BRT共同提言

日・EU ビジネス・ラウンドテーブル
日・EU 両政府への提言
【仮 訳/Tentative translation】
2016 年 4 月 20 日 東京
ワーキング・パーティ 3
イノベーション、ICT
ワーキング・パーティ・リーダー:
アリアンスペース
会長・CEO
ステファン・イズラエル
富士通株式会社
特命顧問
株式会社富士通総研
代表取締役会長
肥塚 雅博
仮訳/ Tentative translation
Working Party C イノベーション、ICT
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略称・略語一覧表
略語
AI
BASA
BRT
CARATS
EASA
EEN
EU
FP
ICT
IoT
ITA
JEUPISTE
NATO
NIS
R&D
TiSA
WSIS
WTO
仮訳/Tentative Translation
Working Party [C]: イノベーション、ICT
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意味
人口知能
航空安全に関する相互承認協定
ビジネス・ラウンドテーブル
将来の航空交通システムに関する長期ビ
ジョン
欧州航空安全庁
エンタープライズ・ヨーロッパ・ネット
ワーク
欧州連合
フレームワーク・プログラム
情報通信技術
もののインターネット
情報技術協定
日 EU イノベーション・科学・技術協力
強化プロジェクト
北大西洋条約機構
ネットワーク情報セキュリティ
研究開発
新サービス貿易協定
世界情報社会サミット
世界貿易機関
はじめに
ICT
IoT、ビッグデータ、AI 等の新しいデジタル技術は社会・経済を変革する多くの可
能性を持っている。デジタル技術は国の間や産業の間の垣根を引き下げています。
日本と EU の強いリーダーシップにより ITA 拡大交渉は妥結し、デジタルエコノミ
ーに関するグローバルなルールを新しいものにした。 世界情報社会サミット
(WSIS)+10 会合においても、日 EU はインターネットガバナンスにおいてマルチ
ステークホルダーによるアプローチが有効であるとの理念を共有し、現行の体制
を維持することに成功した。日 EU 双方において、デジタル化の可能性を最大にす
るための規制見直し検討が進んでいる。日 EU 双方が、IoT、AI 等の社会・経済・
雇用に与える影響について共通の認識を持ち、データの自由な越境流通の確保、
サイバーセキュリティ、ビジネスにおける知的財産や技術の保護に関して取り組
むことは、企業がグローバルかつ持続的に発展する基盤となるものである。この
ことを実現するために、日 EU が共同して取り組むことが可能な分野を特定し、具
体的なプロジェクトへと繋げていくよう努めるべきである。
日 EU はデジタル技術による社会変革の可能性を最大限に引き出す為に共通原則に
基づき、協調した行動を取ることで国際的なルール作りをリードすべきである。
2016 年 4 月に G7 香川・高松情報通信大臣会合が開催される。BRT はこの場を通
じて共通の原則が策定され、議論の結果が中国で開催される G20 においても取り
上げられることを期待している。
イノベーション全般
日 EU は高齢化、気候変動等、同様の社会的課題に直面している。これらの難しい
グローバルな課題に対処するために、政府はより良い R&D ビジネス環境の形成を
通じて、民間部門のイノベーション能力を利用すべきである。IoT 等のデジタル技
術が他の部門に貢献する重要な役割を鑑み、BRT は両当局に対して、革新的なソ
リューションや製品を開発・普及させるために、あらゆる必要な政策ツールを用
いることを要望する。
Horizon2020 等のファンディング・プログラムや日本の研究・イノベーションに
対する国際協力のプログラムは日 EU 間のオープンコラボレーションに向けた努力
を増やすべきである。イノベーションや協調に対して資金提供をするファンディ
ング・プログラムはきわめて重要である。
産学官の参加による両地域間の R&D 協力とパイロットプロジェクトを促進させる
ことは、両地域さらに世界の他の地域に展開し得る革新的な製品やサービスを作
り出すことに貢献する。また日 EU の規制協力は新しいサービスと製品の展開を加
速化させる。
航空
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Working Party C イノベーション、ICT
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昨年の提言を改めて提示する
欧州の航空産業は、世界市場で主要なサプライヤーとしての立場を担っており、
また日本はその多くの先端技術により後をすぐに追っていくかもしれない。双方
はしかし市場への積極的な新規参入者からの挑戦にさらされている。この点にお
いて、技術的優位性と競争力を維持する為に、共同で技術・プロジェクト開発を
行うことは双方にとって必要なことである。
日 EU の産業協力はヘリコプターと航空エンジンの分野で既に存在している。しか
し潜在的可能性ははるかに大きい。より多くの政府主導による協力と継続した両
当局による支援は、欧州の環境、社会、安全に関する要求を満たしながら、日欧
航空産業界の関係の発展を実現させるために必要なものである。
宇宙
昨年の提言を改めて提示する。
日欧の宇宙産業は、双方とも宇宙製品の主要なサプライヤーと位置づけられてい
るが、同産業のグローバル市場規模は小さく、成長の見通しは限られている。政
府予算が継続して少なく、競争が激化する状況においては、協調および相互に開
かれた市場は、日 EU の宇宙事業における目標達成とグローバル市場で双方の潜在
的可能性を実現する為に必要である。我々は日 EU 宇宙政策対話の立ち上げと最初
の 2 回の対話に対して大変満足している。そして宇宙のオペレーションの分野に
おいて迅速かつ緊密な規制協力を提言する。
防衛産業
昨年の提言を改めて提示する。
日本の防衛装備部門において、潜在的に重要な変更が起きている。その結果とし
て日 EU の防衛産業の協力は芽生えの兆候を示している。ほとんどの進展は日本と
個々の EU 加盟国において行われている事実を留意して、我々は日本と欧州委員会
と欧州防衛機関双方の対話を提言すると共に、この実りある二者間のプロセスが
安定的に継続することを強く求める。
鉄道
昨年の提言を改めて提示する。
鉄道は日 EU 双方の産業界が世界のリーダーであるハイテク分野であり、新興経
済圏からの新しい競争に直面した状況において、世界の標準を継続して協力して
制定することができる分野である。このことは、第三国市場での協力拡大に対し
て、深い意味合いを持っている。安全は、特に有望な協力分野であり双方当局に
より促進されることが望まれる。必須の技術要求の調和や自主的な標準の相互認
証に向けた活動は好ましい進展である。
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Working Party [C]: イノベーション、ICT
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日本・EU 両産業界からの提言
WP-3 / # 01** / EJ to EJ
FLM に対する懸念と第三国における市場アクセス改善
BRT は、いくつかの国々が強制的に現地化を求める政策(FLM)を実施しているこ
とに対して懸念を持っている。これらの措置はデジタル貿易に対する真の危機とな
る可能性がある。十分な越境データフローを実現するビジネス環境を維持すること
は、多国籍企業とグローバルな事業者により提供されるサービスの利用者にとって
必須なものである。
BRT は FLM などの両当局に対して、デジタル保護主義に対して制限をする規定を双
方が取り組む EPA 交渉や TiSA 交渉に盛り込むことで、グローバルなルールづくり
を主導すると共に、共同で規制撤廃を働きかけることを要望する。
< 直近の進捗評価 >
2015 年 5 月に東京で第 23 回日 EU 定期首脳会議が開催され、日本と EU は、あら
ゆる形態の保護主義に対応する決意を強調した。
2015 年 10 月に欧州委員会は通商戦略「Trade for All」を発表した。この通商戦略
において、欧州委員会は、デジタル保護主義に対処し、FTA や TiSA 等を使って、電
磁商取引や越境データフローに関するルールの規定を追及するとしている。
日本が参加している TPP 協定の電子商取引章において、強制現地化主義を防ぐ条
項が規定されている。
< 背景 >
ITA は IT 製品のグローバルな貿易を促し促進させ、グローバル経済に大きく貢献し
た。ICT 産業にとって、サービスは製品と共に重要なビジネス分野である。デジタ
ルサービスに関するグローバルなルールは技術開発や新しいビジネスモデルを反映
させるために新しくすることが求められている。
WP-3 / # 02** / EJ to EJ
プライバシー保護とイノベーションの両立
BRT は日 EU 双方で個人情報保護制度に関する制度整備が進んでいる事実を高く評
価する。
BRT は、新しい柔軟性のある規則は、日 EU において成長とイノベーションの触媒
となる可能性があると信じているため、日本と EU 双方にとってバランスがとれ、
調和した、将来においても陳腐化しないデータ保護制度が作られることを日 EU に
対して要望する。
(EU データ保護規則への懸念)
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Working Party C イノベーション、ICT
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BRT は、いくつかの規定は委任法令や実施法令で詳細が定められると理解している。
また BRT は、産業界の見方が考慮に入れられるように委任法令、実施法令、ガイド
ラインの公表の前にパブリックコンサルテーションを可能な限り早期に行うことを
要望する。更に BRT は全世界売り上げの 4%又は 2,000 万ユーロを最高額とする制
裁金の額が当該ビジネスに対して過大な影響となる可能性があることに懸念を有し
ている。そのため、本条項の実際の運用の際には不釣合いに多大な課徴金が EU 域
内及び域外の産業や経済に与えるリスクを慎重に考慮し、透明性が高いやり方で適
用して欲しいと主張する。
(日本の個人情報保護法改正への懸念)
日本の改正個人情報保護法において国境を越えた適用と外国にある第三者への個人
データの提供に関する規定の整備が予定されている。日本と EU の企業は、同法の
遵守に努めるとともに、当局に対して同法の執行について透明性の高い実施を求め
る。
(個人データの越境移転の円滑化のための制度整備)
EU の規則において、標準契約条項や拘束的企業準則に追加して、行動規範や認証制
度等が追加されたことを高く評価する。
両当局は日 EU 間において個人情報の移転を行う制度整備・仕組みの構築に向けて
実質的な議論を開始して欲しい。
特に、日 EU 間で特段の手続きを行うことなく個人データを移転することが可能と
なるようにするべきである。BRT は、日 EU 双方が個人情報保護に対して相互に認
証し、十分なレベルを確保していると保証することを要望する。
更に、両当局は第三国や国際機関とより一層協力することで、世界の個人情報保護
制度の整合化や相互運用性の確保、デジタル保護主義への対処に向けた対話を強化
すべきである。
< 直近の進捗評価 >
本提言に関して、良い進展があった。
2016 年 4 月 14 日に、欧州議会は一般データ保護規則を採択した。
日本の改正個人情報保護法が 2015 年 9 月に成立し、この法律に基づき 2016 年1
月 1 日に個人情報保護委員会が設立された。
< 背景 >
従来の個人情報保護法は、インターネットやクラウドコンピューティングといった
技術的進歩の以前に採択されたものであった。それ以降、市民はプライバシー保護
への懸念を高め、国ごとに異なる制度がコンプライアンスコストの増加をもたらし
た。これらの違いは効率的なグローバルなオペレーションやデータ活用によるイノ
ベーションの障害となっていた。そのため規則の見直しが必要とされていた。
WP-3 / # 03** / EJ to EJ 重要インフラのサイバーセキュリティ
BRT は EU において NIS 指令が採択されたことを高く評価する。日本ではサイバー
セキュリティ基本法が成立し、政府はサイバーセキュリティ本部と内閣サイバーセ
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キュリティセンターを設置した。日 EU では重要インフラにおけるサイバーセキュ
リティ対策の重要性が共有されている。
EU の NIS 指令においてクラウドサービス事業者は、デジタルサービスプロバイダー
としてその対象となった。具体的な要件は EU 加盟国が規定することになる。 ク
ラウド事業者によるサービス提供はさまざまな形態があるため、BRT は欧州委員会
に対して事業者が行う義務について明らかにする加盟国に働きかけることを要望す
る。
高度な攻撃に対処するためには国際連携が有効である。BRT は官民共同のセミナー
等の啓発活動を積極的に実施することを要望する。NIS 指令に基づき、加盟国で任
命されるナショナルコンタクトポイントと日本との間での情報共有の仕組み構築が
されることを要望する。
BRT は、両当局に対して、サイバーセキュリティ分野に対する人材の質と量を充足
させることを要望する。
< 直近の進捗評価 >
本提言に対して、良い進捗があった。
2015 年 12 月の 3 者協議において、EU レベルでは初と成るサイバーセキュリティ
法であるネットワーク情報セキュリティ指令について、EU の機関は合意した。
同指令は、加盟国に対してサイバーセキュリティを監督する省庁の特定、CSIRT
の設立及び加盟国間の協力の仕組みを規定している。
日本政府は、2014 年 11 月にサイバーセキュリティ基本法を採択した。本基本法
に基づき、サイバーセキュリティ戦略本部が設立され、2015 年 9 月にサイバーセ
キュリティ戦略が閣議決定された
< 背景 >
IoT の普及により、実空間とサイバー空間での融合が加速している。サイバー空間
を取り巻くリスクは複雑性を増している。重要インフラは国民生活や経済活動を
支えている。サイバー攻撃によりこの運用が妨げられることは、社会にとって極
めて深刻な脅威である。このことはサイバー脅威からの重要インフラ保護は、ビ
ジネス活動と安定的な市民社会の維持の為に、必要不可欠であることを意味して
いる。
サイバー攻撃を行う主体がグローバルに活動していること、攻撃が高度になって
いることを踏まえて、これらの深刻な問題に対処する為には、官民による継続的
かつ緊密な国際協力が求められている。
WP-3 / # 04 / EJ to EJ
著作権補償制度・私的録音録画補償金制度の抜本的見直
し(私的コピーに対する補償制度)
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Working Party C イノベーション、ICT
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日 EU は私的複製補償制度の抜本的な見直しに関して、技術や合法的なデジタルコ
ンテンツ流通の進化を考慮に入れ、協力を行うべきである。既存の徴収制度を新し
いデバイスやクラウドサービス等に拡大することは、制度の根本的な改正の前には
避けるべきである。改正に向けた見直しは、包括的な方法で、新規の方法を考慮に
いれるべきである。この中には新しいコンテンツ配信の実践、例えばライセンスに
基づくクラウドによるコンテンツ・ストリーミングモデルと共に、私的コピーから
の権利保持者とクリエーターへの補償を確保する利用可能な方法が含まれる。入手
可能な合法のデジタルコンテンツが増加することで、EU 及び日本において既存の著
作権制度の見直しが必要になる。見直しの目的は、消費者にとって魅力的な価格で
合法的なデジタルコンテンツを増やす狙いを持ち、ライセンスを受けたデジタルコ
ンテンツに対するオープンで競争的な市場を促進することにある。そしてこのこと
は、イノベーションとデジタル・クリエイティブ市場の成長を促進する。そのゴー
ルは消費者、権利保持者、サービス・機器プロバイダー等にとって透明性があり、
公平な制度の確立を可能にすることでなければならない。
< 背景 >
現在、補償金はアナログ時代にさかのぼる補償金制度により支払われている。私
的録音録画補償金制度は海賊版の問題に対処していない。新しく立ち上がり拡大
するビジネスモデルは、現行の著作権補償制度により妨げられているかもしれな
い。さらに欧州全域の中でも制度は大きく異なっている。このことはモノとサー
ビスの自由な移動に関する内部市場の原則とも矛盾している。
WP-3 / # 05* / EJ to EJ
ITA 拡大の加盟国の拡大
BRT は 2015 年 12 月の WTO 第 10 回閣僚会議(ケニア・ナイロビ)において ITA
拡大交渉が妥結したことを大いに評価する。この合意により 201 の品目関税が撤廃
される。BRT はまた、定期的見直しの仕組みが合意に盛り込まれたことを高く評価
する。当初の ITA が 82 のメンバーによって支持されていたのに対して、ITA 拡大交
渉は 53 のメンバーによって交渉が行われた。
BRT は両当局に対して、拡大 ITA に追加メンバーが参加するよう協力して説得する
ことを要望する。BRT は 2016 年 7 月 1 日から開始される関税撤廃の遅延なき実施
の重要性を強調する。BRT はまた、両当局に対して実施の加速を検討することを提
言する。
< 直近の進捗評価 >
拡大 ITA 交渉は 2015 年 12 月の第 10 回 WTO 閣僚会議において、53 のメンバ
ーによって妥結した。2015 年 7 月に ITA の交渉官は 201 品目の関税を削減すること
で合意していた。
< 背景 >
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Working Party [C]: イノベーション、ICT
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1996 年の ITA 合意以降、製品の見直しが行われていなかった。産業団体は対象製品
の拡大を要望していた。この要望を受けて、2012 年 5 月より ITA 拡大交渉が行われ
ていた。
WP-3 / # 06/ EJ to EJ
オープンで透明なインターネットの維持に対する協力
(インターネット・ガバナンス)
BRT は、2015 年 12 月に開催された国連総会 WSIS+10 ハイレベル会合において、
マルチステークホルダーが関与するオープンで透明なオンライン環境が有効である
ことが確認され、IGF の活動を 10 年間延長し、2025 年に再度ハイレベルミーティ
ングを開催すると合意したことを高く評価する。一方で、インターネットガバナン
スに対しては別の見方があり、違いは解決していない。
BRT は、デジタルエコノミーが世界経済に寄与するためには現行の仕組みが適切で
あると認識しており、あらゆる議論の場、例えば、本年 5 月に行われる国連開発の
ための科学技術委員会(UNCSTD)において、日 EU が継続して協力しマルチステ
ークホルダー体制の維持に取り組むことを要望する。
< 背景 >
インターネットは国連により管理されるべき、また多国間の新たな仕組みが必要と
主張するものがいる。現行のマルチステークホルダープロセスの維持を求めるもの
との意見の違いが顕在化している。
イノベーション全般
WP-3 / # 07 * / EJ to EJ
み
共同 R&D プログラムにおける国際標準化に向けた取り組
両当局は、先進的な製造や IoT、サイバーセキュリティ等の国際標準化に向けた共同
R&D プログラムをより優先すべきである。デジタル化を促す日 EU 間の規制協力は
両地域において新しいサービスと製品の普及を通じてイノベーション創出を加速す
る。
< 直近の進捗評価 >
2015 年 5 月に日 EU 政府間で、研究開発や標準化分野での協力に関する「次世
代通信ネットワーク(5G)を巡る戦略的協力に関する共同宣言」が署名された。
2015 年 2 月に、日本政府はロボット新戦略を採択した。ロボット革命イニシアテ
ィブ評議会が本戦略の実行組織として成立した。IoT 推進コンソーシアムが経済産
業省や総務省の支援を受けて成立した。
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Working Party C イノベーション、ICT
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< 背景 >
日 EU は高齢化、気候変動、資源の制約といった共通の社会的課題を抱えている。
日 EU の専門的知見に関する協力を強化することは、複雑な課題に対処する新し
い製品・サービスを作り出す可能性を高める。しかし本当のブレークスルーは、
両経済圏と当局が同じ標準を使い、二重の認証を不要にすることにより可能にな
る。これを既存技術や市場において達成するのはより難しい為、少なくとも新し
い標準は可能な限り共同で開発すべきである。標準のシーズは既に研究開発レベ
ルで輪郭を現すことは良く知られている。その為、共同の R&D プログラムは共同
の標準化活動を奨励すべきである。
2015 年 3 月に域内市場・産業・起業・中小企業総局と経済産業省は第 18 回日 EU
産業政策対話をブリュッセルにおいて開催し、日 EU 間の規制協力に関する共同文
書を採択した。
WP-3 / # 08* / EJ to EJ R&D プロジェクト・プログラムにおける更なる協調に向
けたビジョンとロードマップの共有
R&D プログラムをより効率的に管理し、産業界から使いやすいものにする為に、共
同公募の準備・開始・評価手続きは双方でよく協議され、標準化されたものとすべ
きである。特に透明性が提案及び審査段階において強化されるべきである。日 EU
での公募において明確に対応する公募を明記することは、協力の機会を見出すこと
を促進する。可能であれば、公募の公示の同期を取ることが好ましい。双方の当局
は、共通のテーマを見つけるために日本と欧州産業界のマッチメイキング活動を増
やすべきである。ナショナルコンタクトポイントの役割は強化されるべきである。
日本のナショナルコンタクトポイントは欧州のナショナルコンタクトポイントとよ
り緊密に活動し、双方の活動を調整すべきである。ビジョンの共有や共通のロード
マップに当たっては、産業界主導の欧州テクノロジー・プラットフォームの活動が
モデルとなりえる。
それぞれの地域における個々の R&D プロジェクトへの参加を増やす為に、BRT は
政府当局が、Horizon 2020 プログラムの日本に於けるナショナルコンタクトポイン
トやエンタープライズ・ヨーロッパ・ネットワーク(EEN)を含むその他の関連手
段によるサービスを奨励し、研究開発公募を広く告知し、パートナーシップの形成
を支援することを要望する。BRT は Horizon2020 や第 5 期科学技術基本計画におけ
るイニシアティブが、日 EU の戦略的 R&D 協力を更に進めることを期待する。
< 直近の進捗評価 >
ICT 、ヘルス ケア、 アドバンス マテリア ル に関する いくつか の 共同公募が
Horizon2020の下で行われた。
2015 年 5 月 18 日にブリュッセルにおいて、第 3 回日 EU 科学技術協力合同委員会
が開催された。委員会は日本国政府と欧州委員会との間の研究・イノベーションに
おける新たな戦略パートナーシップに向けての共同ビジョンを採択した。現在の共
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同協力分野である ICT、希少原料、航空に加えて、両当局は健康・医療分野研究、環
境、エネルギー、高エネルギー物理学の分野において協力の強化に関する戦略的意
義に関する共通の見解を持っている。
日 EU の研究イノベーションに関する協力を更に強化する為に、JEUPISTE が日本
における Horizon2020 のナショナルコンタクトポイントにより強化され、その活動
を継続している。日欧産業協力センターは日 EU 間の R&D 協力を進めるための活動
を行った。それらは Horizon2020(2015 年 10 月)、パワーエレクトロニクス
(2015 年 12 月)に関するセミナー開催、2015 年 10 月のバルセロナでの健康な高
齢化とスマートシティに関するイノベーションワークショップといった欧州におけ
る活動等である。また複数のセミナー・ワークショップ・訓練がローカルホストと
の協力により特定のニーズや組織に合わせて開催された。
フランスは、2016 年 2 月に 5G に関する日 EU シンポジウムを開催する等、日本フ
ランス・イノベーション年の元でその活動を欧州の様相を与えた。
2016 年 1 月後半に第 5 期科学技術基本計画が閣議決定された。本計画は今後 5 年間
の日本の科学技術への取り組みの概要を示している。
< 背景 >
科学、技術、イノベーションは成長のエンジンである。アイデアは国境によって
妨げられてはならない。両地域の知見を集結させることは、現在の複雑でグロー
バルな課題に対処する有効な方法である。R&Dプログラムが調整され、両地域か
らのR&Dプログラムへの相互参加が容易になれば、各国はより効果的に人的資源
や財政資金を活用することができる。調整はローカルや地域レベルでも進められ
るべきである。(例えばSmart Specialization)
同様の調整は商工会議所や産業団体、大学との調整によって進められるべきであ
る。
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航空
WP-3 / # 09** / EJ to EJ
航空分野における政府主導の協力
日 EU 両当局は、政府財源による刺激策により航空分野における産業協力の安定的
かつ著しい改善を図る為に、相互の信頼、平等、相互利益の考えに基づいて、継続
的な対話を確立するべきである。このことには環境問題における幅広い協力も含ま
れている。
< 直近の進捗評価 >
本提言に関していくつかの進展が見られた。
< 背景 >
欧州航空産業は長きにわたり、世界市場で主要なサプライヤーとしての位置付け
を担っている。日本にも多くの先端技術があるが、何れも新規参入者からの挑戦
にさらされてきている。日欧が技術的優位性と競争力を維持するには、また厳し
い予算という現実を克服するには、共に技術開発・プロジェクト進捗を行なうこ
とが必要である。ヘリコプター・航空エンジン分野の協力は既に存在するが、は
るかに大きな潜在性があるものと思われる。
民間旅客機の分野での日 EU の協力は A380 プログラムに日系サプライヤーが 15
社参画しているが、2000 年代初頭から停滞している。エンジン・プログラムやカ
ーボンファイバー素材の供給者として日本の参画はより良い状況にある。但し近
年、他国は劇的に向上しており、価格競争力が主要な決定要因となっている。
欧州と日本は騒音から排出物に至る環境問題に関する研究プログラムにおいてほ
とんど別のものを支援している。航空機のあらゆる速度におけるエコ技術は日欧
間で将来、重要で意味のある協力とビジネス機会を生み出す分野のひとつである
と我々は見なしている。
WP-3/ #10*/ EJ to EJ
航空機の承認に関する協力
日本と欧州の航空当局間における相互協力の向上を図るべきである。特に、国土交
通省航空局(JCAB)と欧州航空安全庁(EASA)との間で、型式証明および整備に関わる
活動に適用される、航空安全に関する相互承認協定(BASA)の締結を BRT は提唱
する。
< 直近の進捗評価 >
日EU間の航空安全に関する相互承認協定に向けて著しい進展が見られた。
< 背景 >
各々の認定を相互に認め合う双務的合意が米国と日本の民間航空機関には存在する
一方、欧州(EASA)と日本(JCAB)の間にはわずか一つのワーキングアレンジメ
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Working Party [C]: イノベーション、ICT
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ントが存在するのみであり、現状の難しさを反映している。JCAB が欧州航空機の
型式検定を有効とする作業は、長いプロセスである。特に、ヘリコプターが EASA
認定済みの場合にもかかわらず、新しいオプションが出て来た場合は自動的に認可
されるどころかあらゆる技術書類への審査が必要となるのが実情である。このこと
はしばしば、日本への製品のデリバリーを遅らす原因となっており、厳しい納期要
求から、公共入札において公正な競争から欧州の製造業者を排除する可能性がある。
日本は Rotorcraft Flight Manual の翻訳を要求し、地場当局の承認を求めるおそらく
世界で唯一の国であることは、ヘリコプター輸入への更なる障壁である。
WP-3/ #11/ EJ to EJ
ヘリコプターのナビゲーション規則に関する協力
ヘリコプター向けの低高度 IFR ルートの開発及び衛星ベースのナビゲーション規則
に関して、より高度且つより良い協力を日欧間で構築すること。
< 直近の進捗評価 >
本提言に対して進展が見られている。将来的な航空交通システムに関する欧州
の単一欧州航空交通管理研究プログラム、「SESAR」と日本の航空交通システム
の変革に向けた協調的行動「CARATS」委員会が、技術協力の面でフレームワー
クを策定した。
<背景>
米国、欧州、日本は充分なレベルの情報交換や標準化等を行なわず、各々がそれ
ぞれの規則や設備の構築を図っている。日欧の相似性は日欧各々の対米相似性を
上回るものであり、足並みをそろえた活動が必要である。欧州製ヘリコプターの
多くが、低高度 IFR ルート、ポイント・イン・スペース進入、GPS による精密進
入を可能にした地上ベース/衛星ベースのインフラとのインターフェースを有する
ハードウエアを装着している中、標準や規則の相互認証がなければその意味が失
われてしまう。欧州航空安全機関と国土交通省航空局の二者間の合意が航空産業
によって期待されている。
宇宙
WP-3/ #12 / EJ to EJ
宇宙でのオペレーションに対する規制協力
日 EU 当局は、新しく立ち上げられた日 EU 宇宙政策対話を活用して、宇宙でのオペ
レーションに対する規制協力を議論すべきである。
< 直近の進捗評価 >
我々は、このことを重視した当局のイニシアティブを聞いていない。
<背景>
仮訳/ Tentative translation
Working Party C イノベーション、ICT
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我々は 2014 年 10 月 7 日と 2016 年 3 月 8 日の日 EU 宇宙政策対話を高く評価す
る。本会合は双方に関心のある多くの分野を扱っている。日本政府は、一方で日
本の主体による宇宙におけるオペレーションを規制する法律を準備しようとして
いる。同様の法律は EU (主にいくつかの EU 加盟国)において存在している。宇宙
に関連するサービスに対する健全な日 EU 間の貿易協力は、日 EU 宇宙政策対話の
中で共通の法的・規則の土台に基づき考察することが出来る。
2014 年 10 月 8 日の第 1 回日 EU 宇宙フォーラムにおいて、日本と EU の宇宙産
業からの参加者は民間と防衛分野のテーマの双方において産業協力の必要性の概
要を示した。このことは多くの技術、予算、産業優位性につながる。このような
協力はまた、通信や地球観測サービス等の分野での現在の対話の下で検討される
ことになる。
WP-3/ #13 / EJ to EJ
政府衛星の打ち上げの相互バックアップ
日 EU 当局は、政府の打ち上げに関する相互のバックアップの仕組みを、日 EU の打
ち上げ機を用いて構築すべきである。
< 直近の進捗評価 >
本提言に関して、進展は見られない。
<背景>
欧州の衛星打ち上げ機 Ariane5 と日本の H-IIA が、商用ベースの衛星打ち上げに関
して相互バックアップに使われている。このことは、打ち上げ機の技術トラブル
による長期の打ち上げ遅れを減らしている。政府による打ち上げに対する同様な
バックアップの仕組みに向けた日本の文部科学省と欧州宇宙機関による数年にわ
たる議論は成果となっていない。
防衛
WP-3/ #14 / EJ to EJ 日 EU の防衛装備品に関する協力
日本の防衛装備部門において、潜在的に重要な変更が起きている。その結果として
日 EU の防衛産業の協力は芽生えの兆候を示している。ほとんどの進展は日本と
個々の EU 加盟国において行われている事実に留意して、我々は、日本と欧州委員
会及び欧州防衛機関双方との対話を提言すると共に、この実りある二者間のプロセ
スが安定的に継続することを強く求める。
仮訳/Tentative Translation
Working Party [C]: イノベーション、ICT
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鉄道
WP-3/ #15 / EJ to EJ
鉄道市場アクセス
両当局は、調達の透明性・内外無差別等の双方の約束が確実に実行され、実際の市
場アクセスがより具体的に改善した結果となるよう努力を続けるべきである。特に
両当局は、承認プロセスと共に双方の遵守要件について、オープンな形式での記述
されるよう確立すべきである。鉄道車両と機器に関連する認証手続きについては、
双方の関心があるものにとって透明性が高いものとし、更に簡素化されるべきであ
る。
BRT は、日 EU EPA/FTA 交渉において、両当局が日本の政府調達協定の ANNEX
III からの安全注釈の削除と EU の政府調達協定の ANNEX III からの日本に関する
EU の特記事項の削除を議論していることに注目している。
更に、欧州鉄道機関と日本の国土交通省は、双方の必須の技術要件の同等性を評価
することにより、必須の技術要件の調和の可能性を探っている。
BRT はそのような取り組みによって双方にとってメリットのある解決策が見出され
ると信じている。このことは EU と日本の鉄道メーカーが両地域内外での競争力を
強化すると共に、EU と日本の鉄道事業者が顧客の要望に対応する能力を増すことを
助ける。
< 直近の進捗評価 >
鉄道市場のアクセスにおいて、昨年に比較して限定的ではあるが、一定した進
展が達せられた。
双方の鉄道分野のプレイヤーは、鉄道産業間対話を通じて、2つのシステムの違
いを理解するための努力を継続している。2014 年の成功裏に終わった2つの対話
に引き続き、双方の鉄道事業者と鉄道メーカーの間で相互理解を更に促進させる
ために 2015 年に2回の対話が成功裏に開かれた。
BRT は両当局によって主催されたこのイニシアティブを支持する。このような組
織化された産業分野の対話は、双方のプレイヤーによる相互理解を強化すること
を可能にし、定期的に行われるべきである。
日本の政府調達協定の ANNEX III の対象から除外された JR3 社の 1 社である JR
東日本は、2015 年 5 月に 3 回目の国際公募入札として 63 両の電気ディーゼル車
両の調達を発表した。
BRT はまたこのような自主的なイニシアティブを支持する。
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Working Party C イノベーション、ICT
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<背景>
(1) 日本とEUの鉄道事業者は、各々が長期にわたる成功経験を有している。しか
し、法的要件、運営システム、調達慣行は異なっている。更に機器やシステ
ムの安全性と信頼性にかかわる責任については異なる主体が担っている。EU
では主にメーカーが安全認証の取得に責任を持つのに対し、日本では鉄道事
業者が安全認証の取得に責任を持っている。 またEUでは鉄道事業者は主に公
共の事業体であるのに対して、日本では主として民間の事業体である。これ
らの安全認証に関する違いに対処するにあたっては、双方の鉄道分野のプレ
イヤーの間、特に両者の鉄道メーカーの間で対話を開始することが、適切で
ある。その結果、グローバルな鉄道産業の安全パフォーマンスが相互に強化
される。
(2) 2014 年に欧州委員会と日本の国土交通省は、調達の透明性と安全注釈の適用
範囲を決めることについて合意した。
(3) EU は日本の政府調達協定の ANNEX III から JR3 社の除外に関する異議を最
後に取り下げた。これらの会社は同時に物品調達に関する自主的な行動規範
を公表した。
(4) 2014 年 3 月 27 日に、EU と日本の鉄道分野のほとんどのプレイヤーを対象と
した第 1 回鉄道産業間対話が、欧州委員会と日本政府の後援のもと、ブリュ
ッセルで開催された。2014 年 12 月 4 日に、第 2 回対話は東京にて開催され、
3 回目の会合が 2015 年 5 月 21 日にブリュッセルで、第 4 回会合は 2015 年
11 月 10 日に東京で開催された。
(5) EU では、過去数年に渡り、EU 加盟国に対する認証の可視化を改善するため
に、相当な努力が行われた。これらは鉄道網の安全運営に関する特定の要件
に関するものである。欧州鉄道庁は、EU 加盟国の安全認証の調整を担当して
いる。第 4 鉄道パッケージと呼ばれる提案によって、欧州委員会は、欧州鉄
道庁による共通の認証手続きの道を切り開こうとしている。
仮訳/Tentative Translation
Working Party [C]: イノベーション、ICT
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EU 産業界からの提言
航空
WP-3 / # 16** / E to EJ
羽田空港D滑走路の重量制限
羽田空港 D 滑走路の重量制限は、欧州製の航空機使用及び同空港の更なる国際ト
ラフィックの拡大に対する障害である。エアバス社製 A380、A350 のような新しい
大型機が使用認可されるべく、これらの重量制限は見直されるべきである。日本と
欧州両当局に対し、必要な検証を実施する上での協力を要請する。更に、最新の中
型機である A350 の運用に関しても、構造上の荷重耐性における再検証を実施する
ことによって見直されるべきである。
< 直近の進捗評価 >
本提言に関して進捗は見受けられない。しかしながら、羽田における747-8i
(コードF)の日中運用が最近認められ、A380の羽田への乗り入れを考える航空
会社が存在することから、A380(コードF)の日中運用も近く承認されることが
期待される。
<背景>
航空交通ニーズの増大と混雑の緩和のため空港の拡張が進められてきたが、4 本
目の滑走路(D 滑走路)及び国際線ターミナルが 2010 年 10 月に竣工した。これ
まではアジア路線中心であったが、より長距離便への対応が想定されている。便
数はニーズに伴い増えるが、空港容量を超えることは出来ない。2015 年において
2,000 万人を少し下回る最近の日本への外国人訪問者の急激な増加により、日本政
府は 2020 年の目標値を 4,000 万人に改訂した。羽田空港を離陸する平均の旅客機
のサイズは 230 席であり、747 型機が国内で使用されていた 1980 年の平均である
240 席を下回っている。東京の空港、特に羽田におけるトラフィックが増えてい
ることを鑑みると、大型旅客機が羽田で使えるような活動が求められている。こ
のことは新しく大型の航空機の利用が航空会社の戦略の重要な一環である所以で
ある。このような状況下で、D 滑走路重量制限は羽田空港にとって大きく新しい
航空機への妨げとなることを懸念する。A350 や A380 等の新型旅客機は、羽田空
港で現在使用されている旅客機に比べてより静寂正が高く、環境にも優しい。羽
田往復のフライトを増やす計画により、上空を飛ぶ飛行機が増える。このことは、
より静寂性の高い旅客機が可能な限り使用することが不可欠である。多摩川から
の影響を加味して D 滑走路は伝統的埋め立て方式ではない埠頭の様な構成で修理
されていることから重量規制は使用時の重量に基づき設定されているが、現状の
仮訳/ Tentative translation
Working Party C イノベーション、ICT
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重量制限下ではエアバス社製の最新鋭機 A380、A350 は使用不可となってしまう。
(下記参照)。
ユニットトン
重量制限
全重量
A380
A3501000
A350900
B747400
B777200ER
400
571
308.9
268.9
396.0
286.9
バラスト重量
139.5
161.6
146.9
126.0
92.8
134.9
輪加重
26.2
26.9
24.5
31.5
23.2
22.5
宇宙
WP-3 / #17* / E to J
衛星打ち上げサービス事業者の認定
日本の商用衛星打ち上げプロジェクトを想定した、日本の当局による海外打ち上げ
サービス業者の認定は、公正且つ商業的な世界のプラクティスとして認定され、制
定された French Space Operations Act of 2008 及びその関連条例と一貫性を持った
ものであるべきである。
< 直近の進捗評価 >
2016 年 3 月 4 日に閣議決定された法案は、BRT の要望に沿ったものである。本
件は解決した。BRT は日本政府に対して感謝の意を表する。
<背景>
日本側当局は、日本の衛星打ち上げサービス利用者に対して、打ち上げ契約以前
に公式な承認を取得し、かつ日本側当局が承認する信頼性が高いサービス事業者
のみの利用を求める宇宙のオペレーションに関する法律を熟考している。EU の打
ち上げサービス事業者が日本において競争上不当に扱われない限り、問題提起は
行わない。
防衛
WP-3 / #18 / E to EJ
プロセスの適用
防衛装備品及びサービスに関する国際的に認定された調達
以下各項があらゆる防衛調達プロセスに適用されるべきである。
(1) 調達プロセスでの要求事項をより広範に利用出来るようにすることで、日本
は海外サプライヤーに対して透明性を改善させるべきである。
仮訳/Tentative Translation
Working Party [C]: イノベーション、ICT
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(2) 日本の防衛省は競争力の強化と開発リスクの減少の為に初期の研究・開発フ
ェーズにおいて NATO 標準を採用すべきである。
(3) 日本の防衛省は、価格や海外製造業者からの現地調達率の面で最適な条件を
得られるように、調達に際して複数年契約を導入するべきである。
(4) 防衛調達プロセスにおいて、ライフサイクルコストにより重点をおくべきで
ある。ライフサイクルコストに基づく予算編成により、政府は防衛費の計画
が立てやすく、また全体コストをより完全に開示することにより、公平な競
争を促す。
(5) 海外の入札者が国内の競合に対して不利な立場となるような、無限責任は、
公共入札の諸条件から削除するべきである。
(6) 外国企業が選定された際には、日本の防衛省はライセンス製造に基づく地場
の産業パートナーを別個に選定し、選定された外国企業に対して修正パッケ
ージを利用可能にすべきである。
(7) 更に防衛省は供給者に対し、選定を元に契約が行われない場合は、選定に関
して重大な結果や解約となる旨の明快な声明を出すものとする。
(8) BRT は防衛省に対し、訴えが出来るプロセス作りをしてもらいたい。
< 直近の進捗評価 >
日本の防衛省は透明性改善のため、意思決定プロセスに評点方式を導入し、選
定先を決定するとともに決定に至った説明を実施するようにした。しかしながら
評点性は明快とはいえず、説明もより詳細なものが必要である。
<背景>
いくつかの改訂が防衛調達に関して行われている。更なる改訂は透明性を高め競
争を強化する。
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Working Party C イノベーション、ICT
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