Vol.046 _れんこんで問題になっている主な障害とその対策

障害と対策
れんこんで問題になっている主な障害とその対策
(農業指導班資料:作成年次不明)
黒皮症
ゆず肌症(病原菌は現時点では不検出)
主な原因
発生原因についてはまだ十分に解明されていないが、強粘質田で残さの分解不良等
による異常還元状態(酸素不足)の土壌にれんこんが触れて障害が起こっているもの
と考えられる。
土壌が異常還元状態になって硫化水素等の有害物が生成され、土壌中の鉄やマンガ
ンと反応しれんこん表面に付着し、斑点状に褐変したり、すじ状、かすり状になった
ものを黒皮症と呼び、表面が凹凸したものをユズ肌症と呼んでいる。
対策
収穫後から定植まで
・石灰窒素の土壌処理や適当な土壌水分の保持(潅水と落水の繰り返し)、荒引き等
の励行により残さの分解を促進する。
・排水不良田では心土破砕処理等により水の縦浸透を促進する。
・未熟有機物を大量に施用しない。
生育中
・清浄な水の入れかえによる有害物質の除去と酸素補給。
・微生物資材の施用。
収穫時
・すじ掘りせずに早掘り、総堀りする。
・茎葉、くずれんこん等をほ場から持ち出す。
葉枯れ症(病原菌は現時点では不検出)
主な原因
発生原因についてはまだ十分に解明されていないが、路地栽培では5月下旬~6月上旬
頃に発生し、排水不良で比較的施肥量の多いほ場で発生が見られる。
対策
・適正施肥
・清浄な水の入れかえによる有害物質の除去と酸素補給。
・微生物資材の施用。
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黄変葉(病原菌は現時点では不検出)
主な原因
土壌のPHが高く、石灰含量が多いほ場で発生が多くみられる。
作型では露地栽培に比較して、ハウス栽培、トンネル栽培で発生しやすいようである。
対策
・適正施肥による好適PHの維持。
・微量要素資材等の施用。
(硫酸マグネシウムの施用で発生が軽減された事例あり。)
腐敗病(フザリウム属菌
(ピシウム属菌
発病適温27~30℃、最適PH7.2)
発病適温34℃、最適PH6.2)
主な原因
フザリウム属菌、ピシウム属菌によって発生する土壌病害である。
伝染源は土壌、被害残さであり、土壌伝染、水媒伝染する。
対策
・多発ほ場では、ロータス等の抵抗性品種を栽培する。
・2年堀りを行うと発病が少なくなる。また、7月~8月の盛夏期に太陽熱石灰窒素消
毒は効果大。(石灰窒素散布時等には周辺作物に十分注意する。)
・種れんこんは無発病田から健全なものを用いる。
・収穫後のくずれんこんや被害茎葉は集めて焼却あるいは処分する。
・植付け2~3カ月前に石灰窒素を10a当たり100kg~150kg施用し、耕起・代かきする。
・植付け後は常時湛水し、掘り取り時以外は冬期もなるべく長く湛水する。
特に夏期の落水は避ける。
・地上部が繁残するまでの間は深水又はかけ流し潅水を行い、地温の低下を図る。
・窒素の過用は発病を助長しやすいので、肥培管理に留意する。
褐斑病(コリネスポラ・カシイコーラ菌「発病適温25~28℃、多湿」)
主な原因
コリネスポラ・カシイコーラ菌(糸状薗/不完全菌類)によって発生する病害である。
伝染源は被害残さであり、風媒(分生胞子の飛散)伝染する。
対策
・病原菌は羅病茎葉で越冬するため、発病田では、葉柄を可能な限り年内に刈り取り
、畦畔などに残った羅病葉とともに焼却処分するか又は羅病茎葉に石灰窒素を施し
荒引きを行い湿田中や水中に埋没させ菌を死滅させる。
・ハウス栽培では4月上中旬頃から発生し始めるが高温多湿は発病を助長するので管
理に留意する
・路地栽培では6月上中句頃から発生し始めるが、発病のみられるハウス周辺部で発
病が多いので注意する。
・発生初期にトップジンM粉剤等の薬剤を散布する。
・れんこんが肥料ぎれで発病しやすいので適切な施肥を行う。
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