牛乳の 新たな良さ

テトラパックデイリーインデックス
乳市場に関するニュース情報(年1回発行)
2015年10月第8号
乳市場の活性化
牛乳の
新たな良さ
PREMIUM
QUALITY
02_CEOの挨拶
牛乳は、現代生活においてもっと多くの役割を果
たすことができるはずです。今日の消費者は、か
つてないほど多忙で複雑な生活を送っています。
牛乳が最も多く消費されるのは朝食です。多くの
先進国市場では家での朝食を抜かす人が増える一
方、持ち歩き消費の機会が大幅に広がっていま
す。牛乳は多彩に利用できる食品なのです。
世界中の消費者がますます健康志向を強めているなか、牛乳は現在も、
これまでとかわりなく、意味ある存在です。テトラパックが実施した最新
の国際調査によると、先進国市場と途上国市場の両方において、時折議論
される牛乳否定論にもかかわらず、消費者はなおも牛乳に対して圧倒的に
肯定的な見方をしています(5ページを参照)。
調査では、多くの消費者が牛乳をめぐる議論につ
いて知っているものの、牛乳のよさについては疑
いがないということがわかりました。「良さ」と
いう言葉は今もなお、牛乳の「ブランドプロミ
ス」とも言うべき特性を非常によく表していま
す。食の流行やブームは、余計な成分を取り除く
ことに重点を置く傾向が強くなっていますが、そ
れにもかかわらず牛乳の良さに対する信頼はゆる
ぎません。
おそらくそれは驚くことではないでしょう。牛乳
が他に代えがたいエネルギーと栄養を提供するとい
うことは、何十年にもわたる確かな科学研究によっ
て示されています。そして、毎年のように発表され
る新たな調査によって、牛乳の素晴らしい健康と栄
養メリットに関する理解が深まっています。
一方、途上国市場は牛乳を大歓迎しており、
それが世界の需要を記録的な高水準に押し上げる
一因となっています。途上国市場では、ブランド
オーナーは多彩な新製品により成功を収めてお
り、伝統的に牛乳を飲んでいなかった市場におい
て消費者のニーズを満たす製品をデザインし、
わずか2∼3世代のうちにほとんどゼロから乳市場
を創出しています。
そのようなイノベーションは先進国にとって優れ
た参照の対象となります。先進国では、あまりに
身近なために牛乳の輝きが失われているかもしれ
ません。業界は牛乳のちからをもう一度信じる必
要があるかもしれません。先進国市場が大きな課
題を抱えているのは明らかで、現在の牛乳消費量
は過去最低まで落ち込んでいます。その一方で、
企業はフレッシュな発想の重要性を認識していま
す。それは、製品に新しいフレーバー、原料の新
しい組み合わせ、新しいパッケージデザイン、新
しいネーミング、新しいアプローチを打ち出す必
要性です。
このような企業は、消費者が牛乳の利点を理解し
ていないのではなく、むしろ、市場に出回る製品
が現代のライフスタイルにあっていないことが消
費の落ち込みの原因だと理解しています。また、
このような企業は、このギャップをうまく埋める
ことが大きなチャンスにつながるということも理
解しています。「製品」セクション(10ページ)
では、このような革新的発想を実行に移した数多
くの事例を取り上げています。
また、レポートでは、このフレッシュなアプロー
チを支えるためにマーケティングとコミュニケー
ションが果たすべき重要な役割も取り上げていま
す。牛乳には、語るに値するストーリーがありま
す。厳密に調査を行い、科学的根拠に基づいた、
肯定的なストーリーです。それは、意見形成者の
耳にも消費者の耳にも届く必要があります。しか
し、そのストーリーは、理性だけでなく心に訴え
なければなりません。17ページ以降で示したよう
に、ますます多くのキャンペーンが、強い感情的
な絆を形成し、消費者と結び付くことに成功し、
心に訴えることに一役買っています。
手短に言えば、すべての市場において活性化する
には、牛乳によって消費者をワクワクさせるこ
と、牛乳が便利で楽しく、特別な贅沢ですらあ
り、すべての人にとって意味があると示すことが
になると、このレポートの調査結果は示唆して
います。他に例をみないほど多彩に利用でき、便
利で、カスタマイズ可能なこの液体食品が、常に
変化するニーズを満たすために絶えず適応するこ
とにより、老若男女すべての人に対応できるとい
うことを示すことです。これが、牛乳の「新たな
良さ」の本質です。
テトラパック社長 兼 CEO デニス・ヨンソン
03_エグゼクティブサマリー
変化の速い現代社会において、牛乳は依然として意味がある存在です・・・。
テトラパックによる最新
の調査によれば、世界中
の消費者が牛乳に対して
圧倒的に肯定的な見方を
しています。
消費者は牛乳を優れた
カルシウム源で、栄養
があり、健康的で、美
味しいと考えています。
この「良さ」は強力な基盤です。しかし、
それだけでは十分ではありません。現代
の消費者は、変化するニーズを満たし、
最大限の健康効果をもたらし、生活のペ
ースに合った、ワクワクする新しい飲料
を求めています。そこには次のようなト
レンドが見られます:
・
・
・
・
牛乳の良さに対するゆるぎな
い評価は、牛乳が他では代え
がたいエネルギーと栄養を提
供するということを示す、何
十年にもわたる研究に基づく
ものです。
そして、毎年のように
新たな調査によって、
牛乳の健康効果と栄養
的利点に関する理解が
深まっています。
また、より適切な新し
いコミュニケーション
方法を用いることも重
要です。
許容範囲内の贅沢
カスタマイズされた製品
現代生活に適合
ナチュラルな選択肢
世界中で、牛乳の栄養的
利点や健康効果とより感
情的な訴求を組み合わせ
たキャンペーンが実施さ
れています。
ソーシャルメディアも、
牛乳に関する多くの肯
定的なメッセージを伝
えるために活用されて
います。
市場を活性化するための
は、牛乳を楽しいワクワク
する飲料としてイメージづ
けること、常に変化するニ
ーズを満たすために絶えず
適応することにより、老若
男女すべての年代の人に対
応することです。
04_消費者調査
PREMIUM
QUALITY
乳市場の活性化
消費者が
信じていること
PREMIUM
QUALITY
05_消費者調査
乳業界は牛乳否定論に懸念を抱いているものの、2015年にテト
ラパックが実施した「牛乳のイメージ」に関する最新の国際調査1
によれば、先進国市場と途上国市場の両方において、消費者はな
おも牛乳に対して圧倒的に肯定的な見方をしています。
「牛乳」という言葉から世界中の消費者が思い浮かべ
る一般的なイメージは、
「健康的」、
「栄養がある」、
「気分転換になる」、「美味しい」など、数多く
あります。牛乳から健康効果を自然にイメージす
る人は、世界の回答者の43%ですが、牛乳が特に
栄養豊富と考えられている中国では70%に跳ね上
がります。
牛乳を飲む主な理由として世界で挙げられたの
は、優れたカルシウム源であり(90%が同意)、
栄養があり(90%)、健康的で(90%)、美味し
い(89%)からというものです。国によって重視
する点にわずかな違いはあるものの、このような
「牛乳の真実」は、世界中で共通の理解となって
います。
調査の回答者は、平均して週5日牛乳を飲んでお
り、最も一般的な消費機会は朝食です。牛乳は、家
庭で飲まれることが最も多く、通常スーパーマーケ
ットなどで購入されています。
牛乳に関連して何らかの不利益や懸念を思いつく
M U I ME R P
かどうか尋ねたところ、大部分(全体の61%)が
何も思いつかないと回答しました。それ以外で
は、乳糖不耐症が最大の懸念となっています 2 。
これは一部の人(全体の8%が言及)にとって現実
的な問題ですが、容易に克服できる問題でもあり
ます(8ページを参照)。ヒトの健康に対する牛
乳の良さをめぐる議論を63%の人が知っていたに
もかかわらず、このような結果が出たのです。
YTILAUQ
調査回答者が牛乳から自然
に思い浮かべるイメージ
は、非常に肯定的です。
06_消費者調査
信念と通説
よくある牛乳否定論について、回答者はほぼ同程
度に知っていました。たとえば、牛乳は大人の栄
養ニーズに適合していないため、あるいは雌牛の
妊娠ホルモンを含んでいるため、大人は牛乳を飲
むべきではないという説です。おそらく驚くべき
ことではありませんが、回答者はこのような議論
を主にインターネットと口コミで知ったと答えて
おり、特に中国(79%)やタイ(65%)などの途
上国市場においてインターネットは高い比率を示
しました。
しかし、これらの問題を取り上げた後でも、82%
がなお牛乳の良さに疑念はないと回答し、84%が
今後もこれまで通りに牛乳を飲むつもりだと答え
ました。全体として31%が否定的な説をまったく
信じておらず、それ以外の52%が悪影響はおそら
く飲みすぎによるものだと考えています。
消費者の動機付け:
何が人々を牛乳に
呼び戻すのか?
やめる場合、再開する場合
牛乳を飲むのをやめたと回答した人々も、3分の2
は牛乳否定論が影響したわけではなく、別の問題
で牛乳を飲むのをやめていました。牛乳をやめた
年齢は平均28歳です。挙げられた主な動機は、特
に理由なく習慣を変えた(27%)、あるいは牛乳の
味が好きではなくなった(26%)というものです。
• カルシウムを増やす
• タンパク質を増やす
• オールナチュラルにする
• 本当に消化しやすくする
• 新しいフレーバー
• 匂いを変える
61%
の回答者が、
牛乳に関連する不利益や懸念を
思いつかないと回答
回答者が牛乳消費量を増やす(そして、牛乳を飲
まない人が再び飲むようになる)理由として最も
考えられる要因は、カルシウムが多く含まれてい
るかどうかで、牛乳がその栄養的価値によって評
価されていることを改めて示しています。
82%
84%
の回答者が、
牛乳の良さに対する疑念を示さず
の回答者が、
これまで通り牛乳を飲み続ける
つもりだと回答
世界のバリエーション
もちろん、牛乳に対する認知には、地域による微
妙な違いがあります。途上国市場では牛乳は食品
と考えられており、何よりもその栄養的価値によ
って評価されていますが、成熟した市場では、多
くの場合、味と気分転換が連想されます3。最も人
気のある牛乳のタイプは文化的および環境的要因
によって決まるようで、国によって異なります
が、全体としてはプレーンな全脂肪の白物飲用乳
が最も人気があります4。中国と東南アジアでは、
牛乳は、現地食に追加する健康的な飲み物と考え
られています。一方、成熟した市場では、牛乳は一
般的に伝統的な飲み物と見なされており5、しばしば
子ども時代や家庭というイメージと強く結び付け
られます。
子どもに対する牛乳の栄養的価値はどこでも当て
はまりますが、特に途上国において重視されてい
ます。先進国では一般的に、あらゆる年齢層の人
が牛乳を飲みますが、消費量は児童期にピークに達
することが多く、後年再び増えることもあります6。
07_健康
乳市場の活性化
実証されている
牛乳の良さ
PREMIUM
QUALITY
08_健康
現代の消費者が牛乳の良さを強く信じ続けていることは、おそらく驚くべ
きことではないでしょう。それは、牛乳が他では代えがたいエネルギーと
栄養を提供するということを示す何十年にもわたる確かな研究に基いてい
るからです。そして、毎年のように発表される新たな調査によって、牛乳
が健康に寄与していることへの理解が深まっています。
牛乳に関する普遍的真実7
• 牛乳は、様々な栄養素を含んだ栄養豊富な食品
です。これらの栄養素が自然の状態でまとまっ
て含まれるのは、牛乳だけです。
• 牛乳は、丈夫な骨や歯を作るために必要なカル
シウムや他の栄養素(リンやカリウムなど)が
豊富です。
• 牛乳は、筋肉を作り、維持するために必要な良
質なたんぱく質を含んでいます。
• 牛乳は、健康に不可欠で、神経や筋肉の機能、
エネルギー放出、視力、血液凝固および赤血球
形成、消化、血圧、皮膚の健康、免疫系、心理
学的機能、成長において役割を果たす栄養素や
微量栄養素を含んでいます。
ミルクマトリクス効果
牛乳に含まれるすべての栄養素を他の食品から摂
取することは可能ですが、それは必ずしも容易で
はありませんし、牛乳に含まれる栄養には特別な
何かがあるようです。牛乳は複合食品であり、牛
乳に含まれる個々の栄養素が持つ有効な健康効果
は、一緒に組み合わせて摂取したほうが、様々な
食品から摂取した場合より大きいようです。これ
が、「ミルクマトリクス効果」です。たとえば、
骨の健康に対する牛乳の効果は、かつて考えられ
ていたような単なる「カルシウム効果」だけでな
く、消化プロセスにおいてカルシウム、たんぱく
質、リンが互いに、また乳糖や生理活性ペプチド
と有益な相互作用をすることも一因となっている
ようです。
「牛乳と乳製品は、高血圧、肥満、骨粗しょう症の予防と治療に関連
があるとされてきたミネラルやカルシウムの優れた供給源となる食品
です。乳製品は、虫歯、メタボリックシンドローム、心血管疾患、2
型糖尿病、腎臓結石、ある種のがん(結腸がん、乳がん)の発症を予
防する役割も果たします。牛乳の摂取はスポーツにも効果があること
が実証されています。」
ラファエル・コーンズ、FEPALE
(THE PAN-AMERICAN DAIRY FEDERATION)
牛乳と栄養に関するQ&A
大人の食事に牛乳は必要
ですか?
ほとんどのガイドラインで
は、牛乳と乳製品を健康的
な食事の一部として推奨し
ています。国連食糧農業機
関(FAO)によると、「牛乳
と乳製品は栄養が豊富で、
良質なたんぱく質と栄養素
を消化しやすい形で供給す
るため、適切な量を摂取す
れば、栄養弱者にとっても
健康な人々にとっても有
益」とされています 8。
乳糖不耐性とは何ですか?
牛乳は消化が悪いと思って
いる人もいます。それは、
彼らの体が、牛乳に含まれ
る乳糖を消化するために必
要なラクターゼという酵素
を十分に生成していないか
らです。このような乳糖不
耐性は、離乳後の児童期に
発現する場合もあれば、時
には後年ラクターゼの生成
量が減少して影響が出る場
合もあります。乳児の乳糖
不耐症はきわめてまれで
す。このような乳糖不耐症
の発症率は、民族グループ
や地域によって大きく異な
ります。しかし、ラクトー
スフリー製品が広く出回る
現在では、乳糖不耐症であ
っても、牛乳の健康効果を
享受できるようになりまし
た。
1日に飲む牛乳の推奨量は
どのぐらいですか?
牛乳と乳製品の摂取量に関
する国際勧告はありません
が、ほとんどの国が国内ガ
イドラインを設けていま
す。これらは、現地食の構
成要素といった様々な要因
に基づいており、非常に幅
広いばらつきがあります。
ほとんどの国で、1日コッ
プ1∼3杯の摂取を推奨して
います 9。
同じ栄養素を他の食品や乳
成分を含まない代替品で摂
ることはできますか?
できます。しかし、FAOは
「牛乳に含まれるカルシウ
ムのような一部の栄養素の
生理活性は、食生活におけ
る他の食品に含まれるもの
よりも高い 10」と述べていま
す。つまり、同じ効果を得
るためには、他の食品から
より多くの量のカルシウム
を摂取する必要があるとい
うことです。乳成分を含ま
ない(植物性たんぱく質)
飲料は、牛乳より栄養価が
低い場合が多く、食生活に
おいて牛乳の代わりに使う
つもりであれば、はるかに
多くの量を摂取する(また
は、主要な栄養素を他の食品
から摂る)必要があります。
09_健康
牛乳と健康
• 牛乳と体重管理。牛乳と乳製品があらゆる年齢
層の体重管理に重要な役割を果たしており、減
量しようとしている人は牛乳の摂取量を減らす
べきでなく、むしろ他の食品によるカロリーを
減らしている場合には牛乳の摂取量を増やすべ
きだという科学的証拠が増えつつあります。ま
た、骨量と筋肉量を維持するというカルシウム
とたんぱく質のよく知られた効果からも、減量
中の食生活に牛乳を取り入れることがとりわけ
重要です。
• 牛乳と心血管疾患の予防。ある種の通説にもか
かわらず、実際には、牛乳と心臓病との関連性
を示すいかなる証拠もありません。むしろ、そ
の脂肪分にもかかわらず、牛乳が心臓病のリス
ク低減に役立つ場合もあります。
• 牛乳と血圧。低脂肪乳製品(1日あたりコップ3
杯分程度)は、高血圧症の予防と治療のために
米国で広く推進されているDASH(高血圧を防
ぐ食事法)食の構成要素です。研究では、血圧
降下作用は、牛乳の消化プロセスで生成される
生理活性ペプチド、そして牛乳に含まれるビタ
ミンB(リボフラビン)とミネラルに関連付け
られています。このような効果は、ミルクマト
リクス効果における栄養素間の相互作用の結果
と考えられます。
• 牛乳と2型糖尿病の予防。多くの研究におい
て、牛乳と乳製品が2型糖尿病の発症リスク低減
に寄与することが示されています。どの栄養素
が原因かまだ明らかになっていませんが、カル
シウム、マグネシウム、ホエイたんぱく質、生
理活性ペプチド、脂肪酸、ビタミンKのすべて
が役割を果たし、また、それらの相互作用も役
割を果たしている可能性があります。
乳たんぱく質の役割
たんぱく質は、ミルクマトリクスを構成する天然成分であり、近
年、栄養関連の流行語となっています。科学的に立証された減量
におけるタンパク質の役割(より長時間満腹感を維持するため)
とフィットネスにおける役割(運動後の回復を助けるため)は、
いまや広く受け入れられており、乳製品消費者の20%が、食品や
飲料を選ぶ際に「高たんぱく質」という説明に重点を置いている
ほどです 14。
牛乳に含まれるたんぱく質(80%がカゼイン、20%がホエイ)
は特に良質で、筋肉の合成と修復に必要なすべての必須アミノ酸
を供給します。これに加え、牛乳の水分と電解質で水分補給がで
きるため、運動後に最適の飲み物となっています。また、乳たん
ぱく質は、高齢者の筋肉量を維持する役割も果たす可能性があ
り、牛乳摂取量が増えた高齢者は体力と身体可動性が向上するこ
とを示す証拠があります 15。
健康的な成長を支援
牛乳を飲むことは健康に良いとされ、学校給食プ
ログラムの基盤となっています。テトラパックは
50年以上にわたり、世界中で学校給食牛乳プログ
ラムを策定および実施するため、政府と乳業メー
カーを支援しています。十分な栄養を必要として
いる子どもたちは、毎日または定期的に牛乳を飲
むことによって健康状態の大幅な改善を示してい
ます。
2012年にスーダンで実施した健康調査では11、発
育阻害(成長障害)率12が6ヵ月で11%から5%に
減少しました。この調査では学力の向上も明らか
になっており、IQの平均スコアは92.4から111.5
に上昇しました。
学校給食牛乳のおかげで健康状態が向上したもう
ひとつの最近の例は、ミャンマーの学校給食牛乳
プログラムにおける初期の成果です 13。8ヵ月にわ
たって週5日牛乳を飲んだ結果、7歳の女児たちの
身長は5.9cm伸びました。一方、プログラムに参
加しなかった女児たちの身長の伸びは1.7cmで
した。
「牛乳はカルシウムが豊富であり、定期的に
飲むことは骨の発育に間違いなく効果があり
ます。中国の学校給食牛乳プログラムで
は、10歳の女児たちの身長と骨密度が目に見
えて向上しました。ですから、牛乳摂取量の
増加は、特にカルシウムとビタミンDの摂取
量が低い地域において、青少年期の骨の発育
を向上させる可能性があります。」
マ・グァンシェン教授、北京大学公衆衛生学院
10_製品
乳市場の活性化
現代のニーズを
満たす
11_製品
牛乳の良さに対する強い信念は、強力な基盤です。しかし、従来の製品だ
けでは、現代の多くの消費者にとって十分ではありません。彼らは、最大
限の健康効果をもたらし、生活のペースに合う飲料を求めているのです。
このような変化するニーズを満たす革新的な新製品に大きなチャンスがあ
ることを、世界中のブランドが証明しつつあります。
一部の先進国市場では、牛乳の消費量は過去最低
の水準になっていますが、主に途上国市場におけ
る高い伸びにより、世界市場全体は拡大し続けて
います 16。消費者が求めているものを正確に理解
し、提供し、彼らの心に訴える、最適の方法を知
ることにより、乳業界は、どこの国でも最大限の
力を発揮することができるでしょう。
テトラパックの消費者情報分析によれば、食品
および飲料に関する消費者の選択に影響を及ぼす
2つの圧倒的なトレンドがあります:
• 健康への願望
• 多忙で複雑さを増すライフスタイル
これらは新しいものではありません。ずっと以前
からのメガトレンドであり、引き続き強まり、進
化し続け、消費者の期待が高まるにつれて市場に
新たなチャンスを生み出しています。
特徴
価格が高くても
「大いに買いたい」
と考える消費者の割合(%)20
• オールナチュラル
39%
• 食物繊維が豊富
36%
• GMO不使用
33%
• タンパク質が豊富
28%
• ビタミンまたはミネラル強化
27.5%
• 低糖/無糖
26%
• 低脂肪/無脂肪
26%
健康への願望
最大の世界的なトレンドは、健康効果をもたらす
食品や飲料に向かっています。このトレンドは、
業界で起こるほとんどすべてのことに影響を及ぼ
しています。その結果、特定グループの健康ニーズ
に応える差別化した新製品が多く生まれています。
テトラパックによる最近の消費者情報調査では、
ますます多くの消費者が食品や飲料を購入する際
にラベルを読むようになっています。消費者の
63%が成分情報を探すと回答しており、55%が
「自分を健康に保ってくれる栄養素が入ってい
る」かどうかを知りたいと思っています。
多忙で複雑なライフスタイル
2つ目の主要トレンドは、消費者の生活がますま
す複雑化し、ペースが速くなっていることです。
その要因として、常にオンラインであり、労働時
間の長時間化と流動化、通勤時間の長時間化、レ
ジャー活動の増加、共働きなどがあります。その
結果、伝統的な食事と消費パターンが圧迫されて
います。全世界で73%の人が食事の時間以外に軽
食を摂り18、時には食事そのものに代えています。
ここに、便利かつ栄養バランスの良い新製品にチ
ャンスが生じています。
朝食代替製品には、特に大きなチャンスがありま
す。なぜなら、朝食を摂らない人が増えているか
下の表に示した通り、多くの消費者が、健康効果 らです。NPDグループによる調査では、米国の人
のある食品であれば価格が高くても「大いに買いた 口の約10%にあたる3100万人の米国人が、朝食
い」
と考えています。「オールナチュラル」な食品につ を食べていないことがわかりました 19。しかし、
いては40%近く、「食物繊維が豊富」
および「GMO 朝食は1日のうちの最も重要な食事として、栄養
不使用」については30%以上、
「たんぱく質が豊富」、 学者と消費者に広く認識されています。
「ビタミンまたはミネラル強化」、
「 低糖または無糖」、
「低脂肪または無脂肪」といった他の特徴について ソリューションとしての牛乳
も、それぞれ25%以上がそう回答しています。
牛乳は健康を支える栄養、便利な飲料、そして軽
食という要素をすべて満たしています。消費者は
健康に良いものに高い金額を支払うことに最も積 すでに、牛乳は体に良いと信じています。ですか
極的なのは、若年層の消費者と途上国市場の消費 ら、健康効果とライフスタイル上の利点も備えた
者ですが、これはすべての市場において重要なセ シンプルで便利な形態の製品であれば、彼らは喜
グメントです17。
んで受け入れるでしょう。
たとえばたんぱく質は、軽食や飲料に食事並みの
栄養価を与える主要な栄養素です。牛乳は、「完
全食品」という評価に加え、もともと良質なたん
ぱく質が豊富です。時間のない消費者のために便
利でありながら健康的なソリューションを開発す
る場合、牛乳は有利なスタートをきれます。
12_製品
最も優れた新製品は、健康への良さと利便性を求める消費者の声に革新的
な方法で応えます。私たちは、4つの主な製品トレンドを特定しました。
1 喜び
2 MILK 2.0
3 デザイナー乳飲料
4 ピュアな牛乳
健康的な食事は、健康的な生活と同様、楽
しいものであるべきです。消費者は、かつ
てないほど一生懸命働き、かつ、健康的な
ライフスタイルを送ろうとしています。そ
の一方で、定期的に自分自身(と子どもた
ち)を喜ばせ、あるいは甘やかしたいとも
思っており、また自分がそれに値すると感
じています。ここで大きな部分を占めるの
が、食べ物や飲み物を楽しむことです。
牛乳は、いまや様々な方法でカスタマイズ
することができます。「少ないほうが、も
っと良い」という消費者もいるため、メー
カーは無脂肪または低脂肪、あるいは無乳
糖または低乳糖の製品を提供しています。
それにより、以前は牛乳を消化できなかっ
た人々も、牛乳の栄養を摂ることができる
ようになっています。
朝食は、昔とは様変わりしました。昼食や
夕食も同様です。多忙で時間がない消費者
は、1人で食事をしたり、持ち歩いて食べた
り、間食したりすることが増えており、そ
の多くは自宅の外です。ここに、従来の軽
食ではあまり満たすことができないギャッ
プを埋める、タンパク質を強化した食事代
替製品を売り込む明らかなチャンスが存在
します。
これは、
「シンプルさへの憧れ」に密接に関
連しています。多くは先進国市場で見られる
ものの、途上国市場でも増えつつあるこの心
情は、牛乳に対する懐かしさと環境や健康へ
の懸念が結び付いたものと言えます。ここで
有効な製品は明らかに、有機またはGMO不
使用をうたった白物飲用乳です。しかし、他
の製品も、環境価値または「ナチュラルな」
価値を強くイメージさせる場合、またはそれ
らに基づいてマーケティングを行う場合は、
特に若年層市場において、このトレンドに対
応していると言えます。
許容範囲内の贅沢
牛乳は、幅広い豊かなフレーバーをつける
ことができるうえ、本来のクリーミーな味
と質感がありながら、自然の恵みというイ
メージも保っています。そのため、許容範
囲内で美味しさを楽しむひとときには、最
適のベースとなります。
カスタマイズされた製品
Milk2.0とは、最も成功を収めたケースを
例にとると、明確に差別化され、高価格で
も売れ、ニッチ市場を対象としながらも、
可能な場合には一般市場にも拡大している
製品を指します。多くの場合、デザイナ
ー乳飲料カテゴリーと共通する特性を持
ちます。
細分化と専門化が求められるため、このよ
うな製品は多くの場合、製品ファミリーま
たはポートフォリオの一環として力を発揮
します。強力なブランドは、様々なライフ
ステージにあり、様々な健康/栄養ニーズ
を持つ消費者に応えるため、幅広い高付加
価値牛乳を提供するからです。
現代生活にぴったり
これは一般的に、特定の顧客セグメントを
対象に作られ、販売されるニッチなプレ
ミアム製品です。
ナチュラルな選択肢
13_製品
今日の消費者の変化するニーズを満たす
乳製品には、大きなチャンスがありま
す。世界各地から集めた以下の事例は、
いずれも正確に定義した市場セグメント
に焦点を当てています。そのセグメント
は、いくつかのトレンドが重なる領域
の場合もあります。いくつかのケースで
は、これらの製品は単にニッチを満たす
というだけでなく、ターゲット消費者に
合わせて作られたあつらえ品のような感
覚をもたらします。
伊利 ‒ シューホア
ラクトースフリー牛乳
中国
伊利は、国内に世界最大の乳糖不耐
症人口を抱えるという利点を生か
し、2007年に中国初の低乳糖牛乳
「シューホア」を発売しました。
特 許 技 術 の L H T( L a c t o z y m
Hydrolysation Technology)
工程を
使用して、伊利は乳糖含有量を95%
低減し、中国市場には不可欠のなめ
らかな甘味を作りだすことに成功し
ました。その後、この製品は完全に
ラクトースフリーになりました。
伊利は努力を重ねて、ブランド認知
と信頼を築き、シューホアの地位を
維持しています。最初は科学的/栄
養学的なアプローチでLHT技術の長
所を説明し、売り込みました。中国
人にとって、低乳糖とは、牛乳の栄
養素が消化しやすくなるということ
を意味します。シューホアは、5つ
の権威ある栄養関連団体の推奨を受
けて、この分野における信頼性を確
立し、以後、受賞歴を誇るラクトー
スフリー牛乳のブランドとなりまし
た。
伊利は、
「 栄養を吸収しやすい」とい
う基盤を中心に信頼を築き、オリン
ピック選手の支持を得て価値提案を
強化しました。同社は、販促や広告
(映画「トランスフォーマー3およ
び4」など)、国内有名人の支持に
よって、引き続きブランドの強化を
図っています。
中国における低乳糖/無乳糖市場が
拡大するにつれ、伊利は、シューホ
アのセグメンテーションを都市部の
裕福な若年層消費者という当初のタ
ーゲット市場から広げ、カルシウム
強化乳や心臓を守る効果のある牛乳
でシニア層もターゲットにしつつあ
ります。
まとめ
年齢層/健康ニーズに基づくセグメ
ンテーションにより、市場の先駆け
的製品がいまや無乳糖のプレミア
ム/機能性製品セグメントを確立し
ました。
対応するトレンド
MILK 2.0
ネスレ ‒ チャッキー
チョコレートフレーバーミルク
フィリピン
ネスレ チャッキー チョコレートミルク
ドリンクは、フィリピンにおいて、子ど
も向けの高品質な色物乳飲料、栄養が
あって美味しい「チョコレートバディ」
として位置付けられています。ブランド
は地域で信頼されており、母親たちは
有効成分「Calci-N」を高く評価してい
ます。フィリピンの消費者は一般的に、
色物乳飲料を白物飲用乳と同様に栄
養があると見なしています。
しかし、レディ・トゥ・ドリンクの子ども
向けチョコレートミルク市場はダイナ
ミックで競争が激しく、2014年には
新規参入者もあったため、ネスレは注
目を集めたいと考えました。母親をタ
ーゲットにした「Joys of childhood
(子ども時代の楽しみ)」キャンペーン
は、最高に楽しい飲用体験を与えるこ
とにより、子どもを心からハッピーにし
てあげたいという母親たちの願いにハ
イライトを当てました。キャンペーンは
マスメディアとデジタル媒体で告知し
たほか、消費頻度を高めるために店
頭販促や小容量パックの特売も実施
しました。
また、目新しいものが大好きな子ども
たちの心をつかむため、キャンペーン
の一環としてエア遊具の遊園地を開設
し、国内を巡回したほか、小さな規模
では、おもちゃを作れる楽しいパッケ
ージを採用しました。さらにネスレは、
ホワイトチョコレートとチョコ・ストロ
ベリーの期間限定フレーバーも発売し
ました。
ネスレ チャッキーは成長を続け、色物
乳飲料における市場リーダーの地位を
保っています。
まとめ
有力ブランドが強みを活かしさらに進
展させて、革新的なマーケティングを
用いて高い注目度を維持し、変化する
市場において魅力と配荷を拡大してい
ます。
対応するトレンド
喜び
MILK2.0
14_製品
グランビア ‒ エイボンモア
プロテインミルク
アイルランド
エイボンモアは、アイルランド
最大手の食品ブランドのひとつ
です。プロテインミルクは、様
々な健康ニーズやライフステー
ジ上のニーズに応える細分化さ
れた牛乳・乳飲料の中の1例です。
乳たんぱく質(カゼインとホエ
イの組み合わせ)を50%多く含
んでおり、主に健康志向の活動
的な消費者に対し、「ピッチの
上でも外でも、どんなチャレン
ジにも立ち向かえる」 と売り込
んでいます。特に運動後の飲料
としてではなく、食事ととも
に、あるいは軽食として飲むラ
イフスタイル飲料として位置付
けられているため、幅広い消費
機会が考えられます。プロテイ
ンミルクの革新性は、主に次の
ような点です:
• たんぱく質の含有量がとりわけ
高く(牛乳500ml中25g)、ビタ
ミンDを添加していること。
• ゲーリック体育協会(アイルラ
ンド最大のスポーツ団体)や多
くのスポーツブランドのアンバ
サダーと直接スポンサー契約を
結び、注目を集めていること。
• 牛乳や乳製品に対する感 情的
な愛着が強い国において、牛乳
と乳たんぱく質という「ナチュ
ラル」な 配 合を強 調している
こと。
また、エイボンモアは、オンライ
ンで商品を注文して牛乳配達に届
けてもらえるシステムにも力を入
れています。それにより、家族のメ
ンバー1人1人のニーズに合わせた
様々な牛乳を注文できるようにな
りました。かつては全員が飲むプ
レーンな牛乳を注文し、代わりに
サプリメントを摂っていたかもし
れません。
まとめ
機能的利点があれば多く支払って
も良いと考えるスポーツ愛好家に
ターゲットを絞り、たんぱく質を
強化したチルド白物飲用乳。いず
れもオンラインで注文して配達し
てもらえるエイボンモア「ファミリ
ー」のうち、プレミアムセグメント
に分類される乳飲料のひとつ。
対応するトレンド
デザイナー乳飲料
ジュハイナ ‒ 無脂肪乳
エジプト
ジュハイナは、フィットネス/
減量に取り組む女性層を明確な
ターゲットにした脂肪分ゼロの
ロングライフ白物飲用乳で
す。2013年6月に発売されたジ
ュハイナは、完全に無脂肪であり
ながら栄養豊富な製品に対する
需要の拡大に応えたものです。
「Don t skim, stay fit(痩せな
いで、健康でいよう)」キャンペー
ンにより、ジュハイナは、競合との
明確な差別化を打ち出しました。
他のスキムミルク(脂肪分0.4%)
製品もありますが、ジュハイナは
エジプトの市場に出回る唯一の
「ゼロミルク」
(脂肪分0.04%)
です。ジュハイナは独自性のある
製品を提 供し、健 康的で活動的
なボディを維持したいと願う人々
にとって完璧な選択肢として自ら
を位置付けています。
エジプトのブランドではあるも
のの、健康と美容に対する世界
的な意識を反映しており、デジ
タルおよびTV広告キャンペーン
はいずれも女性のフィットネス
に焦点を当て、国際的な感覚を
漂わせるものとなっています。
ブランドは強力なソーシャルメデ
ィアプレゼンスを有し、たとえば
Facebookページではフィットネ
スのヒントやレシピを紹介してお
り、170,000件以上の「いいね!」
を獲得しています。
まとめ
健康的なボディとライフスタイ
ルを求める女性のための、願望
を満たすライフスタイル製品と
位置付けられたロングライフ無
脂肪乳。
対応するトレンド
Milk2.0
ララ ‒ 細分化した牛乳/乳飲料
製品
メキシコ
ララは、チルド白物飲用乳に留
まらずに市場を開拓したいと考
えました。同社は、これを3段
階で実現しました:
• 標準的なUHT牛乳を発売し
て、UHT市場に浸透
• あらゆる年齢層を対象とした
様々な強化乳など、高付加価
値UHT牛乳を発売
• メキシコで増加しつつある乳
糖不耐症人口を対象とした製
品を開発
ララのUHT牛乳製品は大きな市
場シェアを占めており、メキシ
コにおける顧客基盤の拡大を図
っています。同社が製品の多様
化を決定した際、健康的で機能
性のある新製品の創出に的を絞
ってリサーチを行いました。そ
して、幅広い製品ポートフォリ
オを生み出すことに成功し、多
様なニッチ市場でプレゼンスを
高めました。同社の高付加価値
製品は、普通のララUHT牛乳よ
り平均5%高い価格で販売されて
います。
通常の全脂肪、低脂肪、無脂
肪UHT牛乳に加え、ララは現
在、3種類の高付加価値ラクト
ースフリー牛乳(ファイバー、
シルエット、エクストラカルシ
ウム)を販売しており、家族全
員のニーズに応えられるように
品 えしています。これらは、
牛乳/乳飲料製品の販売量の2%
を占めています。
ララは、直近の戦略においてラ
クトースフリーの栄養強化乳
に大きな重点を置く戦略をとっ
ています。調査により、ラクトー
スフリー牛乳の消費者は一般的
に、高付加価値牛乳を受け入れや
すいことがわかったからです。
製品ラインを拡大する際に容器
のデザインも一新し、ラインの
魅力を高めるとともに、それぞ
れの製品の利点をより明確に打
ち出しました。
まとめ
ララは、家族全員のニーズを満た
す牛乳を提供するブランドのわか
りやすい例です。ラクトースフリ
ー牛乳など、様々な健康ニーズを
ターゲットにした高付加価値製品
を提供し、その成長によって市場
を拡大しています。
対応するトレンド
Milk2.0
15_製品
ピラカンジュバ ­ シリアルおよび
穀物を加えた色物乳飲料
ブラジル
ピラカンジュバは、ブラジルで
は乳製品で有名な歴史あるブラ
ンドで、子ども向け色物乳飲料
カテゴリーにおいては主要メー
カーです。2011年5月、ヤング
アダルト層の色物乳飲料消費を
拡大するため、製品ラインの拡
大に着手しました。第1段階
は、コクを出すためにたんぱく
質豊富な小粒の穀物を加えるこ
とでした。その結果、フラック
スシード、アマランス、チアシ
ードを加えた製品が生まれ、こ
れらの健康的な穀物にダークチ
ョコレートや様々なフルーツコ
ンビネーションを配合しまし
た。これらは、気持ちも見た目
も健康的でいたいと思うヤング
アダルト層をターゲットに、栄
養豊富な飲料として販売されま
した。200mlというサイズと再
封可能なキャップのおかげで、
様々な消費機会に適した飲料と
なりました。
次の段階は、コクのある健康的
な飲料という枠を超えて、食事
代替品市場へと移行することで
した。食物繊維が豊富なキヌア
とフラックスシードを配合した
製品は、より大粒の穀物を含
み、たんぱく質が豊富で、より
満腹感のある軽食としての手応
えがあります。ヤングアダルト
向けに発売したこの製品は、パ
ッケージでも販促物でも健康効
果を強く訴えています。この製
品ラインは、強力なオンライン
で積極的に露出されています。
まとめ
高い収益が見込まれるヤングア
ダルト層向けの商品として、製
法とポジショニングを変更し、
健康的かつちょっと贅沢な朝食
代替としました。
対応するトレンド
喜び
Milk2.0
デザイナー乳飲料
メイル乳業 ­ サンハ牧場有機牛乳
および色物乳飲料
韓国
メイル乳業のサンハ牧場シリー
ズは近頃、健康志向の母親をタ
ーゲットにした2つの新製品を
発売し、韓国における有機製品
の小容量パック市場を根本から
変えつつあります。その色物乳
飲料は市場初の有機色物乳飲料
であるだけでなく、サイズもパッ
ケージも(テトラ・プリズマ・アセ
プティック 125ml)新しいもので
す。健康的で美味しく便利な子ど
も向けのおやつとして、2013
年12月にバナナ味とストロベリ
ー味が発売され、母親たちから
はその健康的なイメージが、子
どもたちからはその持ちやすい
サイズが好評を博しました。
2014年、製品ラインを拡大
し、同じ小容量パックでプレー
ンな有機白物飲用乳と有機ココ
アフレーバーミルクを発売しま
した。これもまた、市場初の
125ml入りの有機白物飲用乳と
なり、混じりけのなさと自然の
恵みというイメージが小さい子
どもたちの親から特に高く評価
されています。
まとめ
家庭でも持ち歩いても飲める子
ども向けの有機牛乳および有機
色物乳飲料。市場初の製品であ
り、プレミアム製品と位置付け
られています。
対応するトレンド
喜び
ピュアな牛乳
アルアイン・デイリー ­
アルアイン チルド白物飲用乳
アラブ首長国連邦
アルアイン・デイリーは 、2 014
年2月、アラブ首長国連邦でチル
ド白物飲用乳の新たな製品ライ
ンを発売しました。製品ラインは
シンプルで、低脂肪牛乳、脱脂牛
乳、全脂肪牛乳、高脂肪乳の1リ
ットルおよび500ml紙容器入りで
す。アルアインの製品ラインは、
(この市場では)ユニークなス
クリューキャップ付きテトラ・
トップ容器を使用することによ
って、競合と差別化することに
成功しています。テトラ・トッ
プ容器を使うことで、開封後も
牛乳が新鮮な味を保ち、匂い移
りを防ぐことができます。有機
牛乳ではありませんが、この製
品の訴求力は強化された新鮮さ
と混じりけのなさという概念に
強く基づいています。
まとめ
市場で他に類を見ない容器によ
って競 合と完全に差 別化した、
チルド白物飲用乳の製品ライン。
対応するトレンド
Milk2.0
ピュアな牛乳
16_製品
スニークズ・オーガニック
野菜成分強化ミルクシェイク
米国
スニークズは、子ども向けの小
容量パック入り色物乳飲料で
す。そのUSPは、「すべての
パックに美味しく紛れ込ませ
た」1日の野菜目標摂取量の1/2
の野菜を含んでいます。企業家
のチャーリー・フィルプとアリ
ソン・ファウラーは、米国の子
どもの75%が1日に推奨される
量の野菜を摂取していないとい
う事実を踏まえた革新的な製品
にチャンスがあると考えまし
た。スニークズは、有機脱脂牛
乳にニンジン、カリフラワー、
サツマイモ、ビーツ、ホウレン
ソウを配合しています。また、
他の売れ筋のチョコレートミルク
より糖分を低く抑えています。
子どもの栄養状態を良くしたい
と考える親たちにアピールする
のは確実です。また、フレーバ
ーとカラフルなパッケージによ
って、子どもたちにも人気の製
品となりました。オリジナルの
チョコレート味は2013年に発
売され、その後バニラ味が発売
されました。スニークズはいま
や、米国全土で広く店頭に並
び、ホールフーズ、ターゲッ
ト、トイザらスなどで販売され
ています。
まとめ
栄養バランスを気にする親をタ
ーゲットにし、野菜成分を添加
した色物乳飲料製品。この分野
を開拓したメジャーな製品であ
り、巨大な潜在市場が見込まれ
ます。
対応するトレンド
デザイナー乳飲料
ジミーズ ­ アイスコーヒー
英国
ヨーロッパの多くの国ではレデ
ィ・トゥ・ドリンク(RTD)の
アイスコーヒーは後進市場です
が、この状況は変わりつつあり
ます。アイスティーは近年徐々
にメジャーになっていますが、
アイスコーヒーも後に続くこと
は間違いなく、継続的な拡大が
予測されています。
ジミーズは、最初に2011年に
英国で発売され、2013年に
330mlのテトラ・プリズマ・ア
セプティック容器を採用しまし
た。強力なブランドパーソナリ
ティ(奇抜、おしゃべり、ヒッ
プ)とオンラインプレゼンスを
活かし、若者をターゲットとし
た遊び心にあふれるちょっと贅
沢なドリンクを中心にしたとコ
ミュニティを生み出していま
す。ドリームキャップの目を引
くデザインがプレミアム商品と
しての価値を強調しています。
まとめ
ジミーズは若い消費者にアピー
ルし、ソーシャルネットワーク
における強力なプレゼンスを有
しています。「イケてる、最高
な」ブランドが、英国で未開拓
だった市場セグメントに進出し
ました。
対応するトレンド
喜び
17_コミュニケーション
PREMIUM
PREMIUM
QUALITY
乳市場の活性化
消費者の心に
届くには
QUALITY
PREMIUM
QUALITY
PREMIUM
QUALITY
18_コミュニケーション/ヨーロッパ
重要なのは、革新的な新製品だけではありません。消費者とコミュニケー
ションを取る、より新しく、適切な方法を用いることも、同じぐらいに重
要です。牛乳の良さに関するストーリーを中心に、牛乳の栄養や健康効果
に関する事実に感情的な訴求を組み合わせたキャンペーンが世界中で、作
られています。ソーシャルメディアも、牛乳に関する多くの肯定的なメッ
セージを伝えるために活用されています。
EMFのキャンペーン
には、牛乳の健康効果
と栄養の科学的説明
をまとめた冊子などが
あります。
#1 ヨーロッパ:欧州ミルクフォーラム
(EUROPEAN MILK FORUM)
欧州ミルクフォーラム(EMF)は、牛乳お
よび乳製品に関する啓発および促進キャンペ
ーンを策定するため、オーストリア、ベルギ
ー、デンマーク、フランス、アイルランド、
オランダ、北アイルランド(英国)の7ヵ国
の乳業団体により、2011年に設立されまし
た。その後、ノルウェーが加わりました。フ
ォーラムは、欧州全土にわたる2つのキャン
ペーンを開始しました。それらは3年間実施
され、現在も継続されています。
TV広告は、視聴者
の牛乳に対する認知
に非常に肯定的な影
響を及ぼしました。
1. MILK, NUTRITIOUS BY NATURE
(牛乳、自然がくれた栄養)
ハイレベルな科学者、政策立案者、医療従事者、
ジャーナリストなどの主要なオピニオンリーダー
をターゲットにした、牛乳の豊富な栄養に関する
情報提供プロジェクト。ヨーロッパ各地で様々な
シンポジウムを開催するほか、加盟する8ヵ国す
べての栄養学者と協力して、入手可能な科学的デ
ータを概説する冊子を作成しました。
www.milknutritiousbynature.eu/en
2. MILK, A FORCE OF NATURE
(牛乳、自然の力)
消費者を直接ターゲットにした広告キャンペーン
で、牛乳に関しては初めて、欧州委員会が共同出
資するものとなりました。その中心は、EMFに加
盟する8ヵ国すべてで放送したスタイリッシュな
TVコマーシャルで、「牛乳の騎士たちが、エネル
ギー、力、ポジティブパワーをもたらす栄養素を
集結させる」という印象的なCGIアニメーション
が使われています。
国別のウェブサイトや医療従事者をターゲットに
したローカライズした印刷広告など、様々な追加
ツールも開発されました。マーケティング費の内
訳は、90%が従来のコミュニケーション、10%が
デジタルです。デジタルは、若年層市場に届ける
ために特に重要でした。EMF議長とCNIEL広報部
長を務めるローラン・ダミアンが言うように、
「ティーンエイジャーはデジタルを利用するだけでな
く、たいていの場合は、デジタル利用中」なのです。
19_コミュニケーション/ヨーロッパ
キャンペーンの効果
キャンペーン後の調査では、各市場において牛乳
に対するイメージと態度の両方に肯定的な影響が
あったことがわかりました。キャンペーンを思い
出した回答者に、牛乳について最も当てはまると
思う表現を選んでもらったところ、8ヵ国全体で
最も多かった2つの回答は、
「牛乳はすべての年齢
層で摂取できる」
(実施前の62%から上昇し、1年後
に65%、2年後に64%)と、
「毎日牛乳を摂取するこ
とが重要だ」
(実施前の36%から上昇し、1年後に
49%、2年後に44%)でした。
また、回答者の約3分の1は、牛乳に対する考え方
に「広告が非常に肯定的な影響を及ぼした」こと
に強く同意し、それより多くの回答者が、
「広告が
牛乳の摂取を促した」ことに強く同意しました。
最後に、
「牛乳はティーンエイジャー向きである」
という表現のスコアが、キャンペーン実施前も実
施後もきわめて低かったことは特筆に値します。
これは、この年齢層における牛乳のイメージを改
善するという課題を反映するものです。
得られた教訓
1. 共同行動は有益
一般的に言って、業界を挙げ
てのキャンペーンは現在少な
くなっています。競争が激し
くなり、各ブランドは自社の
活動のみに投資するようにな
っているからです。しか
し、EMFのキャンペーンは、
共同努力がいくつもの利益を
もたらすことを実証しまし
た。栄養学者や他の世論形成
者の間でコンセンサスの構築
を促し、共通のメッセージが
保健機関や消費者に発信され
るようにしました。また、統
一された政治的発言の形成も
促しました。これは、法律や
規則の制定を強化しているEU
政府レベルでロビー活動をす
るために重要なことです。
2. しかし、コンセンサスの
構築が課題となることも
牛乳がヒトの健康にもたらす
有益性については一般的な合
意があるものの、栄養学者、
保健機関、その他の機関の見
解やアプローチは、国によっ
て大きく異なります。EMF
加盟各国のステークホルダー
に受け入れられる冊子を作成
するために、2年間かかりま
した。しかし、知識の共有は
大抵の場合明らかに有益で
す。「私たちは皆、ヨーロッ
パという次元で協力できて良
かったと思っています。な
ぜなら、お互いから学ぶこ
とが非常に多いからです」
と、EMFで積極的な役割を果
たし、CNIELでメディアサー
ビス部門を率いるドミニク・
ポワソンは言います。
3. 規模の経済が効果を拡大
広告をいくつも作るよりひと
つだけ作るほうがはるかにコ
スト効率が高いため、EMFに
よるイニシアティブの結果、
各国はそれまで手が届かなか
ったTVコマーシャルを実現
することができました。制作
費と広告枠の購入でも費用を
削減することができました。
共同セミナーも、より費用効
率的に行うことができます。
イベントはより大規模にな
り、より多くの講演者と出席
者を集め、より大きなネット
ワークの形成を促すことがで
きます。
4. マーケティングはローカ
ライズが必要
牛乳は、どこに行っても同じ
製品に見えるかもしれません
が、本当はそうではありま
せん。「文化的な違いは、予
想よりはるかに重要でした」
と、ローラン・ダミアンは
述べています。広告は当初、
8ヵ国すべてで同じでした。
しかし、すぐに調整の必要が
明白になりました。そこで、
各国の有名スポーツ選手が登
場する画像を挿入したところ
(上記のURLを参照)、成果
に改善が見られました。
ベルギー/オランダ
www.melkeenkrachtvandenatuur.be
デンマーク
www.milkaforceofnature.dk
フランス
www.laitforcedelanature.fr
北アイルランド/アイルランド共和国
www.milkaforceofnature.ie
20_コミュニケーション/米国
#2 米国:変化の時
米国における牛乳のマーケティングは、近
頃、変化の時を迎えています。「Got milk?
(牛乳飲んだ?)」キャンペーンは、現代に
おける最も有名な広告のひとつであり、認知
度は90%を超えましたが、昨年、消費者と
牛乳の間により意味のある結び付きを生み出
すため、新たな全国規模のキャンペーンに差
し替えられました。1993年にカリフォルニ
ア牛乳加工業協会のために制作されたこのス
ローガンは、1995年に牛乳加工者啓発プロ
グラム(MilkPEP)にライセンス供与され、
印刷広告に使用されました。長年にわたり、
広告にはデヴィッド・ベッカムやスーパーマ
ン(左の写真)などの多くの有名人が「牛乳
ひげ」をつけて登場しました。
「たんぱく質については他の食品ばかりがス
ポットライトを浴びていますが、牛乳も、本
格的なたんぱく質のパワーを備えているのだ
から、このたんぱく質人気を拡大につなげる
べきです。牛乳は上質なたんぱく質が豊富
で、消費者にとって意味のある利点が数多く
あります。なので、他のたんぱく質源に対し
て競争優位に立てる可能性があります。」
グレゴリー・ミラー、PhD、
、全米酪農会議チーフサイエンス
オフィサー、DMIエグゼクティブバイスプレジデント
「Milk Life(牛乳生活)」という新たな全国的キ
ャンペーンは、牛乳の栄養メリット、特にたんぱ
く質の含有量に重点を置き、8オンス(237ml)
グラス1杯の牛乳に8グラムのたんぱく質が含まれ
ていることを強調しています(下の写真)。有名
人を起用する「Got milk?」のアプローチをやめ、
消費者に焦点を当てて、牛乳が日々の活動をどの
ように後押しするかを説明しています。特に朝食
に重点を置き、「Start your day with the
power of protein(たんぱく質のパワーで1日を始
めよう)」というスローガンを掲げています。
「MilkPEPによるこれまでのキャンペーンは、牛
乳のイメージを変え、より現代的なイメージにす
ることで、消費量を増やすよう促すものでした
が、『Milk Life』キャンペーンは、牛乳が実際に
どのように役立ってくれるかを示しています」
と、MilkPEPのマーケティング担当バイスプレジ
デント、ビクター・ザボースキーは、キャンペー
ン発足時に述べました 21。
たんぱく質は「本当によくニュースに取り上げら
れ、消費者も気にしています」と、MilkPEPの
CEO、ジュリア・カディソンは言います。
「しか
し、多くの人は牛乳にたんぱく質が含まれている
ことを知りません。ですから、それを結び付ける
ことが非常に重要でした。私たちの力強いメッセ
ージは、『朝食の牛乳が潜在力を発揮させる』と
いうものです。それを信じる根拠は、牛乳が上質
なたんぱく質の天然の供給源だということです 22。
『Milk Life』と並行して、MilkPEPは、TV、印刷、
デジタル広告、そしてソーシャルメディアに対応
した『Great American Milk Drive(アメリカを
牛乳で元気にしよう)』というプログラムを発足
させ、『アメリカ人が地元のフードバンクのため
にもっと気軽に牛乳代を出す 23』機会を提供して
います」と、カディソンは言います。「自分が飲
むためではなく、牛乳を買う余裕がない家庭を支
援するということが、牛乳を1ガロン多く買う新
たな理由になるのです。牛乳が疑問の余地なく体に
良いという位置付けを取り戻すためにこれらのプロ
グラムは役立つと、私たちは考えています 24。」
21_コミュニケーション/米国
MilkPEPのアプローチは、その後さらに変化を遂
げました。牛乳否定論、特に昨年「ブリティッシ
ュ・メディカル・ジャーナル」に発表された否定
的な研究結果25 がそれに拍車をかけました。その
結果生まれたのが「Get Real(現実的になろう)
」キャンペーンです。これは、科学者や栄養学者
を募り、ソーシャルメディアを使って牛乳の栄養
に関する肯定的な情報を広め、中傷を打ち消して
もらうというものです。1日集中キャンペーンに
重点を置き、1月27日に開始しました。1月29日
までに、ソーシャルメディアにおける6500件以
上の投稿が約2100万人にリーチしました。メッ
セージは、詳しい情報を得ようとする人々を専用
ウェブサイト(www.milktruth.com)に誘導しま
した。
「ソーシャルメディアは放送チャネルではありま
せん。それは参加型のコミュニケーションチャネ
ルです。」と、シジョン社のグローバルインサイ
ト部門ジェネラルマネージャー、KC・ブラウンは
言います。「『Get Real』1日集中キャンペーン
を通じて、牛乳の栄養に関するストーリーを支持
する人々のコミュニティがあり、彼らは進んで会
話に加わろうとするということがわかりました。
そのコミュニティを強化し、肯定的で共有できる
コンテンツを作って支援することにより、エンゲ
ージメントを築くことができるでしょう。」
「『Get Real』は、より積極的なアプローチ
の始まりにすぎず、牛乳否定論に対抗して牛
乳の評価を守るための長期戦略の一部にす
ぎません。酪農業者や乳業メーカーからの
熱心な協力を得ることにより、牛乳の基本
的な良さに対する消費者の信頼に大きな影
響を及ぼすことができます 26。」
ジュリア・カディソン、MILKPEP CEO
「GET REAL」
キャンペーン
#MILKTRUTHの5つの事実
1. 牛乳は、栄養の宝庫です。
2. 牛乳は、貴重な栄養素を供給し、過剰な脂肪や
カロリーは含みません。
3. 牛乳は、数十年にわたる研究に裏付けられた
様々な健康効果をもたらします。
4. 牛乳は簡単に他製品で代替できません。
5. 牛乳は、国内各地の酪農業者が作った、
本物の、健全な、地元の食品です。
感情をつかんだ?
「Got milk?」キャンペーンは、
それが始まったカリフォルニア州で
継続されています。最近の「Brave
(勇気)」という広告は、消防士が
コップに牛乳を注ぎながら、子どもの
頃に母親と交わした会話を思い出すと
いうもので、感情的訴求の顕著な例で
す。「このキャンペーンは、我が子を
将来の成功と健康でいられるように
備えさせてやりたいという、すべての
親の願いを み取ったものです」と、
広告を制作したグッドビー・
シルバースタイン&パートナーズ会長の
ジェフ・グッドビーは言っています 27。
www.youtube.com/user/gotmilk
22_コミュニケーション/デジタル
デジタルメディアの課題
牛乳否定論は目新しいものではありません。それ
は1940年代と1950年代に始まり、1960年代と
1970年代に発達しました。しかし、ほかにも2つ
の要因があります。ひとつは、不安の文化とも言
うべきものの出現です。そこには恐怖症があふ
れ、否定的なメッセージを生む格好の土壌です。
もうひとつは、インターネットとソーシャルメデ
ィアの急速な発展であり、そのようなメッセージ
の拡散を可能にします。これら2つの要因が重な
ると、難しい組み合わせになります。
「インターネットは、牛乳否定論の拡散を促して
います。なぜなら、何かが自分たちにとって悪い
ものだと考える人は、オンラインで検索し、同じ
ようにそのメッセージを広めようとしている、あ
るいは信じている他の人々を発見するからです」
と、EMFおよびCNIELのローラン・ダミアンは言
います。「その場合、肯定的なメッセージより否
定的なメッセージのほうがはるかに多くなりま
す。なぜなら、牛乳が好きで、それが自分にとっ
て良いと考える人は、そのことを投稿しないから
です。」
それとは対照的に、否定的な投稿をする人たちは
非常に活発になりえます。「オンラインに何か載
せれば、たちまち数件の否定的なコメントが来る
こともあります」と、EMFおよびCNIELのドミニ
ク・ポワソンはいいます。「彼らに返事をする
か、しないか? 私たちの方針は、返事をしないと
いうことです。1人のユーザーと話し合うにも、
非常に時間がかかります。きりがありません。私
たちは論点のひとつひとつに答える代わりに、
『C世代』の消費者を説得するため、肯定的なメ
ッセージを投稿し続け、またYouTubeに動画を投
稿し続けています。」
このようなデジタルメディアによる拡散がはらむ
危険性は、周辺的な意見が主流であるかのように
見えてしまうということです。「業界として、私
たちは長年にわたり活動家グループからの攻撃を
受けてきましたが、この新しいソーシャルダイナ
ミクスが攻撃を増幅しました」と、ジュリア・カ
ディソンは言います。「残念なことに、近頃では
栄養学の自称『エキスパート』になるには、どう
やらスマートフォンと意見さえあればいいようで
す。しかし、そのような未熟なインフルエンサー
がオンラインでシェアする助言や意見の多くは、
研究による裏付けがなく、もっぱら無知な意見や
政治的目標を推し進めるのみです 28。」
EMFもMilkPEPも、牛乳否定論への対応について
は同様のアプローチを取っています。つまり、議
論を始めて『宣伝という名の酸素』を供給するリ
スクを冒すのではなく、牛乳に関する肯定的で確
かな科学的裏付けのあるメッセージを発信するこ
とに重点を置くというものです。また、個人との
議論は不毛なものになりがちだと、ローラン・ダ
ミアンは主張します。なぜなら、牛乳を否定する
意見は多くの場合、理性的なレベルではなく感情
的なレベルで信じられているからです。「ありと
あらゆる科学的な論拠を示しても、彼らは決して
信じようとしません。それも、EMFが並行して2
つのキャンペーンを実施した理由です。ひとつは
理性的なレベルで世論形成者に焦点を当て、もう
ひとつはより感情的なレベルで消費者を直接ター
ゲットにしたのです。」
「ソーシャルメディアの会話に関わるという
ことが、コミュニケーションの重要な要素で
す。従来のメディアもそうですが、世界的に
一貫性があり、シンプルで、地域ごとの盛り
上がりに結び付きやすいメッセージが、団結
力を高めます。そのようなメッセージを伝え
るためにソーシャルメディアコミュニティを
活用すれば、理解とエンゲージメントを構築
することができます。」
KC・ブラウン、シジョン社グローバルインサイト
部門ジェネラルマネージャーネージャー
Dairy Management Inc.(DMI)
の見解29
今日消費者の心に届くということは、絶
え間なく接触することです。時間ととも
に消費者の認知を形成し、行動を変化さ
せるには、これまでとは違うコミュニケ
ーションが必要です。消費者は、非従来
型の情報源や新たに信頼を得た「エキス
パート」からの大量の情報に日々さらさ
れています。かつては「ただ彼らに伝え
る」だけで良く、それで十分でした。今
日では、彼らに示し、ストーリーに巻き
込み、感情的に結び付き、彼らがオンラ
インやオフラインで生活する非常に多く
の場所で接する必要があります。透明性
が必要であり、オープンで、正直で、率
直で、時にはこの保守的な業界としては
かつてなかったほどに先鋭的である必要
があります。
今日、消費者が購入するものに影響を与
えるものとして、新たな要因が加わって
います。この製品は、責任をもって、環
境負荷を削減するような形で製造され
ているか?牛はきちんと扱われている
のか?不必要に薬剤が投与されて、それ
がこの牛乳に含まれていないか?このよ
うな食品に関する新たな期待は大きくな
り、その一方で人々は農場からどんどん
離れていきます。要求が増える一方で、
知識は減っています。さらに悪いこと
に、彼らは、畜産業に反対する活動家た
ちが伝える飼育方法、抗生剤、ホルモン
剤、汚染、牛乳の品質などについての虚
構を信じてしまいます。極端主義者が会
話をリードし、偽りの主張で人々を遠ざ
けています。このギャップを埋め、真実
を広めることが、乳業界の将来にとって
きわめて重要です。
23_コミュニケーション/南アフリカ
#3 南アフリカ:
消費者啓発プログラム
2008年より、ミルク・サウスアフリカは意欲的
な消費者啓発プロジェクト(CEP)を実施して
います。基本的には、牛乳および他の乳製品
の一般的な良さを伝えるための、健康と栄養
に重点を置いたマルチチャネルのキャンペー
ンです。このキャンペーンでは、南アフリカ
保健省の食品ベースの食事ガイドラインをコ
ミュニケーションマテリアルの重要な要素と
して使っています。
南アフリカの最初の食事ガイドラインは2003年
に作成されましたが、牛乳および他の乳製品につ
いては具体的な量が記載されておらず、「動物性
たんぱく質」という大きな枠に含まれていまし
た。しかし、国民のカルシウム摂取量とカリウム
摂取量が少ないという一貫した報告があり、高血
圧症および関連する症状が多く見られることか
ら、保健省は見直しを行い、2012年に新たな国
のガイドラインが発行されました。ここでは、国
民に対し、「牛乳、マース(発酵乳飲料)または
ヨーグルトを毎日摂る」よう促しています。
ミルク・サウスアフリカのCEPは、食事に牛乳や
乳製品を取り入れることの利点に対する消費者の
知識不足や誤解が、2007年の包括的調査で明ら
かになったことを受けて発足しました。プロジェク
トコーディネーターのクリスティーン・レイトンが説
明する通り、CEPは、牛乳および他の乳製品の栄養
的価値に関する情報不足とある種の誤解に対抗する
必要がありました。
「人々の消費行動に、情報に基づく変化をもたら
すため、私たちは2つのグループを主要なターゲ
ットにしています。医療従事者(主に栄養士、栄
養学者、医師、看護師)に対しては、専門的なコ
ミュニケーションを行っています。一般に対して
は、消費者、主に現在の南アフリカで急増してい
るLSM(生活水準指標)6∼8の層に焦点を当てて
コミュニケーションしています。どちらのグルー
プに対しても、食事における牛乳および乳製品の
科学的に立証された健康効果と栄養的利点を伝え
ることに重点を置いています。」
6つの主要課題に関する
消費者へのメッセージ
成長
乳製品は、
それに含まれるたんぱく質と
カルシウム成分によって成長を促す
筋肉の発達
乳製品は、
それに含まれるたんぱく質と
アミノ酸によって筋肉を作る
骨の健康
乳製品は、
それに含まれるカルシウム成分
カルシウム成分
によって骨を強くする
減量
乳製品は、
低脂肪食の構成要素
栄養分
乳製品は、
たんぱく質、
ビタミン、
ミネラルを
含む栄養豊富な食品
脂肪分
乳製品は、
一般に考えられているより
脂肪分が少ない
「広告、そして実際には消費者キャンペ
ーン全体が、牛乳および他の乳製品を台
所から持ち出して、人々の生活に取り入
れ、温かくカラフルな世界の一部にする
ことを訴えています。CEPのメッセージ
は科学的情報に基づいたものですが、消
費者には心に語りかけるような形でそれ
を伝えています。なぜなら、消費者の行
動において感情は非常に大きな役割を果
たしているからです。」
アルウィン・クラームウィンケル、SAMPO
(南アフリカ乳業協会) CEOおよびCEP管理
委員会会長
24_コミュニケーション/南アフリカ
デュアルアプローチ
医療従事者に対するコミュニケーションでは、乳
製品が健康的なライフスタイルと高血圧や糖尿病
などの「生活習慣病」の予防において果たす役割
を取り上げています。メッセージはすべて、その
テーマの専門家により検討され、立証されます。
医療従事者をターゲットにすることにより、CEP
は、キャンペーンが終わった後も長きにわたり、
メッセージがより多くの人々に確実に伝えられる
ようにしました。
また、CEPは、公立診療所や研修病院での活動を
通して低所得層をターゲットとしているほか、学
校ではカリキュラムに沿った教材を使い、スポー
ツ選手には専用マテリアルを使い、牛乳の利点を
促進しています。近頃の活動では、ティーンエイ
ジャー(やはりLSM 6-8層)に特に重点を置いて
います。彼らは、次世代の若い親たちとなるた
め、なおさら重要だからです。
コミュニケーションチャネルはターゲット市場に
合わせて選択し、広報担当がサポートします。
チャネルおよびリソースには、たとえば学校栄養
士向けのUSBスティックによる栄養教育ツール、
一般消費者向けの「Rediscover Dairy(乳製品を
見直そう)」ウェブサイト、ティーンエイジャー
およびスポーツ選手向けのマイクロサイト、診療
所での健康増進プログラム、学校内のポスターお
よび教員による指導、そして当初はティーンエイ
ジャー向けに制作され、大成功を収めた一連の
TV/デジタル広告などがあります。
消費者向けのツールはきわめて高い評価を受け、
国内外の様々な賞を受賞しました。ツールには、
「Dairy gives you go(乳製品がやる気をくれ
る)」というテーマでティーンエイジャー向けに
制作した非常に親しみやすい一連のTV広告があり
ます。これらは、デジタル素材や関連するマイク
ロサイトによって補強され、スポーツ、音楽、フ
ァッション分野で才能を発揮するティーンエイジ
ャーが牛乳からやる気とエネルギーをもらうとい
う、人物を中心にした内容で、あらゆる年代層か
ら人気を得ています。
専門家向けに作成したツールの信頼性は、広く認
められています。大学で、栄養学を学ぶ最終学年
の学生には全員、将来のキャリアで使用するた
め、CEPが作成した「Dairy-based nutrition(乳
製品による栄養)」という教育用冊子が配布され
ます。また、CEPは栄養士の「継続的栄養教育」
活動にも貢献しています。それにより栄養士は、
南アフリカ医療従事者協議会が認定する専門職能
力開発ポイントを取得することができます。
すべてのメッセージのコミュニケーションは、
「Rediscover dairy」、
「3-A-DAY」および/または
「Dairy gives you go」という枠組みの中で行われ
ます。3つの表現はすべて登録されています。
キャンペーンに
は、ティーンを意
識した親しみやす
い一連のTV広告が
含まれます。
デジタルマテリアル
やマイクロサイトは、
あらゆる年齢層にふ
さわしいインタラク
ティブコンテンツを
提供しています。
「Dairy gives you go」の45秒(TV)
広告またはデジタルメディア向けのバー
ジョンは、www.youtube.com/user/
DairyGivesYouGoでご覧になれます。
キャンペーンに関する詳細、消費者向け
および専門家向け素材は、
「Rediscover Dairy」ウェブサイト
(www.rediscoverdairy.co.zaでご覧
になれます。
25_コミュニケーション/インド
#4 インド: 母親たちを「食の安全大
使」に任命して市場を開拓
インドは、異例のケースです。世界第2位の
規模を持つこの新興経済国は、世界の牛乳生
産量の16%を占め、それでもなお需要が生
産量を上回る勢いです。インドには地方の生
産者からなる規制されていない巨大な市場が
あり、ほとんどの牛乳は、独立した販売業者
や仲買人を通して、未加工の状態で量り売り
されています。
インドの市場は大きな可能性を秘めていますが、
その開拓は困難です。おそらく食の安全が とな
るでしょう。テトラパックは「Right to Keep Food
Safe(食品を安全に保つ権利)」キャンペーンを実施
しています。このキャンペーンはソーシャルメディアの
力を利用して一般の意識向上を図る大規模なイニシ
アティブです。2014年10月から2015年3月までの
第一フェーズに「食の安全大使」となる母親を募集
し、地域社会、オンライン、印刷、10都市で開催され
たライブイベントで容器入りのUHT牛乳やジュース
の安全上及び栄養的メリットを広めてもらうという
ものです。
キャンペーン発足に先立ち、テトラパックは「母
親たちとの会話」と銘打った食の安全に関する調
査を実施しました。調査結果によれば、調査対象
の母親の3人に1人が、家族に食べさせている食品
の安全性と品質について確信を持てないと回答し
ました。
栄養と食の安全に関する講座やワークショ
ップに参加した2,000人以上の母親たち
は、学んだことをブログに書くよう促されま
した。
キャンペーンは、メディアパートナーであるタイ
ムズ・オブ・インディア紙と協力し、また、オン
ラインを活用して、影響力のある母親を探すこと
に重点を置き、最終的には15人の母親を「食の安
全大使」に任命しました。栄養と食の安全に関す
る講座やワークショップに参加した2,000人以上
の母親たちは、学んだことをブログに書き、波及
効果によってさらに大勢のインフルエンサーのグ
ループにメッセージを広めるよう促されました。
キャンペーン期間を通して、印刷媒体、特にライ
フスタイル誌によってコアメッセージを強化し、
必ず有名な栄養学者の推奨の言葉を添えました。
NQ講座は、食の安
全、栄養、包装に関
するこの種のオンラ
イン講座としては初
めてのものです。
テトラパックは中心となるキャンペーンに加
え、2013年に、インド栄養学協会および全イン
ド医科大学地域医療学科との連携による栄養知識
指数(NQ)講座の設立に参加しました。NQ講座
は、食の安全、栄養、包装に関するオンライン講
座としては初めてのものです。当初は医療従事
者、栄養学者、栄養士のみを対象にした講座でし
たが、2014年に母親向けのオンライン講座を新
設し、食の安全に関する意識を高め、家族のため
により安全で健康的な選択ができるようにしまし
た。これまでに3,000人以上の医療従事者と
4,000人以上の母親がNQ講座を終了しています。
7ヵ月間にわたるキャンペーンの第1フェーズが終
了する2015年5月末、インドの主要な英語ニュース
チャンネルであるタイムズナウで、
「Right to Keep
Food Safe」に関する2回シリーズの特集が放送さ
れました。特集では、食の安全の問題と解決、そし
て15人の「食の安全大使」が紹介されました。
26_コミュニケーション/ラテンアメリカ
#5ラテンアメリカ:FEPALEの
「¡ SI A LA LECHE!」
キャンペーン
6月1日の「世界牛乳の日」に合わせて2015
年 5 月 末 に 、 F E PA L E ( P a n - A m e r i c a n
Dairy Federation)による「¡Sí a la Leche!
(牛乳にイエス!)」キャンペーンが発足し
ました。このキャンペーンは2008年より毎
年実施されていますが、今年はビジュアル
アイデンティティを一新し、
ウェブサイト
(www.
sialaleche.org)、Facebook、LinkedInによ
って強力かつ一貫したソーシャルメディアで
の存在感を確立し、リーチを広げることによ
り、新たなフェーズに入りました。
世界各地の記念
イベント
「世界牛乳の日」に開催
されるイベントの一部を
紹介します。
このキャンペーンは、消費者に牛乳の栄養価値を
広めるもので、ラテンアメリカ全土の保健および
栄養専門家、医師、高名な学識者と協力して、牛
乳の健康効果と病気予防効果に関する情報を提供
し、検証しています。
毎年、FEPALEは様々なイベントを展開してお
り、専門家コミュニティを対象とするものだけで
なく、子どもや若者、親、教員が直接参加するイ
ベントも開催しています。このキャンペーンも、
学校牛乳プログラムを地域全体に広めることに重
点を置いています。
このキャンペーンは、ラファエル・コーンズがコ
ーディネートしている「More Milk = More Health」
プログラムの一環として実施されています。コー
ンズは、ウルグアイ栄養大学の教授であり、クラ
ブ・ナシオナル・デ・フットボール(ウルグアイ
代表サッカーチーム)の栄養士でもあります。キ
ャンペーンは、世界的に著名な研究者による科学
的証拠に基づいた乳製品の摂取がヒトの健康にも
たらす紛れもない効果をコミュニティに伝えるも
のです。
「¡Sí a la Leche!」キャンペーンは、ラテンアメ
リカ各地の学術機関、政府機関、乳業メーカー50
社など、官民両部門の100を超える機関から支持
されています。
タイ
バンコクで開催されるイベントで、
テトラパックはお客様を支援する
ため、啓発活動を行うブースを出
展しています。
インドネシア
テトラパックはこの日に合わせて
UHT牛乳の栄養価値を伝える活
動を行っており、育児雑誌の広告
記事、工場訪問、ウルトラジャヤ
社とのディスカッション、たとえ
ば母親向けのブロガーフォーラム
とのオンラインイベントなどを実
施しています。
フィリピン
毎年、テトラパックはアラスカミ
ルク・コーポレーションと共同
でイベントを実施しています。
昨年のチャリティ・ファミリー
ランには3,000人以上が参加
し、指定したチャリティ活動の
ために記録的な数の容器入り牛
乳の購買資金を集めました。ま
た、参加者は、全国一斉に牛乳を
飲むイベントにも加わりました!
マレーシア
マレーシアでは、ダッチレディブ
ランドが継続的にイベントを実
施しています。このようなイベン
トで、同ブランドは過去に、牛乳
を 無 料 配 布して( 2 010 年 に
250,000パック)一斉に牛乳を
飲むという記録でレコードブック
に載りました。
27_参照文書とあとがき
参照文書
特に明記しない限り、
このセクションの統計は、
ALES Market Research for Tetra Pak、 Milk
Image: Germany, Spain, Thailand, USA, China,
Brazil , April 2015からの引用です。
2
中国のアンケート協力者は不衛生な牛乳への不安
について回答しています。
これは2008年のメラミン
混入事件が影響していると言えます。
それ以降、中
国ではプレミアム牛乳や輸入牛乳が増えています。
3
U&A;Usage & Attitude Studies 2006-2011
消費者の消費行動に関する理解を目的にしてい
ます。
4
ALES Market Research for Tetra Pak, “Milk
Image: Germany, Spain, Thailand, USA, China,
Brazil”, April 2015.
5
U&A: Usage & Attitude Studies 2006-2011.
6
U&A: Usage & Attitude Studies 2006-2011.
7
特に明記しない限り、
このセクションの調査は、
European Milk Forum(EMF), Milk, nutritious
by nature: The science behind the health and
nutritional benefits of milk and dairy foods ,
July 2014からの引用です。
8
Food and Agriculture Organisation of the
United Nations (FAO), “Milk and dairy
products in human nutrition – questions and
answers”.
9
世界の国々の食事のガイドラインについてはこちら
をご覧下さい。
www.fao.org/nutrition-education/fooddietary-guidelines/en/
10
FAO, “Milk and dairy products in human
nutrition”, 2013.
11
Khalifa Elmusharaf, Sani Njobdi et al,
“Health Assessment of the Impact of School
Milk Programme on School Children in
Three Primary Schools in Khartoum State”.
Khartoum, Sudan. Reproductive and Child
Health Research Unit, University of Medical
Sciences and Technology, 2012.
12
1
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
世界保健機関(WHO)
によると
「高い成長阻害は貧
しい社会経済状況と成長期での病気やきちんと食事
をとれないリスクの増加と深い関連がある」。
地元機関でとられた統計とテトララバルのFfDO
(フード・フォー・ディベロップメントオフィス)が
2014年にまとめた結果。
Datamonitor Consumer Survey, 2013.
EMF, “Milk, nutritious by nature: The science
behind the health and nutritional benefits of
milk and dairy foods”, July 2014.
デイリーインデックス2015年4月「グローバル・
バランスを目指す乳製品の需要と供給」をご覧く
ださい。
Nielsen, “We are what we eat: Healthy eating
trends around the world”, January 2015.
Datamonitor Consumer Survey, 2014.
The NPD Morning MealScape 2011がアメリ
カ人27,179人を対象に2011年1月10日から3月7
日まで行った調査。結果は18-34歳の男性の28%
は朝食をとらない、55歳以上の女性は10%が朝
食をとらないが、多くの人が朝食を摂っている。
子どもにおいては食事をとる、とらないは年齢に
関連している。10代はそれ以下の年齢の子どもよ
り朝食をとらないことがわかった。
Nielsen, “We are what we eat: Healthy eating
trends around the world”, January 2015.
Quoted by DairyReporter.com.
Speaking at the International Dairy Foods
Association Dairy Forum, Palm Springs,
California, January 2014.
フードバンクは生活困窮者などに配給する非営
利団体です。
Speaking at the International Dairy Foods
Association Dairy Forum, Palm Springs,
California, January 2014.
25
26
27
28
29
Milk intake and risk of mortality and fractures
in women and men: cohort studies, British
Medical Journal, October 2014.
Speaking at the International Dairy Foods
Association Dairy Forum in Boca Raton,
Florida, January 2015.
Quoted in AdWeek.
Speaking at the International Dairy Foods
Association Dairy Forum in Boca Raton,
Florida, January 2015.
Dairy Management Inc.(DMI)はアメリカ合
衆国の47,000酪農家と乳製品輸入業者の団体で
す。DMIはNational Dairy CouncilとAmerican
Dairy Assosiationを運営し、the US Dairy
Export Councilとthe Innovation Centre for
US Dairyを設立しました。
あとがき
このレポートをまとめるにあたって、下記団体、
企業の皆様にご協力いただきました。
ここに御礼申し上げます。
CNIEL (Centre National Interprofessionnel
de l’Economie Laitière); Consumer Education
Project of Milk, South Africa; DMI (Dairy
Management Inc); EMF (European Milk Forum);
FEPALE (Pan-American Dairy Federation); Global
Dairy Platform; LRF (Federation of Swedish
Farmers); MilkPEP; National Dairy Council USA;
Al Ain Dairy, Glanbia, Jimmy’s Iced Coffee,
Juhayna, Lala, Maeil Dairies, Nestlé, Piracanjuba,
Sneakz, Yili; Professor Guansheng Ma, School
of Public Health, Peking University; Cision.
© 2015, Tetra Pak International SA,
Lausanne, Switzerland.
are
Tetra Pak, Tetra Prisma, Tetra Top and
trademarks belonging to the Tetra Pak Group.
今日、消費者の選択に影響を及ぼす2つの重要な要因
は、
「健康の願望」、そして「多忙で複雑なライフスタイ
ル」です。
牛乳の良さに対する根強い信頼は、牛乳否定論にもかか
わらず、2つの主要トレンドのひとつ
「健康の願望」
をかな
えるには牛乳が最適であることを示しています。
しかし、従来の製品では十分ではありません。現代の消費
者は、最大限の健康効果をもたらし、生活のペースに合う
飲料を求めています。
このギャップを埋めることができる革新的な乳業メーカ
ーには、大きなチャンスがあります。
テトラパック、
コミュニケーションし、共感を呼ぶ
重要なのは、革新的な新製品だけではありません。
マーケ
ティングとコミュニケーションも、現代の消費者の興味を
捉え、彼らをワクワクさせるために変化を遂げる必要があ
ります。
事実と感情のバランスを取ることが重要です。科学的な調
査結果を活用し、肯定的なメッセージを発信し続けると
同時に、消費者の心にも訴えかけることです。
インフルエンサーとの関係が となります。
また、
メディア
チャネルや語り口調の選択も、特に若い世代に語りかけ
る場合には重要です。
連携し、多くの人々とコミュニケーションしあうことは、
今日、
かつてないほど大きな意味を持っています。
、テトラ・プリズマ・アセプティックは、テトラパックグループに帰属する商標です。 WWW.TETRAPAK.COM
© 2015, TETRA PAK INTERNATIONAL SA, LAUSANNE, SWITZERLAND, EN, 2015-10
革新的で、関連性を高く