発刊にあたって 現在、子どもたちを取りまく状況は、いじめ、不登校、非行、暴力等の問 題があとをたたず、体力・忍耐力の欠如、生活習慣病、サイバー犯罪等の問 題も顕在化してきています。この背景には、ゆとりのない生活、子どもたち の実体験不足、有害情報の氾濫、大人の規範意識の低下、教育力の低下等が あると考えられます。 こうした状況を改善するためにも、家庭・地域・学校の三者が、共通理解 を深めながら各々役割を果たしていくことが大切です。 海老名市教育委員会は、21世紀の教育理念を「ひびきあう教育」として おりますが、その柱は子どもたちが「自然との関わり、人との関わり」を通 して「生きる喜び」を実感できる教育にあります。 その具現化の一つとして今年度より「学びあい・思いやり・元気なえびな っ子プラン」を、市民総がかりで推進しているところです。 さて、家庭教育は、子どもの人格を形成していく上で最も基本となる教育で す。家庭は子どもが体験する初めての社会であり、家庭教育はすべての教育の 原点と考えています。基本的生活習慣、倫理観、自制心、自立心等の大半は家 庭教育によって培われます。 海老名市教育委員会では、子育てのヒントになるよう、幼稚園・小学校・中 学校の各ステ-ジで、家庭教育学級を開催しておりますが、こうした機会を通 して各家庭の中にも「ひびきあう教育」がより深く浸透し、根付いてくれるこ とを願っています。 本市の家庭教育学級は、昭和 41 年から開始された歴史のあるものです。当 時の内容は「家庭教育における子どものしつけ」 「からだの発達と栄養」 「地域 の役割り」等であり、現在の教育課題と一致するものであります。こうした課 題解決に向けた努力を各家庭に呼びかけ続ける本市の姿勢は今日まで受け継 がれています。 本資料は、過去 5 年間の家庭教育学級の抜粋ではありますが、保護者ばかり でなく、市民の皆様にとりまして、本書が家庭教育推進の手引きとして広く活 用されることを心から願っております。 海老名市教育委員会 教育長 沖原 次久 1.「子育ては親育て~家庭教育学級の記録より~」の作成にあたって (1)作成のねらい 海老名市教育委員会では、平成12年度より、海老名市の教育理念として 「ひびきあう教育」を掲げ、その具現化に向けて様々な施策を展開してきて います。家庭教育については、市内全幼稚園、全小中学校で家庭教育学級を 開催し、 「ひびきあう教育」の浸透を図ってきました。参加者からは、 「家庭 教育を進める上でたいへん役に立つ」と好評をいただいておりますが、参加 者数が限られており、全家庭にご理解いただくにはいたっていないのが現状 です。より多くの保護者に「ひびきあう教育」をご理解いただき、家庭教育 の中で実践していただくために、 「子育ては親育て~家庭教育学級の記録よ り~」を作成しました。 (2)作成の基本方針 ①最近の5ケ年分(平成17年度~平成21年度)の「家庭教育学級の記録」 をもとに作成する。 ②読みやすい表現にするために、「家庭教育学級の記録」に若干の加除修正 を加える。 ③本文の内容については、各講師の了解を得る。 ④第一部「元気を培う家庭教育」では心身の健康についての内容を、第二部 「思いやりを育む家庭教育」では人間関係についての内容を取り上げる。 ⑤本文のもとになる「家庭教育学級の講演」については、「出典」の欄を 設け、講師の当時の役職と名前・講演名・開催年度・開催場所を明示する。 ⑥記録や資料が不十分であるもの、あるいは実技や実習が主で文章化が 困難なものについては、掲載の対象としない。 ⑦平成22年度は、幼稚園、保育園、小学校、中学校の全保護者に配布する。 (3)本書の活用について ①日々の家庭教育の参考書として使っていただく。 ②学級懇談会、地域懇談会、家庭教育学級の打合せ、PTAの研修会や保護 者会等での資料として利用していただく。 2.「ひびきあう」ってどんなこと? 辞書によれば、 「たがいに振動しあい、共鳴すること」とあります。心の視 点から言えば、「互いの違いを認め合い、その奥にある共通のつながりや願い に気づくこと」と考えることができます。 「ひびきあう」とは、自らの内面に ひびくことであり、さらには自らをとりまく人や自然や社会と共鳴することで あります。自分を省みる力や他とコミュニケーションをとる能力が低下してい る今という時代、海老名市教育委員会では、子どもがさまざまな出会いを通し、 自他に対するかかわりを紡いでいってくれることを「ひびきあう」という言葉 に託しました。 3.家庭におけるひびきあう教育の進め方 「ひびきあう」ためには、結論や結果を急がないことです。家庭内の様々 な出来事を、職場の流れ作業や分業のように、合理的に割り切って対処しよ うとしないことです。 「つまり」 「だから」 「要するに」 「早く早く」等々の言 葉の裏には、結論や結果を出すことを優先させて、過程(プロセス)を省略 しようとするあせりが見られます。 「ひびきあう」ためには、過程(プロセス)を大切にすることです。 トラブルの原因や自分と相手との意見の違いをじっくり話し合うことによ って、相手の思いや考えにふれたり、自分の忘れていた過去や潜在意識に気 づいたりして、 「新たなかかわり」を紡ぎ出し、 「共通のつながり」を生み出 していくことです。 子どもの内なる声は、自分で自分を育てながら、そして親の成長を促 しながら、親から受け継いだ自分の「いのち」をまっとうすることを求めて います。子どもの甘えや反抗の裏に隠された自立への願いを的確に受け止め、 ふところの深い対応を心がけたいものです。 親の期待に従わせることよりも、子どもが自分で「選択・決断」した ことを高く評価し、自分の「選択・決断」に自信と責任を持たせること が肝要です。この積み重ねが、子どものこれからの長い人生を支える、 七転び八起きの底力になっていくのです。 子どもは、時に自信を失ったり、不安になったり、不満を抱いたりし ます。子どもの心にきちんと向き合い、一緒になって解決の道を探って いくと、子どもの問題点や親の問題点が浮かび上がってくる場合があります。 いじめ、不登校、非行、家庭内暴力等々の「子育て」のピンチ、それを「親 育て」のチャンスと考えてみてはどうでしょうか。 テレビの影響が心配であるならば、親自身がテレビを消して本を読め ば良いのです。親に対する反抗的な態度に悩んでいるのであれば、自分の 親・配偶者の親を大切にすればよいのです。子どもが暗く落ち込んでいるの であれば、親自身が夫婦仲良く明るくなるよう努めれば良いのです。「子は 親のかがみ」 子どもの言動の中に、親の現在の姿が映し出されています。 親の現在の姿に、問題解決の糸口が潜んでいます。糸口をていねいに解きほ ぐしていくことです。 「子育て」は「親育て」 子どもを育てるためには親が育たなければ なりません。そして親として育つということは、個人として、社会人として、 人間として、成熟していくこととまったく同じことなのです。 あのねママ ボクどうして生まれてきたか知ってる? ボクね ママに会いたくて生まれてきたんだよ これは、3歳の子が話しかけてきた言葉を母が書きとめた詩です。 ゆったりとした母のまなざしの中で、母と子の「新たなかかわり」が紡ぎ 出され、「共通のつながり」が生み出されていく様子が伝わってくるでは ありませんか。親と子が「気づき」を通して絆を確認し合い、お互いの成 長を促すこと、これが、家庭におけるひびきあう教育です。 4.「学び合い・思いやり・元気なえびなっ子」との関連 海老名市教育委員会では、 「ひびきあう教育」を具現化する方策として、3ケ年 計画で「学び合い・思いやり・元気なえびなっ子」プランに取り組んでいきます。 この取り組みは、学校、家庭、地域のそれぞれの場で行われることになりますが、 家庭において取り組む場合に最も大切なことは、子どもの「自尊感情」に留意し、 「自己肯定感」を高めていくことです。 「自尊感情」とは「自分を大切に思う感情」のこと、 「自己肯定感」とは「自分 は自分で良いんだ」 「自分の人生を大事にしていこう」という前向きの感覚のこと。 この「自尊感情」や「自己肯定感」は、「あなたがいることで私は幸せ」「生き.る ということはすてきなこと」 「かけがえのないあなたの人生を大切に生きて欲しい」 という周囲(特に親)からの日常的なメッセージによって紡ぎだされます。 視覚障がいのあるピアニスト、辻井伸行さんは世界的なレベルのピアノコンクー ルで優勝した時、 「目の見えないことで、いやな思いをしたことはありませんでし たか?」という記者の質問に、「うれしいことはいろいろあるけれど、いやなこと はありません」と答えていました。伸行さんを育ててこられたお父さん、お母さん、 周囲の人々の深い愛情を感じます。子どもが育つ環境の中で、自尊感情を養い自己 肯定感を培うことがいかに大切なことなのか、改めて考えさせられます。 目 第一部 次 元気を培う家庭教育 1.食育は「生きる力」の基礎・基本 8 2.早寝、早起き、朝ごはん 10 3.体験意欲を育む親のかかわり方 14 4.さあどうしよう、子どものけが・病気 16 5.犯罪から子どもを守る 20 6.TVゲーム・携帯・パソコン 22 第二部 思いやりを育む家庭教育 1.心の扉を開いてみよう 28 2.子どものモノサシ、大人のモノサシ 32 3.親と子のコミュニケーション 34 4.子育ては親育て 36 5.思春期の子どもとどう向き合うか 38 6.障がいについて考える 40 7.最近の子ども達の事件を通して 44 8.感性を育む 48 参考 相談窓口案内 食育は「生きる力」の基礎・基本 食育って何? (各講師の講演記録共通) (1)生きる上での基本であり、知育・徳育・体育の基礎となるべきもの。 (2)様々な体験を通じて、 「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、 健全な食生活を実践することができる人間を育てること。 何で今、 「食育」が強調されているの? (各講師の講演記録共通) (1)食を大切にする心が失われている。 *4つの「こしょく」・・・一人で食べる孤食、 個々ばらばらの個食 かたよりのある固食、濃い目の味付け濃食 (2)栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加 (3)肥満や生活習慣病の増加 (4)過度の痩身(そうしん)志向 (5)「食」の安全上の問題・・・遺伝子組み換え食品・農薬汚染・食品偽装等 (6)「食」の海外への依存・・・食料自給率のいちじるしい低下 (7)伝統ある食文化の喪失 家族そろって一緒に夕食をとる割合 不 詳 毎 日 4 日以上 2~3 日 1 日だけ ほとんどない 昭和 51 年 35.5% 21.8% 24.2% 11.3% 6.2% 1.0% 平成 13 年 31.6% 17.1% 31.2% 10.9% 7.3% 1.9% 平成 16 年 25.9% 19.1% 36.3% 10.6% 7.0% 1.2% (昭和51年のデータは山中先生の講演資料より、 平成13年・16年のデータは厚生労働省ホームページより) 家庭で行う食育で大切なことは? (各講師の講演記録共通) (1)夜早く寝かせ、朝早く起こす。そしてきちんと朝ごはんを食べさせる。 (2)家族一緒のものを食べる。・・・同じ味を味わいコミュニケーションをとる。 (3)親と一緒に買い物をして旬を知ったり料理を作ったりする。 (4)子どもの食べたがるものばかり出すのではなく、栄養バランスを重視した メニューを考える。 (5)できる限り自然の味を大切にして、化学調味料は控える。地場産物を利用する。 ワンポイントアドバイス (1)学校栄養士 山中邦子先生の講演記録より 「学校給食での食育は地場産の野菜を取り入れたり、学校訪問をして栄養指導 をしたり、料理コンテストを企画したり、給食便りを発行したりしている」 「キャベツ一つでも、実際手にとって持たせ見させるだけでも食育になる」 (2)学校栄養技師 鈴木康二観先生の講演記録より 「マゴワヤサシイ」は、意識して普段の食材に取り入れていってほしい。 「マ」=豆類、「ゴ」=ゴマ、「ワ」=ワカメ(海藻類)、「ヤ」=野菜、 「サ」=魚、「シ」=椎茸(きのこ類)、「イ」=芋類 (3)料理研究家 堀江ひろ子先生の講演記録より 「安価な食材・惣菜・冷凍食品より、安全・安心な物を選ぶ目を持つ必要があ る。添加物等についても、バッケージの裏を見てチェックする」 「テレビを見ながら食事をすると、会話がなくなり、食事に集中することもで きなくなるため、食べているものや、その味さえも分からなくなる」 「家族が元気で、家族全員で食卓を囲めるということは幸せである」 「子どもの好き嫌いをなくすためには、①食べなさいと強要しない②周りがお いしそうに食べる③子どもに空腹感を味合わせる④食事づくりを手伝わせ る⑤プランターなどで野菜を育てて観察させる⑥心を込めて料理する」 「おいしく食べてもらいたいと言う気持に欠ける と良いものができない。“同じ釜の飯を食う” とは良く言ったものです」 「食育は親が毎日の食生活の中で見せるもの。 準備から片付けまですべてが食育である。 心をこめて料理をすることが、食育に なっている」 「お弁当の内容は夕食と同じ位大事です」 「いろどりの良いお弁当は栄養バランスも よい。(赤+黄+緑)+(黒+茶)」 出典 山中邦子「イキイキとした頑張れる子を育てるには? ~今すぐできる食育を考える~」 (19年度杉久保小学校) 鈴木康二観「考えよう、子ども達の食を」 (19年度門沢橋小学校) 堀江ひろ子「心と体の健康は食から」 (17年度東柏ケ谷小学校) 「愛ある食卓」 (18年度海老名幼稚園) 「子どもの食を考える」 (21年度杉本小学校) 「バランスのよいお弁当づくり」 (21年度今泉中学校) 早寝、早起き、朝ごはん ~基本的生活習慣を見直そう~ 早寝、早起き、朝ごはん、テレビを止めて外遊び (東海大学体育学部教授・医学博士 小澤治夫先生の講演記録より) (1)朝食抜きは体温も学力も体力も低い。 (2)深く十分な睡眠が朝の食欲を増す。 (3)朝食の品数が多いほど学習成績がよい。 (4)家族そろって食事をする方が学習成績がよい。 (5)三間(サンマ・・・広々とした空間、じゃれあう仲間、遊ぶ時間)の減少や 子どもの歩数の減少、携帯電話の利用やテレビゲームの拡大も体力低下の大 きな原因となっている。 海老名の子、朝食を食べていますか? 1 2 3 4 回 答 している どちらかといえば、している あまりしていない 全くしていない 小6年 90.0% 6.0% 3.0% 1.0% 中3年 78.0% 12.0% 7.0% 3.0% (平成21年度全国学力・学習状況調査より) 海老名の子、普段(月~金)一日あたりどれくらいの時間、テレビやビデオ・ DVDを見たり聞いたりしますか? 1 2 3 4 5 6 回 答 4時間以上 3時間以上・4時間未満 2時間以上・3時間未満 1時間以上・2時間未満 1時間未満 全く見たり、聞いたりしない 小6年 29.0% 21.0% 22.0% 20.0% 7.0% 1.0% 中3年 20.0% 21.0% 25.0% 23.0% 10.0% 1.0% (平成21年度全国学力・学習状況調査より) 全国の児童生徒の基本的生活習慣と学力テストの成績 (21年度全国学力・学習状況調査より) ◎朝食を毎日食べる児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる (注:国は国語、算は算数、数は数学、Aは基礎問題、Bは応用問題) 全く どちらかとい あまり している 小 6 年国A 小 6 年国B 小 6 年算A 小 6 年算B 中 3 年国A 中 3 年国B 中 3 年数A 中 3 年数B 71.3% 52.0% 80.0% 56.3% 79.1% 77.1% 65.8% 60.1% えば、している していない していない 63.1% 43.2% 72.4% 47.5% 72.5% 68.7% 55.5% 49.3% 57.3% 37.5% 66.8% 41.8% 67.5% 62.1% 49.5% 42.9% 53.2% 34.2% 63.2% 38.7% 65.0% 58.2% 46.8% 40.3% ◎テレビゲームをする時間が短い児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる 4時間以上 2時間以上 1時間以上 1時間より 4h より少ない 3h より少ない 2h より少ない 少ない 62.4% 42.8% 72.9% 47.6% 70.9% 66.5% 54.9% 48.6% 65.8% 46.3% 76.0% 51.1% 74.0% 70.7% 59.1% 53.1% 全くしない 70.1% 73.2% 73.3% 小 6 年国B 50.7% 53.9% 54.2% 小 6 年算A 79.4% 81.1% 80.7% 小 6 年算B 55.3% 57.9% 57.5% 中 3 年国A 77.1% 79.4% 80.1% 中 3 年国B 74.8% 77.6% 78.2% 中 3 年数A 64.1% 66.5% 65.5% 中 3 年数 B 58.3% 61.0% 59.8% (注:4hは 4 時間の意味です) ◎家の人と学校での出来事について話をしている児童生徒の方が、 正答率が高い傾向が見られる 全く あまり している どちらかといえ 小 6 年国A 小 6 年国A 小 6 年国B 小 6 年算A 小 6 年算B 中 3 年国A 中 3 年国B 中 3 年数A 中 3 年数 B 58.0% 38.2% 69.0% 43.5% 66.9% 60.7% 49.4% 42.9% 3 時間以上 73.1% 53.9% 80.3% 57.1% 80.4% 78.8% 65.8%. 60.5% ば、している していない していない 70.8% 51.5% 79.7% 56.1% 79.2% 77.4% 65.1% 59.8% 67.2% 47.7% 77.7% 53.2% 76.3% 73.7% 62.8% 56.8% 60.1% 39.7% 71.5% 45.2% 69.8% 64.5% 55.9% 48.6% 基本的生活習慣は発達段階を踏まえて (目白大学大学院心理学研究科教授 谷田貝公昭先生の講演記録より) 乳児期 スキンシップを通し、お母さんとのよい関係をつくる。 おんぶは肌のふれあいもあり、母親との目線も同じで とてもよい。ベビーカーはスキンシップがなく目線も 母親と違う。また、いざという時守れない。 幼児期 基本的生活習慣をしっかり教える。ほめて認めて、その後叱る。 (1)食事習慣・・・箸の持ち方 (2)睡眠時間・・・遅寝遅起きから早寝早起きへ戻す。急に戻すのは難し いが、早寝だけ、早起きだけだと片方だけがんばれば両方 できるようになる。親のぺースで動くのではなく、子ども のぺースで動く。 (3)排泄習慣・・・朝、排便する習慣をつける。 (4)着脱衣習慣・・小学校までに結ぶ習慣を身につける。 (片結び、ちょう結び) 徐々にかぶりものではなく、ボタン のあるものを着せるようにする。 (5)清潔習慣・・・顔を洗う習慣を身につけさせる。 洗う時、両手をおわん型にするこ とができるように。 児童期 対先生、対友達の関係が強くなる。 本来、親子関係はうまくいくが、 学業成績を期待し過ぎるとごたごた する。 青年期 お母さんと子どもの関係は、人生の中で最悪。 上辺でつっぱるが、根っこで親にしがみつい ている。親も言うべきことをしっかり言うこ とが大切。青年期が過ぎればいい時期がまた 来る。 ワンポイントアドバイス (1)谷田貝公昭先生の講演記録より 「親は子どもに口で言う前に、自分の生き方をふりかえってみることが肝要。 そうすれば、冷静な判断ができ、素直な気持ちで話せる」 (2)小澤治夫先生の講演記録より 「人生を変えるのは大変なことです。行なうべきは習慣を変えることです。習 慣が変われば行動が変わり、態度が変わり、そして人生が変わってきます。 生活習慣のすべてを変えるのは大変なことですから、まず『朝食』から始め ましょう。朝食を食べれば排便があり、体温も上昇して体調も良好、学校で も集中して勉強、力を出し切れるから心地よい疲れ、おいしい夕食、入浴し て夜は熟睡、朝は目覚めスッキリと風車のように次々と回り始めます。まず は小さいことから始めましょう」 おいしい 食事 心地のよい 疲労 風呂に入って 気分すっきり 深く 十分な睡眠 力を出し切る 学習・ 目覚めすっきり 授業・ 部活動 ウンチも出て 体調良好 意識高い 出典 朝食 谷田貝公昭「幼児期で大切なことは」 (18年度海老名みなみ幼稚園) 「子どものサインが見えますか」 (19年度大谷小学校) 小澤治夫「早寝、早起き、朝ごはん、テレビを止めて外遊び」 (21年度大谷小学校) 体験意欲を育む親のかかわり方 野外活動を通して見た現代の子ども (富士ふれあいの森所長 岡本研先生の講演記録より) 野外活動とは、日常と異なる身体的・心理的リスクを伴う一種の極限状態。 そこから見えてくるのは、現代っ子の自然に対する不適合な実態である。例えば ➀炎を熱いと知らない ②マッチがすれない ③まきで火がおこせない ④木 に登れない ⑤屋根のないところで眠れない ⑥人とのつきあいが下手。 原因としては、便利すぎる生活環境、家庭でのお手伝いの体験の不足、子ども 同士で遊ぶ機会の減少、自然の中で過ごす体験の減少、隣人意識の希薄化などが あげられるが、これらは、今の親についても言えるのではないでしょうか。 自ら進んで体験する子どもに育てるには (岡本研先生の講演記録より) (1) 「家庭は、子どもの体験学習の出発点」であることを自覚する。お風呂、料 理、掃除、片付け、等々。親が余裕を持って、一人の人間として子どもに接し、 子どもが自ら考えて答えを出すのを待つ。子どもが「自ら体験したい」「自ら 体験した」と感じるようにさせることである。 (2)親自身が「体験」を楽しみ、「子どもと一緒であること」を楽しむ。 (3)子育ては、親にとっての体験学習になっていることを自覚する。子どもの体 験不足はすなわち親の体験不足であり、余裕不足である。子どもに「体験させ る」のではなく、子どもと共に「体験する」のであり、 親自身が今、子どもに何が必要なのかを見極め る力を磨く。それこそが、親の「子育て力」 アップの方法であり、親子の相互コミュニ ケーション能力を培う方法であり、子ど もの「生きる力」を育む方法である。 ワンポイントアドバイス (1)岡本研先生の講演記録より(受講者の感想) 「子どもは本来『やる気』を持っている。それを親の都合(忙しい、面倒)で 摘まないこと。 『やりたい』ことを体験させてあげる余裕が必要。 『できない』 と決めつけない。口を出さずに見守る。最後まで任せきる。『お手伝い』は 家庭の中での存在意義を見出させることになる」 出典 岡本 研 「子どもの体験活動・体験意欲を育む親のかかわり方」 (20年度さくらい幼稚園) さあどうしよう、 子どものけが・病気 子どもの主治医はお母さん(塩塚小児科医院院長 塩塚瑛子先生の講演記録より) (1)子どもの健康の基礎は、お母さんの無条件の愛情。心が平和であれば病気に なりにくい。同じ薬でも、笑顔であげると効き目が違う。家族間の良い連鎖が 次の良い連鎖を生む。最終的に子どもを守れるのは親。 (2)卵(卵白) 、小麦、大豆、牛乳、これを4大フードアレルギーと言う。アレ ルギーの心配がある場合は、3歳位までは使わないように気をつける。 (3)汚れ、ほこりに気をつけて、しっかりスキンケアーをする。衣服は木綿がよ い。 (4)インフルエンザは、ワクチンを打っておくと、6~7割の効き目があり、合 併症を防ぐことができる。 子どもの免疫力を高める生活習慣~アトピーからO-157まで~ (人間総合大学教授・東京医科歯科大学名誉教授 藤田紘一郎先生の講演記録より) (1)免疫が強ければ、病気にならない。子どもにはできるだけ外遊びをさせて、 いろいろなばい菌と付き合わせることが大切である。 (2)アトピー、ぜんそく、花粉症がなぜ増えてきたか。昔人間の体の中に住んで いた回虫を退治したり、抗菌グッズや超清潔志向により、体に必要な微生物ま で排除してしまったことが原因である。皮ふ常在菌が皮ふの上皮に油をはって 皮ふを守っているのだが、必要以上に洗ってしまうことにより、皮ふ常在菌が 死んでしまい、乾燥などの肌トラブルを起こしている。現代の日本人は洗いす ぎ。洗ったら汚くなるのです。 (3)腸内細菌は、抗生物質の使いすぎなどで少なくなっている。新しく生まれた 大腸菌の一つがO-157。O-157は発展途上国にはない非常に弱い菌。 (4)心の状態で免疫力が変わる。ストレスがかかったり、悪いことばかり考えて いると免疫力が下がる。笑うことでNK細胞が増えて自己免疫力が高まる。 免疫力の70%は腸内細胞、30%は心のあり方で決まる。 家庭でできる応急手当 (1)出血 ・出血の種類 (海老名市消防署職員の講演記録より) 毛細血管からの出血 静脈からの出血 動脈からの出血 にじみ出てくる だらだら出てくる ビュービューと噴出してくる ・止血するには きれいなガーゼやハンカチなどを傷口に当て、手で圧 迫する。感染防止の為血液に直接ふれないようにする。 そのために、① 炊事用のビニール手袋をするか ② コンビニのレジ袋を 2 枚重ねる、などの工夫 をするとよいでしょう。 (2)ひきつけ ・あわててゆさぶったり、口の中に何かを入れたりせずに、衣服を緩めて呼吸 をしやすくしてあげます。もし舌をかんだとしても、命に別状はありません。 ・吐いたりしたら、直ぐに体を横に向けてぬぐってあげます。 ・発作がおさまったら、必ず熱を測っておいて診察を受ける時に伝えます。 (3)発熱 ・なんだか熱っぽいなと感じたら、熱を測ってみます。熱が高くても、きげん がよくて、水分が十分にとれていれば、あ わてる必要はありません。 ・子どもの発熱のほとんどは感染症(風邪)に よるものです。風邪における発熱は、風邪の ウィルスが悪さをして熱を出させているの ではなく、ウィルスをやっつけようとして体 が熱を出しているのです。熱を出すことで体 の免疫の力を発揮できるのです。 (4)やけど ・やけどの種類 Ⅰ度 Ⅱ度 Ⅲ度 やけどした表面の皮膚が赤くはれひりひり痛みます。 水ぶくれができて赤くはれ、強い痛みを伴います。 表面皮膚がケロイド状で硬くなり、傷は皮下組織にま で達します。痛みはほとんどありません。 ・やけどの手当ては、まず患部を水で冷やす ことです。冷やす時間は10~15分くら いを目安に、3分間冷やしたら1分休むと いうように間欠的に冷やします。全身を冷 たい水に浸してはいけません。また、熱傷 部位に直接触れたり、軟膏を塗ったり、水 泡を破ったりしてはいけません。 (5)頭部外傷 ・転んだり、階段から落ちて頭を打ったとき、こぶができたり傷口から出血し ていても、意識がはっきりしている場合は、それほど心配することが無いの が一般的です。しかし、一時的でも意識が無くなったり、頭痛、めまい、は き気、嘔吐などを訴えたり、けいれんを起こしたり、耳や鼻から出血してい る場合は危険です。小さい子どもの場合、このような訴えがなくてもぼーっ としていたり、視線があわなかったり、何かいつもと違うと感じたら病院で 診察を受けましょう。 小児救急医療体制 一次診療(軽症の場合) 座間・綾瀬・海老名小児救急医療センター 平日夜間 休日昼間 土曜・休日夜間 046-255-9933 二次診療(重症の場合) 海老名総合病院と相模台病院等の輪番制 *小児救急案内テレホンサービス 046-231-4402 *119番のかけ方 (1)火事なのか救急なのかを伝える。 (2)場所を伝える。(ところ番地、大きな目標) (3)どうしたのか伝える。 (4)名前と電話番号を伝える。 むし歯予防(みどりの森デンタルクリニック院長 (1)規則正しい食生活をする (飴やジュース、清涼飲料水などは要注意) (2)適切な歯磨きをする。 (3)定期的に歯科医院を利用して、 バイオフィルムを除去する。 (4)子どもばかりでなく、家族みんなで 感染経路を封鎖する。(口移しは厳禁) 須藤真行先生の講演記録より) ワンポイントアドバイス (1)塩塚瑛子先生の講演記録より 「子どもを育てるということは、自分を産んでくれた親に対する感謝になる」 (2)藤田紘一郎先生の講演記録より (受講者の感想) 「外遊びや汚れることが子どもの免疫力を高めると知り、おどろきました。 落ちた物を食べても、少々汚くても、大目に見て、親がおおらかな気持ちで 接していこうと思いました」 「ストレスが免疫を下げると聞き、子どもを叱り過ぎないように(特に食事 時)しようと思いました。自分自身もストレスをためすぎないように生活し ようと思います。家族のためにも、NK細胞のためにも、できるだけ笑顔で いようと思います」 (3)海老名市消防署職員の講演記録より(受講者の感想) 「三角布を使用した止血法やAEDの使用方法は、目の前で実践していただけ たので、いざと言うときに役立つ有意義な内容でした。けがや事故は起きな いにこしたことはないのですが、実際に起こってしまった場合に、応急手当 の知識があれば、人の命を助けることもできるんだという自信をつけること ができたように感じます」 (4)須藤真行先生の講演記録より 「歯磨きのポイントは、乾いた歯ブラシに半分を目安に歯磨き粉をつけ、泡を 出さずに磨くこと。歯磨き後、2時間は飲食を避ける。子どもの場合は、初 めは子どもに磨かせ、親が仕上げ磨きをするとよい。」 × 出典 ○ 塩塚瑛子 「子どもの主治医はお母さん」 (18年度有鹿小学校) 藤田紘一郎 「子どもの免疫力を高める生活習慣~アトピーから O―157まで~」 (21年度海老名みなみ幼稚園) 須藤真行 「ズバリ言います むし歯予防!~むし歯の悩み解決します~」 (18年度さくらい幼稚園) 海老名市消防署職員 「家庭で出来る応急手当」 (19年度有鹿幼稚園) 犯罪から子どもを守る 自分で自分の権利を守れるようにすることが基本 (CAP凸凹の講演記録より) 権利とは、生きていくために必要で、誰にも取り上げられてはならないもの。 CAPによれば、 【安心】、【自信】、【自由】の三つの権利が重要。その権利を守 るための【いや】 、【逃げる】 、【相談する】ことを、参加型の学習方法で伝える。 「自分の権利」を大切にしていこうとする気持ちと技術を学ぶことによって、暴 力から自分で自分の身を守れるようになる。 (*CAPとは、Child、Assault、Prevention の頭文 字をとったもので、子どもたちが、いじめ・誘拐・虐待などのさまざまな暴 力から身を守るための教育プログラム) 犯罪から子どもを守るための子どもとの約束 (くらし安全指導員 西野学先生の講演記録より) (1)一人にならない。 (2)親の許可なしに知らない人についていかない。 (3)出かけるときは家族に連絡する。 (誰とどこで遊ぶか、何時頃帰ってくるか) (4)危険なところには近づかない (5)知らない人に声をかけられたら、 間合い(お互いに片手を伸ばした位の距離) をとって応対する。 (6)こわい時は大声で助けを求める。 (7)つかまってしまったら、すねを 蹴り上げたり、ひじ鉄を食らわ せたりして逃げる。大人の人に 助けを求めたり、子ども 110 番 の家に逃げ込んだりする。 (8)危険な目にあったら必ず大人に話 す。(よく話せる親子関係が必要) (9)持ち物に名前をつける時、人の目に つきやすいところにつけない。 (10) 不審者と思われる人を見かけたら、 近くの大人に知らせたり、その場から 立ち去り、人の多いところへ移動する。 最近の犯罪への対策 (西野学先生の講演記録より) (1)車の中から話しかけられたら、ドアミラー付近に立って話すとよい。 (2)来訪者に対しては、直ぐに玄関のドアを開けずチェーンをかけて対応する。 (3)エレベーターで自分が一人だけの時、不審者が入ってきたら降りる。 (3)エレベーター内ではスイッチのある右の隅に立ち、出入り口の方へ顔を 向ける。 (4)危険な場所について、日ごろからチェックするように心がける。 ワンポイントアドバイス (1)CAP凸凹(山本真理、田中裕子、山口かほり先生)の講演記録より 「犯罪を受けた子どもから相談されたら、【黙って】、【関心を持って】、【注目 して】聴く。よく話してくれたね、あなたの話を信じるよ、あなたが悪いん じゃない、と子どもを安心させることが大切。また、地域の大人が、子ども の権利を学び、気持ちを受け止めてあげることも大事である」 (2)西野学先生の講演記録より 「家庭において、危険を感じる心を培っていく 必要がある。同時に、防犯パトロール隊等に 対する感謝の気持ち、正しい言葉遣い、思い やりの心を育てていくことも大切である」 出典 CAP凸凹「子どもの人権~子どもが自分で自分の身を守るために~」 (20年度海老名小学校) 「わが子を守る」 (20年度海老名中学校) 西野 学「子どもを犯罪から守るために」 (18年度大谷小学校) (18年度社家小学校) (18年度東柏ケ谷小学校) TVゲーム・携帯・パソコン (TVゲーム・携帯・パソコン等の仮想世界)の光と影 (海老名市社会教育指導員 小林次男先生の講演記録より) 電子機器の発達により、視覚や 聴覚に対する心地よい刺激に浸っ たり、大量の情報を入手したり、 未知の世界をリアルに想像したり、 知人 とコミュニケーションを取っ たりすることが、いつでもどこでも 簡単にできるようになりました。 このことは、「ひびきあう教育」の観点から 見ると、必ずしも好ましいことではありません。 大人とは違って、子どもの脳は五感や身体感覚を総動員しながら、現実世界を認 識し、人間とのコミュニケーションを学ぶようにプログラムされているからです。 仮想世界に長時間浸かっていると、子どもは現実世界よりも仮想世界に愛着を 覚えるようになります。すると、現実世界がつまらないもの、憂うつなものに見 えてきます。そしてついには、 「ひびきあう」ことが面倒になってしまうのです。 「ひびきあう教育」では、五感や身体感覚を通して自然や人と直接的に関わる ことを重視します。汗をかき涙を流してこそ、他人の痛みを知り、沈黙や孤独に 耐えることの大切さを知り、現実を深く正しく理解できるようになると考えます。 恐ろしいことに仮想世界では、モラルや倫理 観という歯止めがありません。何でもありなの です。「佐世保小学校6年生女児同級生殺害事 件」にしても「秋葉原無差別殺傷事件」にして も、仮想世界が現実世界を飲み込んでしまった と考えることができるのではないでしょうか。 今や、仮想世界を避けて生きていくことはで きません。仮想世界に飲み込まれるのではなく、 仮想世界の歩き方を身につけさせる、という強 い意志と覚悟で、私達は臨む必要があると思い ます。 ケータイメールの落とし穴 (神奈川県警察本部生活安全部生活安全総務課サイ バー犯罪対策センター 情報セキュリティ・アドバイザー 須藤勝先生の講演記録より) (1)電子メールが犯罪の原因となることがあります。 *友だちを中傷するメールを匿名で何百回も送 りつける。(名誉毀損罪、侮辱罪) *「○○中学校に爆弾を仕掛けます」などと書 かれたメールを送信する。(威力業務妨害) (2)チェーンメール(注:電子メール版「不幸の手紙」)が 届いたら *チェーンメールの内容は、まったく根拠のないものばかりなので、自分で止め る勇気を持たせる。 *絶対他人には転送させない。 (参考)財団法人日本データ通信協会の迷惑メール相談センターが、携帯電話 のチェーンメールの転送先メールアドレスを用意しています。 迷惑メール相談センター TEL03-5974-0068(10 時から 17 時) 土日・祝日・年末年始を除く ケータイ専用転送先 ◎それでも 不安な時は? 迷惑メール相談センターのチェーンメール転送先アドレスへ送ってください。 転送されたメールは、転送先アドレスを削除し、文章などの内容を調査・対策 のため保存します。転送いただく際、受信者の都道府県(例“東京都”)を追加 してください。 au [email protected] [email protected] [email protected] docomo [email protected] [email protected] [email protected] [email protected] [email protected] Softbank [email protected] [email protected] (3)ワンクリック料金請求(不当請求)画面が表示されたら *こわがらず、落ち着いて、冷静に。 *きちんと確認するまではお金を払わない。一度払ってしまうと更に請求される 場合があります。 *しつこく請求される恐れがあるので、 電話やメール等で返信しない。 *念のため請求画面やメール等は保管しておく。 もよりの消費者生活センターに相談しましょう 海老名市消費者生活センター(海老名市役所内) TEL 046-292-1000 ケータイ使用7つのルール (須藤勝先生の講演記録より) (1)自宅では居間を使う。 (2)食事中や懇談中、深夜は使用しない。 (3)一定の金額以上は使わない。 (4)学校での使用については学校のルールに従う。 (5)他人を傷つけるような使い方をしない。 (6)送信者不明や知らない人からのメールが来た 場合には、速やかに親に報告する。 (7)ルール違反やケータイの使用によって生活に 支障が生じている場合には、ケータイの利用 を停止する。 親子の会話のヒント (須藤勝先生の講演記録より) (1)ご家庭によって子どもとの関係には差異があ りますので、一律的な対策は存在しません。 (2)まずは、自分が興味を持っていることをお子 さんにはっきり伝え、この話題で会話するこ とを心がけましょう。お子さんも聞いてほし いのかもしれません。 (3)唐突に、悪いことをしていないか詮索したり、 利用を禁止したりしては、子どもは隠れて利 用するようになってしまいますので、避けま しょう。 (4)会話の過程で、普段お子さんが利用しているサイトを少しずつ把握・理解 していきましょう。実際に利用しているサービスについて尋ねてみてくだ さい。可能であれば、操作しているところを一緒に見せてもらいましょう。 隠そうとするなど、お子さんの反応に注意しましょう。 (5)ある程度お子さんとの会話が弾んできたら、やり取りの相手を教えてもら いましょう。誰とどんなやりとりがあるのかを尋ね、可能であれば内容を 見せてもらいましょう。その際には、顔を知らない相手のやり取りがある かどうかを中心に確認してください。 (6)インターネットの先には人がいることを意識付けさせてください。インタ ーネットも現実世界であることを気づかせてあげてください。何でも許さ れる仮想世界ではありません。 (7)インターネットは追跡性が高いことを教えてください。インターネットは 決して匿名性の高い場所ではありません。むしろ追跡性は高いものです。 「違法なことを行うと確実に捕まる」という事実を教えてください。 (8)問題が起きたらすぐに保護者に相談するよう伝えてください。叱られるこ とを必要以上に恐れるあまり、すぐ相談できず、事態が深刻化してから保 護者が気づくといったパターンに陥りがちです。日頃から相談しやすい環 境を構築しておきましょう。 トラブルにあわないためには? (須藤勝先生の講演記録より) (1)掲示板、ブログなどでのトラブル予防対策は、 ・インターネットは世界中とつながっており、そこに接続する人達の中には自 分と違う意見の人もいるのはあたりまえであることを意識する。 ・自分から情報を発信する際には相手のことを考えた上で言葉を慎重に選ぶ。 ・自分や家族、友人の個人情報を安易に公開しない。 ・批判的な意見だからと言って過激に反論しない。 (2)掲示板、ブログなどで言い争いになったら、 ・言い争いになった場合は、書き込みをやめ、しばらく時間を置いてみる。 ・相手の挑発にはのらず、自分の悪いところは素直に謝る。 ・それでも駄目ならばその掲示板/ブログは使用しない。 (3)掲示板、ブログなどでトラブルにあったときは、 ・掲示板の管理者または掲示板が利用しているプロバイダに連絡して書込みを 削除してもらう。 ・ 「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報開示に関する 法律」 (プロバイダ責任制限法)に基づいて削除依頼または発信者情報開示依 頼を行う。 ・法務省人権擁護局または違法・有害情報相談センターへの相談。 (4)出会い系サイト・アダルト画像・薬物や自殺呼びかけを排除するには、 ・有害サイトアクセス制限(フィルタリング)サービスを利用する。 出典 須藤 勝 「サイバー犯罪の現状と対策」 小林 次男 「ケータイをめぐる諸問題」 (21年度海西中学校) (21年度東柏ケ谷小学校) 心の扉を開いてみよう ホンネを出せない子どもたち(教育ジャーナリスト 青木悦先生の講演記録より) 一人の人間の一人の意見として聞いてください。子どもが今、一番辛い思い をしているところを一点だけお話しします。今の子どもは親に本音を話せない、 友達に本当のことが言えません。考えてみると、とても怖いことです。いじめを 受けている中学生がポケットに遺書をしのばせていても、親には本当のことを言 えない。 「お父さん、お母さんに迷惑をかけたくない。」と考えている。親の方は わが子が何を考えているか分からない。 このことから、二つのことが分かります。一つは、幼児期からの親子のコミュ ニケーションが言葉に頼り過ぎているのではないか、ということです。思春期に なって自立し始めると子どもは無口になりますが、そうなると、手がかりにする 言葉がありませんから、子どもの心が見えなくなってしまうのです。いま一つは、 わが子が解らないと言いながら、勝手に心の中にスーパースターのような幻の子 ども像を作り上げてしまっている、ということです。「勉強をしっかりやる子」 「きちんとすばやく行動する子」 「きちんと自己主張する子」 「思いやりのある子」 等々。子どもは親が望む幻のスーパースターに向かって大変な努力を強いられ ることになります。結果として、だめな自分をさらけ出すことができなくなって しまうのです。子どもは失敗して当たり前。間違って当たり前。子どもの弱さを 含めて、何もかも受け入れてあげる人が必要です。 自尊感情に関する国際比較 注意:小学校 5 年生(10~11 歳)を対象に 5 カ国 4,600 名に対して行われたアンケート。自分を そうと思っている子の割合。(例)東京では 17.7%の子が「スポーツがうまい子」と思っている。 東京 ソウル 北京 スポーツの 勉強のでき 人気のある うまい子 る子 子 正直な子 親切な子 良く働く子 勇気のある 子 17.7% 8.4% 9.8% 12.0% 12.3% 14.3% 19.0% 30.2% 8.6% 11.2% 27.4% 26.4% 31.7% 28.0% 24.6% 14.0% 31.6% 39.3% 41.0% 39.8% 37.5% ミルウォーキー 53.4% 43.5% 35.4% 49.8% 59.1% 67.1% 57.8% オークランド 40.2% 27.6% 28.9% 47.6% 46.6% 38.3% 39.6% サンパウロ 45.6% 37.4% 32.0% 54.4% 50.6% 48.5% 48.3% (ベネッセ教育研究所「モノグラフナウ 小学生ナウ」95 年調査第 5 回国際教育シンポジウム報告書より) 自分を見つめる(高相教育事務所社会教育主事 高橋久美子先生の講演記録より) (1)普段の生活の中にある「先入観」や「思い込み」に気づいていますか? (2)「固定観念」(正しいと一度思い込んでしまって変えることのできない考え) は、偏見や差別を生み出します。 「そもそもあの人達は、 ・・・○○○なのだ」 と考えてはいないでしょうか。 (3)一面的な見方や考え方ではなく、多面的にとらえ、考えていくことで、新し い価値や本質に気づくことができます。 (4)一人ひとり、みんなちがっています。一人ひとりが大切な存在です。 (例) 女子大卒のA子さんは仕事ができない。 = 事実 女子大卒は仕事ができない。 =固定観念 女子大卒は仕事ができないので役に立たない。 = 偏見 女子大卒は仕事ができないので役に立たないから雇わない。= 差別 (例) Bさんは遅刻することが多い。 Bさんはいつも遅刻する。 Bさんは遅刻するに決まっている。Bさんはルーズだ。 Bさんはルーズで迷惑するから、今度の会には誘わない。 = 事実 =固定観念 = 偏見 = 差別 (例) C子さんは男子とばかり行動していて、言葉も少し乱暴だ。= 事実 女の子はおとなしくするものだ。 =固定観念 C子さんは女の子らしくない、変わった子だ。 = 偏見 C子さんは変わった子だから付き合わないようにしなさい。= 差別 (「わたし出会い発見 Part2」~ちがいに気づき、豊かにつながる参加型の人権・ 部落問題学習プログラム・実践集~ 大阪府同和教育研究協議会) 「ひび割れ壺」の物語 (「子どもの心のコーチング」菅原裕子著リヨン社より) インドのある水汲み人足は二つの壺を持っていました。 天秤棒の端にそれぞれの壺をさげ、首の後ろで天秤棒を左右にかけて、彼は水 を運びます。 その壺のひとつにはひびが入っています。もう一つの完璧な壺が、小川から ご主人様の家まで一滴の水もこぼさないのに、ひび割れ壺は人足が水をいっぱい 入れてくれても、ご主人様の家に着くころには半分になっているのです。 完璧な壺は、いつも自分を誇りに思っていました。なぜなら、彼がつくられ たその本来の目的をいつも達成することができたから。 ひび割れ壺は、いつも自分を恥じていました。なぜなら、彼がつくられたその 本来の目的を、彼は半分しか達成することができなかったから。 二年が過ぎ、すっかり惨めになっていたひび割れ壺は、ある日、川のほとりで 水汲み人足に話しかけました。 「私は自分が恥ずかしい。そして、あなたにすまないと思っている」 「なぜそんなふうに思うの?」 水汲み人足はたずねました。 「何を恥じているの?」 「この二年間、私はこのひびのせいで、あなたのご主人様の家まで水を半分しか 運べなかった。水が漏れてしまうから、あなたがどんなに努力をしても、その努 力が報われることが無い。私はそれがつらいんだ」 壺は言いました。 水汲み人足は、ひび割れ壺を気の毒に思い、そして言いました。 「これからご主人様の家に帰る途中、道端に咲いているきれいな花を見てごら ん」 天秤棒にぶら下げられて丘を登って行く時、ひび割れ壺はお日様に照らされて 美しく咲き誇る道端の花に気づきました。 花は本当に美しく、壺はちょっと元気になった気がしましたが、ご主人様の家 に着くころには、また水を半分漏らしてしまった自分を恥じて、水汲み人足に謝 りました。 すると彼は言ったのです。 「道端の花に気づいたかい?花が君の側にしか咲いていないのに気づいたかい? 僕は君からこぼれ落ちる水に気づいて、君が通る側に花の種をまいたんだ。そし て君は毎日、僕達が小川から帰る途中水をまいてくれた。この二年間、僕はご主 人様の食卓に花を欠かしたことがない。君があるがままの君じゃなかったら、ご 主人様はこの美しさで家を飾ることはできなかったんだよ」 (作者不詳 菅原裕子訳) 私たちはみな、それぞれユニークなひび割れを持っています。 私たちは一人ひとりひび割れ壺なのです。 私たちの仕事は、子どものひびを責めることではありません。 子どものひびのために花の種をまくこと、それこそが親の仕事です。 子どもはどんな花を咲かせてくれるでしょう。 そして、私達親はどんな花を咲かせるでしよう。 ワンポイントアドバイス (1)青木悦先生の講演記録より(受講者の感想) 「 幻の子ども像、目からうろこのお話でした。『もっとちゃんとしなさい』、 思えば毎日のように言っているような気がします。幻の子ども像の結末が悲 惨な子どもの事件につながっているとは。子育ての悩みの原因は、子どもの 側ではなく、親の心の中にある幻の子ども像であることに気づきました」 出典 青木 悦 「ホンネを出せない子どもたち~特に幼児期の意義~」 (17年度相模みのり幼稚園) 高橋久美子「自分自身と出会う旅 ~気づき~ 」 (17年度海西中学校) 菅原裕子「わが子とのハートフルコミュニケーション」 (16年度有馬小学校) 子どものモノサシ、 大人のモノサシ 心のモノサシについて考える (高相津久井教育事務所社会教育主事 高橋久美子先生の講演記録より) (1)私達の心の中には、物事の価値を測るモノサシがあります。それは、一人ひ とり違っています。 (2)大人のモノサシと子どものモノサシの違いを認めることが大切です。子ども のモノサシを尊重し、時には子どものモノサシで測ることも必要です。また、 親と子がモノサシの違いを互いに認め合うことで心が響きあっていきます。 (3) 「普通」 「一般的」など一律のモノサシで測りがちですが、その子にあったモ ノサシで、子どもの個性や良さを認めてやれる大人でありたいものです。 (4)親のモノサシは子どもに多大な影響を与えます。子どもは親のモノサシを受 け継いでいきます。人生観や生きる上での指針にもなっていきます。 (5)ぶれない、揺れないしっかりしたモノサシと、柔軟で変化可能なモノサシと 両方持ちたいものです。 (6)子育てには長く大きなモノサシをあてましょう。長いモノサシを持っていれ ば、叱らなくてすむことがたくさんあります。また、子育ては順調な日ばか りではありません。雨の日、嵐の日もあります。長いモノサシで、雨や嵐が 来ることが分かっていれば、それに備えることができます。 幸せな人は、自分のものさしを持っています。 むやみに人と競争したり、数字だけに執着したりはしません。 自分のものさしで、自分の進歩が測れたときは、大いに喜びます。 幸せの近道をいく人に共通すること、それは、 自分の基準となるものさしを信頼しているということ。 中山 庸子 (エッセイスト) 私の話を子どもの声と思って聞いてほしい (児童養護施設「中心子どもの家」所長 藤野知弘先生の講演記録より) 自立心を育てるためにということで、戦後の一時期「泣いても抱かない育児法」 が推奨されたことがある。これは、「甘やかすと甘えん坊になる」という説が流 布していたせいであるが、これは間違い。児童養護施設の子どもたちは甘やかさ れていないから甘えん坊になっている。私の施設では、一人ひとりの子に個別に パートナーさんをつけてできるだけ甘やかすようにしている。すると甘えること が少なくなってくる。乳幼児期には、十分甘えさせることが大切。抱き癖がつく というは何の問題もない。 十分に甘えることができた子どもは、安心感・万能感を身に付け、それが自 信につながっていく。自分を大切に思うことができる子は、他人を大切にするこ とができる。自立とは、ただ単に自分でできるようになることではなく、安心し て周りの人に依存することができるようになることでもある。 悪いことをした後、何もしなくても立ち直っていく子といくら手をかけても立 ち直らない子との差は、乳幼児期に愛情をたくさん受けたかどうかの違いである。 ワンポイントアドバイス (1)藤野知弘先生の講演記録より 「子どもたちの『いじめ』や『ひきこもり』に対して、豊かさの中で甘やかさ れて育ったから、というような論評がされることがあるが、これはおかしい。 今の日本の子どもたちは、『手をかけない育児』あるいは『過干渉』によっ て十分に甘やかされてこなかったから、根本のところで『誰も助けてくれな い』『人は当てにできない』と孤立感を深めているのである」 出典 高橋久美子「子どものモノサシ、大人のモノサシ 」 (19年度海老名中学校) 藤野知弘 「子どもの心の育ちと親のかかわり ~将来の確かな道筋のために~ 」 (17年度けいせん幼稚園) 親と子のコミュニケーション 子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 (臨床心理士 中野早苗先生の講演記録より) (1)子どもの訴えの中には、解決を求めていない場合もある。拒否的な言葉の 根っこの部分にあるものを理解してあげるだけで落ち着くことが多いもの です。 (2)気持ちを表す言葉を沢山考えてみることも大切。いろいろな言葉で子ども の気持ちを引き出すことが、表現力を豊かにし、落ち着かせることになる。 (3)子どもは機嫌が悪くなると、正当なことを言っても理解できなくなってし まうことがある。こんな場合は、理屈を言って説得したり、叱って言うこと を聞かせようとしてもだめ。感情が断ち切られると思考力も断ち切られる。 子どもの気持ちを受け止め、子どもの気持ちを理解することに専念するとよ い。 (4)子どもが混乱しているときに、あれこれ質問することは、かえって子ども に負担を与える。まず受け止める。そして子どもの気持を言葉にしてあげる。 子どもは自分の気持を言葉にしてもらうことで、「自分の気持を分かってく れた」と思い、落ち着く。そして自ら、解決に向けて動き出す。 親の愛が伝わっていますか? (親業インストラクター 松本純先生の講演記録より) (1)親の思っていることが子に伝わり、子の思っていることが親に伝わること が大切。言わなくても分かる、と思っているのは、親だけかもしれない。 (2)子どもの中には、踏みつけられて も踏みつけられても、自分でぐん ぐん伸びていくヒマワリタイプの 子と、デリケートで親が気を配ら ないと枯れやすいバラタイプの子 がいる。他の子と比較するのでは なく、子どものタイプの特徴をつかむ。 (3)良い子は目の細かいと石のようなもので、それで削られると親が子どもを 自慢できたり、少し親が光ることはできるかもしれない。問題を起こす子は 目の粗いと石のようなもので、それで削ると親も大きく変わり成長すること ができる。子どもの危機をイヤだと思わないで、親が成長し価値観を広げる 機会だと前向きに受け止めて欲しい。どう信じ、どう認めるか。親が自分の 価値観を見直す。 (4)親の愛が伝わりやすい子と伝わりにくい子がいる。公平に愛するのは当た り前ですが、伝わりづらい子にも伝わる量が同じになるような工夫をする。 (5)子どもとコミュニケーションをとる場合は、一対一で、過去をひきずらず 白紙で、今の子と今の自分が気持ちを伝え合うことが大切です。 (6)過去と相手は変わらない。現在の自分が変われば未来が変わる。子どもを 受け止めるには親に余裕が必要なので、親が問題を抱えないようにうまくス トレスを解消して、余裕を持つことが大事です。 (7)わが子が何をしている時が幸せそうかを見極め、その子の欠点ではなく、 その子の良いところに注目し、何が向いているかいろいろな可能性の種をま いてあげる。欠けているところを引き上げるのは難しいが、得意なことを伸 ばして自信を持たせてあげると、欠点は自然に目立たなくなることが多い。 子どもの自尊感情を高めることが大事です。 ワンポイントアドバイス (1)幼児教育カウンセラー 折原祥子先生の講演記録より 「子どもと真剣に向かい合うということは、 子に親が何かをさせるのではなく、 子が自分から動き出すのを待つ。 そして受け止める。 話をしっかり聞き、親の考えを伝える。 そったく ど う き 子の合図を待って親が対応する。啐啄同機」 (2)松本純先生の講演記録より 「子どもの話を聞く時は、最後まで子どもに集中して、自分の問 題にしてしまわない。子どもの投げかけてきた気持ちを肯定も 否定もせず、そのまま投げ返し、気持ちを確認してあげる。気 持ちを受け止められたことを確信した子どもは、続きの言葉を 自分で探し、自分で問題の解決に向かい始める。子どもの問題 は子どもに所有権がある。親がかわいそうだからといって親が 解決してしまうと、子どもは自分で乗りこえる力(権利)を奪 われることになる。子どもの生きる力を信じる。」 出典 中野早苗「子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方」 (18年度門沢橋小学校) 松本純 「親の愛が伝わっていますか?」 (17年度海老名小学校) 折原祥子「思いを受け止め向かい合っていますか?」 (19年度海老名小学校) 子育ては親育て 親の心 子知らず、 子の心 親知らず (子育て協会所長 杉浦正明先生の講演記録より) (1)親が自分のキャパシティーを向上させることで、人としての力量が増し、 子どもを受け入れる容量が大きくなる。子どもは注文や甘えを受け入れても らうことで安心し、自分に自信を持つ。この自信がないと人や社会をおそれ、 不登校やひきこもりを起こしやすい。大事なのは、金品を与えることではな く、親の時間と体力を使うこと。心をかけることである。 (2)今日の子どもの幸せを考えると、『遊ぶこと』が大切。これを積み上げて いけば幸せな大人になれる。10年後の子どもの幸せを考えると、『がんば れ』となる。これを積み上げていくと疲れた大人になってしまう。子ども は子どもの時代に与えられた時間を使い切れば、良い大人になれる。 親が育てば子も育つ (海老名市社会教育指導員 小林次男先生の講演記録より) (1)「おひとりさま」への郷愁や願望は後回し、「おふたりさま」にしか味わ えない「今」を楽しむ。 あ あ そうろう 災難に遭う時節には災難に遭うがよく 候 。 そうろう 死ぬる時節には死ぬがよく 候 。 これ みょうほう そうろう りょうかん 是はこれ災難をのがるる 妙 法 にて 候 。( 良 寛) 「辛い親」のしんどい経験なくしては、「見守る親」のゆとりにたどりつく ことはできません。 「見守る親」は「辛い親」を勤め上げたご褒美なのです。 (2)「ふれあい」を通して、子どもの世界に気づく。 大人の感じ方や考え方は、社会の常識を中心に動いており、損得や効率、 過去への後悔や未来への不安にとらわれることが多いのに対して、子どもの それは、心の世界を中心に動いており、「今、この場」で気づいたこと、思 ったことを重視します。社会の常識をいったん離れて「今、この場」の心の 世界に遊んでみると、子どもの世界が見えてきます。 (3)大きな命の流れの中で、子育てを考える。 「子育て」は即ち「親育て」、親が育てば子も育つ。このことは、いにし えの昔から繰り返されてきた、命のバトンを支える大もとではないか。 誕生学プログラム内容抜粋 (出張開業助産師 誕生学アドバイザー 山浦直子先生の講演記録より) (1)いのちのつながり お母さんとつながっていた証拠、何だろう? それはおへそ。自分のい のちのつながりを再確認し、まずは自分という存在を確認する。 (2)いのちの始まり 0.13ミリから出発したいのちが、お母さんのいのちのお部屋(子ど ものお宮)で大切にされ過ごす。・・・お宮という神様が祀られていると ころで過ごす命の始まり。自分も大切な存在だと気づくことができる。 (3)いのちの力 お腹のなかで様々な能力を知る赤ちゃんてすごい。そして、自分自身も そんな赤ちゃん時代を過ごしていた。そして、最初の誕生日、多くの赤ち ゃんは自分で産まれてくる日を決めて産まれてきた。 「自分ってすごいか も」という自尊感情の向上のきっかけとなる。 (4)最初のお誕生日に発揮したすごい力 誰にも教えられたわけでもないのに、いのちの力を使って一生懸命頭と 体で工夫して産まれてきた。上手に産まれる天才‼ 私もそうして産まれ てきた・・・自分ってすごいという気持ちから自尊感情が育つ。 (5)生まれてきてくれてありがとう いのちの力を持って生まれ、その力を生きる力として大切に使っていく、 そんな素晴らしい力を持つあなたは未来の人。つながってきたいのちを次 につなげるのはあなた。そんな自分を大切に、そしてその存在と同じお友 達・家族・生きているものも大切にしよう・・・こういった気持ちが自尊 感情を向上させ、自分の未来を楽しみにできる子どもに育っていく。 ワンポイントアドバイス (1)杉浦正明先生の講演記録より(受講者の感想) 「現在は核家族で、育児はマスコミ等の情報が中心。どうしても早期教育に傾 きがちです。大切なのは親自身が大きな器になること、それによって長い目 で子どもに接することが出来るようになるのだと分かりました。『親が自分 のやりたいことを失う分、子どもは得られるものがある』素敵な言葉です。 これを胸にきざんで、ニコニコ笑顔の母親になりたいと思いました」 出典 杉浦正明 小林次男 山浦直子 「親の心子知らず、子の心親知らず」(18 年度日進幼稚園) 「親が育てば子も育つ」 (18年度社家小学校) 「誕生、命を育む、生きる」(21年度門沢橋小学校) 思春期の子どもとどう向き合うか 思春期とは (各講師の講演記録共通) (1) 「第2の離乳期」と呼ばれる。自立に向けて反抗しながらも、親が自分のこ とを心配しているかチェックしている。自立したいのだけれど、自信がない。 (2)性ホルモンが活発に分泌されることにより、心身ともに激しい変化が起き る。男として、女としての意識がはっきりしてくると共に、男として、女と してどうあるべきか、という悩みも深まる。 (3)期待される自分と本当の自分との葛藤が激しくなる。 (4)自分と他人との比較・・・高校受験等で強く思い知らされる。 (5)同世代(友だち)の中で自分の存在や自分の居場所を確認しようとする。 思春期に向き合う親としての心構え (各講師の講演記録共通) (1)何か問題が起きた時、 「困った子、困らせる子」ととらえるではなく、 「悩 んでいる、変化・成長しようとしている」ととらえ、子どもの気持ちを推し 量り、対応することが必要である。 (2)話の中に矛盾や疑問があったとしても、途中で遮断せずに最後まで聴くこ と。子どもに言葉を語らせるよう聞き役に徹する。言葉に表すことによって 気持ちが落ち着いて来る。話し相手として親を選んだことを喜んで欲しい。 何でも話し合える雰囲気づくりを心がける。 (3)親自身が過ごしてきた思春期と今の思春期の状況は違っていることを認識 する必要がある。また、子どもは上り坂にあるが、 親は更年期などの下り坂にあることを自覚する 必要もある。 (4)親だけで問題が解決できない時は、身近な人、 または公共の相談員などに相談し、自分だけ で抱え込まないようにする。 (5)親自身が幸せで、自分らしく生きているこ とが、子どもの幸せにつながる。 ワンポイントアドバイス (1)今泉中学校スクールカウンセラー 「 有村美和先生の講演記録より しっぷうどとう 思春期は疾風怒濤の時代。 子どもが不安定なこの時期 に、母親が不安定だと 子どもの自立をはばむことがある」 (2)臨床心理士 ヴィヒャルト千佳こ先生の講演記録より 「 子どもの友だち関係は大丈夫か。 自分の居場所があるかどうか。この 時期の子どもは喜怒哀楽の気持ち がうまく表現できないので、親が気 を配っていく必要がある」 (3)海西中学校スクールカウンセラー 鳥海佳奈枝先生の講演記録より (受講者の感想) 「 たくさんの難しい子ども達を相手に、 解決されない「悩み」につきあってい る先生、その先生の、愛情は持ちながら 一歩離れて流されない、凛(りん)とした 前向きな姿勢は素晴らしいと思いました」 (4)聖徳大学准教授 真壁坤子先生の講演記録より 「親が子の都合を優先し、しつけを怠ると、 我慢できない、幼児性の強い子どもができ あがってしまいます。親も子どもに我慢し て得た時の喜びや達成感を感じさせるよ うなかかわりを持つことが大切です」 出典 ヴィヒャルト千佳こ 「思春期の子どもとどう向き合うか ~今、大人としてできること~」 (18年度有馬中学校) 鳥海佳奈枝「生きること・悩むこと・成長すること」 (18年度海西中学校) 有村美和 「思春期の子ども達を抱えて」 (19年度今泉中学校) 真壁坤子 「思春期の子どもとどう向き合うか」 (20年度有馬中学校) 障がいについて考える 障がいについての基本的な考え方 (わかば学園園長 諏訪利明先生の講演記録より) (1)子ども達の発達ラインは通常右肩上がりになっているが、その傾きは一人 ひとり違っている。また、成長→停滞→成長をくりかえしていく。発達ライ ンの傾きや進み具合は、一人ひとり違っている。自分の子どもの発達ライン の特徴を見つけることが大切である。他の子どもと絶対に比べてはいけない。 半年前と比較して、その子自身の成長を見つけられるような子育てをするこ と、そのことによって子どもは、はずみをつけて伸びていく。 (2)普通の子というのはいないのだが、発達のラインでみると、大多数の子ど もが当てはまるラインはある。大多数のラインから外れてしまった子も、少 しずつでも成長している。大多数の子が入るラインだけを見てしまうと、自 分の子の成長に気づかないことがあるので、個々のラインをちゃんと見るこ とが大切である。大多数のラインより低いからといって、頑張ればできる、 というように考えるのではなく、周りの人や教育機関の助けを借りて、その 子のラインが少しでも上がるように支援することが大切である。 (3)大多数のラインにいながらつまずいてしまう子もいる。集団生活が苦手だ ったり、対人関係がうまく築けなかったり、コミュニケーションがうまくと れなかったり、落ち着きがない等。そんな場合は、周りの子や先生達がその 子を認め、手助けや支援をして、そのままでいいというメッセージを送って あげると良い。 発達障がいについて (諏訪利明先生の講演記録より) (1)「障害」という言葉は「しょうがい」とひらがなで書く。漢字で書く場合 は「障碍」、 「碍」はつまずきという意味。つまずきを理解して手助けをすれ ば、育ち、学ぶ。知的障がいは、ゆっくり学んでいくことを理解し、繰り返 し指導する。身体障がいは動きをサポートする。発達障がいは最近になって 医学的にはっきりしてきた。通常級に6%位いると言われている。 (2)発達障がいには、次のようなタイプがある。 ○LD(学習障がい)は、能力に偏りがあるのでできないことを責めない。 ○AD/HD(注意欠陥/多動性症候群)は、注意集中のバランスがとれない。 じっとしていられない。衝動的に行動したり、攻撃をする。まず、正確な 診断を受ける。得意なことを見つけさせやる気を引き出すようなかかわり をする。 ○自閉症は、認知障がいがあるとともに、コミュニケーションの障がいを主 とする。このため、言語発達が遅れたりする。視覚的に情報を伝えるよう にする。 ○高機能自閉症は、自閉症のなかで知的発達に遅れのないもの。視野が狭く、 思い込みが激しい。 ○アスペルガー症候群は、他人の心が分からないなど認知の仕方が独特で周 りに合わせられないといった。想像力障がいや社会性に欠ける。 (3)発達障がいは、得意なことを見つけさせ、その方向へ導く関わりをしてい く必要がある。 29年分のありがとう ~出会いからかけがえのない時へ~ (平原節子先生の講演記録より) 息子さんが3年前に他界。重い脳障がい(コミュニケーションが難しい)。表 情や心と心で会話した。三つのキーワード(1.笑顔 2.好奇心旺盛 3.真 っ直ぐさ)で、彼の生涯をお話します。 1974.11.11生。頭が大きく難産。帝王切開。2週間後水頭症で入院。 「むっちゃん」と呼ばれる。7ケ月診断不明。萎縮した脳で生まれた。退院後、 首が座らず抱っこの毎日。離乳食づくりに奮闘。5年半、散歩をしたりしてゆっ くり過ごす。子ども会などの行事に参加する。成長していく中で、次のような印 象に残る出来事があった。 (1)夕方の散歩中、2人組の女の子とすれちがうことがあった。一日目は引き 返した。二日目は沈黙のまま通り過ぎた。三日目はおしゃべりをやめず通 りすぎた。→「むっちゃん」のことを覚えてくれたんだなと思った。 (2)耳鼻科の医院に通っていた時、一日目は三人の子どもが目の前に立ってい たが、いつも会う兄弟がドアを開けてくれた。二日目はドアが開いていた。 三日目は沢山の子がドアを開けてくれた。→うれしかった。 (3)旅行に行った時、トイレに苦労した。車ではいつもトイレの話題。デパー トのトイレに入ろうとした時、鈴木保奈美さんがいて「むっちゃん」と握 手してくれた。→旅はいいですよ。人のあたたかさにふれます。 (4)いとことの交流。姉と弟の2人で来てくれた。弟は3歳上で、「むっちゃ ん」のあこがれの存在。弟が車の免許を取った時に一緒に旅行に行った。 宿泊先を確保するのは困難。その時の宿泊先のあたたかな対応を見て、弟 はホテルマンになった。 食べる意欲(よく食べる、ニコニコ食べる)が生きる原動力。生きる道を切り 開いた。一週間通所施設の実習に挑戦したのも、食事がおいしかったから。何で もやってみることが大事。食事は全面介助。グ ループホームにも滞在。 お別れの時、「お母さん、やりたいこといっ ぱいあったんじゃない?時間残したからやれ よ!」という声を聞いた気がする。29年間、 寄り添ってきたが、最後までかっこいい人生で あった。これからも有意義に生きていきたい。 29年分のありがとう。 ワンポイントアドバイス (1)諏訪利明先生の講演記録より(受講者の感想) 「先生の『子どもがいるのは特権なんです』という言葉を聞いて、子どもがい るのは大変だけど、すばらしいことなんだということを再認識しました。 さっそく、先生の言われた『口をつぐんで子どもを見る』ということを実践 してみたところ、子ども達の笑顔・一緒にいることの楽しさを感じることが できました」 (2)平原節子先生の講演記録より(受講者の感想) 「先生が29年間、大切に育ててこられたことを感じた。好奇の目にさらされ、 辛いこともたくさんあったに違いないのに、この明るさや前向きな気持ちは どこから来るのだろうと思ったが、エピソードやアルバムを見るうちに分か った。むっちゃんが様々なことに挑戦したり、ニコニコの良い笑顔を見たの で、母は元気をもらったのであろう。そんな優しい母に育てられたから、む っちゃんは笑顔のきれいなチャレンジ精神のある子に育ったに違いない。 『育てたように子は育つ』と言われるが、 その通りで、子どもを見れば親が分かる。 子どもの状態が悪い時、自分のことを見 直してみようと思う。そして、人はたく さんの人に支えられて生きているという ことを改めて感じた。今日聞いた話をポ ケットにしまい、ときどき出してみよう」 出典 諏訪利明 「共に生きる子どもたち」(20年度海老名みなみ幼稚園) 「わたしのことをわかってよ」 (19年度今泉小学校) 「発達障碍 ~知っていますか?~」(18年度今泉中学校) 「子どもの行動を理解する」(17年度海老名みなみ幼稚園) 平原節子 「29年分のありがとう ~出会いからかけがえのない時へ~」 (18年度海老名みなみ幼稚園) お子さんの発達・発育には個人差があるものです。不安がある時には専門家の 判断も必要です。そのような時、相談できる場所は下記のとおりです。 障がい福祉課 海老名市役所 1 階 海老名市勝瀬175番地1 TEL046-235-4812・4813 障がい者福祉の中心的機能として生活上のいろいろな相談に応じ、また各関係機関 と連絡をとるなどの他、療育手帳・身体障がい者手帳・精神保健手帳や各種手当な ど各種福祉制度の窓口となります。 わかば学園 海老名市立わかば会館 3 階 海老名市中新田383番地1 TEL046-235-2703 心身の発達に障がいがある 1 歳から就学時前児童とその保護者を対象に、自立に必 要な基本的な生活訓練や機能訓練などを行います。 就学相談は、 海老名市教育委員会学校支援課(青少年相談センター) 海老名市中央図書館 3 階 海老名市上郷474番地4 TEL046-234-8764 教育上特別な配慮を要するお子さんの就学について相談ができます。 身体の状態によっては、特別支援学校(養護学校)や小・中学校の特別支援学級への 入級等、個別に応じた教育を受けられるよう、教育相談を行います。教育相談は、 ご希望の日時を事前にご連絡ください。 その他 厚木児童相談所 厚木市水引2丁目3番1号 TEL046-224-1111〈代表〉 神奈川県立総合療育相談センター 藤沢市亀井野3119番地 TEL0466-84-5700 相談、判定、指導を行っています。 神奈川県発達障害支援センター(かながわエース) 相談専用電話 TEL0465-81-3717 自閉症などの発達障がいがあるために、生活上の支援を必要とする方とその家 族及び関わる方から相談を受けたり、必要な情報提供を行ったりしています。 - 最近の子ども達の事件を通して 今、子ども達の置かれている状況 (神奈川県立保健福祉大学・社会福祉学科准教授 小林正稔先生の講演記録より). メール 軽い気持ちでの中傷が行なわれている。目に見えるいじめから目に 見えない形でのいじめに変化している。返信したくないのに相手に悪 いからといってつき合っている。その結果、無理をすることになり、 疲れがたまってくる。 親の助言 子どもに対して言うことがきつい。親の不満や不安をぶつけるので はなく、解決に至るまでの順番や手順を教えることである。子どもに は言葉で指示するよりも、親の態度や行動でしめすことが大事。 子どもの言動 視野が狭い。周囲5㎝しか見ていない。そのため、次の予測ができ ない。できたとしても悪い予測をしてしまう。親が解決の手順を教えて いなければ、子どもは手順が分からないので、一気に爆発する。 社 会 家庭だけでなく、社会全体が手順を踏まない傾向がある。白か黒か の二分化思考ではなく、いろいろな考えがあることを認め、ゆずれる ものはゆずる、という人間関係を作り上げることが大切である。 知っていますか?海老名の今 ~犯罪や非行の現状~ (海老名警察署生活安全課長 北川三男先生の講演記録より) (1)犯罪で多いのは、自転車盗、オートバイ盗、万引きの順。他の土地より凶悪 犯罪は少ない。(注:平成 19 年) (2)少年の犯罪(や不良行為)では万引き、喫煙、深夜徘徊が多い。14 歳から 16歳が多いので、小学校時期の教育が大事。 中学生になると行動範囲が広がるので危険 性が高くなる。 (3)親が現実を直視し悪いことは悪いと教える。 (4)あきらめない。おとなが環境を整えると 子どもは心を開く。親の対応が大事。 (5)発生する環境を作らないこと、 未然防止が何よりも大事である。 参考資料 海老名警察署管内不良行為 少年補導状況(抜粋) 暴走行為 深夜徘徊 飲酒 喫煙 家出 怠学 13 歳未満 0 3 0 0 12 0 13 歳 3 18 0 0 100 3 14 歳 1 107 0 0 269 15 15 歳 1 97 0 0 353 3 16 歳以上 1040 24 294 2 1 4 (海老名警察署 平成 21年1月から12月〈暫定値〉より) 〈注〉不良行為少年補導:少年が喫煙等の不良行為をしていて補導された人数 海老名警察署管内刑法犯 少年検挙・補導状況〈抜粋〉 粗暴犯 暴 行 傷 害 窃盗 恐 喝 万引き バイク 自転車 その他 その他 占 脱 その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 14 歳 1 2 2 13 0 12 2 3 1 15 歳 0 0 0 9 0 1 3 2 0 16 歳 0 0 0 7 0 1 4 5 0 17 歳 0 0 0 1 0 0 0 4 0 18 歳 0 2 0 0 1 0 0 0 0 19 歳 0 1 0 0 0 0 2 3 0 (海老名警察署 平成 21年1月から12月〈暫定値〉より) 〈注1〉刑法犯 少年検挙・補導:少年が万引き〈窃盗〉等刑法に違反する行為を して検挙・補導された人数 (注2)占脱:占有離脱物横領、落し物や放置自転車などを警察に届けずに所有 したり、使用すること。 14 歳未満 『いじめ』のビデオを見て親同士話し合いました (高相津久井教育事務所社会教育主事 記録より) 高橋久美子先生のビデオフォーラムの いじめられっ子の様子を観て 信じていた友人に裏切られ、何をされても反抗 できず、集団のいじめにあい、体調が悪くなるま で一人悩み続ける。 感想・・・親にも言えず先生にも言えず自分一 人で悩み続け苦しんでいる。そんなふうにしたの は、大人の責任でもあるのかなと考えてしまう。 もう少し、家族や学校とのコミュニケーションを とれる環境を作るべきかなと思いました。 いじめっ子の様子を観て 気持ちのコントロールができず、自分でも訳 が分からなくなっていじめてしまう。 感想・・・日々の生活の中で、すごく疲れてい たり体調が悪いとき、思ってもいないことを言 ってしまったり、家族にやつあたりしてしまう ことがあります。そんな時、家族や友だちに助 けられて生きていることを実感します。心身と もにデリケートな時期を生きている子ども達 にとって大事なことは、生活している環境なん だなあと思いました。 いじめを見ている子の様子を観て 自分の気持ちとはうらはらに見て見ないふりをする。 感想・・・自分のことを考えると、どうしても正義感を示すのではなく、守りに 入ってしまうのだと思います 全体の感想 一生懸命になりすぎたり、急ぎ 過ぎたりすると、周りが見えなく なってしまい、気持ちの余裕もな くなり、人を思う気持ちも忘れて しまったりすると思う。たまには 寄り道をして少しもどってみるこ ともいいのではないか、と思った。 ワンポイントアドバイス (1)小林正稔先生の講演記録より(受講者の感想) 「先生から『親の視野が狭い』という言葉を聞いて自分もドキッとしました。 子どもにやり方、手順を教えることの大切さや、白黒だけでいけないなどと 色々参考になる話を聞けてよかったです」 (2)高橋久美子先生の講演記録より(受講者の感想) 「今日のビデオフォーラム、いじめる人、いじめられ人、いじめを見ている人、 三人の気持ちはどの子にとっても複雑で、真剣に考えさせられました。子ども たちは大きくなるにつれて口数も減ってくると思いますが、日ごろから子ども と向き合っていれば、『いじめ』も早期発見ができるのではないかと思いまし た」 (3)北川三男先生の講演記録より(受講者の感想) 「親の対応、家庭のあり方、コミュニケーションの大切さを実感しました。海老 名が安心して暮していける街になるよう、心がけていきたいと思います」 出典 小林正稔 「今、子どもたちは? ~最近の子ども達の事件を通して~」 (19年度有鹿小学校) 高橋久美子 「子どもの心を見つめ、心を育むために」 (19年度有鹿小学校) 北川三男 「神奈川県や海老名市の犯罪や非行の現状」 (20年度柏ケ谷小学校) 感 性 を 育 む アイリッシュハープの演奏とお話 (アイリッシュハープ奏者 永山友美子先生の演奏とお話の記録より) (1)人はなぜ、音楽を聴いて涙を流したり、微笑んだりするのでしょうか。人 は心で感じ感情を表現することができるのです。音楽は心に染みついて心の 傷を癒すことができる。童謡は人間の心に深く残っている。老人ホームにい る方でも、童謡を聴くと口ずさむ。 (2)どのような家庭であっても、我が家が一番。どんな親であっても、子ども にとっては親(母親)が一番好き。 (3)愛を注ぎ導き育てることが親の役目。物を与えるだけでは愛は伝わらない。 (4)たくさんほめて拍手して。ほめられていやな気持ちになる人はいない。 (5)「いつもありがとう」「感謝している」と言わなくては伝わらない。 (6) 子どもの足元の石を拾うのではなく、転ぶ痛みを教えてあげることが大 切。いやなこと、つらいことを避けて育てられた子は、壁に当たった時、ど う対応してよいのか分からない。親は子どもより先に逝くのだから、悲しみ を乗り越えて生きる力を子どもに与えなければならない。 (7)子どもは宝物。きれいな言葉で愛情を表現して子どもを抱きしめてあげま しょう。教育とは、毎日の小さな積み重ね。面倒がらずに、子どもの心にふ れることが大切です。 (8)喜怒哀楽を素直に表現できる方が人間らしい。良い子を演じて神経を病む 子がいる。子どもがどんなことをしても母親が理解し、子どもが泣ける場を 作って欲しい。そして次に、子どもの良さが人々に伝わるように親と共に努 力すればいい。 (9)みんな違うからその人の良さも際立つ。 (10)我が子がそこにいるだけで充分でしょう?いい所も悪い所も全て、あり のままを受け入れるのはむずかしい事でしょうか?子どもを守るのはあなた しかいません。最後は親しかいないのです。 ワンポイントアドバイス (1)永山友美子先生の演奏とお話の記録より(受講者の感想) 「子育てで思い悩んでいたが、演奏を聴いて答えが見つかったような気がした」 「当たり前のように平凡に過ごしている毎日が、本当はとても幸せな時間なのだ ということに気づかされました」 「母親である自分が誇らしく思えた」 「先生の魂の叫びが音となり、聴く側の心に共鳴したとてもすばらしい時間で した」 「演奏した曲とエピソードがうまく絡み合っていて、泣かせる場面があるかと思 えば笑いを誘う場面もあり、どんどん話に引き込まれ、時間があっという間に 過ぎてしまいました。子どもたちにも聴かせてあげたいです」 出典 永山友美子 「感性を育む~アイリッシュハープの演奏とお話」 (17年度海老名幼稚園) (18 年度門沢橋小学校) (19年度旭たちばな幼稚園) ひとりで悩まずに相談してください 海老名市青少年相談センター 〒243-0434 海老名市上郷474番地4 TEL046-234-8764(事務) (事務室・相談室・教育支援教室とも海老名市中央図書館 3階にあります) 相談受け付け時間 月曜日から金曜日 9時から16時30分 (土曜・日曜・祝日・12/28~1/4は休みです) ○相談には、心理を専攻した専門の相談員が応じます。 ○電話相談は匿名でもお受けいたします。 ○秘密は厳守いたします。 ☆相談事業 Ⅰ 電話相談 相談ダイヤル 234- 8700 子ども専用ダイヤル 234- 8762 (主な相談内容) 友人関係の悩み・いじめ等 不登校・登校しぶり・学校不適応・いじめ・友達関係・ 親子関係・養育不安・非行問題・発達・就学についての悩み等 Ⅱ 来室相談 継続的な相談をご希望の方には、来所による面接相談に応じています。 来室相談希望の場合は、電話で予約してください。 Ⅲ 留守番電話・FAX相談 留守番電話 234- 8700 FAX 234- 8763 午後4時30分~翌朝9時までは、留守番電話・FAXでも相談を 受け付けています。 ☆教育支援教室(ビナルーム) TEL232- 1011 Ⅰ 教育支援教室とは 心理的・情緒的な要因等により、学校に通えない小学生・中学生を対象に、 指導・援助をおこなうところです。 教室活動を通して、自立心の育成や集団活動への適応力を高めていけるように 援助しています。自信を回復して在籍校に復帰していくことを目的にしています。 Ⅱ 通室までの流れ 保護者・本人→センターでの相談 TEL234-8700→仮通室→通室 相談から通室までは、本人や保護者の方ともよく話をしながら関わりを考えていき ます。 ☆学校相談派遣事業 Ⅰ 学校訪問相談員 カウンセラーが定期的に小学校へ訪問し、教職員の相談に応じています。 また、必要に 応じて保護者との面接も行っています。 Ⅱ スクールカウンセラー カウンセラーが定期的に中学校へ訪問し、生徒へのカウンセリング、教員・保護者 への助言・援助を行っています。 Ⅲ 心の教室相談員 市内の各中学校に心の相談員がいます。 生徒の悩みや話し相手となって、生徒の学校生活を支援しています。 ひとりで悩まずに相談してください 海老名市子育て支援センター 〒243-0422 海老名市中新田377番地 TEL046-233-6161 (海老名市保健相談センター 相談受け付け時間 月曜日から土曜日 3階にあります) 8時30分から16時30分 ☆電話相談・来所相談 子育てをする中でわからないことがあったり、不安を感じた時などに、支援センター の保育士がお話を伺い、適切なアドバイスをします。直接来所も可能です。 海老名市子ども家庭相談室 〒243-0492 海老名市勝瀬175番地1 相談受け付け時間 月曜日から金曜日 TEL046-235-4825 8時30分から17時15分 ☆電話相談・来所相談 育児に関するさまざまな悩みごとについて子ども相談員が一緒に考えます。 海老名市保健相談センター 〒243-0422 海老名市中新田377番地 相談受け付け時間 月曜日から土曜日 TEL046-235-7880 8時30分から17時15分 ☆お子さんの健康や食事、予防接種に関することなど、子育て全般について、保健師、 栄養士等がご相談に応じます。また、お子さんの発達〈言葉、動作)、気になる くせ等については、臨床心理士の相談日もあります。お気軽にご相談ください。 海老名市教育委員会学校支援課(海老名市青少年相談センター) 〒243-0434 海老名市上郷474番地4 TEL046-234-8764(事務) (事務室・相談室・教育支援教室とも海老名市中央図書館 相談受け付け時間 月曜日から金曜日 3階にあります) 9時から16時30分 (土曜・日曜・祝日・12/28~1/4は休みです) 就学相談 ☆教育上特別な配慮を要すると思われるお子さんの就学について、保護者の方とともに 考えて いきますのでご相談ください。 身体の状態によっては、特別支援学校(養護学校)や小・中学校の特別支援学級への 入級等、 個別に応じた教育を受けられるよう、教育相談を行います。教育相談は、 ご希望の日時を事前にご連絡ください。 海老名市が目指す21世紀の教育 ~ひびきあう教育~ 海老名の子どもが健やかに成長することを願い、平成12(2000)年3月に示したものです。 「ひびきあう教育」とは、子どもにとって自分自身が深まる喜び、世界が広がる喜び、人 と支え合う喜び、そして生きる喜びを実感できる教育です。それは、子ども・教師・家庭・ 地域の人々とのかかわりによって創り出されます。かかわりとは、人や自然との出会い、つ ながりといったものを意味します。このかかわりが、ここ数年で質的に変化をし、子どもに 大きな影響をもたらしています。具体的には、自分からすすんで人とかかわらない、集団の なかで自分を生かしきれない、自己決定をしたがらないといった状況です。子どもが心を育 み、心の豊かさを備えた人として育つためには、何よりもかかわりが大切です。 そこで、子どもがさまざまな出会いをとおし、かかわりを紡いでいくことを「ひびきあう」 という言葉に託しました。 「ひびきあう」とは自らもひびくこと、さらには自らをとりまく人 や自然や社会と共鳴することです。 四つの視点 1.子どもと大人がひびきあう ・子どもと子どもの遊び ・子どもと大人のふれあい ・大人と大人の協力 2.子どもと教師がひびきあう ・感性をはぐくむための環境づくり ・学習の場で参画・感動・納得を実感できる学習環境づくり 3.学校・家庭・地域社会がひびきあう ・学校を開く ・家庭と協働 ・地域社会と共生・協働 4.郷土とひびきあう ・ 「わがまち海老名」への理解とかかわりの場づくり 目指す21世紀の子ども像 1. 自分を誇れる子 ・自分に自信を持つ ・自分の意志と責任を持つ 2.感性と知性をみがく子 ・ 「かんじる」 「きめる」「あらわす」ことを大切にできる ・ 「かんがえる」 「わかる」 「できる」ことを大切にできる 3. 共感できる心をもった子 ・出会いとかかわりをとおして自分をみつめる ・違いを違いとして認識し、積極的に理解しようとする ・互いに個性を尊重し協調できる 4. わがまち海老名を語れる子 ・海老名が好きになる ・自分の学校を好きになる ・ 自分の学校で思い出作りができる ・自分の学校の自慢ができる (平成12年3月 海老名市教育委員会が目指す21世紀の教育「ひびきあう教育」より抜粋) 子育ては親育て 家庭教育学級の記録より 第1版発行 発行者 平成22年9月30日 海老名市教育委員会 〒243-0492 海老名市勝瀬175-1 TEL 046-235-4926 FAX 046-231-0277
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