若者と若い女性がすみたい日立のための公共交通の充実 日立女性フォーラム 公共交通グループ 桐上悦子 助川典子 根武子 鈴木恵子 【背景と現状】 今、日立のような地方都市でも、若者の車離れが進んでいる。若者のクルマ離れは、大 都市から始まったが、車が無ければ生活が成り立たない地方都市ではどうなのかを調べ てみた。 日立市内の、若い従業員が多く働く店舗で聞き取り。このお店では、ここ数年間で若い 従業員全員が水戸市、ひたちなか市に引っ越していた。交通の不便さが最大の理由との こと。店長は「今、若い従業員は免許、車に全く興味がないですよ!」と話し、若者の 車離れは確実に地方でも起こっていると感じた。 また、長年来店されていた高齢の客も、交通が不便なために家に閉じこもりになること を不安に感じ、日立に住んでいたいという希望がありながらも、子どものところに引っ 越しをし、高齢者の客も減少していると話してくれた。 これは日立市の 18 歳から 24 歳までの免許取得率を調べてみた。 人口男 免許取 得者 % 人口女 免許取 得者 % 人口合 免許取 計 得者 % H17 年 8,139 6,440 79% 7,283 5,199 71% 15,422 11,639 75% H 18 年 7,989 6,129 77% 7,061 5,080 72% 15,050 11,219 75% H 19 年 7,758 5,941 77% 6,820 4,812 71% 14,578 10,753 74% H 20 年 7,601 5,734 75% 6,591 4,646 70% 14,192 10,380 73% H 21 年 7,576 5,735 76% 6,459 4,442 69% 14,035 10,177 73% H 22 年 7,661 5,753 75% 6,222 4,326 70% 13,883 10,079 73% H 23 年 7,605 5,768 76% 6,195 4,270 69% 13,800 10,038 73% H 24 年 7,517 5,632 75% 6,129 4,242 69% 13,646 9,874 72% H 25 年 7,240 5,471 76% 5,942 4,190 71% 13,182 9,661 73% H 26 年 6,984 5,283 76% 5,876 4,101 70% 12,860 9,384 73% 平成 17 年~26 年の 10 年間でも、わずかですが取得率が下がって来ている。 全国の免許取得率を調べても、20 代の取得率が下がっているのがわかり、東京都は更 にその傾向は顕著になっている。 1 自動車メーカーは危機感を持ち、トヨタ自動車は 2010 年に「若者のクルマ離れ」と題 して大学生を対象に意識調査を行っている。若者の車意識の変化を調査したこの表には 車に対する若者の意識がここ数年で大きく変化していることがわかる。 お金をかけているものの中で、車にかけている人の数は 1996 年、2000 年、2006 年と急 降下しており、乗用車が欲しいと思う人は、2002 年と 2007 年の調査で、半減している。 また、 「一般社団法人日本自動車工業会」は現在の若者のクルマ離れの要因について 2014 年「若者と車」で次のようにまとめている。 この年の新成人の運転免許保有率は男性 61.8%、女性 51.6%。都市部 42.2%、地方 60.7%で、この数はクルマに対する興味はあるとしている。しかし、クルマを所有する には、免許取得費用や購入費用、維持費などお金がかかり、所有するだけの経済的余裕 がないためにクルマ離れはおきているとしている。 1980 年代までの若者衣食を節約しながらでもクルマを所有する価値を見出していたが、 1990 年代以降、デフレ時代に突入すると一般消費が大きく落ち込む中で、運転を楽し む目的と言うよりも、クルマを移動手段として考えるようになり、スマートフォンや少 額の趣向品にお金を使う傾向になった。 また、今の若者は、将来にむけての不安も大きく、正規従業員として仕事についていて も、給料の残金はわずか。特に、最近社会問題になっている学生時代に奨学金を借りて いる若者は、その返済に困窮し余裕などまったくなく、契約社員になると状況はさらに 厳しいとまとめていた。 このことから、現在、公共交通は、超高齢社会に入った社会情勢から、高齢者のために 充実しなければならないと考えられているが、実は若者世代にとっても取らなければな らない対策であることがわかりる。 【提言】 2 バス路線と BRT の連携 公共交通の充実のための一つとして BRT がある。おさかなセンターからの運行が始まり、 多賀駅までの路線の工事が進んでいる。更に日立駅までの計画もある BRT の特徴は「バ ス高速輸送システム」 と訳されるように、バスを利用した輸送システムである。現在 は「路線バス」のイメージを覆し、むしろ鉄道に近い性格を持つと言われている。 この南北方向に往復するする BRT に山側団地から直線的に降りてくるバス路線を作り、 接続させることを提案したい。フィッシュボーンパターンである。 直線的に降りてくる路線の間にある学校や病院、行政機関や、スーパーマーケットなど をよりながら BRT に接続させるもの。 そうすれば目的の場所へ路線バス、BRT を乗り継ぎながら、便利に行くことが出来るよ うになる。 利用しやすくための料金設定 バスを多く利用するために利用しやすい料金の設定は不可欠である。現在、日立電鉄と 椎名観光バスには 1 ヶ月 6,500 円で購入できるにこにこ定期券や、70歳以上は 1 乗車 100 円という素晴らしい得点があり、それに加えて更に利用しやすい料金の設定を提案 したい。 先ずは、路線バスと BRT を同じ料金設定。1回乗る料金は「かたみち切符」として大人 200円、子ども150円。「のりとく切符」として一日乗り放題の切符を大人500 円、子ども250円。また、通勤、通学等でバスに乗る人が多い時間以外の利用定期を 6000円で発行。 この定期が発行されれば、幅広い人がバスを利用できるようになり、子ども連れのお母 さんたちなども、車がなくても買い物や病院等に気軽に行くことができるようになる。 利用しやすい時間の設定 利用しやすい時間設定として、JR に連携した時間の設定をする。始発や、終電へのバ スの連携は更に大切なポイントである。また、BRT は10分ごとに運行。更に、山側か らの路線バスを30分ごとに運行していくことを提案したい。 見えバスシステムの導入 更に乗りやすくするために、GPS を利用して現在の運行情報を視覚化するシステム導入 の提案。 スマホで無料のアプリをダウンロードし、それを利用すれば、今自分がいるバス停に、 乗りたいバスがどこまで来ているかがわかり、あと何分ぐらいで到着するかの予測もで きる。そしてそのバスは確かに自分が行きたい方向に行くバスなのかの確認もできるシ ステムである。 3 スマホを利用してのシステムであるが、設置される数年後にはほとんどの高齢者が使い こなせるようになっていると考える。 BRT バスを水素燃料で 日立市のホームページで BRT 計画の中にもあったように、環境に優しい水素燃料で BRT を走らせることはまちおこしの目玉になると考える。 昨年の11月に開催された「いばらき水素利用シンポジウム」で東京理科大学のたち川 先生は「茨城に水素社会ができずして、どこに実現できるのか」とまで言っている。 すでに、東京都は2015年1月に2020年開催の東京オリンピックの選手村は水素 タウンにすることを決定し、水素社会づくりは全国に広まることが予想できる。 たち川先生は茨城県がその水素社会の先進モデル地域になる可能性として、つくばの知 的技術の集積や自然環境的にも優れていることなどをあげた中に、LNG のパイプライン の整備をあげている。このことから、燃料を送る基地の日立市こそ、茨城のなかでも一 番のモデル地域になる可能性が大きいと考える。 【効果】 こうした公共バスの対策によってバス利用が便利になり、見えバスの導入は、待ち時間 の有効利用ができる。 また、BRT と路線バスの接続がされれば乗換拠点としての交通結節点ができ、結節点と してのバスターミナルができることになる。近くにはコンビニ等の出店が見込まれ利便 性が高まり、更に安全安心につながる。そうなれば、バス利用者は増え経済効果が見込 まれる。 また、水素バスの走行から、水素タウンへとの移行も夢ではなくなり、これこそ、様々 な技術の工場がある日立らしいまちおこしになると考える。 以上、公共交通の充実についての提言とする。 4
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