第1回フォーラム 「具合が悪くなったら」 —なっとくして医療を受けるために— 「医療グループあすか」は消費生活アドバイザーが中心となって、 医療の仕組みなど啓発を主に活動の主軸としています。 医療を受けるときにこれだけは知ってほしいと思うことを6冊の冊子 にまとめ、その冊子を使ってのフォーラムを開催しました。 今回は、「具合が悪くなったら」の冊子を使っての医療フォーラムです。 講演1 木村病院院長木村厚氏 木村先生の講演は、木村病院の理念である「みんなの元気のパートナー」から始まった。具合が悪くなった患者にとっ て信頼できる医療を受けるには、提供する医療職も元気で余裕がなければ医療の提供もできないということだ。次いで、 「患者さんと医療・介護従事者とが作るパートナーシップ」について説明された。そこには患者の権利や患者さんの役割な どが書かれており、きちんと必要な情報を伝え、自身の病状をより正確に理解し、自身で自己決定していくということが先 生から伝えられた。 木村先生は、分るまで何回も聞いてほしいことや自身が自分の病気について調べ、理解する ことはとても重要であると述べられた。医師として、病院長として患者に向き合う姿勢は、素晴 らしいものと参加者は理解したと感じる。「医療は医学の社会的適応である」という言葉が心 に印象付けられたことや医師とのパートナーシップを作ることの重要性を再認識したなどの感想が 参加者アンケートに寄せられた。 講演2 消費生活アドバイザー 坂本憲枝 具合が悪くなることは誰にでも起こり、多くの人はその都度医療機関を選んで受診している。診療所に行くべきか、病 院に行くべきかと判断し医療機関を選び、病状を具体的な言葉で伝えることの重要性が書かれ、医師の診断を聞き、 理解することを伝えている。さらに、突然、緊急性のある病状になったとき、救急医療の受け方やその仕組みなどを伝えて いる。救急医療は、あくまでも応急手当であり、診察時間内に受診を勧めている。 多くの人は病状が回復しているが、この冊子を上手に使い、医師との信頼関係を作ることを 勧めていると述べた。 さらに、多くの人がよりよい医療を受けたいと望むのであれば、医師との信頼関係の構築が望ましく、 自身から構築することを求めていかなくては信頼関係は結べないということについて伝えた。 グループディスカッション 4つのグループに分かれ、コーディネーター中心に講演1・2から感じたことなどを話し合った。時間としては、1時間も あっという間で、各グループから以下のような意見が出された。 グループ1 ① 患者側からみると医師は偉いという感じがしていたが、木村先生のような考え の方は、そうではないことを気づかせてくれた。 ②医療に関して様々な情報提供があるといいと思った。 グループ2 ①木村先生の真摯な取り組みを地域の人々は理解しているのかと思った。 ②患者側も相手に感謝を伝える一つの手法として御礼の手紙を書いてはどうか。 ③患者も自分の情報(手術歴・薬手帳・介護度など)を持っておくことが、メリットにつながるのではないか。 ④患者も医療側とのギャップを埋める努力をすべきである。 グループ3 ①患者は、お任せ医療に依存するのではなく、信頼を持ち、自己決定をしていかなくてはならない。 ②地域の人々を巻き込んで医療教育をしていく必要がある。 グループ4 ①自身が医療機関にかかるときは、自分の病状をメモして受診するの はいいと思う。 ②医療提供側の努力と患者側の努力の積み重ねがあってこそよりよい 医療が受けられる。 ③ITの情報等を得て自身の病状を理解するよう努めたい。 木村院長の講評 多くの人々のディスカッションを聞いて気が付いたことや学ぶことがあった。また、理念等の掲示ももっと大きな字で貼付し たいと思う。これらをホームページで伝え、自身が所属する病院団体で医療の社会教育を実施していきたい。 医療グループあすかの講評 多くの方の参加と充実したディスカッションで第1回のフォーラムを終えることが出来て 参加者に感謝致します。 次の第2回に向けて頑張って行きたい。 アンケート結果 アンケート回答者 16 名 参加者の概要 男性 8 女性 8 60 代 6 あすか関係者 8 50 代 8 無回答 8 40 代 2 計 本日参加した理由 年代 32 計 16 (複数回答) 0 1 2 3 4 5 6 7 自身の健康情報収集 6 家族・知人に役立つ情報収集 6 6 仕事に生かす 4 開催場所が木村病院のため 5 医療グループあすかの活動に興味 その他(理由の記載なし) 1 寄せられた意見 ●よくわからなかったことやさらに知りたいことはどのようなことですか? グループディスカッションで、小さいときからの教育が重要ではないか。豊島区では、がん教育を実施している。総合科目 がすべての公立小学校・中学校で実施すると病気に対する免疫力を付けるのではないか。 ホームドクターの選び方 権利を主張する患者の判断(意思)がプロ側から見て不適切であった時、プロとしての対応も詳しくお聞きしたかったで す。終末期、または、治療拒否の場合の対応等お聞きしたかったです。 ●市民フォーラムで参考になったこと・印象に残ったことを具体的にお聞かせください。 医療グループあすかについて発足からこれからに向けてを聞きたかった。 心と体については学校で子供たちに教える必要がある。死について、病気について子供たちが学べる環境が必要であ る。信頼関係が基本の文字情報だけでなくコミュニケーションが必要。 木村先生の「医療は医学の社会的適応」というお話。 健康データの事前登録のアイデア。コミュニケーションの成功度 を検証する仕組みが必要との指摘。本日はありがとうございました。 病院長の考えや今日の会を経て改善しようとしている姿が素晴らしいと思った。 都内のある区で学校教育でがん教育を導入されていると知った。荒川区で検討していただきたい。 グループディスカッションは5~6人の固定メンバーでまとまった時間議論するからいいかもしれないが、途中でフルーツバ スケットのようにメンバーの全とっかえしてもいいのでは。より多くの人と話せれば、より多くの視点に触れられると思う。 医師との信頼関係を築くためには、医療の仕組みや情報が重要で、ついお任せになってしまうけれど医師とのパートナ ーシップを築きあげていくことが重要だと感じました。 1.「具合が悪くなったら」がとても優れた資料であることがわかった。 2.受診をする前に気がかりな点をメモして、それを持参するのは有効であることが木村院長の反応で分った。 市民の方や医療者がお互いに対等の立場でお話をするのはとても良いと思いました。いただいたパンフレットがとてもい いと思います。今日は時間の都合で途中退席となってしまいましたが、また、機会があれば参加させていただきます。あ りがとうございました。 医療にかかる金銭負担の軽減は、必要なことだと思います。加算仕組みを患者側も知っていることに意義を感じまし た。 経験も知識も豊富な医師の方で、一般市民と同じ目線でのお話でしたが、もう少し焦点がはっきりとしたお話が 聞きたかったと思いました。 以 上
© Copyright 2024 Paperzz