タイスタディーツアー タイスタディーツアー

NGO-労働組合国際協働フォーラム HIV/エイズ等感染症グループ
タイスタディーツアー
NGO-労働組合国際協働フォーラム HIV/エイズ等感染症グループでは、タイでの HIV/
エイズ予防啓発活動を実践している各団体の活動を視察し、情報交換を行いました。
日程:2012 年 3 月 18 日~23 日
場所:ウボンラーチャターニー県ケマラート郡・バンコク(タイ)
目的;
目的;
エイズの取り組みが積極的に行われているタイにおいて、エイズに関わる当グループ所
属 NGO の活動見学を通し、途上国でのエイズの現状や、そこに関わる組織の最前線での活
動実態を把握します。HIV/エイズ等に対する国際的な支援・対策活動への理解を促し、日
本での NGO・労働組合の活動に活かします。
報告;
報告;
3 月 19 日(月)
活動団体:シェア
シェア=
シェア=国際保健協力市民の
国際保健協力市民の会 タイ事務所
タイ事務所
場
所:ウボンラーチャターニー県ケマラート郡(タイ東北部)
☆ケマラート郡病院
ケマラート郡病院、
郡病院、HIV 陽性者グループ
陽性者グループ月例会
グループ月例会
ケマラート郡病院婦長より病院の HIV 治療に関する現状をレクチャー頂きました。
要点
・ ケマラート郡ととなりの郡で陽性者 244 人を看ていて、137 人が HIV 薬を服用。
・ 結核を合併した場合のケアが難しい。
・ 月 2 回の健診と定例会を行っている。
・ ドクターが 7 人いるが、HIV 専門医が少ないため、重症患者は県病院に送る。
・ HIV 感染科(STI クリニック)でワンストップサービスを実施(プライバシー保護)
。
・ 毎週水曜日に無料でラオス人移住労働者であるカラオケ・バー従業員対象の HIV 抗体
陽性者検診および STI 検査、子宮頸がん検診を実施。
・ 政府が無料で抗 HIV 薬を提供。
婦長による説明
HIV 陽性者グループ月例会
シェアが育成した陽性者グループのリーダーが、HIV/エイズに関する基礎知識やその他
の重要な教育を同じ陽性者に、参加型の小グループでレクチャーする形式で実施されてい
ます。
リーダーによるレクチャー
☆ラオス人移住労働者
ラオス人移住労働者が
人移住労働者が働くカラオケ店
カラオケ店での、男性同性愛者グループ
男性同性愛者グループによる
グループによる HIV 予防啓発
活動。
活動。
ケマラート郡はメコン川で隔てられたラオスからの移住労働者が多い地区になっていま
す。その理由はメコン川沿いに数箇所のラオス人および地域のタイ人用の臨時イミグレー
ションポイントがあり、容易にタイに入国できるようになっているからです。そのため、
ケマラート郡には多くのカラオケ店があり HIV の予防啓発が重要となっています。
シェアタイ事務所では、シェアが育成した男性同性愛者の HIV 予防啓発のためのリーダ
ーが、カラオケ店で働く女性労働者に HIV/エイズの基礎知識等をレクチャーする活動を実
施しています。
カラオケ店
メコン川を渡るラオスの船
イミグレーション
☆シェアタイ事務所訪問
シェアタイ事務所訪問
シェアタイ事務所にて活動について概要説明を受けるとともに情報交換を行いました。
シェアタイ事務所、広本さんによる説明
3 月 20 日(火)
活動団体:シェア
シェア(
シェア(国際保健協力市民の
国際保健協力市民の会)タイ事務
タイ事務所
事務所
場
所:ウボンラーチャターニー県ケマラート郡(タイ東北部)
☆若者対象 HIV/
HIV/エイズ予防啓
エイズ予防啓発
予防啓発トレーニング(
トレーニング(グローバルファンド支援
グローバルファンド支援による
支援による事業
による事業)
事業)
ケマラート郡ケマラート市ホアナアー地区の役場と地区病院、シェアの共同で、その地
区に住む 12 歳から 24 歳の若者 60 人以上を対象に HIV/エイズ予防啓発を含む 5 つのプロ
グラムによる指導が行われました。
HIV/エイズについてのプログラムはシェアから実施されました。病院やからは、歯科衛
生、初期看護、母子保健のプログラム、更には、約 30 人が参加した、タイ保健省公認の村
のヘルスボランティアも、若者に対し予防接種・健診・家庭訪問による指導などの説明が
行われました。
タイでは、HIV/エイズ予防を含む公衆衛生に対するプライマリーヘルスケアが充実して
います。
講義風景
「水の交換」による HIV レクチャー
シェアによる HIV レクチャー
3 月 21 日(水)
活動団体:JILAF
JILAF(
JILAF(国際労働財団)
国際労働財団)タイ事務所
タイ事務所
場
所:バンコク
☆JILAF タイ事務所訪問
タイ事務所訪問
JILAF タイ事務所における HIV 予防啓発活動について情報交換を実施しました。
労働分野で国際的な交流と協力を推進している非政府組織(NGO)の国際労働財団
(JILAF)は、HIV 感染率が高い(タイで第 4 位)上に、工場が集中し労働者の多い地域
である、タイのサムットプラカン県を中心に「職場における HIV/エイズトレーナー育成プ
ロジェクト」を実施しており、これは HIV に関する正しい知識を深め、差別・偏見による
不等な解雇などを減らして、HIV 感染者の労働環境の改善を目指しています。
実施期間は 2008 年 12 月から 2011 年 12 月の 3 年間で1年間に 32 名のトレーナーを育
成してきました。
この活動が今後のタイでの HIV 感染率減少に寄与することと思います。
JILAF タイ事務所との情報交換
活動団体:AJF
AJF(
AJF(アフリカ日本協議会
アフリカ日本協議会)
日本協議会)
場
所:バンコク
☆ANPUD・
ANPUD・SRHR との情報交換
当グループの AJF が交流のある ANPUD(Asian Network of People who use drugs)アジ
ア 薬 物 使 用 者 ネ ッ ト ワ ー ク と 、 APA = SRHR(Asia Pacific Alliance for Sexual and
Reproductive Health and Rights) アジア太平洋 性と生殖に関する健康と権利同盟と、情
報交換を行いました。ANPUD も APA もバンコクに事務所があり、ANPUD については、
代表のインド人のディーン・ルイスさん(Mr. Dean Lewis)
、APA については、事務局長
のローズ・コエンダーズさん(Ms. Rose Koenders)にお話を伺いました。
世界的には、性交渉や母子感染以外に、薬物使用による注射の打ち回しからの HIV 感染
が多い地域もあり、それに対する活動の考え方を聞くことができました。また性と生殖に
関する女性の権利についても世界的に必要な活動であることが分かりました。
3 月 22 日(木)
訪問場所:在
在タイ日本大使館
タイ日本大使館(
日本大使館(バンコク)
バンコク)
☆電力総連から
電力総連から派遣
から派遣の
派遣の伊藤一等書記官との
伊藤一等書記官との情報交換
との情報交換
電力総連から在タイ日本大使館に派遣されている伊藤一等書記官と情報交換する機会を
得ることができました。
在タイ日本大使館ではタイ国内での「草の根活動プロジェクト」としてタイ国内での HIV/
エイズ予防啓発活動にも協力しています。当グループのシェアタイ事務所とも連携をとっ
て行っている活動があります。
今後の連携について検討していく上でも貴重な情報交換の機会となりました。
在タイ日本大使館前にて
(右から 2 番目が伊藤一等書記官)
今回の NGO-労働組合国際協働フォーラム、HIV/エイズ等感染症グループにおけるタイ
スタディーツアーにおいて、多くのグループ活動を視察、情報交換することにより、日本
とタイにおける取組みの違いを痛感するとともに、多くの組織がタイ国内で HIV 予防啓発
活動を行っているにも関わらず、まだ十分とは言えないことも実感しました。
一方、抗 HIV 薬へのアクセスの向上から、安易な油断も実在することが分かりました。
さらに、タイでは現在、経済危機の影響で「コンドーム使用率の低下」、「病院に行く機
会の減少」などによる HIV 感染者・エイズ発症者の増加も懸念されており、持続可能な取
組みを行っていくために、タイ国内でも自立して予防啓発教育が行えるような保健衛生人
材の育成が重要であると感じました。
参加者(
参加者(敬称略)
敬称略)
AJF(アフリカ日本協議会);稲葉・小川
シェア=国際保健協力市民の会;西山・広本(タイ事務所)
JILAF(国際労働財団)タイ事務所;関口・尾崎
ICEM-JAF(国際化学エネルギー鉱山労働組合協議会)
;徳永
IUF-JCC(国際食品労連日本加盟労組連絡協議会)
;中田