技術紹介 計測関連 最新鋭デジタル航空カメラ DMCII230 の紹介 DMCII230 の特徴および運用について センサー技術部 中田 隆 司・大鋸 朋生 航空事業部 藤井 紀綱 はじめに アジア航測は 2004 年に当時の最新鋭デジタル航空カ メラ DMC (Digital Mapping Camera)を初めて導入し、 運用を開始しました。その後、新たに 2 台の DMC を導 入し、デジタル航空カメラ 3 台体制で空中写真撮影や空 中写真測量に対する幅広いニーズに応えてきました。そし て今年、新たに DMC の後継機として DMCII230 を導入 しました。図 1 は航空機に搭載した DMCII230 です。ア ジア航測は最新鋭の DMCII230 と十分な撮影実績のある DMC の 2 種類のデジタル航空カメラを用途に応じて使い 分けることで、これまで以上に幅広いニーズに対応できる より強力な撮影体制を構築しました。ここでは、最新鋭の デジタル航空カメラ DMCII230 について紹介します。 図1 航空機に搭載したDMCII230本体 DMCII230の特徴 DMCII230 は DMC よりも大判で正方形に近い CCD が 削減や納期の短縮化が期待できます。表 1 は DMCII230 採用されており、高解像度かつ広範囲で正方形に近い空中 と DMC の主なスペックを比較したものです。DMCII230 写真を取得できます。CCD の総画素数は DMCII230 が約 のスペックは以下の項目 (表 1 の番号に対応) が特に優れて 2 億 2 千万画素、DMC が約 1 億 6 百万画素です。図 2 は、 おり、DMC よりも空中写真の品質が向上しています。 同じ地上画素寸法で撮影した場合の DMCII230 と DMC ①総画素数:解像度の向上 の撮影範囲の比較です。同じ地上画素寸法の空中写真を取 ②パンシャープン比率:色調再現性の向上 得する場合、DMCII230 は DMC の約 2 倍の撮影範囲を ③ラジオメトリック解像度:陰影部などの判読性の向上 撮影でき DMC よりも撮影枚数が抑えられ、撮影コストの ④基線高度比:計測精度の向上 表1 DMCII230とDMCの主なスペックの比較 項目 パンクロマティック センサ 焦点距離 4個 4個 4個 画角 50.7°×46.6° 69.4°×42.0° ①総画素数 2.19 億画素 1.06 億画素 画素数 CCD 素子 ②パンシャープン比率 ③ラジオメトリック 解像度 ④基線高度比 (OL 率 60%) 図2 DMCII230とDMCの撮影範囲の比較 For the Future 2014 DMC 1個 マルチスペクトル センサ 最終 出力 空中 写真 DMCII230 15,552×14,144 5.6μm 92 ㎜ 13,824×7,680 12μm 120 ㎜ 1:2.6 1:4.8 14 ビット 12 ビット 0.34 0.31 DMCII230の空中写真例 DMCII230 と DMC を同じ対地高度から撮影した場 合、DMCII230 は DMC よりも高解像度の空中写真を取 得することが可能です。たとえば、それぞれのカメラの 対地高度を 500m に設定した場合、DMCII230 の地上 画素寸法は 3cm、 DMC は 5cm となります。したがって、 DMCII230 は DMC の約 1.67 倍の地上画素寸法で空中 計測関連 写真を取得できます。 図 3 は、対地高度 500m から撮影した地上画素寸法 3cm の DMCII230 の 空 中 写 真 で す。 ① 車 の サ イ ド ミ ラー、②自転車や集水マス、③道にしゃがむ人、④電 柱・電線などの形状を鮮明に把握することができます。 DMCII230 で撮影した高解像度の空中写真を活用するこ とで、従来の空中写真では解像度が足りずに判読できな かった細かな地物情報などを判読することができるため、 今後、新たな分野での空中写真の利活用が期待されます。 図3 地上画素寸法3cmのDMCII230画像 DMCII230とDMCそれぞれの特長を活かした運用 図 4 は、DMCII230 と DMC の特長を活かしたデジタ ル航空カメラの運用場面です。 ①山間地での運用 (図 4 上) DMCII230 は、DMC よりも高高度から高解像度の空 中写真を撮影することが可能です。このため、撮影高度 が最低安全高度 ※1 よりも低くなりにくく、標高差の大き い山間地でも大縮尺 (地図情報レベル 500 など)に対応し た撮影が可能です。日本の地形は山間地が多いため、こ れまで山間地での大縮尺撮影にお応えすることが難し かったお客様の要望にも十分に対応することができます。 ②雲の多い地域での運用 (図 4 下) DMCはDMCII230よりも低高度で撮影するため、高曇 りの下での撮影チャンスが多いカメラです。年間を通し て雲の多い地域や雲影の有無を問わない迅速性を求める 災害時などの撮影でDMCの特徴が活かされます。なお、 DMCII230の撮影高度をDMCと同じ高度まで下げた場合 DMCII230の撮影範囲はDMCよりも狭くなり、測線数お よび撮影枚数はDMCの約1.6倍に増加してしまいます。 図4 DMCII230とDMCそれぞれの特長を活かした運用 おわりに 最新鋭の DMCII230 を導入したことで、より優れた成 種類のデジタル航空カメラを、それぞれの特長を活かして 果品をお客様に届けられるようになりました。アジア航測 使い分けることで、お客様のニーズに合わせた最適な空間 では最新鋭の DMCII230 と数多くの実績がある DMC の 2 情報データの取得を行っていきます。 ※ 1 地上または水上の人または物件の安全および航空機の安全を考慮して定められた高度です(航空法第 81 条) 。 For the Future 2014
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