belgium
Ernst & Young
Via Wittgens, 6/C
20123 Milan Italy
Ernst & Young, S.L.
Edificio Sarrià Fòrum
Av. Sarrià 102-106
08017 Barcelona Spain
Ernst & Young Doradztwo
Podatkowe Sp. z o.o.
ul. Rondo ONZ 1
Warszawa 00124 Poland
Ernst & Young Kft.
H-1132 Budapest, Vaci ut
201399 Budapest 62 Pf.632
Hungary
Ernst & Young Audit s.r.o.
Na Florenci 2116/15
Praha1 11000
Czech Republic
Ernst & Young
Orjin Maslak Plaza, Maslak
Mah.Eski Büyükdere cad.
Kat:1-5 No:27, Sarıyer
34398, İstanbul, TurkEY
梅田 健二
Kenji Umeda
Partner
野村 充基
Mitsuki Nomura
Manager
松本 美紀
Miki Matsumoto
Director
梅田 健二
Kenji Umeda
Partner
松原 充哉
Mitsuya Matsubara
Senior Manager
Office Tel
Direct Tel
Email
+49-211-9352-0
+49-211-9352-13461
[email protected]
+49-211-9352-0
+49-211-9352-25791
[email protected]
+49-211-9352-0
+49-211-9352-10535
[email protected]
+49-6196-996-0
+49-211-9352-13461
[email protected]
+49-6196-996-0
+49-6196-996- 24116
[email protected]
松原 充哉
Mitsuya Matsubara
Senior Manager
+49-89-14331-0
+49-6196-996- 24116
[email protected]
中村 精潤
Kiyohiro Nakamura
Associate Director
切手 崇博
Takahiro Kitte
Partner
+32 2-774-9111
+32-2-774-6079
[email protected]
脇崎 喜範
Yoshinori Wakizaki
Manager
+34-933-663-700
+34-933-666-730
[email protected]
増田 晋一
Shinichi Masuda
Partner
+48-22-557-7000
+48-22-557-7421
[email protected]
増田 晋一
Shinichi Masuda
Partner
+36-1-451-8100
+48-22-557-7421
[email protected]
増田 晋一
Shinichi Masuda
Partner
+420-225-335-111
+48-22-557-7421
[email protected]
髙木 陽一郎
Yoichiro Takagi
Manager
+90-212-315-3000
+90-212-408-4900
[email protected]
+39-02-851-41
+39-02-806-69230
[email protected]
EY / Doing Business in the Russian Federation
69
CIS における EY
EY(アーンスト・アンド・ヤング)は、1989年にモスクワ事務所を設立し、国際的監査法人で初めて
ロシアの監査ライセンスを取得。2016年8月現在、CISで計約 4,500名の従業員が次の通り多岐にわた
るサービスを提供しております。
アシュアランス・サービス
• 保証業務(法定監査、任意監査、各種保証業務)
• 財務会計アドバイザリーサービス(FAAS)
• 不正対策・係争サポート(FIDS)
タックス・サービス
• コンプライアンスとリスク管理に関する税務支援
• 法人税務支援
• 国際税務支援
• M&Aなどに関する税務支援
• 間接税関連支援
• 人事・組織に関する支援
• 法務サービス
アドバイザリー・サービス
•
•
•
•
•
•
•
リスクアドバイザリー
戦略アドバイザリー
ファイナンストランスフォーメーション
サプライチェーン・マネジメント(SCM)
カスタマーリレーションシップ・マネジメント(CRM)
人事・組織改革
ITアドバイザリー
トランザクション・アドバイザリー・サービス
•
•
•
•
•
バリュエーション&ビジネスモデリング
不動産アドバイザリー
オペレーショナル・トランザクション・サービス(経営統合支援など)
トランザクションサポート(財務デューデリジェンス)
リストラクチャリング(事業の再構築支援)
70
EY / Doing Business in the Russian Federation
事務所は、次の通り CIS の 20 ヶ所に設置しております。
ロシア(10 ヶ所)、ウクライナ(キエフ)、ベラルーシ(ミンスク)、コーカサス(エレバン、バクー、
トビリシ)、中央アジア(アルマティ、アスタナ、アテラウ、タシケント、ビシケク)。
ロシア
Moscow
Sadovnicheskaya nab., 77, bld. 1
Moscow, 115035
Tel:
+ 7 495 705 9700
+ 7 495 755 9700
St . Petersburg
White Nights House Business Center
Malaya Morskaya st., 23
St. Petersburg, 190000
Tel:
+ 7 812 703 7800
Ekaterinburg
Business Center Palladium
Khokhryakov st., 10
Ekaterinburg, 620014
Tel:
+ 7 343 378 4900
Kazan
Spartakovskaya st., 6, office 1214
Kazan, Republic of Tatarstan
420107
Tel:
+ 7 843 567 3333
Krasnodar
Sovetskaya st., 30, office 1106–1108
Krasnodar, 350063
Tel:
+ 7 861 210 1212
Novosibirsk
Kronos Business Center
Block A, 10th floor Sovetskaya st., 5
Novosibirsk, 630007
Tel:
+ 7 383 211 9007
Rostov-on-Don
League of Nations Business Center
Suvorova Street, 91
Rostov-on-Don, 344022
Tel:
+ 7 863 261 8400
Togliatti
Business Center Kvadrat
Frunze st., 14B, office 413
Togliatti, 445037
Tel:
+ 7 8482 99 9777
Vladivostok
Okeanskiy ave., 17, office 606
Vladivostok, 690091
Tel:
+ 7 423 265 8383
Yuzhno-Sakhalinsk
Militseiskaya st., 8-B, office 105-A
Yuzhno-Sakhalinsk, 693000
Tel:
+ 7 4242 49 9090
アルメニア
Yerevan
1 Northern ave., office 27
Yerevan, 0001
Tel:
+ 374 10 500790
+ 374 10 500 705
アゼルバイジャン
Baku
Port Baku Towers Business Centre
South Tower, 9th floor
153, Neftchilar ave. Baku, AZ1010
Tel:
+ 994 12 490 7020
ベラルーシ
Minsk
Korol st., 51, 2nd floor, office 30
Minsk, 220004
Tel:
+ 375 17 209 4535
グルジア
Tbilisi
Kote Abkhazi st., 44
Tbilisi, 0105
Tel:
+ 995 32 243 9375
EY / Doing Business in the Russian Federation
71
カザフスタン
Almaty
Esentai Tower
Al-Farabi ave., 77/7
Almaty, 050060
Tel:
+ 7 727 258 5960
Astana
Kaskad Business Center
Kabanbai Batyr ave., 6/1
Office 43
Astana, 010000
Tel:
+ 7 7172 58 0400
Tel:
+ 996 312 39 1713
ウクライナ
Kyiv
Khreshchatyk st., 19A Kyiv 01001
Tel:
+ 380 44 490 3000
ウズベキスタン
Tashkent
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