日本語指導が必要な児童生徒を 迎えるにあたって どの子どもたちも、かけがえのない存在です。 教職員のみなさん、 で、お願いし たっぷり」 愛、 ます! 「 も いつで 静岡市教育委員会学校教育課・静岡大学教育学部 1 学校体制は整っていますか? 当該児童生徒が入った学級の担任教員1人 の負担とならないようにするためです。 必ずその学級以外の教員が担当するようにしましょう。 学級担任 外国人児童生徒等担当 養護教諭 子ども 校長・教頭 外部支援員 (日本語訪問指導員・適応相談員 日本語指導ボランティア 等) 生徒指導主事(生徒指導主任) 1 事務職員 2 子どもや保護者をはじめて迎える日は? 国や言葉や文化は違っても、同じ地球の仲間です。 日本語・英語 ポルトガル語 中 国 語 Seja bem‑vindo 迎! フィリピノ語(英語) 迎! セジャベンビンド ホァン イン ホァン イン Muito prazer 初次 面 チョーツー ジエンミン ムイット プラゼール Boa tarde ボア タールヂ 好 ニイ ハオ クムスタカ Obrigado(a) オブリガード(ダ) シェ シェ �ポルトガル語のその他のあいさつは静岡県のホームページにくわしく載っています。 〔http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-140/bom_dia/index.htm〕 �学校長・外国人児童生徒等担当教員・学級担任・事務職員等、複数で面談しましょう。 �子どもや家庭についての情報をできる限り得ましょう。 「学校大すき!」P57、 58 の「初めて学校を訪問したときに・・・」 �学校側から伝えたいことも面談時に「学校大すき!」を使って知らせましょう。 (例) 「学校大すき!」P17~20 「学用品・服装」 �初日に書いてもらう書類について説明しましょう。 「学校大すき!」P54 「家庭・学校連絡カード」 ・P56 「緊急連絡カード」 �最初は通訳できる人に来てもらいましょう。まわりにその国の言葉がわかる人がいないか探してみましょう。 (学校関係者の知人、保護者の知人や勤務先の人、地域の人材等) �市教委学校教育課でも、ポルトガル語・フィリピノ語・中国語等のできる適応相談員を派遣しています。 「学校大すき!」P41 問い 合わせ先:学校教育課企画管理担当 2 TEL 054‑354‑2533 3 子どもが学級に入る日は? 「いつもあたたかく迎えているよ」 その子の国の言葉であいさつ(「こんにちは」など)をしてみましょう。 P2 �自分の座席 �ロッカーの場所 �くつを入れる場所 �トイレの場所 など 「ともだちになろう!」 初期・初級の児童生徒向け静岡市版教材「ともだちになろう!」は、楽し みながら日本語を学べるように構成されています。初日に緊張してい る子どもにこの冊子を渡し、 「いっしょにがんばろうね!」と声をかけて あげましょう。 3 4 ことばの指導を充実させましょう。 ○「ともだちになろう!」 「ともだちになろう!」は、学校の1 日の生活の各場面ごとに構成されています。各場面でよく使われることばを 中心に指導していきましょう。この冊子は先生やまわりの児童生徒といっしょにやりとりしながら使うと効果的 です。この教材の存在をクラス全員に知らせ、全員で活用できるようにしましょう。使い方については、先生方 やクラスの児童生徒たち全員で工夫するとよいでしょう。 ○日本語指導センターを活用しましょう。 静岡市教育委員会では、日本語指導が必要な児童生徒のために、 「日本語指導センター」を設置しています。 子どもの日本語習得状況等により以下の3つ の指導・相談を必要に応じて活用してください。 「学校大すき!」 P41 ・43 通級指導 訪問指導 適応相談 週に1~2回、日本語指導センター に通級し、日本語を学びます。 1回2時間授業。 対象:日本語のレベルが初期・ 初級の子ども。または、事 情により指導センターに 通級できない子ども。 ○学校生活のルールや生活に 必要な言葉を伝えたいとき 方法:1人 あたり10時間程度 の 指導を受けることができ ます。日本語指導員が学 校を訪問し、1時間 の取り 出し指導を行います。訪 問日時は学校と指導員が 相談して決めます。 ○保護者面談のときに保護者 へ通訳が必要なとき �葵区・駿河区の小学生 14 :00~ 森下小内センター �葵区・駿河区の中学生 13 :50~ 県教育会館内センター �清水区の小中学生 13 :50~ 清水有度第一小内センター ○日本での生活の悩み等を聞 き出したいとき 方法:母国語を話す相談員が学 校 を 訪 問します 。ポ ルト ガル語・スペイン語・フィ リピノ語・中国語・韓国語・ タイ語等に対応。 ※通級指導は学校の授業と同じ扱いとなります。 ※通級指導の小学生は原則として保護者の送り迎えが必要です。 ①まず、学校教育課日本語指導センター担当に電話連絡してください。 (TEL 054‑354‑2533 ※1 ) ※2 ②学校推薦書 と保護者の申請書 を学校教育課に送付してください。 ※1 は 学校教育課ホームページ「様式集」からダウンロードできます。 [http://www.gakkyo.shizuoka.ednet.jp/ ] ※2 は 同ホームページ「日本語指導センター」のページから各国語版をダウンロードできます。 注 意 日常の会話ができても、学習に必要な日本語が十分に身に付いていないことにより、学力が定着してい ないことがあります。継続的にことばの指導をしていきましょう。 (センターの活用等) 4 5 学級のほかの子どもたちへの指導は? 担任の先生から新しく仲間が増えた喜びを子どもたち に話してあげましょう。 P8~P10 「みんなが言葉のわからない国の学校に入ったとしたら?」 「どんな接し方をしてほしいだろう?」と投げかけて みましょう。 クラス全員で考えることが大切です。 文化的な「ちがい」や「対立」に気がついたら、それこそが学級指導の絶好の機会です。 問題が起きても、クラス全員でどうしたらいいかを考えていきましょう。 言葉がわからなくてもできるコミュニケーションの方法(あい さつ、身振り・手振り、絵を描く、辞書の活用、 「ともだちになろ う!」の活用など)をみんなで考えましょう。 子どもは遊びが一番のコミュニケーションです。一緒に遊ん で仲よくなりましょう。下のような遊びを紹介しましょう。 � � � � その国の言葉や文化をトピックとして取り上げて、 学級活動を行うのもよいでしょう。 意図的に仲良しさんをつくってあげるのも1つ の方法です。 いろいろ「ちがい」はあります。 基本は「みんな仲良し、みんなちがって、みんないい!」 です。 5 6 保護者の方への対応は? 〔「学校大すき!」を活用しましょう。〕 �保護者に日本の教育、学校の生活習慣などを説明する際は、保護者向け手引書「学校大すき!」 (ポルトガル 語・フィリピノ語・中国語・英語)を活用してください。 ※ページの左側(日本語)と右側(母国語)は同じ内容になっています。 「学校大すき!」 P1~48 �家庭から学校へ、学校から家庭への連絡には連絡カードを活用してください。 ※ページの上側(日本語)と下側(母国語)は同じ内容になっています。学校側であらかじめ数枚コピーを取っ て家庭に渡しておきましょう。 「学校大すき!」 P49~52 文化の違いにより、学校行事等が十分理解されていないケース がみられます。 「学校大すき!」 P52 「学校大すき」の内容例 6 7 学校の教職員の心構え その国の文化を理解するように努めましょう。 その国独特の文化や習慣もあります。 どうして保護者は子どもが休むという連絡をしてくれないのかな? (ブラジルなど) どうして水泳をやらないのかな? (中国・フィリピンなど) どうしてピアスをつけているのかな? (ブラジルなど) どうしてお化粧して学校に来るのかな? (ブラジルなど) どうしてお弁当を持ってこないのかな? (中国など) どうしてチームプレイの競技を嫌がるのかな? (フィリピンなど) どうして給食のときお茶碗を下に置いたまま食べるのかな? (中国など) 「あれ?」と思ったら、まずはこちら P8~P10 �諸外国の学校情報 外務省のホームページも参照してください。 〔http://www.mofa.go.jp/ MOFAJ/TOKO/ world_school/index.html〕 文化面のちがい等の原因による摩擦が起きないようチェックしてみましょう。 □ 児童生徒の母国の文化や習慣について調べましたか? □ 日本の文化や習慣にしたがうことを強要してはいませんか? □ 児童生徒や保護者とよく対話していますか? □ 相談しやすい雰囲気をつくっていますか? □ 児童生徒や保護者に情報を十分に与えていますか?説明は十分にしましたか? □ 日本語での会話ができるため、日本語指導が必要ないと判断していませんか? �「対話」をすることが大切です。 一方的な規則の押しつけなどにならないようにしましょう。 相手の話をよく聞きましょう。説明もたくさんしましょう。相手は情報を求めています。 �通訳のできる人(両方の立場、言い分を公正な目で見てくれる人)に連絡しましょう。 学校教育課でも、ポルトガル語・フィリピノ語・中国語等のできる適応相談員を派遣しています。 P 4 「学校大すき!」P41 7 8 参考資料 各国の教育事情・文化・習慣等 以下にあげる国別情報は、 「外務省HP (諸外国の学校情報)」、 「『空架ける虹』外国人児童生徒教育の手引(静岡県 クレア 教育委員会2002 )」、 「(財)自治体国際化協会(CLAIR )HP 」、および静岡市適応相談員からの聞き取り調査(2008 年実施)をもとに作成しました。同じ国でも地域等によって違いがあることが予想されます。あくまでも参考資料と してご活用ください。 フィリピン ○教育制度 6・4・4制(初等教育6年、中等教育4年、高等教育4年 ) ○ 義務教育 初等教育6年間(日本の小学校に該当) ○ 入学年齢 7歳か ら ○ 新学期は6月 から。 ○ 中等教育機関は、日本の中学と高校をあわせたような教育機関である。 ○学校での使用言語 国語、社会、保健、音楽などはフィリピノ語(タガログ語から派生してできた 言語)で、それ以外の授業は英語で行われる。 �学校は小学1~3年生 までは午前のみで、4~6年生 までは終日授業のある日がある。 �給食はない。昼休みに帰って昼食をとる。お菓子を持っていくこともあるが、授業中は食べない。 �入学式はあるが、保護者は参加しない。卒業式は3月 にあり、保護者も参加する。 �体育の授業はあるが、運動の種目は多くなく、特に持久走を大変に感じる。 �チームプレイが求められるスポーツに抵抗感がある子が多い。 �授業参観はないが、学校の教師との会合や家庭訪問はある。 �学校にはプールがなく、体育で水泳は行われない。 �音楽はあるが、歌が中心で楽器はほとんど扱われない。 �PTA の組織はあるが、日本ほど頻繁に学校とのやりとりがあるわけではない。 �高校進学での受験勉強はそれほど厳しくないが、進学について家庭の金銭的問題が影響する場合が 少なくない。 8 中 ○学校制度 国 6・3・3・4制 ○義務教育期間 ○ 学校年度 6~15歳 (小学1年生~初級中学3年生 ) 9月 1 日~7月 中旬 ○学校での使用言語 ○ 学期制 中国語 2学期制(1学期:9月 1 日~1月 中旬 2学期:2月 中旬~7月 中旬) ○ 就学年齢基準日 その年の8月 31 日までに満6歳 になる子どもは、その年の9月 1 日に義務教育の 第1学年 に入学する。 �給食はないところが多く、自宅で昼食をとる。そのため、昼休みが長い。 �冷たい食事をとる習慣がなく、日本のお弁当は「冷たい」ために抵抗がある。 �食事のとき、お茶碗を下に置いたまま食べることがある。 �服装は重ね着をする傾向があり、寒いときには年配者向けのような下着を着用するので、一斉に着替え をするときには恥ずかしく感じることがある。 �家庭科、体育の教科や道徳の授業はなく、音楽も歌のみのことが多い。 �水泳がないため、ほとんどの子どもが泳げない。 �行事は多くない。特に宿泊を伴う行事はない。授業参観もない。 �入学式や卒業式はあるが、ごく簡単なもので、保護者は出席しない。 �運動会は教師と子どもで行い、保護者が見に来ることは少ない。 �宿題が非常に多いため、日本の学校の宿題量が少なく感じられ、保護者が不安になることがある。 �PTA という組織はない。保護者は学校や教師を全面的に信頼しているため、教育に関することはすべて 学校に任せるという傾向が強い。 �高校まではわりと楽に進学できる。進学率も日本並であるが、大学受験は非常に厳しい。 �片付けや掃除が自分でできないなど自立していない子やわがままな子が増えている。 �勉強に対する考え方は、とにかく学力が第一。 �保護者は学校からの評価(通信表など)を非常に気にする傾向がある。 9 ブラジル ○ 学校制度 9・3・4制 ○学校年度 2月 中旬~12月 初旬 ○ 学期制 ○ 義務教育期間 6~14歳 (1~9学年 ) ○ 学校での使用言語 ポルトガル語 2学期制(1学期:2月 中旬~7月 初旬 2学期:8月 初旬~12月 初旬) ○就学年齢基準日 その年に満7歳(公立) ・6歳(私立)になる子どもは2月 中旬に入学 ○ 7~14歳 初等教育 15~17歳 中等教育 18歳~ 高等教育 ○ 学校は午前・午後・夜間の3部制 �プールのない学校が多く、水泳指導はほとんど行われていない。 �音楽や家庭科の授業がない。特にリコーダーを習うことはない。 �学級担任が家庭訪問を行ったり、家庭へ電話連絡をしたりすることはほとんどない。欠席の連絡を 保護者が学校にする習慣もない。 「家庭は家庭、学校は学校」という考え方。 �学校にはガムや菓子、ジュースを持って行ったり、校内にある売店で買ったりすることができるが、 授業中に食べることはない。 �中学校から公立高校へ進学する場合、簡単なテストを受けるが、ほとんど自動的に進学できる。 本格的な受験は、大学進学時になる。 �入学式はない。卒業式はあり、家族みんなで参加する。卒業式の後に盛大なパーティーが開かれる ことが多い。 �登下校の送り迎えは保護者の責任で行う。 �「クラブ活動」というものはなく、先輩・後輩の「上下関係」の習慣もない。 �遠足、運動会、修学旅行等の集団的学校行事はなく、教育活動としてとらえる習慣がない。 �女子のピアスは乳幼児期からの習慣である。 �思春期になると女子が化粧をするのは当然で、香水もよくつける。髪型も自由である。 �食事をするときに音を立てない(特に麺類はすすらない)。 �挨拶は、 (遠くても)相手を見たほうが先にする習慣があり、近づいてからする日本とは異なる。 また、ハグ(抱き合うこと)やキスも普通に行われる。 �時間にルーズというよりは、時間をあまり気にしない文化である。 �西欧的な個人主義で、他人から行動の制約を受けるのを嫌い、集団にはなかなか溶け込めない場合が多い。 �自己開示を積極的に行い、 「~したい」などはっきり意見を言う。 �家族の絆が非常に強い。子どもが外泊する習慣はなく、修学旅行などでは心配になる。 �常に「納得」を求め、 「どうして?」と質問し、 「規則だから」では納得できない場合が多い。 10 愛 っ 、た ぷ り 静岡市教育委員会 学校教育課企画管理担当 日本語指導担当 TEL 054 -354 -2533 FAX 054 -354 -2481 【学生ボランティア紹介】 静岡大学教育学部 日本語支援ボランティア団体(NPO ) ONES (ワンズ) 連絡方法:下記メールアドレスに学校名・担当先生のお名前および学校の電話番号を書いて送信して ください。折り返し担当者からご連絡します。 E‑mai:lones‑[email protected] 【外国人相談窓口】 静岡市国際交流協会 静岡本部 葵区追手町4 -16 清水支部 清水区旭町6 -8 CCC1階 TEL 054 清水区役所2階 TEL 054 -273 -5931 -354 -2009 参考URL 文部科学省 海外子女教育、帰国・外国人児童生徒教育等に関する総合ホームページ(CLARINET http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/main7_a2.htm ) 静岡県教育委員会発行 外国人児童生徒教育の手引『空架ける虹』 http://www2.pref.shizuoka.jp/all/file_download2100.nsf/pages/026B8A42A63724644925738000417857 東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター 『在日ブラジル人児童のための教材』 『在日フィリピン人児童のための教材』 http://www.tufs.ac.jp/blog/ts/g/cemmer/social_02.html マルチメディア『にほんごをまなぼう』Ver.1.1 制作:日本語指導教材研究会(平成10 ・11 ・12年度文部科学省委託 ) http://www.hellonavi.com/foldera/index.html 『日本語指導が必要な児童生徒を迎えるにあたって』作成・検討委員 監修長 静岡市立清水有度第一小学校 鎌田眞理子 副監修長 静岡市立大里西小学校 日 吉 弘 子 作成・検討委員 静岡市立新通小学校 静岡市立富士見小学校 静岡市立清水岡小学校 静岡市立清水第八中学校 事務局 静岡大学教育学部 矢 崎 満 夫・宇都宮裕章・菅 野 文 彦 静岡市日本語指導センター 菊池綾香 静岡市教育委員会学校教育課 小 林 文 人・大 石 純 詩 漆 畑 浩 明 朝 倉 友 子 中曽根一平 市 野 清 貴 静岡市立伝馬町小学校 塚 田 亘 静岡市立清水有度第一小学校 青 柳 彰 利 静岡市立清水和田島小学校 齋 藤 康 穂 〔所属は平成20年度 〕 本マニュアルは、学校教育課ホームページ「日本語指導センター」のページよりダウンロードできます。 〔http://www.gakkyo.shizuoka.ednet.jp/〕 2009年 (平成21年 )4月 発行 (再生紙を使用しています)
© Copyright 2024 Paperzz